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こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16 <3>


結婚相談所Bゼルム




日経ビジネスの特集記事(99)

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16



今週の特集記事のテーマは

相次ぐリコールに、タカタ製エアバッグの品質問題。
自動車各社が好業績を謳歌する中、ホンダは業績下方修正
に追い込まれた。
2009年に就任した伊東孝紳社長は拡大路線を突き進み、
その過程で急成長のゆがみが露呈した。
品質問題は氷山の一角にすぎない。
真の問題は、消費者を驚かせるような斬新な商品や技術が
出てこなくなったことだ。
本誌調査では、ホンダの革新的なイメージは
トヨタ自動車はおろかマツダや富士重工業より低かった。
このままでは「こんなホンダは要らない」と消費者にそっぽを
向かれてしまう。
今年6月に退任する伊東社長は自らの失敗を率直に認めた。
バトンを引き継ぐ八郷隆弘・次期社長は、集団指導体制で
再起を図る。
同質化から抜け出そうとするホンダの苦闘に迫った
 (『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.026)

ということです。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.026-027)





今特集では、『日経ビジネス』特集班がホンダに対して
相当厳しい見方をしています。
その態度は、批判するというよりも、むしろ叱咤激励と
解釈するべきです。


『日経ビジネス』特集班も、ホンダに復活してほしい、
と望んでいる様子が行間から滲み出ていました。


私も個人的に同感です。ホンダやソニーが元気に
ならなければ、他社に取って代わられるだけだからです。
伝統も実績もある2社が半分透明化して、消えかかって
いくことに耐え切れない人たちは多くいるはずです。


あなたは、日本からホンダやソニーが消えてなくなっても
何とも感じませんか?



今特集は、全3回でお伝えしていきます。


第1回は、
「Prologue 『革新』はどこに消えた」
「PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの 


前回、ホンダの改革のキーマンをご紹介しました。


キーマン全員が、常務から社長、専務に昇進し、
社内外に「八郷体制」を明確に示しました。
今後はチームで事に当たるということです。


経営陣は一新しました。
次は、実働部隊の番です。
経営トップが立案した戦略に基づき、実働部隊が
しっかり動くことが重要であることは、多言を要し
ません。


世界最大の自動車市場の中国で今、異変が起
きているというリポートからスタートします。



 世界最大の自動車市場、中国。苦戦を続けて

 きたホンダに「異変」が起きている。2013年9月

 に発売した3列シート6人乗りのミニバン「ジェイド」

 が、売れ行きを伸ばしているのだ。

 2014年12月の単月販売台数は7541台。1年半を

 かけて認知度を高めて販売台数がジワジワ増え、

 今や「シビック」など主力車種を上回る月も珍しく

 ないまでに成長した。


 「セダンしか売れない」と言われてきた市場で、

 ミニバンという新ジャンルを切り開こうとしている。
 

  (P.040)



中国市場で「ジェイド」を購入しているのは、どの
ような人たちなのでしょうか?
想像してみてください。



 ジェイドを購入しているのは「80后(バーリンホウ)」

 と呼ばれる、1980年代以降に生まれた一人っ子世代。

 「他人と違うものが欲しい」という自分ならではの

 価値観を大切にするタイプだ。
 

  (P.040)


一人っ子世代ですから、親は教育費をかけられますし、
ものを買い与えることができます。


現場のキーマンが登場します。
ジェイドの「開発を指揮した本田技術研究所主任研究員
の印南泰孝」氏です。


印南氏はこう語っています。


 「バーリンホウは従来の常識にとらわれず、

 自分の欲しいクルマを選ぶはず」
 

  (P.040)


その狙いはズバリ当たりました。


 実際、購入者の8割はバーリンホウ。

 狙いがズバリ当たった。

 「全員に受け入れられる必要はない。

 気に入ってもらえる人に選んでもらえばいい」。

 印南のチームが作り手として理想を追った結果、

 今やジェイドはホンダの中国事業において欠か

 せない存在となった。
 

  (P.040)



ジェイドの特徴について書かれています。



 ジェイドの最大の特徴は「超低床プラットフォーム」だ。

 足回りや床下部品の小型化を徹底し、高密度に

 部品を配置した。


 印南は「トヨタ自動車も日産自動車も10年間追い

 つけない」と豪語する。
 

  (P.040)


ホンダの創業者、本田宗一郎のスピリット(考え方)が
連綿と引き継がれていたのです。それは印南氏の
次の言葉に表れています。


「本田宗一郎が掲げたMM(マンマキシマム・メカミニ
マム)思想を追求できた」(P.041)


「人間が最大、メカは最少」と。
人間が主であり、メカは従であるべきだ、という考え方
です。その逆ではない。


ジェイドは今年2月に日本でも発売されたそうですが、
「日中以外の市場での展開も視野に入っており、
ジェイドの真価が問われるのはこれから」(P.041)です。



日本市場では、軽自動車の販売が上位を占めています。
ダイハツ、スズキ、ホンダの三つ巴の戦いが続いています。


そんな軽自動車市場にホンダは新車種を投入しました。
「Nボックススラッシュ」です。


このクルマは、ホンダが「自らの強みを否定する
ような新型車」(P.042)です。



 車幅が狭い軽自動車は車内空間を少しでも

 広くするために、背の高いワゴン型が人気だ。

 その人気を不動のものとしたのが、2011年に

 ホンダが軽自動車事業の再生を懸け投入した

 「Nボックス」だった。

 ところが、ホンダはその自らの強みを否定する

 ような新型車を作り上げた。それがNボックス

 の屋根をぶった切ったようなデザインのNボックス

 スラッシュだ。実際、全高は10cm以上も低くして

 あり、クーペのようなフォルムが特徴になっている。
 

  (P.042)


その結果、Nボックススラッシュは「目標の月間2500台
を大きく上回る販売を続けている」(P.043)そうです。
下図の右ページの一番上のルーフが赤いクルマが、
Nボックススラッシュです。


世界6極が独自モデル生む

世界6極が独自モデル生む

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.042-043)




イノベーション(革新)という言葉はよく耳にしますが、
語源はあまり知られていません。


「イノベーションの語源はラテン語で『in(内部)+
novare(新しくする)』」(P.044)だそうです。


では、ホンダのイノベーションとは何かということに
なります。『日経ビジネス』特集班は2つを考えています。


1つは企画力であり、もう1つは技術力です。


企画力は「新コンセプトで市場を作る」(P.044)ことです。
具体的には、二輪車「スーパーカブ」であり、
「オデッセイ」、汎用エンジン「Gシリーズ」、軽自動車
「Nボックス」です。(P.044)


技術力は「自ら切り開く新領域」(P.045)となります。
具体的には、自家用機「ホンダジェット」であり、
スポーツカー「NSX」、CVCCエンジンを搭載した
「シビック」、人型ロボット「アシモ」です。


ホンダがイノベーションを起こし、「市場を創出し
続けるための条件」(P.044)とは何かについて、
『日経ビジネス』特集班は次のようにまとめています。



 それは、ホンダが「挑戦者」の姿勢を持ち続ける

 ことだ。


 挑戦者であろうとするからこそ、一見困難でも

 王者と異なる道を選び、一点突破で状況をひっくり

 返す。
 

  (PP.044-045)





 Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律 


「ホンダにも製品の没個性という『ソニー病』のリスクがある」
(P.046)、と『日経ビジネス』特集班は問題提起しています。


ソニーOBの声を紹介しています。



 ソニーOBで技術経営に詳しい早稲田大学の

 准教授、長内厚は「ソニーと似た失敗パターン

 に陥る危険性がある」と指摘する。経営の安定を

 優先するために、「確実に消費者ニーズに応え

 ようと商品の“カド”がなくなる」(長内)。
 

  (P.046)


丸くなり、“尖った”ところがなくなってしまうということ
です。言い換えますと、大人になり老成し、若さを失って
しまうことを意味します。チャレンジしなくなってしまう
のです。無難な製品しか作れなくなってしまうと、ホンダ
の特徴は失われます。


つまり、ホンダOBで東京大学経済学研究科ものづくり
経営研究センター特任研究員の伊藤洋氏の言葉を
借りれば、「マツダを復活させたスカイアクティブの
取り組みは、本来ならホンダのお家芸。最近はホンダ
は改革でなく改善にとどまっている」(P.044)という
ことになります。


では、どのような取り組みが求められるかですが、
特集班は「他社との提携戦略も解決策の一つ」
(P.046)と指摘しています。


既に稼働しているケースがあります。



 ホンダジェットでは、エンジン開発で米ゼネラル・

 エレクトリック(GE)と合弁会社を設立し、

 実用化に大きく前進した。
 

  (P.047)



ホンダにあって他社にない強さとは何でしょうか?



 「組織」でなく「個」の意欲や執念を具現化する力は

 他社にない強さだ。

 ホンダならではの技術を他社にも供給して投資を

 回収し、また次に向かう。

 6極体制の狙いが「開発の各地域への“開国”」

 (常務の松本)なら、次の門戸を社外に開放しても

 いい。
 

  (P.047)


別の言い方をすれば、他社の技術も取り入れ、技術の
バーターの検討をしてもよい、と思います。


つまり、自前主義にこだわる時代ではない、と思うのです。


シャープの元副社長佐々木正氏は、そのことを「共創」
と表現していました。「コラボレーション(協働)」ではなく、
共に創るですね。協働よりもっと積極的に関わっていく
イメージでしょうか。


『日経ビジネス』特集班は、最後に次のように述べています。



 巨大メーカーが経営の在り方を変える中、「個」の力

 だけに頼るやり方では限界がある。社長の伊東が

 技術研究所トップを経験していない八郷を後任に

 選んだのも、成功モデルを新たに作るための不文律

 破りと言えるだろう。

 ホンダの革新的なイメージが薄れているのは、他社

 よりも期待値が高いことの裏返し。


 見るべきは過去ではなく未来。製品だけでなく経営

 にもイノベーションを起こせるか。挑戦するホンダの

 姿を、誰もが見たがっている。
 

  (P.047)



「挑戦するホンダの姿を、誰もが見たがっている」という
フレーズは、記者の気持ちの表れでもあるのです。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 






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こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16 <2>


結婚相談所Bゼルム




日経ビジネスの特集記事(99)

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16



今週の特集記事のテーマは

相次ぐリコールに、タカタ製エアバッグの品質問題。
自動車各社が好業績を謳歌する中、ホンダは業績下方修正
に追い込まれた。
2009年に就任した伊東孝紳社長は拡大路線を突き進み、
その過程で急成長のゆがみが露呈した。
品質問題は氷山の一角にすぎない。
真の問題は、消費者を驚かせるような斬新な商品や技術が
出てこなくなったことだ。
本誌調査では、ホンダの革新的なイメージは
トヨタ自動車はおろかマツダや富士重工業より低かった。
このままでは「こんなホンダは要らない」と消費者にそっぽを
向かれてしまう。
今年6月に退任する伊東社長は自らの失敗を率直に認めた。
バトンを引き継ぐ八郷隆弘・次期社長は、集団指導体制で
再起を図る。
同質化から抜け出そうとするホンダの苦闘に迫った
 (『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.026)

ということです。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.026-027)





今特集では、『日経ビジネス』特集班がホンダに対して
相当厳しい見方をしています。
その態度は、批判するというよりも、むしろ叱咤激励と
解釈するべきです。


『日経ビジネス』特集班も、ホンダに復活してほしい、
と望んでいる様子が行間から滲み出ていました。


私も個人的に同感です。ホンダやソニーが元気に
ならなければ、他社に取って代わられるだけだからです。
伝統も実績もある2社が半分透明化して、消えかかって
いくことに耐え切れない人たちは多くいるはずです。


あなたは、日本からホンダやソニーが消えてなくなっても
何とも感じませんか?



今特集は、全3回でお伝えしていきます。


第1回は、
「Prologue 『革新』はどこに消えた」
「PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 悪夢の1年半
「チーム八郷」でホンダ作り直し 


前回、伊東孝紳社長が退任し、後任に八郷隆弘常務が
社長となることをお伝えしました。


このパートでは、「八郷体制」というべきキーマンたちによる
経営が決定しましたので、キーマンの顔ぶれと、
どのような戦略のもとに実践し、ホンダを作り直していく
のか、その道筋のあらましをお伝えしていきます。


併せて、「日経ビジネスオンライン」に特集班のメンバーに
よる関連記事が掲載されていますので、その中からいくつ
かご紹介します。


このことによって、雑誌とウェブサイトの相互補完がなされる
と考えています。



まず、次期社長に決定した、八郷隆弘常務(次期社長)
についてお伝えしていきます。

八郷隆弘(はちごう・たかひろ)次期社長


 八郷隆弘 次期社長(55歳)氏

八郷隆弘 次期社長(55歳)

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)





 2月23日、ホンダは今年6月に社長の伊東孝紳が

 退任し、常務の八郷隆弘が社長となる人事を

 発表した。6人の取締役のうち4人が交代し、

 経営陣は一新される。

 八郷は車体設計を中心に研究開発に携わり

 2代目「CR-V」などの開発責任者を務めた。

 2008年に購買部門に移った後、2011年に生産

 拠点の鈴鹿製作所長に就任。2012年に欧州

 子会社の副社長、2013年からは中国で生産

 統括責任者として、ホンダの不振が続いた市場

 の事業の立て直しを担当した。

 「6極体制」を実行部隊として作り上げてきた中核

 人材の一人である。
 

  (P.036)



『日経ビジネス』特集班によると、八郷氏は歴代社長と
異なる点があるということです。



 強烈なリーダーシップで知られる歴代ホンダ社長

 とは明らかにタイプが異なる。歴代社長が必ず経て

 きた技術開発会社、本田技術研究所(以下、研究所)

 社長の経験もない。
 

  (PP.036-037)



『日経ビジネス』には書かれていない事実が、「日経ビジ
ネスオンライン」上に掲載されていました。
八郷氏が記者会見の席で述べた印象を、3人の特集班
のうちの1人である広岡 延隆 記者がレポートしています。



 果たして、ホンダは変わるのか。会見では、八郷氏の

 一挙手一投足に注目が集まった。

 だが、八郷氏は「革新的な商品や技術を生み出し、

 世界6極体制をさらに進化させたい」と述べるなど

 伊東路線を踏襲する無難な答えに終始し、集まった記者は

 「肩透かし」を食った形となった。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




前任者の路線を踏襲する姿勢は、日本企業でよく見る
ことですが、グローバル企業であるホンダも同様なのか、
という印象を拭えなかったことが、集まった記者を落胆
させたのです。


ホンダが新車を投入しようとした矢先、リコール問題が
続けざまに起こりました。リコール処理に大わらわになった
ため、新車投入を先送りせざるを得なかったのです。
リコールに完全に足をすくわれた形ですが、根本的な原因は
社内体制に根ざしていたのです。


リコールの経過を時系列でたどってみましょう。



 ホンダの底力を見せるはずのフィットハイブリッドが、

 開発体制の深刻な欠陥を浮かび上がらせることに

 なる。

 1回目のリコールは発売翌月の2013年10月。

 「クルマが動かない」という連絡が販売店に相次いだ。

 ホンダが初めて採用したDCT(デュアルクラッチトランス

 ミッション)と呼ぶ部品の制御がうまくいかず、内部の

 歯車が噛み合わず発進できないケースがあった。

 同12月、ホンダは2回目のリコールに踏み切る。

 エンジン制御のソフト不良でエンストが起きる場合が

 あった。

 実はこの際、ホンダは「サービスキャンペーン」と呼ぶ

 措置も実施している。リコールほど深刻ではないが

 改善した方がよい場合に修理・改修する制度だ。

 その内容は、1度目のリコール対応では問題を解消し

 切れていなかった部分があるため、DCT制御ソフトを

 追加修正するというものだった。

 このキャンペーンが3回目(2014年2月)のリコール原因

 となる。制御方法が変更されたことで、DCTの内部部品

 が損傷するケースがあることが判明したのだ。この頃に

 なると、販売の現場では「怖くてフィットハイブリッドを

 お薦めできなくなっていた」(都内販売店)。その後も

 原因の異なるリコールを2回繰り返し、計5回となった。

 技術の全体像を掌握できていなかったことは明らかだ。

 背景には、ホンダの開発体制がハード中心主義から

 転換できていなかったことがある。
 

  (P.037)



やることなすことが裏目に出たのです。
個人的にも、このようなことを経験します。
やればやったで失敗し、やらなければ先に進めない
というどちらを選択してもうまくいかないケースです。


根本原因は、「部分最適」にあったのです。
部分部分がベストの状態であっても、組み合わせて
みると、不具合が生じることはよくあります。


俯瞰するという体制になっていなかったのです。
上空から全体を眺めると、どこに不具合があるのか
発見することができます。


英語の表現に bird's eye view (鳥の目で見る、鳥瞰図)が
ありますが、まさにそれです。
一方、地面にいて周囲がよく見えないことを worm's eye
view(虫の目で見る、仰視図)と表現します。


この2つは、全体最適と部分最適に当てはめて考えること
ができます。



5回のリコールのうち、DCTに関連するリコールが多い
ですが、他に「エンジン制御ユニットのプログラムの不良」と、
「電気ノイズ対策不足によるエンジン停止」(以上2件、P.038)
があります。


複雑系の考え方に、「全体は部分の総和よりも大きい」
というものがあります。相乗効果を指していますが、
全体最適は部分最適よりも上位概念である、と私は考えて
います。


クルマもあらゆる部分が電子制御されています。
コンピュータ化されているのです。


ご存じの通り、コンピュータはハードウェアとソフトウェアの
両輪があってはじめて動きます。ハードウェアの性能が
どんなに優れていても、ソフトウェアが貧弱であれば、
ハードウェアの性能をフルに引き出すことはできません。
その逆も真です。


米テスラ・モーターズは高級EV(電気自動車)を製造販売
しています。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、
EVのソフトウェアを書き換えるだけで、ハードウェアの
潜在能力を引き出すことができると語っています。


インターネット経由で、ソフトウェアをアップデートするのです。
まさに、コンピュータと同じですね。見かけはクルマでも中身は
コンピュータです。


そうした発想の延長線上に自動運転も見据えています。
自動運転で、グーグルと熾烈な競争を演じています。


尚、イーロン・マスク氏は、ロケット事業も手掛けていて、
NASA(米航空宇宙局)に高性能で低価格のロケットを
納入しています。



品質問題が解決しない限り、新型車の発売を見合わせる
という決断を下したのは、次にご紹介する福尾幸一専務でした。
社内では「ミスタークオリティー」と呼ばれているそうです。


福尾幸一(ふくお・こういち)専務


福尾幸一 取締役・専務執行役員(59歳) 氏

福尾幸一 取締役・専務執行役員(59歳)

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)





 昨年12月、ホンダの販売店に再度衝撃が走った。

 最高級セダン「レジェンド」の発売を予定より1カ月

 遅らせ、2月にすると通達があったためだ。しかし、

 それこそがホンダ再生への第一歩だった。


 決断したのは、専務の福尾幸一だ。4月に技術研究所

 の社長に就任する予定で、最大の危機にある開発体制

 のテコ入れを託された人物だ。4代目社長の川本信彦

 時代に始まった「桁違い品質」と呼ばれる品質向上活動

 の責任者として成果を上げ、社内では「ミスタークオリティー」

 と呼ばれる。
 

  (P.038)


上記の引用文の中で、「4月に技術研究所の社長に就任する
予定」と書かれていますが、日経ビジネスオンラインでは、
6月に技術研究所の社長に就任する予定」となっています。


日経ビジネスオンラインに記事が掲載されたのが、3月12日
です。本誌の原稿が書かれた日は、その前と考えられるため、
日経ビジネスオンラインの記述が正しいと思われます。



福尾氏の役割を「日経ビジネスオンライン」から引用します。



 福尾氏は研究所で「技術評価会」の委員長を務める。

 このポジションは研究開発工程における「門番」の役割

 を担う。

 クルマの企画、開発、生産、検査など各段階で、

 次のステップに進んで良いかどうかを技術の観点から

 チェックする。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




先述した「部分最適」に通ずる話をご紹介しましょう。
これも「日経ビジネスオンライン」からです。




 従来の開発手法は「縦割り」だった。

 クルマの心臓部を構成するエンジンやトランスミッション

 といった機構ごとに開発し、最後にまとめ上げていた。

 個々の機構ごとの完成度を高めるのには向いている体制で、

 組み合わせる場合の勘所がほぼ分かっている従来のクルマ

 開発においては合理的な選択だった。

 だが、新ハイブリッドシステムでは通用しなかった。

 7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)といった

 新機構を取り入れたのに加えて、それをソフトで複雑に

 制御する必要があったからだ。

 自動運転技術や電動化など、電子制御の割合は今後ますます

 増していく。新たな開発体制が必要となるゆえんだ。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




「福尾氏は4月からホンダ全体の品質改革担当を
離れ、研究所の経営に専念する」ため、「新たな生産
体制の構築を託されるのは、常務の山根庸史
氏です。


山根庸史(やまね・ようし)専務


山根庸史 取締役・専務執行役員(56歳) 氏

山根庸史 取締役・専務執行役員(56歳) 氏

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)



山根氏の経歴は「日経ビジネスオンライン」に詳細に書かれて
いますので、ご紹介しましょう。



 柔軟性を持つ新たな生産体制の構築を託されたのが、

 常務の山根庸史氏だ(6月以降は専務)。

 新たに生産部門の責任者となる。

 経験は二輪、四輪、中国、日本など担当してきた領域は

 幅広いが、ほぼ一貫して生産分野を担当してきた

 スペシャリストだ。

 ホンダは現在、国内の各工場の稼働率を維持するために、

 車種を相互に融通している。

 例えばフィットはどの工場でも生産できるため、

 寄居工場から狭山工場に一定数を移管している。

 こうした相互補完をよりグローバルに加速させるのが、

 山根氏の使命となる。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




上記の記述を踏まえ、山根氏の期待される役割を
補足します。



 需要地生産から、生産量の1~2割を迅速に輸出に

 振り向けられる「最適地生産」へと進化させること

 を期待されている。
 

  (P.039)



伊東孝紳社長が推進した「6極体制」は、今までの話
では、負の部分ばかりが取り上げれてきましたが、
「奏功した面もある」(P.039)と特集班は指摘しています。


そして、「その体現者が、常務の松本宜之」(P.039)氏です。


松本宜之(まつもと・のりゆき)専務


松本宜之 取締役・専務執行役員(57歳) 氏

松本宜之 取締役・専務執行役員(57歳) 氏

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)





 次期社長候補とも言われたが、八郷新体制で専務

 となり、4輪事業の最高責任者、四輪事業本部長に

 就く。品質改革担当も、福尾から引き継ぐ。
 

  (P.039)



「日経ビジネスオンライン」から松本氏の経歴をご紹介
しましょう。「四輪事業本部長に就く」のもむべなるかな、
と納得します。



 松本氏の経歴は華麗だ。開発責任者を務めた初代「フィット」は、

 小型車市場でホンダの地位を確固たるものにした。

 伊東社長が掲げた600万台の販売計画も、フィットを中心とした

 小型車で新興国市場を含め一気に数を稼ぐことを前提とした

 ものだ。


 松本氏は2013年4月、開発・生産のアジア統括責任者として

 インドに赴任した。インドに赴任後、「あっという間に開発」

 という合言葉で開発スピードの高速化を宣言。

 現地のローカル部品メーカーなどを巻き込み、2014年7月に

 発売した小型3列シート車「モビリオ」では、価格を約60万

 ルピー(約125万円)からとして現地の関係者を驚かせた。

 インドで圧倒的シェアを誇るマルチスズキの競合車種と

 ほぼ同程度の価格帯を実現したからだ。


 ホンダはインドネシアでも「モビリオ」を投入し、

 その効果もあって2014年のシェアはこちらも13%へとほぼ

 倍増した。

 世界6極がそれぞれ自立すると伊東社長が思い描いた構想は、

 インドやASEAN(東南アジア諸国連合)では実を結び始めている。

 松本氏はその実績を引っさげ、新体制の中核を担う存在となる。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




「八郷、松本、山根を貫くキーワードがある」(P.039)と
『日経ビジネス』特集班は指摘しています。



 八郷、松本、山根を貫くキーワードがある。「鈴鹿製作所」だ。

 松本は2009年4月から2年間。八郷は2011年4月から1年間、

 山根は2012年から1年間、軽自動車やフィットなど小型車を

 生産する鈴鹿製作所を経験した。

 偶然ではない。鈴鹿製作所こそ、6極体制における象徴的な

 存在だからだ。
 

  (P.039)



6極体制の狙いはどこにあるのでしょうか?



 6極体制の狙いは、各地域の開発・生産・調達の機能を

 一体化させ、自立させること。鈴鹿の成功を世界に広げる

 ことが、新経営体制の使命だ。
 

  (P.039)



「日経ビジネスオンライン」には次のように書かれています。



 拡大路線をとってきたホンダのひずみは、品質問題を

 契機に同時多発的に噴出した。

 社長の大号令だけで解決する問題ではなく、本質の

 部分から改革する必要がある。

 ホンダが重要部門に、それぞれの部門を知り尽くした

 エキスパートを配置した理由がここにある。

 彼らが抜本的にホンダを「作り直す」改革の過程では、

 当然のことながら様々な軋轢も出てくるはずだ。

 だからこそ、キーパーソンたちの能力を最大限に引き出し

 まとめ上げる能力が、新たなホンダのトップには求められる。

 「調整型」の八郷氏がホンダの次期社長となった意味は、

 そこにあるはずだ。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




私の個人的見解ですが、ホンダには「ワイガヤ」という
伝統文化が社内に根付いていました。


それが歳月を経るうちに徐々に廃れていき、
いつしか社内のあちこちに壁を作り、閉鎖的な体制に
なってしまったのではなかろうか、と考えています。
そこが問題の本質ではないか、とさえ思っています。


「ワイガヤ」を調べてみましたら、偶然にも「日経ビジネス
オンライン」の過去記事に、「ワイガヤ」について言及して
いるものが見つかりました。


ホンダについて扱った記事ではなく、スーパーコンピューター
「京」について書かれた記事です。



 ワイガヤとは、ホンダが開発した言葉で、「役職や年齢、

 性別を越えて気軽に『ワイワイガヤガヤ』と話し合う」と

 いう意味である。ホンダのオープンな組織文化を代表する

 コミュニケーションの方法として、読者の皆さんも一度は

 耳にしたことがあるだろう。
 

  (世界一を生んだ秘訣は、なんと「ワイガヤ」
  日経ビジネスオンライン 2011.10.19 北原 康富 氏)
  * 下線は藤巻隆





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 





最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16 <1>


結婚相談所Bゼルム




日経ビジネスの特集記事(99)

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16



今週の特集記事のテーマは

相次ぐリコールに、タカタ製エアバッグの品質問題。
自動車各社が好業績を謳歌する中、ホンダは業績下方修正
に追い込まれた。
2009年に就任した伊東孝紳社長は拡大路線を突き進み、
その過程で急成長のゆがみが露呈した。
品質問題は氷山の一角にすぎない。
真の問題は、消費者を驚かせるような斬新な商品や技術が
出てこなくなったことだ。
本誌調査では、ホンダの革新的なイメージは
トヨタ自動車はおろかマツダや富士重工業より低かった。
このままでは「こんなホンダは要らない」と消費者にそっぽを
向かれてしまう。
今年6月に退任する伊東社長は自らの失敗を率直に認めた。
バトンを引き継ぐ八郷隆弘・次期社長は、集団指導体制で
再起を図る。
同質化から抜け出そうとするホンダの苦闘に迫った
 (『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.026)

ということです。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.026-027)





今特集では、『日経ビジネス』特集班がホンダに対して
相当厳しい見方をしています。
その態度は、批判するというよりも、むしろ叱咤激励と
解釈するべきです。


『日経ビジネス』特集班も、ホンダに復活してほしい、
と望んでいる様子が行間から滲み出ていました。


私も個人的に同感です。ホンダやソニーが元気に
ならなければ、他社に取って代わられるだけだからです。
伝統も実績もある2社が半分透明化して、消えかかって
いくことに耐え切れない人たちは多くいるはずです。


あなたは、日本からホンダやソニーが消えてなくなっても
何とも感じませんか?



今特集は、全3回でお伝えしていきます。


第1回は、
「Prologue 『革新』はどこに消えた」
「PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 




では、本題に入りましょう!


 Prologue 「革新」はどこに消えた 

戦後生まれの日本を代表する企業といえば、
ソニーとホンダであることに異論はないでしょう。


現在、この2社はもがき苦しんでいます。
ヒット商品を生み出せず、2社の特長であった
革新性も失われています。


『日経ビジネス』特集班は、そんなホンダに焦点を当て、
特集記事を組みました。


ホンダの復活はあるのでしょうか?
ソニーを他山の石として、思い切った改革が望まれます。



日経ビジネスオンラインの読者(私も読者です)を対象に
「革新的な自動車メーカーはどこか」と尋ねてみたそうです。
その結果は――。



 1位のトヨタ自動車に及ばないのは、事前に想像が

 ついた。HV(ハイブリッド車)を普及させ、FCV(燃料

 電池車)「ミライ」の市販も始まった。圧倒的な収益力や、

 レーサーも務める社長の豊田章男の言動にも注目が

 集まる。外国人副社長や女性役員が誕生するなど

 話題性も抜きん出ている。

 ホンダはその次にもなかった。2位はマツダ、3位は

 富士重工業(スバル)。日本でクリーンディーゼル

 エンジンを普及させるなど、「スカイアクティブ」技術を

 搭載したマツダの新車はどれも話題になる。スバルも、

 「アイサイト」で自動ブレーキの先駆者としての地位を

 確立し、一気に存在感を高めた。それでも、ホンダが

 この2社の後塵を拝するとは、少し前には考えられな

 かったことだ。
 

  (P.028)



順位もさることながら、「その内容が深刻だ」(P.028)
と『日経ビジネス』特集班は指摘しています。
どんな内容なのでしょうか? 驚くべきことでした。



 ホンダの持つ「革新的」なブランドイメージについて、

 回答者の36%が「弱くなっている」とした。この比率は

 日系自動車メーカーの中で最も多い。

 その理由として、「革新的な製品が出ていない」(59%)

 が最も多く、「先進的な技術が出ていない」(54%)が

 それに次ぐ。
 

  (P.028)


一言で言えば、ホンダの個性の喪失です。
ホンダの強みが失われたということです。


さらにリコールが追い打ちをかけ、そうした複合的
要因が重なり、業績を低下させています。
「一人負け」(P.029)となったのです。




 2015年3月期、円安により自動車各社で過去

 最高益の更新が相次ぐ中、品質問題の対応や

 販売不振により業績下方修正を迫られたホンダ

 は一人負けとなる。
 

  (P.029)



深刻な危機は別のところにあります。



 ホンダならではの個性を失い、「ミニトヨタ」と化し

 つつある現実。このままでは、消費者が「こんな

 ホンダは要らない」とそっぽを向いてしまうだろう。

 それこそが、品質問題よりもさらに深刻な真の危機

 だろう。
 

  (P.029)



PART1では、6月に社長を退任する伊東孝紳(いとう・
たかのぶ)氏が、在任中の出来事を総括しています。
ホンダの現状に対する責任を認めた発言がありました。





 PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い 



ホンダ社長 伊東 孝紳(いとう・たかのぶ) 氏

ホンダ社長 伊東 孝紳(いとう・たかのぶ) 氏

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.030)




伊東さんの発言部分は太字で示しました。



 ホンダ本社7階の役員フロア。インタビュー室に

 現れた伊東孝紳は開口一番、こんな発言を口にした。

 「被告席みたいだ」

 写真撮影のためテーブルの端に1つだけポツンと

 置かれた椅子を見て、ジョークを飛ばしたつもりだった

 のだろう。ただ、自らを「被告」と見立ててしまうところに、

 今のホンダが置かれた状況が端的に表れている。
 

  (P.031)



円安効果によって、自動車メーカーは軒並み最高益を
記録しました。ホンダだけ利益の下方修正を余儀なく
されました。



次の発言は、「世界同時不況の真っただ中にあった
2009年6月、前任の福井威夫氏から社長を継いだ
伊東氏が当時を振り返」(P.031)った時のものです。



 これは単なる不況ではなくて、世界経済の秩序が

 変わった時期だと僕は解釈した。それよりも前の

 自動車産業は先進国主導型、ホンダで言うと

 日米主導型で動いていて、結構売り上げも立って

 いた。

 ところが、世界同時不況で先進国の経済ルールが

 少しおかしくなって、相対的に言うと新興国が自ら

 主張する時代に変わったと認識した。
 

  (P.031)



そこで、伊東さんは世界市場を6つに分けます。



 これまで日本と北米に依存していた事業構造を

 改め、世界を6極(日本、中国、アジア、北米、

 南米、欧州)に分けて、それぞれの地域で市場

 ニーズに合った商品を迅速に投入できる体制に

 転換しようとした。
 

  (P.031)



そして、見かけ上は成果を上げてきました。
その間に、重大な問題は水面下に深く、静かに沈み
こんでいきました。重大な問題に誰も目を向けなく
なっていたのです。



 社長に就任した2009年度からの6年間で、伊東は

 ホンダの連結売上高を5割伸ばし、営業利益と

 純利益はそれぞれ2倍に高めた。

 
 その後も1ドル=80円を切る超円高や電力不足が

 続いたが、伊東が率いるホンダは粘り強く切り

 抜けた。
 

  (P.031)



拡大路線をひた走ってきた<br />・ホンダの世界販売台数推移

拡大路線をひた走ってきた
・ホンダの世界販売台数推移

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.031)




スピードの早さが、いろいろなところにひずみを
生み出しました。



『日経ビジネス』特集班が指摘するように、
「潮目が変わる出来事が起きた」(P.031)のです。


それは、伊東さんの「ある一言」でした。
真意とは異なっていました。ある一言が独り歩き
してしまったのです。



 2012年9月21日、伊東は2016年度までの中期経営

 計画を発表した。その中で「先進国での事業の

 盤石化と新興国での飛躍的な成長により、全世界で

 600万台以上の販売を目指します」と言い切った。
 

  (P.031)



「600万台」という数字が、社内外で独り歩きしたのです。




 数値目標ではないと最初から言ったのにもかか

 わらず、世間には間違って伝わってしまった。

 我々は世界6極で、それぞれの夢を語ろうとずっと

 言ってきた。そのためには、これぐらいの時に、

 これぐらいのシェアで認知度を高め、これぐらいの

 お客様の信頼を得て活動したいという夢を足すと、

 たまたまあの時点で600万台だったということなんです。
 

  (P.032)



ただ、社内では夢とは捉えられませんでした。
目標数値として捉えられたのです。
何としても達成しなくては、という空気が出来上がった
のです。ですが、実現可能な数字とは言えません
でした。



 伊東は「夢」を語ったつもりだったが、周囲はそう受け

 止めなかった。最も影響を受けたのは、ホンダ社内

 だった。中計を発表する直前の世界販売台数は

 248万台(2011年度)。それをわずか5年の間に2.4倍

 にしようという野心的な夢が突然上から降ってきたのだ。

 チャレンジ精神は今もホンダの社内に脈々と受け継が

 れてはいるが、大きすぎる夢に現場は当惑したに違い

 ない。
 

  (P.032)




利益ではリーマン前の水準に回復せず

利益ではリーマン前の水準に回復せず

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.032)




「ホンダは今年度、国内販売台数の目標を過去最高の
103万台に設定していたが、当初から『無理筋』という
声が社内からも上がっていた」(PP.032-033)そうです。


結果は惨憺たるものでした。




 結局、消費増税の反動減と度重なるリコールに

 よって国内販売は伸び悩み、2度の下方修正を

 経て販売計画は前年度割れの82.5万台になった。

 外部のサプライヤーや販売店はそのたびごとに

 振り回された。

 600万台という数値目標が独り歩きした結果、

 様々な弊害が出た。こうした本誌の指摘を、

 伊東は「言ったオレが悪い」と素直に認めた。
 

  (P.033)



伊東さんはこのように語っています。



 やっぱり、ホンダらしいと思っていただけるような

 商品や技術、商売のマネジメントができている

 かというと、そこはちょっと弱いかもしれない。
 

  (P.033)



さらに、ブランドイメージがぼやけてきているとの
認識もしています。



 やらなきゃいけないのはユーザーに分かりやすい

 ブランドイメージを打ち出すこと。それをどうやって

 こなしていくかというのは大きなテーマになって

 います。
 

  (P.034)



セクショナリズムが社内で拡大した感も否めません。
新しいクルマを作るために、クルマのパーツごとに
縦割り組織となり、壁ができてしまったのです。


その辺りの件について、伊東さんは具体的に語って
います。



 エンジン、トランスミッション、それからクルマ

 全体のシャシーとあらゆる制御がスムーズに

 連続的に行われなきゃいけない。

 それがエンジンはエンジンの制御ブロック、

 トランスミッションはトランスミッションの制御

 ブロックと、開発する組織が分かれてしまって

 いた。

 反省を踏まえ、クルマという軸で全部をマネジ

 メントする開発体制をつくらなければダメだと

 思う。今年4月からその壁をなくす。制御において

 壁はあっちゃいけない。

 
 もともとホンダは「三現主義」、現場・現物・現実

 でやろうと言ってきたんだけれども、組織が大きく

 なって、階層が増えると理想通りとはならない。

 でも開発計画はトップで決まったものが現場に

 下りてくる。現場からのフィードバックを受け止める

 体制が弱かったと思うんですよね。
 

  (P.034)


ホンダは、知らず知らずのうちに、大企業病に罹って
いたのですね。自分の部署のことにしか関心がなくなり、
全体最適を考えず、部分最適に終始するようになって
いたのでしょう。


「茹でガエル現象」とも言えます。


 茹でガエル(ゆでガエル)、茹でガエル現象

 (ゆでガエルげんしょう)、茹でガエルの法則

 (ゆでガエルのほうそく)とは、ビジネス環境の

 変化に対応する事の重要性、困難性を指摘

 するために用いられる警句のひとつ。

 『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、

 もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。

 すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存する

 のに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに

 死亡する』

 およそ人間は環境適応能力を持つがゆえに、

 暫時的な変化は万一それが致命的なもので

 あっても、受け入れてしまう傾向が見られる。

 例えば業績悪化が危機的レベルに迫りつつ

 あるにもかかわらず、低すぎる営業目標達成を

 祝す経営幹部や、敗色濃厚にもかかわらず、

 なお好戦的な軍上層部など。
 

 (茹でガエル現象 Wikipedia から)




台当り利益でも他社に引き離された

台当り利益でも他社に引き離された

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.034)




伊東さんは、ホンダらしさについて語っています。
「提案力の強さ」にあると言っています。




 提案性の強さだと思う。ベーシックなところでは

 お客様に喜びを提供したいという思いがある。

 この喜びは、普通のものを普通に出していたんじゃ

 ダメだというのが原点にあって、今まで世の中に

 ないものや、あったとしても皆の想像を上回るもの

 を出す。一般的な期待よりもっと超えたところに

 挑戦していく。それが時々はヒットするけれど、

 外れることもある。そういうことをしていくことが

 ホンダらしさだ。
 

  (P.035)


伊東さんが指摘したことは忘れられていたものでしょう。
ただ、伊東さんが引き続きトップでホンダを牽引していく
ものと思われましたが、
「このインタビューから4日後、伊東は今年6月に社長を
退任すると発表した」(P.035)
そうです。


伊東さんは経営トップとして、最後にけじめを付けたい
と思い、『日経ビジネス』のインタビューに応じたのかも
しれません。


後継者の条件について次のように語っています。




 グローバル化の仕組みはできたけれど、それを

 身をもってうまく進めてくれるような体制が必要

 なんでしょう。それには時間がかかるし、壮大な

 テーマになる。
 

  (P.035)



つまり、一人のカリスマ経営者による経営ではなく、
「チーム体制」による経営を行なっていくということ
を指しています。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 





次回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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