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2000万人の貧困 必要なのは「福祉」より「投資」 2015.03.16 <3>


弁護士法人村岡総合法律事務所




日経ビジネスの特集記事(100)

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」
2015.03.23



今週の特集記事のテーマは

昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。
しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された
富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。
月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。
後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。
福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た
 (『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.024)

ということです。




2000万人の貧困<br />必要なのは「福祉」より「投資」

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




「1億総中流」と言う言葉は消滅しました。
3%の富裕層と97%の非富裕層に2分されました。


ちなみに、「富裕層とは年収3000万円以上で、かつ
金融資産を1億円以上所有している人」という定義が
あるそうです。


さて、今特集は「2000万人の貧困」です。
日本人の6人に1人が貧困層ということになります。
この数字はとても信じられないことのように感じますが、
『日経ビジネス』を読むと、あながち大げさな数字では
ないことに気づきます。


決してブラックユーモアではありません。
これからは、「私は貧困層ではない!」とは断言でき
なくなります。




第1回は、
「PART 1 普遍化した困窮
介護、リストラ 『まさか自分が』」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ 


三度目になりますが、相対的貧困率を確認して
おきましょう。



 相対的貧困率
 
 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、

 ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で

 使われる。その国の貧困や格差の状況を

 表す指標の一つ。年収が全国民の年収の

 中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
 

  (P.025)



日本は決して天然資源が豊かな国ではありません。
ですが、人的資源は豊富な国に属します。
ただ、人的資源を十分に活かしきれていません。


さらに、国は国民の教育に欧米並みの比率でお金を
出していません。ごく一部の優秀な人たちだけを官僚
にして政策を立案し、実行すれば国は回っていくとでも
考えているのでしょうか?


国民はバカのほうが都合がいい。政策を遂行しやすい
から。まるでそのような印象を受けます。
国民が賢くなると、官僚や政治家たちの行うことにいち
いち反対したり、選挙で酷い目に遭わせるからでしょうか?


「教育は等しく受ける権利がある」と憲法で保障されて
います。


ですが、今、教育を受ける権利が不平等に扱われています。


前回、奨学金が返済できない人たちがいる実態をお伝え
しました。


そんな中、「従業員の奨学金返還を“肩代わり”する企業が
ある」というお話からスタートします。



 オンデーズの場合 


 従業員の奨学金返還を“肩代わり”する企業がある。

 メガネ店を展開するオンデーズ(東京都港区)だ。

 2014年12月に「奨学金返金救済制度」を導入。

 奨学金の返還を続けている従業員に、返済分を毎月の

 給与に上乗せする。社内面接などを通過すれば、

 返還が終わるか、退職するまで続く。
 

  (P.039)



人材を単なる「コスト(費用)」と考える経営者であれば、
従業員をこのように扱うことはありません。
では、オンデーズの田中修治社長はどのような考え
のもとに、このような仕組みを作り上げたのでしょうか?




 新制度は当然、経営コストになる。奨学金の返還

 プランは人によって異なるが、仮に月2万円とすれば、

 1人当たり年24万円の人件費増になる。だが同社の

 田中修治社長はそれを、有望な人材を獲得するため

 の必要経費と見る。
 

  (P.039)



さらに、同じお金を遣うのであれば、人材採用の際に、
仲介事業者を報酬を支払うより、社員に直接還元したい
という意図からでした。


そして、従業員が成長すれば、「奨学金返還の肩代わり」
は投資が成功したことになります。




 同社の年商は60億円。知名度は限られ、欲しい人材を

 採用する際には仲介事業者を利用することもある。

 「そうした事業者に100万円の成功報酬を払うなら、

 社員に直接還元したいと思った」(田中社長)。

 従業員の定着に一役買うとの判断もある。
 

  (P.039)



田中社長は次のように語っています。
従業員思いの経営者の一面が垣間見えます。



 社員が企業の福利厚生に望むものも多様化しており、

 田中社長は「社員に必要な支援は早く実行し、それを

 積み重ねることが働きやすい職場作りや自社の競争力

 につながる」と考える。
 

  (P.039)



「情けは人の為ならず」といったところでしょうか。


下の図をご覧ください。
生活困窮者への対策には3つの選択肢があるというのが、
『日経ビジネス』の考え方です。



早期の対策が大きな効果を生む<br />・貧困対策への投資とコスト

早期の対策が大きな効果を生む
・貧困対策への投資とコスト

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.039)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号



じっくり見ないと分かりにくいかもし知れません。
3つの選択肢は次の通りです。
(18~65歳まで就労した場合)


1. 2年で約460万円(職業訓練など投資) 正社員で就労
2. 2年で約460万円(職業訓練など投資) 非正規社員で就労
3. 対策なし



『日経ビジネス』の解説を読んでみましょう。



 「貧困対策は1人当たり7000万~1億円の便益を生む」

 国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩・社会保障

 応用分析研究部長は、厚生労働省の依頼でそんな試算

 をしている。高校を中退した18歳の少年に、2年間の職業

 訓練を施した場合の費用対効果をはじき出した(上の図

 参照)。
 

  (P.039)



投資と考えれば、長期的視野に立って見なければなりません。
そうすると、初期投資が大きな効果を生むことが理解できます。
単に税などの「増収」が見込めるだけではありません。


間接的な効果ですが、「医療費の抑制効果」や「犯罪リスクの
軽減」も期待できるそうです。



 貧困状態の人ほど健康を害するリスクが高いことは様々な

 研究で分かっている。そのため、貧困対策には医療費の

 抑制効果も期待できる。国内に十分な研究があるわけでは

 ないが、犯罪リスクの軽減を期待する声も大きい。
 

  (P.040)



その一方で、「生活困窮者にお金をかけることには、根強い
反発もある」のは事実です。ですが、『日経ビジネス』のスタンス
は「効果的な支援を怠ってきたから、ここまで貧困が拡大して
きたとも言える」というものです。



 生活困窮者にお金をかけることには、根強い反発もある。

 困難な状態に陥るまでの過程で、「本人の過失」ととられ

 かねない出来事がある場合も多いからだ。

 「なぜそんなことをした人間に、金をかけなきゃならないのか」

 という心情に理解を示す人も多い。

 だが心情的な反発をしていても、事態は改善しない。

 むしろ、そうして効果的な支援を怠ってきたから、

 ここまで貧困が拡大してきたとも言える。
 

  (P.040)



こうした意味でも、貧困問題は他人事(ひとごと)ではない
のです。


米系ゴールドマン・サックス証券の持田昌典社長は、
「社会貢献は慈善ではない。投資だ」と明言しています。
世界有数の投資銀行らしく、「効果」を重視しています。



 「社会貢献は慈善ではない。投資だ。投資において

 最も大事なことは、効果を出すことだ。適切な効果

 測定や、柔軟に支援プログラムを変更することは、

 効果を最大化するためには絶対になくてはならない」

 そう話すのは、米系ゴールドマン・サックス証券の

 持田昌典社長だ。同社は2010年から「コミュニティ支援

 プログラム」と題して、貧困の連鎖の撲滅に向けた

 社会貢献活動をしている。活動の原資は、持田社長を

 含む日本法人の経営陣約10人が拠出する私費だ。
 

  (P.040)



次にご紹介するのはレアケースかもしれません。
「逆差別」や「教育の不公平」というそしりを免れないこと
かもしれません。
ですが、今まで授業についてこられなかった生徒を
切り捨ててきた実態を考えると、プラスと考えるべきだ、
と私は思います。



 低所得の家庭に支給される「就学援助費」の認定率が、

 全国平均の2.4倍ある東京都足立区。そこのある区立

 小学校では3~4年生のうち学習内容につまずきがある

 子供に対して週に1回、別室で1対1の個別指導をして

 いる。


 周囲には「公教育で、一部の子だけに特別な指導をして

 いいのか」「指導を受けることを子供たちが不名誉なこと

 だと思い、いじめにつながるのでは」といった懸念がある。

 だが、弘道第一小学校の小池康之校長は意に介さない。

 「公教育の最大の目的は、学力の保障。授業が分からない

 生徒を放置すると、その後の学習すべてに影響する。誤った

 平等意識にとらわれて、必要な対策をためらってはならない」
 

  (P.041)



「補習授業」は教員ではなく、「指導員」が行うそうです。
ある指導員の言葉をご紹介しましょう。どのような「補習授業」
を行っているか推測できます。



 元小学校教諭で、特別指導を担当する指導員は「30人、

 40人を前に授業をすれば、理解できていない子は把握

 できる。それでも授業は進めないといけない。正直これ

 までは分からない子を置き去りにしていた」と打ち明ける。
 

  (P.041)


「指導員への報酬は区が負担する」(P.041)そうです。
そのため足立区は「2014年度にモデル7校で始まったものを、
すべての小学校69校に拡大するため、2億4795万円の予算
を付けた」(P.041)ということです。


こうした支援は不可欠なことだと思います。
小学校のうちから劣等感を抱いたまま中学へ進学することは、
本人が精神的に大きな負担を感じるだけでなく、いじめの
対象にならないという意味合いもある、と私は考えています。





 Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない 


下の写真をご覧ください。
大阪市西成区の通称「釜ヶ崎」地区にあるホームレス
の人たちが生活する場所です。
ブルーシートが象徴的です。


この場所に限らず、ホームレスの人たちはどこからとも
なくやってきて、いつの間にかいなくなってしまうという
ことがよくあります。本名は存在せず、ここでは渾名や
仮名で通します。


東野圭吾の直木賞受賞作『容疑者Xの献身』の中に、
ホームレスの人が犠牲者になるシーンが出てきます。
無名のため、警察は家族に連絡の取りようがないの
です。


そもそも、元(?)家族は家出人の捜索願いを出して
いないケースが多いと推測されます。離婚して、絶縁
したので、どうなろうと関係がないということです。
悲しくなりますね。



大阪市西成区の通称「釜ヶ崎」地区

大阪市西成区の通称「釜ヶ崎」地区

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.042)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




 原子力発電所の元作業員の場合 

この人の場合、「経験を『奇跡』と表現」(P.043)しています。



 若い頃に腰を壊し、原発の仕事を失った。それでも日雇い

 などをしつつ暮らしたが、長い路上生活を余儀なくされた。

 釜ケ崎、もしくはあいりん地区と呼ばれる地域が、古くから

 日本最大の日雇い労働者の街として存在してきたことは、

 全く知らなかった。

 男は、その時の経験を「奇跡」と表現する。

 「本当に仕事がもらえるのか」と疑心暗鬼で訪れた西成労働

 福祉センターの職員は、事情を話すとおもむろに電話をかけ

 始めた。すると、次々と支援関係者が現れ、見る見るうちに

 その日の宿が手配され、生活保護の受給申請などの手続きが

 進められていった。

 ある人からは、生活保護が受けられるまでのつなぎとして5000円

 を借り受けた。半月ほどが過ぎた頃、男は生活保護の受給を受け、

 借りたアパートで暮らしていた。
 

  (PP.042-043)


おそらく他の地域では、こんなにスムーズに生活保護の受給を
受けられるケースは稀でしょう。



自立という言葉が叫ばれます。「他人に頼るな」「働かざるもの食う
べからず」などの言葉が紙面を飾ったり、会話の中に登場すること
もあります。


ですが、『日経ビジネス』は別の見方をしています。



 「自立」という言葉には、他人の手を借りず、誰にも迷惑を

 かけずに生きるという意味が含まれやすい。皆が若く健康で、

 十分な才気と収入があればそれは目指すべき姿なのかも

 しれない。

 だがそんな自立を一生続けられる人が、今の日本にどれだけ

 いるのか。非現実的な「自立」を追い、時間と金を浪費しては、

 さらに貧困を生むだけだ。個人も企業も行政も、前提としてきた

 ライフプランを離れ、現実を見据えた対策を講じなくてはならない。
 

  (P.043)


簡単に結論を出せるほど単純な話ではないでしょう。
ただ一つはっきりしていることは、人はいつまでも若くいられない
という事実です。心身ともに老化し、以前なら全て一人で出来た
ことが、自分一人では出来なくなった時、一体誰が面倒を看る
のでしょう?


誰もが自分のことだけで精一杯となったら、日本の社会は崩壊
します。



最後に、前回扱えなかったテーマをここで簡単にお伝えします。
次の話は、おそらく初めての話で驚かれるか、そんな世界がある
のは薄々知っていたが、そこまでひどいとは思わなかったという
感想に二分されるのではないかと想像します。


なお、本誌で一部触れていますが、「日経ビジネスオンライン」に
インタビュー記事が掲載されていますので、そちらから引用します。



 「福祉行政は風俗産業に敗北している」
「元・難民女子高生」が語る支援の不備 


『日経ビジネスオンライン』 2015.03.24 中川 雅之 記者



一般社団法人「Colabo」代表の仁藤夢乃氏

一般社団法人「Colabo」代表の仁藤夢乃氏

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.24)






 困窮状態にある10代の女の子を中心に支援活動をしています。

 中身としては大きく分けて4つあって、1つ目が夜間巡回と相談事業。

 夜の街を歩いて、ひとりでいる女の子とか、帰れずにいる少女たちと

 出会うような活動と、全国から寄せられる相談に対応します。


 手法は様々で、直接会うこともあれば、LINEや電話を通してということ

 もあります。やっぱり本人たちになじみのあるツールからの連絡は多い

 ですね。


 活動の2つ目が、食料面での支援です。これにはとても力を入れていて、

 一緒にご飯を作って食べたりするような場所や時間を持つんです。本当に

 貧困状態の子は、今日食べる物がないとか、誰かと食卓を囲んだ経験が

 ないということが多い。ネグレクト(育児放棄)とか虐待を受けているケース

 も珍しくありません。


 3つ目が、「ユーススタッフによる活動」と呼んでいるんですが、うちが支援

 している当事者の女の子同士がつながって、何かイベントを企画したり、

 大人に向けてメッセージを発信したりするような活動を促しています。


 4つ目が啓発活動ですね。講演とか、大人向けの夜の街歩きスタディとか。

 街歩きでは、女の子たちがどういうところでどんな危険に遭っているのか、

 具体的にそれを見るようなツアーをやります。中学や高校でもよく話をします。

 

  (「福祉行政は風俗産業に敗北している」
  「元・難民女子高生」が語る支援の不備
 から)



仁藤さん自身、渋谷で路上生活者の経験があるそうです。



 高校時代、約10年前になりますけど、渋谷をさまよう生活

 をしていました。親が鬱になって家庭が崩壊して、両親は

 「離婚するけどどっち選ぶ」とかそんな状況になって。

 家に居場所がなくなったんです。


 私の頃だったら、まだ漫画喫茶に入れたり、居酒屋にも

 入ろうと思えば入れた。だけど今は年齢確認などの規制が

 厳しくて、入れるところ、たむろできる場所がほとんどなく

 なりました。

 渋谷なんか、夜いたらすぐ補導されますからね。
 

  (同上)




現在では、スマホの普及で外形的に見えにくい
状況で犯罪に手を染めることが増えているそうです。



 今、みんなアプリで出会うんですね。誰と連絡しているか、

 周りの人に全く気づかれずに泊まるところを探せる。

 逆に彼女たちを狙う大人側も、人目につかずに直接個人に

 アプローチできるようになっちゃったんですね。昔は街で声を

 かけるしかなかったのが、何々高校とか調べるだけで、無数

 に出てくる。
 

  (同上)



驚くべき実態が語られています。
行政機関はどのような対応をしているのでしょうか?



 問題なのは、補導した後にサポートにつなぐとか、そういう視点

 が欠けているんです。見つけた女の子にただ注意して、親と学校

 に連絡して終わりです。親からの虐待を背景に売春している子

 などは本当に多い。それに対して「親にばらす」という行為は、

 解決にならないどころか事態を悪化させることにしかならない。


 4月に施行される「生活困窮者自立支援法」でも伴走型支援という

 のが言われていますが、それを聞いた時に、これ、スカウトがずっと

 やってきたことじゃんと思ったくらいです。現状、福祉行政や支援者

 の活動は、そうした夜の世界の提供するものに負けているんです。

 福祉とか支援の敗北ですよ。
 

  (同上)


問題の根が深いと感じますね。
まだまだ続きがありますが、ここで終わりにします。


インタビュー全文をお読みになりたい場合は、
「日経ビジネスオンライン」
に無料登録してください。


日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp




今特集のキーワードをこちらでした。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 






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2000万人の貧困 必要なのは「福祉」より「投資」 2015.03.16 <2>


弁護士法人村岡総合法律事務所




日経ビジネスの特集記事(100)

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」
2015.03.23



今週の特集記事のテーマは

昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。
しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された
富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。
月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。
後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。
福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た
 (『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.024)

ということです。




2000万人の貧困<br />必要なのは「福祉」より「投資」

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




「1億総中流」と言う言葉は消滅しました。
3%の富裕層と97%の非富裕層に2分されました。


ちなみに、「富裕層とは年収3000万円以上で、かつ
金融資産を1億円以上所有している人」という定義が
あるそうです。


さて、今特集は「2000万人の貧困」です。
日本人の6人に1人が貧困層ということになります。
この数字はとても信じられないことのように感じますが、
『日経ビジネス』を読むと、あながち大げさな数字では
ないことに気づきます。


決してブラックユーモアではありません。
これからは、「私は貧困層ではない!」とは断言でき
なくなります。




第1回は、
「PART 1 普遍化した困窮
介護、リストラ 『まさか自分が』」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う 


再度、相対的貧困率を確認しておきましょう。



 相対的貧困率
 
 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、

 ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で

 使われる。その国の貧困や格差の状況を

 表す指標の一つ。年収が全国民の年収の

 中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
 

  (P.025)



日本は決して天然資源が豊かな国ではありません。
ですが、人的資源は豊富な国に属します。
ただ、人的資源を十分に活かしきれていません。


さらに、国は国民の教育に欧米並みの比率でお金を
出していません。ごく一部の優秀な人たちだけを官僚
にして政策を立案し、実行すれば国は回っていくとでも
考えているのでしょうか?


国民はバカのほうが都合がいい。政策を遂行しやすい
から。まるでそのような印象を受けます。
国民が賢くなると、官僚や政治家たちの行うことにいち
いち反対したり、選挙で酷い目に遭わせるからでしょうか?


「教育は等しく受ける権利がある」と憲法で保障されて
います。


ですが、今、教育を受ける権利が不平等に扱われています。


実態を見てみましょう。


 武上順子さん(仮名、42歳)の場合 



 「都立の最難関中高一貫校に息子が合格」。今春、ほとんどの

 親が大喜びするようなその一報を、武上順子さん(仮名、42歳)は

 心から喜べなかった。同校では入学金や授業料はかからないが、

 発展的な学習のための自己負担分として、中学校に相当する

 「前期課程」の3年間に約80万円を納付する必要がある。

 だがシングルマザーの彼女は、それを支払うことができない。
 

  (P.032)



思いがけないほどに大きな負担額を知り、落胆してしまった
のです。難病を患う以前であればなんとかやりくりできたかも
しれません。



 彼女自身は大学院を卒業し、民間団体の正規職員となった。

 だが2010年に免疫力や筋力が低下する難病を患い、

 働くことができなくなる。ほどなく解雇され、現在は障害厚生

 年金や児童手当などで生活している。収入は年400万円に

 なるが、医療費や家賃を払うと月々の収支は赤字ギリギリだ。

 中学2年の娘と小学6年の息子がいる。病気になる前の年収は

 500万円ほどで、子供にはバイオリンやサッカーを習わせていた。

 だが続けさせることができなくなり、やめさせた。
 

  (P.032)



奨学金制度の仕組みに欠陥があり、「こちらが立てばあちらが
立たず」という厚い壁に阻まれます。息子さんが必死に勉強し、
合格したにもかかわらず、「武上さんの心は沈んだ」のです。
なぜでしょうか?



 合格後は必死になって助成を探した。だが中学進学を対象と

 した奨学金制度はほとんどない。逆に、通常の公立中学に

 進めば受けられる「就学援助費」が、合格校に行くと大幅に

 カットされることが分かった。「困窮者の子供は、努力しても

 区立中にしか行けないということか」。武上さんの心は沈んだ。
 

  (P.032)



武上さんの現在の心境は、次の言葉に集約されます。



 「子供の希望を壊したくない。(中略)今回は、小学生の子供が

 自分自身の手でつかんできた希望なのです」。
 

  (P.032)


後日談がありまして、世の中には見返りを求めない立派な
人がいることを知ります。



 冒頭で紹介した武上さんは、「匿名の個人」からの15万円の

 寄付で入学のめどは立った。だが通い続けるには、やはり

 奨学金も必要だ。
 

  (P.036)



『日経ビジネス』は「貧困の連鎖」の危険性を指摘しています。



 貧困状態の子供が増えていることはそれ自体が問題だが、

 単身成人者の貧困が増えるよりも重い課題として受け止め

 られることが多い。

 貧困状態の子供はたとえ才能に恵まれても、十分な教育を

 受けにくい。国をけん引する優秀な人材が減少することに

 なるだけでなく、成人した後も低所得層を抜け出せずに次の

 世代も困窮するという「貧困の連鎖」につながりやすいからだ。
 

  (PP.032-033)



次のグラフをご覧ください。


日本は教育費の家計負担が重い<br />・教育費に占める家計の支出割合

日本は教育費の家計負担が重い
・教育費に占める家計の支出割合

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




学費は増加の一途

学費は増加の一途

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




東大生の親の7割は年収750万円以上<br />・東大生の親の年収分布(2012年)

東大生の親の7割は年収750万円以上
・東大生の親の年収分布(2012年)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




以上3つのグラフから分かることは、教育費に占める家計の
支出割合は3割を超え、学費は増加の一途で、高等教育を
受けるためには、親が高収入であるほうが有利である、と
いうことです。


つまり、親の収入の多寡が子供の教育の格差を生み、
さらに拡大させるということです。


あなたはこの現実をどう考えますか?
「仕方がない」「当然のこと」「教育を受ける機会の不平等だ」
「国は教育にもっと力を入れるべきだ」など、いろいろな意見
があると思います。


100人が100人大学進学の必要はない、手に職をつけたほう
が食いっぱぐれがない、という選択肢もあるでしょう。
ただし、技術の進歩は急速で、一度身につけた技術が「無用
の長物」になるリスクを常に考えておく必要があります。


技術革新によって、今までデファクトスタンダード(事実上の
標準)であったことが、新たな製品や製造方法などに取って
代わられ、使いものにならなくなるケースは枚挙に暇があり
ません。普段から情報収集や勉強は欠かせません。


ですが、現在、最大の問題は別のところにあります。



 現在の最大の問題は、教育にそれだけの投資をしても、

 それに見合うリターンを得にくくなっているということだ。

 我々はその現実を直視すべき時に来ている。
 

  (P.034)



奨学金を何とか得ることができたとしても、社会人になって
から返済しなくてはなりません。これが生活してく上で、
相当な重石になります。



日本学生支援機構のケースで見てみましょう。



 奨学金の返還は決して一部の人に関わる問題ではない。

 日本学生支援機構の年間貸与額は2014年度予算で

 1兆1745億円と10年前の1.8倍に拡大。貸与人数も

 141万人と1.7倍に増えており、2013年度の実績では

 大学生の2.6人に1人が奨学金を受けていることになる。

 同機構の遠藤勝裕理事長は「一部の人が大学に行く

 時代ではなくなり、奨学金は社会の根底を支えるインフラ

 になった」と話す。一方で、「4割が非正規雇用という状況

 では、大学に行けばいい職があるというのはイリュージョン

 (幻想)」
 

  (P.034)



下のグラフをご覧ください。日本学生支援機構の貸与状況
を示していますが、年々増え続けています。貸与額増加に
伴って、延滞額も右肩上がりで増えています。


奨学金を得た人たちが返済に苦労している様子が見て
取れます。




増加する学生の「借金」
・日本学生支援機構の貸与状況

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




私が大学を卒業した1978年、つまり1980年前後と、
2013年の大学授業料を比較して、『日経ビジネス』は
次のように述べています。高騰していることが分かり
ますが、ここまで学費が上がっているとは信じられま
せんでした。



 大学進学の家計負担は明らかに高まっている。

 今の大学生の親世代が学生だった頃の1980年前後は、

 文系国立大の年間授業料は約18万円。私立では約30

 万円。それが2013年は国立で53万5800円、私立で72万

 9764円に膨らんだ。消費者物価指数(総合)は2010年を

 100とした時に1980年は77.2で、授業料ほど大きな変動は

 ない。

 それにもかかわらず、大学の在籍者数は大幅に増えた。

 近年こそ少子化の影響もあり減っているが、文部科学省の

 「学校基本調査」によれば2014年度の大学在籍者数は

 約285万人で、1980年に比べ約100万人増えている。
 

  (P.034)


大学によっては定員割れのところもあり、「大学全入時代」
と言われることもあります。一方、募集人員よりも受験者数が
何倍も多く、競争が激化している大学もあります。


『日経ビジネス』はこうした風潮に対して、次のような提言を
しています。


 大学での高等教育が、すべての人材に必要なわけではない。

 大学での能力開発にも課題はある。大企業中心に根深く

 残る学歴偏重の採用方式の改革も含めて、多様な選択肢を

 選べる社会を目指すべき時ではないだろうか。
 

  (P.035)



情報源が少ないため、どうしても他人と同じ行動を取ることが
多いのは、私たち日本人の特質の一つかもしれません。


次のケースは、そうした日本人の特質の一つの典型と言えます。



 「仕事はあるのに、日本人は来ない。みんな大学に行って、

 高卒のいい人材も減った。もう新卒採用は諦めたよ」

 3次元鉄骨などを生産する鈴木鉄興(千葉県匝瑳[そうさ]市)

 の鈴木正一郎社長はそう話す。東日本大震災の復興や東京

 五輪の需要で、建設関連産業は恒常的な人手不足状態にある。

 特に溶接工など技術者の不足は深刻で、熟練者なら年収1000

 万円を得る人も珍しくない。

 鈴木鉄興でも、30歳前後の技術者なら「年収は低くても500万円」

 と言う。地域の物価も考えれば、余裕をもって暮らせる水準だ。

 残業もほぼなく、夕方6時にはたいてい家に帰れるとする。

 だがそうした条件でも、ホワイトカラー志向を強める若年層は同社に

 見向きもしない。
 

  (P.035)



そこで、鈴木鉄興が人材を集めるために行っているのは、
「外国人の技能実習制度」だそうです。
解説を読んでみましょう。



 やむなく利用し始めたのが、外国人の技能実習制度だ。

 同制度は新興国などの人材に国内の企業で一定期間

 働いてもらうことで、知識や技術を習得してもらう制度。

 国際貢献の一環との位置付けだが、実際には海外の

 安価な労働力で国内の人材不足を補うという側面がある。

 受け入れた企業が不当な待遇で実習生に過酷な労働を

 強いるケースがたびたび報じられ、在留期間中の実習生

 の失踪も問題となっている。
 

  (P.035)


不当に安い賃金で雇い入れる企業があり、国際問題化して
いる負の側面もあります。


労働力不足に苦悩する現場としては、介護も同様だそうです。
低賃金で過重労働を強いられる介護は、なかなか人が定着し
ません。肉体的疲労に加え、精神的ストレスが蓄積しやすい
労働環境と言えるかもしれません。


そのような労働環境改善のため、先ごろ、政府はルールの
変更を行いました。ですが、そのルール変更は介護に直接
携わる人にとって朗報かもしれませんが、介護施設の運営者
にとっては経営を圧迫する諸刃の剣だったのです。



 都内のある介護老人保健施設の施設長は、悲鳴を上げる。

 「こなす量が多すぎて、どんどん丁寧な仕事が難しくなっている」。


 政府は介護保険から介護サービス事業者に支払われる介護

 報酬の2.27%引き下げを決定。併せて介護職員の賃金を月

 1万2000円引き上げる方針を示した。内部留保をため込んでいる

 とされる一部の社会福祉法人などへ、圧力をかける狙いもある。

 同施設では賃金を満額引き上げると決めているが、介護報酬の

 引き下げは経営を圧迫する。施設長は「実入りが減れば風呂の

 機械が壊れても直せない。結局は職員の負担が増す」と話す。

 職員の負担増は、最終的にサービスの質の低下を招く。介護報酬

 は公定価格で、質の高いサービスを提供しても収入は同じ。
 

  (P.036)



大切な人材を「壊してしまう」ことにもなりかねません。
『日経ビジネス』は人材はとても大切なものと考えるべきだ、
として次のように語っています。



 人材はすべての産業の根幹を成す、国の最も基礎的な資本。

 一方向に偏りすぎているなら、適切に分散させる仕組みが

 求められるはずだ。
 

  (P.036)



人材はコスト(費用)ではなく、キャピタル(資本)であるというのが、
最近の経営学における考え方です。人材は消費するものではなく、
会社に価値を生み出すものと捉えるべきです。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




2000万人の貧困 必要なのは「福祉」より「投資」 2015.03.16 <1>


弁護士法人村岡総合法律事務所




日経ビジネスの特集記事(100)

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」
2015.03.23



今週の特集記事のテーマは

昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。
しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された
富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。
月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。
後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。
福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た
 (『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.024)

ということです。




2000万人の貧困<br />必要なのは「福祉」より「投資」

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




「1億総中流」と言う言葉は消滅しました。
3%の富裕層と97%の非富裕層に2分されました。


ちなみに、「富裕層とは年収3000万円以上で、かつ
金融資産を1億円以上所有している人」という定義が
あるそうです。


さて、今特集は「2000万人の貧困」です。
日本人の6人に1人が貧困層ということになります。
この数字はとても信じられないことのように感じますが、
『日経ビジネス』を読むと、あながち大げさな数字では
ないことに気づきます。


決してブラックユーモアではありません。
これからは、「私は貧困層ではない!」とは断言でき
なくなります。




第1回は、
「PART 1 普遍化した困窮
介護、リストラ 『まさか自分が』」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 普遍化した困窮
 介護、リストラ 「まさか自分が」 


まず、「相対的貧困率」とは何かについて、確認して
おきましょう。



 相対的貧困率
 
 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、

 ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で

 使われる。その国の貧困や格差の状況を

 表す指標の一つ。年収が全国民の年収の

 中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
 

  (P.025)


スタートページをご覧いただくと分かりますが、
2012年に相対的貧困率を子供の相対的貧困率
が逆転したことを示しています。


子供の相対的貧困率の急増の原因は何なの
でしょうか?


今特集を読んでいただくと、分かってきます。
子供たちの将来に暗雲が立ち込めています。




下の画像をご覧ください。
都内のインターネットカフェの内部を撮影したもの
です。



都内のインターネットカフェ。長期滞在を
想定しており、個室の外に利用者の
生活用品があふれ出している

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




私もネットカフェを利用したことがありますが、この画像を
一目見た時、違和感を覚えました。


それは、スーツケースやキャリーケースなどの生活用品
が扉の外の通路に置いてあったからです。
このネットカフェは長期滞在型のネットカフェだったのです。




 2010年に開業したこの店舗は、1日の滞在だと料金は

 2472円だが、30日以上の連続滞在なら1日当たりの

 利用料が1977円に割り引かれる。長期滞在者は店の

 住所で住民登録をすることができ、宅配便を受け取る

 ことも可能だ。別料金がかかるが、シャワーや洗濯機も

 置いてある。
 

  (P.026)



このネットカフェの驚くべき実態が明らかにされます。
長期滞在者にとっては、「駆け込み寺」となっている
のです。




 このネットカフェは、首都圏で4店を運営する。埼玉県の

 1号店は開業後すぐに満杯になり、1年半の間に2回も

 増設した。もう6~7年利用している人もおり、行政の

 窓口からの紹介で、グループの店を訪れる人も少なくない。

 新宿店も常時、9割方が埋まっているような状況で、経営は

 堅調だ。利用客のうち、およそ8割の人が1カ月以上滞在

 する長期利用者。客の男女比率は男性が6で女性が4。

 客の外出は自由で、スタッフが「お帰りなさいませ」

 「行ってらっしゃい」と声をかける。
 

  (P.026)


寝る場所を確保するために存在する、と言っても過言では
ありません。「客の男女比率は男性が6で女性が4」という
比率にも現代日本の世相を反映しているのです。


路上生活者を目にすることは少なくなりましたが、ネット
カフェに逃げ込む人たちがいるという実態が浮かび上がっ
てきます。


しばらく前までなら、女性がこのような場所に長期滞在する
ことは考えられなかったことです。背に腹は代えられない、
ということなのでしょう。



このような長期滞在型ネットカフェを利用する動機はどの
ようなものなのでしょうか?


 利用動機は様々だ。地方からの出稼ぎ労働者や出張者、

 リストラされた身寄りのない高齢者、定職を持てない若者。

 共通するのはただ1点、寝床を確保するための費用を少し

 でも抑えたいということだ。
 

  (P.026)



老若男女を問わず、この店の個室に潜り込んでいるのです。
個室だけが自分の「居場所」と考えているのかもしれません。


私の想像ですが、ネットカフェ住民の中にはインターネットを
使い、ブログで情報発信したり、アフィリエイトで収入を得て
いる人たちがいるのではないか、と考えています。


ただ、ある程度の収入を得ても、莫大な収入であるはずがなく、
ネットカフェ利用料の支払いに充てられるだけに費やされること
でしょう。


できればここから出たいと心の底から願っている人たちは、
間違いなくいるはずですが、さてどこへ行ったらよいか思案に
暮れることでしょう。


賃貸物件となれば、家賃だけでなく、水道光熱費も発生します。
金額は馬鹿になりません。そのようないろいろなことを考えると、
ネットカフェを出ることに二の足を踏むことになるでしょう。
とりわけ、高齢者ともなれば、より一層厳しい現実に直面します。




 頭の片隅には「ここを出ても、自分で光熱費なども負担し

 なきゃいけない。ここのスタッフは良くしてくれるし、

 居心地は悪くない」との思いもある。一人暮らしを始めても、

 それは生活の“改善”なのか。新しい生活を始めようとする

 エネルギーは、強くはない。

 長期滞在を可能にしているネットカフェは、経済的な困窮者

 を標的にしているとして、「貧困ビジネス」と呼ばれることが

 ある。だが勤めていた保険会社にリストラされ、2カ月以上

 滞在する50歳の男性は、「こういう店があって助かる。

 なければ、24時間営業のファストフード店で邪険にされるか、

 野宿するしかない」と話す。困窮者の受け皿という側面が

 あるのは確かだ。
 

  (P.027)



ここで「相対的貧困率」が登場します。



 厚生労働省が2014年7月にまとめた国民生活基礎調査に

 よれば、日本の「相対的貧困率」は2012年時点で16.1%

 だった。相対的貧困率は、その国で一般的とされる水準の

 生活が送れない層を測る指標の一つ。調査時点の日本の

 場合、税金や社会保険料などを除いた可処分所得が年

 122万円に満たない世帯の割合を示している。

 換言すれば、月に10万円と少し以下のお金で暮らす人が、

 日本には約2000万人、およそ6人に1人いるということになる。

 この相対的貧困率は、1985年の12.0%からほぼ一貫して

 増加しており、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の

 中でも高水準にある。
 

  (P.027)



こうした実態を知ると、日本はもはや経済的に豊かな先進国
ではない、と認めざるを得ません。


こうした問題が深刻なのは、次の理由によります。



 貧困は今も確実にこの国を侵食し続けている。存在する場所が

 路上からネットカフェ、社会福祉法に規定された「無料低額宿泊

 施設」、または普通の家庭の中に移り、見えにくくなっただけで、

 着実に広がっている。
 

  (P.028)



増大する貧困の根本的原因は大きく分けると、6つあります。
1. ひとり親
2. 教育費膨張
3. 非正規雇用
4. 精神疾患
5. 親の介護
6. 医療費膨張



増大する貧困の落とし穴(1)

増大する貧困の落とし穴(1)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.028)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号


増大する貧困の落とし穴(2)

増大する貧困の落とし穴(2)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今や、若い人なら働き口があるという時代ではありません。
まして中高年ならなおさらです。


 34歳男性の場合 



 10年ほど前に父親が要介護となり、その父が亡くなった

 1年後に今度は母親が介護状態になった。男性は父が

 介護を必要とする直前にそれまで勤めていたNEC系列の

 子会社を離れ、時間の融通の利く派遣社員として働き

 始めた。収入はそれまでの3分の1以下に減少。今は母親

 の年金収入と合わせ、月に20万円強の収入でやり繰りして

 いる。

 自宅は実家だが、父の介護が必要になった際にバリアフリー

 に改修しており、そのローン返済で収入の半分が消える。

 母親の介護費用には月2万5000円ほどかかり、食費や光熱費、

 車の維持費などを払うと生活はギリギリだ。


 兄と2人の姉がいるが、兄は遠方で家族と暮らしており、近くに

 住む姉は平日昼の食事を介助してくれる。男性は34歳の時に

 離婚し、2人の子供は妻が引き取った。独り身の自分が親の

 面倒を見るのは当然との思いがある。


 「将来、自分の世話は誰がするのか」と考えると、気持ちが沈む。

 20代後半になったはずの自分の子供とは、ほとんど連絡を取って

 いない。
 

  (PP.028-029)


このような話を読むと気が滅入ってきますが、貧困を増やして
いる原因は「親の介護」だけではありません。
「非正規雇用」の拡大や、近年増加している「精神疾患(うつ病
など)」、さらに離婚率が欧米並みに増加した結果の「ひとり親」、
「医療費膨張」、そして「教育費膨張」があります。


なお、「教育費膨張」についてはPART 2の「問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」で詳しくお伝えします。




 若年層にもリスクは広がる。総務省の労働力調査によれば、

 非正規雇用者の人数は2015年1月に1989万人。正規雇用者

 が減少する一方で、1989年から1000万人以上増えた。役員を

 除く雇用者に占める割合も37.8%で、89年比ではほぼ倍増して

 いる。


 近年増しているリスクでは精神疾患もそうだ。医療機関を受診

 した精神疾患の患者数は2011年に約320万人(宮城県の一部

 と福島県を除く)と、1999年から116万人増加した。中でもうつ病

 など「気分障害」の患者数は95.8万人と、99年の44万人から

 急増している。気分障害は現役世代である30代後半から60代

 前半の患者数が多く、家庭の収入に大きく影響する。


 ひとり親という課題もある。「働いている大人1人と子供」という世帯

 で見ると、日本の相対的貧困率は2012年に54.6%。データがある

 OECD加盟国中、最悪レベルにある。ひとり親世帯は、半数が働い

 ても貧困水準を脱さない「ワーキングプア」なのだ。
 

  (PP.029-030)



最近とみに、生活保護不正受給がマスコミに取り上げられる
ことが多くなってきました。そのため、国は生活保護費の削減を
始めました。ですが、十分な生活保護が受けられなくなると、
困窮し犯罪に走ったり、自殺者が増加するという負のスパイラル
を加速させます。


ただし、下図のように生活保護費が年々膨張していることを考慮
すると基準の見直しは必要かもしれません。





(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




『日経ビジネス』(今回、1人の記者が文責となっています)は、
生活保護について次のように述べています。



 生活保護には、批判も根強い。「生活保護以下の所得しか

 得られない労働者の勤労意欲をそぐ」というものや、「金持ち

 の親が受給していいのか」などと、モラルの問題を指摘する

 向きもある。

 それに加えて、周囲の賃貸物件に劣る劣悪な条件にもかか

 わらず、生活保護の受給者から割高な住居費を受け取る悪質

 な事業者や、過剰な医療サービスを提供してその分の報酬を

 受け取る医療機関の存在も指摘されている。

 こうしたことから、政府は生活保護に含まれる「医療扶助」や

 「住宅扶助」を抑制する施策を検討している。厳しい財政状況を

 考えれば、不必要な支出を抑えることは当然とも言える。

 だが、生活保護が日本国民の生命と生活を守る「最後の安全網」

 であることを考えれば、必要な人に十分な支援が行き届かないこと

 があってはならない。先に紹介した「単身高齢者」や「ワーキング

 プア」といった、受給要件をほぼ満たす「予備軍」の存在を考えれば、

 保護費の総額が4兆円を超えるのは時間の問題だ。「いかに受給

 対象者を減らすか」という点についても、本腰を入れた対策が必要

 になっている。
 

  (P.032)



ここで、日本国憲法の3つの基本理念と、前文、
憲法第25条を確認しておきましょう。


安倍政権は憲法改正に躍起になっていて、3つの基本
理念さえ改正するか、解釈を変更しようとしています。
独断を許すことは、非常に危険なことです。


1. 国民主権(主権在民)
2. 基本的人権の尊重
3. 平和主義
前文
第25条


1. 国民主権(主権在民)


 国民主権のもとでは、主権は国民に由来し、国民は

 選挙を通じて代表機関である議会、もしくは国民投票

 などを通じて主権を行使する。その責任も国民に帰趨

 する。

 歴史的には、必ずしも君主主権と相反するものでは

 ないとされていたが、日本国憲法下の学説では君主

 主権を否定する原理であるとするものが多い。
 

   (国民主権 Wikipedia から



2. 基本的人権の尊重


 基本的人権とは、人間が、一人の人間として人生をおくり、

 他者とのかかわりをとりむすぶにあたって、決して侵しては

 ならないとされる人権のことである。すべての人間が生まれ

 ながらにして持つ。

 基本的人権は、生命、財産、名誉の尊重といったような個別

 的具体的な権利の保障へと展開することが多い。このため、

 体系化されているさまざまな権利を総称して「基本的人権」

 ということもある。
 

   (人権 Wikipedia から



3. 平和主義


 平和主義(へいわしゅぎ、Pacifism)とは戦争や武力行使や

 暴力に反対し、個人や組織や国家の紛争の解決を求める

 手段として、例外を認めない絶対的な非暴力・非軍事力により、

 平和の追求や実現や維持を求める思想のことである。


 日本国憲法前文および日本国憲法第9条についての解釈の

 一つとして、憲法第9条で規定される軍事力の不所持は、正当

 防衛や緊急避難も含めたあらゆる軍事力の保有と行使を否定

 した平和主義という解釈がある。


 一方で一旦自衛力を容認すると、なし崩し的に「自衛」の解釈

 が広がって、侵略戦争も「自衛」とされる危険がある。欧米諸国

 では侵略戦争とみなされている太平洋戦争は、戦中の日本では

 「自存自衛」のための戦争とされていた。
 

   (平和主義 Wikipedia から



前文


 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し

 われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、

 わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為

 によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、

 ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は

 国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は

 国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、

 かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、

 法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な

 理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に

 信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、

 平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと

 努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和の

 うちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視して

 はならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、

 この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たう

 とする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的

 を達成することを誓ふ。
 

   (日本国憲法 houko から



第25条
 


 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆

 衛生の向上及び増進に努めなければならない。
 

   (日本国憲法 houko から






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




次回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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