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戦慄の人工知能 AIが企業を動かす日 2015.03.30 <3>


新宿血管外科クリニック




日経ビジネスの特集記事(101)

戦慄の人工知能
AIが企業を動かす日
2015.03.30



今週の特集記事のテーマは

AI(人工知能)の世界に革命期が訪れている。
人間の脳を模した計算技法の実用化などにより、
ここ数年で性能が急速に向上。
音声認識や画像認識の分野で、人間に匹敵する
能力が相次いで報告されるようになった。
だが、AIの進化は、企業と労働者に恩恵だけを
もたらすわけではない。
知性を持つ機械が発達すれば、国や産業の競争
ルールは変わる。遺伝子工学やナノテクとAIが融合し、
人間社会のあり方にも影響しかねない。
欧米諸国はその破壊力を真剣に分析、人づくりも
動き出した。
日本企業もこのAIのインパクトから無縁でいることは
できない。活用次第では、AIは日本再興の切り札に
なる可能性も秘めている

 (『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.028)

ということです。




戦慄の人工知能<br />AIが企業を動かす日

戦慄の人工知能
AIが企業を動かす日

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




今特集は人工知能(AI)についての詳細なリポートです。
近未来はバラ色なのか、それとも人間はAIの「奴隷」
となってしまうのか、断定することはできません。


ただ一つ言えることは、どんなものにもメリットとデメリット
の両面があり、使い方を誤ると危険になるということです。


例えば原子力の平和利用は望まれますが、核兵器への
転用によって世界は一触即発の危機に陥ってしまいます。
ミリタリーバランスが崩れると、核戦争が勃発しかねません。


歴史を振り返ると、新しい技術は、必ず軍事目的で使用され、
その後民生用に使われるようになることです。


ドローン(無線ヘリ)も元は軍用でした。今ではアマゾンや
グーグルが配送用に利用するため実験が繰り返されて
います。




第1回は、
「PART 1 マイクロソフト、IBM、グーグルの最前線
止まらぬ“人間超え”」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 楽観派が見据える商機
『特異点』へ先手」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 悲観派が描く破滅的未来
実は人類の危機か」
「PART 4 今こそ逆転の発想
日本には追い風」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 人工知能 
 ディープラーニング 
 シンギュラリティー(特異点) 
 AI脅威論 
 逆転の発想 




では、早速、本題に入りましょう!


 PART 3 悲観派が描く破滅的未来
実は人類の危機か 



前回は楽観論を中心に取り上げました。
今回は、悲観論を中心に取り上げます。
両極端な考え方があるのは致し方ありません。


どちらの考え方を支持するかは人それぞれですが、
将来を見据えて、どちらへ向かうのか見極める目を
養っていくことは、とても重要なことだと思います。


現時点で分かっていることは、AIの進化は私たちの
予測をはるかに上回るほどに、急激であることです。


 未来学者レイ・カーツワイル氏の言う「指数関数的な
 
 技術進化」が現実味を帯びる中、企業や労働者は、

 教育改革に乗り出した米ユダシティーのセバスチャン・

 スラン氏のように、そのリスクにも真剣に向き合わね

 ばならぬ時が来ている
 

  (P.040)

ということです。



下の図をご覧ください。
人類の脅威を「核戦争」「バイオ技術」「人工知能」
「気候変動」
の4つに分けた推移予想です。


核戦争の脅威は、1960年代にピークを迎え、
以後2100年代まで続きます。


バイオ技術の脅威は、2020年代から急増し、2030
年代にピークを迎え、その後2100年代まで続きます。


人工知能の脅威は、2040年代から急増し、2060年代
にピークを迎え、しかも核戦争バイオ技術の脅威
よりもはるかに大きなリスクを持つと予測されています。


気候変動の脅威は、2090年頃から急増すると考え
られています。


今年は2015年です。2100年は85年後の話です。
現在生きている人たちのほとんどは、85年後の現実を
確かめることはできません。


これから生まれてくる人たちは、現代人よりもずっと
大きなリスクに直面することになりそうです。
もっともその頃には、世界中の叡智を結集して、より良い
解決策を見つけ出しているかもしれません。


あるいは、一握りの人間がこれらの脅威をコントロールし、
世界を支配しているかもしれません。
SF小説的な世界ですね。



AIは今世紀最大の脅威に?<br />・人類生存に対するリスクの推移予測

AIは今世紀最大の脅威に?
・人類生存に対するリスクの推移予測

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.040)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




未来学者スチュアート・アームストロング博士はAIの脅威に
関して、次のような大きな懸念を表明しています。



 「AIは、仮にその危険性が顕在化すれば人類を全滅させる

 力がある。この点において、核戦争や生物技術よりも危険だ」。

 アームストロング博士はこう断言する。
 

  (P.041)



アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『ターミネーター』
についての言及があります。エンターテイメントとしての
映画の世界ではなく、現実味のある話として取り上げられ
ています。



 容易に想像できるのは、映画「ターミネーター」の世界だ。

 既に、AIがナノテクノロジーや遺伝子操作技術と融合する

 ことで、世界転覆を企てる国家やテロ組織が従来にない

 殺人マシンを開発することは以前より容易になりつつある。

 AIが自分より賢いAIを際限なく再生産する「知能の爆発」も、

 真剣に指摘されているリスクの一つだ。ビッグデータ活用

 によるプライバシー侵害なども想定される。
 

  (P.041)


AIを単独で使用するのではなく、3Dプリンターやビッグデータ
などと組み合わせて使用することによって、脅威を増幅させ
得るということです。


ところが、深刻なのは「悪意のないAI」こそが脅威なのだ、
と指摘する学者がいます。「人類の未来研究所(FHI)」の
アンダース・サンドバーグ博士です。



 FHIのアンダース・サンドバーグ博士はこう指摘する。

 「AIの脅威と言うと、悪意あるプログラムが人間に危害を

 加えるというシナリオを想像しがちだが、それは誤解。

 本当の危険は、機械が人間のような思考回路を持たない

 点にある」。
 

  (P.041)


この説明だけでは何のことか理解できないと思います。
そのため、サンドバーグ博士は「ペーパークリップ(紙留め
クリップ)問題」(P.041)と呼ばれる思考実験で説明して
います。


恐怖感が倍増します。



 サンドバーグ博士の主張を理解するのに役立つのが、

 「ペーパークリップ(紙留めクリップ)問題」と呼ばれる

 思考実験だ。

 ある企業が優れたAIを開発し、「クリップの生産数を

 最大化せよ」と命令したとする。すると、AIは人間の

 指示に従ってクリップを作り続け、やがて地球全体の

 物質をクリップに変えてしまう。人間があわてて命令

 停止ボタンを押そうとしても、AIは当初の目的である

 クリップ生産を続けるために、妨害要因となる人間を

 先回りして殺してしまう、というのだ。

 「人間であれば、地球全体をクリップに変えるような

 ばかげたことはしない。しかし、何が正しく、何が間違って

 いるかという倫理(モラル)を、機械に完全に教え込む

 のはほとんど不可能」(アームストロング博士)
 

  (P.041)


笑い事ではありませんね。



AIの発達に警鐘を鳴らす著名人がいます。
下の画像をご覧ください。
左から米テスラ・モーターズとスペースXの
CEO(最高経営責任者)イーロン・マスク氏、
マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏、
理論物理学者スティーブン・ホーキング博士です。


この3人AI脅威論を唱えているそうです。


AI脅威論が再燃している<br />・AIの発達に警鐘を鳴らす主な著名人

AI脅威論が再燃している
・AIの発達に警鐘を鳴らす主な著名人

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.041)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




2014年暮れのことですが、スティーブン・ホーキング博士が、
AI脅威論を唱え、科学者の間で賛否両論を巻き起こしたと
いう記事をインターネットで読みました。



 BBCのインタビューに対して、ホーキング博士は次のように

 語った。「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の

 終焉を意味するかもしれない」

 ホーキング博士は「人工知能が自分の意志をもって自立し、

 そしてさらにこれまでにないような早さで能力を上げ自分

 自身を設計しなおすこともあり得る。ゆっくりとしか進化でき

 ない人間に勝ち目はない。いずれは人工知能に取って

 代わられるだろう」と語った。
 

  (ホーキング博士「人工知能の進化は人類の終焉を意味する」



この記事の中に、イーロン・マスク氏も登場します。



 スペースXおよびテスラモーターズのCEOであるイーロン・

 マスク氏は、先月「人工知能にはかなり慎重に取り組む

 必要がある。結果的に悪魔を呼び出していることになる

 からだ。ペンタグラムと聖水を手にした少年が悪魔に立ち

 向かう話を皆さんもご存知だろう。彼は必ず悪魔を支配

 できると思っているが、結局できはしないのだ」と言って

 いる。
 

  (ホーキング博士「人工知能の進化は人類の終焉を意味する」



果たして、楽観論、悲観論のどちらが正しいの
でしょうか?


それは、時が教えてくれます。


昔、インターネットで海外の新聞記事を読んでいた時、
気の利いた表現を見つけました。


Time will judge who is right.
(時が経てば、誰が正しいか分かる。直訳すれば、
時は誰が正しいか判断する)




 AIが労働者に与える影響 

AIが労働者に与える影響で大きなことは、
「単純労働以外も消滅の危機」がある一方で、
「『ソーシャル』『経営』『創造性』は安泰」である
ということです。


一言で言えば、格差がさらに拡大するということです。
オックスフォード大学のカール・フレイ博士らの論文
「雇用の未来」が有名だということです。


その内容を読んでみましょう。



 AIが労働者に与える影響を分析した研究としては、

 2013年にオックスフォード大学のカール・フレイ博士ら

 が発表した論文「雇用の未来」が有名だ。自動運転の

 開発や機械学習の進歩などを考慮に入れ、702の職種

 についてAIに代替される確率を分析した。その結果、

 今後10~20年で、米国の雇用の47%が自動化の危機

 に瀕していることが明らかになった。
 

  (P.042)



具体的にはどのような変化が起こるのでしょうか?



 研究によると、機械による代替可能性が最も高いのは

 交通や輸送に関わる業務、企業の事務職、生産現場

 の仕事、サービス業などの職種。一方、当面機械化の

 恐れが少ないのは、創造性や交渉力、芸術的センスや、

 他人の気持ちに働きかける「ソーシャルスキル」を求め

 られる仕事だ。教育者や弁護士、芸術家、経営者など

 マネジメント層がこの部類に入る。

 こうした予測から当然の帰結として想定されるのが、

 労働者間の格差の拡大である。
 

  (P.042)


下の一覧表をご覧ください。
あなたの職種はどれに該当しますか?



単純労働以外も消滅の危機<br />・自動化の可能性が高い主な職業とその確率

単純労働以外も消滅の危機
・自動化の可能性が高い主な職業とその確率

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.042)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号



「ソーシャル」「経営」「創造性」は安泰<br />・自動化の可能性が低い主な職業とその確率

「ソーシャル」「経営」「創造性」は安泰
・自動化の可能性が低い主な職業とその確率

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.042)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




自動化が進むと悪いことばかりが注目されますが、
プラスの面もあることを『日経ビジネス』は紹介して
います。



 今後、AIがあらゆる産業に浸透し、自動化や最適化を

 通じて企業活動の効率が高まれば、モノやサービスに

 かかるコストが激減する。うまくいけば、我々が生きて

 いくのに必要な食品、日用品なども、その多くが無料

 または劇的に安い価格で手に入るだろう。
 

  (P.042)



ただし、次のことは肝に銘じておくべきでしょう。



 前出のオックスフォード大学の研究では、教育水準と

 機械による代替リスクには強い「負の相関」があること

 も判明した。つまり、よりレベルの高い教育で自らを

 高め続けていくことは、AI時代を勝ち抜くためにも有効

 な手法と言える。
 

  (PP.042-043)




 AIで未来の経済はこうなる 

『日経ビジネス』は、「AIで未来の経済はこうなる」
という4つのシナリオを提示しています。


1 AIの発達によって、今後、多くの仕事が機械で
  代替される


2 結果として労働者の格差が広がる

3 AIによる企業活動の最適化で、モノやサービスの
  価値が下がる


4 満足な職がなくてもそこそこの暮らしができるが、
  幸福感は人それぞれ




これらを見ると、良いことばかりではないかもしれ
ませんが、かと言って悪いことばかりでもない、
ということがおぼろげながら理解できます。




(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.043)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号






 PART 4 今こそ逆転の発想
日本には追い風 



最後のパートは、日本についてです。
『日経ビジネス』は逆転の発想で日本に追い風が
吹く可能性が高い、と述べています。


米国と日本では事情が異なるというのがポイント
です。


まず、下のグラフをご覧ください。
学歴による賃金格差は日米で大きく異なることが
一目瞭然です。



日本は学歴による賃金格差の拡大は緩やか<br />・日米の大学者の高卒者に対する相対賃金<br />(25~59歳の男性)

日本は学歴による賃金格差の拡大は緩やか
・日米の大学者の高卒者に対する相対賃金
(25~59歳の男性)

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.044)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




米国と比較し、日本では機械化が格差を拡大しな
かった理由はどこにあるのでしょうか?
「意外な答え」だったというのが、私の感想です。


一橋大学大学院経済学研究科の川口大司教授の
分析をご紹介しましょう。



 日本で機械化が格差を拡大しなかった原因として

 考えられる要因の一つは、基礎学力の高さだ。

 最終学歴がどうであれ日本人の学力レベルは

 総じて高く、高卒も大卒も関係なくIT化の流れに

 順応できた、という見方である。

 川口教授は、IT化同様、AI化も多くの国民が

 最終的には順応し、単純労働者も知的労働者も

 機械に代替されにくい新たな仕事を見つけ、

 社会が荒廃するようなことはない、と考える。
 

  (P.044)



それどころか、「経済再生の起爆剤になると見る
向きもある」(PP.044-045)というのです。



 AIが日本にもたらすメリットは人手不足の解消だけ

 ではない。グローバル化から新興国との競争、

 次世代人材の育成まで日本企業と日本人が頭を

 悩ませている様々な問題を一挙に解決する潜在力

 をAIは秘めている。

 例えば、特集冒頭で紹介したリアルタイムの外国語

 通訳機能。まだ実用化が緒についた段階だが、

 その進化スピードは侮れない。AIは利用者の通話

 データを蓄積することで自ら学習し、その精度を高めて

 いくからだ。
 

  (P.045)



「英語習得コストは不要になるし、採用でも英語を話す
人材に固執する必要がなくなり、人材確保がぐっと楽
になる」(P.045)というメリットが生まれるということです。



日本の「弱み」がなくなる<br />・AIが日本企業と日本にもたらす恩恵

日本の「弱み」がなくなる
・AIが日本企業と日本にもたらす恩恵

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.045)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




AIの普及は日本に恩恵をもたらすという予測があります。
新興国に対する優位性を高められるというのです。



 「AI社会が到来すれば、現在の発展途上国が米国や

 日本のような成長を遂げる日は永遠に来ないだろう。

 彼らは今後、先進国の労働者ではなく、機械の知能と

 競争を迫られるからだ」。米ジョージメイソン大学の

 タイラー・コーエン経済学教授は、こんな大胆な予測を

 披露する。

 同教授によれば、現時点で繁栄を築いている米国や

 日本は、製造業やサービス業のAI化を進めることで

 生産性を高め、安定した地位を保つ。半面、東南アジア

 やアフリカなど新興国の大半は、かつての日本や中国

 のように低賃金の労働力を武器に先進国を追い上げる

 道を失う。確かにそうなれば、新興国には気の毒だが、

 AI時代における日本の未来は明るくなる。
 

  (PP.045-046)



もちろんよいことばかりがあるわけではありません。
課題が残ります。「海外専門家に聞いた日本への提言」
をざっと見てみましょう。


AI時代に向け相変わらず残る課題も<br />・海外専門家に聞いた日本への提言

AI時代に向け相変わらず残る課題も
・海外専門家に聞いた日本への提言

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.046)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




AIの進化は、エンジニアにとって厳しい時代の到来
となりそうです。



 このままエンジニアの大量育成にまい進すれば、

 いざAI時代が到来した際に、落とし穴が待ち受けかねない。

 その頃には、エンジニアの仕事はAIが代行してしまうからだ。

 「ひと昔前は20人で担当していたデータ解析が、今は1人で

 済む。既に、ソフト技術者もコンピューターに代替され始めて

 いる」。米ユダシティーのセバスチャン・スラン氏はこう話す。


 ディープラーニングのように「自ら学習するAI」が台頭すれば、

 これまで単純なデータ処理を担ってきた人間は不要になる。

 スラン氏は「今後は1人の優れた技術者とAIが組んで圧倒的

 な成果を生み出す時代になる」と話す。
 

  (P.046)



『日経ビジネス』は、次のような話を紹介しています。
真摯に耳を傾ける意志があるかどうかが、未来に
成長する企業と、消滅の危機に瀕する企業に分ける
分水嶺となる、と私は考えます。



 活用次第で日本再興の切り札にもなるAI。だが、

 もちろん、クリアすべき課題も残っている。

 海外の専門家から上がるのは、日本が「AI立国」の

 道を歩む上で最大のネックとなるのは、国全体を

 包み込むリスク回避志向と組織の柔軟性の欠如、

 という声だ。
 

  (P.046)



もう一つ、厳しい見方をご紹介しましょう。
日本がなすべきことと、日本人全体に求められる
ことを『日経ビジネス』は述べています。



 ガートナー ジャパンの亦賀忠明バイスプレジデント兼

 最上級アナリストは「技術がもたらす長期的な影響に

 ついて、日本だけが特別と考えるのは危険」と話す。

 人工知能を活用し、日本復活を遂げるには、国や企業

 の戦略のみならず、日本人全体が従来の常識を抜本

 的に見直すことが求められる。
 

  (P.046)




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 人工知能 
 ディープラーニング 
 シンギュラリティー(特異点) 
 AI脅威論 
 逆転の発想 



AIの急激な進歩がもたらす影響を正負の両面から
取り上げましたが、今回の内容は決して当分先の
話だとは思わないでください。


「今そこにある危機」ではなく、「すぐそこにある好機
と危機(?)」かもしれないのです。






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戦慄の人工知能 AIが企業を動かす日 2015.03.30 <2>


新宿血管外科クリニック




日経ビジネスの特集記事(101)

戦慄の人工知能
AIが企業を動かす日
2015.03.30



今週の特集記事のテーマは

AI(人工知能)の世界に革命期が訪れている。
人間の脳を模した計算技法の実用化などにより、
ここ数年で性能が急速に向上。
音声認識や画像認識の分野で、人間に匹敵する
能力が相次いで報告されるようになった。
だが、AIの進化は、企業と労働者に恩恵だけを
もたらすわけではない。
知性を持つ機械が発達すれば、国や産業の競争
ルールは変わる。遺伝子工学やナノテクとAIが融合し、
人間社会のあり方にも影響しかねない。
欧米諸国はその破壊力を真剣に分析、人づくりも
動き出した。
日本企業もこのAIのインパクトから無縁でいることは
できない。活用次第では、AIは日本再興の切り札に
なる可能性も秘めている

 (『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.028)

ということです。




戦慄の人工知能<br />AIが企業を動かす日

戦慄の人工知能
AIが企業を動かす日

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




今特集は人工知能(AI)についての詳細なリポートです。
近未来はバラ色なのか、それとも人間はAIの「奴隷」
となってしまうのか、断定することはできません。


ただ一つ言えることは、どんなものにもメリットとデメリット
の両面があり、使い方を誤ると危険になるということです。


例えば原子力の平和利用は望まれますが、核兵器への
転用によって世界は一触即発の危機に陥ってしまいます。
ミリタリーバランスが崩れると、核戦争が勃発しかねません。


歴史を振り返ると、新しい技術は、必ず軍事目的で使用され、
その後民生用に使われるようになることです。


ドローン(無線ヘリ)も元は軍用でした。今ではアマゾンや
グーグルが配送用に利用するため実験が繰り返されて
います。




第1回は、
「PART 1 マイクロソフト、IBM、グーグルの最前線
止まらぬ“人間超え”」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 楽観派が見据える商機
『特異点』へ先手」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 悲観派が描く破滅的未来
実は人類の危機か」
「PART 4 今こそ逆転の発想
日本には追い風」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 人工知能 
 ディープラーニング 
 シンギュラリティー(特異点) 
 AI脅威論 
 逆転の発想 




では、早速、本題に入りましょう!


 PART 2 楽観派が見据える商機
「特異点」へ先手 


このパートはシンギュラリティー(特異点)に焦点を当てて、
『日経ビジネス』は事例を紹介しています。


これらの事例を見ますと、米国事情に偏っていると感じる
かもしれませんが、実際のところ、米国がAIの最先端の
研究で先頭を走っていることを思い知らされます。


残念ながら、日本企業は米国のIT(情報技術)企業の
後追いか、焼き直しでしかないと感じてしまいます。


シンギュラリティー(特異点)の話は、にわかに信じられない
という人と、現実味があると実感する人、そして何事にも
様子見するだけの人に分かれる、と私は考えています。


私は2つ目のスタンスです。
あなたは3つのタイプのうちのどれに該当しますか?



 シンギュラリティー大学 

シンギュラリティー大学(SINGULARITY UNIVERSITY)から
スタートします。


「大学の名を冠しているが学位は出さず、企業幹部向けの
研修やベンチャー企業支援などを手掛ける機関だ」(P.037)
ということです。




 「AI(人工知能)は指数関数的な速度で進化しています。

 脳をクラウドに接続し、人間の能力を拡充できるようになるのも

 遠い日ではないでしょう。我々はこの技術を人類の課題解決に

 役立てられるのです」


 男の名はレイ・カーツワイル。発明家で思想家、かつ未来学者

 として世界的に知られる。2012年からは、米グーグルのAI研究

 チームにも加わった。その同氏がこの日訪れた場所こそ、自身が

 2008年に創設したシンギュラリティー大学である。
 

  (PP.036-037)


具体的に、シンギュラリティー大学はどんな内容のカリキュラムを
持ち、どのような人たちを対象にしているのか、次の記述を読むと
分かります。



 カーツワイル氏の2005年の著書『The Singularity is Near

 (シンギュラリティーは近い)』は世界で話題を呼んだ。

 AIや遺伝子工学、ナノテクノロジーなどの技術が、いずれも

 倍々ゲームのような猛スピードで進化。今から30年後の

 2045年には、非生物的知能が全人類の知能をはるかに超越し、

 人間の定義が根底から覆る「シンギュラリティー(特異点)」に

 突入する、と主張した。

 シンギュラリティー大学は同氏の未来予測を現実のものと想定し、

 グローバル企業の経営層や起業家、投資家らにその“対応策”

 を学ばせる教育施設。大学の名を冠しているが学位は出さず、

 企業幹部向けの研修やベンチャー企業支援などを手掛ける

 機関だ。
 

  (P.037)


では、シンギュラリティーは社会に、また人間にどんな変化を
もたらすのでしょうか?



 シンギュラリティーをもたらす最大の原動力は、PART 1で見た

 AIの進展にある。だが、社会に根源的な変化を起こすには、

 AI単独では不十分。ゲノム解析や3Dプリンターといった他の

 技術をAIと融合したり、教育や医療、エネルギーなど幅広い

 産業がどう変化していくかを俯瞰したりできる力が必要になる。

 最先端技術から産業への影響、変化を生み出す経営の方法論

 まで一度に学べる点が、シンギュラリティー大学を際立たせて

 いる要素だ。
 

  (P.037)



最先端技術や、これから出現しそうな技術の芽に着目し、
産業化に活かしていく能力を高めていく機関と言えます。


ですが、参加費が気になりますね。
高額が予想されます。



 同大学が年4~5回、各1週間の日程で開く定員80人の

 経営層向けプログラムは、参加費が1万2000ドル

 (約144万円)と高額ながら1年先まで予約で埋まる。


 1週間のプログラムは充実そのもの。毎日朝9時から夕方

 6時まで、各分野のトップ級の研究者や起業家らによる

 合計20以上の講義やワークショップがぎっしりと詰め込ま

 れている。
 

  (P.037)



シンギュラリティーには、当然のごとく、楽観論と悲観論が
あります。「シンギュラリティー大学には1つの重要な『信念』
がある」(P.037)ということです。



 シンギュラリティー大学には1つの重要な「信念」がある。

 研修の中では技術進化が社会や環境に与える「負の側面」

 を俎上に載せつつも、世界の経営リーダーたちにテクノロジー

 の未来を楽観的にとらえるように意識づけている点だ。
 

  (P.037)



下の図をご覧ください。
シンギュラリティー大学の講義内容を一覧にしたものです。



テクノロジーで世界を変える手法を学ぶ<br />・シンギュラリティー大学の講義内容<br />(今年3月に実施された経営層向けプログラム)

テクノロジーで世界を変える手法を学ぶ
・シンギュラリティー大学の講義内容
(今年3月に実施された経営層向けプログラム)

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




シンギュラリティー大学のように楽観論に基づき、
「シンギュラリティーを商機にしようとする一群が存在する
一方で、特異点がもたらす負のインパクトに着目し、
社会の混乱を防ぐべく動き始めた起業家もいる」
(PP.037-038)ということです。


次にご紹介する、ユダシティーを創業したセバスチャン・
スラン氏はその一人だそうです。





 ユダシティー 

まず、ユダシティーとは何か、から始めることにしましょう。



 ユダシティーは、インターネットを通じて大学レベルの

 講義を配信するMOOC(大規模公開オンライン講座)の

 先駆け的企業。スラン氏が専門とするAIのほか、データ

 解析やアプリ開発といったコンピューター科学系を中心に、

 “シンギュラリティーが進行する世界”で生き抜くために

 必要な知識を学べる60科目以上を配信する。
 

  (P.038)


「スラン氏」とは何者なのか、ということになります。
経歴を見ますと、AIの研究者であり、教育者であること
が分かります。



 2014年8月、グーグルで約7年間、自動運転車の開発を

 率いたAI研究者セバスチャン・スラン氏が同社を去った。

 人材の流動性が高いシリコンバレーでも注目を集めた

 この出来事も、AIによる地殻変動を象徴している。

 スラン氏は米スタンフォード大学のAI研究所長だった

 2005年に、米国防高等研究計画局(DARPA)が開催する

 ロボットカーレースで初の完走を果たした後、グーグルに

 参画。秘密研究所「グーグルX」を創設すると、自動運転車

 の他、メガネ型端末「グーグルグラス」や医療用コンタクト

 レンズといった研究を立ち上げてきた。

 そのスラン氏が突如グーグルを離れたのは、プロジェクトが

 暗礁に乗り上げたからではない。自身が2011年に創業した

 オンライン教育企業、米ユダシティーの経営に全精力を注ぐ

 のが、転身の目的だという。
 

  (P.038)



セバスチャン・スラン氏

セバスチャン・スラン氏

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.039)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




ユダシティーの登録者数の多さに驚かされます。
ユダシティーへの関心の高さが伺われます。



 ユダシティーの登録者数は世界で300万人を超す。

 昨秋からは、グーグルやフェイスブック、AT&Tなど

 米国の大手IT(情報技術)企業と共同開発した有料の

 学位「ナノデグリー」も提供している。月額200ドル

 (約2万4000円)のオンライン講義には、既に約3000人

 が参加する。
 

  (P.039)



ユダシティーの特徴に触れています。



 ユダシティーの特徴は、自らの教育システムにも

 AI技術をふんだんに投入していることだ。生徒たちの

 受講データを機械学習で分析し、カリキュラムの

 改善や一人ひとりに合った指導方法の開発を進めて

 いる。スラン氏は「人間の脳がどのように新しいことを

 学習するのかを解明する手掛かりも得られる」と言う。
 

  (P.039)



つまり、ユダシティーの教育システム自体が実験である
ことです。


ユダシティーのURL

ユダシティー
https://www.udacity.com




ユダシティーのスクリーンショット

ユダシティーのスクリーンショット






セバスチャン・スラン氏へのインタビュー記事が掲載されて
いますので、ここでご紹介します。



 シンギュラリティーはもう起きている

米ユダシティー共同創業者兼CEO、グーグルX創設者
セバスチャン・スラン氏 




 我々が米グーグルで自動運転車の開発を始めた当初、

 その性能は非常に未熟だった。だが、失敗を重ねながら

 訓練を繰り返すと、クルマは毎年のように何倍も賢くなって

 いった。まさに指数関数的な進歩だった。機械はひとたび

 ある課題をクリアすると、二度と同じミスを犯さない。しかも

 全ての機械が同じ能力を同時に獲得する。これは、世代を

 経るたびにゼロから教育し直す必要のある人間とは全く

 異なる性質だ。


 事実、グーグルの自動運転車は既に100万km以上を走って

 一度も事故を起こしていない。5分でも乗れば、自分で運転

 するよりはるかに素晴らしい体験ができる。交通事故の

 犠牲者が毎年世界で100万人に達することを考えれば、

 いずれ自動運転が義務化されるはずだ。


 人間の創造性が全く不要になるわけではない。だが悲しい

 ことに、ハードルは着実に上がる。人間が生産性を保つ

 のに必要な学習の量は増え続ける。教育や学位取得は

 人生に1回だけという考えは時代遅れになり、新しいことを

 素早く学ぶ人が勝つ時代が来る。

 ラリー・ペイジ(グーグルCEO)は「教育は歯磨きのように

 なるべきだ」と表現したが、未来の労働者は毎日10分でも

 何かを学ぶべきだ。
 

  (P.038)


「未来の労働者は毎日10分でも何かを学ぶべきだ」という
意見に全く同感です。他人と比べられるからではなく、
自分のために学ぶのです。


他人の目を気にして学ぶのではなく、向学心、向上心の
ためです。過去の自分と現在の自分、現在の自分と未来
の自分を比較し、一歩でも向上していることが自分で確認
できたのなら、素晴らしいことだと思いませんか?


その意味で生涯学習の重要性はどんなに強調しても、強調
しすぎることはありません。


松下幸之助氏は、
『松下幸之助一日一話』 PHP研究所[編]
2007年8月8日 第1版第1刷発行

の中でこう語っています。



 私は、人生とは“生成発展”、つまり“日々新た”の

 姿であると考えています。人間が生まれ死んでいく

 という一つの事象は、人間の生成発展の姿なの

 です。生も発展なら死も発展なのです。
 

  (前掲書 P.30)




再び、スラン氏のインタビュー記事から。



 世界には高い能力と意志を持ちながら、適切な道筋を

 見つけられない人々が数多くいる。我々には、彼らに

 大学以外で得られる最高の教育を提供できている感触

 がある。しかも、コストは米国の平均的学費の1割以下だ。

 破壊的変化に備えるべきは企業も同じだ。経営者は既存

 事業と顧客を熟知し、それを守ろうとする。しかし今後は、

 一度も競争相手と見なしたことのないプレーヤーに突如

 顧客を奪われる事態がいつ起きてもおかしくない。


 ディープラーニングはAI(人工知能)を人間の脳に近づけ、

 大きく進展させた。いずれ自動運転にも活用されるはずだ。

 AIはあらゆる面で人間を超え始めている。ごく一部の人が

 機械を上手に使い、その他大勢は仕事があるだけで御の字

 という底辺に沈んでしまう世界が来る。

 仮にこの時代の歴史書が書かれるなら、「人類は壮大な

 シンギュラリティーの時代に生きていた」と記されるだろう。

 それは一夜にして全てを覆すものではなく、50年かけて

 静かに進むかもしれない。しかし生命の歴史からすれば

 50年はほんの一瞬にすぎない。シンギュラリティーは既に

 起きているのだ。
 

  (P.039)



好むと好まざるとにかかわらず、シンギュラリティーに備える
覚悟が必要です。繰り返しになりますが、「未来の労働者は
毎日10分でも何かを学ぶべきだ」という言葉が象徴的に
響きます。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 人工知能 
 ディープラーニング 
 シンギュラリティー(特異点) 
 AI脅威論 
 逆転の発想 




最終回は、
「PART 3 悲観派が描く破滅的未来
実は人類の危機か」
「PART 4 今こそ逆転の発想
日本には追い風」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




戦慄の人工知能 AIが企業を動かす日 2015.03.30 <1>


新宿血管外科クリニック




日経ビジネスの特集記事(101)

戦慄の人工知能
AIが企業を動かす日
2015.03.30



今週の特集記事のテーマは

AI(人工知能)の世界に革命期が訪れている。
人間の脳を模した計算技法の実用化などにより、
ここ数年で性能が急速に向上。
音声認識や画像認識の分野で、人間に匹敵する
能力が相次いで報告されるようになった。
だが、AIの進化は、企業と労働者に恩恵だけを
もたらすわけではない。
知性を持つ機械が発達すれば、国や産業の競争
ルールは変わる。遺伝子工学やナノテクとAIが融合し、
人間社会のあり方にも影響しかねない。
欧米諸国はその破壊力を真剣に分析、人づくりも
動き出した。
日本企業もこのAIのインパクトから無縁でいることは
できない。活用次第では、AIは日本再興の切り札に
なる可能性も秘めている

 (『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.028)

ということです。




戦慄の人工知能<br />AIが企業を動かす日

戦慄の人工知能
AIが企業を動かす日

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




今特集は人工知能(AI)についての詳細なリポートです。
近未来はバラ色なのか、それとも人間はAIの「奴隷」
となってしまうのか、断定することはできません。


ただ一つ言えることは、どんなものにもメリットとデメリット
の両面があり、使い方を誤ると危険になるということです。


例えば原子力の平和利用は望まれますが、核兵器への
転用によって世界は一触即発の危機に陥ってしまいます。
ミリタリーバランスが崩れると、核戦争が勃発しかねません。


歴史を振り返ると、新しい技術は、必ず軍事目的で使用され、
その後民生用に使われるようになることです。


ドローン(無線ヘリ)も元は軍用でした。今ではアマゾンや
グーグルが配送用に利用するため実験が繰り返されて
います。




第1回は、
「PART 1 マイクロソフト、IBM、グーグルの最前線
止まらぬ“人間超え”」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 楽観派が見据える商機
『特異点』へ先手」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 悲観派が描く破滅的未来
実は人類の危機か」
「PART 4 今こそ逆転の発想
日本には追い風」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 人工知能 
 ディープラーニング 
 シンギュラリティー(特異点) 
 AI脅威論 
 逆転の発想 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 マイクロソフト、IBM、グーグルの最前線
止まらぬ“人間超え” 


このパートでは、マイクロソフト、IBM、グーグルのAIへの
取り組みをご紹介します。


先にご説明しておきますが、AIとはArtificial Intelligence
の略称で、人工知能と訳されます。


私たちの想像をはるかに凌駕するような内容に驚くと同時に、
恐怖感を抱きました。AIの研究が急速に進み、このまま進化
していくと、AIは人間を超える頭脳を獲得する可能性が高まり
ます。



 マイクロソフト 



 (マイクロソフト社の基礎研究を担うマイクロソフトリサーチ

 (MSR)のマネージング・ディレクターのエリック・)ホービッツ氏は

 MSRで22年間AI(人工知能)研究に携わり、米国人工知能

 学会長も務めた人物。長年業界をリードしてきた第一人者から

 見ても、マイクロソフトが昨年12月にプレビュー版を公開した

 インターネット通話の同時通訳機能「スカイプトランスレーター」は

 格別の成果だった。


 スカイプトランスレーターは、使用言語の違う相手との会話を

 ほぼリアルタイムで翻訳し、自国語で話してくれる。

 現在は英語・スペイン語間のみだが、2015年中に日本語も

 加わる見通し。
 

  (P.030)



英語に大きなハンディを持つ日本人には朗報かもしれません。
英語を勉強しなくてもこの機械があれば「同時通訳」してくれる
ので、コミュニケーションが取れることになるからです。


ですが、AIの可能性ははるかに広がっています。
これはほんの序の口に過ぎません。




 革新の発端は2009年に遡る。この年、MSRはある人物を

 レドモンドに招き、共同研究を始めた。カナダ・トロント大学の

 ジェフリー・ヒントン教授。「ニューラルネットワーク」と呼ぶAI

 技術に1980年代から取り組んできたベテラン研究者だ。

 ニューラルネットワークはAIの基本技術である「機械学習」の

 一種。一般に機械学習とは、多数のデータでコンピューターを

 訓練し、人間のように物や音を認識したり、最適な判断をしたり

 できるようにする技術の総称だ。迷惑メールの分類や、通販

 サイトで利用者に最適な商品を提示するなど、身近な場所で

 広く使われている。
 

  (PP.030-031)


「ニューラルネットワーク」と言うのは、人間の神経細胞(ニューロン)
によるネットワークのことで、やさしく解説している本がありますので、
ご紹介しましょう。


『脳研究の最前線 ㊤ 脳の認知と進化』
理化学研究所 脳科学総合研究センター 編
講談社 2007年10月20日 第1刷発行




 人の脳の容積はせいぜい1・4リットル程度で、その中には、

 約140億個の神経細胞(ニューロン)が存在すると言われ

 ています。世界の人口が60億人程度ですから、脳という

 小さな組織の中には、地球上の全人口の2倍を上回る数の

 ニューロンがうごめいていることになります。

 そしてこれらのニューロンはお互いに結合しあって、複雑で

 巨大なネットワークを構成します。

 このような複雑なシステムの働きを理解するには、生物学的

 知識はもちろんのこと脳や神経回路を情報処理システム

 として理論的に理解することが必要になります。
 

  (前掲書 P.282)
  (世界の人口は現在70億人、太字は藤巻隆)


ニューロン(神経細胞)のネットワークで、ニューラルネットワーク
というわけです。


ニューラルネットワークについて、さらに詳しく解説がされて
いますので、読んでいきましょう。


「よく分からない」という感想を持たれたかもしれませんが、
心配いりません。研究者ではないので、詳細は知らなくても
構いません。


ただ、概要は理解する必要はあります。




 機械学習には多くの方法があるが、中でもニューラルネットワークは、

 主に人間の脳の神経回路を参考にした層構造をコンピューター内に

 作り学習させる。
 

  (P.031)



ここで、キーワードの一つ、「ディープラーニング」が出てきます。



 ヒントン教授は、それまでは難しかった、ニューラルネットワークの

 階層を4層、5層と増やして精度の高い学習を実現する方法を開発。

 層の構造が“深く(ディープ)”なることから、「ディープラーニング」

 と呼ばれる。これが、AI業界に革命をもたらしたと騒がれる技術の

 基本概念だ。

 MSRの研究者がヒントン教授らとともに音声認識のデータで実践した

 ところ、25%も精度が向上した。それまで約10年続いた機械学習

 研究の停滞を打ち破った瞬間だった。

 それから6年、ディープラーニングの研究は急速に進展している。

 学習に使えるビッグデータの増加やコンピューターの性能向上が

 後押しとなり、AIの精度は音声認識以外の分野でも、着々と人間を

 超越しつつある。
 

  (P.031)
  (太字は藤巻隆)


『日経ビジネス』は淡々と事実を伝えていますが、「AIの精度は音声
認識以外の分野でも、着々と人間を超越しつつある」という部分は、
背筋がぞっとしませんか?



進化のペースが劇的に上がった<br />・近年報告されたAIの主な成果

進化のペースが劇的に上がった
・近年報告されたAIの主な成果

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.031)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号



マイクロソフトやグーグルのディープラーニングの成果の一例を
ご紹介しましょう。


今までは、検索窓にキーワードを入力して検索していました。
画像そのものの検索はできませんでした。あくまで画像に
添付されたキャプションを読み込んだだけでした。


ところが、「リアルタイムの音声通訳が実用化」されたり、
「写真の内容を自動的に説明」することが可能になったのです。



ディープラーニングの登場以降、AIの進展が<br />急加速した。マイクロソフトやグーグルなどの<br />IT企業が画像認識や音声認識、自動キャプション<br />などで成果を競い合う

ディープラーニングの登場以降、AIの進展が
急加速した。マイクロソフトやグーグルなどの
IT企業が画像認識や音声認識、自動キャプション
などで成果を競い合う

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.031)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




マイクロソフトは、2015年中に次期OS、Windows 10 に
このようなAIの成果を早速取り入れています。



 検索エンジンの「ビング」、ビッグデータの予測分析を

 支援するクラウドサービス「アジュール」、スマートフォンの

 アシスタント機能「コルタナ」など、AIはあらゆるマイクロソフト

 製品に搭載され始めた。その精度が数%違うだけで、顧客の

 システムに対する印象は何倍も変動し、収益を左右する。
 

  (P.032)



マイクロソフトは「AIは人間を超越する」というコンセプトでAIを
開発しています。


次にご紹介するIBMはマイクロソフトの取り組みとは一線を画し
ています。




 IBM 

IBMが開発した「ワトソン」というAIが凄いです。
もっともIBMはAIという言葉を使っていません。
「認知型(コグニティブ)コンピューティング」(P.033)です。
ですが、実質的にはAIです。言葉で差別化しているのです。



 一方、人間を超越するAIの開発とは一線を画し、人の能力

 を何倍にも拡充するというコンセプトで生み出されたのが、

 米IBMの「ワトソン」だ。


 「従来なら6日間の入院でプロの医師が検査を繰り返しても

 判明しなかった病名が、数時間で診断できる」。

 (IBMの担当者、フレデリック)タンボール氏は、病院の医師

 がワトソンを活用するメリットをこう説明する。


 医師は通常、患者の症状や検査データ、自らの過去の経験や

 知識を基に病気を診断する。だが人間である以上、判断には

 どうしても偏りが生じる。膨大な医療文献に目を通し、最新の

 研究成果を全て頭に入れるのも事実上不可能だ。こうした

 人間ゆえの限界が、医療費増大や治療ミスの引き金になる。

 これに対しワトソンは、何百万件にものぼる文献の内容と診療

 記録や患者の属性などとの関連を分析。偏りや漏れの少ない

 仮説(病名)を瞬時に提示する。仮説には根拠となる情報源や、

 患者の症状との整合性から計算した「確信度」も表示される。
 

  (P.033)


医師が診断する必要がなくなってしまうかもしれません。
「ワトソン」が速く正確な診断をしてくれるなら、患者さんは
「ワトソン」の診断のもとに、治療法を選択できる時代が
やってくるかもしれません。


やぶ医者に診てもらうより、ずっと良い結果が得られること
になるからです。誤診による余計な手術をしなくてすんだり、
命を落とさずにすむという究極の選択ができる(?)かも
しれません。


その代わり、診断料は高価になり、「ワトソン」に診断して
もらえるのは富裕層(!)だけとなるかもしれません。


「ワトソン」の応用範囲は広く、「M&A(合併・買収)戦略を
練る企業内弁護士、投資先を検討中の金融機関、メニュー
の改善方法に悩むレストラン──。こうした知識や経験が
必要な分野でも、ワトソンにより的確な意思決定ができる」
(P.033)そうです。


誰でも「最高の専門家」の助言が得られる<br />・IBM「ワトソン」の応用が想定される分野

誰でも「最高の専門家」の助言が得られる
・IBM「ワトソン」の応用が想定される分野

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




IBMは「ワトソン」を人間の脳になぞらえています。



 IBMは言語や論理分析に優れるワトソンを「人間の左脳」に

 見立てる。一方、同社は感覚や認識に優れた「右脳」の

 機能を模したコンピューターチップも独自に開発中で、

 今後、ワトソンと統合する計画だ。
 

  (P.034)




 グーグル 

グーグルのAIへの取り組みをご紹介します。
グーグルは検索エンジンから始まって、OS、メールシステム、
ドローン、自動運転、そしてAIと事業を拡大しています。



 「AIの権化」とでも表現すべき企業のグーグル。

 検索エンジンから自動運転車まで、常にAIを核として

 世界に影響力を及ぼしてきた巨人も、次なる未来へ

 一歩を踏み出している。

 
 翻訳や検索といった特定業務に秀でるのでなく、1つの

 “頭脳”であらゆる分野に対応できる、人間のような

 “汎用AI”。その一端は既に見えている。

 今年2月、同社が英科学誌ネイチャーに発表した人工知能

 「DQN」がそれだ。
 

  (P.034)



「DQN」とは一体どんなAIなのでしょうか?
グーグルらしい発想でAIを進化させようとしています。



 DQNは種類の異なる多様な作業を自ら学んで解決して

 いくAIの原形として開発された。シューティングゲームや

 ボクシングなど49種類のビデオゲームをDQNにプレー

 させたところ、43種類で従来の機械学習技術に勝利。

 半数以上のゲームでは、人間のプロプレーヤーさえ上回った。

 驚くべきは、各ゲームの攻略法を、AIがゼロから身に付けた

 という点だ。
 

  (P.034)



下の図をご覧ください。
上記の説明で理解しづらい点が、少しは理解できるように
なるでしょう。


Google 検索からグローバル課題の<br />解決まで視野に

Google 検索からグローバル課題の
解決まで視野に

(『日経ビジネス』 2015.03.30 号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.03.30 号




マイクロソフト、IBM、グーグルとは異なるコンセプトで
AIの開発に取り組んでいるIT(情報技術)企業もあります。



 「ディープラーニングは実用的には便利だが、知性と呼べる

 ものにはほど遠い。将来のAIは我々の手法が主流になる」。

 こう語るのは米シリコンバレーのAI企業ヌメンタのジェフ・

 ホーキンス共同創業者。1990年代に携帯情報端末「パーム」

 の開発で名を上げたが、「脳ほど価値のある研究対象はない」

 と転身した異色起業家だ。


 ヌメンタは思考や認識を担う「大脳新皮質」の構造をコンピュー

 ターで再現する研究を進めている。神経細胞1個当たりに数千

 以上の接合部が複雑につながる新皮質の構造や、目や耳から

 入ってくる信号を脳が処理する仕組みを忠実に反映している。

 同社の手法は、ディープラーニングに比べ、時々刻々と変化する

 データの扱いに優れている。
 

  (P.035)


「大脳新皮質」とは。


 大脳新皮質(だいのうしんひしつ、英: Cerebral neocortex,

 isocortex)とは、大脳の部位のうち、表面を占める皮質構造

 のうち進化的に新しい部分である。合理的で分析的な思考や、

 言語機能をつかさどる。いわゆる下等生物では小さく、

 高等生物は大きい傾向がある。

 人類では、中脳、間脳などを覆うほどの大きさを占めている。

  厚さおよそ2mmの皮質状組織で、灰白色を呈し、6層構造をもつ。
 

 (大脳新皮質 Wikipedia から)


大脳新皮質

大脳新皮質 Wikipedia から






果たして、AI業界の雄となるのは、どこなのでしょうか?
20年以内に、いや10年以内に決着はつく、と私は考えて
います。


これまでの話を総括すると、「『AI』という用語は、ロボットや
アンドロイドなどSF(空想科学)小説的な未来を連想させる」
(P.035)かもしれませんが、ビジネスへの導入が最終的な
目的ですから、「医師から科学者、弁護士まで、知的労働者
の世界を激変させる可能性を持つ」(P.035)脅威ともなる
存在です。


話は脇道にそれますが、幼少期、「漫画の神様」とか「漫画の
父」と言われた手塚治虫の「鉄腕アトム」をよく見ていました。


手塚治虫のご子息の手塚眞さんは、
『手塚治虫 知られざる天才の苦悩』(手塚眞 アスキー・
メディアワークス 2009年6月10日 初版発行)

の中で次のように語っています。



 なにより『鉄腕アトム』は人の気持ちをきちんと描いて

 います。アトムは単純なヒーローではなく、人間の

 ようにコンプレックスや弱い部分をたくさん抱いています。

 彼は完全ではないし、だからこそ悩みを抱え、悲しんだり

 落ち込んだりもします。子供みたいに純真で、とても

 デリケートな心を持っています。

 アトムは人間のように美しい音楽で感動したりできません。

 「美しい」と感じる心がないのです。それがコンプレックス

 となり、とても悩みます。人間以上のパワーがあり、

 なんでもできるのだからそのくらいどうでもいいじゃないか、

 と思うかもしれませんが、アトムにとっては大きな問題なの

 です。
 

 (前掲書 PP.117-118)




鉄腕アトム(1963)


URL
鉄腕アトム(1963)
https://www.youtube.com/watch?v=KGq6z1mEU9Q





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 人工知能 
 ディープラーニング 
 シンギュラリティー(特異点) 
 AI脅威論 
 逆転の発想 




次回は、
「PART 2 楽観派が見据える商機
『特異点』へ先手」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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