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主役はベンチャー パナソニックが脇役に 大手は子に従え 2015.04.13 <3>


DMM FX×あいまいみー




日経ビジネスの特集記事(103)

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え
2015.04.13



今週の特集記事のテーマは

ウエアラブルやロボット、自動運転など、次世代産業分野で
日本の大手から画期的な製品が生まれてこない。
自前主義などの旧来の枠組みから脱しきれず、
イノベーションの壁にぶち当たっている。
そんな中、ユーザーニーズを素早くくみ取り、画期的な製品を
繰り出すモノ作りベンチャーが続々登場した。
大手が開発を牽引する「主」の立場から、ベンチャーの言うが
ままに技術や部品を差し出す「従」へ。
この主役交代の歯車は既に回転を始めた。このまま大手は
なすすべもなく転落していくだけなのか。いや、そうではない。
「逆転の構図」の中にこそ、日本のモノ作りを再生するヒントが
隠されている

 (『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.026)

ということです。




主役はベンチャー<br />パナソニックが脇役に<br />大手は子に従え

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





今週の特集記事のタイトルは、「大手は子に従え」です。
もちろん、「老いては子に従え」にかけて表現しています。


主役はベンチャー企業になってきていて、大手企業は脇役
となり、協業することで、相互補完関係が出来上がりつつ
ある現在を、『日経ビジネス』は多くの事例を交えて紹介して
います。


そこには、大手企業が革新的な製品を生み出す力が衰えて
きたと見ることもできます。冒険する、チャレンジする精神が
弱まってきた、と言っても過言ではないでしょう。


歴史を振り返るまでもなく、未来永劫存続するものなどない、
と断言できます。生老病死は人間だけに当てはまることでは
なく、「生きとし生けるもの」すべてに共通する概念です。


企業も「法人」という生き物と考えれば、人間と同じ運命を辿る
ことは避けられません。


唯一、存続し続けることができるとすれば、それは自己変革が
できた場合です。従来のやり方を踏襲し続ける限り、いずれ
終焉を迎えます。





第1回は、
「PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
を取り上げました。


最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




では、本題に入りましょう!


その前に、まず、シリコンバレーの位置を Google Earth で
確認しておきましょう。


1994年にシリコンバレーに移り住み、1997年に
コンサルティング会社、ミューズ・アソシエイツを
シリコンバレーで創業し、現在も米国在住の
梅田望夫(うめだ・もちお)さんは
『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』
(ちくま文庫 筑摩書房 2006年8月10日 第1刷発行)
を出版しています。


この本の「プロローグ」の右ページ(P.12)にシリコン
バレーの地図が掲載されています。


その下に次のキャプションが書かれています。



 シリコンバレーという地名はない。「どこからどこまでが
 
 シリコンバレー」という厳密なコンセンサスもない。

 サンフランシスコ湾の東側と西側の山の間にあるから

 バレー(谷)。でも実際にはバレーの一部は海だ。

 湾の西側からシリコンバレーは発祥したが、サンフラン

 シスコやバークレーをも含むこの地図がカバーする全体
 
 (現地では「ベイエリア」と呼ぶ)を「広義のシリコンバレー」

 と呼んでよいと思う。(筆者)
 

  (前掲書 P.12)



前掲書の地図に近い状態を Google Earth で再現してみました。


シリコンバレー Google Earth による

シリコンバレー Google Earth による




次の地図は、シリコンバレーで最初に創業した、ヒューレット・
パッカードの所在地周辺を示すものです。


ヒューレット・パッカードとその周辺 Google Earth による

ヒューレット・パッカードとその周辺 Google Earth による




次の画像は、ヒューレット・パッカードの建物とその周辺を示すものです。

ヒューレット・パッカード Google Earth による

ヒューレット・パッカード Google Earth による




前置きが少し長かったかもしれませんが、シリコンバレーの
地理関係と、ヒューレット・パッカードを知っておくと、
これからお伝えする記事内容が、よりいっそう深く理解できる
もの、と考えました。


『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』から
何度か関連情報をご紹介します。




 大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い 



シリコンバレーに優秀な技術者を送り込めば、イノベーション
が生まれると考えるのは早計だ、ということが指摘されて
います。



 シリコンバレーに駐在員を何人か置いて、新製品の開発

 拠点を設ければ、イノベーティブな製品が生まれると勘違い

 している日本企業は多い──。

 米シリコンバレーに20年以上在住し、近隣の工場に生産

 設備を販売する傍ら、日本の町工場のシリコンバレー進出

 を手助けする、ある経営者は語る。


 少し考えれば分かるが、優秀な技術者を現地に送り出した

 ところで、イノベーションを生む努力を怠っては何も変わらない。

 多くのメーカーはただ社員を送り出すだけだが、

 「イノベーションを生むためにすべきこと」は駐在員に伝えて

 いない。
 

  (P.034)



海外駐在員が日本人たちだけで集まり、地元に溶け込もう
としないということは、よく指摘されることです。


国内でやってきたことを海外でも同様にやっていては、
イノベーティブな製品が生み出されるはずがないことは
誰にでも分かることです。


ですが、実態は国内と変わりません。



 真面目な駐在員だったとしても、手をつけるのは日本で

 やっていたことと同じ「既存製品の市場調査」くらい。

 これでは、これまでの枠組みにとらわれない全く新しい

 製品など、生み出せるはずもない。

 にもかかわらず、シリコンバレーに拠点を構えようという

 日本企業は後を絶たない。
 

  (P.034)


日本の悪弊である横並び思考がはびこっているのです。


では、「シリコンバレーに赴く駐在員がすべきことは何か」
(P.035)ということになります。


『日経ビジネス』特集班は、次のような提言をしています。



 現地のモノ作りベンチャーやIT(情報技術)ベンチャー、

 投資家と積極的に交わることで、イノベーションの種を

 見つけるのが一つ。


 現地の人材をどんどん雇い入れるのもいいだろう。

 前出の日本人経営者がここ数年で見てきたのは、

 韓国や中国の大手スマートフォンメーカーが次々と巨大な

 開発拠点を構え、シリコンバレーにあふれる優秀な技術者を、

 数千人レベルで雇い入れる姿だ。

 「日本もここまでやれば変革を起こせるかもしれないが、

 なかなか資金がないのだろう」。
 

  (P.035)



大手企業の勘違いが多いという指摘に、経営トップはどう対処
するのでしょう?


 「斬新な製品を開発するベンチャーへの投資を増やせば、

 おのずと自社に新しい風を吹き込める」という幻想だ。

 むろん、やり方次第でそれも可能だが、実際はそうはならない。

 ベンチャーの発想を大手が取り入れるどころか、逆に大手の

 考え方や尺度を出資先のベンチャーに押し付けることで、

 ベンチャーの輝きを失わせてしまうからだ。

 ある経営者は言う。「輝かしい成功体験を持っている“おじさん”

 ほど、自分の考え方や物事の見方を相手に押し付ける傾向が

 ある」。

 そして、こう言い切った。「でも、彼らの成功体験は昔の話。

 昔はそれが正解でも、今は市場もモノ作りを取り巻く環境も

 違う。だから、僕らは僕らの感覚で経営をするために、

 そんなおじさんのいる会社の出資は受けない」。
 

  (P.035)



過去の成功体験を自慢していても、時代も環境も大きく
変わった現在では、通用しないということに気づいて
いないのです。


過去に成功した手法を繰り返し、マーケットからしっぺ返しを
食らうことを「成功の復讐」と言いますが、彼らには恐らく
理解できないでしょう。


シリコンバレーとはどんなところだったのか、梅田望夫さんの
『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』
から、再度、関連した話を拾い出してみます。



 ベンチャー企業の創業者たちは、自分たちの給料、雇った

 社員の給料、開発費、オフィスの経費などを支払いながら、

 手元の資金が尽きるまでの間に、アイデアを「大きな価値を

 現実に生み出す製品やサービス」に創り変え、それを世に

 問うというゲームを始めるのである。その途上で資金が尽き

 れば、同じ出資者からの増資を受けたり、その時点までの

 進捗成果に賭ける新しい資金を調達して、また走り続ける。

 成功して株式を公開すれば、何千万ドル、何億ドルという

 価値の株式をベンチャー・キャピタル、創業者共々保有する

 ことになる。これがシリコンバレー・ドリームである。

 一方、残念ながら、資金尽き、力尽きて倒れても、ベンチャー・

 キャピタルからの資金は借金ではないし、事業と個人の間に

 明確な一線が引かれているから、経営者の個人資産にまで

 その債務が及ぶことはない。
 

  (前掲書 P.26)



大きなリスクを負っているように見えて、実際には決して
そのようなことはないことが、梅田さんの話から分かります。


日本では、金融機関から融資を受ければ、元本プラス利息の
返済に窮する可能性があるだけでなく、通常、創業者が連帯
保証人に指定されますから、個人資産まで根こそぎ持って
いかれます。


自己破産するしか道が残されていないケースが多いです。
その点で、ベンチャー・キャピタルから資金を調達した場合には、
借入金ではありませんから、返済の義務がありません。


米国のベンチャー・キャピタルは、投資して千三(せんみつ)、
千に三つあるいは、百に一つでも大化けしたら大儲けできる
という捉え方をしています。それで大成功なのです。


10社に投資して、10社が大きく成長することなどありません。
途中で潰れてしまうことは日常茶飯事です。




最初にご覧いただいた Google Earth の最初の地図で、
スタンフォード大学の所在地地点に赤いマークで黒文字の
A が見えると思います。


スタンフォード大学がどのような位置づけなのか、前掲書
で解説を読んでみます。



 スタンフォード大学は、言うまでもなくシリコンバレー発祥

 の地である。


 スタンフォード大学とシリコンバレーは、「産学協同」といった

 生やさしい響き以上の、産業が大学の中に手を突っ込んで

 常時かきまわしているような「産学一体」とも言うべき混沌と

 した関係にある。


 もともとは、1938年スタンフォード大学のターマン教授が、

 指導していた二人の学生ヒューレットとパッカードに事業化

 を勧め、資金調達に加え、自らも資金を提供して応援した

 のがシリコンバレーの始まりである。 
 

  (PP.41-42)



スタンフォード大学は「シリコンバレー発祥の地」だったのです。




 PART 3 日本企業が進む道
 「相手が生きれば自己も生きる」 


今特集も最後となりました。
PART 3では、『日経ビジネス』が松下幸之助氏の著書から
言葉を引用して、日本企業が進むべき道を示唆しています。


時代は変わりつつある、いや既に変わったと認識するべき
かもしれません。


世の中の動きはどんどん加速し、誰も止めることはできません。
波に乗っていけるか、いけないかは、いつの時代にも共通する
勝敗の分かれ目です。



 大手企業こそが日本経済の主役であり、中小企業や

 ベンチャーはそれに従う。長く続いてきた、そんな役割

 分担は、根底から変わろうとしている。

 この20年間、インターネットの登場やその普及とともに、

 IT(情報技術)分野でイノベーションの担い手は大手から

 ベンチャー企業へと転換した。その現象が今、モノ作りの

 分野でも起き始めたことは、既に見た通りだ。 
 

  (P.042)



どうような変化が起きたのかもう一度、確認してみましょう。



 優れたアイデアがあれば、少額の初期資本で簡単に製品

 を開発できる環境もできてきた。クラウドファンディングや

 3Dプリンターの登場などで、そうした流れは更に加速して

 いる。
 

  (P.042)



グーグルについて言及しています。



 見習うべき一つのケースが米グーグルだ。ネット業界に

 君臨し続け、今でも優秀な技術者集団であることに疑いの

 余地はない。

 ところが近年、グーグルが自ら生み出したイノベーションは

 意外に少ない。動画サイト「ユーチューブ」、スマートフォン用

 OS「アンドロイド」、ロボット事業──。むしろ他のベンチャー

 を買収し、そのアイデアをうまく生かして育てているものが

 ほとんどだ。


 グーグルの戦略は、米国における膨大なベンチャーの起業数

 に支えられている。「量」があるからこそ、高い「質」のベンチャー

 も数多く生まれる。そして、そこへ多額の投資資金が流れこむ

 というサイクルの上で、機能している。
 

  (P.042)


グーグルのケースを考えますと、日本でも可能性が高い一つの
手法が浮かび上がってきます。


それは「大手とベンチャーが補完し合うこと」(P.043)です。



 ここで浮かび上がるのは、大手とベンチャーが補完し合う

 ことが、日本企業の競争力を高める決め手になる可能性だ。

 ベンチャーのリスクが抑えられ、起業数も増えてくるはずだ。

 その関係も、もちろんこれまでとは変わる。時と場合により、

 主従は柔軟に逆転するだろう。 
 

  (P.043)



ここで、『日経ビジネス』特集班は、「巨大企業も、もともとは
ベンチャーだった」(P.043)という観点から、パナソニック
(旧松下電器産業)の創業者、松下幸之助氏の著書、
『道をひらく』から引用しています。



 「自己を捨てることによってまず相手が生きる。

 その相手が生きて、自己もまたおのずから生きる

 ようになる」

 プライドにとらわれず謙虚に相手を生かすことの

 重要性を説いている。それこそが、自己も生き残る道

 であると。

 「大手が主役でなければならない」という固定観念を捨て、

 革新を追求するという原点に戻れば、おのずと進むべき

 道が見えてくるはずだ。
 

  (P.043)



最後に、もう一度、梅田望夫さんの
『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』
から引用します。



 「なんでもかんでも、すべては個人の中から生まれるんだ。

 会社からじゃないんだ。価値を生み出すのは会社ではなくて

 個人なんだ。日本人でそういうモノの考え方をする奴に初めて

 会ったよ」。彼は急にまくしたてるように話した。それから二人

 の関係は全く違う親密なものになった。それは仕事の付き合い

 が個人と個人の関係に変わった瞬間でもあった。
 

  (P.208)



ここで「彼」というのは、大物です。



 ゴードン・ベル。コンピュータ産業育ての親の一人。

 70年代から80年代に一世を風靡したPDP/VAXシリーズ

 (DEC社)というコンピュータを設計したアーキテクト

 (建築家の意)として有名である。DECの技術担当副社長、

 カーネギーメロン大学コンピュータ学科教授を経て、

 米国政府のコンピュータ研究開発予算の配分を任されて

 いた時期もある。


 彼は、いくつものベンチャー企業に個人として投資する

 エンジェルでもある。
 

  (PP.206-207)





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 



いかがでしたでしょうか?
私たち一般人は、世の中の変化を観察しながら、
一歩一歩地道に歩んでいくことが大切だと思います。






記事を読んで、面白かったら
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主役はベンチャー パナソニックが脇役に 大手は子に従え 2015.04.13 <2>


DMM FX×あいまいみー




日経ビジネスの特集記事(103)

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え
2015.04.13



今週の特集記事のテーマは

ウエアラブルやロボット、自動運転など、次世代産業分野で
日本の大手から画期的な製品が生まれてこない。
自前主義などの旧来の枠組みから脱しきれず、
イノベーションの壁にぶち当たっている。
そんな中、ユーザーニーズを素早くくみ取り、画期的な製品を
繰り出すモノ作りベンチャーが続々登場した。
大手が開発を牽引する「主」の立場から、ベンチャーの言うが
ままに技術や部品を差し出す「従」へ。
この主役交代の歯車は既に回転を始めた。このまま大手は
なすすべもなく転落していくだけなのか。いや、そうではない。
「逆転の構図」の中にこそ、日本のモノ作りを再生するヒントが
隠されている

 (『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.026)

ということです。




主役はベンチャー<br />パナソニックが脇役に<br />大手は子に従え

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





今週の特集記事のタイトルは、「大手は子に従え」です。
もちろん、「老いては子に従え」にかけて表現しています。


主役はベンチャー企業になってきていて、大手企業は脇役
となり、協業することで、相互補完関係が出来上がりつつ
ある現在を、『日経ビジネス』は多くの事例を交えて紹介して
います。


そこには、大手企業が革新的な製品を生み出す力が衰えて
きたと見ることもできます。冒険する、チャレンジする精神が
弱まってきた、と言っても過言ではないでしょう。


歴史を振り返るまでもなく、未来永劫存続するものなどない、
と断言できます。生老病死は人間だけに当てはまることでは
なく、「生きとし生けるもの」すべてに共通する概念です。


企業も「法人」という生き物と考えれば、人間と同じ運命を辿る
ことは避けられません。


唯一、存続し続けることができるとすれば、それは自己変革が
できた場合です。従来のやり方を踏襲し続ける限り、いずれ
終焉を迎えます。





第1回は、
「PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
を取り上げます。


最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて「従」となり革新力を鍛え直す 



PART 1 では、大企業の活力が失われ、ベンチャーとの
協業を模索する様子をお伝えしました。


PART 2 では、さらにもう一歩進み、大企業がベンチャー
の「従」となる、主従関係の逆転現象が起きている現場を
『日経ビジネス』は活写しています。


もちろん、これが全てではありません。従来通りの主従関係
を堅持している業界も多数あることでしょう。


ですが、主従関係の逆転現象は珍しいことではなくなって
きた、というトレンドを頭に入れておく必要があります。


元米大統領のジミー・カーター氏は自著で次のように語って
いたことを思い出しました。シチュエーションがどういうもの
であったかは覚えていません。


本来、言葉は文脈の中で捉えるべきであることは、重々承知
していますが、自分なりの解釈でご紹介します。


Once a ball goes down the slope, it's hard to stop it.
(ボールが一度坂を転がりだすと、止めることは容易でない)


物事がある方向へ進み出すと、大きな流れになることがあり、
その流れを食い止めることはなかなかできない、ということ
です。




 大手企業からイノベーションが生まれず、ベンチャーに

 頼らざるを得なくなっている。PART1では主役が交代

 する最前線で、戸惑う大手と躍進するベンチャーの姿を

 描いた。


 この動きはもはや止めようもない。ならば、その流れに

 乗って新しい形の成長を目指してはどうか。大手が時には

 戦略的に従の立場に徹することも、勝ち残るための有力な

 手段になるはずだ。
 

  (P.036)



大企業が「従」となり、ベンチャーと組んでビジネスを展開
しているケースをご紹介しましょう。



 Qrio 


Qrio という会社があります。この会社はソニーと協業し、
スマートフォンを使った「スマートロック」という装置を
開発しました。


 昨年12月、ネット上で「Qrio(キュリオ)」という企業が

 発表した、ある製品が注目を集めた。

 スマートロックと呼ばれる装置で、無線通信機能と鍵

 を回すモーターが内蔵されている。家のドアの鍵に

 取り付ければ、スマートフォンで鍵の開閉ができる。

 家を貸し借りしたり、掃除サービスを利用したりする際に、

 面倒な鍵の受け渡しが必要なくなる。
 

  (P.036)



Qrioの社長について紹介しておきましょう。



 「Qrio」という社名は、かつてソニーが開発していた

 2足歩行ロボットのブランド名「QRIO」から取った。

 社長の西條晋一は、インターネットベンチャー、

 サイバーエージェント出身だ。ソニーが4割を出資する、

 同社のグループ会社である。 
 

  (P.037)


ソニーが4割を出資しているので、ソニーの子会社かと理解
されそうですが、実はそうではありません。


Qrioが主導権を握っています。
どのような関係にあるのか詳しく見ていくことにしましょう。
従来の考え方からすると、全くありえないような内容です。



 企画、立案、販売などは、Qrioが手掛ける。その指示を

 受けたソニーの社員たちが、実行部隊として駆け回り、

 製品化に結びつけた。製品はあくまでQrioブランド。

 ソニーは下請けとして動いた形だ。
 

  (P.037)



「ソニーが下請け?」という疑問を持たれるのも無理はあり
ません。ソニー側には「ある狙い」があったのです。
その狙いとは?



 狙いは、あえて自分が従の立場につき、Qrioの言う通りに

 動くことによって、ソニー内部で知らず知らずのうちに出来

 上がってしまった固定観念や枠組みを破壊することにあった。

 そして、失われてしまった豊かな発想とスピード感を取り

 戻そうという狙いだ。ソニーは自ら戦略的に主従を逆転させた

 わけだ。
 

  (P.037)



つまり、ソニー内部に巣食っていた「ゆでガエル」「井の中の蛙」
と言った、チャレンジ精神の喪失に対し刺激を与える意味があっ
たのです。


社内ではなかなか改革できないことを、外部との協業によって、
発想の転換や新しいことに挑戦することの重要性を実感させる
ためだったのです。


この協業を通じてソニー社員が得たものは決して小さくはなかった
ということです。



 Qrioでの経験は、プロジェクトに参画したソニー社員たちに

 とって驚きの連続だった。その一つが、価格決定のプロセスだ。

 ソニー流の考え方で部品価格や在庫リスクを積み上げると、

 価格はどうやっても数万円になる。ところが、西條社長は

 「税抜きで1万5000円。そうでないと売れません」と言い放った。 
 

  (P.037)



価格決定のプロセスには2つあることを理解しておきましょう。
1つは「プロダクトアウト」で、もう1つは「マーケットイン」です。


「プロダクトアウト」というのは、原価+利益=販売価格という
もので、項目を積み上げて価格決定していく方法です。
足し算です。


先の話で言いますと、ソニー流の考え方です。これは「強者の
戦略」と言い換えてよいでしょう。殿様商売ができる場合です。


「マーケットイン」は、「はじめに販売価格ありき」という考え方
です。つまり、販売価格-利益=原価で表されます。
引き算です。一定の利益を確保するためにはコストダウン
しなければならないということです。
これは、Qrioの考え方です。


別の言い方をしますと、「プロダクトアウト」はメーカーの発想で
あり、「マーケットイン」は販売店の発想あるいは、消費者の発想
です。


価格戦略はとても重要です。消費者が、価値を認めてくれ、
この価格なら購入してくれるだろう、という適正価格を決めること、
すなわち「値決め」が重要であることは、京セラの創業者、
稲盛和夫さんも指摘しています。


京セラはメーカーですが、稲盛さんはメーカー発想ではなかった
ということです。


ソニーとQrioのような大企業とベンチャーとの協業のケースは
他にもあります。


下の表をご覧ください。


ベンチャーの革新力を求める動きが相次ぐ<br />・大手とベンチャーの協業などの主な事例

ベンチャーの革新力を求める動きが相次ぐ
・大手とベンチャーの協業などの主な事例

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





協業の機運が盛り上がり、県境も整ってきた<br />・大手と中小ベンチャーをマッチングする主な取り組み

協業の機運が盛り上がり、県境も整ってきた
・大手と中小ベンチャーをマッチングする主な取り組み

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




ソニーとQrioの協業には続きがあります。
通常、コストを削るため製品を入れる箱は薄い紙でできて
いることが多いですね。


ところが、Qrioの西條社長は「製品を入れる箱はよりコスト
をかけて、上質感のあるものにしよう」(PP.037-038)と
提案していたそうです。


どんな意図があったのでしょうか?



 低価格にこだわる一方、一見無駄に見える箱にコスト

 をかける決断をしたのはなぜか。そこにはネットに詳しい

 西條が知る、ブームの存在があった。消費者の間で

 広がっている、「開封の儀」と呼ばれる儀式である。
 

  (P.038)



「開封の儀」という言葉は初耳です。あなたはご存じでしたか?



 新製品を購入した顧客が、感想を述べながら箱を開けて

 製品をセットアップする模様を、動画でネット配信するのだ。

 消費者がどの製品を購入するかを決める際に、この動画

 を参考にするケースが増えている。「コストがかかっても、

 まず箱の高級感で驚かせることができれば、ネットで開封の

 儀を見ている消費者に口コミで広がる。広告宣伝効果を

 考えれば箱代が100円から500円になってもお釣りがくる」

 (西條社長)。ソニーの社員たちだけで会議をしていても、

 恐らく生まれなかった考え方だ。
 

  (P.038)



この話を読んで、唸ってしまいました。そこまで観察している
のか! そこまで深堀りしているのか! 驚きました。


もちろん、客観的に評価できる方法は見つからないかもしれ
ません。ですが、そこまで考えて製品を大切に扱おうとする
心意気は、消費者に必ず伝わると思いました。


『日経ビジネス』特集班は、ソニーの取り組みを次のように
まとめています。



 ソニーもこれまでベンチャー買収などを手掛けてきた。

 だが、せっかくの革新の芽を自ら摘み取り、今の苦境を

 食い止められなかったことへの反省もあったのだろう。
 

  (P.038)



大企業とベンチャーの協業のケースをご紹介しましたが、
他に、大手とベンチャーの間に入り、マッチングさせ、
投資するベンチャーキャピタルがあります。


そのベンチャーキャピタルの一つ、WiLをご紹介します。


 WiL 

いわば、「提携の旗振り役」(P.040)をする企業です。
WILとはどのような会社なのか、からお伝えします。



 全日本空輸、ソニー、日産自動車、三越伊勢丹

 ホールディングス、みずほ銀行──。日本の大手

 企業10社以上から合計3億ドル(約360億円)を集め、

 2013年末に設立したWiL。
 

  (P.041)



WiLは米シリコンバレーにオフィスを構えています。
その関係で集まった資金が米ドルなのです。
WiLとは、World Innovation Lab の略だそうです。


WiLの共同創業者CEOの伊佐山元氏とはどのような
経歴の人物でしょうか?


「日本興業銀行からシリコンバレーのベンチャー
キャピタルに転じて経験を積んできた」(P.041)そうです。


WiLについて、伊佐山氏は次のように語っています。
『日経ビジネス』特集班の解説と併せてお読みください。



 伊佐山は「我々は単なるベンチャーキャピタルではない。

 大手のR&D(研究開発)の蓄積を活用できる有望な

 ベンチャーを見つけ、有機的につなぐのが役割だ」と

 説明する。大手はWiLに次世代事業のタネ探しを期待

 しているのだ。現在、大手とベンチャーを結びつける

 複数の案件が動いている。

 伊佐山がWiLを設立した狙いはもう一つある。複数の

 大手企業から持ち寄った知的資産を組み合わせて、

 イノベーションを起こすことだ。
 

  (P.041)



目標は、「大手自身が社内の使われていない資産を
活用できるベンチャーを作れるようになること」(P.041)
だそうです。


大手とベンチャーの間に入り、仲介役になるだけでなく、
旗振り役になっています。


大手がベンチャーと組んで協業したいとしても、どこの
ベンチャーと組んだらよいのか分からないケースがあり
ます。


そうした場合にマッチングさせる役割を担っています。


WiLは大手とベンチャー両社の強みと要望を理解し、
組ませようとしているのです。


結婚(業務提携や合併)にまでには至らないかもしれ
ませんが、結婚相談所のように考えればよいかもしれ
ません。これはあくまでも私の個人的な考え方ですが。


WiLはベンチャーキャピタルですから、大手とベンチャーを
組み合わせて協業させるだけではありません。最終的には、
ベンチャーに投資します。


WiLが現在行なってる事業の一部を一覧にした表があります
ので、ご覧ください。


大手とベンチャーを有機的につなぐ<br />・WILによる大手の資本をベンチャー投資につなげる仕組み

大手とベンチャーを有機的につなぐ
・WILによる大手の資本をベンチャー投資につなげる仕組み

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.040-041)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




『日経ビジネス』特集班は、PART 2を次のようにまとめています。



 従来のモノ作りの常識が通用しない時代に入った。

 大手がイノベーションを生み出す力の回復を目指すなら、

 ベンチャー企業との関係構築を突破口として活用しない

 手はない。
 

  (P.041)



世の中に、なかなか出てこない動きがとてもよく分かる
特集です。ダイナミックな変化は次なる変化を促します。
最初は小さな波が波紋を広げ、大きなうねりとなって
変革する力となるかもしれません。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




主役はベンチャー パナソニックが脇役に 大手は子に従え <1> 2015.04.13


DMM FX×あいまいみー




日経ビジネスの特集記事(103)

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え
2015.04.13



今週の特集記事のテーマは

ウエアラブルやロボット、自動運転など、次世代産業分野で
日本の大手から画期的な製品が生まれてこない。
自前主義などの旧来の枠組みから脱しきれず、
イノベーションの壁にぶち当たっている。
そんな中、ユーザーニーズを素早くくみ取り、画期的な製品を
繰り出すモノ作りベンチャーが続々登場した。
大手が開発を牽引する「主」の立場から、ベンチャーの言うが
ままに技術や部品を差し出す「従」へ。
この主役交代の歯車は既に回転を始めた。このまま大手は
なすすべもなく転落していくだけなのか。いや、そうではない。
「逆転の構図」の中にこそ、日本のモノ作りを再生するヒントが
隠されている

 (『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.026)

ということです。




主役はベンチャー<br />パナソニックが脇役に<br />大手は子に従え

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





今週の特集記事のタイトルは、「大手は子に従え」です。
もちろん、「老いては子に従え」にかけて表現しています。


主役はベンチャー企業になってきていて、大手企業は脇役
となり、協業することで、相互補完関係が出来上がりつつ
ある現在を、『日経ビジネス』は多くの事例を交えて紹介して
います。


そこには、大手企業が革新的な製品を生み出す力が衰えて
きたと見ることもできます。冒険する、チャレンジする精神が
弱まってきた、と言っても過言ではないでしょう。


歴史を振り返るまでもなく、未来永劫存続するものなどない、
と断言できます。生老病死は人間だけに当てはまることでは
なく、「生きとし生けるもの」すべてに共通する概念です。


企業も「法人」という生き物と考えれば、人間と同じ運命を辿る
ことは避けられません。


唯一、存続し続けることができるとすれば、それは自己変革が
できた場合です。従来のやり方を踏襲し続ける限り、いずれ
終焉を迎えます。





第1回は、
「PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
を取り上げます。


最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業 


モノづくりに大きな変革をもたらしたのは、3Dプリンターであり、
ビッグデータの解析技術の向上、そしてAI(人工知能)の急速な
進化が挙げられます。


今までは、資金力のある大手企業や、特殊技術を身につけた
技術者が多く集まる東京都大田区や、大阪府東大阪市の中小
企業群が製品を生み出してきました。


3Dプリンターの価格が低下し、一般の人達でも入手することが
可能になりました。資金力がなくても、特殊技術を身につけて
いなくてもモノづくりが可能になったのです。


さらに、クラウドファンディングによって、資金が集めやすくなった
点も見逃せません。


仮に失敗してもやり直しが出来る環境が整いつつあります。
若く、進取の気性に富む人たちが起業し、モノづくりの世界を
変えようとしています。頼もしい限りです!


オタク系の街として世界的に知られる秋葉原で、別の意味で
「世界の注目を集めている場所」(P.029)があるそうです。
まず、そこからスタートすることにしましょう。



 モノ作りの分野で今、「主役交代」が広がっている。

 これまで製品開発を一手に引き受けていた大手セット

 メーカーがその力を失い、開発を牽引する「主」の立場から、

 主の指示を受ける「従」の立場に転落。大手に代わり、

 ベンチャー企業が「主」の位置につく。こんなモノ作りピラミッド

 の大転換だ。


 日本屈指の電気街、東京・秋葉原。駅から歩いて数分の

 場所にある、ごく普通のオフィスビルの中に、数多くのモノ作り

 ベンチャーが集う開発拠点「DMM.make AKIBA」はある。

 中に置かれているのは、最新の工作機械や3Dプリンター、

 電子部品製造装置といった、大手並みの試作製作ツールだ。


 今、「モノ作りのシリコンバレー」として、世界の注目を集めて

 いる場所だ。
 

  (P.029)



この場所は、起業したい技術者が集まってくるだけでは
ありません! 「日本の名だたる電機大手の経営幹部や
現場の技術者が日々、ここを訪れているのだ」(P.030)



 目的は様々。例えば、「ベンチャーと協業しなければならない

 と考えてはいるが、何から始めていいか分からない」と打ち

 明ける経営幹部。「この製品アイデアは社内の会議を通りそう

 にないから形にしてもらえないか」と相談に来る若手技術者も

 いる。

 いずれの訪問者も、誰かに指示されたわけではない。

 それぞれが抱える問題を、ここのベンチャーが解決してくれること

 を期待し、大手のプライドを捨てて教えを請いにやってきている。
 

  (P.030)




製造業の主役交代が始まった<br />・新製品開発における企業間関係

製造業の主役交代が始まった
・新製品開発における企業間関係

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





exiii の最新型の義手

exiii の最新型の義手

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.028)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




上の写真で、3人の若者たちが持っているものは何だと
思いますか? そうです。最新型の義手です。


exiii というロボットベンチャーが開発した義手です。
このベンチャー企業を立ち上げた小西哲哉さんは、
パナソニックの社員でした。


企画案を提示した当時のことが書かれています。


 「面白いよ。ぜひやってみてくれ」

 約1年前。新製品提案会議に臨んだ小西哲哉は、

 パナソニックの経営幹部からこう言われた。

 当時の所属先は、製品の外観をデザインする部門。

 小西は、そこに「これまでにない製品を開発する」

 との命を受けて設置された部署のメンバーだった。


 「これを製品化できれば必ずユーザーに喜ばれる」。

 胸をワクワクさせながら発案した新製品アイデア。

 そんな企画案に経営幹部からゴーサインが出たのだから、

 さぞうれしいかと思いきや、小西の心は晴れなかった。

 たとえ、経営幹部の一人からOKを出されても、

 ほとんどの場合、製品化されないことを知っていたからだ。
 

  (P.030)



なぜなのでしょうか? その答えは次の説明にありました。


 大手メーカーでは、新製品を開発するにはデザイン部門、

 設計部門、品質管理部門など、複数の部門が協力して

 プロジェクトを進めるのが一般的だ。逆に言えば、全部門が

 認めたアイデアでないと、製品化されることはない。

 小西が直面した状況も全く同じだった。他の部門が却下した

 のだ。
 

  (P.030)



このように企画案が却下され続ければ、やる気が萎えて
しまいますよね。小西さんの無念さは次の言葉に凝縮
されています。

「こんな経験は1度や2度ではなかった。(中略)やっぱり
自分のアイデアがいくつも闇に葬り去られるのを見るのは
つらかった」(P.030)


このような経緯があり、起業したのです。
最新型の義手について解説を読んでみましょう。


 小西は2014年7月にパナソニックを退職。

 今は、元パナソニックの機械設計技術者、元ソニーの

 ソフトウエア技術者と共に、exiiiというロボットベンチャー

 企業を立ち上げた。


 開発するのは、腕の筋肉の動きを感知して指を動かせる、

 最新型の義手だ。ヒトが装着するロボットの基盤技術に

 なり得る。指の関節構造の工夫などで使うモーターの数を

 減らし、ドイツの先行メーカーが作る同タイプの義手に比べて

 価格は7分の1以下だ。

 低価格化の技術に、若者にアピールするデザイン性をプラス

 した。未来を感じさせる斬新なフォルムは、主に若いユーザー

 から好評だという。
 

  (PP.030-031)



大企業は採算性を考慮することは当然として、多数の人に
使ってもらうことを前提に企画、設計、製造、販売までを考え
ます。


小西さんが考えるような、小さなマーケットを対象にした製品
は日の目を見ません。小西さんの、使いやすく見た目も良い
義手を求める人たちの期待に応えようとする気持ちは、大企業
には不必要なのです。


下の表とグラフをご覧ください。
最新の国際特許申請件数を示したものです。
中国企業が1位と3位を占めています。
日本では、パナソニックと三菱電機が4位と5位にランクイン
していますが、2社の特許申請件数を合計しても、1位の
華為技術(ファーウェイ)に及びません。


もちろん、特許申請件数が多いことだけが全てではありません
が、技術力を売り物にしてきた日本企業は「凋落」した、と言わ
れても仕方がありません。


大手3社の国際特許出願件数の推移を見ると2012年をピーク
に激減しています。


国際特許申請数は1位を中国メーカーに<br /> 明け渡した<br />・2014年の国際特許出願件数

国際特許申請数は1位を中国メーカーに
 明け渡した
・2014年の国際特許出願件数

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




・大手3社の国際特許出願件数の推移

・大手3社の国際特許出願件数の推移

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




「革新的な製品はベンチャーが生んでいる」というテーマで
事例をご紹介しましょう。大企業とは発想も革新性も大きく
異なることが分かります。


まず、下の表をご覧ください。
この中から、16Lab の「OZON(オズオン)」についてお伝え
します。


最近の革新的な製品はベンチャーが生んでいる ・注目のモノづくりベンチャー

最近の革新的な製品はベンチャーが生んでいる
・注目のモノづくりベンチャー

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.031)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




16LabのOZON

16LabのOZON

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.031)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





 立場が変わったのは大手セットメーカーとベンチャーだけ

 ではない。これまで大手セットメーカーに対して部品や

 技術を提供してきた、伝統的な部品メーカーも変わり始め

 ている。ここでもベンチャーをトップとする新しい形の開発

 体制が生まれている。一例が、指輪(リング)型のウエア

 ラブル端末「OZON(オズオン)」だ。

 製品アイデアの着想、基本的な設計はベンチャーの16Lab

 (ジュウロクラボ、神奈川県鎌倉市)が担当し、搭載する

 センサーの設計や量産段階でのサポートをアルプス電気が

 担当している。
 

  (P.031)



無名の16Lab とアルプス電気の出合いが書かれています。
思いがけず、大企業と対等の立場で協業することができた
のです。


 16Labとアルプス電気の出合いは、16Lab社長の木島晃が

 リングに使う超小型センサーを求めていた時に見つけた、

 ネットの記事がきっかけだった。

 リングには、位置を検出するためのセンサーや、スマホの

 ようにブルブルと震える振動部品、バッテリーなど様々な

 部品が搭載されている。しかし、リングとしてユーザーに

 違和感なく使ってもらうためには、現存の小型部品では

 まだ大きすぎる。

 木島の希望にかなう超小型部品は到底、手に入らないか

 に思えた。ところが、そのネット記事には「アルプス電気が

 世界で初めて超小型センサーを開発」とあった。


 「自分たちのような名もないベンチャーが連絡しても、アルプス

 電気のような大メーカーが応じてくれるはずもないか…」。

 諦めにも似た思いを抱きながらも、木島はいちかばちかで

 電話をした。すると、門前払いされるどころか担当部署のトップ

 に直接、会えることになった。


 実は、アルプス電気にとっても渡りに船だった。超小型センサー

 を開発してみたものの、使い先を考えあぐねていたのだ。

 次のコメントからも、それはうかがえる。

 「お恥ずかしながら当社は部品の技術力はあるが、それを

 活用する製品そのものを着想する力はない。ウエアラブルや

 医療、環境といった、今後も成長が見込める分野に参入しようと

 した時、ベンチャーと組むことは当社にとってもメリットがあった」
 

  (P.032)



やってみなければ分からない、ということがこのエピソードからも
理解できますね。失うものがないベンチャーの強みかもしれま
せん。


こうした話に関連したことで思い出すのは、元シャープ副社長、
佐々木正さんが述べた、「共創」という言葉です。


日本企業が自前の技術にこだわるあまり、外部に自社よりも
優れた技術を持つ企業があるのにもかかわらず、提携せず
コモディティー(ありふれた)製品しか生み出せなくなったのは、
「共創」しなくなったからだ、というものです。


一緒になって創っていくという考え方がなかったということです。
それはまさに、現在のシャープの姿を象徴しています。


シャープの強みであった液晶製造技術にこだわりすぎたため、
シャープよりずっと低価格で、短期間で量産化できる液晶が
登場し、市場に広まると、シャープの強みが弱みに転じたの
です。



『日経ビジネス』は「3つのデスバレー(死の谷)」について
解説しています。大手企業の中に存在している「谷」だ、
ということです。


 3つのデスバレー 


 大手メーカーの中に深く刻み込まれる「3つのデスバレー(死の谷)」

 の存在がある。

 一つは「事業化の谷」。exiii創業メンバー、小西の体験が示すように、

 大手メーカーはなまじブランド力を持つがゆえに、それが傷つくのを

 恐れ、大胆な発想の製品に触手を伸ばしづらい。


 2つ目は「設計力の谷」だ。大手が手掛ける製品のほとんどは、

 既存製品の機能を向上させたり、既存の機能に新たな機能を付け

 加えたりする「改良品」。これを続けているだけではイノベーションは

 生まれない。


 3つ目は「量産化の谷」。2007年頃から急激に進んだ円高の影響で、

 セットメーカーはこぞって海外に生産を移した。その結果、国内の

 量産ノウハウが空洞化。2011年にタイで発生した洪水では、

 日本の工場で生産を代行することができず、タイ人の作業者を日本

 に呼び寄せたメーカーも多かった。
 

  (PP.032-033)



「無難な」製品ばかりを作り出しても、消費者に飽きられるだけです。
コモディティー(ありふれた)製品ではそっぽを向かれます。


今、大企業の一部であるかもしれませんが、一つの流れができて
います。自分のやりたいことは大企業では実現できないことを知り、
退職し起業する人たちが少なからずいる、ということです。



 モノ作りベンチャーが活躍できる環境が整った。3Dプリンターに

 より低コストで試作できるようになり、クラウドファンディングを

 活用すれば必要な資金も手軽に集められる。起業のハードルが

 下がり、大手を飛び出す優秀な技術者も増えた。
 

  (P.033)






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




次回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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