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孤高の製造業 ファナック 利益率40%を生む異様な経営 2015.06.08 <3>







日経ビジネスの特集記事(110)

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営
2015.06.08




テーマ

今週の特集記事のテーマは

世界シェア8割の商品を持ち、営業利益率40%という
最強製造業。
それが今、株式市場を沸かせる産業用ロボットメーカー、
ファナックだ。
米アップルや独自動車大手も、ファナック無しでは
成り立たない。
極端に少ない情報開示から、実態はベールに包まれて
きたが、最大80%という大胆な株主還元策を打ち出し、
話題の中心に躍り出た。
富士通の傍流部門から始まったファナックが、
なぜここまで強くなったのか。
あえて常識の逆を行く、異様なビジネスモデルが
そこにはあった。

 (『日経ビジネス』 2015.06.08 号 P.026)

ということです。






孤高の製造業<br />ファナック<br />利益率40%を生む異様な経営

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

(『日経ビジネス』 2015.06.08 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08







第1回は、
「PROLOGUE 利益の最大8割を株主還元
 満額回答に隠された真意」
を取り上げました。


第2回は、
「PART1 あえて常識の逆を行く
 『異様』なのにはワケがある」
を取り上げました。


最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
 
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



今週号の表紙と特集の写真をご覧になって、
お気づきの点があると思います。

ロボットの色が黄色であることです。


黄色は、ファナックのコーポレートカラーであり、
「戦いの色」だそうです。


今年になって、緑のロボットを発売したそうです。
緑はエコカラーです。


黄色いロボットと緑のロボットの違いは、
何でしょうか?


黄色いロボットは、ロボット単独で動きます。
黄色いロボットが動いている時には、
人は近づけません。危険だからです。


一方、緑のロボットは人と一緒に作業をします。
仮にロボットアームが人にぶつかっても安全
です。なぜなら、人に接触した瞬間に停止する
ようになっているからです。


ファナックという社名には、馴染みがないかも
しれません。BtoB(企業向けビジネス)の会社
だからです。


一般人が製品を目にすることが殆どないから
です。


NC(数値制御)装置や産業ロボットメーカーとして、
国内外で圧倒的な地位を築いています。


ファナックは、当初は富士通ファナックでした。
富士通の一部門に過ぎず、しかも傍流でした。


その後、富士通ファナックは富士通から独立し、
ファナックとなりました。


ファナックの創業者は、富士通でNC装置やロボット
部門の責任者であった、稲葉清右衛門氏です。
カリスマと言われています。


ファナックは高業績企業です。


その一端をご覧ください。


グラフ1

ファナックは飛び抜けている<br />・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

ファナックは飛び抜けている
・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08



グラフ2

高い利益率を誇る<br />・ファナックの売上高と営業利益率、<br />東証1部上場製造業の営業利益率

高い利益率を誇る
・ファナックの売上高と営業利益率、
東証1部上場製造業の営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






では、本題に入りましょう!


 PART2 偉大な父との葛藤 
 カリスマを継ぐ「雑用係」の意地 


ファナックを語る時、実質的な創業者、稲葉清右衛門氏に
触れないわけにはいきません。


今年(2015)、90歳になるそうです。
すでに引退されていますが、彼の精神はファナックの隅々
にまで浸透しています。


カリスマであっただけに、社内に大きな問題を抱えていました。


 ファナックは清右衞門が作り上げた会社だ。

 日本が高度成長期に差し掛かろうとしていた56年、

 富士通の技術者として、工作機械の動きを制御する

 「NC(数値制御)装置」の開発に成功したのが全ての

 始まりだった。

 NC装置の専業メーカーとして富士通から分離独立

 したのが72年のこと。清右衛門はその3年後に社長に

 就任すると、米ゼネラル・モーターズなど世界大手との

 提携に奔走しながら、自らの「教義」でファナックを染め

 上げていった。
 

  (P.036)





実質的な創業者、稲葉 清右衛門 氏

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





清右衛門氏のエピソードが語られます。
「厳しさ」が感じとれる内容です。


 利益に対する執着は並大抵ではなく、

 「万が一、赤字でも出そうものなら、黒字になるまで

 いじめられた」とファナックのあるOBは振り返る。

 規律が乱れぬように目を光らせ、信賞必罰を徹底

 していた。NECや沖電気工業といった競合が続々と

 脱落していく中で、ファナックは世界シェア5割の企業

 へと駆け上がっていった。
 

  (P.037)



海外の取引先にとっても、
ファナックは、「ドクターS(清右衛門)・イナバ」の会社
と見なされていたようです。



 「ドクターS(清右衞門)・イナバの会社だ」。

 2000年代に入ってもなお、インドの工作機械メーカー

 首脳はそう、ファナックを評していた。

 時の社長が誰であろうと、顧客も仕入れ先も社員も皆、

 清右衛門を見ていた。

 実際に、ファナックの最終的な意思決定はすべて、

 清右衛門が下していた。
 

  (P.037)



20年以上前から、「高収益企業」でした。


 1983年に東証1部に上場して以降の売上高営業利益率

 は平均で31%。リーマンショック後、機械メーカーが軒並み

 赤字に沈んだ2010年3月期でも、ファナックは21.7%の営業

 利益率を守り抜いた。誰の目から見ても、清右衛門は「最強

 の製造業」を率いるカリスマだった。
 

  (P.037)




表1

独自の「教義」で高収益企業を築いた

独自の「教義」で高収益企業を築いた

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.037)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




最強の製造業であっても、企業が大きくなり、
経営者が末端の社員まで目が行き届かなく
なってくると、綻びが生じてきます。


長年の垢が溜まってきた、とも言えます。
取引先から「ファナックがおかしい」という声が
聞こえ始めます。


 「ファナックがおかしい」。2010年代に入ってから、

 NC装置の顧客である日本の工作機械メーカーから、

 こんなボヤキが聞こえるようになった。


 新商品が出てくるペースが鈍っていた。

 不満を抱くようになった大口顧客のDMG森精機は、

 過半を占めていたファナックからのNC装置の購入

 比率を一時、ぐっと引き下げた。


 iPhoneの筐体を削るロボドリルの特需と、元来の強い

 ビジネスモデルが覆い隠してはいたが、ロボットや

 加工機の分野でも、競合メーカーからの遅れがちらほら

 と出始めていた。販売の最前線にいるファナック社員が

 異変に気が付いていなかったわけではないのに、

 すぐに手を打てなかった。
 

  (PP.037-038)



カリスマ経営者が陥りがちな状況です。
すべてトップダウンで決定・指示するため、
下の者は指示待ちになってしまうのです。


指示を無視して行動しようものなら、
雷が落ち、自ら行動することができなく
なってしまうのです。


 それが、超ワンマンの限界だった。

 ファナックはひとたび清右衛門が決めてしまえば、

 ものすごいスピードで動く組織だ。

 東日本大震災でマイコンの調達が滞るや否や、

 NC装置の設計を、そのマイコンが不要なように変更

 して世界への供給責任を果たした。

 だが、彼が決定しない限り、物事は一向に前に進まない。

 現場からの技術改良の提案に対し、「何でこんな物を

 作るんだ」と怒鳴り散らすこともあった。

 停滞の兆しが表れていた。
 

  (P.038)




経営陣




(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.038)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.039)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





このような状況になってきても、
「猫の首に鈴をつける」
ことができませんでした。


最後は、清右衛門氏の息子である、
現社長、善治氏が引退を進言するしか、
選択肢は残されていませんでした。
そこに至るまでには長い年月が必要でした。


 長きにわたる独裁で社員は萎縮し、清右衛門の指示を

 じっと待つばかり。そんなファナックと清右衛門の姿を、

 悶々としながら見ていたのが、息子で現社長の稲葉善治

 だった。

 大学を卒業後、最初に入社したいすゞ自動車で一生働く

 つもりだった善治は35歳の時、当時いすゞの社長だった

 岡本利雄と清右衞門の取り決めでファナックに引きずり

 込まれた。


 2003年に社長に就いた後も、父の陰の存在であることに、

 変わりはなかった。「決められない社長だ」と社内外で

 揶揄されながらも、「創業者」を引き立てることがファナック

 の繁栄にとって最善なのだと、ぐっと耐えてきた。

 だからこそ、目立ち始めた父の判断の遅れや誤りに、

 誰よりもいら立っていた。

 ファナックのビジネスモデルは緻密に組み上げられている

 ため、どこかが綻ぶと一気に瓦解しかねない。

 「今のままでは、ファナックを100年、200年と続く企業にする

 ことはできない」。

 富士山麓に帝国を作り上げた頃の父と同じ、60代半ばに

 なった2013年夏、善治は心を固める。清右衛門に引退を

 求めたのだ。
 

  (PP.038-039)


親子であるがゆえに、葛藤は相当なもので
あったろう、と想像されますが、実際には、
外部からは窺い知ることはできません。


引退の時期は、自ら決めなければなりませんが、
それが最も難しいことなのかもしれません。


いつかは自分も引退しなくてはならない、
と頭の中では理解しているつもりでも、
カリスマゆえに、引退の時期を先延ばししてきた、
というのが実情でしょう。


誰かに背中を押してもらう必要があったのです。


 メディアに対してさえ、「ファナックは生きがい」と

 言ってはばからぬ父だ。めっぽう気が強く、

 ゼロか100かしかない性格だということは誰よりも

 よく知っていた。案の定、父は最初、反論した。

 だが、最後は息子の意思を受け入れた。

 世代交代の必要性は、清右衛門本人も強く感じて

 いたに違いない。

 でも、自分からは表舞台を降りられなかった。

 息子に諭されて、ようやく最後の決断に踏み切れた

 のだ。
 

  (P.039)



善治氏も、これで一つの仕事を成し遂げた、
という気持ちになったのかもしれません。
吹っ切れたのです。


引退勧告以後、ファナックは先代の方針から
大きく舵を切ります。


カリスマ経営ではなく、集団経営への移行です。


しかも、部門責任者である取締役に大幅な権限
委譲をしました。


善治氏によれば、「プロに任せ、自分は雑用係に
徹する」ということになります。


 2013年10月15日、善治は3人の副社長を、

 代表取締役に引き上げた。

 同時に、ロボットやNC装置、産業機械と

 いった商品ごとの事業本部へと、組織を

 再編した。

  「停滞を打破する」という善治の姿勢は

 明快だった。目指したのが、1人のカリスマ

 に頼らない企業づくりである。

 この日を境に、ファナックの役員たちの動き

 はがらりと変化した。

 15分で終わっていた役員会は1~2時間、

 続くようになった。

 清右衞門の「鶴の一声」を聞く場ではなく、

 議論をする場に変わったからだ。
 

  (P.039)



栃木県壬生町の70万平方メートルの土地を
購入することを決めるために動いたのは、
金庫番である副社長の権田与志広氏と、
製造統括の副社長、山口賢治氏でした。


 わずか4カ月後の9月には栃木県知事の福田富一と

 善治が並んで、握手を交わしていた。

 投資額は1000億円。

 栃木県では本田技術研究所が進出した1980年代

 以来という、30年ぶりの大規模案件だ。

 善治は「1日遅れで(土地の一部だけ買われて)

 『虫食い』になったら最悪だぞ」とハッパをかけこそ

 したが、主導したのは副社長たちだ。

 「私は決めない。最後はその事業の責任者の意見

 が一番重要です」と言い切る善治らしさが鮮明に

 表れた一件だった。
 

  (P.040)



気になることは、清右衛門氏は息子の善治氏に
後継者としてカリスマ経営を続けて欲しかったので
はないか、ということです。


しかし、善治氏は父親のやり方を否定しました。


 善治はワンマンだった父親とは正反対のリーダー

 になることをあえて、選んだ。

 「規模が小さかった昔はワンマン経営でよかった

 かもしれないが、今は最前線のみんなの意見を

 結集しなければ、速く正しく動けない」という思いが

 あるからだ。事業の責任者に決断を委ねることで、

 いずれは自分の立場を受け継ぎ、次の「雑用係」

 になれる人材を育てようという意図もある。
 

  (P.040)




緑のロボット

緑のロボットを販売したことは、父親とは異なる
方向性を打ち出した象徴と言えるかもしれません。


なぜなら、清右衛門氏は産業ロボットは人間と
一緒に働くことを全く想定していなかったからです。


緑のロボットは、人間と一緒に作業するロボットです。
根本から発想が違います。


 ファナックの根幹である研究開発にも変化の兆し

 が見え始めた。象徴が、柵を隔てずに人と一緒に

 働くことができる「緑のロボット」だ。

 外側がスポンジで覆われており、人が触れると

 止まるため、作業員のすぐそばに置いても危険が

 少ない。

 守り抜いてきた企業カラーの黄色を逸脱しているし、

 「ロボットは人とは別の場所で働くものだ」と語って

 いた清右衛門の考え方にはそぐわない。
 

  (P.040)



時代の流れがあります。
世界中の顧客の求める技術が変わったからです。


 求められる技術は変わった。生産設備や製品、

 人間がネットでつながるドイツの「インダストリー4.0」や、

 米国の「インダストリアルインターネット」。

 こうしたモノ作りの革命が進めば、人とロボットが

 同じ生産ラインで協力しながら働く場面が増えていく。

 「ラストチャンスだった」と善治は言う。

 もう少し遅れれば、ファナック抜きで市場が確立され

 かねなかった。だから、あえて父の教義を踏み越えた。

 今、以前よりも明らかに社員は明るくなり、自らの意見

 を口にするようになった。
 

  (PP.040-041)




柵がいらず、人と一緒に働くことが<br />できる「緑のロボット」

柵がいらず、人と一緒に働くことが
できる「緑のロボット」

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.041)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




善治氏が進んでいこうとする道はどこなの
でしょうか?


キーワード

原点復帰

原点回帰という言葉はよく見にしますが、
原点復帰はどのような意味でしょうか?


 善治にとって、今やっていることはファナックの

 「原点復帰」なのだそうだ。

 原点復帰とは、機械制御の分野で使う専門用語だ。

 例えば、工作機械が部品を精緻に削ることができる

 のは、原点に対して今、工具を付けた軸がどの位置

 にあるかを常に把握しているからだ。

 ロボットが定められた点を溶接できるのも、原点に

 対して溶接ガンがどこにあるかを自ら理解しているからだ。

 しかし時折、機械がずれたり、急に電源が切れたりして、

 機械自身、軸の位置を見失ってしまうことがある。

 その場合はいったん、原点に立ち戻る。

 原点復帰は、正確な仕事を続けるために、必要な動作だ。

 ファナックには今、それが求められているという。
 

  (P.041)



ファナックにとって、原点とは「『企業は何のために存在して
いるのか』という、清右衛門が投げかけ続けた問いでは
ないだろうか」(P.041)、と『日経ビジネス』は述べています。




ポイント

「社員がいて、1兆円さえ手元にあれば、
何があったってファナックを再生できる」




これ以上の内部留保は必要ない、
という明確な意思表示をしました。




いよいよ、最後のパートとなりました。
今回は通常より、かなり長くなりました。
もう少し、お付き合いください。


 PART3 稲葉善治社長が独白 
 創業者がいなくても勝ち続ける 

独白ですので、ポイント思われる箇所を
抜粋します。


最後に、私見を書きます。



稲葉善治社長

稲葉善治社長

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.042-043)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






 社員がいて、今の内部留保である1兆円があれば、

 最悪の事態に見舞われても乗り切れる。

 ファナックは復活できる。

 こう考えて、1兆円を超える分を還元することにした

 のです。
 

  (P.042)





 ファナックは「健全な形で永続性を保つ」という意思を

 持っています。そのためには、社会に付加価値を

 生み出して、勝ち続けなければいけません。

 勝ち続けるためには、我々が勝てる市場で、

 戦わなければいけない。

 例えば、(人型など)サービスロボットには手を出しません。
 

  (P.042)





 利益を出し続けるためには、競合他社よりも強くなければ

 いけません。競合他社よりも強くあるためには、強い企業

 体質が必要です。開発、生産、販売、サービス、すべてが

 強くなければいけない。それを役員、社員がどう理解するか。

 理解度が強ければ強いほど、会社は強くなっていきます。

 ファナックの高収益は、企業体質が強いことの証明だと

 考えています。
 

  (P.042)





 私はファナックの伝統、文化がずっと続いていくことを期待

 しています。今やっているのは、そのための「原点復帰」です。

 創業当初の思想は素晴らしいと思うので、基本的に受け継い

 でいく。むしろ、ファナックが大きくなって、ぐちゃぐちゃになって

 しまった部分を、元に戻そうとしています。
 

  (P.042) 





 100年とか200年ではなく、もっと長く、この企業が続くと

 期待をしているんです。

 法人って、「法律上認められた人格」と書きますよね。

 法律の上では、我々人間と同じ存在なんです。

 私たちは生身の人間だから、寿命も体力も限られています。

 けれども法人は、法治国家が続く限り、何千年と永続できる

 可能性を持っている。
 

  (P.043) 





 仕事はプロたちがしていくので、社長は「雑用係」でいい

 のです。雑用係はしょうがないから、矢面に立つ。

 それに、法人ですから、社員や役員は新陳代謝していきます。

 我々の一番大きな責任は、次の世代に健全な形でタスキを

 つなぐことなんです。
 

  (P.043)





 ファナックはパブリックな会社で、誰もオーナーではあり

 ません。

 (株主として)与えられた権利はないんです。

 皆が体制に納得しなければついていかないし、皆が納得して

 ついていく体制を時代に応じて作り続けなければいけない。

 それができている会社は世の中に、それほど多くないと

 思いますよ。
 

  (P.043) 





ポイント

永続性、サステナビリティーを保つ





私見


最初、ファナックは特異な企業である、という印象を持ちました。
ところが、記事を読み進んでいくうちに、考えが変わりました。


利益を上げていくことで、顧客にサービスを提供し続けること
が可能になり、永続性を保つことができる、と考えました。


ファナックが最も恐れるのは、顧客が自社から離れることです。
いつまでも顧客から選び続けられれば、長期的に利益を上げる
ことができます。その利益を顧客や株主に還元することで、
お金がうまく循環していきます。


200年、300年、それ以上に企業が勝ち残った上で、存続させる
ためには、ファナックの企業理念を時代に合わせて調整しながら、
タスキをつないでいくことでしょう。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!






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孤高の製造業 ファナック 利益率40%を生む異様な経営 2015.06.08 <2>







日経ビジネスの特集記事(110)

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営
2015.06.08




テーマ

今週の特集記事のテーマは

世界シェア8割の商品を持ち、営業利益率40%という
最強製造業。
それが今、株式市場を沸かせる産業用ロボットメーカー、
ファナックだ。
米アップルや独自動車大手も、ファナック無しでは
成り立たない。
極端に少ない情報開示から、実態はベールに包まれて
きたが、最大80%という大胆な株主還元策を打ち出し、
話題の中心に躍り出た。
富士通の傍流部門から始まったファナックが、
なぜここまで強くなったのか。
あえて常識の逆を行く、異様なビジネスモデルが
そこにはあった。

 (『日経ビジネス』 2015.06.08 号 P.026)

ということです。






孤高の製造業<br />ファナック<br />利益率40%を生む異様な経営

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

(『日経ビジネス』 2015.06.08 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08







第1回は、
「PROLOGUE 利益の最大8割を株主還元
 満額回答に隠された真意」
を取り上げました。


第2回は、
「PART1 あえて常識の逆を行く
 『異様』なのにはワケがある」
を取り上げます。


最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
 
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



今週号の表紙と特集の写真をご覧になって、
お気づきの点があると思います。

ロボットの色が黄色であることです。


黄色は、ファナックのコーポレートカラーであり、
「戦いの色」だそうです。


今年になって、緑のロボットを発売したそうです。
緑はエコカラーです。


黄色いロボットと緑のロボットの違いは、
何でしょうか?


黄色いロボットは、ロボット単独で動きます。
黄色いロボットが動いている時には、
人は近づけません。危険だからです。


一方、緑のロボットは人と一緒に作業をします。
仮にロボットアームが人にぶつかっても安全
です。なぜなら、人に接触した瞬間に停止する
ようになっているからです。


ファナックという社名には、馴染みがないかも
しれません。BtoB(企業向けビジネス)の会社
だからです。


一般人が製品を目にすることが殆どないから
です。


NC(数値制御)装置や産業ロボットメーカーとして、
国内外で圧倒的な地位を築いています。


ファナックは、当初は富士通ファナックでした。
富士通の一部門に過ぎず、しかも傍流でした。


その後、富士通ファナックは富士通から独立し、
ファナックとなりました。


ファナックの創業者は、富士通でNC装置やロボット
部門の責任者であった、稲葉清右衛門氏です。
カリスマと言われています。


ファナックは高業績企業です。


その一端をご覧ください。


グラフ1

ファナックは飛び抜けている<br />・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

ファナックは飛び抜けている
・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08



グラフ2

高い利益率を誇る<br />・ファナックの売上高と営業利益率、<br />東証1部上場製造業の営業利益率

高い利益率を誇る
・ファナックの売上高と営業利益率、
東証1部上場製造業の営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






では、本題に入りましょう!


 PART1 あえて常識の逆を行く 
 「異様」なのにはワケがある 


前回、黄色いロボットについて少しだけお伝えしました。
今回は、このロボットについて詳細にお伝えしていきます。


なぜ、高収益企業なのか?

ロボットが超高性能で高価格であるからか?

また、従業員の待遇や生活は他企業とどう異なるのか?


そのような点に注目して、ご覧ください。
きっと驚きの連続となることでしょう。


私自身、今特集を読んで、本当に驚きました。
大金があったら、ファナック株を購入し、長期保有したい、
と心から思いました。


ファナックは、とても魅力的な会社だからです。


まず、独自動車メーカーのフォルクスワーゲンで、
異変が起きているという話からお伝えしていきます。


 独ウォルフスブルクにあるフォルクスワーゲン(VW)

 の本社工場。無骨なオレンジ色のロボットが「腕」を

 器用に動かしながら、小型車「ゴルフ」の車体を組み

 立てていく。

 工場内を埋め尽くすオレンジ色は、ドイツの老舗機械

 メーカー、クーカ(KUKA)製のロボットであることの証しだ。

 しかし、オレンジ一色だった工場にここ数年、異変が

 起きている。鮮やかな黄色のファナック製ロボットが

 目につくようになってきたのだ。

 VWは世界の工場でKUKAを採用してきた。

 ダイムラーやBMWもそうだった。ドイツが世界に誇る

 自動車産業の陰の立役者がKUKAだ。

 その牙城を、ファナックが切り崩し始めた。
 

  (P.030)




下の2枚の画像が、ファナックとクーカの産業用ロボットです。
素人の私には、色以外にどう違うのか、区別がつきません。




(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.031)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




ファナックがクーカの牙城を侵食し始めたきっかけに
ついて、『日経ビジネス』は次のように述べています。
「安さ」がキーポイントです。


 VWが進めている開発・生産改革の中で調達先を

 洗い直したところ、ファナックの優位性が鮮明に

 なったことだった。

 VWの工場担当者は言う。「同じ技術、信頼性、

 品質で比べた時に、KUKAより安かった」。

 VWは明言しないが、1割程度の価格差があった

 とみられる。
 

  (P.030)


価格に1割程度差があったということは大きいですね。
ロボットの納入台数によりますが、納入台数が増えれ
ば増えるほど総額に大きな差が出ます。


 ウォルフスブルクで毎日1700~1800台生産される

 ゴルフのフロアパネルは今、黄色いロボットが組み

 立てている。ファナックがVWへ出荷したロボットは

 既に2000台を数えた。設備コストが1割下がれば、

 自動車メーカーは世界で競争力のある工場を作り

 やすくなる。今後、ドイツ以外のVWの拠点でも導入が

 進む可能性は高い。

  「彼らが優れたロボットを作ったことは認めなくては

  ならない」。KUKAのCFO(最高財務責任者)である

  ピーター・モーネンは言う。
 

  (P.031)



補足説明があります。


 ファナックがドイツでシェアを拡大する最大の理由は、

 VWが言うように「安さ」である。

 製造業では世界でも類を見ないほど高い、売上高

 営業利益率40%を誇るファナック。

 多くの人は、こんな高収益企業はよほど高付加価値

 の製品を、高価格で売っているはずだと想像するだろう。

 だが、ファナックの商品戦略は、その真逆を行く。

 産業用ロボットでも、工作機械の司令塔であるNC

 (数値制御)装置でも、「iPhone」など世界中のスマート

 フォンを削っている加工機「ロボドリル」でも、ファナック

 の製品は競合メーカーより、安い。

 しかも、性能や機能は日本やドイツの競合を上回って

 いるわけではない。
 

  (P.031)



ファナックのロボット納入の理由は「安さ」にあることが、
分かりました。


ですが、安いのにどうして売上高営業利益率が約40%
に達しているのか、疑問ですね?


表1をご覧いただくと分かりますが、売上高営業利益率の
比較で、ファナックは40%に対し、クーカは6~7%程度
しかありません。乖離しています。


その疑問を解く鍵はドイツにはありません。
日本国内にあったのです!



 山梨県忍野村に林立するファナックの黄色い工場群。

 その一つをのぞくと、数台のロボットが自己増殖する

 かのように、自動車工場へ出荷するロボットの腕を

 組み立てていた。部品を削る、バリを取るといった

 機械加工もほとんど、ロボットが手掛ける。

 ファナック副社長の山口賢治は「組み立て工程の8割は

 自動化できており、配線以外は今秋までにロボットで

 できるようになる」と言う。


 他社とは真逆の「少品種大量生産」に徹しているからだ。

 ファナックでは多くの場合、顧客からの単純な特注品の

 申し入れは断る。だが、顧客との会話の中で聞き出した

 情報から、広く通用しそうなニーズを抽出すると、

 そのたびに量産品へ反映させる。

 だから、ファナックの製品は、使い勝手の改善など細かい

 部分も含め、頻繁にマイナーチェンジが繰り返される。
 

  (P.031)



以上の話を聞きますと、汎用品を製造しているように
聞こえますね。そうなると、コモディティー(ありふれた製品)
となり、さらに買い叩かれ利益を削ることになるのでは?


そう考えるのが自然だ、と思いますね。
ですから、これだけでは真意は分かりません。


おそらく、次の説明を聞いても納得出来ないと思います。


 連結売上高の8割超が海外向けであるにもかかわらず、

 全量を国内生産にこだわるのも、日本で一極生産する

 方が、顧客ニーズを早く、量産品に反映しやすいからだ。

 競合メーカーが「地産地消」を旗印に、海外生産を拡大

 しているのとは対照的だ。

 世界中の様々な工場で使われる商品だから、使用環境

 が変わっても壊れにくいことを最重視する。

 「狭い路(みち)を真っ直ぐに」という創業者の「教義」を

 今もかたくなに守り、むやみに最先端技術や畑違いの

 分野には踏み出さない。とがった新技術ではなく、使い慣れた

 技術を用いることで信頼性を高める。あえて平凡な性能に

 しているのだ。

 こうしてNC装置で世界の5割、ロボットで2割、スマホ用加工機

 で8割という高シェア企業になった。顧客の中心が先進国から

 新興国にシフトしても、同じシェアを維持している。
 

  (P.032)




表1


(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.032-033)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





ポイント

サービスファースト




 製造業では生産、販売、サービスという優先順位が

 一般的だろう。しかし、社長の稲葉善治は「サービス

 ファースト」と言ってはばからない。


 バンコクにあるファナックのタイ拠点。事務所の大半を

 占める倉庫を訪れると、モーターや電子基板といった

 交換用の部品が山積みになっていた。


 ここでは新規顧客への販売よりも、既存顧客への

 サービスが優先事項だ。ファナックがタイで納めたNC装置

 や機械は約4万5400台。顧客から「調子が悪い」と連絡が

 入ると、総勢32人のサービスエンジニアが部品を持って

 駆けつける。
 

  (P.032)


サービスを最優先にするために、過剰とも言えそうな部品
を在庫しているそうです。


これには明確な理由があります。
顧客をつなぎとめておくためです。
ファナックは、顧客にとってなくてはならない存在になって
いるのです。


 顧客のNC装置が壊れた場合、ファナックはまず、

 顧客の元に駆けつけてこの装置を持ち帰る。

 代わりに別の正常な装置を、顧客の機械に取り付ける。

 壊れたNC装置はファナック社内で直し、ほかの顧客で

 故障があった際、今度はその交換のために持っていく。

 高いシェアを武器に、NC装置が顧客の間を何十年にも

 わたって循環する仕組みを作り上げた。

  「決めているわけじゃないのにファナックから買う比率が

 100%近い」(工作機械中堅ツガミCEOの西嶋尚生)。

 顧客が一度はまったら、抜け出したくなくなるとまで言われる

 類のないビジネスモデルで、高収益を上げてきた。
 

  (P.033)




「逆張り」投資が生む圧倒的な収益

一般的に言われていることは、内部留保を少なくし、
設備投資や株主還元するべきだ、というものです。


ファナックは手元資金が1兆円あります。
企業規模から見ると、過剰とも言える金額です。


それにも明確な理由がありました。


 ファナックは2015年3月期の売上高の1.4倍に上る

 約1兆円の手元資金を抱えている。

 社長の善治は「1兆円あれば、需要縮小や競合の

 攻勢、工場が天変地異に見舞われるなどの危機が

 一遍に来ても対応できる」と、戦略的な資金である

 ことを強調する。

 ファナックが恐れるのは、株価が下落することでも、

 投資家から不興を買うことでもない。

 供給責任を果たせずシェアを落とし、顧客を失うことだ。
 

  (PP.033-034)



世の中には、「顧客第一主義」を標榜している企業は
ゴマンとあります。


ですが、本当に顧客の立場に立って、企業を行なって
いる企業がどれだけあるでしょうか?


とても疑問ですね。顧客を騙し、不正に利益を上げている
企業がなかにはあります。


社訓に掲げていることは、未だ実現できていない、
と考えるのが妥当とさえ思えます。


その点で、ファナックは利益の源泉は顧客にあると定義
しています。ですから、顧客を失うことを恐れているのです。
「サービスファースト」とは、その意思表示をしたもの、
と言えます。


下の表2をご覧ください。
投資家が重要視するROE(自己資本比率)は、
ファナックは16%で、東証1部製造業の平均の2倍です。


収益性(当期利益を売上高で除したもの)が同比較で、
7倍と圧倒的だからです。


ですから、効率性(売上高を総資産で除したもの)や、
財務レバレッジ(総資産を自己資本で除したもの)が
同比較で下回っていても、ROEが2倍を維持できるの
です。


表2


(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.034)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




ただし、善治社長はROEにこだわっていない、
と明言しています。


その理由は――。

「『投資家と会っている暇があれば、お客さんに会いたい』

 と善治は語る」

サービスファースト = カスタマーファースト、
であるからです。





社員の衣食住 全部ファナック
  
富士山麓に本社・研究所・工場があるファナックで
働く従業員は、どんな待遇でどんな生活を送って
いるのでしょうか?


『日経ビジネス』は、こんな世俗的な関心事にも
取材しました。


仕事は厳しいでしょうが(どこでも同じ?)、
はっきり言って待遇は相当に良いです。


 忍野村で働く約2000人の社員には高学歴の

 理系卒が多い。

 彼らは入社と同時に村での生活を始める。

 35歳の男性社員は振り返る。

 「建物は黄色いし、寮も黄色い。ジャケットも、

 おしぼりも、コップまで黄色い。入社式でもみな

 黄色いジャケットを着ている。どこに迷いこんだ

 のかと不安になった」。

 それでも徐々に「ファナックイエロー」に誇りを

 持つようになる。


 本社施設は49万坪の広大な森に点在。

 黄色い建屋以外は延々と林が続く。

 「午後10時前後まで残業していることが多い。

 仕事はきついです」(30歳)。

 納期の厳守が徹底され、商品開発でも

 スピードが求められる忙しい若手社員が、

 平日に忍野村を抜け出すのは難しい。

 結局、敷地内に用意された黄色い寮と職場とを

 往復する生活が続く。

 「3食とも社食で済ませる人も多い」(同)。


 平均給与は約1000万円と、日本の平均の2倍以上。

 1億円以上の報酬を受け取る取締役数はトヨタ自動車

 の7人(2014年3月期)を上回る10人(同)。

 待遇の良さも求心力の源泉だ。

 それを反映してか、本社地区の駐車場には高級車も

 目に付く。アウディA3に乗っている26歳の社員は、

 休日は恋人と都心までドライブに出かけることが多い

 という。そして平日は黄色い戦場に戻って「命を削って

 働く」(同)。

 常勤取締役はいすゞ自動車にいた社長を除き生え抜き。

 彼らを仰ぎ見ながら若手は「ファナックエリート」へ育ち、

 その「教義」を後輩に伝えていく。
 

  (P.035) 





ポイント

コーポレートカラーの黄色で組織も意思も統一


異様な、あるいは不思議な会社、ファナックの一端を
垣間見た気になりました。


黄色は、交通信号では「注意」を表します。
黄色は明度が最も高い色です。
目につきやすい色です。
汚れも目立つ色です。
いつでも綺麗に保つ必要があります。


光の3原色(RGB、赤、緑、青)の一つです。
原色といえば、知育玩具の LEGO ブロックが原色
でしたね。


また、LEGOと提携した Google のロゴも黄色を含む
原色が特徴です。



LEGO  








今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。






孤高の製造業 ファナック 利益率40%を生む異様な経営 2015.06.08 <1>







日経ビジネスの特集記事(110)

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営
2015.06.08




テーマ

今週の特集記事のテーマは

世界シェア8割の商品を持ち、営業利益率40%という
最強製造業。
それが今、株式市場を沸かせる産業用ロボットメーカー、
ファナックだ。
米アップルや独自動車大手も、ファナック無しでは
成り立たない。
極端に少ない情報開示から、実態はベールに包まれて
きたが、最大80%という大胆な株主還元策を打ち出し、
話題の中心に躍り出た。
富士通の傍流部門から始まったファナックが、
なぜここまで強くなったのか。
あえて常識の逆を行く、異様なビジネスモデルが
そこにはあった。

 (『日経ビジネス』 2015.06.08 号 P.026)

ということです。






孤高の製造業<br />ファナック<br />利益率40%を生む異様な経営

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

(『日経ビジネス』 2015.06.08 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08







第1回は、
「PROLOGUE 利益の最大8割を株主還元
 満額回答に隠された真意」
を取り上げます。


第2回は、
「PART1 あえて常識の逆を行く
 『異様』なのにはワケがある」
を取り上げます。


最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
 
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



今週号の表紙と特集の写真をご覧になって、
お気づきの点があると思います。

ロボットの色が黄色であることです。


黄色は、ファナックのコーポレートカラーであり、
「戦いの色」だそうです。


今年になって、緑のロボットを発売したそうです。
緑はエコカラーです。


黄色いロボットと緑のロボットの違いは、
何でしょうか?


黄色いロボットは、ロボット単独で動きます。
黄色いロボットが動いている時には、
人は近づけません。危険だからです。


一方、緑のロボットは人と一緒に作業をします。
仮にロボットアームが人にぶつかっても安全
です。なぜなら、人に接触した瞬間に停止する
ようになっているからです。


ファナックという社名には、馴染みがないかも
しれません。BtoB(企業向けビジネス)の会社
だからです。


一般人が製品を目にすることが殆どないから
です。


NC(数値制御)装置や産業ロボットメーカーとして、
国内外で圧倒的な地位を築いています。


ファナックは、当初は富士通ファナックでした。
富士通の一部門に過ぎず、しかも傍流でした。


その後、富士通ファナックは富士通から独立し、
ファナックとなりました。


ファナックの創業者は、富士通でNC装置やロボット
部門の責任者であった、稲葉清右衛門氏です。
カリスマと言われています。


ファナックは高業績企業です。


その一端をご覧ください。


グラフ1

ファナックは飛び抜けている<br />・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

ファナックは飛び抜けている
・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08



グラフ2

高い利益率を誇る<br />・ファナックの売上高と営業利益率、<br />東証1部上場製造業の営業利益率

高い利益率を誇る
・ファナックの売上高と営業利益率、
東証1部上場製造業の営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






では、本題に入りましょう!


 PROLOGUE 利益の最大8割を株主還元 
 満額回答に隠された真意 


ファナックは東証一部の企業です。
ファナックの本社・工場の所在地はどこにあると
思いますか?


海外でしょうか? 国内でしょうか?


多くの方が驚くと思います。
富士山麓にあります。
もちろん、東証一部の企業で、本社・研究所・
工場が富士山麓にある会社は、ファナック以外
にはありません。


 富士山麗に広がる山梨県忍野村。

 山中湖から北に3kmほど車を走らせると、

 ファナックの本拠地が見えてくる。

 黄色の建屋が林立し、周りを鉄製の柵が囲う。

 通りには黄一色のトラックや社用車が行き交う。

 異様な光景だ。

 ファナックにとって黄色は「戦いの色」である。

 「狭い路(みち)を真っ直ぐに」「ロボット市場を

 征服せよ」。

 実質的創業者であり、現社長の父親である

 稲葉清右衛門は自社の理念を「黄色」に込めた。

 建屋、ジャケット、社用車、帽子まで黄色で染め

 上げた。


 4月13日、米国の大物投資家が2人のブレーンを

 連れてこの黄色い世界にやってきた。

 「アクティビスト(物言う株主)」、サード・ポイントCEO

 (最高経営責任者)のダニエル・ローブだ。

 今年2月にファナック株の保有を発表。

 株主還元が足りないとの批判を展開し、株式市場の

 注目をさらっていた。

 出迎えたのは、社長の稲葉善治と副社長の山口賢治、

 権田与志広の3人。

 彼らを前に、ローブは静かな口調で話し始めた。

 「御社の価値は今の株価より高いはずだ。自社株

 買いをすべきだ」。

 社長の善治はこの要求をはぐらかしながら、自社の

 理念を説いていった。


 2時間を超える会談の後、ローブは言った。

 「経営は何も変える必要はない。御社に尊敬の念を

 持った。長い付き合いをしたい」。
 

  (P.028)



富士の裾野にあるファナック本社・工場

富士の裾野にあるファナック本社・工場

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.028-029)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




ここに登場している、サード・ポイントCEO(最高経営責任者)
のダニエル・ローブ氏の名前は、雑誌やサイトで目にします。


激しい要求(彼にしたら当然の要求)をする株主として、
有名です。


この話の続きがありますが、その前に、ファナックは米アップル
にとっても、フォルクスワーゲンにとっても欠かせない存在に
なっているという、記事をご紹介します。


 ファナックが止まれば米アップルの「iPhone」が作れなくなる。

 世界の自動車生産も滞る。

 2015年3月期の売上高営業利益率は40%、スマートフォンの

 筐体を作る機械の世界シェアは8割、手元資金は約1兆円、

 ROE(自己資本利益率)は東証1部上場製造業平均の倍の

 16%。日本企業の中で飛び抜けた事業、財務体質だ。
 

  (P.028)





表1


ファナック(株)【6954】 Yahoo!ファイナンスから



表2


ファナック(株)【6954】詳細情報 Yahoo!ファイナンスから





先ほどの話の続きはこちらです。
サード・ポイントCEO(最高経営責任者)のダニエル・
ローブ氏の要求に屈したかのような対応をしました。
ところが、『日経ビジネス』は真意は別のところにある、
と指摘しています。


 決算発表翌日の4月28日には4年3カ月ぶりに

 投資家向け説明会を開催。

 決算発表と同時に明らかにした株主還元策は

 「(サード・ポイントの要求に対して)満額回答

 に近い」(外資系証券アナリスト)ものだった。

 今後5年間、利益の最大80%を株主に還元する。

 「サード・ポイントに屈した」「企業に株主との

 対話を求める政府の方針(コーポレートガバナンス・

 コード)に従わざるを得なかった」。

 株式市場ではこう捉えられている。

 だが、外部圧力による変心と捉えては本質を見誤る。

 善治は明かす。

 「(株式市場の周囲から出る)ゴチャゴチャとした騒音

 を断ち切りたかった。だから有無を言わせない還元策

 を発表して黙ってもらった」。

 モノ言う株主や政府に屈したわけではない。
 

  (PP.028-029)



では、どうしてこんな大胆な株主還元をしたのでしょうか?



 黄色い壁の中で40年以上、ファナックは実質的な

 創業者の教えを忠実に実行してきた。

 それは「教義」と言ってもいいほど浸透している。

 一例を挙げよう。1970年代から工作機械の司令塔

 であるNC(数値制御)装置と、産業機械、ロボット

 という3部門の研究開発に特化し続けてきた。

 清右衛門がNC装置とモーターを基本技術と定め、

 その応用以外の分野については参入しないと決めた

 からだ。

 1兆円もの手元資金をため込んでいるのも、清右衛門

 が借金を嫌い、強固な財務体質を目指してきたから。

 利益率が高いのは、売り上げが3分の1に減るという

 異常事態が発生したとしても、利益を出しながら生き

 残れるようにするためだ。
 

  (P.029)


常に危機感を持って事業に取り組んできた姿勢が、
窺い知れます。


株式時価総額は6兆3千億円を超えています。
ファナック(株)【6954】詳細情報をご参照ください。


 稲葉家はファナックの大株主ではない。


 株式市場の「騒音」を断ち切ろうとしたのは、

 「カリスマ」が生み出し、稲葉家を中心に引き継い

 できた教義、すなわち強さの根幹を守るためだった。

 常識はずれに見える戦略を解きほぐすと、

 謎めいたファナックの本質と、目指す新しい企業像

 が浮かび上がってくる。
 

  (P.029)




表3






ポイント

稲葉家を中心に引き継いできた教義、
すなわち強さの根幹を守る



強みをさらに強化するのが、企業の取るべき戦略です。
さらに、経営者が「危機感」を自覚していることが、
補強しています。驕りは、破滅への道に導きます。




ポイント

黄色いロボットは、コーポレートカラーであると同時に、
戦いの色


なぜ黄色を選んだかについて、次のような記述が
見つかりました。


 黄色が会社カラーになった由来は、富士通の一事業部

 時代に、事業部ごとの報告書等を区別しやすいように

 黄色が割り当てられたためであり、また稲葉清右衛門が

 黄色を「皇帝の色」「気遣いの色」「注意の色」と気に入った

 ため、徹底されて使われるようになった。
 

  ファナック Wikipedia から



ちなみに、ファナック(FANUC)の由来は、
「社名のFANUCは「Factory automation numerical control
(工場の自動化及び数値制御)」の頭字語である」
ファナック Wikipedia から)
そうです。







今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



次回は、
「PART1 あえて常識の逆を行く
 『異様』なのにはワケがある」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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