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時代は「健康経営」 エクセレントカンパニーの新条件 2015.06.15 <3>







日経ビジネスの特集記事(111)

時代は「健康経営」
エクセレントカンパニーの新条件
2015.06.15




テーマ

今週の特集記事のテーマは

「健康管理は従業員本人の責任」。
そんな前時代的な経営は、もはや通用しない。
SCSK、コニカミノルタ、伊藤忠商事、味の素、東急電鉄、内田洋行──。
従業員の健康こそ企業の競争力を高める経営の最重要課題と位置付け、
その増進や維持を図る「健康経営」に取り組む企業が増えている。
活力ある働き方を実現する「戦略投資」として、健康経営を推進することは、
生産性を高め、優れた人材を集めるエクセレントカンパニーの新条件だ。

 (『日経ビジネス』 2015.06.15 号 P.026)

ということです。






時代は「健康経営」<br />エクセレントカンパニーの新条件

時代は「健康経営」
エクセレントカンパニーの新条件

(『日経ビジネス』 2015.06.15 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15







第1回は、
「PART1 本誌調査では従業員の34%が『病』に
 『健康ブラック企業』の闇」
「PART2 SCSK、健康経営の軌跡
 家族に手紙、残業激減 そして増収増益」
を取り上げました。


第2回は、
「PART3 エクセレントカンパニーへの道
 健康経営、4つのポイント」
を取り上げました。


最終回は、
「PART4 経営トップが旗振り役に
 『形だけの罠』に陥るな」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 健康ブラック企業 
 健康経営 
 エクセレントカンパニー 
 健康経営に関する誤解 
 持続性 



初回は、健康ブラック企業と、健康経営を推進する企業を
ご紹介しました。


2回目は、従業員や役員の心身の健康を維持・増進する
企業は、エクセレントカンパニーへの道を歩むことになる、
という主旨でお伝えしました。


最終回は、経営トップが旗振り役になり、「健康経営」を推進
していかなくてはならない、という主旨でお伝えしていきます。



では、本題に入りましょう!


 PART4 経営トップが旗振り役に 
 「形だけの罠」に陥るな 

経営トップが大病し、健康の大切さを身に沁みて感じ、
自分だけでなく、従業員の健康維持・増進を経営の
重要課題としているケースをご紹介します。


伊藤忠商事 岡藤正広社長のケース

岡藤さんは、2度も大病したことがあるそうです。


 体が疲れると、耳鳴りがする──。

 伊藤忠商事の岡藤正広社長は、25年前に自らの体に

 起こった“変調”を今も鮮明に覚えている。

 大阪本社のビルに入っていた耳鼻科のクリニックを

 訪ねても原因は分からず、受けた治療は薬を塗ると

 いった処置だけだった。


 ある日、たまたま別のクリニックの医師に打ち明けると、

 「岡藤さん、それは危ない。耳は脳に近いから、

 放っておいたら脳膜炎になる。大きな病院で検査して

 もらいなさい」と言われた。

 慌てて行った大学病院で、「真珠腫性中耳炎」と診断

 された。鼓膜の細胞が内側に入り込み、真珠のような形

 に増殖していく。手術しなければ、耳の骨が溶けていき、

 いずれ聴力を失う。

 医師から言われた入院期間は1カ月。


 「多忙のため体調を気にする暇もあまりなかった」と、

 岡藤社長は振り返る。

 高校3年生の頃、結核が悪化して1年間の療養を余儀なく

 された。健康の重要性を人一倍痛感していたはずだった。

 だが、喉元過ぎれば、熱さを忘れる。

 その後は大病もなく過ごしているうちに、無理をすることも

 多くなっていた。


 仕事には、量より質が問われる時代になった。

 「じっくり考えて良いアイデアを出し、行動に移す。

 そのために、心身ともに健康な状態にしておくことが大事だ」

 と強調する。
 

  (P.042)


こうした体験を通じ、残業削減を進め、代わりに朝型勤務に
移行しています。早朝勤務を深夜残業と同等に扱い、
割増金を支払う制度を導入したそうです。


 こうした岡藤社長の考えは、2014年5月から正式導入した

 「朝型勤務」にも込められている。

 朝型勤務では、夜8時以降の残業を原則禁止し、

 早朝の勤務に対して深夜と同等の割増金を会社が払う。

 残業するなら朝働くように促すものだ。

 会社の食堂には朝食を用意し、社員の一日のスタートを

 支えている。
 

  (P.042)






伊藤忠商事 岡藤正広社長

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.043)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15




経営トップが病気を患ったことがないと、健康に問題を
抱えている部下の気持ちが理解できず、無理強いする
ことがあります。


大切なことは、個人的な体験をそのままで終わりにせず、
活かすことはないか考え、あればすぐに実行することです。





カルビー 松本晃・会長兼CEO(最高経営責任者)のケース

松本さんは、外資のジョンソン&ジョンソン出身です。
医療機器メーカーであったため、各種検診費用は
企業がまかなっていたそうです。


ところが、カルビーでは、松本さんが移ってくるまで
そうした制度がなく、驚いたそうです。


松本さんは、体調不良で検査入院したところ、
心臓の病気が発見され、心臓カテーテル手術のため、
1週間の入院を経験したそうです。


 カルビーの松本晃・会長兼CEO(最高経営責任者)は、

 「経営者が社員の健康を守るのは当たり前」と断言する。

 カルビーに来た7年前、松本会長は愕然とした。

 カルビーではがん検診の費用補助が一切なく、

 人間ドックは40歳以上で半額の補助のみ。

 それまで医療機器メーカー、米ジョンソン・エンド・ジョンソン

 日本法人にいた松本会長にとって、こうした費用を会社が

 負担するのは当たり前のことだった。

 それからカルビーでは、松本会長の方針の下で、

 乳がんや子宮頸がんなどの検診費用や35歳以上の社員の

 人間ドック費用の全額補助などを導入。

 2013年には、健康保険組合も設立した。
 

  (PP.042-044)





 松本会長は3年前に心臓のカテーテル手術のため、

 初めて1週間の入院を経験した。

 以前から血圧は高めだったが、薬は飲まず、

 生活にも支障がなかった。

 だが、体調不良を覚えて検査入院した際に、

 偶然心臓の病気が発見されたという。

 自ら経験したからこそ、受診や早期発見の重要性を

 痛感している。


 松本会長は「きちんと治療して、早く職場復帰して

 くれた方が、会社にとってはるかに有益だ」と明快だ。
 

  (P.044)



『日経ビジネス』取材班は、健康経営に関して「4つの誤解」
がある、と指摘しています。



健康経営に関する4つの誤解


誤解1 健康診断の受診率が100%なら安心


 多くの企業で経営者は「健康診断の受診率100%達成」を
 目標に掲げる。それは重要だが、受診率が上がっても、
 要再検査の従業員が2次検査を受けなかったり、
 健康のための生活改善に取り組まなかったりするようでは、
 効果は得られない。
 

  (P.44)


誤解2 健康経営にはお金がかかる


 健康経営に取り組んでこなかった企業こそ、
 人事や健保組合に非効率的な部分がある可能性が高い。
 業務を見直すことで、予算を積み増さず健康経営に取り組め
 ている企業は多い。いずれにせよコストはかかるのだから、
 戦略的に活用しなければ「死に金」を払い続けるだけだ。
 

  (P.44)


誤解3 「ストレスチェック」は予防に効く


 ストレスチェックは従業員個人のストレス状態を把握できる
 のに加え、職場のコミュニケーションや上司・同僚の支援体制
 など、企業風土も浮き彫りにする。従業員個人の問題と捉える
 のではなく、職場の課題を解決する姿勢で取り組む必要がある。
 

  (P.45)


誤解4 1年も続ければ改善効果が表れる


 短期的には、顕著な成果が表れにくいのが健康経営の特徴だ。
 個人も会社も、一般的には3~4年かけて取り組むことでようやく
 成果が表れる。それでも5年、10年先送りしてしまえば、改善の
 ための時間やコストはさらに膨らむ。中長期的に辛抱強く続ける
 ことが重要。
 

  (P.45)




岡藤さんは経営者に、苦言を呈しています。
経営トップは、次の言葉に耳を傾けるべきです。


 「体が頑丈で大病を患ったことのない経営者は、

 健康は大事と口でなんぼ言っても魂が入ってない。

 病気になるのは、たるんでるからや、

 と心では思っている人が多いんじゃないかな」と

 岡藤社長は指摘する。

 日本ではこれまで、一部の意識の高い経営者が

 その重要性と効果に気が付いて、健康経営を実践

 していた面があった。

 だが今や、どの企業にとっても経営上の重要な課題

 となった。
 

  (PP.044-045)


では、どうしたら企業の競争力を持続的に高めることが
できるのでしょうか?


先に結論を書きますと、「健康経営の実践が欠かせない」
ことと、経営トップが健康経営の「『旗振り役』となって推進
する」ことです。


専門家は次のように述べています。


 「企業が持続的に競争力を高めようと思うなら、

 健康経営の実践は欠かせない」と、

 特定非営利活動法人健康経営研究会の岡田邦夫

 理事長は強調する。

 それには経営者が意識を変え、「旗振り役」となって

 推進する必要がある。
 

  (P.045)



ただし、お題目だけ唱えても、きちんと成果に結び付け
られなければ(従業員の健康維持・増進に寄与する)、
絵に描いた餅に過ぎません。


 注意しなければならないのは、「形だけの罠」だ。

 例えば、健康経営を目指す企業の多くが、

 「健康診断の受診率100%」を目標に掲げる。

 確かに、従業員にきちんと健康診断を受けさせ、

 病気やその兆候がないかを調べるのは健康経営の

 第一歩だ。

 だが、そのデータを実際に健康増進の対策に

 つなげなければ、ただ調べただけ。

 「治療や生活改善に取り組ませるところまで目配り

 しないと、従業員の健康は守れない」。

 健診データの解析サービスなどを提供するミナケア

 の山本雄士代表は、こう警鐘を鳴らす。
 

  (P.045)



国の方針も変わってきています。
2015年12月から「ストレスチェック制度」が義務付けられます。
「『ストレスチェック』は、企業をブラックかホワイトかを判定
するリトマス試験紙にもなる」(P.045)のです。



 2015年12月から義務付けられる「ストレスチェック制度」

 にも、健康診断と同じことが言える。

 ストレスチェックの結果を踏まえて、職場の改善につなげ

 なければ意味がない。

 企業のメンタルヘルス施策に詳しい産業医大ソリュー

 ションズの亀田高志社長は「ストレスチェックは従業員個人

 のストレス状態を測るだけでなく、その企業がブラックか

 ホワイトかを判定するリトマス紙にもなる」と話す。
 

  (P.045)


国の政策に変更が加えられた理由は、
「国は目下、予防や健康づくりの環境整備に努めているが、
その狙いは『国民の健康増進』のみならず、
『医療費の削減』の実現にある」(P.044)からです。


医療費の削減は、国にとって喫緊の課題となっています。



「健康経営」について、『日経ビジネス』は次のように、
結論づけています。


 健康経営とは、突き詰めていけば従業員が生き生きと

 前向きな姿勢で働ける場をつくることにほかならない。

 それを怠り放置すれば、そのツケはさらに膨らんで

 返ってくる。
 

  (P.045)







ポイント

健康経営は目標ではなく、目的そのもの

企業経営は経営者と株主がいれば、成り立つものではない
ことは言うまでもありませんが、経営者のみならず、
従業員が健康を害する企業は、「ブラック」の烙印を押され、
社会からペナルティを課される時代になりました。


企業の目的は利益を上げることに、論を俟ちませんが、
企業目的は一つだけではありません。


従業員を犠牲にし、健康を損なってまでして増益しても、
それは一時的なものに過ぎず、後で大きな代償を支払わ
されることになります。しっぺ返しを喰らいます。






ポイント

経営トップの意識改革

「健康経営」を実践するためには、経営層が魂を入れて、
傾注することが不可欠です。そうでなければ、「健康経営」
がなぜ大切なのかが、末端の社員にまで浸透することは
ありません。単なるパフォーマンスで終わってしまいます。





私見

普段、健康に感じている人は(必ずしも、実際に健康状態
にあるかどうかは疑問ですが)、無理をしたり、他人に無理
強いする傾向があります。


管理職や経営層にそうした考え方があるとすれば、
早晩、「グレー企業」が「ブラック企業」に転落することは
目に見えています。当事者に見えていないだけです。
客観視できていないからです。


「メタ認知」という概念を最近知りましたが、客観視に近い
もので、もう一人の自分から見て、自分はどうなのかを
常に考えてみる姿勢が欠かせません。


<メタ認知>


 メタ認知(メタにんち)とは認知を認知すること。

 人間が自分自身を認識する場合において、

 自分の思考や行動そのものを対象として

 客観的に把握し認識すること。

 それをおこなう能力をメタ認知能力という。
 

  (メタ認知 Wikipedia から)


「健康経営」を実践し続ける企業だけが、持続可能性を
獲得できます。


「健康経営」にゴールはありません。






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 健康ブラック企業 
 健康経営 
 エクセレントカンパニー 
 健康経営に関する誤解 
 持続性 






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時代は「健康経営」 エクセレントカンパニーの新条件 2015.06.15 <2>







日経ビジネスの特集記事(111)

時代は「健康経営」
エクセレントカンパニーの新条件
2015.06.15




テーマ

今週の特集記事のテーマは

「健康管理は従業員本人の責任」。
そんな前時代的な経営は、もはや通用しない。
SCSK、コニカミノルタ、伊藤忠商事、味の素、東急電鉄、内田洋行──。
従業員の健康こそ企業の競争力を高める経営の最重要課題と位置付け、
その増進や維持を図る「健康経営」に取り組む企業が増えている。
活力ある働き方を実現する「戦略投資」として、健康経営を推進することは、
生産性を高め、優れた人材を集めるエクセレントカンパニーの新条件だ。

 (『日経ビジネス』 2015.06.15 号 P.026)

ということです。






時代は「健康経営」<br />エクセレントカンパニーの新条件

時代は「健康経営」
エクセレントカンパニーの新条件

(『日経ビジネス』 2015.06.15 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15







第1回は、
「PART1 本誌調査では従業員の34%が『病』に
 『健康ブラック企業』の闇」
「PART2 SCSK、健康経営の軌跡
 家族に手紙、残業激減 そして増収増益」
を取り上げました。


第2回は、
「PART3 エクセレントカンパニーへの道
 健康経営、4つのポイント」
を取り上げます。


最終回は、
「PART4 経営トップが旗振り役に
 『形だけの罠』に陥るな」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 健康ブラック企業 
 健康経営 
 エクセレントカンパニー 
 健康経営に関する誤解 
 持続性 



初回は、健康ブラック企業と、健康経営を推進する企業を
ご紹介しました。


今回は、従業員や役員の心身の健康を維持・増進する
企業は、エクセレントカンパニーへの道を歩むことになる、
という主旨でお伝えしていきます。



では、本題に入りましょう!


 PART3 エクセレントカンパニーへの道 
 健康経営、4つのポイント 

『日経ビジネス』特集班は、健康経営には4つのポイント
がある、と指摘しています。


順に見ていくことにしましょう。


手法1 緻密な検診データで最適提案

企業による従業員の心身の健康管理は、単に医療費の
削減のみならず、企業の存続にも関わる大変重要な
テーマとなってきました。


従業員も個人の問題ではなく、全社的な問題であるという
認識が不可欠です。


内田洋行の場合


 医療コンサルティングのミナケア(東京都千代田区)

 に健康診断とレセプトのデータ分析を依頼して、

 リスクの高い従業員を洗い出した。

 生活習慣病をターゲットにしたのは、長期間にわたって

 継続して治療を受けたり、服薬したりする必要がある

 病気だからだ。本人の負担が重い上に医療費もかさむ。


 内田洋行は2017年度に血糖・血圧で緊急度が高いリスク

 を持つ従業員を、2014年度比で8割削減するなどの中期

 目標を策定した。

 健康への取り組みはすぐに成果が出るものではないが、

 データを基にして適切な手を打ち続ければ必ず成果が

 出る。たゆまぬ実践が、今日も続いている。
 

  (PP.036-037)


従業員の健康に関するビッグデータ活用により、
個人の健康状態の把握だけでなく、男女別、年代別、
業務内容別、上長と部下との関係など、いろいろな
セグメントで分析が可能になってくる、と考えられます。


そうしたデータを事業にどう活かしていくか、
が将来の課題になる、と思います。



図1


健康リスクが高い従業員を狙い撃ち
・内田洋行保険組合のデータ活用概要

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.036)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15






手法2 楽しむ仕掛けで三日坊主を防ぐ

従業員の健康への意識を向上させるため、
企業はあの手この手を使って、動機づけしています。


課題をクリアしたらポイントが貯まり、健康関連商品
や、さまざまな商品に交換できるプログラムを採用
する企業も増えてきました。
「アメとムチ」のアメの戦略です。


一方、健康診断を未受診の従業員に対して、
ボーナスをカットする荒療治を課す企業もあります。
「アメとムチ」のムチの戦略です。


こうした「アメとムチ」を使い分ける試みが始まりました。


出光興産の場合(アメ)


 健康ポイントをためて商品を手に入れる──。

 こうした楽しむ仕掛けで健康活動の「三日坊主」を

 防ぐ仕組みは、出光興産も取り入れている。

 2012年、住友商事が開発した健康応援サイト

 「KENPOS」を採用。

 1日7000歩や1万歩の歩行を一定期間続けるなど

 の活動をすると、ポイントがもらえる。

 ためたポイント数に応じて、東京ディズニーリゾートの

 フリーパスポートや雑穀米など様々な商品に交換

 できる。
 

  (P.038)



こうした試みが目に見える成果となってきています。


 現在、健康保険組合の被保険者の3分の1に

 当たる約3600人がKENPOSに登録。

 導入初期に登録した40歳以上の人と、

 それ以外の人の年間医療費の平均を調べたところ、

 後者の2013年の医療費は約24万9000円と、

 2年前から23%増加。

 一方、初期登録者の医療費は約15万5000円で

 同期間に7%減るなど、着実に成果が表れている。
 

  (P.039)


今後も、“経過観察”が必要でしょう。
1~2年で終わり、ではありませんから。




ローソンの場合(ムチ)


 ローソンは健康診断を未受診の従業員に対し、

 本人の賞与を15%減らすと同時に、

 所属部の部長など上司の賞与も10%カットする

 制度を2013年度に導入した。部下の健康管理に

 ついて上司にも責任を持たせて、

 受診率の向上につなげようという考えからだ。

 従業員の受診率はそれまで97%だったが、

 制度導入を機に2013年度は100%に上昇。

 2014年度も全従業員が受診した。

 健康診断の2次検査に応じない従業員の賞与を

 2~8%減らす取り組みも2013年度に開始。

 こちらも2次検査を受けない従業員が2013年度の

 10人から2014年度は6人に減るなど、

 一定の成果を上げている。

 2015年度は2次検査が必要な従業員全員の

 受診を目指す。
 

  (P.039)


ボーナスを減額されても、健康診断の2次検査を
受けない従業員が一部ですが、まだいるのですね。


なぜ、受診しないのでしょうか?
大病だったらと思うと、結果を知らされることが怖い
からでしょうか?


健康診断は身体に関するものだけで、心の問題は
扱いませんね。心と身体は不可分なものなので、
通常の健康診断とは別に、心の健康状態を診断する
ことも大変重要なことだ、と思います。


次の手法は、そうした心の健康に関する課題を取り
上げたものです。





手法3 復職へのロードマップを作る

メンタル疾患によって、休職した従業員をどのように
ケアし、復職させるかは企業にとって、とても重要な
意味を持ちます。


メンタル疾患の場合、2~3カ月後に再発するケースが
多いそうです。そのため、結局、退職を余儀なくされる
ことがあるそうです。


 労働政策研究・研修機構が2014年に実施した

 「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」

 によると、メンタルが不調になった人の13.3%が、

 結局退職している。

 メンタル疾患は、一般的には休養を取り、

 薬物治療やカウンセリングを受けることで、

 「気分が落ち込む」「何もやる気が起きない」

 といった症状自体は数カ月で改善する。

 外出が容易になるため、職場復帰できると

 思いがちだが、業務を遂行できるレベルまでの

 回復には時間がかかる。

 しかも、症状が改善してから2~3カ月後の再発

 が最も多いことから、職場復帰には慎重になら

 ざるを得ない。
 

  (P.039)


メンタルヘルスと同様に、がんを患う従業員に対する
ケアは、企業が取り組むべき課題と言えます。


 最近では、抗がん剤や手術、放射線療法といった

 治療が進歩し、生存率が高まっている。

 完治には至らなくても、治療を続けながら仕事に就く

 ことも十分可能な時代になった。

 その一方で、「がんを抱えた同僚との接し方や、

 どう働いてもらうかなどで悩んでいる企業は多い」と、

 キャンサー・ソリューションズ(東京都千代田区)の

 桜井なおみ社長は話す。

 自身も乳がんの闘病経験があり、起業してがん患者の

 就労支援を手掛けている。

  「部下ががんの治療をして、先月復帰してきた。

 体力的にきついだろうと考えて、営業から内勤に異動

 してもらったが、最近ふさぎ込んでいるようだ」。

 キャンサー・ソリューションズの無料相談窓口には、

 大手企業の管理職からこんな悩みが寄せられた。

 「本人の希望をきちんと聞き出しましたか」と桜井社長が

 尋ねると、その上司は黙ってしまったという。

 電話相談を通して桜井社長が感じているのが、

 こうした職場でのコミュニケーション不足だ。
 

  (P.040)


職場でのコミュニケーション不足の他に、従業員にも問題
があるということです。


 従業員側にも問題はある。「復職に当たって会社の

 人事担当者などと話す際、自分の病気の程度や

 治療内容、経過ばかりを語りがち。

 今の体調を踏まえて、職場で何ができるかを伝える

 ことが重要だ」と桜井社長は話す。

 それに基づき、企業は現部署での復帰か、配置転換を

 認める必要がある。
 

  (P.040)


がんを患う従業員にどう対処したらよいか悩んでいる、
上司や同僚がいることは間違いないでしょう。


専門のカウンセラーに相談することを、選択肢の一つ
に加えるべきでしょう。


最高健康責任者(チーフヘルスオフィサー=CHO)と
いう肩書が登場したそうです。


CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、
COO(最高執行責任者)、CTO(最高技術責任者)、
CIO(最高情報責任者)は目にしますが、
CHO(最高健康責任者)は知りませんでした。





手法4 経営陣が「健康責任」を負う

従業員全員の健康管理は、会社が行なうべき
ことであり、健康維持・増進は企業戦略の一環
となってきました。


ということになれば、健康責任を負う経営陣の
中から、相応しい人物をCHOに据えることは、
必然となります。


ロート製薬の場合


 2014年6月、ロート製薬で海外事業を担当する

 ジュネジャ・レカ・ラジュ副社長に、

 同社としては初となる新たな肩書が加わった。

 「最高健康責任者(チーフヘルスオフィサー=CHO)」。

 従業員の健康増進活動を推進し、

 その健康維持に大きな責任を負う役職だ。


 昨年4月にロート製薬に入社。

 その後、副社長に就くのと同時に、山田邦雄会長の

 指名でCHOにもなった。

 「健康は目に見えず、意識しにくい。従業員に健康へ

 の意識と気付きを与えるために、CHOの役職に就いた」。

 ジュネジャ氏は自らのミッションをこう明かす。
 

  (P.040)





(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.041)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15





 今後はジュネジャ氏が旗振り役となって、健康活動をさらに

 推し進める。

 今年秋のおおさかグレートサンタラン(サンタクロースの衣装

 で走るチャリティーイベント 註:藤巻隆)への2年連続の参加や、

 喫煙者が禁煙に挑む取り組みなどを検討する。

 「健康増進に自発的に取り組む従業員の存在は、

 家族など周囲の人たちの模範にもなり得る」とジュネジャ氏は

 語る。

 健康担当の役員を置く動きが、企業の間で徐々に広がっている。

 これは個人の責任と見なされがちだった従業員の健康維持を、

 経営陣の責任と捉えて、体系的に取り組もうとする企業が

 増えてきたことを象徴する。
 

  (P.041)




ポイント

従業員の健康管理は経営陣の責任

この考え方は、日本中に浸透しているわけでは
ありません。


ですが、遅かれ早かれ、経営陣は自覚しなくては
ならない時期が必ず、到来します。


なぜなら、投資家も、従業員を財産と考え、
その財産を毀損するような企業には投資しない、
という方向へ向かっているからです。




ポイント

アメとムチの戦略は長続きしない

企業が考えたプログラムに参加し、達成度に応じて
ポイントを与え、いろいろな商品と交換できる仕組み
(アメ)や、健康診断の2次検診を未受診の従業員は
ボーナスを減額するという仕組み(ムチ)は一時的には
効果があるでしょう。


ですが、長続きはしないと思います。
そのうちにマンネリ化したり、「やらされ感」で疲弊して
しまうからです。




私見

「アメとムチの戦略」と並行して行なっていくべきことは、
「従業員の健康は会社の財産」であると経営陣が自覚し、
また、従業員も「自分の健康は個人の問題ではなく、
家族の問題でもあり、全社的な問題でもある」
と自覚させる、啓蒙活動が欠かせないことだ、
と考えています。


そうした経営陣、従業員双方の自覚が、やらせている
のでもなく、またやらされているのでもなく、
自ら取り組んでいるという信念につながっていく、
と固く信じています。


経営陣と従業員は、対立ではなく、共創の関係である、
と再定義し直す必要がありそうです。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 健康ブラック企業 
 健康経営 
 エクセレントカンパニー 
 健康経営に関する誤解 
 持続性 




最終回は、
「PART4 経営トップが旗振り役に
 『形だけの罠』に陥るな」
をお伝えします。


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時代は「健康経営」 エクセレントカンパニーの新条件 2015.06.15 <1>







日経ビジネスの特集記事(111)

時代は「健康経営」
エクセレントカンパニーの新条件
2015.06.15




テーマ

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「健康管理は従業員本人の責任」。
そんな前時代的な経営は、もはや通用しない。
SCSK、コニカミノルタ、伊藤忠商事、味の素、東急電鉄、内田洋行──。
従業員の健康こそ企業の競争力を高める経営の最重要課題と位置付け、
その増進や維持を図る「健康経営」に取り組む企業が増えている。
活力ある働き方を実現する「戦略投資」として、健康経営を推進することは、
生産性を高め、優れた人材を集めるエクセレントカンパニーの新条件だ。

 (『日経ビジネス』 2015.06.15 号 P.026)

ということです。






時代は「健康経営」<br />エクセレントカンパニーの新条件

時代は「健康経営」
エクセレントカンパニーの新条件

(『日経ビジネス』 2015.06.15 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15







第1回は、
「PART1 本誌調査では従業員の34%が『病』に
 『健康ブラック企業』の闇」
「PART2 SCSK、健康経営の軌跡
 家族に手紙、残業激減 そして増収増益」
を取り上げます。


第2回は、
「PART3 エクセレントカンパニーへの道
 健康経営、4つのポイント」
を取り上げます。


最終回は、
「PART4 経営トップが旗振り役に
 『形だけの罠』に陥るな」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 健康ブラック企業 
 健康経営 
 エクセレントカンパニー 
 健康経営に関する誤解 
 持続性 



PART1には、多くのグラフが掲載されています。
多くのグラフの中から、一部をご紹介します。


一部ですが、本誌の趣旨をよく示すグラフです。
ここまで深刻な実態を如実に表すグラフとは、
正直言って、想像していませんでした。


ただし、本誌のアンケートをもとに集計したものも
含まれているため、日本全体の企業の傾向を
示したとは言えません。


その点を誤解されませんように。



では、本題に入りましょう!


 PART1 本誌調査では従業員の34%が「病」に 
  「健康ブラック企業」の闇 

最近では「ブラック企業」という言葉が下火になって
きました。


ですが、ブラック企業がなくなったわけではありません。
メディアがあまり取り上げなくなっただけです。


「長時間労働」が、従業員の心身を蝕んでいることは
間違いありません。


『日経ビジネス』は今週号で、「健康ブラック企業」を
取り上げました。「長時間労働」が問題を引き起こす
根底にあることを、アンケート結果が示しています。



パワハラによる「うつ病」で休職し、現在は復職して
いる「東京証券取引所1部に上場する名の知れた
企業」の社員のケースが取り上げられています。



健康ブラック企業


情報・通信大手、A社に勤務する吉田幹夫さん
(40代・営業職、仮名)の場合



 「当時の私は、どういう行動を取ってしまうか、

 自分でも予測がつかない状況だった。

 衝動的に電車に飛び込んでしまうことを恐れ、

 通勤時は駅のホームの真ん中を歩くようにしていた。

 上司を刺しても構わないと思い詰め、

 ナイフを忍ばせて会議に出たことも。

 家族の存在がなければ、今ここに自分はいなかった

 かもしれない」。

 吉田さんは過去、仕事が原因のうつ病を2度発症して

 休職。今年に入って職場に復帰した。

 在籍する会社は、東京証券取引所1部に上場する

 名の知れた企業。


 最初に体の変調を訴えたのは5年前。

 部長から営業ノルマ達成を過剰に強いられ、

 プレッシャーに押しつぶされた。

 部長は気に食わないことがあればモノを投げ付け、

 大声で叱責する。

 典型的なパワハラ上司だった。さらに課長からは別の

 命令が飛び、そのたびに双方から叱責され、苦しんだ。

 そうしたある日、ふいに仕事中に耳が聞こえなくなり、

 涙がポタポタと落ちた。


 同僚の勧めで心療内科を受診することになり、

 医師に胸中を打ち明けた時、吉田さんは号泣。

 医師に「重症だ」と告げられ、休職手続きを取った。

 だが、部長は親身になるどころか、

 「おい、病名を言ってみろ。ん? 聞こえないぞ、

 もっと大きな声で言え」などと恫喝した。
 

  (PP.028-029)


言語道断ですね。
吉田さんの上司は異動の対象とはならず、
代わりに吉田さんが他部署に異動になったそうです。


部長も課長も仕事上は「成果」を出し、「優秀」なのか
も知れません。ですが、部下を恫喝するパワハラ
管理職は管理職の資格はない、と思います。


そういう人物は、部下が一人もいない部長や課長に
すべきでしょう。


問題は、当事者間だけでなく、周囲の人間にまで
悪影響を及ぼすことがあることです。


企業のメンタルヘルス不調者の対策を手掛ける
アドバンテッジリスクマネジメントに多くの相談が
寄せられたケースの一部が、以下の内容です。


 「これから自殺する」といった切羽詰まった相談が

 多く寄せられる。同僚がオフィス内で自殺し、

 それを目撃した社員がPTSD(心的外傷後ストレス障害)

 を発症するといった事例の相談もあるという。

 同社の神谷学取締役は「どんな会社であっても

 全従業員の15%ほどが高ストレスを抱えた要注意状態

 にある。このうち7割近くが医師の面談が必要とされて

 いる人たちだ」と指摘する。
 

  (P.029)


つまり、全従業員の10%近くが医師の面談が必要と
されていることになります。非常に多い、と実感します。


PTSDは非常に厄介な病気で、オウム真理教による
地下鉄サリン事件の直接の被害者や、その惨状を
目撃した人たちの中には、未だに病状に苦しんで
いる人たちがいるそうです。


「時間が解決する」というものではないのです。



最近では、内部告発を認める企業が出てきました。
ところが、内部告発を認め調査する制度はあっても、
実際には機能しない、次のようなケースがあります。


 メンタル面で問題を抱え、衝動的に行動を起こそう

 と考えた人は枚挙にいとまがない。

 東証1部上場メーカーの子会社B社では昨年、

 3人の自殺者が出た。

 そうした悲劇に関し同社では箝(かん)口令が

 敷かれて、その原因を探ることは難しいという。

 「今、メンタルを病んで休職している20代の若手が

 3人いる。いずれもある1人の上長のパワハラが原因」。

 同社に勤務する田中実さん(50代、仮名)は、

 状況の悪化を危惧する。

 B社ではこうしたパワハラやセクハラに対し、

 人事部に内部告発する制度が存在する。

 組合はないが、社員の不平や不満を吸い上げ、

 職場環境の改善に結び付ける仕組みだけは整っている

 という。だが、「内部告発すると不利益になるという噂が

 まことしやかに流れ、行使できる環境にはない」

 (田中さん)。
 

  (P.030)


画龍点晴を欠くとはこのことです。
形式的に制度を採用しても、運用面がしっかりしたもの
でない限り、形骸化し、むしろ事態を悪化させます。



ここで、今までお伝えした内容に関連したグラフを掲載
します。


グラフ1

自殺者数の推移

自殺者数の推移

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 PP.028-029)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15



グラフ2

日本男性はOECDで最も長時間労働

日本男性はOECDで最も長時間労働

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.028)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15



グラフ3

労災請求・決定件数の推移

労災請求・決定件数の推移

(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.028)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15






グラフ4



(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15



グラフ5



(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15



グラフ6



(『日経ビジネス』 2015.06.15号 P.031)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.15




先に、パワハラ上司によって部下がうつ病になったケースを
ご紹介しました。その会社では、パワハラ上司にはお咎め
無しだったようですが、次のようなケースもあることをパワ
ハラ上司は肝に銘じておいたほうがよいでしょう。


従業員の心身の健康管理を怠ったということで、
遺族から訴えられ、経営者や企業が賠償を命じ
られたケースがあります。


 居酒屋チェーン「日本海庄や」では、新入社員が

 入社後の月平均で112時間の残業を繰り返した結果、

 就寝中に急性心不全で死亡。

 2013年に運営会社の大庄に加え、役員個人にも

 総額7860万円の支払いを命じる判決が確定した。

 メンタルヘルス対策の不備による経営リスクを実感

 したにもかかわらず、大庄は「構造改革を進めている

 ところだが、まだ社内的には生々しい案件。

 コメントするには時期尚早」と業務改善の内容を語らない。


 2005年、JR福知山線脱線事故の際、「日勤教育」など

 の行き過ぎた社員教育が指摘されていた西日本旅客鉄道

 (JR西日本)。

 その後も労働環境が改善されたとは言い難い。

 時間外労働が最大月254時間にも達し、うつ病を発症して

 2012年に飛び降り自殺した社員について、大阪地裁は

 今年3月、同社に計約1億円の賠償を命じる判決を出した。
 

  (P.031)


社員の心身の健康に全く配慮しない企業は、後に、
何倍もの大きな代償を払わされることになります。





ポイント

社員の心身の健康管理は、個人に任せきりは許されない

企業は、社員のことを外部には「人財」と言いながら、
内部では奴隷か虫けらのごとく扱うところもあります。


健康ブラック企業は公表すべきです。



さて、PART2では、健康ブラック企業に代わって、
「健康経営」を標榜するだけでなく、実践している
企業を紹介しています。


ケーススタディとなっている企業も、以前は、
健康ブラック企業という暗い歴史がありました。


経営者の本気度が試されています。





 PART2 SCSK、健康経営の軌跡 
 家族に手紙、残業激減 そして増収増益 




IT(情報技術)業界のSCSKの場合

いきなり驚くべきことを語ったのは、SCSK会長の
中井戸信英氏です。


 「ブラック企業の代表と言われたIT(情報技術)業界で、

 1人当たり平均残業時間が月18時間。

 『嘘ついてるんちゃうの』と言われるけど、全部事実や」

 住友商事系のSCSKで会長を務める中井戸信英氏は、

 飄々と語る。

 2014年度のSCSKの残業時間は全社平均で月18時間16分。

 1日当たりに換算すれば、45分程度だ。

 同年度の有給休暇取得率も97.8%に達する。
 

  (P.032)


残業時間を聞いて、「本当なの?」、とにわかには信じられ
なかったのではないでしょうか?


私も最初は疑いました。それで会社が回っていくのだろうか?
企業業績はどうなのか?



本社移転がきっかけでした。
企業ストーリーとしても、よく出来ていると思います。
「企業成功物語」に出てきそうな話です。
トップに「慧眼と実行力」が、あるかどうかの違いです。



 2009年、親会社の住友商事副社長から、

 グループIT企業の住商情報システム(現SCSK)社長に

 転じた中井戸氏の目に、惨憺たる光景が映っていた。

 昼休みには日々の長時間残業に疲れ果てた多くの社員が、

 机の上に突っ伏していた。

 寝袋を持ち込んで休憩室に寝泊まりしている社員もいる。

 机の横幅は90cmしかなく、オフィスには社員がぎゅうぎゅう

 詰めだ。


 「オフィスを移るぞ」

 中井戸氏が着任半年後に下した決断に、誰もが仰天した。

 SCSKが入居していた東京・晴海のオフィスビルは、

 住友グループの所有物。

 そこから突然、グループIT企業が“集団脱走”し、

 東京・豊洲に新しくできたビルへと丸ごと移るというのだから

 無理もない。

 2010年10月に本社移転。従業員らが得た果実は大きかった。

 横幅135cmの机、十分な数の快適なトイレ、社員食堂、診療所、

 薬局──。
 

  (P.031)



その後、どうなったでしょうか?
気になりますね?


ことはそう簡単ではありませんでした。


 「7~9月の時間外勤務時間を半分にせよ」。

 2012年、SCSKを構成する約170の部門の中で、

 特に残業時間の多い32部署に命令が下った。


 会議時間の短縮、業務の取捨選択などに加えて、

 同年度に始まったフレックスタイム制をフル活用し、

 40時間ほどあった部署の平均残業時間を半減させた。

 他の部門も成果を出し、7~9月の全社残業時間は

 大きく減った。

 だが、成果が上がったのは一時的なことにすぎなかった。

 2012年8月に23時間4分にまで減少した平均残業時間は、

 年度末にかけて急上昇。

 2013年3月は再び28時間50分へと膨れ上がった。
 

  (P.034)


その理由は、残業が減ったことで残業手当が減少した
からです。


残業手当は、確かに「手当」で給料プラスαですが、
実際には、残業手当を含めて生活給という意味合いが
濃いですね。


そうしますと、悪循環でまたぞろ残業する人が増えてきた
ということです。


そこで、中井戸さんは奥の手を出しました。
残業が減り、企業業績が向上したら、浮いたお金を
社員に還元しようと思い立ったそうです。
ここが素晴らしいな、と思いました。
なかなかできないことです。


 「社員が削減した残業代を、会社が『ぽっぽないない』

 しないと決めたんや」

 残業代を減らして目標を達成すれば、SCSK全体で

 約6億円が浮く。

 この6億円を、すべて従業員に還元することにしたのだ。

 職場の達成度ごとに12万円、9万円、6万円、ゼロ円を、

 翌年の夏のボーナスに積み増した。

 多くの企業が残業時間削減を掲げるが、うまくいかない。

 理由は単純。

 従業員の生活が、残業代があって成り立っているからだ。

 「教育費もかさむしローンもある。それなのに残業は悪だ、

 やめたまえと言っても、従業員はそれでは仕事が回らない

 と頭で整理するのが当たり前だ」(中井戸氏)。
 

  (P.034)


ただし、それでも死角はあります。
悪名高き「サービス残業」です。
そして、そのサービス残業への対応にも唸らされます。


 残業時間削減の取り組みには「死角」がある。

 違法なサービス残業の発生だ。SCSKは7300人の

 従業員全員に「サービス残業アンケート」を実施している。

 サービス残業を強いられていないか、

 暗黙のうちに付け控えを奨励するような雰囲気に

 なっていないか、などを問う内容だ。

 アンケートによって問題がありそうな部署があったら、

 人事が社員から部門長までヒアリングをかける。

 併せて入退室記録を照合し、徹底的に洗い出すという。

 「サービス残業が発生したら、必ず遡及して残業代を

 支給する。年に1桁レベルではあるが、実際に支払った

 ケースがある」(古森氏)というから、決して名ばかりの

 調査ではない。
 

  (P.035)

* 古森氏:人事部を担当する常務 (註:藤巻隆)


中井戸氏がさらに行なったことは、従業員の家族宛に
手紙を複数回書いたことです。「お願い」の手紙でした。


 全従業員の家族に中井戸氏から1通の手紙が届いた。

 題名は「禁煙・健康増進(ウオーキング)キャンペーン

 についてのお願い」。

  「私は、経営の根幹として第一に役職員の健康を

 あげています。次に当然のことながら役職員の

 健康的な活動の基になる健康で充実した家庭生活の

 大切さをあげています。(中略)『役職員の健康』無く

 して『企業の発展』はあり得ません」

 用紙3枚にわたり、中井戸氏が推敲を重ねた文章が

 記されていた。従業員の健康増進への協力を、

 家族に求めた。
 

  (P.032)




 「記念日やお子様の学校行事の際に、

 積極的に有給休暇を活用されるよう

 お声がけください」

 2013年3月、またもや中井戸氏は従業員家族への

 「手紙」攻撃を発動した。

 禁煙、ウオーキングに加えて、今回は「有給休暇の

 取得奨励」を呼びかけた。

 同年4月、「スマートワーク・チャレンジ20」と呼ぶ

 取り組みを開始。目標は残業時間20時間と、

 有休取得日数20日(100%消化)と定めた。
 

  (P.034)


こうした「心に訴える」施策を行なったのは、
制度を作っただけ、お題目を並べただけでは、
成果に結びつかないからです。


綺麗ごとばかりではないか、と思われたかもしれません。
確かにそうかもしれません。


表面に出てきたことだけで判断することは危険である
ことは、十二分に承知しています。


それでも、ここまでトップが従業員や従業員の家族に
まで気配りする会社は稀だ、と考えています。


ただ一つ言えることは、こうした活動は持続性が大事だ、
ということです。


目標を達成したら終わりではなく、さらに高みに向かって
活動を切らさないことがもっと大切なことです。


むしろ、これからが本番とも言えます。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 健康ブラック企業 
 健康経営 
 エクセレントカンパニー 
 健康経営に関する誤解 
 持続性 




次回は、
「PART3 エクセレントカンパニーへの道
 健康経営、4つのポイント」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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