限界都市 東京 一極モデル打ち破る新未来図 2014.08.04 <2>
限界都市 東京
一極モデル打ち破る新未来図
2014.08.04
今週の特集記事のテーマは
高齢者が過半を占める限界集落の危機が
喧伝されている。しかし東京が直面する危機
はこう呼ぶのにふさわしい。
限界都市・東京――。
柱になるのが、若者にとって魅力ある地方の
街の存在だ。
それがあって初めて、東京も持続可能になる。
東京と多様な地域が共存する。
処方箋はここにある
ということです。
PART3 「地域で生きる」逆流のススメ
脱・東京に舵を切れ
まず、下の画像をご覧ください。
(『日経ビジネス』 2014.08.04号 PP.036-37)
この図の店舗はどこだと思いますか?
ひと目で分かったとしたら凄いです。
これは全国チェーン店の「ドン・キホーテ」です。
左側「地方・郊外型」で、右側が「都市型」です。
少々分かりにくいかもしれませんが、通路の広さが
まるで違います。
「地方・郊外型」はゆったりしていますが、
「都市型」はすれ違うのが大変なほどに狭いですね。
ドン・キホーテといえば、「圧縮陳列」という特有の
店づくりで有名です。
ですが、ドン・キホーテは「地方・郊外型」と「都市型」
の2つの形態を取り、これからは「地方・郊外型」の
出店を加速していくそうです。
しかし、なぜなのか?
(P.037)
圧縮陳列というドンキ特有の店づくりは、
20代の独身者を顧客の中心に据えた
からこそ生まれた。雑貨などバラエティー
商品を多く取りそろえ、店内を迷路の
ようにして何かを「発見」する喜びを提供
する。ところが30代の主婦やファミリー層
が中心の地方の店舗では、こうした仕掛け
だけでは通用しない。家族連れに配慮して
通路を広くし、商品の高さは女性目線に
抑えた。
(P.037)
地域におけるワンストップショッピングの場
として、ドンキは地方の店の顧客の来店
頻度を「週に2回」と設定している。
対する都市部の店舗は「月に2回」。
たまに行く店ではなく、生活の一部として
頻繁に訪れる店づくりをするのがドンキの
地方戦略だ。
ドンキの戦略は明確です。
「都市型」の店舗には来店客数が多いですが、
来店頻度はそれほど高くありません。
一方、「地方・郊外型」の店舗にはもともと人口
が少ないので来店客数は少ないですから、
来店頻度を高めてもらうために、商品構成を
変えたり、通路を広くすることにしたのです。
地方の知恵が東京を救う
地方から東京への一極集中を逆流に変えるための
試みを約10年前から行っている地方自治体が紹介
されています。
(P.040)
時は約10年前。現職の森雅志氏は富山市長
に就くや、いち早く集約型の街作りにカジを
切った。「若い世代が減る中で街をコンパクト
にして都市の拡散を防ぐことが将来世代に
欠かせないと判断した」。森氏はこう振り返る。
具体的に実施したことをご紹介しましょう。
(P.040)
道路上を走る床の低い次世代型路面電車
(LRT)を整備するなど、まずは市内の中核
となる富山駅から各地域に延びる鉄道や
バスの交通網整備に乗り出した。
(P.040)
次に着手したのは歩いて暮らせる街作り。
郊外から中心地への移住を推進する政策
を掲げ、指定した中心市街地などに住宅を
建設・購入する住民に補助金を助成。
中心地は6年前から人口転入超過に転じた。
この地区全体で2013年に32%の市民が
暮らすが、2025年に42%に引き上げる目標だ。
しかし、これだけのことをしても道半ばだという
ことです。
(P.040)
森市長は「ものすごいスピード感で手を打って
きた。ただ、30年先の将来市民を考えて政策
運営しており、目標の半分にも到達していない」
と話す。
前回、米ポートランドのケースをご紹介しました。
今回は富山市のケースをご紹介しました。
そこで、はっきりしたことがあります。
(P.041)
先のポートランドや富山市の取り組みから
浮かび上がるのは、一定の状況にたどり
着くまでには地域挙げての息の長い取り組み
が不可欠という現実だ。
「ぶれない」取り組みを継続していけるかどうかが、
カギになるということです。
もう一つは、「働く場の確保・創出や教育環境の
整備」(P.041)です。
極めて重要なポイントですね。
一時的な流行りで、若者たちを呼び込んでも、
将来性が見い出せないと分かれば、
若者たちは地方を見限り、また元の流れに
身を投じ、地方から都心への流入に戻るだけ
です。
奇をてらい、目先だけを考えた施策は、
必ず頓挫します。
「東京への一方通行を変える」(P.043)
ということは、口で言うほど容易なことでは
ありません。
外圧などにより、国民の意識が大きく変わらない
限り、極めて困難であると思います。
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