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花王 奪還「失われた25年」  2014.10.13  <3>




日経ビジネスの特集記事(77)

花王
奪還「失われた25年」
2014.10.13



今週の特集記事のテーマは

米P&Gに勝つことを夢見た中興の祖、丸田芳郎氏
の社長退任から来年で25年。
海外事業で思うように伸ばせず、アジア攻勢でライバルの
ユニ・チャームに先を越されている。
国内では、カネボウ買収で2006年に24期連続増益は
途絶え、昨年は白斑問題が深刻化した。
そして今年2月、澤田道隆社長を残してすべての取締役が
退任する異例の決定を下す。
「技術」か「マーケティング」かという二項対立を超えた
「超・技術経営」。再攻の狼煙は上がった 
 (『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.026)

ということです。


花王<br />奪還「失われた25年」

花王 奪還「失われた25年」

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 表紙)




前回は、インドネシアや中国での花王の奮闘ぶりを
お伝えしました。


ただし、P&Gやユニリーバという強大な海外勢や、
国内では勝っているユニ・チャームにも海外では、
シェアで水を開けられています。


花王の再攻はその緒についたばかりです。


最終回は、強さのさらなる強化と、澤田道隆社長が、
「原点回帰」の方針を明確にした「超・技術経営」の
内容をお伝えしていきます。



PART3 盤石をもっと強く
成熟する国内市場を深掘り



まず、花王のヒット商品を時系列でご覧いただたい、
と思います。このうち、あなたはいくつご存じですか?
商品名は知っていても、 「花王の商品」 とは
知らなかったものもあると思います。


私は、すべての商品名は知っていましたが、そのうち
3分の2程度は 「花王の商品」 と分かりましたが、
残りは他社商品だと思っていました。


では、始めます。

70年 メリットシャンプー 
74年 8×4  
76年 カオーフェザー エッセンシャルシャンプー 
78年 ロリエ
80年 ビオレ
82年 ソフィーナ
83年 メリーズ
83年 バブ
87年 アタック
91年 リンスのいらないメリット
94年 クイックルワイパー
96年 ビオレ 毛穴すっきりパック
99年 健康エコナ クッキングオイル
03年 ヘルシア緑茶
03年 アジエンス
09年 アタック Neo
13年 ヘルシアコーヒー


概観していただきましたが、すごい数のヒット商品ですね!
全16品目です。


実際、 「花王の商品」 が他社商品を圧倒していることは、
データ上でもはっきり裏付けられています。 


 首都圏のスーパー、サミットが80年から毎年

 実施してきた新商品の人気ランキングによれば、

 家庭用品部門で花王は過去34年間で33回、

 5位以内に入賞した。その回数はライオンや

 P&Gの2倍以上の多さだ。

 サミットの田尻一社長は、「洗浄力などの花王

 製品の機能に対する消費者の信頼感は大きい」

 と評価する。

 販売シェアで見ても、カテゴリートップの商品は

 少なくない。洗濯洗剤では38%、シャンプーでも

 24%のシェアを抑えている(日経シェア調査)。
  

  (PP.040-041)


それでも、花王社内には危機感が漂っています。
それは、03年のヘルシア緑茶を最後に、
10年以上大ヒットは生まれていないからだ、
というのです。



「丸田(芳郎)さんの遺産で食べているという問題
意識は、花王社内にはずっとある」(P.041)と、
花王のある役員は打ち明けています。



『日経ビジネス』は花王の強さの源泉は4つある、
と指摘しています。


研究開発 総合力で需要の一歩先へ

販売 生産と一体の機動力生かす

コスト削減 知恵を絞る文化を浸透

リバースイノベーション 海外発の日本テコ入れ



研究開発 総合力で需要の一歩先へ


 今年8月、花王はシャンプーの主力ブランド

 「エッセンシャル」を久々にリニューアルした。

 実に、8年ぶりである。新商品で訴求したのは、

 髪を乾かす時間が従来製品よりも約4割も

 短縮できることだ。


 速乾性という新しい価値が実現したのは、

 技術だった。カギは髪の毛をコーティング

 してばらけさす成分。この成分は、化学

 事業が以前から持っていたもので、

 「髪の毛が縮みにくくなる」として、海外の

 シャンプーメーカーに販売していた。


 花王の強さの秘訣はここにある。化学や

 日用品、化粧品の各事業が持つ技術を

 横展開。どこの事業にも属さない基盤技術

 の開発にも余念がない。 
 

  (P.041-042) 


ここでも、 横断的組織 が生かされているのです。



販売 生産と一体の機動力生かす


 花王の強さの一つは、丸田社長時代に整備を

 進めた小売りとの直接取引であると言われる。


 花王は1970年代に卸を介さない自前の販社網

 を確立した。

 それが今も進化を続けている。
 

  (P.042) 


花王が「小売りとの直接取引」を始めたのは、
スーパーなどの目玉商品として、激安で販売
され、値崩れを起こしてしまうからです。


いったん、値崩れを起こした商品は、
ブランド価値を毀損し、適正利益を確保する
ことが困難になるからです。



コスト削減 知恵を絞る文化を浸透


 花王は86年から,TCR活動と呼ぶコスト削減
 
 プロジェクトを継続している。

 TCR活動は、長期化するデフレの下でも利益

 を絞り出す重要なツールとなった。


 一言でコスト削減と言っても、花王のTCR活動

 は通常のコスト削減活動とは様子が異なる。

 TCR活動の特徴は、「必ず知恵や工夫を入れる

 こと」(TCR推進室の井手一敏室長)だという。 
 

  (P.043) 


TCR活動を継続してきた成果が実を結び、
「細かいコスト削減を積み上げたことで、
2013年度はTCR活動が営業利益を
90億円押し上げた」(P.043)ということです。



リバースイノベーション 海外発の日本テコ入れ


 海外で生まれた様々なイノベーションを

 日本へ逆輸入する構想だ。


 エリアイノベーションの横展開は、日本

 だけでは出てこないイノベーションが

 生まれる可能性があるだけではない。

 ある地域で生まれた様々なイノベーション

 を様々な地域で使いこなすことで、

 開発投資の効率を高めることが可能になる。
 

  (P.043) 


国内だけでなく、様々な地域で 横断的組織 を生かし、
成果に結びつけていく試みがなされています。



下図をご覧ください。
長期デフレの下で、洗濯洗剤、柔軟剤、紙オムツの
価格下落を示しています。

長期のデフレに苦しんできた

長期のデフレに苦しんできた

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.042)



2004年度の値段を100とする折れ線グラフです。

洗濯洗剤   289円 ⇒ 244円  15%下落

柔軟剤     250円 ⇒ 234円   6%下落

紙オムツ   23.8円 ⇒ 20.6円  13%下落

(洗濯洗剤と柔軟剤は1パッケージ当たりの値段。
 紙オムツは1枚当りの値段。)





PART4 「技術の花王」再び
原点回帰は懐古か、挑戦か


澤田道隆社長は、「原点回帰」の経営方針を明確に
示しました。


「原点回帰」は懐古ではなく、挑戦でした。


 澤田社長は、社員に向けて「原点回帰」という

 言葉をよく口にする。「原点」という言葉から

 連想されるのは、花王の黄金時代――

 丸田時代の経営だろう。


 花王は、なぜまた「技術」という原点に立ち

 返ろうとしているのか。

 「むしろ今、さらにハイパーフォーマンスの

 『技術』が求められているからだ」と、

 吉田(勝彦)常務は説く。  
 

  (P.044) 


澤田社長にとって、「原点回帰」とは、「技術の花王」
に戻るだけではありませんでした。


「技術」と「感性」の一体化あるいは、融合でした。


 アジエンスは「感性のマーケティング」に

 チャレンジし、後発(資生堂のTSUBAKI 註:藤巻)

 に猛追された。だが花王はその「感性」すらも

 「技術」で取り込もうと試みている。


 カネボウが培ってきた「感性」を、花王の「技術」

 で分析しようという試みが始まっている。

 感性という定性的なものに対しても、心理学や

 生理学、脳科学などでアプローチしようという

 発想は、いかにも花王的だ。

 「技術」が「感性」を高め、また逆に感性の要素が

 入ることで技術が磨かれる。


 つまり、花王の「原点回帰」とは、化学技術が

 ヒット商品を生み出していた時代への回帰を意味

 するのではない。丸田経営を「技術経営」と呼ぶなら、

 今の花王が取り組むのは「超・技術経営」。

 感性のマーケティングから開発技術まで、あらゆる

 ものを「技術」で捉えようという姿勢だ。

 この経営が、「技術」の本丸である「基礎研究」をも

 強くする。
 

  (P.045) 



長期のデフレに苦しんできた

花王 元社長・会長 丸田芳郎 氏

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.045)




失われた25年を取り戻すべく、「技術」と「感性」
の一体化した、「超・技術経営」への挑戦は、
まだ始まったばかりです。



本特集を読んで、P&Gやユニリーバなどの
世界の巨人に対抗できる「グローバル企業」に、
国内のライバル、ユニ・チャームとともに、
成長してほしい、という思いを強くしました。






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花王 奪還「失われた25年」  2014.10.13  <2>




日経ビジネスの特集記事(77)

花王
奪還「失われた25年」
2014.10.13



今週の特集記事のテーマは

米P&Gに勝つことを夢見た中興の祖、丸田芳郎氏
の社長退任から来年で25年。
海外事業で思うように伸ばせず、アジア攻勢でライバルの
ユニ・チャームに先を越されている。
国内では、カネボウ買収で2006年に24期連続増益は
途絶え、昨年は白斑問題が深刻化した。
そして今年2月、澤田道隆社長を残してすべての取締役が
退任する異例の決定を下す。
「技術」か「マーケティング」かという二項対立を超えた
「超・技術経営」。再攻の狼煙は上がった 
 (『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.026)

ということです。


花王<br />奪還「失われた25年」

花王 奪還「失われた25年」

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 表紙)




前回は、役員総辞職の背景と、国内では総合トイレタリー
メーカーとして圧倒的な強さを発揮しながら、海外では
苦戦している花王の実情の一部をお伝えしました。


今回は、中興の祖と言われた、元社長丸田芳郎さんの
「国体(国内市場)で勝ち抜いて、オリンピック(グローバル
市場)に挑戦しよう」
という願いが叶いつつあるのか否か、アジアからの報告
です。熱い戦いはさらに熱を帯びてきました。



PART2 内弁慶、海を渡る
動き出したアジア総力戦


日本では販売していない「アタック・Jaz1(ジャズワン)」
というインドネシアで生産している洗濯洗剤があります。
「地産地消」という言葉が、最も適しているかもしれま
せん。


 「アタック・Jaz1(ジャズワン)」

 それは、2014年6月に満を持して発売された、

 花王のアジア攻略を象徴するような新製品だった。
  

  (P.034)


どのような特長があり、どのような消費者をターゲット
にしているか注目して読んでみます。


一見すると、バイク部隊は日本でよく見かける新聞販売
勧誘の常套手段の一つで契約者に景品として提供する
ものでは、と連想しました。しかし、違いました。


ここはインドネシアです。


 バイク部隊が細々とサシェット(1000ルピア(約10円)

 で小売されるパッケージ 註:藤巻隆)を売っても、

 その利益では人件費を賄うことすら難しい。この販売

 手法自体は「赤字」なのだ。

 では、なぜバイク部隊を仕立てあげるのか。

 ワルン(個人商店 註:藤巻)は、売り場が極めて

 狭く、並べられる商品には限りがある。

 つまり、消費者がよく買ってくれる商品しか並べられ
 
 ない。

 
 そこでバイク部隊は、グロシール(卸売店 註:藤巻)

 経由でなく、ワルンに直接、商品を小売するのだ。

 「並ばないから売れない、売れないから並ばない」

 という悪循環を、「並んだから売れた、売れたから

 仕入れた」と“逆回転”させるのが狙いだ。

 目的はその売り上げではなく、「火付け」なので、

 バイク部隊は、一度訪れた地域は二度と訪れない。
 

  (P.035) 


「売れている」という話題づくりと、口コミを活用しようと
しているのでしょう。莫大な宣伝広告費をかけても、
必ずしも売上や利益に結びつかないからです。


そして、さらには「典型的なBOP(ベース・オブ・ピラミッド)
市場攻略法」(P.035)ということになります。
一番大きなボリュームの階層の人たちに販売していこう
としているのです。


ごく一部の富裕層に販売しても売上は伸びていかない
からです。家庭用品は消費財で、一度買ってもらったら
それでおしまいではなく、リピート商品です。


繰り返して購入してもらわなければ意味がないのです。


 世帯収入などを基準に策定される「社会階層(SEC)」

 分類で言う「Aクラス(上位富裕層)」「Bクラス(下位

 富裕層)」「Cクラス(中間層)」「D(下位中間層)」

 「E(低所得層)」 
 

  (P.036) 
 に分かれます。


日本の倍の人口を抱える、インドネシアの社会階層は
どうなっているでしょうか。


 インドネシアの総人口2億5000万人のうち

 約50%をCクラス(中間層)が、約25%を

 D・E(下位中間層・低所得層)が占めている。

 この層に向けた商品は、ローカルメーカーが

 圧倒的なシェアを持つ。

 これら中間層のニーズに応える洗濯洗剤を

 作りたい――。Jaz1のチャレンジが始まった。
 

  (P.036) 


一番ボリュームの大きなCクラス(中間層)に狙いを
定めた、ということですね。


下図をご覧ください。
それぞれの円グラフの緑の部分が花王のシェアを
示しています。


台湾、中国、タイ、インドネシアの四カ国の実態が
示されていますが、どの国と地域でも大きなシェア
は確保できていません。


比較的大きなシェアを確保できている、タイやインド
ネシアでも洗剤はユニリーバに大きく水を開けられ
ていますし、生理用品ではユニ・チャームの後塵を
拝しています。

国内のような強さはまだ発揮できず

国内のような強さはまだ発揮できず

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.036)



花王は中間層に販売していくため、まず中間層の
実態調査を開始しました。


 中間層の実態を知るために、約500人の

 インドネシア人にインタビューし、AからE

 (低所得層)までの各クラスについて、

 「どんな考え方を持っているか」「どんな嗜好が

 あるか」など典型的な仮想的人物像(ペルソナ)

 を作り上げた。これでCクラスなどの中間層が

 どのような暮らしをしているかを、日本チーム

 は頭に入れた。 
 

  (PP.036-037) 


これは、「3現主義」です。
「現」場に足を運び、「現」物を見て、「現」実を
知るということです。


私が「3現主義」を知ったのは、花王のライバル
である、ユニ・チャームの元社長、高原慶一朗
さんの著作からでした。


花王の社員の地道な調査から学んだものは
多く、かつ高い価値があった、と思われます。


 洗濯機が普及していないため、風呂場で

 かがみ込み、たらいで洗う。洗濯物の汚れ

 は日本より激しいようだ。

 平均年齢の低いインドネシアには子供が

 多く、おのずと汚れ物が増えるのだろう。

 道路が舗装されていないため砂ぼこりが

 舞いやすく、土汚れが付きやすいということ

 もあるかもしれない。
 

  (P.037) 


現地チームと共同で現地調査した、日本の
マーケティングチームは、
「激しい汚れを落とすための漬け置き」
「クリーム洗剤によるブラシ洗い」
をもっと機能的にできたら、消費者は喜んで
もらえる、と感じたそうです。


マーケティングチームは、3現主義を通して、
肌で感じた知識や情報を日本に持ち帰り、
開発チームにフィードバックしたのです。


さらに、開発チームも現地へ何度も赴き、
消費者と向き合ったそうです。


そうした結果、出来上がったのが「Jaz1」
だったのです。


 汚れを落とすこと。適度な泡立ちと泡切れ

 が得られること。花王の洗濯洗剤開発に

 関わるチームは、その技術を磨き続けて

 いた。


 それぞれの地域や水の出所によって水の

 硬度(カルシウムやマグネシウムを含む

 度合い)が著しく異なることが分かった。

 特に水に含まれるカルシウムは、洗剤の

 機能を低下させてしまう。つまり、高硬度の

 水で洗剤を使うと、汚れが落ちにくい。


 日本の開発チームは社内技術を見直し、

 高硬度の水でも高い洗浄力を発揮する

 成分を発見。他で使われていた材料を

 応用できると気が付いた。 
 

  (P.037) 


「Jaz1」のパッケージデザインにも拘ったそうです。

ワルン(個人商店)やパサール(小売集積地
註:藤巻)の中では、「天井や壁面からサシェット
型の食品や日用品がぶら下がり、照明や陽光
を遮るため、薄暗い」(P.037)からです。


 洗剤ブランド「アタック」のブランドカラーは

 緑色。

 コントラストを高めて、インパクトのある

 パッケージにする必要があるから、緑では

 なく赤を使ってはどうか。そんなアイデアが

 出た。最終的には赤をベースにして、

 白地部分と組み合わせることでコントラスト

 を際立たせた。

 パッケージの下部には、「漬け置きは5分で

 いい」「クリーム洗剤はいらない」という2つの

 メッセージをアイコンとともに掲載した。

 マーケティングチームが発掘し、開発陣が

 作り出したものをデザインに込めたのだ。

 Jaz1というブランド名は「Just1(ジャスト・

 ワン=これ1つ)」とも聞こえることから

 名付けられた。
 

  (P.037) 


クロスファンクショナルチーム(横断的組織)によって、
出来上がったのが「Jaz1」だったのです。


こうした事実を知り、日経ビジネス取材班はこのように
書いています。


 むしろインドネシア花王の社員たちが

 生み出した商品と言った方がいいだろう。

 彼らが、自分たちの国に適した商品を

 生み出そうという時、足りないリソースや

 手法を日本から借りている、というのが

 本質に近いはずだ。
 

  (P.037) 


さて、そうしたクロスファンクショナルチームで
商品化された「Jaz1」の売れ行きがどうなって
いるか、気になりますね。


 Jaz1は発売から4カ月が経過した10月初旬、

 想定を大きく超える売り上げを上げている。
 

  (P.038) 


ところ変わって、中国上海市郊外の七宝
(チーバオ)地区のショッピングセンター内
の様子が描かれています。


 最近急速に店舗数を拡大している子供

 用品チェーンの店内には、花王の紙オムツ

 「メリーズ」がひときわ目立つように大量陳列

 されていた。陳列棚には、メリーズブランドの

 商品が2種類並ぶ。向かって左側に並ぶ白い

 パッケージのメリーズは日本から輸入された

 商品。右側に並ぶ青いパッケージの商品が

 2013年1月から販売している中国工場製の

 商品だ。

 この店舗では、日本からの輸入品がMサイズ

 64枚入りで170元(約3000円)、中国工場製

 がMサイズ42枚入りで68元(約1200円)で

 販売されていた。1枚当たりに換算すると日本製

 が約2.6元(約46円)であるのに対し、(中国の)

 工場で生産している中国製は約1.6元(約28円)

 と1元ほどの開きがある。中国製は1枚当り1.5~

 2元が目安とされるボリュームゾーンに向けた

 商品だ。

 日本製の紙オムツはここ数年、中国消費者の

 人気を集めている。日本の技術への信頼を背景

 に、中国製で拡大を続ける中間所得層の開拓を

 狙う。

 違いは価格差だけではない。Jaz1と同様、

 日本のリソースを使いながら中国の消費者の

 ニーズに合う商品を作り上げた。 
 

  (P.038) 


インドネシアで培ったノウハウを社内で共有し、
転用したのです。


それにしても、2種類の紙オムツ「メリーズ」を
ピンクの棚には日本からの輸入品、青い棚には
ボリュームゾーンを狙った中国製の商品が置か
れているのは、よほどそのショッピンがセンター
との関係が、強化されていなければできないこと
です。


 販売面では花王自身が持つ流通ルートだけ

 でなく、2011年に提携した中国の日用品

 メーカー、上海家化連合のネットワークを

 活用している。それにより、江蘇省や浙江省

 などの地方都市の店舗にもメリーズが並ぶ

 ようになった。
 

  (P.039) 


花王が拘ってきた「小売との直販」という伝統が、
生かされていることが分かりました。


日経ビジネス取材班は、このパートの終わりを
次の言葉で締めくくっています。


 未知の市場を開拓し、海外での売り上げを

 伸ばしていくためには、同社が蓄えてきた、

 技術を中心とする強みを現地が効率的に

 使いこなしていくしかない。
 

  (P.039) 




最終回は、「PART3 盤石をもっと強く 成熟する
国内市場を深掘り」他をお伝えします。






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花王 奪還「失われた25年」  2014.10.13  <1>




日経ビジネスの特集記事(77)

花王
奪還「失われた25年」
2014.10.13



今週の特集記事のテーマは

米P&Gに勝つことを夢見た中興の祖、丸田芳郎氏
の社長退任から来年で25年。
海外事業で思うように伸ばせず、アジア攻勢でライバルの
ユニ・チャームに先を越されている。
国内では、カネボウ買収で2006年に24期連続増益は
途絶え、昨年は白斑問題が深刻化した。
そして今年2月、澤田道隆社長を残してすべての取締役が
退任する異例の決定を下す。
「技術」か「マーケティング」かという二項対立を超えた
「超・技術経営」。再攻の狼煙は上がった 
 (『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.026)

ということです。


花王<br />奪還「失われた25年」

花王 奪還「失われた25年」

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 表紙)





まず、今年2月に行われた異例とも言える決定を
振り返ってみることにしましょう。


PART1 「2月4日」の変
役員総辞職ににじむ覚悟


国内トイレタリーメーカーのトップに君臨する花王に、
何が起こったのでしょうか?


 2014年2月4日。沈黙を守ったまま、1人の

 経営者が表舞台から消えることを決定した。

 2004年から花王の社長を務め、2012年に

 その座を澤田道隆に譲って会長に退いていた

 尾崎元規、64歳(当時)。この日の取締役会で

 退任を決め、3月28日の株主総会で正式に

 退いている。

 やや異例なのは、尾崎と共に、社長の澤田を

 除く全ての社内取締役が一斉に退任したことだ。

 その数、尾崎を含めて6人。1人の例外も許さ

 ない尾崎体制の「総辞職」だった。
 

  (P.028)

何があったのでしょうか?
そして、その後、澤田さんはどんな方向へ舵を切る
決意を固めたのでしょうか?


その点に着目して、ご覧ください。


 新体制では、社内と社外の取締役を同数の

 3人とし、議長は社外取締役の元マッキンゼー・

 アンド・カンパニーのシニアパートナー、

 門永宗之助が務める体制とした。

 取締役会における社外取締役の発言力は、

 相対的に大きく強まった。
 

  (P.028) 



澤田道隆社長(右)と尾崎元規前会長(左)

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.029)



以前から、『日経ビジネス』は社外取締役について、
何度も取り上げています。


欧米では普通のことですが、しがらみのない社外
取締役が、取締役会で歯に衣着せぬ発言をし、
鋭い質問を浴びせます。


その一番大きな理由は、株主の存在です。
コーポレート・ガバナンス(企業統治)の問題が
あるからです。


企業統治とは、平たい言葉で言えば、
「会社は誰のものか?」
ということです。


企業のステークホルダー(利害関係者)には、
株主、顧客、取引先、従業員、社会などがあります。


ですが、欧米では、利害関係者は「株主」である、
という考え方が一般的です。


日本では、前述したすべてが利害関係者と考える
むきがまだ多いように思います。


ただ、日本企業の株主には、外国人投資家が多く、
発行済株式数に対する持株比率が、10%を超える
企業は珍しくありません。


「もの言わぬ」日本人投資家と違い、「もの言う」
外国人投資家は、配当金の増額や株式の値上がり
益に、常に関心があります。


昔は、株主総会での「総会屋対策」が大きなテーマ
でしたが、現在では外国人投資家の鋭い質問へ
の対策が重要なテーマになっています。


花王の外国人持株比率を調べてみました。
せいぜい30%くらいかと思っていましたが、
何と50%(50.7%)を超えていました!


花王の外国人持株比率
花王の外国人持株比率
花王 ヒストリカル株価情報のサイトから


私が説明したことに納得していただけました
でしょうか?


では、このような状況を踏まえた上で、
『日経ビジネス』の記事を読んでいくことにしましょう。


花王関係者にはカネボウの買収に対し、
快く思っていない人たちがいたということです。
そうした「空気」が尾崎前会長に退任の決断を
させたのではないか、と日経ビジネス取材班は
推測しています。


 花王OBには、そもそも社内風土がまるで

 異なるカネボウの買収を快く思わない者、

 約4000億円という買収金額を「高すぎる

 買い物だった」と考える者などが少なくない。

 尾崎は、そうした声に押し切られるように
 
 して退いたのではないか。尾崎を支えた当時

 の取締役の1人も、「(2月4日の取締役会に

 おける)ガバナンスを巡る議論の背景に、

 カネボウ問題があったのは間違いない」

 と話す。
 

  (P.029) 


花王が以前、フロッピーディスクを生産していたこと
をご存じでしょうか?


フロッピーディスクの時代から外付けハードディスクへ、
さらに外部サーバー(クラウドコンピューティングなど)
へと外部記憶装置は移行してきました。


 花王は86年、自社の化学品部門が持つ

 界面活性剤の技術を生かし、化粧品などに

 並ぶ新たな収益の柱を育てるべくフロッピー

 ディスクなど情報事業に参入した。技術力を

 武器にシェアを伸ばし、一時は世界三強の

 一角を占めた。新事業育成は成功したかに

 見えた。

 しかし、台湾勢などの参入で価格は急速に

 下落し、利益を確保するのが厳しくなっていく。
 

  (PP.029-030)

新規事業に船出する決断よりも、既存事業の
撤退を決断することの方が、ずっと難しいのです。


長年携わってきて愛着があり、その部門の従業員
の処遇をどうしたらよいか、ということに頭を悩ませ、
なかなか決断できず、ズルズル先延ばししてしまい、
大きな損失を被ることはよくあります。


 後藤は98年、情報事業からの撤退を決めた。

 経済成長の波に乗ってひたすら事業を拡大して

 いた「成長期の経営」から、経営資源をより効率

 よく配分して利益を稼ぐ「成熟期の経営」への

 転換だったと言えるだろう。


 役員が一斉に退任したのは、その2年後のこと

 だった。
 

  (P.030)


日経ビジネス取材班は、一歩踏み込んで、
次のように考えました。


 経営が大きな節目を迎える時、経営陣

 を一新し、ガバナンス体制を強化する。

 これと同じことが2014年2月に再び

 起こったとすれば、今、花王はまた大きな

 節目を迎えているのではないか。
 

  (P.030)


花王が深刻に受け止めているのは、
海外事業を展開する時期は決して他社に
遅れていたわけではないのにもかかわらず、
いまだに国内ほどにはうまくいっていない
ことです。


 花王は、国内市場に徹底して事業構造を

 最適化し、かつてP&Gなどの海外勢の

 日本進出に対抗した。だが一方で、

 国内を主とし海外は二の次という意識から

 抜けられなかった。
 

  (P.031)


下図をご覧ください。
「海外売上高比率の推移」を示しています。
青線はP&G、黄線はユニ・チャームそして緑線は
花王です。


2006年に、ユニ・チャームは花王を抜き去り、
その差を広げ、P&Gに接近しています。



海外進出で花王は完全に出遅れた

海外進出で花王は完全に出遅れた

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.031)




花王にとって厳しい現実を突き付けられている
グラフがあります(下図参照)。


縦軸に売上高、横軸に営業利益率という重要な
2つの指標に基づいて、どこに位置付けられて
いるかがひと目で分かるように出来ています。


当然のことですが、できるだけ上で、さらに
できるだけ右によっていることが2つの指標で
優っていることを示します。


P&Gは圧倒的なトップ企業です。
時価総額は24.8兆円、売上高は9.0兆円、
営業利益率は18.4%です。


2位はユニリーバで、それぞれ順に、13.0
兆円、6.8兆円、15.1%です。


3位の花王と4位のユニ・チャームは接近して
います。


花王は、2.2兆円、1.3兆円、9.4%です。
一方、ユニ・チャームは1.5兆円、0.6兆円、
11.2%です。


花王はユニ・チャームと比べ、時価総額では
約1.5倍、売上高では2倍以上ですが、
営業利益率では2%近く劣っています。


P&Gは花王と比較すると、時価総額で10倍
以上、売上高で4倍以上、営業利益率は約2倍
となっています。その差は限りなく大きい。
容易にその差を埋めることができないのは、
誰が考えても分かります。


収益力と時価総額で世界トップとの差は歴然

収益力と時価総額で世界トップとの差は歴然

(『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.033)



中興の祖と言われた丸田芳郎さんは、このように
願い続けたそうです。


 「国体(国内市場)で勝ち抜いて、オリンピック

 (グローバル市場)に挑戦しよう」。花王の

 黄金時代を築いた丸田芳郎元社長は、

 この言葉を好んで用いた。海外進出の進まない

 「内弁慶」企業。それを変えたいと願い続けた。
 

  (P.033)


しかし、それからおよそ25年経った現在でも
状況は変わっていません。


「少なくとも、新しい稼ぎ頭が生まれていないのは
確かだ」(P.033)という指摘が、的を射ていると
思います。


当の花王は、その事実を骨の髄まで感じている
はずです。


ですが、いつかは現状を打開し、P&Gやユニ
リーバに対抗できる日が来ることを願ってやみ
ません。



次回は、「PART2 内弁慶、海を渡る 動き出した
アジア総力戦」をお伝えします。






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藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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