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東レ 勝つまでやり切る経営  2014.10.27 <3>



日経ビジネスの特集記事(79)

東レ
勝つまでやり切る経営
2014.10.27



今週の特集記事のテーマは

今年は、東レにとって記念の一年になる。
会長の榊原定征氏が経団連のトップに就任し、
売上高と営業利益が今期、ともに過去最高となる可能性が高い。
世界最大の総合繊維メーカーとして、誰もが仰ぎ見る存在となった。
強さの源泉は長期的な視点に立った素材開発力にあるが、
従来のやり方だけでは市場の変化についていけない面も見えてきた
 (『日経ビジネス』 2014.10.27 号 P.026)

ということです。


東レ 勝つまでやり切る経営

東レ 勝つまでやり切る経営

(『日経ビジネス』 2014.10.27 号 表紙)





初回は、
東レが、世界最大の総合繊維メーカー
であることが理解できる内容でした。


2回目は、
東レには、東レの勝利の方程式がある、
ということをご紹介しました。


しかも、それは短期的勝利を狙うものではなく、
長期的視点に立って勝利を目指すものである、
ということでした。


最終回は、絶頂期を迎える東レに死角はないのか、
という点に着目してお伝えしていこうと思います。



PART4 「深は新なり」に潜むワナ

東レの88年の歴史を一言で語ることは、
難しいかもしれません、


ただ、キーワードを並べてみますと、見えてくるものがあります。
私は、次の5つをキーワードに選びました。
世界最大の総合繊維メーカー
東レの勝利の方程式
七転び八起き
石の上にも50年
技術力に裏打ちされた製品群と市場独占


『日経ビジネス』取材班が遭遇したキーワードは、
深は新なりでした。


 取材を進める過程で、何度も同じキーワード

 に遭遇した。

 「深は新なり」

 東レ社内で長年語り継がれている、

 俳人・高浜虚子の言葉だ。1つのテーマを

 深く掘り下げていくと、新たな発見が生まれる。

 この姿勢こそが、今の東レを形作ったと言える。

 繊維事業が稼ぎ頭であり続けられるのは、

 研究開発を通じて技術的な限界を深く追究し、

 新たな用途を提案し続けられたからだ。

 「繊維は成長産業」であるという信念を貫いて

 投資を続けたことで、最後の総合繊維メーカー

 という独自の地位を手に入れた。
 

  (P.044)


多くの繊維メーカーが事業転換する一方で、
東レは唯一、総合繊維メーカーであることに
こだわり続け、繊維事業に投資し続けた結果、
勝ち残ったのです。


愚直に、繊維の技術を深掘りし続けた先に、
宝を発見したのです。


 炭素繊維に代表される新たな成長分野を

 開拓できたのも、合成繊維の技術を深く

 掘り下げた結果だ。短期的に収益を稼げ

 ない事業であっても、粘り強く研究開発を

 深めれば革新的素材を生み出せる。

 東レの今の業績は、それを雄弁に物語る。
 

  (P.044) 


ここで、1冊の本をご紹介します。
2010年にノーベル化学賞を受賞した、
根岸英一さんの『夢を持ち続けよう!』
(根岸英一 共同通信社 2010年12月10日
 第1刷発行)
です。


この本の中に、根岸さんが恩師のハーバート・
ブラウン先生(1979年ノーベル化学賞受賞)
から直接学んだことが書かれています。

 
 (ハーバート・)ブラウン先生(1979年ノーベル
 
 化学賞受賞)から習った一番のポイントは、

 発見の芽が出てきたとき、どうやってそれを
 
 大木に育てるかということです。
 
 ああでもないこうでもないと、その芽から
 
 出てくるいろいろな可能性を網羅的かつシステマ
 
 チックに追究する、その姿勢が非常にロジカルで
 
 ヤマ勘みたいなものは入れません。
 
 わたしも実践していますが、そういう手法はブラウン
 
 先生から学んだことです。
 
 「重要なのは What's going on?、つまり、いま何が
 
 起こっているのかを正確に調べることだ」
 
 これは耳にたこができるくらい聞かされました。

 「それを解明することが第一歩である。推量で

 短絡的な結論を出してはいけない」と、厳密な

 ファクト(事実)の追究に関しては本当に徹底して

 いました。
 

  (上掲書 P.69-70)


これは、研究者が立ち向かう研究テーマに対する
姿勢を述べたものです。


同様な姿勢で、東レの研究者一人ひとりが、
課題に取り組んでいると思われます。


そして、こうした姿勢は何も研究者だけのもの
ではなく、私たち一般人でも、日々取り組んでいる
課題に対して、真摯に向き合うべきある、
と教えられた気がしました。



東レの話に戻ります。
昔の東レと今の東レの違いは何なのかと言えば、
時間に対する取り組み方にある、と思います。



 深さを追求する「時間軸」は、今と昔では

 様変わりしている。提携相手が求めるのは、

 何よりもスピードだ。東レといえども、のんびり

 時間を費やして技術を開発する余裕はない。
 

  (P.044)


前回ご紹介した、ファーストリテイリング会長兼社長
の柳井正さんは、こう語っています。


 「東レは運命共同体だ」と認める、ファースト

 リテイリングの柳井正社長からも、スピード

 に対して注文が付く。

 「技術進化や情報伝達のスピードが上がって

 いる。変化に対応するには、2社の力だけでは

 足りない」。
 

  (P.044)


東レもスピードの重要性は、十分認識しています。
DNAチップのケースがありました。


 独自の光ディスク加工技術を活用し、

 競合の100倍の感度で遺伝子情報を

 測定できる期待の技術だ。

 開発者の新規事業開発部門DNAチップ

 グループリーダーの信正均氏は、

 「徐々に認知度を高めればいい」と考え、

 事業化を急いでいなかった。民間で診断

 ツールとして使われるのは、10~20年

 後になると想定していたからだ。

 しかし、ある研究機関にDNAチップを持ち

 込むと、担当者の目の色が変わった。

 「全く新しいガンの診断ツールになり得る

 のではないか」

 そこからとんとん拍子に話が進み、今年8月

 には東レのDNAチップを使った次世代ガン

 診断システム開発の国家プロジェクトが

 立ち上がった。
 

  (PP.044-045) 


私がグールー(思想的指導者)と仰ぐ、大前研一さんは、
現代社会を「ボーダーレス」「サイバー」「マルチプル」の
3つのキーワードでまとめています。


ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源は、上記3つの
キーワードで行き交うようになった、と言っています。
インターネットの普及で、国境を意識することなく、
ゆうゆうと超え、複数倍で増えていくというのです。


ヒトにしてもインターネットを介すれば、全世界同時に
現在地で、優れた人物から教育を受けられる時代に
なりました。


いわば、時空間をあたかも移動しているかのような
感覚です。


インターネットは物理的な移動に代わって、電脳移動
ともいうべき瞬間移動を可能にしました。


モノの移動も、直接人間でなくとも、ラジコンヘリ
のような「ドローン」(アマゾンやグーグルが試作)を
使って、届けることが可能になりつつあります。
もちろん解決しなければならない法律の壁はあり
ますが。


カネや情報の移動はインターネットと最も親和性が
高いと思います。エンターキーでカネや情報の移動が
一瞬のうちにできてしまいます。


こうした時代は好むと好まざるとを問わず、ものすごい
スピードで変化しています。


世の中の素早い動きに対し、対応できない企業は淘汰
されます。東レも例外ではありません。


短期、中期、長期に製品化する目標を明確化することが
不可欠でしょう。


 創業から88年、東レを牽引してきたのは、

 粘り強い研究開発に裏打ちされた技術力

 の高さと、技術の行方を見極める確かな

 眼力。そして、競合に勝つまで諦めずに

 事業を継続し続ける執念深さだ。
 

  (P.045) 


『日経ビジネス』取材班は、強い東レに唯一の
懸念材料を提示しています。


 将来にわたって同じ成功パターンを踏襲

 できる保証はない。東レの新たなパート

 ナーは、せっかちな結果を求めるはず

 だからだ。勝つまでやめない執念深さは、

 方向性を間違うと、負けを認められない

 未練にもなりかねない。間違いに気付いた

 時に、、素早く方向転換できるスピード、も、

 今後は求められるようになる。

 執念深さとスピード感。一見すると相反する

 2つの要素を兼ね備えた時、東レは真の

 優良企業になる。
 

  (P.045) 


私は、東レは真の優良企業になれる、
と確信しています。



最後に、2014年3月14日に日本記者クラブで
開催された、日覺昭廣社長の記者会見の模様を
ご覧ください。



日覺昭廣 東レ社長 2014.3.14



オリジナルサイト 日覺昭廣 東レ社長 2014.3.14


2014/03/16 に公開
Akihiro Nikkaku, President of Toray Industries, Inc.
研究会「成長戦略には何が必要か 現場からの視点」の5回目。
東レの日覺昭廣社長が会見し、「東レにおけるイノベーショ-ン 
中長期視点での事業開拓」と題して話した。

長い時間をかけ商業化に成功した炭素繊維を-例に、
イノベーションの実現には、事業開拓を支える枠組み作り、
経営者の理解と我慢、-担当者の情熱と執念が必要である、と。
司会 安井孝之 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)







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東レ 勝つまでやり切る経営  2014.10.27 <2>



日経ビジネスの特集記事(79)

東レ
勝つまでやり切る経営
2014.10.27



今週の特集記事のテーマは

今年は、東レにとって記念の一年になる。
会長の榊原定征氏が経団連のトップに就任し、
売上高と営業利益が今期、ともに過去最高となる可能性が高い。
世界最大の総合繊維メーカーとして、誰もが仰ぎ見る存在となった。
強さの源泉は長期的な視点に立った素材開発力にあるが、
従来のやり方だけでは市場の変化についていけない面も見えてきた
 (『日経ビジネス』 2014.10.27 号 P.026)

ということです。


東レ 勝つまでやり切る経営

東レ 勝つまでやり切る経営

(『日経ビジネス』 2014.10.27 号 表紙)





初回は、
東レが、世界最大の総合繊維メーカー
であることが理解できる内容でした。


2回目は、
東レには、東レの勝利の方程式がある、
ということに注目してください。


しかも、それは短期的勝利を狙うものではなく、
長期的視点に立って勝利を目指すものである、
ということです。



PART2 石の上にも50年 執念で生き残る

「石の上にも三年」ということわざがありますが、
「石の上にも50年」という言葉は、聞いたことがありません。


米ボーイング787の機体に使用された炭素繊維を、
乗用車の車体に転用しようという動きが活発化して
います。


BMWは、すでに炭素繊維を使用した量産車「i3」
を発売しています。


アルミより軽量で、鉄より丈夫な炭素繊維を使用し、
車体を作れば、燃費が向上し、商品価値も上がります。


東レは、炭素繊維を使用した試作車を、当社の
名古屋事業所の敷地内に建つ、オートモーティブ
センター(AMC)に展示しているそうです。


炭素繊維について、解説を読んでみましょう。


 炭素繊維は鉄の4分の1の重さで、強度は

 10倍とされる。炭素繊維を主体に車両を

 構成した東レの試作車は、鉄を使った従来

 の車両より3割以上も軽量化できた。
 

  (P.034)


BMWが量産車「i3」 に炭素繊維を使用したことで、
炭素繊維に注目が集まるきっかけになった、
ということです。


 昨年、独高級車BMWが車体に炭素繊維を

 使った「iシリーズ」を発売したことも、炭素繊維

 に改めて注目が集まるきっかけとなった。

 EV(電気自動車)の i3 は、500万円弱とこれ

 までの炭素繊維採用車より格段に安い。

 CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の加工工程

 を自社で手掛けることでコストを最大限抑えた。

 i3 の登場で自動車業界の風向きは確実に変わり

 つつある。
 

  (P.035) 


世界の乗用車に炭素繊維が使用されるようになると、
「目指せ売上高5000億円、いや、1兆円だな」(P.035)
と笑う、複合材料事業本部長の大西盛行・専務も、
まんざらではないようです。


前回、東レの歴史の中で、
「2006年米ボーイングと炭素繊維 長期供給契約」
という注目すべき出来事がありました。


 現在の炭素繊維事業の売り上げは約1100億円。
 
 米ボーイングの新型旅客機「ボーイング787」向け

 に独占供給契約を結んでいるとはいえ、1兆円と

 いう数値は過大だ。
 

  (P.035)


炭素繊維が世界中の量産車に使用されれば、
市場が拡大する可能性はあります。
その規模がどの程度になるかには、不確定要素
があります。



ここで、東レの勝利の方程式
概観してみることにしましょう。


3つのステージに分かれます。
[ステージ1] 用途開発  先端素材や要素技術の事業化を
                10年単位で考える


[ステージ2] 競合駆逐  事業化に成功したら、徹底的な
                コスト削減と性能向上で競合他社を
                圧倒する
 

[ステージ3] 最強連合  素材をグローバルに供給できる
                サプライチェーンを整備。
                異業種のパートナーと強固な関係を
                築き、参入障壁を作る
     


つまり、ブルーオーシャンで、圧倒的な勝利を収める
長期的戦略です。同業他社のみならず、異業種参入
も許さない、一人勝ちの戦略です。


ユニクロとは10年以上にわたってパートナーとなり、
[ステージ3] 最強連合となっています。


東レの凄さは、3つの段階に至るまで、数十年の歳月を
かけることをいとわないことです。


『日経ビジネス』取材班の言葉によれば、次のように
なります。


 時間とカネを十二分に投じて、ステージを

 一歩ずつよじ登っていく。勝つまでやり切る

 執念が、東レの成長の原動力になっている。

 第1ステージは「種まき」から始まる。

 当然のことながら最初は市場も立ち上がって

 おらず、顧客もいないに等しい。


 種から芽は出たものの、すぐに新素材として

 採用されるわけではない。需要がないなら

 自ら作り出すしかない。


 炭素繊維の長期供給契約に結び付けたのは

 2006年。研究開始から半世紀近い歳月が

 経っていた。赤字でもやめずに何十年も

 続ける執念が、ボーイングとの独占契約を

 手繰り寄せた。
 

  (P.036) 


それでも、課題は多いということです。
高価格と、十分な供給量を確保できるか、
ということです。



 軽さをアピールし量産車に食い込もうと

 する素材メーカーの前には、分厚い「鉄」の

 壁が立ちはだかっている。

 鉄と比べると課題はまだ多い。価格が高止まり

 していることに加え、自動車向けに十分な供給

 量を確保できるかが不安視されている。
  

  (PP.036-037) 


この問題に対処するため、東レはM&A(合併・買収)
を行いました。


 昨年9月、炭素繊維メーカーとして世界3位の
 
 米ゾルテックを5億8400万ドル(現在の為替レート

 で約620億円)で買収すると発表した。

 東レは航空機などに使われる高品質の炭素繊維

 に強みを持つが、ゾルテックは風力発電用風車に

 使用される中品質の炭素繊維を得意とする。

 M&Aによって高級品から中級品までラインアップ

 を広げ、炭素繊維事業を抜本的に強化した。
 

  (P.037) 


こうした積み重ねによって、強さをさらに強化し、
事業を盤石にしていく方針を貫いているのです。


さらに、東レの強さの源泉は、研究開発拠点の
充実度にもあると考えられます。


「東レ先端融合研究所」は神奈川県鎌倉市に
あるそうです。


鎌倉市は、工場というよりも企業が少ない自治体
ですから、これは市をアピールする材料になるでしょう。


 ノーベル化学賞を受賞した野依良治・理化学

 研究所理事長をして「東レに入社したかった」

 と言わしめた、研究者の理想郷がそこには

 ある。

 勤務時間の20%以内を自由な研究に充てられる

 「アングラ(自由裁量)研究」。今でこそ、米国の

 グーグルやスリーエムなどが採用して有名になった

 が、東レは88年まの創業時から自由な研究を

 推奨してきた。アングラ研究から会社の稼ぎ頭に

 育った事業も数多い。 
 

  (P.039) 


「東レ先端融合研究所」をよくご覧ください。
「総合」研究所ではありません。
「融合」研究所です。


この名称が、この研究所を特徴付けています。


 東レの売上高研究開発比率は3%前後。

 素材メーカーの中で決して高いとは言えない

 が、投資効率が良い。その理由の一端は

 2003年5月に設立した「東レ先端融合

 研究所」(神奈川県鎌倉市)に見て取れる。

 「融合」と名が示すように、繊維や樹脂に

 限らず、ケミカルや医療など各分野の研究者

 が一堂に会している。


 繊維と医療を組み合わせた人工腎臓や、

 写真用の耐水シートを転用した液晶テレビ

 向け反射フィルムなど、複数分野の要素

 技術を融合した新素材が、鎌倉から次々と

 生まれている。 
 

  (P.039)


次の言葉が東レの特徴を物語っている、と思います。


 「短期で成果が出るテーマだけに集中すると、

 早晩行き詰まる。50年先までのパイプライン

 をそろえておかなければならない」と阿部副社長

 は強調する。自由な研究環境と技術融合の促進。

 この2点が東レの強さの源泉となっている。
 

  (P.039)


 

PART3 東レ 日覺昭廣社長インタビュー
たとえ赤字でも撤退はあり得ない


このパートのインタビューは、
日経ビジネスのインタビュー(143)
たとえ赤字でも 撤退はあり得ない

をご覧ください。




この特集記事の最終回は、「PART4 『深は新なり』に
潜むワナ」をお伝えします。






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東レ 勝つまでやり切る経営  2014.10.27 <1>



日経ビジネスの特集記事(79)

東レ
勝つまでやり切る経営
2014.10.27



今週の特集記事のテーマは

今年は、東レにとって記念の一年になる。
会長の榊原定征氏が経団連のトップに就任し、
売上高と営業利益が今期、ともに過去最高となる可能性が高い。
世界最大の総合繊維メーカーとして、誰もが仰ぎ見る存在となった。
強さの源泉は長期的な視点に立った素材開発力にあるが、
従来のやり方だけでは市場の変化についていけない面も見えてきた
 (『日経ビジネス』 2014.10.27 号 P.026)

ということです。


東レ 勝つまでやり切る経営

東レ 勝つまでやり切る経営

(『日経ビジネス』 2014.10.27 号 表紙)




今回は、まず下図をご覧ください。


売上高・利益ともに繊維が基幹産業

売上高・利益ともに繊維が基幹産業

(『日経ビジネス』 2014.10.27 号 P.026)



連結売上高   1兆8378億円 (15.4%増)
連結営業利益    1053億円 (26.1%増) 

[繊維]  営業利益  529億円  売上高構成比  41.1%

[プラスチック・ケミカル]  180億円  25.6%

[情報通信材料・機器]   246億円  13.4%

[環境・エンジニアリング]  64億円   9.8% 

[炭素繊維複合材料]   169億円   6.2% 

[ライフサイエンス]      56億円   3.2%  

[その他]            20億円   0.7% 
 ● 東レの2014年3月期セグメント別業績


この数字を見れば、東レは繊維関連の事業で
稼いでいることが分かります。


[繊維]+[炭素繊維複合材料] =698億円(連結営業利益)<F>

連結営業利益の構成比で、<F>は実に66.3%(698/1053*100)
を占めます。


東レが世界最大の総合繊維メーカーである、ということを
頭に入れておいてください。




PART1 最後の繊維メーカー

マレーシアにある東レの衣料用繊維生産・販売子会社、
ペンファブリックが紹介されています。


一体どんな位置付けなのでしょうか?
「アクアリアム(水族館)」という名称の部屋で商談している
風景が描写されています。


 アクアリアムには、ペンファブリックが開発した

 5000点に及ぶ生地のサンプルが陳列されて

 いる。机にはめ込んだタッチパネルやタブレット

 を操作すれば、顧客が求める布を瞬時に検索

 できる。在庫の有無も分かるので、その場で

 商談が次々に決まっていく。


 ファストファッションという言葉が象徴するように、

 短いサイクルで流行が目まぐるしく変化する

 アパレル業界において、マレーシアにある20畳

 余りの小部屋が「流行の発信基地」となっている

 のだ。
 

  (P.028)


つまり、ペンファブリックは生産・販売がその場で
できる「流行の発信基地」になっているのです。


しかも、顧客の要望する製品がペンファブリックの
5000点に及ぶサンプルにない場合でも、市場性が
あると判断されれば、製造することもできるそうです。


東レについて、『日経ビジネス』取材班は次のように
解説しています。


これを読むと、
東レが世界最大の総合繊維メーカー
であることがよく分かります。


 東レに比肩し得る繊維メーカーは世界に存在しない。

 繊維事業の営業利益は2014年3月期に過去最高

 となる529億円を達成。これは国内の同業7社の

 繊維事業の営業利益を合算した金額より2倍以上

 大きい。海外には、販売数量が東レより大きい繊維

 メーカーはあるが、利益面では大きく劣る。


 時価総額は1兆1000億円に迫る。繊維・炭素繊維

 複合材料事業が牽引し、今期、来期と2桁増益が

 続くと予想される。


 今や、繊維業界で他を圧倒する「巨人」となった東レ。

 だが、現場では試行錯誤が続いている。

 ペンファブリックの取り組みは、その先例と位置付け

 られる。1973年に設立された同社は、4年前まで

 存続の危機にあったのだ。
 

  (PP.028-029) 


次の図をご覧ください。
東レが繊維業界の「巨人」であることが、一目瞭然です。


東レは繊維事業で圧倒的な“一人勝ち”

東レは繊維事業で圧倒的な“一人勝ち”

(『日経ビジネス』 2014.10.27 号 P.029)



ペンファブリックの話に戻りますが、
日覺昭廣(にっかく・あきひろ)社長は、
ペンファブリックについて、こう語っています。


 「現地の社長のみならず一般社員までが、

 自律的に動けることが強みだ」と、

 東レの日覺昭廣社長はペンファブリック

 を高く評価する。「現実を直視し自助の精神

 をもって課題を解決する」という東レの企業

 理念が、マレーシアでも存分に発揮された。
 

  (P.030)


ここで、東レの歴史を振り返ってみましょう。
そこには七転び八起きが88年間続いたそうです。

『日経ビジネス』の記事に基づいて、七転び八起きを再現してみます。


[一転]      1963~67年頃  日米繊維貿易摩擦

[ニ転]      1971~72年頃  ニクソン・ショック

[三転]      1973~77年頃  石油危機

[四転]      1983~85年頃  プラザ合意

[五転]      1991~95年頃  バブル経済崩壊

[六転]      1997~2001年頃  アジア通貨危機

[七転]      2007~09年頃  リーマンショック

[八起き!]   2014年(予想)



この88年間に注目すべき点があります。


1967年  ツイッギーでナイロンPR

1968年  水処理膜開発開始

1970年  東レ(元東洋レーヨン)に社名変更

1971年  炭素繊維生産開始

1987~97年(社長)、2002~04年(CEO)
       前田勝之助氏が事業立て直し

2003年  ファーストリテイリング(ユニクロ)と
       機能性肌着「ヒートテック」を共同開発

2006年  米ボーイングと炭素繊維長期供給契約  


「水処理膜開発」や「炭素繊維生産」は、
40年以上前から始まっています。


日覺さんが、
「有望だと確信すれば、数十年待つことも
いとわない」 
と言う、東レのブレない方針が実を結んでいる、
と言えます。


「小さく産んで大きく育てる」
ということなのでしょう。


じっくり育てるという精神です。


長年の研究に裏打ちされた技術力と、
製品の市場性を見据える目がなければ、
不可能なことです。


ファーストリテイリングと協業を開始した経緯
について、ご紹介しましょう。  


 「我々向けの専門部署を作ってもらえませんか」。

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が

 東レの前田氏を訪問したのは、危機が顕在化

 した2000年のことだった。フリースブームを

 起こしたとはいえ、当時のファストリの売り上げ

 は約2200億円。企業として“格下”の相手で

 あったが、前田氏は柳井氏の申し出に応じた。 
 

  (P.032) 


柳井さんも前田さんも、お互いに大人物だ、
と思います。


「私は、『ユニクロの専門部署を社長、もしくは
会長直轄で作ってほしい』とお願いした」(P.032)
という、柳井さんの思い切った申し出だったのです。


柳井さんは、いくら自信があるとはいえ、
相当度胸が据わっていなければできない、
大胆な申し出をしたのです。


一方、前田さんは、相手がたとえ“格下”で
あっても、柳井さんの真剣さと、経営者の器の
大きさを認めることができたのです。
これまた器の大きな人物だったからでしょう。


プロの経営者同士が、認め合ったということ
でしょう。


当初は、お互いにお手並み拝見といった風情
であったかもしれませんが。


ここで注目すべき点は、東レとユニクロは合弁
会社を設立したわけではない、ということです。


あくまで業務提携です。
その理由は、
「両社のトップが共に『運命共同体』と言うほど
緊密な関係だが、常に緊張感が漂うパートナー
同士で」(P.032)あり続けたい、
と考えているからです。


柳井さんは、東レとのパートナーシップについて、
インタビューでこう述べています。


 お互いのノウハウを伝え合うことで、

 最初は単なるパートナーだったのが

 「ベターパートナー」に、そして10年

 以上経った今では、「ベストパートナー」

 と呼べる存在になった。当社は2020

 年度に売上高5兆円を達成すると宣言

 しているが、実現には東レの力が欠か

 せない。運命共同体だと考えている。
 

  (P.032) 


柳井さんは、上記のように語った後、
さらに注目すべき発言をしました。


 しかし、次の10年も同じ体制で成功できる

 とは考えていない。技術進化や情報伝達

 のスピードがものすごく速くなり、世界中の

 顧客ニーズに応えないといけなくなった。

 こうした変化に対応するには、東レと我々

 の力だけでは足りなくなる。

 つまり、「オープンイノベーション」をもっと

 強力に推進する必要があるだろう。


 東レ・ユニクロと組んで世界一になりたい

 という企業を巻き込んで「ウィン・ウィン」の

 関係を構築したい。


 ただ、どんな相手が入ってきたとしても、

 東レと我々が運命共同体であることは

 変わらない。それだけの信頼関係を10年

 かけて築き上げてきた。

 
 世界の需要はものすごく大きい。2社だけ

 で全て取れると思ったら大間違いだ。


 今は色々な技術で世界一の東レも、永遠に

 その座にいられるとは限らない。

 イノベーションを実現したところが、世界一

 になるんだと思っている。
 

  (PP.032-033) 


ここまで、一歩も二歩も踏み込んだ発言をした
ことはないかもしれません。


少なくとも、こうした発言を見聞きしたのは、
私には初めてのことでした。


ファーストリテイリング会長兼社長 柳井正氏

ファーストリテイリング会長兼社長 柳井正氏

(『日経ビジネス』 2014.10.27 号 P.033)



次回は、「PART2 石の上にも50年 執念で生き残る」
をお伝えします。






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管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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