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鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘 2015.03.02 <2>


保険スペース



日経ビジネスの特集記事(97)

鎖国230年 開国1年
タケダの苦闘
2015.03.02



今週の特集記事のテーマは

創業234年の武田薬品工業で今、未曽有の事態が
起きている。
昨年6月にフランス人社長が誕生したが、それだけ
ではない。
役員や部長に至るまで、外国人が次々とポストを
占拠している。
理由は明快だ。巨額M&Aで世界へ戦線を拡大した
が、かじ取りを任せられる日本人社員を育てることが
できなかったからだ。
だが、武田で起きていることは、決して他人事ではない。
グローバル化は、ビジネス、組織を変え、次は人にも
変革を迫る。
「外国人経営」は日本企業の一つの生き方になるのか。
もはや日本人にはグローバル企業を経営できないのか
 (『日経ビジネス』 2015.03.02 号 P.026)

ということです。




鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.026-027)



武田家の「お家騒動」ですね。
経営トップから役員、部長に至るまで外国人が
占めている様子を見ますと、武田薬品工業は、
もはや日本企業ではなくなったように感じます。


グローバル企業の宿命かもしれません。



第1回は、
「PROLOGUE 後継育成に失敗した」
「PART 1 日本人ではダメなのか
外国人が迫る踏み絵」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ」
「PART 3 世界に挑む人材
『エセ・グローバル』では勝てない」
を取り上げます。




今特集のキーワードは次の5つです。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ 


前回お話ししませんでしたが、武田家の社員もリストラの
対象となり、静かにタケダを去ったことをお伝えしておき
ます。日本企業にありがちな「しがらみ」が一切なく、
非情とも言えるように、容赦なく解雇されたのでしょうか?
詳細は分かりません。


このパートでは、タケダの海外における経営術をご紹介
しましょう。


ブラジルと中国のケーススタディーです。


 ブラジルの製薬市場 

TAKEDAブランドがどこまで浸透しているのか、
がポイントです。



 ブラジルの製薬市場の3割を占めるのが、ドラッグストア

 などで処方箋なしで消費者が直接購入できる市販薬。

 国内のドラッグストアは続々と増え、7万店にまで達した。

 約200のチェーンがひしめき合っている。世界の製薬大手

 がしのぎを削る、急成長市場だ。

 ここ数年、市販の鎮痛剤シェアでトップクラスに躍り出た、

 現地では無名だった企業がある。それが、「TAKEDA」で

 ブランド展開する武田。鎮痛剤「ネオサルディーナ」の

 売上高を年率10~20%伸ばした。


 2012年、2013年に赤字だった同事業は2014年に黒字転換

 し、鎮痛剤の定番商品になった。その結果、ブラジルの

 医薬品会社の売り上げランキングトップ10で、武田は圏外

 から7位へと急伸した。
 

  (PP.036-037)


ブラジル市場で、ここまでタケダを飛躍させた舞台裏を
知りたいですね。


「型破りのテレビCM」と、「薬を1錠ずつ販売」したところに
あるそうです。



 マイクを振り回す男性がサンバを踊り狂う、医薬品とは

 思えないような型破りのテレビCMを展開。錠剤に口を

 描いたキャラクターを生み出し、まるでチョコレートの

 ような親しみやすいデザインで話題を呼んだ。

 一方、貧困層の比率が高いブラジル市場の特性を考慮し、

 これまではパッケージ入りが当たり前だった薬を1錠ずつ

 販売して買いやすくする、新しい手法も導入した。
 

  (P.037)


「1錠ずつ販売」の連想で思い出したのは、日本のトイレ
タリー企業が、日本では12ロールが当たり前のトイレット
ペーパーをインドネシアなどで1ロールずつ販売している
ことでした。


確か、味の素も東南アジアで、少量を袋詰にして、
「1袋ずつ販売」していたと思います。


武田の新興国市場での戦略は、利益率の高い新薬の
販売を増やすことです。



例によりまして、下のグラフをご覧ください。
2022年にはジェネリック・市販薬の構成比を約70%に
下げ、新薬を約30%に上げるというものです。








さらに、地域別売上比率を見ると、2013年度と2017年度
の比較で、新興国は大幅に増加し、日本は減少すること
が分かります。人口が増加する国々と、減少する国との
違いです。


武田薬品工業と言えば、有名なビタミン剤がありますね。
ご存じですか?
そうです! 「アリナミン」です。
この「アリナミン」をブラジルで販売していこうとしています。

 


 現在では日本と台湾、タイでしか販売していない

 武田のビタミン剤「アリナミン」をブラジルに持って

 来る。既に、日本の責任者にこのアイデアを持ちかけ、

 話し合いも始めた。

 ブラジルではビタミン剤の需要が拡大している。

 だが、現在の市場では製品の種類はあまり多くない。

 鎮静剤で成功したようなマーケティング戦略を応用

 すれば、きっとアリナミンも大ヒットするはず――。

 マルティンス(ナイコメッドのブラジル拠点で市販薬

 部門のトップ 註:藤巻隆)は新たなチャレンジにも

 自信を深めている。
 

  (P.038)


ウェバー社長は、ブラジル市場と中国市場で対照的な
取り扱いをしています。


ブラジルでは「アメ」、中国では「ムチ」と使い分けて
います。南米人と東洋人の性格の違いを研究したの
でしょうか?



 (ブラジル市場で)ウェバーは社員に賛辞を贈ったり、

 グローバルに活躍できる機会を与えたりするなど、

 「アメ」でやる気を引き出そうとした。

 一方、現地トップらにあえて厳しい言葉をかける

 「ムチ」によって危機感をあおるのが中国だ。
 

  (P.038)





 中国の製薬市場 

ウェバー社長は中国市場のトップにハッパをかけています。



 巨大市場にもかかわらず、欧米メガファーマの進出

 から10年遅れで、事実上ゼロベースから事業展開

 に乗り出すことになった中国。それだけに、早急に

 立ち上げなければ埋没してしまうというウェバーの

 思いがにじむ。その命を受けて奔走するのが、

 武田中国トップのポニー・ルーだ。

 仏製薬大手セルヴィエの中国法人社長を務めていた

 台湾籍の人物である。2010年、武田中国にスカウト

 された。
 

  (P.038)



武田中国でルー氏は実績を上げ、自信に満ち溢れて
いました。



 入社当時、年20億円だった中国の売上高は

 500億円を超え、2013年度は単体で黒字化

 も果たした。
 

  (P.039)



昨年5月、ルー氏の元を、ウェバー社長が訪問。
その時の経緯が描写されています。



 「国の市場成長を上回るスピードで急速に

 伸びた業績を手放しで褒められるに違いない」。

 こんな期待から、ウェバーを前に事業計画を

 プレゼンするルーの声はひときわ大きくなった。

 「早期に年間売上高1000億円を達成します」。

 だが、その声を、ウェバーの厳しい口調が遮った。

 首を振りながら、「1000億円では足りない。3000

 億円を狙ってくれ」。

 中国市場でトップのファイザーの売上高は年1500

 億円。それでもローカル企業を含めて6000社の

 製薬会社がひしめく中国でのシェアは2%弱しか

 ない。
 

  (P.039)



鼻高々だったルー氏は、冷水を浴びせられる格好
となってしまいました。


1000億円ではなく、3000億円という数字は現実には
可能なのか疑問に思いますが、可能性は十分にある、
と『日経ビジネス』取材班は考えています。




 もちろん、3000億円という数字は、単に大風呂敷を

 広げたわけではない。

 中国では所得水準の向上とともに、がんや中枢神経

 系領域を中心とした高度治療薬、生活習慣病治療薬

 の需要が伸びている。これらは武田の得意分野で、

 強みを生かすことができる。

 さらに、現在武田が中国で販売している薬は普及品

 が多いが、それを機能が高い高級品に置き換えれば、

 売上増を見込める。
 

  (P.039)



世界の医薬品市場は、今後どのような過程をたどると
推測されているかですが、「世界の医薬品市場はこれ
から拡大していく。2025年には現在の2倍の188兆円
に達するという予測がある」(P.040)そうです。


188兆円とは、ものすごく巨大なマーケットですね。
このマーケットでブラジルと中国が占める割合は、
「2カ国だけで、世界全体の26%を占める見通しで、
現在はトップ3に入る日本(6%)を大きく突き放す」
(P.040)ということです。


この予測をベースに、ブラジルと中国に経営資源を
集中投下していくという戦略です。


タケダの業績の推移を見てみましょう。
2008年度は左うちわでした。4製品だけで1兆円の
売上高でした。


ところが、2014年度は特許切れで売上高は約3分の
1の3600億円に縮小しました。


そこで、新たな創薬により2020年度ごろには、
消化器系とがんの新薬が中心になるようにポート
フォリオを組み直す腹づもりのようです(下図参照)。





タケダの業績の推移と予想

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.040-041)






 PART 3 世界に挑む人材
「エセ・グローバル」では勝てない 


組織や企業が持続的な成長を遂げるためには、
モノからコトへ、そして最後はヒトに集約されます。


製薬会社においては、商品であるクスリのブランド化
があります。 → モノ


次に、いずれは特許が切れますので、新薬の研究・
開発をすることが不可欠になります。 → コト


そして、最後は世界中に販売していくためにマーケ
ティング戦略を立案し、実際に販売していく部隊が
欠かせません。


研究・開発のための優れた研究者を取り込むことも
必要でしょう。経営と、研究・開発のための持続的な
投資を両立させていかなくてはなりません。
グローバル人材を育成することが、企業を成長させる
ためのエンジンとなります。 → ヒト


問題は、『日経ビジネス』取材班が指摘している、
「エセ・グローバル人材」です。



 日本の本社も真の意味でグローバル化しないと、

 国際舞台では生き残れない。

 そのために必要不可欠なのが、グローバル人材

 だ。PART1で触れたように、世界のどこにいても

 リーダーシップを発揮し、結果を出せる人のことだ。

 そして、PART2で見たように、地域や発展段階

 などに応じて、最適な経営スタイルへ柔軟に変える

 ことができる。

 これと正反対なのが、日本企業に多い「エセ・グロー

 バル人材」だ。海外に赴任しても、会社が用意した

 ネットワーク内だけで仕事を完結させ、そこから

 外に出ようとしない人たちである。


 どこに行っても本社の流儀をかたくなに変えない人

 たちもそうだ。
 

  (P.042)



英語屋になっていることを自覚できていない人たちが
いるのも事実です。



 英語の能力が高ければ国際派と見られがちだが、

 非英語圏の人たちを含めて、相手に自分の言葉

 が伝わっているかどうかに思いが至っていない。
 

  (P.042)



ただし、社員全員をグローバル人材に育成する必要は
ありませんし、相当の時間とコストをかけても不可能です。
現実的ではありません。


ではどうするか。その答えの一つは「100分の1を探せ」
(P042)ということになります。



 キーワードは「100分の1を探せ」。

 全ての社員をグローバル人材に育てる必要はない。

 ローカル人材も必要であり、全体の1%がグローバル

 事業を率いることができれば十分との考え方だ。
 

  (PP.042-043)



その考え方は基本的に正しいと思います。
ですが、次のような考え方も成り立ちます。



 立命館大学大学院准教授の上久保(誠人)は

 「グローバル人材の社内育成は難しい」とみる。

 なぜなら「彼らはきっと、会社を飛び出していく

 はずだからだ」。
 

  (P.043)



似たような話があります。
米国などの大学院へMBA(経営学修士)の取得の
ために会社から派遣されたり、本人が2年間休職
し、大学院への進学を希望することがあります。


MBAを取得すると、会社を去る――。
大学院で学んでいくうちに人脈ができたり、
視野が広がり、考え方に大きな変化が起こり、
在籍している会社に見切りをつけるケースが
よくあります。


はるかに待遇の良い会社へ転職してしまうのです。
ヘッドハンティングされるかもしれません。


そのようなリスクを会社が負えるのかが問われて
いる、と言えます。


『日経ビジネス』取材班は、この問題を問い直して
います。



 企業も、いずれ外に飛び出していくことを承知で、

 手間をかけてグローバル人材を育成すべきなの

 だろうか。それが日本人の競争力向上につながる

 としても、優秀な人材ほど抱え込みたいのが本音

 だろう。

 だが、日本が世界の中で地盤沈下を避け、グロー

 バル化を生き抜くには、それくらいの覚悟がそろそろ

 必要なのかもしれない。
 

  (P.043)





今号のキーワードを確認しておきましょう。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




私たち外部の人間には、製薬業界や製薬会社の
内部のことは、なかなか窺い知ることはできません。


薬品業界トップの武田薬品工業の中で、深刻な問題が
発生しているとは――。


外部から見ると、社員の待遇が良く羨ましい存在に
映りますが、内部ではドロドロした状態が続いている
のですね。考えさせられました。


The grass is always greener on the other side of the fence.
(隣の芝はいつも青い=他人のものは何でも良く見える)






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鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘 2015.03.02 <1>


薬剤師ではたらこ


「日経ビジネスの特集記事」を始める前に、
お伝えしなくてはならないことがあります。

ブログの更新が中断してしまい、たいへん申し訳
ございませんでした。

2月28日20時頃、ブログを更新中にノートPCが
動かなくなり、再起動したり、電源を入れ直したり
しましたが、全く効果がありませんでした。

デスクトップ画面が以前と全く変わってしまい、
アイコンは「PC」と「ごみ箱」の2つだけしか表示
しませんでした(以前は約30ありました!)。

3月1日に購入店にノートPCを持込み、修理を依頼
しました。修理が完了するまでに約3週間を要する
とのことで、その期間、ブログの更新ができなくなり
ました。

12日15時過ぎに購入店から「修理が完了した」
という連絡が入り、当日受け取りに出かけました。
修理依頼日から2週間以内に戻ってきたことは、
幸いでした。

ただし、HDD(ハードディスクドライブ)を交換した
ため、再設定が必要になり、ブラウザの再インスト
ールや、タブと無線LAN等の再設定をしたりして、
多くの時間を費やしました。

13日からブログの更新を再開しました。
これから遅れを徐々に取り戻していく所存です。
今後ともよろしくお願いします。




日経ビジネスの特集記事(97)

鎖国230年 開国1年
タケダの苦闘
2015.03.02



今週の特集記事のテーマは

創業234年の武田薬品工業で今、未曽有の事態が
起きている。
昨年6月にフランス人社長が誕生したが、それだけ
ではない。
役員や部長に至るまで、外国人が次々とポストを
占拠している。
理由は明快だ。巨額M&Aで世界へ戦線を拡大した
が、かじ取りを任せられる日本人社員を育てることが
できなかったからだ。
だが、武田で起きていることは、決して他人事ではない。
グローバル化は、ビジネス、組織を変え、次は人にも
変革を迫る。
「外国人経営」は日本企業の一つの生き方になるのか。
もはや日本人にはグローバル企業を経営できないのか
 (『日経ビジネス』 2015.03.02 号 P.026)

ということです。




鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.026-027)



武田家の「お家騒動」ですね。
経営トップから役員、部長に至るまで外国人が
占めている様子を見ますと、武田薬品工業は、
もはや日本企業ではなくなったように感じます。


グローバル企業の宿命かもしれません。



第1回は、
「PROLOGUE 後継育成に失敗した」
「PART 1 日本人ではダメなのか
外国人が迫る踏み絵」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ」
「PART 3 世界に挑む人材
『エセ・グローバル』では勝てない」
を取り上げます。




今特集のキーワードは次の5つです。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




では、本題に入りましょう!


 PROLOGUE 後継育成に失敗した 

日本一の製薬会社、武田薬品工業で「お家騒動」
が起こっています。


社長から役員、部長まで主要ポストを外国人が
占拠しています。まるで外資系企業のように
見えます。「異様」とさえ映ります。


外国人持株比率も28.29%と高率です(2013年度)。
しかも、外国法人等の株主数はわずか883名です。
個人・その他の持株比率は最も高く、31.74%です。
株主数は305,206名です。
つまり、外国人等は、一人あたりの持株数が極めて
多いということです。


下図をご覧ください(金融機関等は省略)。

武田薬品工業株式会社 株主状況

武田薬品工業株式会社 株主状況




持株比率の観点からも「外資系企業」の要素は十分に
あります。


プロローグで、前社長で現会長の長谷川閑史(やすちか)氏
が、ウェバー氏に社長の座を譲った経緯が書かれています。



 国内製薬トップの武田薬品工業を社長として昨年6月

 まで11年間率いた、現会長の長谷川閑史。

 後継社長に選んだのは、英グラクソスミスクライン

 (GSK)ワクチン部門トップのフランス人、クリストフ・

 ウェバーだった。


 かつて年1兆円を稼ぎ出した高血圧症治療薬

 「ブロプレス」など大型新薬4製品。武田の売上高

 の6割を占めたが、2010年前後に相次いで特許が

 切れた。同じ有効成分で価格が安い「ジェネリック

 (後発医薬品)」が大量流入し、今年度は最盛期の

 3分の1の3640億円に落ち込む見込みだ。
 

  (P.028)



長谷川氏はこの苦境を打開するため手を打ちました。



 この苦境を打開するために長谷川が打った手が、

 計2兆円の大型M&A(合併・買収)だった。

 2008年にがん治療薬開発の米ミレニアム・ファーマ

 シューティカルズ、2011年には世界70カ国で事業

 展開するスイスの製薬会社、ナイコメッドを買収。
 

  (P.028)



確かに矢継ぎ早に手を打ちました。
ところが大きな問題に直面することになります。
社内に「グローバル企業」を経営できる人材が見当たら
なかったのです。育ててこなかったからです。



 だが、想定外の問題に直面する。世界に戦線が

 拡大した武田をうまく経営できる人材が、社内に

 いなかったのだ。
 

  (P.028)



そこで、長谷川氏が次の一手を打つことになります。
グローバル企業で実績を上げた外国人に経営を
任せることを選択したのです。



 スカウトしたのはウェバーだけではない。経営陣で

 作る最高執行機関「タケダ・エグゼクティブ・チーム

 (TET)」。16人のうち8人を外部から招聘した外国人、

 2人を買収先企業の外国人が占めている。
 

  (P.029)


前途多難という言葉を安易に使いたくありませんが、
現実には大きな問題が山積しています。


長谷川政権の後半は失速した

長谷川政権の後半は失速した

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.028-029)






 PART 1 日本人ではダメなのか
外国人が迫る踏み絵 


外国人がタケダの主要ポストを占拠している現状に
対して、創業家一族は憂慮しています。


外国人に乗っ取られるのではないかという恐怖感と、
タケダの伝統が失われるのではないかという絶望感
です。



 武田薬品工業の創業家一族の一人、原雄次郎は

 経営陣が次々外国人に入れ替わり、ついには社長

 にまで外国人をスカウトしたことに、創業家の一人
 
 として許せないという態度を鮮明にした。
 

  (P.030)



タケダの最高執行機関「タケダ・エグゼクティブ・チーム」
のメンバーをご覧ください。この写真をご覧になって
どのような感想を持たれるでしょうか?



最高執行機関「タケダ・エグゼクティブ・チーム」

最高執行機関「タケダ・エグゼクティブ・チーム」

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.030-031)




見難いかもしれませんが、中央のウェバー社長の右隣に
見た目は日本人の取締役・研究開発担当のタチ山田
(山田忠孝)氏がいます。この人物が真の中心人物です。
「ナイトの称号を持つ医学会の重鎮。執筆した教科書は
米国の医学生のバイブル」(P.031)という紹介がされて
います。


実は、タチ山田氏がチームメンバーをスカウトしてきたのです。
そこまで任されたわけは長谷川会長と「20年来の付き合い
があった」(P.032)からです。


タチ山田氏の経歴は華麗です。



 タチ山田の経歴は華麗だ。全米の医学生が使う

 教科書の執筆者として知られ、英国王室から

 「ナイト」の称号を贈られた。日本人の父親と

 日系米国人の母親の元で生まれ、15歳で渡米。

 その後、半世紀以上日本語を全く使わなかった

 というから、日米の国籍を持つとはいえ、実態は

 ほぼ米国人だ。

 GSK(グラクソスミスクライン)の研究開発部門

 会長を務めた後、米マイクロソフト創業者のビル・

 ゲイツ夫妻が運営する財団の世界衛生部門

 トップに就任。そこで、20年来の付き合いがあった

 長谷川から、年8億3800万円(2013年度)という

 破格の報酬で武田へ引き抜かれた。
 

  (P.032)



破格の待遇も納得させられますね!
タチ山田氏の凄さはこれだけではありません。
薬に対する「目利き」と、「製薬業界に広がる強力な
人脈」です。


エピソードが紹介されています。



 薬の目利きでも、豊富な知識と経験を生かし、

 手腕を発揮した。2011年の武田入社直後、

 買収先である米ミレニアム・ファーマシュー

 ティカルズの研究所を訪問した際、新薬の

 開発状況について説明を聞く中で、注目した

 のは予算の制約から開発がお蔵入りしかけて

 いた薬の存在だった。潰瘍性大腸炎などの

 治療薬「エンティビオ」である。

 消化器系の大家であるタチ山田は、すぐに

 潜在市場の巨大さを見抜き、開発に全力で

 取り組むように指示した。


 欧米で発売すると、予想通りに引き合いが

 殺到。将来は世界で年1500億円以上の売り

 上げを見込む大型新薬に化けた。
 

  (P.033)



人脈に関しては次のような説明が書かれています。



 彼がスカウトしてきた外国人たちが作るチームは、

 有望な新薬を思うように開発できない武田の研究

 開発部門の立て直しへ向けて、改革の大ナタを

 振るう中心的な存在だ。
 

  (P.033)


タチ山田氏は挫折という言葉を知らない人物なの
でしょうか? あるいは、普通の人が挫折と感じる
ことは、自分が成長するためのチェックポイントに
過ぎないと考え、挫折とは思わないのでしょうか?


次の表をご覧ください。タケダは日本一の製薬会社
ですが、世界の医薬品売上高ランキングを見ると、
16位に過ぎません。
1位ファイザー、2位ノバルティスと比較すると、
3分の1以下です。はるか彼方な存在です。



国内首位でも、欧米メガファーマとの差は大きい

国内首位でも、欧米メガファーマとの差は大きい

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 P.032)




問題はタチ山田氏のように、「巨額な報酬」で引き抜いて
きても、本人がその会社での使命を終えたと判断すれば、
他社へ移ることです。さらに高額の報酬を得てステップ
アップするのです。会社への忠誠心は存在しません。



 タチ山田チームも、自分たちのミッションを終えれば、

 その実績を引っ提げて、別の舞台へと羽ばたいていく。

 「同じところに長くとどまらず、短期間で大きなインパクト

 を与えたら次の新しいことを始めるのがリーダー」。

 こうした持論から、タチ山田は70歳を迎える今年6月に

 武田を離れることを決断した。既に、その後任も外国人

 に決まっている。
 

  (P.034)


こうした状況を日本人社員は複雑な気持ちで眺めて
いることでしょう。


元研究者は次のように語っています。
負け犬の遠吠えという言葉で片付けることは簡単ですが、
内容はもっと複雑でしょうし、内部の人間でないと分からない
こともあるでしょう。



 元研究者は嘆息交じりに語る。

 「上層部にどんどん新しい外国人が来るので、日本人社員

 は出世できない。しかも彼らは我々の何倍もの報酬を得て

 いる。今の武田では、日本人であること自体がマイナス評価

 になる」。
 

  (P.034)


一時は社長候補と目された、専務取締役の本田信司氏と、
ウェバー社長とのグローバルビジネスの経験の差を
『日経ビジネス』は次ののように解説しています。



 本田が米国法人社長に就任したのが50歳。

 これが事実上、海外で初めて経営トップに就いた

 経験だ。一方、ウェバーは、29歳で早くもGSKの

 海外展開を仕切るカントリーマネジャーとなり、

 7つの国で責任者として指揮を執った。

 グローバルビジネスのリーダーとして、20年強

 にも及ぶスタート時期の差は、簡単には埋めがた

 かった。
 

  (P.034)



現会長の長谷川氏が後継者に日本人を選ばなかった
理由を述べています。



 長谷川は、本田を含む日本人から社長を選ばなかった

 理由について、「できる限りの海外経験を積ませたが、

 まだ足りない部分があった」。「経験とは単に仕事をした

 ということではなく、きちんと結果を出していること」と

 言う。
 

  (P.034)



本田氏は今、日本人社長を育成するため執念を燃やして
いるそうです。復讐心でしょうか? あるいは、そんな個人
的な問題ではなく、このままではタケダが内部崩壊して
しまうという危機感から発せられたことなのでしょうか?
いずれ分かる時が来るでしょう。



 本田をよく知る武田関係者は、「自分の手で日本人

 社長を育ててやろうと執念を燃やしている」と話す。

 その実現のためには、高いハードルを越えなければ

 ならない。経営陣に居並ぶ外国人たちの目に留まる

 ような、本当のグローバル人材を、日本人の中から

 育てられるかがカギを握る。
 

  (P.035)



では、どうしたらグローバル人材は育つのか、『日経ビジネス』
は次のように語っています。一つの意見として拝聴に値する
ことです。



 世界のどこにいても、自分のこれまでのネットワーク

 にとどまらず、現地の人と新しい関係を築く。

 それらをベースに、迅速な決断をためらわない。

 失敗もあるだろうが、そうした経験の積み重ねを

 通じてしか、世界で結果を出せるグローバル人材

 は育たない。
 

  (P.035)





キーワードを確認しておきましょう。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




次回は、
「PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ」
「PART 3 世界に挑む人材
『エセ・グローバル』では勝てない」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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