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日本の革新者(イノベーター) 2014 世界を動かす12の発想  2014.11.24 <3>



日経ビジネスの特集記事(83)

日本の革新者(イノベーター)
2014
世界を動かす12の発想
2014.11.24



今週の特集記事のテーマは

新興国に迫られ、市場の成熟が進むこの国が蘇(よみがえ)る
には、特に3つのタイプの革新者が欠かせない。
従来ない製品を創る「常識の破壊者」、埋もれている日本の
魅力を世界に発信する「伝道師」、戦後70年を迎え官民共に
老朽化が目立つ組織を再活性化させる「異端児」だ。
多様な分野で活躍する、日本の未来を変える「三種の人財」
12人の今に迫った
 (『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.027)

ということです。


日本の革新者(イノベーター) 2014 世界を動かす12の発想

日本の革新者(イノベーター)
2014
世界を動かす12の発想

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 表紙)



今特集記事では、まず、世界を動かす12人のお名前を
ご紹介します。


「日経ビジネス」は、
常識の破壊者
日本文化の伝道師
組織を変えた異端児
に3分類しました。


常識の破壊者

ホンダ エアクラフト カンパニー社長 藤野道格
WHILL CEO               杉江 理 
東京工業大学教授           西森秀稔
Lalitpur CEO               向田麻衣
シャープ副事業部長          田村友樹
九州工業大学教授           伊藤高廣


日本文化の伝道師

旭酒造社長                桜井博志
マイファーム社長             西辻一真
中川政七商店社長            中川 淳


組織を変えた異端児

近畿大学水産研究所長         宮下 盛
「萩しーまーと」駅長            中澤さかな
AgIC CEO                  清水信哉



最終回にご紹介しますが、この12人の中から、
「日本イノベーター大賞2014」の大賞、優秀賞、
特別賞、そして日経ビジネス創刊45周年記念
特別賞の5人が選出されています。
(但し、日経ビジネス創刊45周年記念特別賞
には、ここにノミネートされた方に特に関わりの
強い方も選ばれています。そのため6人の選出
となりました)


どなたがどの賞に選出されたのか、想像しながら
ご覧ください。


第1回は、「PART1 常識の破壊者」6人のうち、
4人を取り上げます。


第2回は、「PART1 常識の破壊者」の残りの2人
と、「PART2 日本文化の伝道師」3人を取り上げ
ます。


最終回は、「PART3 組織を変えた異端児」3人と、
「日本イノベーター大賞2014」受賞者、「2014年
のイノベーターを読み解く5つのキーワード」を
ご紹介します。



PART3 組織を変えた異端児

近畿大学水産研究所長 宮下 盛(みやした・しげる)

マグロ養殖を自ら事業化 稼ぐ大学の先兵に

近畿大学水産研究所長 宮下 盛

近畿大学水産研究所長 宮下 盛 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 PP.040-041)




 成魚に育つ確率が1%にも満たないとされる

 高級魚クロマグロ。卵から人工で育てる

 「完全養殖」の事業化にいち早く成功し、

 大学の掲げる「実学の精神」を象徴する

 プロジェクトになった。


 宮下盛の属する近畿大学水産研究所本部は

 温暖な和歌山・白浜にある。

 「近大卒」の魚が向かうのは寿司店から

 イタリア料理店まで様々だ。


 クロマグロの完全養殖に向けた研究が始まった

 のは1970年。水産庁の呼びかけで当初は複数

 の大学や研究機関が参加した。期待したほどの

 成果が上がらず、水産庁は3年後に研究を休止。

 近大だけが研究を続けた。


 宮下は粘り強くマグロの死因を調べた。その結果、

 たどり着いたのが衝突死だった。

 直径6mの生け簀を同30mに広げてみたところ、

 だんだん生き残る確率が高まっていった。


 養殖成功から10年余りが経過し、今ではマグロ

 が稼ぎを生む。2013年には相次いで大阪と

 東京・銀座に近大のグループ企業が飲食店を

 出した。脂の乗りがたちまち評判になり、

 午後11時の閉店時間前にマグロが売り切れて

 しまうほどの繁盛ぶりだ。


 マグロだけではない。近大付属農場では新品種

 のマンゴーを栽培し、研究牧場で育った牛や鴨

 は「近大ブランド」で市場に流通する。


 今の宮下の関心事は、エサを工夫することで

 マグロの養殖コストをさらに引き下げる研究だ。 
 

  (PP.040-041)


技術力で最後まで業界に残った企業として、
2社がすぐに思い浮かびます。


1社は、カーボンファイバー(炭素繊維)や合成繊維
で圧倒的なシェアを握る東レです。繊維業界から
ライバルが相次いで撤退し、最後まで残った東レが
市場を独占しています。


炭素繊維を使用し、機体を軽量化したボーイング
787が製造されたことは耳新しいニュースです。
量販車にも炭素繊維を使用する試みがなされて
います。


もう1社は、写真業界でコダックやポラロイド、コニカ
などのライバルがいなくなり、最後まで残った富士
フィルムは有機材料化学や無機材料化学などの
基礎技術を磨き上げ、化粧品ビジネスに参入し、
大きな成果を上げました。


最近では、「チェキ」というインスタントカメラが、
日本の若者たちや海外で評判になり、デジタル
カメラとは違い、すぐに写真を見られる手軽さが
うけています。


カメラとフィルムを一体で製造する技術は、
富士フィルムにしか存在しません。
一人勝ちです。


近畿大学の宮下さんは数十年の歳月をかけ、
クロマグロを研究した結果、「完全養殖」に成功
しました。簡単には「諦めない」ことが、奏功した
のです。


近畿大学も数十年にもわたる研究を支援した
のですから、素晴らしいことだ、と思います。




「萩しーまーと」駅長 中澤 さかな(なかさわ・さかな)

地元愛をすくいあげる地方再興請負人

「萩しーまーと」駅長 中澤 さかな

「萩しーまーと」駅長 中澤 さかな 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.042)




 全国1800市町村の半数が2040年までに

 消滅する――。「日本創成会議」が今春まとめた

 予測は多くの地方に衝撃を与えた。


 「大好きな魚のそばで暮らしたい」という思いから

 リクルートを辞め、萩に移って15年。埋もれていた

 萩の水産資源に光を当て、情報収集や広報宣伝

 といったマーケティングを徹底して、萩しーまーと

 を年商10億円の道の駅に育て上げた。中澤の

 評判は次第に多くの自治体に広まり、地方活性化

 の後押しを求められるようになった。


 強い地元愛を持つキーパーソンを見つけ出し、

 二人三脚で時間を掛けながら泥臭く突破口を

 切り開いていく。


 「中澤さんは地域を思う人の力を引き出すのが、

 本当にうまい」。中澤について各地を回る、

 萩市観光協会の山口泉は言う。

 中澤は到着するとひたすら町を歩き、夜はいつも、

 土地の人たちと酒を酌み交わす。食資源のネタを

 探しているようで実は、秘めたる思いを持つ人材を

 見つけ出すのが目的だ。


 今の姿勢を貫くのは「一時的だけ良くなっても、

 永続しなければ成功じゃない。そのためには

 地元の人が当事者意識を持って活性化に取り

 組むのが一番いい」(中澤)と考えるからだ。
 

  (P.042)


リクルート出身の経営者は、個性的な方が
多いですね。江副浩正さんが創業したリクルート
のDNAが、連綿と引き継がれているのでしょう。


そう言えば、今年、リクルートが再上場しましたね。


安倍政権は、「地方再生」を喧伝していますが、
中澤さんのような地道な活動、支援でなければ
実を結びません。


選挙のたびにマニフェスト(政権公約)を唱えますが、
口だけでは、「地方再生」や「地方活性化」は図れ
ません。


「一時的だけ良くなっても、永続しなければ成功
じゃない。そのためには地元の人が当事者意識を
持って活性化に取り組むのが一番いい」、
という中澤さんの言葉が全てを語っている、
と思います。


中澤さんたちの活動に「おんぶにだっこ」では、
長続きしません。あくまで「自分たちが主体になって
やっていくんだ」という気概を持って、事に当たらな
ければなりません。



AgIC CEO 清水信哉(しみず・しんや)

産業界に新生態系創る 起業技術者のモデルに

AgIC CEO 清水信哉

AgIC CEO 清水信哉 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.043)




 「技術立国」を掲げる日本だが、内実は

 危機的だ。基礎研究の成果は海外に流れ、

 新産業が生まれない。


 東京・神保町の雑居ビル。エンジェル投資家、

 鎌田富久のオフィスにプリンターを抱えた若者

 がやってきたのは、2013年暮れのことだった。

 若者の名は清水信哉。マッキンゼー・アンド・

 カンパニーの若手コンサルタントだった。

 大学時代の友人と2人で現れた清水が鎌田に

 見せたのは「印刷できる電子回路」。銀の微細

 な粒子を混ぜたインクを使い、市販のプリンター

 で紙に印刷すると導電性の回路が出来上がった。

 「すぐ事業化した方がいい」。鎌田は1時間の面談

 で投資を決断。翌月、清水はマッキンゼーを退職

 しAgIC(東京都文京区)を設立した。


 鎌田が清水の支援を即決したのには、2つ理由が

 ある。

 1つは、起業家としての可能性だ。

 鎌田は「リーダーシップがあり、技術への理解も

 深い」と清水を評価する。


 鎌田が清水に期待するもう一つの理由。

 それは、東大発の技術ベンチャーとして、

 後に続く起業家としてのロールモデルを作ること

 にあった。

 3Dプリンターの登場で、個人がモノ作りに参加する

 「メーカーズムーブメント」が起きた。AgICの技術で、

 従来作れなかった電子回路が簡単に実現すれば、

 その波を後押しできる。


 鎌田の思いに応えるように、この1年、清水は着々と

 事業を構築してきた。今年3月に米キックスターター

 で資金を調達、秋には電子回路を描けるペンや、

 プリンター用カートリッジをアマゾンの通販サイトで

 発売した。


 三菱電機を辞めてAgICに参加したエンジニアの

 小笠原一憲は、「大企業では、技術者が本当に

 作りたいものを作れない。ここならそれができる」

 と語る。 
 

  (P.043)


技術が分かり、経営ができる人物であれば、
自らメーカーになることも、エンジェル投資家になる
ことも可能です。


清水さんは、小学校の頃から他とは違う少年
でした。


「小学校の頃から量子論や相対論といった大学の
物理の教科書を読みこなし、名門・灘高校時代は
電子工作に没頭。高校生の化学グランプリで優秀賞
に入った。東京大学ではクルマを自作するサークル
に所属する一方、大学院で人工知能の研究に取り
組んだ」(P.043)ということです。


清水さんが左手に持っているのが、紙に印刷された
「電子回路」です。このような発想をすること自体が
私たち一般人とは全く違いますね。


まだ26歳ですから、これからどんな製品が出てくる
のか楽しみです。


技術者の世界では、大企業からAgICのような小企業
へ転社する人がいます。転職ではなく、転社です。


自分の技術力に自信を持っていますが、大企業では
生かされないと感じると大企業でのキャリアをあっさり
捨ててしまうのです。


報酬などの待遇は悪くなっても、自分がやりたい仕事
ができる会社を選ぶ人たちが増えてくるのでしょうか?




クレージーが革新を生む

3回にわたって、日本の革新者(イノベーター)12人を
ご紹介しました。いかがでしたでしょうか?


正直に言いますと、12人のお名前は一人も知りません
でした。


ただ、近畿大学が「養殖マグロ」を事業化したことは
ビジネス番組で見て知っていました。


ですが、その中心人物である、宮下盛さんのことは
初めて知りました。


「日経ビジネス」取材班は、自ら国内外を取材し、
自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の鼻で
嗅いで、自分の舌で味わって、自分の手足で触れた
体験を通じて、記事にしています。


ですから、マスメディアによく登場する人たちとは違う
人物を掘り起こすことができるのです。


「日経ビジネス」は「2014年のイノベーターを読み解
く5つのキーワード」を見出しました。
下図の通りです。


2014年のイノベーターを
読み解く5つのキーワード

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.044)



「日経ビジネス」がこれらの5つのキーワードを
見出した経緯と解説をご紹介しましょう!


あっ、その前に「日本イノベーター大賞」とは、
どのようなものかを、先にご紹介しないといけない
ですね。


 日経ビジネスは2002年に「日本イノベーター

 大賞」を創設し、各分野で革新を起こしている

 人物を毎年表彰してきた。
 

  (P.044)


では、5つのキーワードについて、「日経ビジネス」
の解説を見てみましょう。


 登場した2014年のイノベーター12人の

 生き様は5つのキーワードから読み解ける。

 1つ目は「Crazy Idea(クレイジー・アイデア)」

 だ。日本ではクレイジーという言葉はマイナス

 のイメージが強いが、英語で「常識外れ」は、

 前向きな意味で捉えられるケースも目立つ。


 2つ目のキーワードは、「Indomitable Spirit

 (インドミタブル・スピリット)」だ。

 不屈の精神を意味し、様々な困難に直面
 
 してもあきらめずにやり抜く姿勢を指す。


 3番目は「Value Creation(バリュー・

 クリエーション)」。新たな価値の創造を指す。

 大学が持つ技術をフル活用し、新たな市場を

 次々に作り上げるさまは、まさに新たな価値の

 創造と呼ぶべきものだ。


 4番目は「Global Scope(グローバル・スコープ)」。

 世界的な視野を意味する。

 (WHILL(ウィル)CEOの)杉江は会社を創立した

 当初からグローバル市場を見据えてきた。

 電動車椅子で世界最大の市場である米国を

 ターゲットに商品開発を加速。

 「国内市場でまず成功してから海外に出る」。

 そんな従来のベンチャーの成功方程式を根底

 から変えようとしているのがWHILLだ。


 そして、今年のイノベーターを読み解く最後の

 キーワードが「Japanese Touch(ジャパンーズ・

 タッチ)」。日本らしさを意味する。

 旭酒造社長の桜井博志は、世界的な日本食

 ブームにチャンスを見いだし、「日本らしさ」

 を売りに欧米市場に打って出ている。
 

  (PP.044-045)


選考委員の一人である、一橋大学イノベーション
研究センター教授は、次のように語っています。


 「イノベーションを生む日本の潜在的な力は

 高く、世界で技術力などは評価されている。

 だが、その強みを生かしきれていない」。
 

  (P.045)


さて、最後に、お待ちかねの
「日本イノベーター大賞2014 受賞者」
を発表します。


あなたの予想は当たりましたか?


日本イノベーター大賞2014 受賞者一覧

日本イノベーター大賞2014 受賞者一覧

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.045)




「日経ビジネス」は実に面白い雑誌です。
30年近く(今年で29年)読み続けられるのは、
取り扱うテーマと、記者の切り口の斬新さに
あります。


いつも快い刺激を受けます。


最後まで読んでいただき、本当に、
ありがとうございました。


これからも、ブログ「日経ビジネスの特集記事」を
よろしくお願いいたします。




記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




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日本の革新者(イノベーター) 2014 世界を動かす12の発想  2014.11.24 <2>



日経ビジネスの特集記事(83)

日本の革新者(イノベーター)
2014
世界を動かす12の発想
2014.11.24



今週の特集記事のテーマは

新興国に迫られ、市場の成熟が進むこの国が蘇(よみがえ)る
には、特に3つのタイプの革新者が欠かせない。
従来ない製品を創る「常識の破壊者」、埋もれている日本の
魅力を世界に発信する「伝道師」、戦後70年を迎え官民共に
老朽化が目立つ組織を再活性化させる「異端児」だ。
多様な分野で活躍する、日本の未来を変える「三種の人財」
12人の今に迫った
 (『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.027)

ということです。


日本の革新者(イノベーター) 2014 世界を動かす12の発想

日本の革新者(イノベーター)
2014
世界を動かす12の発想

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 表紙)



今特集記事では、まず、世界を動かす12人のお名前を
ご紹介します。


「日経ビジネス」は、
常識の破壊者
日本文化の伝道師
組織を変えた異端児
に3分類しました。


常識の破壊者

ホンダ エアクラフト カンパニー社長 藤野道格
WHILL CEO               杉江 理 
東京工業大学教授           西森秀稔
Lalitpur CEO               向田麻衣
シャープ副事業部長          田村友樹
九州工業大学教授           伊藤高廣


日本文化の伝道師

旭酒造社長                桜井博志
マイファーム社長             西辻一真
中川政七商店社長            中川 淳


組織を変えた異端児

近畿大学水産研究所長         宮下 盛
「萩しーまーと」駅長            中澤さかな
AgIC CEO                  清水信哉



最終回にご紹介しますが、この12人の中から、
「日本イノベーター大賞2014」の大賞、優秀賞、
特別賞、そして日経ビジネス創刊45周年記念
特別賞の5人が選出されています。
(但し、日経ビジネス創刊45周年記念特別賞
には、ここにノミネートされた方に特に関わりの
強い方も選ばれています。そのため6人の選出
となりました)


どなたがどの賞に選出されたのか、想像しながら
ご覧ください。


第1回は、「PART1 常識の破壊者」6人のうち、
4人を取り上げます。


第2回は、「PART1 常識の破壊者」の残りの2人
と、「PART2 日本文化の伝道師」3人を取り上げ
ます。


最終回は、「PART3 組織を変えた異端児」3人と、
「日本イノベーター大賞2014」受賞者、「2014年
のイノベーターを読み解く5つのキーワード」を
ご紹介します。



PART1 常識の破壊者

シャープ副事業部長 田村友樹(たむら・ともき)

調理家電のアイデアマン 再建の「種」をまく

シャープ副事業部長 田村友樹

シャープ副事業部長 田村友樹 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.034)




 液晶への過剰投資が原因で、経営危機に

 陥ったシャープ。復活に向けた新規事業
 
 の創出にいち早く取り組むのが白物家電

 部門の田村友樹だ。


 提案したのは、市販の茶葉を粉末状に
 
 すりつぶして「粉末茶」を作り出す“お茶

 メーカー”。前代未聞の商品だけに会議

 は紛糾した。

 「お茶は急須で入れるのが日本1000年

 の常識。こんな商品誰が買うんや」「すり

 つぶしたら茶柱が立たんやろ」「お茶だけ

 でなくコーヒーは作れへんのか」――。

 幹部からは容赦ない声が飛ぶ。だが、

 田村は一歩も引かない。ダメ出しをされて

 も、“お茶メーカー”の魅力を企画会議で

 訴え続けた。


 発売時の価格は約2万5000円と高額。

 だが、蓋を開けると今年4月末の発売から

 品薄状態が続き、10月末時点で計画の

 5倍となる10万台以上を売り上げた。


 「社内で有数の頑固者」(本部長の沖津雅浩)

 である田村。その頑固な性格で斬新な商品を

 生み出してきた。


 自分が見込んだ商品のためには、社内の

 前例も次々と否定する。2012年に発売した

 低速ジューサー「ジュースプレッソ」の開発では、

 基幹部品であるスクリューを海外メーカーから

 ライセンス提供を受けることを決めた。


 今年10月からは副事業部長として調理家電

 事業全体を任されるようになり、部下の数は

 10倍以上に膨らんだ。本部長の沖津は

 「頑固で諦めない根性を多くの人に伝えてほしい」

 と期待する。
 

  (P.034)


「頑固さ」は、良い面、悪い面がはっきり表れる
性格だ、と思っています。


市場を考え、顧客の求める商品を作り出そうと
する場合、自分が「これ」がいいという思いが
強ければ強いほど、商品に個性が表れてくる、
と思います。


あれもできる、これもできるという商品は、
一見するといいようでいて、中途半端なものに
なりがちです。特徴がなくなってしまうのです。
機能を特化することで、個性的な商品が出来
上がります。


ただし、独りよがりでは、顧客が求める商品は
出来ません。顧客との対話が欠かせません。




九州工業大学教授 伊藤高廣(いとう・たかひろ)

鉄道少年が紡いだ夢 自力で動く内視鏡へ

九州工業大学教授 伊藤高廣

九州工業大学教授 伊藤高廣 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.035)




 産業化で欧米に後れを取り、輸入超過が

 続く日本の医療機器。九州工業大学教授

 の伊藤高廣は、体内で自走する画期的な

 カプセル内視鏡の実用化で、その壁の

 打破を目指している。


 10歳の頃、小遣いをはたき、7000円の

 ドイツ製鉄道模型を買った。精密な金型

 技術からモーター、音や光を出す部品まで、

 技術の粋を尽くした小さな機関車は少年の

 心を虜にした。


 長さ2.4cm、直径1.1cmの銀色に光るカプセル。

 突起も溝もなく、滑らかな表面をしている。

 およそ駆動物には見えないこの物体が、

 外から無線で信号を送ると、管の中で前進を

 始める。

 内部のコイルを磁力で振動させ、体内を傷つけ

 ずに前後に自走するカプセル型ロボット。

 九州工業大学の伊藤高廣が10年かけて開発

 した技術は、現在の医療診断が抱える課題を

 解決する潜在力を持つ。


 カプセル内視鏡は、数年前から医療現場で普及

 が進む。しかし現状は、飲み込んでから体外に

 自然排出されるまで、8時間以上かかる。

 その間の7万枚もの画像を見て必要な部位を

 探し出す作業は、医師に多大な負担を強いている。

 前後に動き、狙った部位に自ら移動できる伊藤の

 カプセル型ロボットならこの手間は解消される。


 鉄道会社への就職を諦めた(1983年当時、

 就職を希望していた旧・国鉄が経営不振に陥り、

 新卒採用をストップしたため 註:藤巻隆)伊藤は

 NTTで18年間、ロボットやセンサーの研究開発に

 取り組んだ。


 巨大な鉄道と豆粒大の内視鏡。大きさこそ違う

 ものの、「前に進む能力」が性能の決め手になる点

 では共通する。

 「鉄道模型で遊んだ経験が、今もちょっとした試作

 や実験に生きている」と話す。
 

  (P.035)


伊藤さんが親指と人差し指でつまんでいるのが、
カプセル型ロボットです。本当に小さいですね!
これが体内に入って病に冒されている部位を撮影
してくるのです。


しかも、前後に動きますから、外部から調整しながら、
同じ箇所を繰り返し撮影することも可能です。


「将来は病変組織を採取したり、薬を投与したりする
ことも可能」(P.035)ということですから、期待は膨らみ
ます。治療に役立つといいですね。


鉄道模型とカプセル型ロボット。面白い組み合わせ
ですが、少年の夢が一歩前進したのです。


アポロ11号のアーム・ストロング船長が、
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、
人類にとっては偉大な飛躍である
(That's one small step for [a] man, one giant leap for
mankind.)」と述べましたが、
カプセル型ロボットも同様なことかもしれません。





PART2 日本文化の伝道師


旭酒造社長 桜井博志(さくらい・ひろし)

倒産寸前の酒蔵を再建 日本酒を海外に売り込む

旭酒造社長 桜井博志

旭酒造社長 桜井博志 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.036)




 国内のみならず海外でも高い評価を受ける

 純米大吟醸「獺祭(だっさい)」。海外での

 日本食ブームの牽引役としての期待も高い。


 今年4月末、首相の安倍晋三は来日した

 米大統領バラク・オバマに“ある日本酒”を

 プレゼントした。

 「磨きその先へ」。山口県岩国市の山里に

 ある旭酒造が製造する「獺祭」の最高品種

 だ。価格は約3万円だが飛ぶように売れ、

 東京都内では「幻の日本酒」として品薄状態

 が続く。人気は国内にとどまらず、海外でも

 ワイン通の舌を魅了している。


 桜井は、これまでの日本酒業界を変革させた

 人物といえる。

 その一つが、日本酒の分類で最高級ランクの

 純米大吟醸酒に特化する戦略だ。日本酒向け

 の最高品種「山田錦」を最大77%も磨いた芯の

 部分だけを使い、ほかの日本酒にはないフルー

 ティーな香りと味を生み出した。


 桜井が旭酒造に復帰したのは84年、34歳の時。

 父が他界したことで社長を継ぐことになったからだ。

 当時の旭酒造は年率15%の減収が続く状況。

 
 「大手と同じことをやっていても潰れてしまう」。

 追い詰められた桜井は発想を転換。純米大吟醸の

 製造に特化し、数年の歳月をかけ納得のいく酒を

 造り上げた。こうして生まれたのが獺祭だ。


 3度、窮地に立った桜井。「自分たちだけで獺祭を

 造るしか道はなかった」。社員一丸となって試行

 錯誤を繰り返した結果確立されたのが、データ

 管理に基づく現在の製造スタイルだ。


 2015年にはパリの凱旋門近くに、日本料理店を

 併設した直営店を出す計画だ。
 

  (PP.036-038)


例によりまして、私はお酒に関してはほとんど
知識がありません。アルコール類にあまり興味が
ないからです。


ですが、以前取り上げた芋焼酎「黒霧島」や、
今回登場した、純米大吟醸「獺祭(だっさい)」
は強烈な印象を残しました。


今後も嗜むことはないと思いますが、少なくとも
銘柄だけは覚えました(笑)。


霧島酒造も旭酒造も同様ですが、経営危機に
瀕し、どうしたら生き残ることができるか必死に
考え、実践した結果、全国的に知られる「名酒」
を世に送り出すことが出来ました。


キーワードは「高級な銘柄に特化」です。
ランチェスター戦略が教えるところでは、
小企業が大企業に勝つための一つの方法は、
徹底的に商品の質やサービスを絞り込み、
磨き上げ、深堀りするという、ニッチ戦略を
推し進めることです。


それが実現できなければ、破綻するだけです。




マイファーム社長 西辻一真(にしつじ・かずま)

荒れた田畑を再生 農業経営実践の場に

マイファーム社長 西辻一真

マイファーム社長 西辻一真 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.038)




 農業ベンチャー「マイファーム」(京都市)を展開。

 手入れが行き届かず荒れた「耕作放棄地」を

 貸農園として再生し、就農を希望する都市住民

 を支援している。


 西辻がマイファームを設立したのは2007年。

 農家などから広さ1000㎡以上の土地を提供

 してもらい、就農したい都市住民などに小分け

 して貸し出す。

 賃料は15㎡で月5000円前後。農園の借り手に

 種まきから栽培、収穫、さらには販路開拓まで

 「農業のバリューチェーン」を一体で運営してもら

 うことで農業に長けた人材を育て、耕作放棄地の

 再生を目指す。


 「新規就農者を増やし、彼らが十分な収益を上げる

 ようにバックアップする。日本の農業を再生するには、

 それしかない」と西辻。

 西辻は日本の農業を守るため、一つまた一つ、

 耕作放棄地に息を吹き込み続ける。 
 

  (P.038)


「耕作放棄地」はどのくらいあると想像できますか?
私は全く想像できませんでした。


結果は広大でした。
「全国では滋賀県ほどの広さの耕作放棄地が手つかず
のままだ」(P.038)というのが実態です。


専業農家は少なく、平日はサラリーマンをやりながら、
週末に農業に従事する兼業農家が多いのです。


長年続けてきた「減反政策」から、国は突然方向転換
しました。しかし、田畑は荒れ、再生は容易ではあり
ません。


農家は田畑を持ち続ければ、国から補助金が貰えます
からそのままにしています。


そうした「耕作放棄地」を提供してもらい、農業再生を
実践しているのが、西辻さんたちが推進している
「マイファーム」です。


ただ、危惧されることは、都市住民が「農業をするのが
流行」だからという軽い気持ちで携わると、失敗すると
思います。「趣味の園芸」とは違い、収益を確保する
ことは並大抵な気持ちでは続きません。


「趣味」ではなく、「事業」だからです。




中川政七商店社長 中川 淳(なかがわ・じゅん)

工芸品の「ユニクロ」 地域活性の起爆剤に

中川政七商店社長 中川 淳

中川政七商店社長 中川 淳 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.039)




 1716(享保元)年に創業した麻織物問屋、

 中川政七商店(奈良市)の13代目。

 「ユニクロ」などカジュアル衣料ではなじみ

 深いSPA(製造小売り)ビジネスモデルを

 伝統工芸品で初めて本格展開した。


 東京・丸の内の旧東京中央郵便局を再開発

 した商業施設「KITTE(キッテ)」。4階に構える

 中川政七商店は東京の新名所になりつつある。

 若いカップルや老夫婦でにぎわうほか、外国人

 観光客も増えてきた。


 日本には、地産地消で作られた伝統工芸品が

 たくさんある。だが事業者の多くは零細で自前の

 販路を持たない。中川はそんな事業者と協力し、

 開発から製造、販売まで手掛ける。

 いわば伝統工芸品のSPAだ。


 「地方には、もうほんの少し経営力があれば、

 息を吹き返す魅力的な企業がまだまだある。

 彼らを支援することで、地方再生の一助になり

 たい」。こう願う中川に、ホテル運営大手、

 星野リゾート(長野県軽井沢町)代表の星野佳路

 も「中小企業こそ、企業の持続性にはブランドが

 欠かせない」と応える。
 

  (P.039)


PART2 日本文化の伝道師の3人に共通する
キーワードは、「再生」です。


旭酒造は、このままでは、経営破綻するのは時間の
問題でした。そこで戦略を転換し、日本酒の最高
ランクの純米大吟醸を製造することに特化し、
「再生」を図り、実現させました。
その中心人物は、桜井博志さんでした。


マイファームは、荒れた田畑を「再生」させ、農業その
ものの「再生」を目指しています。西辻一真さんが、
その中心人物です。


中川政七商店は、地方の零細企業を「再生」させる
ため、伝統工芸品のSPAを強力に進めています。
ひいては地方「再生」への起爆剤にもなりうるもの
です。


中川さんは、京都大学を卒業後、富士通に勤務しま
したが、大企業では自由に仕事ができないもどかしさ
を感じ、2年で退社し、2002年に家業を継いだそう
です。


継いで分かったことは、「このままでは立ち行かなく
なる」(P.039)と実感したことでした。


そこで、中川さんが決心したことは、「マーケティングの
本を読みあさりながら出した結論が、オリジナル商品の
開発と直営店舗を軸にしたブランドの展開」でした。




最終回は、「PART3 組織を変えた異端児」ほかを
ご紹介します。






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日本の革新者(イノベーター) 2014 世界を動かす12の発想  2014.11.24 <1>



日経ビジネスの特集記事(83)

日本の革新者(イノベーター)
2014
世界を動かす12の発想
2014.11.24



今週の特集記事のテーマは

新興国に迫られ、市場の成熟が進むこの国が蘇(よみがえ)る
には、特に3つのタイプの革新者が欠かせない。
従来ない製品を創る「常識の破壊者」、埋もれている日本の
魅力を世界に発信する「伝道師」、戦後70年を迎え官民共に
老朽化が目立つ組織を再活性化させる「異端児」だ。
多様な分野で活躍する、日本の未来を変える「三種の人財」
12人の今に迫った
 (『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.027)

ということです。


日本の革新者(イノベーター) 2014 世界を動かす12の発想

日本の革新者(イノベーター)
2014
世界を動かす12の発想

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 表紙)



今特集記事では、まず、世界を動かす12人のお名前を
ご紹介します。


「日経ビジネス」は、
常識の破壊者
日本文化の伝道師
組織を変えた異端児
に3分類しました。


常識の破壊者

ホンダ エアクラフト カンパニー社長 藤野道格
WHILL CEO               杉江 理 
東京工業大学教授           西森秀稔
Lalitpur CEO               向田麻衣
シャープ副事業部長          田村友樹
九州工業大学教授           伊藤高廣


日本文化の伝道師

旭酒造社長                桜井博志
マイファーム社長             西辻一真
中川政七商店社長            中川 淳


組織を変えた異端児

近畿大学水産研究所長         宮下 盛
「萩しーまーと」駅長            中澤さかな
AgIC CEO                  清水信哉



最終回にご紹介しますが、この12人の中から、
「日本イノベーター大賞2014」の大賞、優秀賞、
特別賞、そして日経ビジネス創刊45周年記念
特別賞の5人が選出されています。
(但し、日経ビジネス創刊45周年記念特別賞
には、ここにノミネートされた方に特に関わりの
強い方も選ばれています。そのため6人の選出
となりました)


どなたがどの賞に選出されたのか、想像しながら
ご覧ください。


第1回は、「PART1 常識の破壊者」6人のうち、
4人を取り上げます。


第2回は、「PART1 常識の破壊者」の残りの2人
と、「PART2 日本文化の伝道師」3人を取り上げ
ます。


最終回は、「PART3 組織を変えた異端児」3人と、
「日本イノベーター大賞2014」受賞者、「2014年
のイノベーターを読み解く5つのキーワード」を
ご紹介します。



PART1 常識の破壊者

ホンダ エアクラフト カンパニー社長 藤野道格(ふじの・みちまさ)

ホンダジェット離陸 不可能成し遂げた戦略家

ホンダ エアクラフト カンパニー社長 藤野道格

ホンダ エアクラフト カンパニー社長 藤野道格 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.028)




 2015年、新しい航空機メーカーが誕生する。

 7人乗りの「ホンダジェット」を製造する

 ホンダ エアクラフト カンパニー(米ノース

 カロライナ州)だ。


 東京大学工学部航空学科を卒業。

 根っからの飛行機好きだと誤解されがち

 だが、藤野が航空学科を選んだのは

 「自動車学科がなかったから」。

 新しいコンセプトを考える仕事がしたくて、

 若いうちから大きなプロジェクトを任せて

 もらえそうなホンダの門を叩いた。


 無論、ずっと順風満帆だったわけではない。

 直近では2008年秋のリーマンショック。

 ホンダの業績が低迷し、F1と同様、ホンダ

 ジェットからの撤退もささやかれた。


 脚部を供給する住友精密工業専務の田岡

 良夫は「いろいろな航空機メーカーと取引

 しているが、経営トップであそこまで全てを

 詳細に把握している人はいない」と語る。


 取材中、終始冷静に話していた藤野が、

 ふいに素顔を見せた一瞬があった。

 試験用のホンダジェットが3台並ぶ姿を見つけ

 た時だ。「たくさん機体があるとうれしくなっ

 ちゃって」。少年のように笑う藤野の頭には

 もう、ホンダジェットが続々と量産されて飛び

 立っていく姿が描かれているようだった。 
 

  (PP.028-030)


二輪(バイク)からスタートしたホンダが、
四輪(自動車)に進出し、モータースポーツの
最高峰F1を、ブラジルの英雄、F1レーサー、
アイルトン・セナとともに制覇した日々が
ありました。


ホンダは地上を走行するだけでは飽きたらず、
遂に空に羽ばたくプライベートジェットを製造
する会社の一つとなりました。


藤野さんの小学校時代のエピソードが掲載されて
います。


 小学校の先生が課題で出した、ゴム動力の

 ミニカー作り。クラスメートを驚かそうと、

 ベアリング(軸受け)からタイヤまで工夫を重ねて、

 コンテストに臨んだ。圧倒的なスピードで走る少年

 のクルマを前に、教室は興奮に包まれる。

 「人は想像もしないモノを作ると、皆が喜んでくれ

 るんだ」。翌年の卒業文集には迷わずこう書いた。

 「設計技師になりたい」。
 

  (P.028)


藤野さんの夢はまだ実現したわけではなく、
夢の途中で、夢ははるか先まで続いているのかも
しれません。




WHILL CEO 杉江 理(すぎえ・さとし)

若き職人が作るワクワクする車椅子

WHILL CEO 杉江 理

WHILL CEO 杉江 理 氏(写真右)

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 PP.030-031)




 今年9月、電動車椅子の常識を覆す乗り物が

 日米で発売された。斬新なデザインと砂利道

 も走れる機動性が売りの「WHILL(ウィル)Type-A」

 だ。2014年度には250台の販売を見込み、

 来年には台湾での量産も始まる。


 2012年5月、杉江はCDO(最高開発責任者)の

 内藤淳平やCTO(最高技術責任者)の福岡宗明

 と共同で、株式会社WHILLを設立した。


 「これが本当に作れたらすごい」という思いと

 「やる」という覚悟だけは、誰に聞かれても

 「あります」と自信をもって答えられた。


 杉江は「1次情報が好きで、リアルな

 経験しか信じない」と自分の生き方を語る。


 自分で見て聞いたことだけを信じるのは、

 今も変わらない。自らシリコンバレーを

 WHILLで走り、車椅子の利用者にどんどん

 声をかけて話を聞く。

 前後に動く座席や可動式のハンドルはそんな

 調査を重ねて加えた機能だ。


 内藤は「杉江の一番すごい能力は絶対に

 諦めないこと」と言う。そして、福岡と顔を

 見合わせながら「俺らもだけどな」と付け加える。 
 

  (PP.030-031)


「1次情報が好き」というのは、いいですね。
2次情報や3次情報は脚色されたり、内容を
変更されているため、実態からかけ離れて
いることが多いからです。


自分の五感を信じ、現場で、現物を、現実の
ものとして(三現主義)見て、聞いて、匂いを
かいで、味わって、触れて感じ取ることは
とても大切なことだ、と思います。


地位が上に行くに従い、自らそうした体験を
しなくなる傾向が強まります。下から上がって
くる報告を見聞きするだけになると、非常に
危険です。


普段から三現主義で五感を鍛えておくと、
部下の報告に違和感を感じることができ、
正しい判断ができます。


逆に言いますと、その感覚が鈍ってきたと
感じた時が、引退時期となります。
本人は認めたくないでしょうが。




東京工業大学教授 西森秀稔(にしもり・ひでとし)

夢のコンピューター引き寄せた理論

東京工業大学教授 西森秀稔

東京工業大学教授 西森秀稔 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.032)




 実現は早くて50年後と考えられてきた

 量子コンピューターの実用化が始まった。

 原動力は、東京工業大学教授の西森秀稔

 が考案した一つの理論。「役に立たない」

 はずの基礎研究は、社会を一変させる注目

 技術に飛躍した。


 9月、米グーグルがまた一つ「野望」を明らか

 にした。「量子コンピューター」のチップ開発に

 乗り出すというのだ。同社は昨年、カナダの

 D-Waveシステムズが開発した1台10億円と

 言われる世界初の量子コンピューターを購入。

 社内でその実力を見極めてきたが、今回ついに

 自ら開発を始める。

 1980年代に提唱された量子コンピューターは、

 実現に50年かかるとされた。

 従来検討されてきた量子コンピューターとは全く

 違う原理で現実となった。基盤にあるのは東京

 工業大学教授、西森秀稔の考案した「量子アニー

 リング理論」だ。


 D-Waveの量子コンピューターは、「組み合わせ

 最適化問題」の計算を高速化するためのマシン

 だ。

 実は最適化は画像認識や自然言語処理、

 医療診断など今や社会に欠かせない技術。

 調べる数の組み合わせが増えると現在のスパコン

 では手に負えないが、量子コンピューターなら

 瞬時に解ける可能性がある。

 検索や地図などを本業にするグーグルにとって、

 看過できない技術なのだ。

 「西森さんは紙と鉛筆で解ける問題にしか興味が

 ない。世俗離れしていたが、それが基礎研究の

 力強さかもしれない」。かつて西森の研究室に

 在籍した京都大学大学院助教の大関真之は語る。


 当初は米国の研究者のアイデアを基にしたマシン

 と思われてきたが、やがてそのルーツが西森の

 理論にあることが明らかになった。
 

  (P.032)


量子コンピューターのことはよく分かりませんが、
「現在ののスパコンでは手に負えないが、
量子コンピューターなら瞬時に解ける可能性が
ある」ということですから、素晴らしい技術だ、
と思いますね。


しかも、その基盤となったのは、日本人の学者の
西森秀稔・東京工業大学教授であったということは、
日本人として大いに誇れることですね。


「ITは米国」という誇りを持つ米国人でも、こればかり
は認めざるをえないでしょう。


さらに、すごいことは「紙と鉛筆で解ける問題しか
興味がない」というところです。コンピューターに
頼って自分の理論を確かめるのではないことです。




Lalitpur CEO 向田麻衣(むかいだ・まい)

モノより心の豊かさを 新世代の社会起業家

Lalitpur CEO 向田麻衣

Lalitpur CEO 向田麻衣 氏

(『日経ビジネス』 2014.11.24 号 P.033)




 社会問題に切り込む社会起業家を目指す

 若者が増えているが、多くはあくまで「モノ」

 による支援。それに対し、向田麻衣は新興国

 で精神的被害に苦しむ女性に対して「心の

 豊かさ」を支援する。


 2013年に設立したベンチャー企業、Lalitpur

 (ラリトプール)でCEOを務める。取り扱うのは

 ネパール産のハーブを使った化粧品だ。


 一見、華やかな世界に身を置くように見えるが、

 真の目的はネパールなど新興国で精神的被害に

 苦しむ女性たちの支援。ラリトプールは、ネパール

 で人身売買の被害に遭った女性たちの雇用創出

 のために設立された。

 狙いは、それだけではない。向田はネパールの被害

 女性たちに化粧による喜びを伝える心のケアも実施

 している。拠点となるのが、5年前の2009年に設立

 した一般社団法人、Coffret Project(コフレ・プロジェクト)

 だ。


 トルコ滞在中に、夫からドメスティックバイオレンス(DV)

 被害に苦しむ女性たちから聞いた「化粧をしてみたい」

 という言葉が、コフレ・プロジェクト設立につながった。


 向田は「子供のように素直でとにかく行動が速い」

 (ラリトプールを支援する外資系コンサルティング会社

 勤務の柳沢和正)。


 化粧品ビジネスの米国展開も視察でニューヨークに

 滞在した3週間で即決。「スピード感が日本と全然違う。

 米国で勝負するしかないと思った」(向田)。
 

  (P.031)


向田さんは、三断跳び(三段跳びではありません)の
実践者です。三断跳びとは私の造語です。


判断・決断・断行で三断です。ホップ・ステップ・ジャンプ
で最後のジャンプで決まります。


判断・決断までは頭の中でのことです。断行は実行する
ことです。判断・決断まではしても、最後の断行できない
ケースはよくありますね。


向田さんは断行までのスピードが速い、ということが
素晴らしい、と思います。考えることはできても、実行
できないことは多々あります。向田さんは余計なことを
考えすぎずに実行に移すという、日本女性と言うよりも、
日本人離れした行動力の持ち主のようです。


これから難題が次々に発生するかもしれませんが、
乗り越えていってほしい、と思います。




次回は、「PART1 常識の破壊者」の残りの2人
と、「PART2 日本文化の伝道師」3人の横顔を
ご紹介します。






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社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由 2014.11.17 <3>



日経ビジネスの特集記事(82)

社長が選ぶ
ベスト社長
「永守流」が支持される理由
2014.11.17



今週の特集記事のテーマは

どの経営者を高く評価すべきか。
業績か株価か、はたまた報酬と成果のバランスか。
それぞれ一つの答えだが、数字だけでは語れない部分もある。
本誌はそう考え、シンプルな方法に挑んでみた。
社長のことは社長に聞く、だ
 (『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.027)

ということです。


社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由

社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 表紙)



今特集記事は、「社長が選ぶベスト社長」です。


今回、永守重信さんが「社長が選ぶベスト社長」
選ばれました。


永守重信(ながもり・しげのぶ)さんをご存じですか?
ご存じない方が多いかもしれません。


日本を代表する精密小型モーターのメーカー、日本電産
の創業者にして、会長兼社長です。


日本電産はBtoB(法人向けビジネス)企業ですから、
馴染みがないのも無理はありません。


ですが、実は身近なところで、精密小型モーターは使われて
います。


パソコンやスマホ、iPodには小型モーターが使われていますが、
そこで使われる小型モーターで圧倒的シェアを握っています。


永守さんのモットーは「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」
というものです。自著のサブタイトルにもなっています。


永守さんが凄いと思うことは、今でも、トイレ掃除を率先して
やっていることと、365日休まず(元日の午前中だけ休む)、
1日16時間働いていることです。


まさに「率先垂範」しているのです。


ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんでも、
さすがに365日休みなく働くはできず、永守さんの猛烈な
働きぶりには感心しています。


お二人の対談も掲載されています。
前回その内容をお伝えしました。
お二人はソフトバンクの社外取締役も兼務されていて、
知り合いになったそうです。


3度目になりますが、社長が選ぶベスト社長
のベスト3を再掲します。


社長が選ぶベスト社長

1位 永守 重信 日本電産会長兼社長

2位 孫 正義     ソフトバンク社長

3位 豊田章男    トヨタ自動車社長


続いて、4位から10位、実際には同点の方が
いますので、9位までの顔ぶれも再掲します。


社長が選ぶベスト社長 4位~10位

社長が選ぶベスト社長 4位~10位

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.029)



4位 鈴木 敏文     セブン&アイ・HD会長兼CEO

5位 古森 重隆     富士フィルムHD会長・CEO

6位 柳井 正       ファーストリテイリング会長兼社長

7位 藤森 義明     LIXILグループ社長

7位 高原 豪久     ユニ・チャーム社長

9位 新浪 剛史     サントリーHD社長

9位 似鳥 昭雄     ニトリHD会長兼社長


社長が選ぶベスト社長ベスト10を
見ますと、事業をグローバルに展開している企業のトップ
であることにすぐに、気づかれることでしょう。


では、PART2のスタートです。

VUCAがキーワードです。



PART2 不確実だから先手を打つ

今特集記事の初回に、社長が選ぶベスト社長
ベスト30をご紹介しました。


「日経ビジネス」取材班は、この中から上位15位までの
社長が選ぶベスト社長を分析しています。


「イノベーション」「グローバル」「人間的魅力」「M&A・再編」
「発信力」の5つの項目に分類し、15名の社長を当てはめ
ています。


当然のことですが、5つの項目を複数兼ねた社長が
います。


例えば、孫正義さんは、「グローバル」「M&A・再編」「発信力」
の3つを兼ねています。


同様に、サントリーホールディングスの新浪剛史さん(元ローソン
会長)は「イノベーション」「人間的魅力」「M&A・再編」の3つを
兼ね備えていますし、日立製作所の中西宏明さんは「発信力」
「グローバル」「M&A・再編」の3つを兼備しています。


「日経ビジネス」は、ユニ・チャームの高原豪久さんについて
説明しています。ユニ・チャームは国内では花王の後塵を拝し
ていますが、東南アジアでは花王に先行しています。


 海外売上高比率約60%で、インドネシアや

 タイの紙オムツシェア60%超。ユニ・チャーム

 が新興国市場の勝者としての地位を築いた

 のは、ランキング7位に入った高原豪久社長が

 過去に下した「英断」の成果と言える。

 2001年に社長に就任した高原社長は、

 東南アジアの工場建設に資金を一気に

 振り向けた。2001年度の投資額は

 前年度の5割増し。

 リスクを取っても海外に出る。その姿勢は

 今も変わらない。2014年には南米で

 初めてブラジルに進出。2013年度まで

 の2倍まで膨らんでいる。こうした高原社長

 の攻めの海外展開は、今回の調査でも

 高く評価された。 
 

  (P.041)


「選択と集中」という言葉がよく使われます。
事業分野や地域などを選択し、経営資源を集中
投下することですが、創業家出身の社長と、
創業家以外からの社長では、「選択と集中」には
自ずと違いが表れる、と考えています。


リスクを負える大きさと、長期経営を実践できる
かどうかは、創業家出身かそうでないかでは、
大きな開きがある、と考えられるからです。


リストアップされた経営者15人について、
「日経ビジネス」の分析結果をもう少し詳しく
見てみることにしましょう。


 上位の経営者15人について、どの項目で

 最も評価されたかを集計したところ、

 「イノベーション」と「グローバル」がそれぞれ

 6人で最も多かった。

 「M&A(合併・買収)・再編」と「人間的魅力」

 が5人ずつで続く。

 ばらばらに見える4つの項目だが、上位の

 経営者の実績を見ると共通項が浮かび

 上がる。「リスクを取る姿勢」だ。
 

  (P.041 ) 

「リスク」という言葉で思い出したのは、
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツはこう言った
ことがあります。


「リスクを負わないのがリスク」


大前研一さんがビル・ゲイツから直接聞いた
話を、大前さんの本で読んだことがあります。
盤石と思われるマイクロソフトでしたが、ビル・
ゲイツは決してそうは考えていなかったのです。


「会社がいつ倒産するか心配でならない。
リスクを負って新しいことに挑戦していかな
ければ、衰退してしまう」


そのような内容だったと思います。


危機感を抱いているからこそ、何もしないの
ではなく、リスクを負って、挑戦していく姿勢が
大事だ、ということでしょう。


同様な話が、LIXILグループの藤森義明さんの
ケースでも当てはまります。


 LIXILグループの藤森義明社長も、

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)の

 副社長からLIXILに転じた2011年

 以降、3年間でM&Aに投じた金額は

 2000億円に上る。
 

  (P.042)

藤森さんは生え抜きではありません。
それでもこのような思い切った投資ができる
のは、社長就任に際し、創業者に藤森さん
の「経営に一切口出ししない」、という約束を
取り付けたからだそうです。



 動かなければリスクはさらに膨らむ。

 先手を打つことが最善の策であると見極め、

 腹をくくったのだ。

 このようにランキング上位には、リスクへの

 対応に優れた経営者が並んだ。裏返せば、

 多くの日本の経営者、特にサラリーマン社長

 にとって、リスクを取って決断することが難しい

 ことを示している。
 

  (P.042)


リスクに関連する話が続きます。
ここで、今回のキーワードVUCAが登場します。


 リスクに向き合う力が経営者に求められるのは、

 世界的な潮流だ。

 そのことを示す新しいキーワードがある。

 軍事用語だった“VUCA”という単語が、

 ビジネスの世界でも徐々に広がりを見せ始めた。
 

  (P.042)


VUCAとは?


 VUCAとは「Volatility(不安定)」「Uncertainty

 (不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity

 (曖昧模糊)」の頭文字。
 

  (PP.042-043)


軍事用語であった、VUCAがビジネスの世界で
どのように使われるようになったのでしょうか?


 技術や市場の変化が速く、有望な市場が

 すぐに競争にさらされ、収益性が低下する。

 異業種からの参入も増え、誰が競争相手

 になるかも読みにくい。

 こうした環境下で、求められる経営トップの

 資質はどのようなものか。「変化で右往左往

 するのではなく、どうあるべきかというビジョン

 を示せる人物」(ローランド・ベルガー岡村
 
 暁生・日本共同代表)が一つの姿だ。

 ランキングの中でも、「人間的魅力」で評価

 された経営者が上位に並んだ。
 

  (P.043)


先が読めないのは戦争もビジネスも同じ

先が読めないのは戦争もビジネスも同じ

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.042)




PART3 断絶が生んだ新世代

このパートでは、40代以下の経営者が選ぶベスト社長
を中心に、「日経ビジネス」取材班はまとめています。


まず、下図をご覧ください。
一度は見たことのある人物が選出されていますね。
ここでも、孫さんの人気はとても高いです。

若手経営者が選ぶベスト社長

若手経営者が選ぶベスト社長

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.044)


1点、注意があります。「人づくり」の項目で、
ディー・エヌ・エーの南場智子さんは創業者ですが、
現在は社長ではなく、取締役です。


「志の高さ」「人づくり」「ビジネスモデル」という3つの
項目で選出された7名の経営者です。


ベスト30と比べて大きな違いは、アマゾン・ドット・コム
のジェフ・ベゾスさん、テスラ・モーターズのイーロン・
マスクさん、そしてフェイスブックのマーク・ザッカー
バーグさんの3人の外国人経営者が選ばれていること
です。


若手経営者は海外への関心が高く、外国人経営者を
自分の手本にしようと考える人が多いことを物語って
います。


グローバルに事業を展開したい気持ちが強いのです。
頼もしく思います。どんどん海外へ出て行って、活躍
してもらいたい、と切に願っています。


日本を代表する会社ではなく、世界を代表する企業、
経営者を目指して欲しいですね。


「日経ビジネス」取材班が、PART2までに紹介した
ランキング上位者との違いを解説しています。


 まず目につくのは、ソフトバンクの孫社長への

 圧倒的な支持だ。大手企業のアンケートで上位

 を占めた日本電産の永守重信社長やトヨタ

 自動車の豊田章男社長の名前はほとんど挙が

 らない。

 そんな中、回答者の実に3割がベスト社長に

 孫社長を挙げた。

 もう一つの特徴は、米国など海外の経営者が

 数多く選ばれたこと。中でも米アマゾン・ドット・

 コムのジェフ・ベゾスCEO (最高経営責任者)、

 米テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO、

 米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO

 は、ベスト経営者の「海外御三家」と呼べるほど

 人気が集中している。
 

  (P.45)


私個人は、グーグルのラリー・ペイジCEOも選ば
れると推測していましたが、あまり顔を出さないため、
印象が薄かったことが原因で選ばれなかった、
と考えています。


若手経営者がベスト社長に選んだ、
評価理由はどのようなものだったのでしょうか?


「日経ビジネス」はいくつかに分類しています。


 若手世代が選ぶベスト経営者は、業種や

 国籍は様々であるものの、評価理由は

 いくつかにタイプ分けできる。

 第1は、短期的な業績を度外視して長期的な

 成長を目指す姿勢や、社会性を重視した事業

 を打ち出しているかどうかだ。

 電気自動車や宇宙ロケットを手掛けるマスク氏

 や、顧客還元を最優先する経営のペゾス氏は

 この典型。スローガンの伊藤豊社長は、

 「米国の経営者の情報が身近になり、お金稼ぎ

 よりも高邁な理想を掲げる起業家に憧れる若者

 が増えている」と話す。 
 

  (PP.045-046)


それが事実であれば、頼もしい若者たちがいる、
と思います。実践できるかどうかは未知数ですが。


なぜ、高い理念や壮大なビジョンを掲げる経営者
に若手の支持が集まるのか、について「日経ビジネス」
はこう分析しています。


 高い理念や壮大なビジョンを掲げる経営者に

 若手の支持が集まるのは、日本の大手企業の

 経営者に物足りなさを感じていることの裏返し

 でもある。
 

  (P.046)


「日経ビジネス」は「バブル崩壊とインターネットが
経営者の断絶を生んだ」と指摘しています。


 81年にソフトバンクを創業した孫氏を

 最後に、古くは松下幸之助や土光敏夫

 といった名経営者から続いた日本の
 
 経営者の「系譜」は、ここで事実上途絶える

 ことになる。


 戦中戦後から続く経営者の系譜が途絶えた

 ままであることを危惧する声もある。

 ネット世代の起業家はビジネスモデルを作り

 短期的収益を上げることに長けていても、

 深い洞察や人間的な幅に欠けるとの指摘だ。
 

  (P.047)


「日経ビジネス」は最後にこう書いています。


 一度は断絶した経営者の系譜。それが再び

 つながる時、歴史観や人間力に立脚した

 世界で戦える経営者が日本から生まれるかも

 しれない。
 

  (P.047)


ぜひ、生まれてほしい、と切望しています。






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社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由 2014.11.17 <2>



日経ビジネスの特集記事(82)

社長が選ぶ
ベスト社長
「永守流」が支持される理由
2014.11.17



今週の特集記事のテーマは

どの経営者を高く評価すべきか。
業績か株価か、はたまた報酬と成果のバランスか。
それぞれ一つの答えだが、数字だけでは語れない部分もある。
本誌はそう考え、シンプルな方法に挑んでみた。
社長のことは社長に聞く、だ
 (『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.027)

ということです。


社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由

社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 表紙)



今特集記事は、「社長が選ぶベスト社長」です。


今回、永守重信さんが「社長が選ぶベスト社長」
選ばれました。


永守重信(ながもり・しげのぶ)さんをご存じですか?
ご存じない方が多いかもしれません。


日本を代表する精密小型モーターのメーカー、日本電産
の創業者にして、会長兼社長です。


日本電産はBtoB(法人向けビジネス)企業ですから、
馴染みがないのも無理はありません。


ですが、実は身近なところで、精密小型モーターは使われて
います。


パソコンやスマホ、iPodには小型モーターが使われていますが、
そこで使われる小型モーターで圧倒的シェアを握っています。


永守さんのモットーは「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」
というものです。自著のサブタイトルにもなっています。


永守さんが凄いと思うことは、今でも、トイレ掃除を率先して
やっていることと、365日休まず(元日の午前中だけ休む)、
1日16時間働いていることです。


まさに「率先垂範」しているのです。


ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんでも、
さすがに365日休みなく働くはできず、永守さんの猛烈な
働きぶりには感心しています。


お二人の対談も掲載されています。
今回その内容をお伝えします。
お二人はソフトバンクの社外取締役も兼務されていて、
知り合いになったそうです。



「社長が選ぶベスト社長」の2回目は、まず、
永守さんに次いで、2位に選出された、ソフトバンク社長の
孫正義さんについて、17位にランクインした三菱ケミカル
ホールディングス社長・小林喜光さんに語っていただきます。



社長が選ぶベスト社長 2位 孫正義 ソフトバンク社長

社長が選ぶベスト社長 2位 孫正義 ソフトバンク社長

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.035)



社長が選ぶベスト社長

1位 永守 重信 日本電産会長兼社長

2位 孫 正義     ソフトバンク社長

3位 豊田章男    トヨタ自動車社長



三菱ケミカルホールディングス社長・小林喜光が語る
孫正義
10年先を行く感性と永遠のハングリー精神



 ベスト経営者はソフトバンク社長の孫正義しか

 思いつかない。ゼロから事業を始めて、

 最も企業価値を大きく伸ばした経営者だ。

 従来の秩序を破壊するから評価は分かれる

 だろうが、他の経営者とはスケールが違う。


 感性だけでなく、細かい数字へのこだわりも

 すさまじい。実績で誰にも負けない結果を

 出している。


 次世代の経営者が学ぶべきは、成功しても、

 とてつもない金持ちになっても挑戦し続ける

 ところだ。今は、小さな幸せを必死に守る

 経営者が多過ぎる。


 次の孫正義は日本という国にはとどまらない

 かもしれない。孫正義も高校中退で米国の

 大学(カリフォルニア大学バークレー校
 
 註:藤巻隆)を卒業し、海外で戦い続けている。

 海外で勝つ人材、すなわち「和僑」と呼ばれる

 ような人の中からベスト経営者は生まれるだ
 
 ろう。 
 

  (PP.034-035)


日本という縮小しつつあるマーケットではなく、
海外(グローバル)で活躍できる経営者が、
次世代のベスト経営者となる、と予言しています。


出てきてほしいものです。
小さくまとまらない、スケールの大きな人物に
人は魅了されるでしょう。


私が孫さんがすごいと思うのは、何度も失敗を
繰り返しながら、大きくなっていくことです。


孫さんは身体は決して大きくありませんが、
大きく見えます。失礼な表現かもしれませんが、
「小さな巨人」とは、孫さんのためにあるのでは
ないか、とさえ思います。




さて、4位から10位、実際には同点の方が
いますので、9位までの顔ぶれを再度、
ご紹介しましょう。


社長が選ぶベスト社長 4位~10位

社長が選ぶベスト社長 4位~10位

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.029)



4位 鈴木 敏文     セブン&アイ・HD会長兼CEO

5位 古森 重隆     富士フィルムHD会長・CEO

6位 柳井 正       ファーストリテイリング会長兼社長

7位 藤森 義明     LIXILグループ社長

7位 高原 豪久     ユニ・チャーム社長

9位 新浪 剛史     サントリーHD社長

9位 似鳥 昭雄     ニトリHD会長兼社長




いよいよ、おまちかねの永守重信さんと柳井正さんの、
白熱した特別対談のもようをご紹介します。


経営は実行がキーワードです。



日本電産 永守重信× ファーストリテイリング 柳井正
特別対談
経営は実行なり



日本電産 永守重信会長兼社長

日本電産 永守重信会長兼社長

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.039)


ファーストリテイリング 柳井正会長兼社長

ファーストリテイリング 柳井正会長兼社長

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.038)



お二人は、ソフトバンクの社外取締役に就任しています。


最初は、お二人の出会いから。


 永守 柳井さんはソフトバンクが大赤字を

 出した苦しい頃から続けておられる。

 社外取締役は会社が赤字になると

 逃げ出すものですが、そのまま残って

 発展を支えてこられた。


 柳井 自分はもともと永守さんのファン

 だったんです。本を読んで、お会いしたい

 なと思っていたところにパーティーか何か

 でお会いしたのが最初です。

 その後、僕も講演に行ったし、永守さん

 にも私の講演に来てもらった。日本の

 経営者を信用していませんが、永守さんは

 一生懸命に経営している数少ない人物で、

 僕にとっては先生です。 
 

  (P.036)



グローバル企業であるにはどんなことが不可欠なのか


 永守 我々の業種は世界で一定のシェアを

 取っていかないと健全な利益が出ないんです。

 最近はグローバルな供給体制が求められて

 いるので、小さな会社でいいということはあり

 得ない。

 ゼロから会社を立ち上げ、今は1兆円に向かって

 いますが、一番苦しかったのはゼロから10億円

 の間です。当時は借金したら同額の生命保険に

 入ったわけで、命が懸かっていました。

 1兆円を10兆円にするのもそれほど難しくない

 と見ています。


 柳井 グローバルプレーヤーでなければ

 生き残れない点は、小売業でも同じですね。

 働く人も経営者もサプライヤーさんも、

 成長しない会社に何の楽しみがあるんですか。

 それに、規模が大きくなってもやることは

 変わらないんですね。 

 孫さんじゃないですが、1兆円、2兆円は

 豆腐の1丁、2丁と同じつもりでやらないと。 
 

  (PP.036-037 ) 



失敗をどう捉えるか。成功するには何が不可欠なのか


 永守 柳井さんがよく言われるように、

 経営は半分近くが失敗ですな。8勝7敗、

 9勝6敗で勝ち越した会社が生き残って

 いるだけです。だから減点主義で人を

 見れば、ほとんど失格になる。


 柳井 失敗してもそれを認識して行動し、

 また失敗しても最後までやる。それを

 早くやれば、絶対に成功するんですよ。

 経営は勉強でなく実行です。ビジョン

 を作って、全社員の力を使って成果を

 出す。調査や分析が1としたら、実行は

 30です。自分の頭で考えて、実行できる

 人。こういうものを絶対に作りたいという

 理想や希望を持って、人の力を引き出

 せる人でなければ経営者は務まりません。


 永守 経営は気概と執念。絶対に成功 

 させようとか、勝とうとか、いいものを

 作ろうとか、そういう気概と執念がないと

 成功しませんわ。

 孫さんほどではないけど、ほらを吹き、

 夢を語る。会社や世の中をもっとよく

 するんだと楽観的に考えていかないとね。


 柳井 つらい時こそ経営者は誇大妄想狂

 になるべきです。トップが夢を実現しようと

 言わない限り、社員は信用しないよね。
 

  (PP.037-038)



M&A(合併・買収)について


 永守 日本企業が買収に失敗する最大の

 理由は、買ったら終わりと思うからですね。

 買うまでが20%で、残り80%を会社を

 よくしたり、シナジー効果を出すために

 費やす。トップが「買ったからお前が行って

 こい」では失敗します。買ってからトップが

 最もエネルギーを費やさなきゃいかん段階

 なんです。


 柳井 僕は永守さんと違って失敗率が

 非常に高い。でも、失敗してすごくいい

 勉強になった。会社を買うとはどういう

 ことなのか、日本と海外の人間がチーム

 で仕事をするというのはどういうことなの

 かが勉強できますよね。 
 

  (P.038)


M&A(合併・買収)の基準とは?


 永守 これまで五十数社買いましたが、

 ほとんど成功していると思います。

 それは、「こういう会社しか買わない」

 という条件を決めているからなんですよ。

 どんなにいい話でも、条件に合わない

 ものは買わない。


 柳井 我々の産業はローテクで、そこで

 働く人々、経営者の考え方が合わないと

 絶対に一緒に仕事ができないんですよ。 
 

  (P.039)



後継者がなすべきことと、創業者のあり方について


 柳井 後継者候補には「自分のようにやると

 失敗する」と言っています。僕は創業者で

 CEOだから人々が言うことを聞くんですよ。

 同じことを後継者が言ったら誰も聞かない

 ですよね。歴史を全部知っている僕より

 強いことをやろうと思ったら、チームを作る

 しかないでしょう。

 永守さんも孫さんも同じことを言っているん

 ですけど、創業者は絶対に引退できないん

 ですね。引退できないけど、迷惑をかけない

 ことだけは気を付けないといけない。

 だから創業者は自分を引き継いでくれる

 チームと、そのリーダーを任命しないと

 いけない。


 永守 私が辞めたらワンマン経営はもう

 できませんから、集団指導体制になる。

 その組織をこれから10年、15年かけて

 作っていく。

 集団指導体制は小さな規模でやっても

 機能しないでしょう。1兆円くらいではまだ

 早い。3兆円なのか10兆円なのか分かり

 ませんが、そのくらいまで持ち上げた後に、

 組織に渡していく。それが、創業者が

 残っても欠点が出ない形でしょう。

 そこまでは自分がやっていくと。

 私は日本の企業をずいぶん研究したん

 ですけど、創業者が最後まで残っている

 会社が強い。名誉会長みたいな立場で

 口を出すのはよくないので、最後の責任は

 自分が持つという姿勢でいこうと思っています。
 

  (P.039)


対談中で、柳井さんは経営は実行
語っています。この言葉は、先にご紹介した
キーワードです。


そして、まさに経営は実行という
タイトルの本が11年前に出版されています。


『経営は実行 明日から結果を出すための鉄則』
ラリー・ポシディ ラム・チャラン チャールズ・バーク
日本経済新聞社 2003年2月12日 第1刷


この本の内容の一部をご紹介します。
経営は実行とはどういうことなのか、
に重点を置いてお伝えします。


 実行とは何かを理解するうえで、

 念頭においておくべき点が三つある。

 ・実行とは体系的なプロセスであり、戦略に
  不可欠である。

 ・実行とはリーダーの最大の仕事である。

 ・実行は、企業文化の中核であるべきである。
 

  (上掲書 PP.26-27)



 実行するには、事業、その事業に携わる人材、

 事業を取り巻く環境を包括的に理解する必要が

 ある。ただひとり、それができる立場にいるのが

 リーダーだ。そしてリーダーだけが、実行の中身

 に、時には細部にまで深く関与することによって、

 実行力を発揮させることができるのである。
 

  (上掲書 P.30)



 ビジネスの仕組みの本質は、人材、戦略、業務

 という三つのプロセスがいかに結びついている

 かにある。リーダーは個々のプロセスと、それが

 全体としてどう関連し合っているかを学ばなけれ

 ばならない。それが実行という体系の基礎であり、

 戦略を策定、実行するうえでの柱になる。

 それらが、競争相手に差をつける手段になる。
 

  (上掲書 P.295)





最終回は、「PART2 不確実だから先手を打つ」
ほかをお伝えします。






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社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由 2014.11.17 <1>



日経ビジネスの特集記事(82)

社長が選ぶ
ベスト社長
「永守流」が支持される理由
2014.11.17



今週の特集記事のテーマは

どの経営者を高く評価すべきか。
業績か株価か、はたまた報酬と成果のバランスか。
それぞれ一つの答えだが、数字だけでは語れない部分もある。
本誌はそう考え、シンプルな方法に挑んでみた。
社長のことは社長に聞く、だ
 (『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.027)

ということです。


社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由

社長が選ぶ ベスト社長 「永守流」が支持される理由

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 表紙)



今特集記事は、「社長が選ぶベスト社長」です。
ベスト社長といった場合、立場や地位、年代によって
見方が異なるのは間違いありません。


創業社長が考える「ベスト社長」は、創業時の苦楽を
自ら体験しただけに、そう簡単にへこたれない粘り強さ
や経験値の高さといった点も加味されるでしょう。


「いやいや、何と言おうが実績だよ」
と言う経営者もいるでしょう。


志の高さや社会貢献の大きさも重要だ、とも言えましょう。


若い世代の方々は、「憧れの存在」として、より身近に
感じられる経営者を「ベスト社長」に選ぶかもしれません。


今回、永守重信さんが「社長が選ぶベスト社長」
選ばれました。


永守重信(ながもり・しげのぶ)さんをご存じですか?
ご存じない方が多いかもしれません。


日本を代表する精密小型モーターのメーカー、日本電産
の創業者にして、会長兼社長です。


日本電産はBtoB(法人向けビジネス)企業ですから、
馴染みがないのも無理はありません。


ですが、実は身近なところで、精密小型モーターは使われて
います。


パソコンやスマホ、iPodには小型モーターが使われていますが、
そこで使われる小型モーターで圧倒的シェアを握っています。


永守さんのモットーは「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」
というものです。自著のサブタイトルにもなっています。


永守さんが凄いと思うことは、今でも、トイレ掃除を率先して
やっていることと、365日休まず(元日の午前中だけ休む)、
1日16時間働いていることです。


まさに「率先垂範」しているのです。


ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんでも、
さすがに365日休みなく働くはできず、永守さんの猛烈な
働きぶりには感心しています。


お二人の対談も掲載されています。
その内容は、2回目にお伝えします。
お二人はソフトバンクの社外取締役も兼務されていて、
知り合いになったそうです。


まえがきはこのくらいにして、本題に入ります。




TOP30 CEOs 数字に出ない実力を探る

社長が選ぶベスト社長 ベスト3

社長が選ぶベスト社長 ベスト3

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.028)



社長が選ぶベスト社長

1位 永守 重信 日本電産会長兼社長

2位 孫 正義     ソフトバンク社長

3位 豊田章男    トヨタ自動車社長

2位、3位のお二人はよくご存じでしょう。


4位以下の社長は後ほどご紹介します。
TOP30 CEOsの中に、私がグールー(思想的指導者)
と仰ぐ大前研一さんが、17位にランクインしていたことが、
とても嬉しく思いました。


はじめに、コマツ前社長の坂根正弘相談役の言葉から
ご紹介しましょう。社長の真価について語っています。
その上で、「日経ビジネス」取材班はある結論に達し
ました。


 コマツの坂根正弘相談役は「自分の社長

 としての真価は、3代先の社長時代に表れる」

 と語る。

 経営には中長期の視点が重要で、その時の

 結果だけで経営者を評価するのは限界がある。

 では、どうすれば経営者の真の力を測れるのか。

 経営の本質を知り、評価できる適任がいるの

 ではないか。それが、現役の経営者である。
 

  (P.028)


ここで、なぜ、一般のビジネスマンにもあまり馴染み
のない永守重信さんが1位に選出されたかです。


その点について、「日経ビジネス」は次のように解説
しています。


 なぜ、永守社長はほかの経営者から高く

 評価されているのか。それを探ると、

 永守流の経営が単なる憧れや賞賛の

 対象ではなく、実践のための「生きる手本」

 と見なされていること、そして、実際に

 取り入れる動きが広がっていることが

 分かった。 
 

  (P.029)


「実践のための『生きる手本』と見なされて
いること、そして、実際に取り入れる動きが
広がっていること」が、永守さんが1位に
選ばれた理由として挙げられています。


さて、4位から10位、実際には同点の方が
いますので、9位までの顔ぶれをご紹介しましょう。
画像をお見せしますが、見難いかもしれ
ませんので、改めて、文字でも示します。
その後で、11位から30位までの社長を文字で
ご紹介します。

社長が選ぶベスト社長 4位~10位

社長が選ぶベスト社長 4位~10位

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.029)



4位 鈴木 敏文     セブン&アイ・HD会長兼CEO

5位 古森 重隆     富士フィルムHD会長・CEO

6位 柳井 正       ファーストリテイリング会長兼社長

7位 藤森 義明     LIXILグループ社長

7位 高原 豪久     ユニ・チャーム社長

9位 新浪 剛史     サントリーHD社長

9位 似鳥 昭雄     ニトリHD会長兼社長


以上の7名の方々の大半のお名前はご存じでしょう、


では、11位から30位まで一気にお見せします。

11位 鈴木 修       スズキ会長兼社長
11位 佐治 信忠     サントリーHD会長
11位 岡藤 正広     伊藤忠商事社長
11位 三木谷 浩史    楽天会長兼社長
15位 樋口 武男     大和ハウス工業会長
15位 中西 宏明     日立製作所会長兼CEO
17位 澤田 秀雄     エイチ・アイ・エス会長
17位 日覺 昭廣     東レ社長
17位 渡邉 光一郎    第一生命保険社長
17位 津賀 一宏     パナソニック社長
17位 大前 研一     ビジネス・ブレークスルー社長
17位 植田 義晴     日本航空社長
17位 上西 京一郎    オリエンタルランド社長
17位 小林 喜光     三菱ケミカルHD社長
17位 山西 健一郎    三菱電機社長
17位 金川 千尋     信越化学工業会長
17位 宮永 俊一     三菱重工業社長
17位 井上 礼之     ダイキン工業会長
17位 カルロス・ゴーン 日産自動車社長兼CEO
30位 松本 晃       カルビー会長兼CEO
30位 御手洗 冨士夫  キャノン会長兼社長


ここに登場した、すべての社長または会長の名前と
企業名を、ピタリと分かったあなたは素晴らしいです。


私が分かるのは、およそ70%くらいですね。




PART1 「ミニ永守」自然増殖中

さて、ここからが永守さんについて「日経ビジネス」が
徹底的に分析し、「社長が選ぶベスト社長」
の秘密を解き明かしています。


その秘密とは?


 歩く教科書――。

 「社長が選ぶベスト社長」に選ばれた

 日本電産の永守重信社長をほかの

 経営者が評すれば、こうなる。

 その実績は売上高の推移を見れば

 一目瞭然だ。日本電産の売上高は

 この20年間で141倍になった。

 モーターに特化しながらも、毎年のように

 M&A(合併・買収)を手掛けることで技術

 や製品の幅を広げ、成長してきた。

 2015年3月期も売上高は前期比10%増

 の9600億円。営業利益は同23%増の

 1050億円を見込んでおり、その成長は

 衰えを知らない。 
 

  (P.030)


日本電産 永守重信会長兼社長

日本電産 永守重信会長兼社長

(『日経ビジネス』 2014.11.17 号 P.031)



ほかの経営者は、永守さんのどこに魅了される
のでしょうか?


 周囲にも厳しいハードルを課すが、

 誰にも負けない執念と情熱で、先頭に

 立ち続ける。

 圧倒的な行動力と、人間臭さを漂わ

 せてのリーダーシップ。多くの経営者は、

 そこに魅了される。

 奮起すれば自分にも何か実践できるかも

 しれない。永守流はそんな等身大の

 お手本として、多くの経営者に伝播している。 
 

  (P.031)


永守さんに共感しているる社長の一人である、
イエローハットの堀江康生さんはこう語って
います。


 「永守社長は2つの側面を持つ」。

 堀江社長が言う2つの側面とは、

 社員を叱咤激励する「古きよき経営者

 の顔」と、先を読み冷静にM&Aを

 展開する「現代の経営者の頭脳」を

 指す。

 「両面を備えた経営者として、その

 活動や経営に共感している」(堀江社長)。
 

  (PP.031-032 ) 


永守さんは、M&Aで買収した相手先企業の
社員をリストラしないことでも有名です。


今までに買収した企業は数百ありますが、
ほとんどの企業が赤字から黒字に転換して
います。


早いところでは1年で黒字になり、その後も
好業績をキープしている会社が多くあります。


永守さんは、M&Aを敢行する場合、必ず、
買収先企業の筆頭株主になるそうです。
リスクを負い、責任を持って経営に当たるのです。


買収した企業の業績が回復すれば、復配(配当金
の支払いを復活すること)が可能になります。


永守さんはM&Aで買収した、「平凡な社員を
戦闘力の高い人材に変えるには、経営者を
信頼してもらうことが欠かせない」(P.032)という
考え方を実践しています。


だからこそ、リストラする必要性がないのです。
買収される前と比べて、良くなることが明らか
だからです。


では、永守さんが評価する経営者は誰なのか
気になりますね?


 永守社長は、自ら高く評価する経営者

 として2人の人物の名前を挙げる。

 ソフトバンクの孫正義社長と、日立製作所

 の中西宏明会長だ。

 今年、ソフトバンクの社外取締役に就任

 したことから、孫社長の人柄がよく分かった

 という。大きなほらを吹くが、そこが経営者

 として楽しい。大きな資金を集め企業買収

 を仕掛けるダイナミックさも魅力だ。

 その半面、社内管理は緻密で「数字を聞くと

 さっと回答できる」と評価する。


 日立の中西会長には異端と言えるセンスが

 あるとみている。

 実は、永守社長と中西会長は古くから付き合い

 があった。「下請け企業にも丁寧な対応で、

 その態度が経営者になってからも変わらない」

 のも、中西会長を評価するポイントだという。
 

  (P.034)


永守さんは、今、若い経営者にどんな思いを
抱いているのでしょうか?


 経営に絶対の解はない。若い経営者には

 先行する経営者から師匠を見つけて、

 手法ではなく姿勢を学んでほしいと願って

 いる。今、その願いは現実のものとなり、

 本人の知らないところで自分の弟子たち

 が生まれている。
 

  (P.035)




次回は、「経営は実行なり 日本電産 永守重信
× ファーストリテイリング 柳井正 特別対談 」
ほかをお伝えします。






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記録ずくめの最強メーカー 黒霧島 5000日戦争 老舗蔵元の「反常識」経営 2014.11.10 <3>



日経ビジネスの特集記事(81)

記録ずくめの最強メーカー
黒霧島 5000日戦争
老舗蔵元の「反常識」経営
2014.11.10



今週の特集記事のテーマは

1998年の発売以来、「焼酎500年史」に例がない
快進撃を見せ、その結果、霧島酒造は2012年、
売上高で三和酒類を抜き日本一に躍り出た。
その成長力や収益力は名だたる大企業すら圧倒し、
今や同社は、1990年大後半以降のデフレ下で
最も事業拡大に成功した最強国内製造業の一社と
言っていい。
老舗蔵元の戦略には、業界の常識を否定し自社に
最適化した、多くの最新経営理論が盛り込まれていた
 (『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.026)

ということです。


記録ずくめの最強メーカー 黒霧島 5000日戦争 老舗蔵元の「反常識」経営

記録ずくめの最強メーカー
黒霧島 5000日戦争
老舗蔵元の「反常識」経営

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 表紙)




今特集記事は「黒霧島」という焼酎の老舗蔵元、
霧島酒造の経営戦略等にスポットを当てています。


「黒霧島」という同社を代表する焼酎の話が、
多く出てきますが、決して酒類の話だけでは
ありません。


そこは、『日経ビジネス』ですから、ビジネスの
観点から分析し、霧島酒造の驚くべき経営の
秘密を余すところなく描いています。


あなたは「黒霧島」をご存じですか?
飲んだことはありますか?


前口上はこれくらいにして本題をスタートしましょう!



PART2 完全ドキュメント 創業80年目の一念発起
「黒霧島」、全国制覇への5000日


このパートでは、3代目就任から霧島酒造が
変貌した経緯からお伝えしています。


再来年で100周年を迎える同社が、
創業者イズムを否定してまで改革に乗り出した
経緯に着目して、ご覧ください。


一朝一夕では改革はできませんが、
トップの高い志と、最後までやり抜く強い意思は、
不可欠だったでしょう。


前回は、第2章 1998年夏 黒霧島、誕生
から第4章 2004年秋 生産革新
までご覧頂きました。


最終回は、PART2の残りの2章、
第5章 2006年夏 大型投資と、
第6章 2011年春 そして首都圏へ
をお伝えします。


霧島酒造の巧みな戦略が、次々に奏功します。
行き当たりばったりの戦略ではなく、熟慮の末に
たどり着いた独自の戦略と言える、と思います。


需要に供給が追いつかないという「失敗経験」を
通じて身につけた、ノウハウを磨き上げ、大型
工場建設の英断をします。
同じ轍は踏まないということです。


無謀とも言える大型投資でしたが、霧島酒造には
追い風が吹いていました。



 黒霧島の販売効果によって、霧島酒造の

 売上高が100億円を初めて突破したのは

 2001年3月期。その後も急成長が続き、

 2005年3月期に208億円へ倍増。

 売上高経常利益率も14%と、高い収益力

 を持っていた。第3工場への投資は、そんな

 良い流れを断ち切りかねない。


 工場の増設に必要な金額は100億円。

 売上高200億円規模の会社が100億円

 の設備投資に耐えられるのか――。


 最後にはこう結論を下した。

 「霧島酒造の焼酎はまだまだ伸びるはずだ。

 行こう」。
 

  (P.038)


融資した金融機関は、霧島酒造をどう評価している
のでしょうか? 複数の金融機関がシンジケートを
組み、融資した(協調融資)のですが、霧島酒造は
特定の金融機関に依存し過ぎることを避けた面も
あります。


いずれにせよ、霧島酒造の業績好調が一時的なもの
ではなく、今後もずっと成長が続く見込みがあったから
こそ、金融機関は融資したのです。


 この融資に加わった九州にある金融機関幹部は

 「霧島酒造は焼酎メーカーとして販売力が突出し、

 収益率が抜群に高い。財務基盤は全く心配ない」

 とのお墨付きを与える。
 

  (P.039) 

金融機関としても、融資額を確実に回収できる、
と確信したからこそです。


この企業規模としては過大な、大型投資は結果として、
霧島酒造をさらに飛躍させることになりました。


 結論から言えば、市場全体に陰りが
 
 見える中であえて決行した大型投資


 結果として、霧島酒造にさらなる飛躍をもたらす

 ことになった。


 冷凍芋による生産革新や能力増強を追い風に、

 黒霧島だけは売れ続けた。自社製品の需要が

 伸びるという読みは的確だった。
 

  (P.039)


そして、遂に最強ライバルの背中が見れるところ
まで急迫したのです。


 2007年3月期に売上高は300億円に迫り、

 かつてライバル視した「白波」の薩摩酒造を

 50億円以上も引き離し、売上高の差が2倍

 以内に初めて縮まった「いいちこ」の三和酒類

 が射程圏内に入った。
 

  (P.039) 


『日経ビジネス』は、霧島酒造の投資戦略を、
他業界の半導体メーカー、韓国サムスンに
重ね合わせています。


 大型投資は吉と出た。市場に不透明感が

 増す中で果敢に投資し、競合を引き離した

 投資スタイルは、日本の半導体メーカーを

 駆逐した韓国サムスン電子と似通う。
 

  (P.039) 


同業他社を引き離す絶好の機会を逃さず、
果敢に打って出たことが現在の地位の礎を
作ったと言えます。



『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。

1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破で、
2つ目は、トレードオフ・マトリックス
でした。
3つ目は、インパクト重視フリー戦略で、
4つ目は、価値逓増型サプライチェーン
でした。


そして、5つ目は、市場創造型逆張り投資
です。



 「霧島酒造の経営者には、既存市場とは違う

 ブルーオーシャンの新市場が見えていたの

 だろう。顧客を自ら作りつつあるという絶対的

 な自信があったからこそ、生産拡大のための

 投資に踏み切れたに違いない」。

 MPSコンサルティングの鈴木博毅社長は、

 霧島酒造が決断できた背景をこう読み解いて

 いる。
 

  (P.039) 




第6章 2011年春そして首都圏へ

これまで見てきたように、霧島酒造は中規模
都市で地歩を固め、実りの多い首都圏への
進出を最後までとっておきました。


もちろん、それまで長い歳月をかけて、
基礎固めをしていたのです。30年以上に
わたって。


 東京支店の開設は1983年。だがまるで

 売れなかった。86年に赴任した営業総括

 常務の坂口和幸は「芋焼酎は臭いという

 イメージが先行し、デパートや物産展で

 試飲してもらうことすら大変だった」と話す。
 

  (P.040)


長い忍従の末に待っていたのは、念願の
大都市圏制覇でした。


いきなり本丸を攻めるのではなく、外堀から
埋めていったのです。


「美味しいところは、最後に残しておいた」
「美味しい果実を手に入れた」のです。
遠謀深慮と言えます。


 長い時間をかけて実現した首都圏市場

 の開拓。だが、それだけ時間をかけた

 からこそ、東京攻略に成功したとも言える。

 というのも、霧島酒造は、最初から、

 販管費がかさむ大都市を最後まで避け、

 周辺の中規模都市を少しずつ攻略
する

 方針を掲げていたからだ。
 

  (P.040)


2012年には念願の焼酎業界トップの座に
就きます。


 2012年、霧島酒造は三和酒類の売上高

 を追い抜き、念願の焼酎業界のトップの座

 に就いた。

 黒霧島発売から、およそ5000日。
 

  (P.040) 


長年のライバルだった三和酒類と薩摩酒造は今、
どんな思いなのでしょう?


 三和酒類の製造担当者は「危機感は強い。

 次の一手が必要」と厳しい表情を見せる。

 長い間、「いいちこ」に頼る一本足の商法が

 限界を露呈した。薩摩酒造のベテラン社員も

 「経営者は消費者ニーズに合う商品を作れ

 と言いながら、具体的な市場調査は進まず、

 売れるものができなかった。年々、風通しの

 悪い組織になった」と唇をかむ。
 

  (PP.040-041)


ライバルは、成功体験に依存し、「成功の復讐」
に遭遇したのです。チャレンジ精神を忘れ、
守りに入ったからです。


現状維持は、相対的に後退を意味します。
霧島酒造は、常にチャレンジャーであり続け
ました。これからもその姿勢は変わらないでしょう。


現状のまま進めば、人口減少が明白な日本国内
だけでは、今後あまり成長は期待できません。


次の一手は、当然海外です。
幸いなことに、日本文化は「クール(かっこいい)」と
欧米で評価されています。


焼酎ではありませんが、サッカー元日本代表の
中田英寿(ヒデ)さんは「日本酒」の良さを世界に
広めようと、海外で活動しています。


FIFAワールドカップ・ブラジル大会でも、
大会開催期間中、ブラジル国内で「日本酒」の広報
活動をレストランで行いました。


ご存じの方も多いと思います。


「日本酒」は欧州で人気があります。
中田さんの「日本酒」の知名度を挙げる活動も、
日本文化を世界へ広めようという趣旨の一環です。



大都市をあえて避け中規模都市から攻略した

大都市をあえて避け中規模都市から攻略した

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 PP.040-041)




『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。


これまで
「弱者の戦略」で一点突破
トレードオフ・マトリックス
インパクト重視フリー戦略
価値逓増型サプライチェーン
市場創造型逆張り投資
の5つをご紹介してきました。


残る1つは、横展開式ドミナント戦略
です。


 黒霧島の場合、博多を攻略した後、同サイズの

 市場である広島と仙台を攻め、首都圏や関西

 などの大消費地を後回しにした。

 K.I.T.虎ノ門大学院の三谷(宏治)教授は

 「1つのドミナントを成功させたら同等の市場を

 攻めるのは横展開。一方、地方から一足飛び

 に大消費地に攻めこむのはパラシュート型と

 区別できる」と言う。


 最もうまみがありそうに見える東京攻略を後回し

 にする。その選択もまた、黒霧島の全国制覇を

 支えた重要な要素と言えそうだ。
 

  (P.041) 



理論派社長の江夏順行(左)と、弟で企画力<br />豊かな専務の拓三。2人が霧島酒造を変革した

理論派社長の江夏順行(左)と、弟で企画力
豊かな専務の拓三。2人が霧島酒造を変革した

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.041)





PART3 クロキリ戦略を
大企業のグローバル化に応用する


最終のこのパートでは、霧島酒造の戦略、
「クロキリ戦略」は一企業だけに通用すること
ではなく、大企業のグローバル化にも応用できる、
と『日経ビジネス』取材班は考えました。


このパートは、最も『日経ビジネス』らしい視点だ、
と思います。


その概要をお伝えします。


 黒霧島は、徹底的にマーケットインの

 発想で作られた商品
だ。

 霧島酒造は、「芋の風味が苦手」という市場の

 声に耳を傾けた結果、「芋臭くない芋焼酎」の

 開発に邁進した。必要とあれば自社のコア技術

 すらも捨てる顧客視点。それがあったからこそ

 黒霧島は、全国的に流通したと言える。


 自社のコア技術にこだわり、プロダクトアウトの

 発想の下、国内市場で売れているものを多少

 改良して展開するという方法を続けている企業も

 ある。 
 

  (P.042) 


マーケットインとは顧客志向の発想で、
プロダクトアウトはメーカー志向の発想です。


前者は顧客の求めるものを作り、販売するという、
消費者・生活者側の論理であり、後者は自分たち
が作りたいもの・売りたいものを提供するという、
提供者側の論理です。


霧島酒造の地元は宮崎県都城市です。
九州には麦焼酎や米焼酎に根強い人気がある、
蔵元がありました。


私は、残念ながら、アルコール類の知識も経験も
乏しいため、充分に説明できませんが、麦焼酎、
米焼酎、芋焼酎それぞれが好きな人たちがいる
地域は、「異文化圏」と言っても良いのではない
でしょうか。言葉が違うという意味です。


霧島酒造は「異文化圏」に打って出たのです。
そこは「アウェー」です。「アウェー」で勝負するには、
自社製品の魅力を理解してもらわなければなり
ません。


伝え方が大切ですし、試飲という地道なキャンペーン
活動も欠かせないでしょう。また、販売店へのこまめな
訪問活動も大切でしょう。


さらに、「五感に訴えかける商品開発が大事」になる
ことは、言うまでもありません。


こうした諸々のことがらは、そっくりそのまま海外の
お客様へのアピールにも当てはまります。


 言葉や文化の壁がある分、五感に

 訴えかける商品開発が大事
になる。

 さらに、クロキリ戦略は、異文化エリアでは

 商品の魅力の使え方がより重要になる

 ことも改めて示している。
 

  (P.043) 


霧島酒造は「黒霧島」だけでなく、「霧島」を強調する
商品展開をしています。


 霧島酒造は、黒霧島がヒットした後は、

 「赤霧島」「茜霧島」「金霧島」とシリーズ

 製品を展開。消費者に「芋焼酎=霧島」

 というイメージを植え付けた。

 「これは、ブランドエクステンション

 と呼ばれる手法。独BMWが、BMWという

 ブランド名を軸に、車種によって3、5、7

 シリーズなどと拡張しているのが典型例で、

 新市場に製品を投入する際、より早い時間
 
 でブランドを浸透させる効果がある」
 
 (ブレインゲイトの酒井光雄社長)。
 

  (P.043) 


霧島酒造の戦略を分析していくと、大企業の
グローバル化に応用可能な点が多々あること
に気づきます。


『日経ビジネス』は最後にこう語っています。


 実績も土地勘もない宮崎県外の市場を

 次々に攻略し、全国制覇を達成した

 霧島酒造。その戦略に、大企業が見習う

 べき点は決して少なくない。
 

  (P.043)



3回にわたって「黒霧島」の老舗蔵元、霧島酒造の
歴史とクロキリ戦略についてお伝えしてきました。
知らないことが多く、大変参考になりました。


今後、「黒霧島」をはじめ、焼酎を飲むかどうかは
決めていませんが、今特集記事を読んで、商品開発
の裏には「ドラマ」がある、とつくづく実感しました。
久しぶりに、少し、気持ちよく酔った気分です。


少し気負いすぎた点は、ご容赦ください!
(焼酎の話で酔ったから?)


長文であるのにもかかわらず、最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました。






記事を読んで、面白かったら
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記録ずくめの最強メーカー 黒霧島 5000日戦争 老舗蔵元の「反常識」経営 2014.11.10 <2>



日経ビジネスの特集記事(81)

記録ずくめの最強メーカー
黒霧島 5000日戦争
老舗蔵元の「反常識」経営
2014.11.10



今週の特集記事のテーマは

1998年の発売以来、「焼酎500年史」に例がない
快進撃を見せ、その結果、霧島酒造は2012年、
売上高で三和酒類を抜き日本一に躍り出た。
その成長力や収益力は名だたる大企業すら圧倒し、
今や同社は、1990年大後半以降のデフレ下で
最も事業拡大に成功した最強国内製造業の一社と
言っていい。
老舗蔵元の戦略には、業界の常識を否定し自社に
最適化した、多くの最新経営理論が盛り込まれていた
 (『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.026)

ということです。


記録ずくめの最強メーカー 黒霧島 5000日戦争 老舗蔵元の「反常識」経営

記録ずくめの最強メーカー
黒霧島 5000日戦争
老舗蔵元の「反常識」経営

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 表紙)




今特集記事は「黒霧島」という焼酎の老舗蔵元、
霧島酒造の経営戦略等にスポットを当てています。


「黒霧島」という同社を代表する焼酎の話が、
多く出てきますが、決して酒類の話だけでは
ありません。


そこは、『日経ビジネス』ですから、ビジネスの
観点から分析し、霧島酒造の驚くべき経営の
秘密を余すところなく描いています。


あなたは「黒霧島」をご存じですか?
飲んだことはありますか?


前口上はこれくらいにして本題をスタートしましょう!



PART2 完全ドキュメント 創業80年目の一念発起
「黒霧島」、全国制覇への5000日


このパートでは、3代目就任から霧島酒造が
変貌した経緯からお伝えしていきます。


再来年で100周年を迎える同社が、
創業者イズムを否定してまで改革に乗り出した
経緯に着目して、ご覧ください。


一朝一夕では改革はできませんが、
トップの高い志と、最後までやり抜く強い意思は、
不可欠だったでしょう。


前回は、第1章 1996年春 3代目、就任
をご覧頂きました。


急逝した先代の後継者となった、二人の兄弟の
大胆な決断が、その後の霧島酒造の快進撃の
原動力となりました。



第2章 1998年夏 黒霧島、誕生

いよいよ「黒霧島」の登場です。
「黒霧島」が発売されたことで、焼酎業界の
勢力図は書き換えられました。



 当時は大半の蔵元がすっきりと仕上がる白麹

 を用いて仕込んだが、味に深みやコクを出せる

 黒麹の商品が地元の酒飲みに受けた。

 発売は87年。10年近く過ぎて市民権を得つつ

 ある状況を見て、霧島酒造社長の江夏順行に

 あるアイデアが芽生えた。

 「黒という新しいカテゴリーを本格的に作り、戦争

 を仕掛ける」。こうして「黒霧島」開発の火蓋が

 切られた。
 

  (P.032)


ところが、営業部隊の反応は冷ややかだったそう
です。営業マンたちは現状を見て判断します。
「時代の流れは『脱芋』『脱九州』」(P.032)という
言葉で、「麦や米の焼酎に力を入れるべき」(P.032)
と一歩も譲らなかったといいます。


そこで、順行さんは新商品開発を社内の特命
チームに託すことになります。


 不本意ながら麦や米の焼酎の開発を検討

 しつつも、順行は「黒い芋焼酎」開発を社内

 の特命チームに託した。その一人は、先代

 社長の順吉に薫陶を受けた奥野博紀だ。

 奥野は地元宮崎大学で微生物を学び、

 霧島酒造に84年入社。入社当時は焼酎を

 一滴も飲めなかった奥野だが、入社1年目

 から順吉の補佐に抜擢された。

 「ブレンダー」の見習いである。

 実は、先代の順吉が社長室をもぬけの殻に

 したのは機械作りに加え、75年から焼酎の

 ブレンドに病み付きになったからでもある。
 

  (P.032) 


ある意味では、特命チームに新商品開発を
託したのは、「密造酒」作りとも言えます。


ですが、任を受けた特命チームは極秘裏に
開発を進めなけばなりません。バックアップ
してくれる大人物が必要です。


その役割を果たしたのが、順行さんの弟で
専務の拓三さんだったのです。


 奥野をフォローしながら、開発の陣頭指揮

 に立ったのが、専務の拓三だ。

 
 拓三は発想を思い切って切り替える。

 芋焼酎だから芋臭くないといけない

 という考えを捨てた
のである。
 

  (PP.032-033)


ここで重要な役割を果たしたのは、水でした。
米どころと言われる地域は、皆、水量が豊富で、
水が美味しいと言われます。


新潟県、秋田県、岩手県そして、日本一の
米どころ北海道などもそうですね。


 開発を進める上で強みになったのが工場

 周辺で湧き出る水だ。拠点を置く都城は

 霧島と桜島の間の盆地に位置し、火山灰

 の影響で水はけが良いシラス台地として

 形成された。地下150mに40億トンとも

 見込まれる水が自噴し、霧島酒造は先代

 の順吉が55年に掘削に成功。

 適度なミネラルと炭酸ガスを含む水が存分

 に使えることは、新しい芋焼酎を作る上で
  
 大きな助けとなった。
 

  (P.033) 

一歩一歩、商品化を進めていったのですが、
さらに重要な決断をしました。ラベルの色です。


専務の拓三さんは、「インパクトを重視し黒に
金地を提案」、営業側の猛反発を退け、
「自分の考えを貫き、黒霧島が世に生まれた」
そうです。98年6月のことだったといいます。


『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。


1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破
でした。


2つ目は、トレードオフ・マトリックス
です。


 「従来の芋焼酎」から脱するには、芋風味を

 弱くするか、大量生産するか、どちらかの

 選択しかなかったのが業界の構図。この2つ

 はトレードオフ(二者択一 註:藤巻隆)の関係

 にあった。霧島酒造はこれを結果として否定し、

 「芋臭くないメジャー焼酎」を作り出すことに

 成功した。
 

  (P.033) 


下図をご覧ください。
「霧島」と「黒霧島」の比較が掲載されていますが、
私の五感では、その違いが分かりません。
焼酎に詳しい方なら、この違いが手に取るように
理解できることでしょう。


芋焼酎なのに芋の香りを抑制

芋焼酎なのに芋の香りを抑制

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.032)


レーダーチャートの上から時計回りに、「あまみ」「うまみ」
「後切れ」「原料香」「まるみ」の5項目で表しています。


「霧島」はほとんど正五角形をしていますが、「黒霧島」は
「後切れ」を強く出し、「原料香」を大幅に減らしています。
五角形の形状を比較すれば、一目瞭然です。



第3章 2001年夏 決戦、福岡

新商品開発が済んだら、次にやるべきことは
「黒霧島」をいかにしてお客様に知ってもらうか
です。


とにかく、商品名を知ってもらわないっことには
始まりません。そして、飲んでもらうことです。


そこで展開したことは、ビール業界に激震を
起こした試みが参考になったのです。


住友銀行(現三井住友銀行)副頭取から
アサヒビール社長に転籍した、樋口廣太郎さん
は「キレがあってとコクがある」というイメージ
を実感してもらうために、全国的な試飲キャン
ペーンを実施しました。


スーパードライは確固たる地位を築き、
万年4位だったアサヒビールを首位に押し
上げる原動力になったのです。


樋口さんの企画力の勝利と言えます。


霧島酒造の話に戻します。
焼酎業界では前代未聞の販促キャンペーンを
敢行したのです。アサヒビールの販促キャン
ペーンを手法を真似ただけではなく、一捻り
したのです。


 黒霧島は「朝」「駅」で出勤前のサラリーマン

 に配布した。当然、サンプルは「職場」に
 
 持ち込まれる。

 最大の目的は話題作りにある。


 「今までにない商品なので、とにかく

 飲んでもらうしかないと思った」

 1993年入社の営業マン、小出水政義

 は当時、夕方2000本の無料サンプル
 
 を翌朝のために用意したと言う。
 

  (PP.034-035)


つまり、「昔ながらの“ドブ板営業”も大きな
効果を発揮
した」(P.035)のです。


そしてもう一つ奏功したのは、「ハローレディー」
を活用し、地道な販促活動を継続したことです。


 あえて女性の販促部隊を組織したのは、

 福岡という“アウェー”で突破口を開くには、

 その方が有利と判断したからだ。


 「女性ならではの視点で、お店をこんな

 レイアウトにしたらどうかと提案してもら

 える」。北九州市で「酒のフジヤ」を経営

 する山岡一幸は、ハローレディーによる

 営業を高く評価している顧客の一人だ。 
 

  (P.034)


インパクトのある戦略と、地道な販促を継続して
行なうことが重要だ、と分かります。



『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。

1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破で、
2つ目は、トレードオフ・マトリックス
でした。


そして、3つ目は、インパクト重視フリー戦略
です。


 霧島酒造は「朝」「駅前」で配布し「職場に

 持っていかせる」という戦略で、訴求力を

 倍増させた。

 熱意と工夫、アイデア次第では、たとえ

 資金力に限りがある中小企業でも、

 大企業を打ち負かすプロモーションは

 可能になる。
 

  (P.035) 



下図をご覧ください。
「博多の飲食店では女性が黒霧島を飲む姿が
どこでも見られる」というキャプションが付いて
います。


博多の女性は焼酎好き? 
それとも黒霧島が好き?


博多の飲食店では女性が黒霧島を飲む姿が<br />どこでも見られる

博多の飲食店では女性が黒霧島を飲む姿が
どこでも見られる

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.035)




第4章 2004年秋 生産革新

黒霧島が大ヒットして難問が持ち上がりました。
注文に生産が追いつかなくなったのです。


品切れを起こしてしまったのです。
機会損失です。


営業部員は、多くの酒類販売店主や、
小料理屋の女将たちからもお叱りを
受けました。


その原因は、原材料である「芋」の収穫時期に
ありました。


 芋焼酎には決定的な弱みがあった。

 芋はすぐに傷んでしまい保存が利かない。

 このため、通常の方法では、芋の収穫

 できる9月がら12月まで、年間100日

 しか工場を稼働できないのだ。
 

  (P.036)


そこで生産力を麦や米並みに引き上げる方法
はないか、と検討した結果、あるアイデアを
思いついたそうです。それは、「冷凍芋」の活用
でした。


 原料を冷凍して仮に1年中保存できれば、

 100日どころか、通年で芋焼酎を生産

 することが可能になる。
 

  (P.036)


ところが、均質な芋がなかなか手に入らないことが
分かり、「通年生産するには農家を囲い込む
しかない」
(P.037)という結論に至ったそうです。


芋の冷凍保存方法にも難題が浮上しました。
試行錯誤の末、ノウハウを蓄積していきました。


 「冷凍室」でマイナス35度に急速冷凍

 すると、芋はクギを打てるほどカチンカチン

 の状態になる。それを、芋の収穫期が

 終わった後の仕込みに使うのだ。


 霧島酒造は、通年生産の達成と同時に、

 酒類業界全体でも珍しい、大規模な

 農家の囲い込み
に乗り出す。
 

  (P.037)


農家の囲い込みのために、霧島酒造は大胆な
仕組みを取り入れました。


それは、「豊作、不作にかかわらず、毎年、
栽培面積に応じ、一定の収入を保証する
仕組みを取り入れた」(P.038)のです。


Win-Winの関係の構築ですね。


生の芋を収穫できない時期に、<br />この冷凍芋で生産する

生の芋を収穫できない時期に、
この冷凍芋で生産する

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.037)



『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。


1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破で、
2つ目は、トレードオフ・マトリックス
でした。


そして、3つ目は、インパクト重視フリー戦略
でした。


4つ目は、価値逓増型サプライチェーンです。


 サプライチェーン全体に利益をもたらし、

 「ウィンウィン」の関係を提供するそのさまは、

 米アップルが音楽配信サービスで確立した

 エコシステムに近い。ブレインゲイトの酒井

 (光雄)社長は、「時間が経てば経つほど、

 互いの利益が増える価値逓増サプライ

 チェーン」と表現する。 
 

  (P.037) 


今回は、非常に長いブログとなってしまいました。
できるだけ霧島酒造の戦略等をお伝えしようと
したために、多くを盛り込み過ぎたかもしれません。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



最終回は、「PART2 『黒霧島』、全国制覇への5000日
第5章 2006年夏 大型投資」ほかをお伝えします。






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記録ずくめの最強メーカー 黒霧島 5000日戦争 老舗蔵元の「反常識」経営 2014.11.10 <1>



日経ビジネスの特集記事(81)

記録ずくめの最強メーカー
黒霧島 5000日戦争
老舗蔵元の「反常識」経営
2014.11.10



今週の特集記事のテーマは

1998年の発売以来、「焼酎500年史」に例がない
快進撃を見せ、その結果、霧島酒造は2012年、
売上高で三和酒類を抜き日本一に躍り出た。
その成長力や収益力は名だたる大企業すら圧倒し、
今や同社は、1990年大後半以降のデフレ下で
最も事業拡大に成功した最強国内製造業の一社と
言っていい。
老舗蔵元の戦略には、業界の常識を否定し自社に
最適化した、多くの最新経営理論が盛り込まれていた
 (『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.026)

ということです。




(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 表紙)




今特集記事は「黒霧島」という焼酎の老舗蔵元、
霧島酒造の経営戦略等にスポットを当てています。


「黒霧島」という同社を代表する焼酎の話が、
多く出てきますが、決して酒類の話だけでは
ありません。


そこは、『日経ビジネス』ですから、ビジネスの
観点から分析し、霧島酒造の驚くべき経営の
秘密を余すところなく描いています。


私事になりますが、酒はほとんど飲みません。
洋酒、日本酒、ワインは今では全く飲みませんし、
ビールも年に数回ほどです。


以前は、ワインを就寝前にワイングラスに3分の1
位くらい注いで、飲んでいたことがありましたが、
現在では全く飲んでいません。


焼酎は、30代後半から40代後半頃まで、
会社の付き合いの席で、飲んでいたことがあります。
下町のナポレオンという愛称がついた「いいちこ」は、
飲みやすかったという記憶があります。


そのような状況でしたので、アルコール類については、
詳しくありません。ですから、『黒霧島』という名の焼酎
は知りませんでした。


ちなみに、タバコも吸いません。59年間一度も直接
吸ったことはありません。


副流煙、つまり間接喫煙はかなりしました。
間接喫煙の方が悪影響が大であるそうですが・・・。
現在では、周囲に喫煙者がいないので、副流煙に
悩まされることはありません。


あなたは「黒霧島」をご存じですか?
飲んだことはありますか?


前口上はこれくらいにして本題をスタートしましょう!



PART1 記録ずくめの全国制覇
こんな会社、見たことない


最初に、霧島酒造の歴史を振り返ってみましょう。
再来年で100周年を迎える老舗蔵元です。


 大正5(1916)年から宮崎県都城市で

 芋焼酎の製造を開始し、再来年で創業

 100周年を迎える老舗蔵元。だが、90

 年代後半までは、マイナーな中小蔵元の

 一つだった。

 歴史が変わったのは黒霧島の発売からだ。

 その大ヒットにより霧島酒造は麦焼酎

 「いいちこ」で業界の王者に君臨していた

 三和酒類を販売量で逆転。一躍、全国区

 の知名度を持つ酒造会社となった。   
 

  (P.028)


『日経ビジネス』は霧島酒造について、
下記のような感想を書いています。
『日経ビジネス』がこれほどまでに強調する
ケースは滅多になく、特筆すべきことだ、
と思っています。


 霧島酒造が実現した全国制覇は、

 日本の産業史に刻まれるべき

 歴史的快挙
――。本誌はそう

 考える。
 

  (P.028)

『日経ビジネス』は、霧島酒造に着目すべき点を
4つ挙げています。

成長力 デフレ下で売上高7倍

事業展開力 14年間で全国一の銘柄に

収益力 中小製造業の4.5倍

革新力 業界勢力図を一変


まず、成長力 デフレ下で売上高7倍
について


 帝国データバンクに調査を依頼すると、

 「15年前の売上高が80億円以上で、

 かつ現在の事業規模が当時の7倍以上」

 という条件をクリアしたのは92社だけ

 だった。これは、帝国データバンクが業績を

 把握する全国約145万社の0.006%で

 しかない。


 霧島酒造のように、独立系でM&A(合併・

 買収)を実施せず7倍以上の成長を遂げた

 製造業は、ノーベル物理学賞の中村修二氏

 がかつて所属した日亜化学工業1社しかない。 
 

  (PP.028-029) 

「成長力」一つとっても、霧島酒造は凄い会社で
あることが分かります。


事業展開力 14年間で全国一の銘柄に
については、『日経ビジネス』取材班は、
このように解説しています。


 事業展開速度も速い。黒霧島の発売から

 14年目に会社の売上高で焼酎業界の

 首位を奪取。翌年には全国9地区すべて

 で10%以上のシェアを確保した。
 

  (P.029)


収益力 中小製造業の4.5倍については、
これも突出しています。


 収益力も突出する。日銀の全国企業短期

 経済観測調査によると、トヨタ自動車や

 キャノンを含む国内大企業(製造業)の

 売上高経常利益率(過去10年平均)は

 約5%。霧島酒造は14%に上り、大企業の

 収益力を3倍近く上回る。
 

  (P.029)


そして、最後は革新力 業界勢力図を一変
について。


 黒霧島の普及は、焼酎市場全体にも

 大きなインパクトを与えている。その

 最たるものが原料別の焼酎消費量

 への影響だ。15年前に「麦」は「芋」

 を3倍ちかく上回ったが、現在は芋が

 麦を逆転。最大の要因は黒霧島の

 ヒットだ。霧島酒造たった1社で、

 焼酎業界の勢力図を塗り替えたとも

 言える。 
 

  (P.029)


このパートでは、霧島酒造の概要をお伝えしました。


次のパートでは、全国制覇への5000日を完全
ドキュメントでお伝えします。


私は、黒霧島という焼酎そのものより、霧島酒造の
経営の秘密にとても興味を持ちました。




PART2 完全ドキュメント 創業80年目の一念発起
「黒霧島」、全国制覇への5000日


このパートでは、3代目就任から霧島酒造が
変貌した経緯からお伝えしていきます。


再来年で100周年を迎える同社が、
創業者イズムを否定してまで改革に乗り出した
経緯に着目して、ご覧ください。


一朝一夕では改革はできませんが、
トップの高い志と、最後までやり抜く強い意思は、
不可欠だったでしょう。


第1章 1996年春 3代目、就任

PART1では霧島酒造の概要をご覧頂きました。
ここからは、『日経ビジネス』は全国制覇への
5000日をドキュメントで伝えています。


テレビはめったに観ませんが、ドキュメントには
とても興味がありますので、ワクワクしながら
読みました。


そんな気持ちをお伝え出来たらよいのですが。
霧島酒造は大きな危機に見舞われました。


 1996年4月3日。霧島酒造2代目社長の

 江夏順吉が腹膜炎で急逝した。享年80歳。

 突然の父の死に、息子の順行と拓三は顔を

 見合わせ絶望に打ちひしがれた。

 5日後に臨時株主総会が開かれ、順行が社長。

 拓三が専務に慌ただしく就任。経営の全責任を

 40代の兄弟が背負うことになった。 
 

  (P.030)


いつか、その日が来るとは考えてはいたでしょうが、
いざ、その日が来るとなかなか決断できないもの
です。後任の二人の兄弟は強い決意で臨んだこと
でしょう。


先代の順吉さんの経営姿勢を知ることが重要だ、
と思います。後継の二人が先代の経営を否定する
ことになったからです。『日経ビジネス』は、経緯を
このように明かしています。


 順吉が社長を受け継いだのは戦後4年目の

 49年だ。旧東京帝国大(現東京大学)で応用

 化学を学んだ秀才が実践したのは、品質最優先

 の経営だった。

 大の機械好きとあって、芋の蒸し釜や蒸留機は

 自ら作り、焼酎の品質の改善に没頭した。


 ただその一方で、営業力の強化などには関心が

 薄かった。「良いものを作れば、おのずと売れる」

 が信念。


 販促やマーケティングに興味がなく、それが2度の

 焼酎ブームに乗り遅れる遠因となってしまう。


 地元の宮崎県内では焼酎市場の6割近いシェアを

 握った。ただ、営業力が脆弱な分、知名度の低い

 県外での販売量は一向に伸びない。
 

  (PP.030-031) 


先代の順吉さんは研究者あるいは、職人気質の
経営者だったのです。


順行さんが3代目に就任して決断したことは、
先代の経営姿勢を否定することでした。
ただし、否定だけではなく、トレードオフ(二者択一)
でもなく、相反することを両立させることでした。


そんなことが可能なのか、と思いますよね?


 熟慮の末、順行がまず打ち出したのが

 品質を維持しつつも宮崎の外に

 戦いの場を求める
ことだった。


 霧島酒造は80年もの歴史を持つ老舗だ。

 それでも順行は、父が貫いた経営を思い

 切って否定し、転換した。
 

  (P.031)


ただ、否定しただけではなかったことは、次の解説を
読むと納得できます。 決して拙速ではなかったの
です。


 直ちに県外での営業力強化などに乗り出さず、

 まず県外市場で勝てる新商品づくり

 に経営資源を徹底集中
することを

 決めたのだ。「今のうちの商品力では、県外に

 出ても白波やいいちこには勝てない」と考えた

 からだ。
 

  (P.031) 


では、どのようなコンセプトで商品化しようとしたの
でしょうか? それはアルコール類に興味が無い
人でも、皆、そのブランドを知っている「あの商品」
のような焼酎だったのです。


 順行は新商品開発に会社の命運を賭けること

 を決めた。頭にあったのは、ビール業界の構図

 一変させたアサヒビールの「スーパードライ」
 
 のような商品だった。 
 

  (P.032)


後に分かりますが、「スーパードライ」の販売戦略を
手本にしたようなところがあったことに気づきます。


『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。

1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破です。


 拠点展開と市場調査・商品開発を同時並行的に

 進め時間を節約する戦略の方が生き残りの確率

 は高まるように映る。だが同社はリスク覚悟で、

 商品開発に資源を集中した。
 

  (P.031) 



下図をご覧ください。
九州焼酎戦争の様子が伝わってきます。

九州焼酎戦争 主な酒造会社

九州焼酎戦争 主な酒造会社

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 PP.030-031)




次回は、「PART2 『黒霧島』、全国制覇への5000日
第2章 1998年夏 黒霧島、誕生」ほかをお伝えします。






記事を読んで、面白かったら
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クレーム上等! またアマゾンで買ってしまうワケ  2014.11.03 <3>



日経ビジネスの特集記事(80)

クレーム上等!
またアマゾンで買ってしまうワケ
2014年度アフターサービスランキング
2014.11.03



今週の特集記事のテーマは

クレームや不満をここぞとばかりにカイゼンにつなげる。
異様なまでの執念で、顧客満足のみを追求するアマゾンジャパン。
先進企業のサービス戦略は、従来は知ることもできなかった
「声なきクレーム」すら活用する段階に入った。
顧客満足を巡る競争を今、異次元のステージに差し掛かっている
 (『日経ビジネス』 2014.11.03 号 P.0)

ということです。


クレーム上等!またアマゾンで買ってしまうワケ<br />2014年度アフターサービスランキング

クレーム上等!
またアマゾンで買ってしまうワケ
2014年度アフターサービスランキング

(『日経ビジネス』 2014.11.03 号 表紙)




初回は、アマゾンの「顧客満足」への飽くなき
挑戦を中心としたホットな話題をお伝えしました。
WOWOWの「カギ開け」への取り組みについても
お伝えしました。


消費者の要求は高まることはあっても、低下する
ことはありません。


2回目は、消費者の「不満」を集め、その生データを
企業に売るというビジネスモデルを確立した企業と、
そのデータを活用し、新たな事業を開拓した中堅
部品メーカーの取り組み等をご紹介しました。


今特集記事の最終回は、お待ちかねの
「2014年版アフターサービスランキング」の発表です!


PART3 2014年版アフターサービスランキング
災害が問うた迅速さ


最初に、アフターサービスランキングの部門を
ご紹介しておきましょう。


全16部門です。けっこうありますね。
ですが、よくよく考えれば少ない、と感じるかも
しれません。


つぶさに見ていくと、あの業界やこの業界がエントリー
されていないな、と気づきました。


アフターサービスの重要度が高い業界に絞った、
と考えられます。


それはさて置き、「アフターサービス満足度調査」は
どのようにして行われたのか、触れておきましょう。


 【アフターサービス満足度調査について】

 2014年7月2日~8月17日の間、日経BP

 コンサルティングが保有するインターネット

 調査システム「AIDA」を使用して実施した。

 1万6421人から有効回答を得た。

 回答者の平均年齢は50.9歳。男性77.2%、

 女性21.4%.。

 満足度指数は。各企業の製品や事業の

 アフターサービス経験者に、アフターサービス

 の評価を「満足」「まあ満足」「どちらともいえない」

 「やや不満」「不満」の選択肢から1つ選んで

 もらい、それぞれの回答者数に100、50、0、

 ▲50、▲100(無回答は除く)で割ったもの。

 ▲はマイナス値を示す。

 アフターサービス経験者には、「問い合わせ先

 分かりやすさ」「担当者の応対の丁寧さ」

 「対応等に要した時間」「解決策等の適切さ」

 「かかった料金や費用」という5つの項目別評価

 も尋ねている。
 

  (P.041)


では、全16部門をご紹介します。
部門ごとにベスト5を掲載します。
(企業の後ろの数字は前回順位)

1 損害保険(自動車保険は除く)

❶ 日本興亜損害保険
  (現損害保険ジャパン日本興亜) ⑧
❷ AIU損害保険 ①
❸ 三井住友海上火災保険 ③
❹ 東京海上日動火災保険 ⑦
❺ 損害保険ジャパン
  (現損害保険ジャパン日本興亜) ④


2 自動車保険

❶ ソニー損害保険 ①
❷ セゾン自動車火災保険 ⑫
❸ 富士火災海上保険 ⑭
❹ チューリッヒ保険 ⑧
❺ イーデザイン損害保険 ⑪


3 銀行(地方銀行を除く)

❶ ソニー銀行 ①
❷ 新生銀行 ②
❸ 住信SBIネット銀行 ⑦
❹ 三菱UFJ信託銀行 ③
❺ りそな銀行 ④


4 証券会社

❶ マネックス証券 ②
❷ カブドットコム証券 ④
❸ SBI証券 ③
❹ 松井証券 ①
❺ 野村證券 ⑦


5 携帯電話・PHSの通信会社

❶ NTTドコモ ②
❷ イー・アクセス(イー・モバイル、
  現ワイモバイル) ①
❸ au ③
❹ ウィルコム(DDIポケットを含む、
  現ワイモバイル) ⑤
❺ ソフトバンク ④ 


6 自動車(新車および自社ディーラーの認定中古車)

❶ レクサス ①
❷ アウディ ⑥
❸ メルセデス・ベンツ ⑫
❹ トヨタ自動車(レクサスを除く) ③
❺ 富士重工業 ②


7 薄型テレビ(液晶、プラズマ) *

❶ シャープ ①
❷ パナソニック ②
❸ 三菱電機 ③
❹ ソニー ④
❺ 日立製作所 ⑤


8 デジタルカメラ

❶ ペンタックス(現リコーイメージング) ②
❷ ニコン ④
❸ オリンパス ⑤
❹ キャノン ③
❺ ソニー ⑥


9 パソコン(タブレットを除く)

❶ エプソンダイレクト ③
❷ アップル ②
❸ パナソニック ①
❹ 東芝 ④
❺ マウスコンピューター ⑨


10 スマートフォンおよびタブレット端末

❶ アップル ②
❷ シャープ ①
❸ ソニーモバイルコミュニケーションズ
  (ソニー・エリクソン) ③
❹ 富士通モバイルコミュニケーションズ ⑥
❺ サムスン電子 ⑤


11 エアコン

❶ シャープ ①
❷ ダイキン工業 ③
❸ 日立製作所 ④
❹ 富士通ゼネラル ②
❺ パナソニック(ナショナル含む) ⑥


12 家電量販店(ネットショッピングを除く) * 

❶ ケーズホールディングス(ケーズデンキ) ①
❷ 上新電機 ②
❸ ヨドバシカメラ ③
❹ EDION(旧DEODEO、ishimaru、midoriを含む) ④
❺ ベスト電器 ⑤


13 新築マンション
❶ 野村不動産 ②
❷ 三井不動産レジデンシャル ①
❸ 住友不動産 ③
❹ 大和ハウス工業 ―
❺ 長谷工コーポレーション ⑥


14 新築戸建て住宅

❶ 旭化成ホームズ ①
❷ 積水ハウス ③
❸ 住友林業 ④
❹ 積水化学工業 ⑧
❺ パナホーム ⑥ 


15 ネット通販(モール、オークションや
   ネットスーパーを除く)

❶ セシール ②
❷ Joshin Web(ジョーシン)①
❸ ニッセン ④
❹ ユニクロオンラインストア ③
❺ ヨドバシ・ドット・コム ⑥


16 ネットスーパー(百貨店、ドラッグストアを除く)

❶ イトーヨーカドーネットスーパー ①
❷ パルシステム
  (パルシステム生活協同組合連合会) ③
❸ イオンネットスーパー ②
❹ Oisix/おいしっくす ④
❺ SEIYUドットコム
  (旧西友ネットスーパー) ―



全16部門の中で、前回と順位に変動のなかった
部門は2つだけでした。


7 薄型テレビ(液晶、プラズマ) *
12 家電量販店(ネットショッピングを除く) *
です。


前回と順位が目まぐるしく変わった部門は
かなりありました。
 

その中でも、2 自動車保険や、
6 自動車(新車および自社ディーラーの認定中古車)
は、2位以下が大きく入れ替わりました。


『日経ビジネス』は、「損害保険」部門に関して、
下記のような解説をしています。


 昨年の8位から一気に1位と上り詰めた

 日本興亜損害保険は、今年9月に損害保険

 ジャパンと正式統合した。

 今年度から保険金支払い対応を一体化する

 中で進めた「待たせない対応」の取り組み強化

 が評価につながった。
 

  (P.039)


やはり、スピードが重要になってきていることが
分かります。


「携帯電話・PHSの通信会社」部門に関しては、
このように解説しています。


 今回、携帯電話部門で首位となったのはNTT

 ドコモ。昨年首位を譲り渡したイー・アクセス

 (現ワイモバイル)を抑えた。


 ドコモは2年前、「お客様満足度向上プロジェクト」

 を立ち上げた。エリア、サービス、端末、料金、

 チャネル、発信力の6分野に分け、総合的に

 顧客満足度の底上げに取り組んでいる。

 カウンターを通さずに対応する店員を設ける施策は、

 この取り組みの一環だ。

 満足度低下はドコモ、au、ソフトバンクで

 共通しており、スマホ普及などでサポート体制が

 複雑化している影響が見てとれる。
 

  (PP.040-041) 


首位のドコモでも、「『スタッフによって対応に
バラつきがある』ことを満足度低下の要因
として挙げる回答者が多かった」(P.041)そうで、
改善の余地はかなりありそうです。


最後に、「ネットスーパー」部門に関する、『日経ビジネス』の
解説をご覧ください。「再利用意向」という言葉が
出てきます。


 ネットスーパー部門ではイトーヨーカドーネットスーパー

 が3年連続の首位と、強さを見せた。自由回答を見ると、

 「すぐに代替品を用意してくれた」ことを評価する声が

 非常に多い。

 今回、昨年と比べて同部門で大きな変化があったのは

 「再利用意向」だ。表には記載していないが、ランキング

 対象となった6社のうち5社で、「アフターサービスを受けた

 客」の方が「受けたことがない客」よりも、再利用意向が

 高いという結果が出た。昨年は、同様の結果が出ていた

 のはヨーカドー1社だけだった。 
 

  (P.045) 


クレームへの対応の仕方には、2つあります。
クレームが発生しそうな内容を事前に潰しておく、
プロアクティブな対応と、発生してからのリアクティブな
対応です。


アマゾンは前者の戦略を取り、大半の企業は後者の
やり方から脱皮できていません。


これからの時代は、あらゆる点でスピードが加速し、
スピードが武器になることは間違いありません。


好むと好まざるとにかかわらず、消費者の飽くなき
要求に答えを用意している企業が、市場を制する
時代になってきたと言えます。


キーワードは、クレームを逆手に取れ
だ、と思います。


いかがでしょうか?






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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