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遺 言 日本の未来へ 2014.12.29 <1>



日経ビジネスの特集記事(88)

遺 言
日本の未来へ
2014.12.29



今週の特集記事のテーマは

戦後70年――。2015年、私たち日本人は一つの
節目を迎える。
日経ビジネスは2014年最後の特集に、
戦後のリーダーたちの「遺言」を選んだ。
焼け野原から輝ける時代を築いた当事者には、
若い世代にはない強靭な視座がある。
未来を拓くために受け継ぐべきものが、ここにある
 (『日経ビジネス』 2014.12.29 号 P.024)

ということです。



『日経ビジネス』編集部は、2014年最後の特集で、
各界で大きな業績を残した人たち34名を選出しま
した。


中には、一般にはあまり知られていない人物もいる
かもしれません。私も、34名全員のプロフィールや
業績を知っているわけではありません。


そこで、34名の中で、「私」が著作やメディアなどを
通じて、認識している人たちを選び、その方たちが
語った内容の一部をご紹介することにします。


尚、今号の特集は36ページ(24~59ページ)と、
通常号の1.5倍のボリュームがあるためか、
「編集長インタビュー」が掲載されていません。
そのため、毎週投稿している、「日経ビジネスの
インタビュー」は、今特集の「大トリ」を飾る、
京セラ・日本航空名誉会長、稲盛和夫さんにいた
しました。

ブログは→
日経ビジネスのインタビュー(152) 経営と美徳を広める導師




遺言 日本の未来へ

遺言 日本の未来へ

(『日経ビジネス』 2014.12.29 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 PP.024-025)




第1回は、
「第1章 未来の経営者へ」を取り上げます。


第2回は、
「第2章 未来の創造者へ」を取り上げます。


最終回は、
「第3章 未来のリーダーへ」
「第4章 未来の日本人へ」
をご紹介します。


全3回にわたって『日経ビジネス』の特集を
2014年の年末から2015年の年始にかけて
お伝えすることになります(2014年12月31日~
2015年1月2日)。




『日経ビジネス』編集部が選んだ、戦後のリーダー
たちは、起業家、経営者、俳優、政治家、学者、作家、
ファッションデザイナー、元国連職員、登山家、脚本家、
高僧、侍従長、現役助産師、長崎被爆者語り部
と多士済々です。


34名の方々全員の「遺言」をお伝えすることは
できませんが、お名前(肩書)は全員ご紹介します。


さらに、今回は、各界の方々が語った「遺言」に
個別にコメントすることはやめ、各章ごとに総括的
に私の考えを語る、という形式にします。


また、各章の最初に、『日経ビジネス』編集部が
選んだ戦後のリーダー全員のお名前と肩書を
掲載します。


尚、日経ビジネスオンラインで、
連載「遺言 日本の未来へ」が2015年1月5日
からスタートし、インタビューの詳細を掲載して
いくそうです。ぜひご覧ください!

日経ビジネスオンラインのサイトは→
http://business.nikkeibp.co.jp/




では、本題に入りましょう!


第1章 未来の経営者へ

鈴木修(スズキ会長兼社長)
清水信次(ライフコーポレーション会長)
堀場雅夫(堀場製作所最高顧問)
宮内義彦(オリックスシニア・チェアマン) 
篠原欣子(テンプホールディングス会長)
椎名武雄(日本IBM名誉相談役)
村井史郎(シークス会長)
岡田甲子男(アリアケジャパン会長)
鈴木敏文(セブン&アイ・ホールディングス
       会長兼CEO (最高経営責任者))
八城政基(元新生銀行取締役会長)
<注:赤文字のお名前の方々の「遺言」を
ご紹介します。>


1人目は、スズキ会長兼社長の
鈴木修さんです。



『日経ビジネス』 2014.12.29 号 P.026



スズキ会長兼社長 鈴木修 氏
中小企業おやじのヒーロー


 未来への遺言ですか。僕にとっては

 「会社が潰れないように」。それだけだな(笑)。

 でもね。今回話そうと思ったのは、やっぱり、

 僕の話がこれからの時代を担う皆さんの参考

 に少しでもなるならと思ったからです。


 僕は、戦前、戦中、戦後、そして再建という、

 日本の縮図を経験してきた。その中で何を

 考えたかというと、「こんちきしょう」とか

 「やる気を出そう」とか、そういうことに尽きる

 わけです。

 これまで本当に、「こんちきしょう」の連続だった。

 軽自動車を作ってきた中小企業のスズキに

 とっては、生命を絶たれる危機が絶えなかった

 から。

 文学的には「逆境の歴史」というのだろうけど、

 ようするに「軽ハラ」。セクハラ、パワハラ、

 マタハラと同じだよ。

 軽自動車はもともと、敗戦後に「国民車」を

 作ろうっていう構想から生まれたんですよ。

 でも経済が成長してくると、「軽自動車なんて

 国策に合わないからやめるべきだ」という声が

 出てきた。

 軽は燃費が悪くて安全性も確保できない、

 耐用年数も短いから資源の無駄遣いだと。

 それで、(ホンダ創業者の)本田宗一郎さんと

 一緒になんて「ふざけんじゃねえよ」と激怒したの。

 ぺしゃんこに潰されるのは嫌だから、「この野郎」

 という気持ちで挑戦し続けてきた。まあ、僕は

 (婿養子の)落下傘だったから、外からの軽ハラに

 加えて内からの「社内ハラ」も大変だったけど(笑)。

 それでも今や、軽自動車が(日本の自動車市場で

 シェア)40%になった。結局、人生っちゅうのは

 「こんちきしょう」しかないんじゃないかな。奇策じゃ

 なしに、誰に何と言われようとも、自分の実力を

 過信せずに続けることだよ。

 人生には、チャンスをつかむか逸するか、

 分かれ道がいっぱいある。

 
 2015年は戦後70年ですが、戦争の体験や

 不幸を後世に伝えるのは無理だと思うんですよ。

 だから、伝えたいのは、他人に迷惑をかけないとか、

 社会に貢献するとか、正しく生きる最低限のモラル

 を守りながら、「やる気」を発揮してほしいということ

 だけ。極めて平凡だけど、これが若い人たちへの

 遺言かな。 
 

  (P.027)



2人目は、オリックスシニア・チェアマンの
宮内義彦さんです。



『日経ビジネス』 2014.12.29 号 P.030



オリックスシニア・チェアマン 宮内義彦 氏
規制改革を説く 金融の異端児


 若い人にパワーを感じないですね。

 遺言を残す値打ちあるかな(笑)。

 今回の選挙でも主な争点にならなかったけど、

 国の借金は1000兆円ですよ。

 なぜ若者は黙っているのだろう。

 新しい社会をつくるという覇気が欲しい。

 官にも民にも、それぞれパブリックな部分と

 プライベートな部分があり、個人でも民間企業

 でも、例えば政府に貢献を求められたらパブ

 リックの部分を差し出すのは当然です。

 それでないと社会は成立しなくなってしまう。

 教育で「公共の利益を」と言うと問題になるけど、

 それは社会の基礎だと思うんです。

 戦中に国のために命を投げ出せという極限の

 パブリックが求められた反省から、戦後は逆の

 極端に来てしまった。でも、プライベートの権利

 ばかりがあっても、素晴らしい社会にはなり得ない。

 何にでも功罪がある。


 日本市場だけでも、無限の可能性があるわけです。

 挑戦すべきですよ。リスクを取らない人生ほど

 面白くないものはない。私が45歳だったら、もう1回

 チャレンジしますよ。

 人口減にしても、問題と思うなら対策を打てばいい。

 打たないなら、それまでの国ということ。若い人が

 これでいいと思うのか、思わないか。停滞がどれだけ

 長引くかはそれで決まります。
 

  (P.030)



第1章の最後は、セブン&アイ・ホールディングス会長
兼CEO (最高経営責任者)の
鈴木敏文さんです。



『日経ビジネス』 2014.12.29 号 P.033



セブン&アイ・ホールディングス会長兼
CEO (最高経営責任者) 鈴木敏文 氏

時代を見通すコンビニの帝王


 防空壕を掘ってた頃からすれば、自由や平和
 
 が当たり前にある時代なんて想像できなかった。

 それと同じように、これからもきっと、今までは

 思いもつかない時代が来るはずです。

 今の日本は、あまりに過去の延長線で来ちゃっ

 ている。

 でもね、世の中は変わるもんです。政治の面でも

 個人の自覚の面でも、適応する形を取っていか

 ないといけないよね。

 昔はみんなが共通で分かっている規律があった

 けど、それがなくなって価値観や社会がバラバラ

 になった。

 身勝手を許しすぎたら、結局住みにくい社会になる。

 だから今は、昔よりも規律が大事になったと思う。

 戦前の軍隊に戻れというのとは、違います。

 重要なのは相手を尊重する精神だと思うんだよね。

 国も商売も家族も、相手の立場で考えれば、その

 時代に合った対応が取れるはずです。
 

  (P.033)



お三方は、皆さん、実にざっくばらんに語って
いますね。
通常のビジネスインタビューと異なり、かなり
個人的な感想を語ってもらう、という方針だった
のかもしれません。


それは、お三方だけでなく、他の7名も同様です。
普段から考えていたことを吐露した、といった風情
です。


この章のキーワードは、
克己心です。
他人に勝つことではなく、自分に勝つこと――。
それを口々に語っている、と感じました。


スズキの鈴木修さんの「こんちきしょう」という
言葉に象徴されるように、「こんちきしょう」は
相手に対する言葉というよりも、己(自分)に
負けてたまるか、という気持ちを表現している、
と感じました。


他人に負けるよりも、自分に負けることの方が
ずっと悔しい、と実感しているのです。



オリックスの宮内義彦さんは、
「挑戦すべきですよ。リスクを取らない人生ほど
面白くないものはない」
と言い切っています。


挑戦しない、リスクを取らないという姿勢は、
その時点で自分に負けていると言えます。


宮内さんが、「権利」について語る下りがあります。


たまたま、今月(2014年12月)29日に読み終わった
『現代語訳 学問のすすめ 』 (ちくま新書 福澤諭吉
齋藤孝 訳 2009年2月10日 第1刷発行)に「権利」と
「権理」について書かれた一節があります。


訳者の齋藤孝さんは、「権理」の方が、「きちんと理が
通っている」として、この「権理」を広めてきたい、
と書いています。
解説を読んで、なるほど、と思いました。


少々長くなりますが、ご一読ください。


 今回現代語訳するにあたっては、「権理」という

 言葉が随所にありました。普通は「権利」と書く

 わけですが、right という言葉を訳すのであれば、

 福澤が使っている「権理」の方が「きちんと理が

 通っている」という元の意味を正しく反映している

 ように感じました。

 「権利」ですと、「自分の利益ばかり主張すること」

 といったように、個人のわがままといったニュアンス

 を含んでしまいがちですが、本来はそのようなもの

 ではないはずです。

 いわば天から与えられ当然持っているべきもので

 あって、主張しても何ら恥じることはない。

 例えば、基本的人権というのは「権利」ですが、

 その「利」は利益の「利」ではなく「理(ことわり)」です。

 漢字一文字が違うだけで、私たちの認識が随分と

 変わってしまう。文字というものは、非常に大きな

 影響を与えるものだと痛感しました。「権理」の二文字

 は福澤の思想の根幹をなすものなので、これをきっ

 かけにこの字を使うようになってほしいという願いを

 込めて、一貫してこの文字を用いました。
 

  (上掲書 P.242)



セブン&アイ・ホールディングスの鈴木さんは、
『商売の創造』(鈴木敏文 講談社 2003年10月22日
第1刷発行)の「まえがき」に次のように書いています。
鈴木さんは、この本の中で「商売の本質」を書いた、
と考えています。


 われわれにとっての最大の競争相手は、

 同業の他社・他店ではありません。世の中の

 変化、お客様のニーズの変化こそが最大の

 競争相手なのです。この変化への対応力を

 失ったとき、いかなる過去の強者、覇者

 (はしゃ)といえども破綻(はたん)は免れま

 せん。


 過去に隆盛(りゅうせい)をきわめたビッグ

 ストアが、いまきびしい状況に追い込まれて

 います。

 それだけ、世の中の変化は激しいということ

 です。その中でなんとか今日までやってこら

 れたのは、つねに過去の経験を捨て、他人

 のまねをいっさいせず、仮説・検証にもとづ

 いた自己革新、イノベーションを図りながら、

 創造的破壊に取り組み続けてきたからだと

 私は考えています。
 

  (上掲書 P.1)



通常号と異なり、大半を独り語りで、「遺言」を
残すという形式を取り、『日経ビジネス』編集部
は前面には姿を現さないという、姿勢を最後まで
貫き通しています。


それは、各人の「遺言」の中身が重要である、
と考えているからに他なりません。


「遺言 日本の未来へ」第1回はいかがだった
でしょうか?


年末年始のお忙しい最中、ぜひ、読んでいただき
たい、という強い気持ちを込めて、引き続きブログ
を書いていきます。



次回は、「第2章 未来の創造者へ」をお伝えします。
ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
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ものづくりの未来を変える GEの破壊力 2014.12.22 <3>



日経ビジネスの特集記事(87)

ものづくりの未来を変える
GEの破壊力
2014.12.22



今週の特集記事のテーマは

絶え間ない自己改革で世界の産業界に君臨して
きた米ゼネラル・エレクトリック(GE)。
そのGEにして、今彼らが挑んでいる変化こそ、
過去最大と言っても過言ではないだろう。
インターネットとソフトウェアによる、抜本的なもの
づくりの刷新。
30万人の社員にスタートアップ精神を植え付ける
ため、企業哲学さえも変えた。
座して製造業の覇権を奪われるくらいなら、自ら
破壊者になる
 (『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.028)

ということです。


凄いことです。
現在、世界の産業界をリードするGEでも、将来までも
今の地位が安泰なわけではない、という強烈な危機感
を抱いていることが、記事を通じて、ひしひしと伝わって
きます。




(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 表紙)




今特集記事のスタートページ

今特集記事のスタートページ

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 PP.028-029)




第1回は、
「序章 共闘する2人の巨人 全産業を変革する」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 1 製造業を激変させる3つの切り札」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 2 人こそ変革の原動力 企業哲学まで刷新」
「PART 3 日本企業にも好機 GEを使い倒せ」
「ジェフ・イメルト会長兼CEOインタビュー」
をご紹介します。




今特集記事のキーワードの一つは、
インダストリアル・インターネット
です。

IoT(モノのインターネット化)という言葉が、
最近の流行語かと思っていましたが、
イメルト氏はその先を構想していたのです。


間違いです。構想ではなく、すでに着手して
いたのです。



PART2では、GEの真の財産である、「人財」の育成
について取り上げています。


GEにおいては、従業員の教育システムは、昨日今日
に始まったわけではなく、長い歴史があります。
決して「付け焼き刃」の教育ではありません。


PART 2 人こそ変革の原動力
企業哲学まで刷新


GEの強さはどこにあるのでしょうか?


今まで、多くの学者が研究してきました。
ものづくりのための仕組みができている。
財務基盤がしっかりしている。
経営トップがずば抜けて優れている・・・


この他に、リーダーの育成システムが確立
していることも見逃せません。


P・F・ドラッカーは『ネクスト・ソサエティ』の中で、
ジェフ・イメルト氏の前任者であった、ジャック・
ウェルチ氏について語っていた個所で、GEの
優れている点を指摘しています。


 GEでは、1920年代に近代的な財務戦略

 を確立していた。30年代には人材育成の

 観点からの人事戦略を確立していた。
 

  (『ネクスト・ソサエティ』 P・F・ドラッカー
  上田惇生 訳 ダイヤモンド社 P.135)


「日経ビジネス」は、社員数約30万人の巨大企業
GEが、なぜ「常識を破壊するような変革を加速
できるのか」(P.038)という秘密に迫っています。


 秘密はGEのリーダーを育てる力にある。

 リーダーたちの意識を変え、トップの考えを

 末端まで浸透させる仕組みこそ競争力の

 源泉だ。

 「GEのリーダーは、経営トップの生の声を

 聞き、会社が何を目指しているのかを徹底

 的にシャワーのように浴びる。そんな強烈な

 伝達システムが存在する」。こう語るのは

 日本のGEキャピタルで社長兼CEO (最高経営

 責任者)を務める安渕聖司氏だ。三菱商事、

 外資系投資ファンドなどで30年近く働いた後、

 2006年にGEに入社した。
 

  (PP.038-039)


GEのジェフリー・イメルトCEOはリーダーたちに<br />直接語りかけ、変革を浸透させる<

GEのジェフリー・イメルトCEOはリーダーたちに
直接語りかけ、変革を浸透させる

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.038)



米ニューヨーク州クロトンビルにGEの人材育成
の中核拠点「リーダーシップ開発研究所」がある
ことは、広く知られています。


そこに、「イメルトCEOは月に2~3回足を運び、
経営幹部に直接語りかける」(P.039)そうです。


 GEのリーダーには「3分の1の時間を

 トレーニングや評価など人材育成に

 割かなければならない」というルールが

 ある。リーダーは研修で学んだことを

 部下に伝えて、変革に巻き込む。
 

  (P.039)

GEにおいては、リーダーの仕事は、部下の
管理だけではありません。また、自分の担当
する仕事をこなすだけではすみません。
部下の育成が大きな仕事なのですね。
そして、部下を育てたことが評価の対象となる
のです。


手柄は独り占めし、失敗の責任は部下に転嫁
するどこかの企業とは、一線を画します。


GEがすごい会社であることは他にもあります。
企業文化(コーポレート・カルチャー)さえも変革
してしまうのです。


 GEは企業文化そのものにもメスを入れて

 いる。GEの社員が重視すべき価値として

 知られる「GEグロースバリュー」。

 「明確で分かりやすい思考」 「想像力と勇気」

 「専門性」といったGEの優秀なリーダーが

 共通して持つ5つの特徴で、社員はそれらを

 体現することを求められてきた。

 だが、インダストリアル・インターネットや

 ファストワークスで、ビジネスや働き方が変化

 する中で、GEは、社員が重視する価値観も

 変えなければならないと考えるに至った。

 こうして2014年に生まれたのが「GEビリー

 フス」だ。ブリーフは信念という意味で、

 「バリュー=価値よりも、人々の内面に入り

 込んで、自分自身のものにできるパワフルな

 言葉だから選んだ」(イメルトCEO)。
 

  (PP.039-040)


価値観を変えて人を動かす

価値観を変えて人を動かす

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.039)



5つのキーワードがあるそうです。

1つ目はお客様に選ばれる存在であり続ける
2つ目はより速く、だからシンプルに
3つ目は試すことで学び、勝利につなげる
4つ目は信頼して任せ、互いに高め合う
最後はどんな環境でも勝ちにこだわる
(P.040)


イメルトCEOがやろうとしていることは、
次のことです。時間がかかることです。


 経営手法を変え、企業文化を変え、人も変える。

 イメルトCEOは130年以上の歴史がある巨大

 企業を土台から創り直そうとしている。
 

  (P.040)

これが実現できた時、イメルト氏はGEの歴史に
輝かしい1ページを刻むことになりましょう。
そして、「名経営者」と呼ばれることになります。


GEにとって「最優秀製品」とは何か、について
GEのリーダー育成担当副社長のラグー・クリシュナ
ムーシー氏は次のように語っています。


意外と言いますか、これまでの流れから推察する
と必然とも言えそうです。


 GEの最優秀製品は何かと問われると

 「リーダーシップ」だ。ジェフリー・イメルト

 CEOだけでなく、何万人もの優れたリー

 ダーたちが、社内で変革を加速し、会社の

 成長を牽引している。


 GEの企業文化の特徴は、常に変化して

 いることだ。大企業でも非常にスピード感

 がある。


 ファストワークスでは顧客が何を求めている

 かにフォーカスして、商品やサービスを迅速

 かつ継続的に進化させる。


 変革の原動力となるのは、やはりリーダー

 たちだ。


 GEの社員が重視すべき価値である「GE

 バリュー(価値)」 を「GEビリーフス(信念)」

 に変更したのは、経営手法だけでなく、社員の

 意識も変えることが重要だからだ。
 

  (P.041)




PART 3 日本企業にも好機
GEを使い倒せ


PART2まで、GEの強さの源泉や、
変革を浸透させようとする、全社的
取り組みについてお伝えしてきました。


このような考え方や仕組みは、日本
企業にも導入できないのか、
と思いますよね?


そんな取り組みの例をご紹介します。


例によって下図をご覧ください。
8社が掲載されています。



(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.043)



基本的には、主要部品(ハード)の開発・
製造・販売で提携しています。


ソフトバンクだけは、序章でお伝えしました
ように、インダストリアル・インターネット用
ソフトの外販で提携しています。


GEが日本企業に期待を寄せる理由は、
どこにあるのでしょうか?


技術力もさることながら、実は日本社会の
深刻な問題とも関連しています。


 GEが日本に期待するのは技術だけでは

 ない。「他の先進国に先駆けてエネルギー

 不足や高齢化問題に直面する日本は、

 “世界の実験室”だ。GEにとって極めて

 重要な市場であり続ける。」GEのジェフ・

 イメルトCEO (最高経営責任者)はこう断言

 する。
 

  (P.043)


日本GEの熊谷昭彦・社長兼CEOは次のように
語っています。


 「我々が担うのは、成熟市場でGEが成長

 を続けるためのロールモデルになること。

 そして、日本の技術革新を世界に発信する

 ことだ」。
 

  (P.044)


GEは自社の強みを抱え込むことなく、
社外に広めることにも熱心なのは評価に
値することだ、と思います。




ジェフ・イメルト会長兼CEOインタビュー
パンチを繰り出し続ける


ここでは、インタビューでイメルトCEOが語った中で、
とりわけ印象的な言葉を選択して、ご紹介して
いきます。


断片的な表現になるかもしれませんが、
ご了承ください。


GE会長兼CEO (最高経営責任者) ジェフ・イメルト(Jeff Immelt)氏

GE会長兼CEO (最高経営責任者)
 ジェフ・イメルト(Jeff Immelt)氏

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.047)




 かつて我々は、GEがソフトウェアやデータ解析

 の企業になるとは夢にも思いませんでした。

 今は違います。様々な機械からデータが集まり、

 製品の持てる力を最大限に生かせる環境がある

 のですから、GEもデータ解析能力を高める必要

 がある。私は5年ほど前にそう考えるようになり、

 データ解析に多額の投資をしてきました。
 

  (P.046)




 ソーシャルメディアの世界では、消費者同士が

 つながることで莫大な価値が生まれます。

 一方、インダストリアル・インターネットの価値は、

 タービンや油田プラント、医療機器、航空機エン

 ジンが互いにつながることで得られる、産業に

 関する深い洞察です。
 

  (P.046)




 新しいアイデアを顧客に示し、生産性の向上に

 よって生まれる利益を共有する。それがGEの

 重要な役割だと考えています。
 

  (P.046)




 デジタル時代になり、多くの人はものづくりが

 どれほど大変なのかを忘れてしまっています。

 ジェットエンジンや火力発電のタービンを作る

 のは本当に難しいのに、それに対して十分な

 敬意が払われていない。

 逆にGEの立場からすれば、機械を進化させる

 のと並行して、データ解析の能力を磨くことで、

 世界をリードできるチャンスが生まれます。

 データ解析だけを手掛ける企業はありますが、

 機械のことを深く理解していないケースも少なく

 ない。実際に様々なハードを作っていることが、

 GEの競争優位性になります。
 

  (P.048)




 先日、電気自動車を手掛ける米テスラ・モーターズ

 CEO (最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が同様

 の発言をしていました。「実際にクルマを作るのが

 いかに大変かを人々は十分に理解していない」と。

 私は彼とも面識がありますが、全く同感です。

 しかし同時に、産業機器メーカーが未来を切り開く

 唯一の道は、ハードを提供するだけでなく、ソフトを

 活用し、膨大な情報を解析できる企業になることです。

 私は心からそう信じており、これから何が起きよう

 とも、この方針にコミットしていくつもりです。
 

  (P.048)




 カギとなるのは、変化を加速させるリーダーシップです。

 GEの全てのリーダーが変革に参加し、その活動を

 支援できるようにする必要があります。それは、私も

 例外ではありません。私自身、月に2~3回は、幹部

 や社員を直接研修で指導しています。 
 

  (P.048)




 世界の変化に合わせて、GE自身も絶えず進化する

 必要がある。このため、社員が重視すべきバリュー

 (価値)も見直すのです。

 ビリーフス(信念)はバリューよりももっとパワフルな

 言葉だと判断しました。「価値」は、何かを判断する

 ような意味合いの言葉ですが、「信念」は人の内面

 に入り込み、自分自身のものにできる、よりシンプル

 な概念なのです。
 

  (P.049)




 私は企業文化を変えるために重要なポイントが2つ

 あると思っています。ハードとソフトです。

 ビジネスの仕組み(ハード)を大きく変える際には、

 ソフトも変える必要がある。

 ビリーフスはソフトに当たり、変化を加速させる際に

 重要な役割を果たします。
 

  (P.049)




 GEにとって日本は極めて重要です。とりわけ強調

 したいのは、私は日本の将来に対して非常に楽観

 的であることです。


 GEは、様々な課題はチャンスであると考える企業

 です。課題はソリューション(解決法)を生み出す

 きっかけになる。日本は高齢化やエネルギー不足

 など、世界の最も先端的な問題に直面しています。
 
 だからこそ、優れた技術を効率的なエネルギーや

 医療の低コスト化などに役立てる巨大なチャンスが

 あるのです。
 

  (P.049)





 細大のリスクは、同じ場所に立ち止まったまま、

 「日本は成長率が下がっている。だから日本を諦め

 よう」という姿勢です。マクロ的な変化を注視すること

 はもちろん必要ですが、パンチを繰り出し続けるべき

 です。ですから、私が考える最大のリスクは行動しない

 ことです。
 

  (P.049)


今特集は、非常にボリュームがあり、まとめるのに時間
と手間が普段以上にかかりました。


相当圧縮してお伝えしようと努力を重ねましたが、
なかなかうまくいきませんでした。


記事を読み進んでいくうちに、「ここも大切だ」
「ここは外せないな」「これを入れないと流れが
つかめないな」などと考え始め、結局、通常通り
3回に分けて投稿しましたが、1回毎のボリューム
が通常の2倍から2.5倍くらいになってしまいました。
4回以上に分けたくなかったからです。


誰が言ったのか忘れてしまいましたが、
「今日は時間がないので、短い文章は書けない」
という言葉を、ふと、思い出しました。
(もっとも、私の場合は時間がないからではなく、
うまくまとめる能力が乏しいだけだったのですが・・・)


お疲れ様でした。
特に、スマホの場合は読むのが苦痛に感じたかも
しれません。PCやタブレット端末でも、頻繁にスク
ロールしなければなりませんでしたので。


最後まで読んでいただき、本・当・に、ありがとう
ございました。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。





ものづくりの未来を変える GEの破壊力 2014.12.22 <2>



日経ビジネスの特集記事(87)

ものづくりの未来を変える
GEの破壊力
2014.12.22



今週の特集記事のテーマは

絶え間ない自己改革で世界の産業界に君臨して
きた米ゼネラル・エレクトリック(GE)。
そのGEにして、今彼らが挑んでいる変化こそ、
過去最大と言っても過言ではないだろう。
インターネットとソフトウェアによる、抜本的なもの
づくりの刷新。
30万人の社員にスタートアップ精神を植え付ける
ため、企業哲学さえも変えた。
座して製造業の覇権を奪われるくらいなら、自ら
破壊者になる
 (『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.028)

ということです。


凄いことです。
現在、世界の産業界をリードするGEでも、将来までも
今の地位が安泰なわけではない、という強烈な危機感
を抱いていることが、記事を通じて、ひしひしと伝わって
きます。




(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 表紙)




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(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 PP.028-029)




第1回は、
「序章 共闘する2人の巨人 全産業を変革する」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 1 製造業を激変させる3つの切り札」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 2 人こそ変革の原動力企業哲学まで刷新」
「PART 3 日本企業にも好機 GEを使い倒せ」
「ジェフ・イメルト会長兼CEOインタビュー」
をご紹介します。




今特集記事のキーワードは、
インダストリアル・インターネット
です。

IoT(モノのインターネット化)という言葉が、
最近の流行語かと思っていましたが、
イメルト氏はその先を構想していたのです。


間違いです。構想ではなく、すでに着手して
いました。



PART 1 製造業を激変させる3つの切り札

「日経ビジネス」は
ソフトを活用した機器の価値向上
生産技術の革新
開発の迅速化
を3本柱と捉えました。


インダストリアル・インターネット
ソフトで引き出すハードの潜在力

インダストリアル・インターネットについては、
具体例を見たほうが理解しやすいと思います。


今、世界の航空会社がGEの顧客になり始めた
そうです。その理由は、今まで捨てていた膨大な
ビッグデータをGEのソフトで解析することで、
巨額なコスト削減に役立つことが明らかになった
からです。


 グローバルな民間航空機エンジン市場で

 6割超のシェアを握るGEが、世界中の

 航空機の運航データを収集し、様々なノウ

 ハウを蓄積しているからだ。


 今までこうした膨大なデータは、航空機の

 異状を検知するのに使う以外は、事実上

 捨てられていた。「そこの“宝の山”がある」

 とGEは考えたのだ。世界中の航空機の

 データをソフトで分析することで得られる

 知見を生かし、航空会社の効率改善に役立て

 れば、巨大なビジネスチャンスが生まれる。
 

  (PP.032-033)

さらに、ハードを改善し性能を高めなくても、
データとソフトを活用することで、ハードの
ポテンシャル(潜在能力)を引き出すことが
可能になったのです。


 データとソフトを駆使すれば、ハードは同じ

 ままでも飛躍的に効率を高められる。

 かつては考えられなかったこの新たなモデル

 を、GEは急拡大している。

 ソフトの力でハードの眠れる力を引き出し、

 顧客にとっての価値を最大化する――。

 それこそが、GEのジェフ・イメルトCEO

 (最高経営責任者)が情熱を傾けるインダストリ

 アル・インターネットの本質だ。

 「インダストリアル・インターネットは産業機器の

 世界に革命的なインパクトを与える」。イメルト

 CEOはこう強調する。
 

  (P.033)


GEのソフトは燃費向上だけに資するのではない、
と「日経ビジネス」は指摘しています。


 GEのソフトが活躍するのは燃費向上だけ

 ではない。航空会社の課題解決に役立つ

 様々なソフトを次々に製品化して、顧客を

 獲得している。
 

  (P.033)




アドバンスト・マニュファクチャリング
「極小工場」へ3Dプリンター活用

「アドバンスト・マニュファクチャリング」とはどんな概念
なのでしょうか?


 GEが打ち出したのが「アドバンスト・マニュファク

 チャリング(進化したものづくり)」という概念だ。

 3Dプリンターや材料技術、新たな生産システム

 を活用し、ものづくりを進化させようとしている。

 その象徴が、生産における3Dプリンターの大規模

 活用だ。「積層造形」と呼ばれる技術で、ソフトで

 作製した3次元データを基に、樹脂や金属粉を

 薄い層として積み重ねて、立体物を作り出す。

 日本の大企業の多くはまだ3Dプリンターを試作に

 利用する程度だが、GEは量産部品の生産に踏み

 込む。
 

  (PP.034-035)


下図をご覧ください。
GEが3Dプリンターで作った、航空機エンジンの
主力部品に採用した燃料ノズルです。


すでに、3Dプリンターを「生産」に活用しているのです。


GEの航空機エンジンの主力部品に<br />3Dプリンターで作った燃料ノズルを採用

GEの航空機エンジンの主力部品に
3Dプリンターで作った燃料ノズルを採用

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.034)



3Dプリンターに関連したことで、思い出したこと
があります。


日本の技術は、原材料を切削、研磨して加工
することが多いようです。あるいは金型を製作し、
プレスして大量生産しますね。


いわば、大→小と言ったらよいでしょうか。


一方、米国は3Dプリンターで積層造形するように、
元は小さなものに、いろいろなものを「取り付け」
て大きな部品に仕上げるという生産方法を取る
ようなってきています。


いわば、小→大という、日本のやり方の真逆の
方法です。


この方法の利点は、熟練職人でも外側からは
作りにくい内部構造まで、3次元データと3D
プリンターを用いれば、いとも簡単に短時間で
仕上がってしまうことです。


セットしておけば、自動生産することができます。


3Dプリンターの概念は、リバースエンジニアリング
の概念と結びついている、と私は考えています。


「リバースエンジニアリング」をWikipediaで検索すると、
下記の解説が掲載されています。



 ものづくりにおけるリバースエンジニアリングとは、

 製品の先行イメージとして作られたクレイモデルや、

 既に現物がある製品などの形状データを測定し、

 それをもとにCADデータを作成する(“起こす”)こと

 である。

 3D CAD、および接触式、非接触式の3次元形状

 データ測定器が発達するにつれ、こういった方法が

 急速に普及している。3D CADを活用した製品の

 事前検討を行う際、CADでは作成しにくいデザインの

 微妙な変化が織り込まれた製品データや、

 2D図面しかない製品データを3D化したりする際に

 活用されている。
 

  (ものづくりにおけるリバースエンジニアリング Wikipedia から)


リバースエンジニアリングを介して得た、
3Dデータを活用するのが、3Dプリンター
ということになります。


さらに検索してみたところ、3Dプリンターと
リバースエンジニアリングの組み合わせに
よる試みが紹介されていました。


フェラーリのエンジンを改良するというものです。


 フェラーリが今回行ったのは、フェラーリが

 過去1960年代に製造していたプロトタイプ

 レーシングカーのエンジンを改良するという

 試みだ。

 この改良に協力したのがドイツの有名な3D

 プリンターメーカーVoxeljet社で、エンジンを

 構成する全てのパーツを3DCADデータ化し、

 高性能3Dプリンターでプリントして製造している。

 通常、従来の製法で改良した場合、

 製造にかかる期間は1年ほどで、

 コストも膨大な費用が掛かる。

 しかし、今回フェラーリとVoxeljetが用いた方法

 では改修期間はわずか数週間程度だったとの

 ことだ。 基本的に作られたのは砂型と砂パーツで、

 実際の製造は特殊アルミで鋳造され作られる。

 3Dプリンターの性能向上がもたらすものは、

 今回のフェラーリのように過去の眠ったものを

 蘇らせてくれることにも利用することができる。

 過去のものを、過去の製法でしか再現するのではなく、

 より効率的で、コストをかけることなく更なる改良品

 として再生することができるのだ。

 今回のフェラーリの3Dプリンターの活用方法は、

 製造現場に一つのヒントを与えてくれる取組と言える。
 

  (フェラーリは3Dプリンターで伝説的車種312Pの
   エンジンをたった数週間で復活
 
   3Dプリンターとリバースエンジニアリング
から)



日本は小さなものを作る技術に、目を見張るもの
がありますね。例えば、岡野工業の岡野雅行さん
が発明し、テルモで販売している「痛くない注射針」
がそうです。
「痛くない注射針」については、下記のサイトを
ご覧ください。岡野さんが自ら発明への経緯を
語っています。

現代の発明家から次世代へのリレーメッセージ 第3回
岡野工業株式会社 岡野 雅行さん
「痛くない注射針」
 から



昔のウォークマンや、外部からは見えないスマホ
の主要部品などは、日本の独壇場です。


東京や大阪の下町には、高度な技術力を持った
職人さんが働いている中小企業が、数多くあります。
この人たちの「域」に到達することは容易なことでは
ありません。


しかし、3Dプリンターを活用すれば、可能になる
かもしれません。3Dプリンターの出現で、中小企業
はさらに危機感を強めることになりそうです。


日本と比較すると、米国は大きなものを作ることを
誇りにしています。ロケットや航空機、原子力発電所
などがありますね。民族の気質の違いでしょうか。


3Dプリンターを利用するメリットはどこにあるの
でしょうか?


 3Dプリンターを量産に使う利点は耐久性の

 向上や軽量化だけではない。コスト面のメリット

 も大きい。熟練した技術者が溶接する手間が

 省けるうえ、部品を鋳造する際に欠かせない

 金型も要らなくなる。金属を切削加工する場合

 に出る削りかすなども減り、材料も節約できる。
 

  (P.035)


3Dプリンターを活用することで、GEはさらに先を
見据えて新たな構想を生み出しました。
「マイクロファクトリー(極小工場)」という構想です。


 ネットワーク化された小規模な工場を世界に

 分散させ、3Dプリンターやロボットなどの先端

 技術を活用して、顧客が求める製品を顧客の

 そばで迅速に開発、生産するというものだ。
 

  (P.035)


コンピュータの歴史を辿ると、単体→集中(データ)→
分散(コンピュータやデータ)→統合(データやシス
テム)という流れがありました。


その後、インターネットが普及し、ネットワークという
概念が生まれました。


そして、現在、インターネットと、クラウド・コンピュー
ティング(ビッグデータや情報の保管と活用)、
3Dプリンター(生産技術)、AI(人工知能)を搭載
したロボット(人の代用)を、複合的に組み合わせて
活用することで、世の中が急激に変化しています。


顧客に近い場所で、顧客が要望する製品を、迅速に、
生産することができるようになってきています。
少なくとも海外においては、という条件付きですが。


単純労働はロボットに取って代わり、工場全体が
自動化されているケースもあります。


「未来は明るい」とは言い難い状況に、確実に、
進んでいる、と感じるのは私だけでしょうか?


次のような記事がネット上で見つかりました。


 「われわれがすでに手にしている原始的な

 人工知能は、極めて有用であることが明らか

 になっている。だが、完全な人工知能の開発は

 人類の終わりをもたらす可能性がある」と、

 ホーキング博士は先日、英国放送協会(BBC)

 に語った。「ひとたび人類が人工知能を開発して

 しまえば、それは自立し、加速度的に自らを

 再設計していくだろう」
 

  (人工知能で人類は滅亡する?
  ホーキング博士の警告で議論再燃

  AFPBB NEWS WORLD BIZの記事から)


もちろん、ホーキング博士の意見には賛否両論が
あります。記事を読んだ範囲では、現時点で、
どちらが正しい、とは何とも言えません。




ファストワークス
スタートアップ流で開発を迅速化

まず、「ファストワークス」とは何か、から見ていく
ことにしましょう。


 今、GEでは様々な事業部門で「ファストワークス」

 と呼ばれる経営手法の導入が進んでいる。

 ファストワークスとは文字通り、商品開発などの

 仕事のスピードを加速することを意味する。

 お手本はシリコンバレーのスタートアップ企業だ。
 

  (P.036)

これだけでは、今ひとつ分かりにくいので、もう少し
読んでみましょう。



 新しい製品・サービスを開発する際には、

 作り手の思い込みにより、顧客にとって

 価値のないものを開発してしまうことがある。

 そのために生じる時間、労力、資源、情熱

 などのムダをなくして、顧客が求める製品を

 迅速に生み出そうという考え方だ。
 

  (P.036)


つまり、カスタマイズした製品を作り出そうと
しているのです。


下図をご覧ください。
ファストワークスの概念図です。
番号順に見ていくと、流れがつかめると思います。
顧客との「コラボレーション(協働)」と言っても
過言ではないでしょう。


顧客の声を聞きながら開発<br />ファストワークスの概念図

顧客の声を聞きながら開発
ファストワークスの概念図

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.037)



ファストワークスのという概念が生み出された
背景には、IT企業や新興国企業との競争が
激化してきたことが挙げられます。


 ソフト分野ではIT企業と競争するケースが

 増え、産業機器でも新興国企業との競争も

 激化している、これまでの常識にとらわれて

 開発に長い時間をかけていると、環境や

 顧客のニーズが変化して、製品が時代遅れ

 になってしまうリスクは高まっている。

 そこでGEは、顧客が求める最小限の機能

 を実現した試作品(MVP=ミニマム・バイ

 アブル・プロダクツ)を短期間でまず開発。

 それを顧客に見せて、意見を聞きながら、

 機能やデザインを付加して改良することで、

 製品の開発期間を短縮するような手法に

 シフトしようとしている。
 

  (P.036)


GEの内部でも、悪しき官僚主義がはびこって
きていることに危機感を抱き、改革したいと
考えているのです。


そこが、ファストワークスの概念が生まれた
出発点だったのかもしれません。



 ファストワークスには組織が複雑化しやすく、

 スピードも遅くなりがちな大企業病を克服する

 という狙いもある。「どんな大企業も悪しき

 官僚主義と戦っており、GEも例外ではない。

 ファストワークスでそれを変えたい」(イメルト

 CEO)。
 

  (P.037)


問題は、ファストワークスで迅速に製品化するのは
良いことですが、品質の低下につながらないのか、
という疑問が残ります。


その点について、日本GEのグローバル・イノベー
ションセンター長である大塚孝之氏は、次のように
語っています。


 「ファストワークスだからと言って、GEが販売
 
 する製品が、品質で妥協していいわけでは

 ない。最小限の機能を実現した試作品を見せ

 て、『こういう商品なら買ってもらえますか』と

 お客様に聞いて検証してから製品に仕上げ

 ていく」と大塚氏は説明する。
 

  (P.037)

大塚氏の言葉の端々には、GEの「誇りと使命感」
が漲っている、と強く感じました。



最終回は、「PART 2 人こそ変革の原動力
企業哲学まで刷新」と「PART 3 日本企業
にも好機 GEを使い倒せ」、そして「ジェフ・
イメルト会長兼CEOインタビュー」の模様を
お伝えします。






記事を読んで、面白かったら
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ものづくりの未来を変える GEの破壊力 2014.12.22 <1>



日経ビジネスの特集記事(87)

ものづくりの未来を変える
GEの破壊力
2014.12.22



今週の特集記事のテーマは

絶え間ない自己改革で世界の産業界に君臨して
きた米ゼネラル・エレクトリック(GE)。
そのGEにして、今彼らが挑んでいる変化こそ、
過去最大と言っても過言ではないだろう。
インターネットとソフトウェアによる、抜本的なもの
づくりの刷新。
30万人の社員にスタートアップ精神を植え付ける
ため、企業哲学さえも変えた。
座して製造業の覇権を奪われるくらいなら、自ら
破壊者になる
 (『日経ビジネス』 2014.12.22 号 P.028)

ということです。


凄いことです。
現在、世界の産業界をリードするGEでも、将来までも
今の地位が安泰なわけではない、という強烈な危機感
を抱いていることが、記事を通じて、ひしひしと伝わって
きます。




(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 表紙)




今特集記事のスタートページ

今特集記事のスタートページ

(『日経ビジネス』 2014.12.22 号 PP.028-029)




第1回は、
「序章 共闘する2人の巨人 全産業を変革する」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 1 製造業を激変させる3つの切り札」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 2 人こそ変革の原動力 企業哲学まで刷新」
「PART 3 日本企業にも好機 GEを使い倒せ」
「ジェフ・イメルト会長兼CEO インタビュー」
をご紹介します。




GEについて、私が理解している範囲で解説を
試みます。


GEを創業したのは、ご存じのように「発明王」
のトーマス・エジソンです。


この会社が凄いと思うことの一つは、米国の
景気を示すダウ工業株30種平均(ダウ)が、
設定された当初から一度も外されたことが
ないという事実です。


ダウは、100年以上の歴史を持っています。
100年以上もの間、産業の栄枯盛衰が繰り
返されました。風雪に耐え、勝ち残ってきた
のがGEです。いかに強い会社であるか、
この事実だけでも想像がつくでしょう。


GEは時代の要請に応えるため、自己変革
を繰り返してきました。自己否定しなければ、
生き残ることさえできなかったのです。


GEの伝統は、「前任の経営者のやり方を
否定する」ことにあります。そして、CEO (最高
経営責任者)は10年以上務めることも伝統
です。10数年間の任期中に大きな成果が求め
られます。


イメルト氏は2001年にCEOに就任しています
ので、もう14年間という長期にわたってGEを
指揮しています。


長期間にわたってCEOとして辣腕をふるわなけ
れば、大きな仕事はできない、という共通認識
があるのですね。


今特集記事の最終回に、イメルト氏へのインタ
ビューの一部を掲載します。お楽しみに!


ジェフ・イメルト会長兼CEO (最高経営責任者)
の前任者は、今でも名経営者と言われる、
ジャック・ウェルチ氏です。


ウェルチ氏は、何名かの後継者候補に子会社を
経営させ、実績を競わせたのです。
それもGEの伝統でした。
その結果、イメルト氏を後継者に任命しました。


CEOの最後の一番大きな仕事は、後継者選びに
ある、と言われています。


自分のやり方を踏襲してくれる人物を後継者に
選ぶのではなく、将来に向けて企業を成長させ
続けられる可能性の高い人物を選ぶのです。


優れた後継者選びができれば、後に選任者が
評価されることになるからです。


日本でよく見るような、子飼いの部下を後継者に
選び、会社を傾けさせるような愚を犯さないため
です。


GEは、お題目ではなく、「社員こそが財産だ」、
という明確なコンセプトに則り、エリート教育を
実践しています。


その具体的な教育システムは、
「PART2 人こそ変革の原動力 企業哲学まで
刷新」
で取り上げます。



P・F・ドラッカーは、『ネクスト・ソサエティ』の中で、
GEのCEO (最高経営責任者)在任中のジャック・
ウェルチ氏を高く評価して、次のように書いて
います。


 GEのジャック・ウェルチは短期の業績を綿密に

 チェックしていた。ただし彼のいう短期とは半年

 ではなく3年だった。そして同時に、人事をはじめ

 長期的な視点からマネジメントしていた。知力戦略

 と呼んでもよいものだ。

 これはGEだからできたことでもあった。GEでは、

 1920年代に近代的な財務戦略を確立していた。

 30年代には人材育成の観点からの人事戦略を

 確立していた。ウェルチはGEの伝統に立っていた。

 毎月167の事業に目を通しつつ、7年後を見据え

 た人事を行なっていた。
 

  (『ネクスト・ソサエティ』 P・F・ドラッカー
  上田惇生 訳 ダイヤモンド社 2002年5月23日
  第1刷発行 PP.134-135)


米国の企業は短期的利益しか関心がない、とよく
言われますが、ジャック・ウェルチ氏は当てはまり
ませんでした。短期と長期のバランスを考え、
経営していたのです。


私の拙い解説はこのあたりにして、
本題に入りましょう!



序章 共闘する2人の巨人
全産業を変革する


共闘する2人の巨人とは、イメルト氏と、
ソフトバンク社長の孫正義氏です。


二人の出会いは約15年前に遡るそうです。
イメルト氏がまだGEのトップの「後継者候補」
の1人に過ぎなかった頃だそうです。


 日米の産業界を代表する両社(GEと

 ソフトバンク 註:藤巻隆)が提携へと
 
 動き出したのはその(今年7月 註:藤巻)

 約8カ月前、2013年の晩秋のある朝の

 ことだ。


 孫が都内に会食に招いたのは、GEの
 
 会長兼CEO (最高経営責任者)、ジェフ・

 イメルトだ。約15年前、イメルトがまだ

 GEの次期CEO候補だった当時に知り

 合った2人は、これまでも会合やゴルフ

 を重ねて親交を深めてきた間柄。

 しかし、この日、イメルトが切り出したある

 話題に、孫の目はいつにも増して輝いた。

 「インダストリアル・インターネットを広め

 たいと思っている。マサさん、一緒にやら

 ないか」。

 孫は、二つ返事で応じた。「ぜひ手伝わせ

 てほしい。我々が組めば一気に顧客を増や

 せる」。
 

  (P.030)


即断即決は、孫さんの真骨頂です。
ツイッターで質問や提案があれば、すぐに応じ、
良い提案であればすぐに実行することは
よく知られています。


それにしましても、孫さんの人脈は、
目を見張るものがありますね。
私が知っているだけでも、ビル・ゲイツ、
スティーブ・ジョブズ、ルパート・マードックが
います。


さらに、GEのイメルト氏とも面識があったとは。
孫さんには、「先見の明」があります。
イメルト氏との個人的な交流が、大きな事業に
結びついたのです。



今特集記事のキーワードは、
インダストリアル・インターネット
です。

IoT(モノのインターネット化)という言葉が、
最近の流行語かと思っていましたが、
イメルト氏はその先を構想していたのです。


間違いです。構想ではなく、すでに着手して
いました。


あらゆるモノをインターネットでつなげることも
凄いことですが、イメルト氏の考え方は産業を
インターネットでつなぐというもので、スケール
の大きさが違います。


では、インダストリアル・インターネットとは、
どんなものなのでしょうか?
「日経ビジネス」取材班は、次のようにまとめて
います。


 主力のエンジンやタービン、鉄道車両など

 に無数のセンサーを組み込み、顧客の

 現場での稼働状況をリアルタイムに監視。

 その膨大なデータを解析し、故障の予防

 や稼働効率の向上につなげるのが、

 インダストリアル・インターネットだ。
 

  (P.030)



つまり、ビッグデータを解析し、そこから導き
出された情報を活用し、監視したり、故障を
予防したりすることです。


ハードウェアではなく、ソフトウェアに重点を置く
考え方です。


ただ、疑問に思ったのは、GEは産業機器の
メーカーですから、ハードウェアが主力の会社
だったはずです。それがどうして?


 ハードウェアとしての機器を売るのが

 製造業の第1段階、製品の販売後も

 保守などで稼ぐ“サービス化”が第2

 段階とすれば、インダストリアル・イン

 ターネットはGEにとって3度目の抜本

 的な事業モデル刷新と言える。

 データ解析とソフトウェアの力で製品や

 サービスの顧客価値を飛躍的に高める、

 文字通りのものづくり革命なのだ。
 

  (P.030)



つまり、ソフトウェアを活用して、ハードウェア
の潜在能力を引き出すことが可能になった
ということです。


言い換えますと、ハードウェアの能力を十分に
使いこなしてこなかったということになります。


GEがソフトウェアに軸足を移しつつあるのは、
危機感の現れである、と「日経ビジネス」は
指摘しています。


 GEを自己変革に突き動かすもの。それは、

 この20年間、ネットとソフトが消費者向け

 産業にもたらした破壊的インパクトへの

 危機感に他ならない。
 

  (P.031)



危機感や恐怖感を抱いていたのは、
GEだけではなく、ソフトバンクも同じだった
のです。


 激変する市場への恐怖感は、ソフトバンク

 にも共通する。国内の通信事業で高収益

 を上げる同社だが、これから待ち受けるの

 は、機械やクルマなどあらゆるモノがネット

 につながる世界。端末や接続方式が乱立

 する新市場で、携帯通信事業者にこれまで

 の居場所が残る保証はどこにもないのだ。


 歴史の長さこそ違えども、共に創業以来

 幾度となく自己変革を繰り返してきた企業の

 トップとして、孫とイメルトの間には共鳴する

 ものがあったに違いない。 
 

  (P.031)



ビッグデータの解析は、大きな産業になりつつ
あります。いや、もうなっているかもしれません。


GEの野望がはっきり姿を現したといっていい、
と思います。今世紀もGEが君臨する――。


 センサーから集まるビッグデータの価値は、

 機械の保守や効率改善にとどまらない。

 食品や日用品のメーカー、インフラ企業など

 あらゆる業種で、在庫や物流の最適化、

 需要予測に威力を発揮し得る。そこでの解析

 を通じて、GEには様々な業界のノウハウが

 集まってくる。その蓄積は将来、GEのもの

 づくりをさらに輝かせるだろう。
 

  (P.31)



GEの変革は製造業の定義を根底から見直す
ものである、と「日経ビジネス」は述べています。


 トーマス・エジソンの創業から130年余り。

 常に「自らを変える」ことで産業界に君臨

 し続けてきたGEが挑むものづくりの刷新

 は、製造業の定義を根底から見直す大胆な

 変革だ。 
 

  (P.031)



21世紀は、20世紀以上に価値観や、ものづくり
の変革のスピードが速く、一度世界の覇者になっ
ても、長期にわたって安泰でいられる時代では
ない、と言えるでしょう。


昨日まで誰も知らなかった会社や人物が、
世界を制することができる時代になったとも
言えます。


真の意味で、可能性が∞(無限大)になったの
です。


その一方で、多くの会社や人々が存在しなくなる、
死屍累々の時代にもなったことを忘れてはなり
ません。


格差どころか、極端な二極化が起こることでしょう。
優勝劣敗がはっきりするのです。


一夜にして「勝ち組」が「負け組」になることは、
ごく普通のこととなり、その逆もあり得るのです。


今お話ししたことは、私の個人的な見解で、
「日経ビジネス」はそこまでは書いていません。



次回は、「PART 1 製造業を激変させる
3つの切り札」をご紹介します。
ご期待下さい!






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環太平洋 30億人経済圏を 攻略せよ 2015年メガFTA始動 2014.12.15 <3>



日経ビジネスの特集記事(86)

環太平洋 30億人経済圏を
攻略せよ 2015年メガFTA始動
2014.12.15



今週の特集記事のテーマは

地中海は過去の海、大西洋は現在の海、
そして太平洋は将来の海――。
100年以上前から言われてきた世界がついに
現実のものになろうとしている。
高い潜在成長性、活発化する域内貿易、
伸び続ける人口・・・。
難航するTPP交渉をよそに、環太平洋経済圏
の現実は先を行く
 (『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.029)

ということです。


環太平洋 30億人経済圏を<br />攻略せよ 2015年メガFTA始動

環太平洋 30億人経済圏を
攻略せよ 2015年メガFTA始動

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 表紙)




今特集記事のスタートページ

今特集記事のスタートページ

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 PP.028-029)




第1回は、「PROLOGUE 幻と化す新幹線
輸出」と「PART 1 大動脈から毛細血管へ」
を取り上げました。


第2回は、「PART 2 世界の6割握るのは誰」
を取り上げました。


最終回は、「PART 3 日本企業が挑む3つの
攻め手」をご紹介します。



初回、メキシコで遭遇した中国と日本との越え
がたい価格差などの動きが拡大すればどう
なるのか、「日経ビジネス」取材班は、次のように
述べていました。


 国という単位は経済活動においてそれほど

 大きな意味をなさなくなり、さながら一つの

 巨大な「太平洋国」の中の競争であるように、

 地域や都市の単位で需要とプレーヤーが

 結び合うことになるだろう。
 

  (P.031)


上記の解説を読んで思い浮かんだのは、
大前研一さんが19年前(1995年)に書いた
『地域国家論』(原題は The End of the Nation
State)(大前研一 山岡洋一・仁平和夫 訳
講談社 1995年3月2日 第1刷発行)
に書かれていたことです。


今特集記事を読み解くために、重要なポイント
と考えていますので、再再掲します。


現在の世界情勢を預言したと言ってもよい
でしょう。


もっとも、大前さんは「私は預言者ではない。
世界の動きをつぶさに見ていれば、必然的に
そうならざるを得ない」と言うかもしれません。


出版当時、大前さんが指摘した状況に、
世界も日本も追いついていなかった、
と言えるかもしれません。


以来、約20年たった今日、世界も日本も、
大前さんが指摘した状況に、ようやく追い
ついてきたとも言えます。


『地域国家論』に書かれていることの一部を
ご紹介しましょう。抜粋を読んでいただけば、
「日経ビジネス」の今特集記事を深く理解できる、
と思います。少し長くなりますが、じっくりお読み
ください。


 私はグローバル経済の性格を決める

 「4つのC」の流れを見る方法を提唱

 する。1番目のCは、キャピタル(資本)。

 資本はもはや地理的な拘束を受けない。

 世界のどこであろうと、魅力的な投資

 機会があれば、カネが流れ込んでくる。

 そして、その大半は「民間の」資金だ。

 2番目のCは、コーポレーション(企業)。

 魅力的な市場や顧客があれば、魅力的

 な資源があれば、どこへでも出ていこう

 と考える。また、そうしなければ生き残れ

 ない。

 もちろん、企業が動けば、資金もいっしょに

 動く。それ以上に重要なのは、技術と経営

 ノウハウが移転されることだろう。

 資本と企業が動きやすくなったのは、3番目

 のC、コミュニケーション(情報)技術の発達
 
 によるところが大きい。企業はいまや、進出

 する国ごとに大がかりな事業組織をつくらな

 くても、世界の各地で事業を展開できるよう

 になった。

 4番目のC、コンシューマー(消費者)もグロー

 バル化が進んでいる。

 どこの国の製品だろうがおかまいなく、消費者

 はもっともよい製品、もっとも安い製品を買おう

 とする。ふところと相談して、自分の好きなもの

 を買う。

 以上説明してきた4つのCの国境をまたいだ

 動きによって、ふさわしい規模をそなえた経済

 単位を持つ地域なら、世界のどこに位置しようと、

 発展に必要なものを何でも手に入れられるように

 なった。

 4つのCの自由な動きによって、主権国家の

 「仲介者」の役割は時代遅れになったのだと

 すれば、グローバルな交渉のテーブルにつき、

 グローバルな解決策を見つけられる経済単位

 は、人為的、政治的な国境にとらわれず、経済

 がうまくいき、市場が繁栄している地域になる。

 私はそうした単位を「地域国家(リージョン・

 ステート)」と呼んでいる。

 地域国家とは、政治的な境界に関わりなく、

 今日のグローバル経済の中で繁栄していくのに

 適切な規模を持った「自然な経済単位」のことで

 ある。グローバル・ワールドで問題になるのは、

 そうした経済単位の境界と関係である。

 主権国家は経済単位としては不自然なものに

 なってしまった。経済単位として機能しなくなった

 と言ってもいい。その一方で、地域国家はグロー

 バル経済への出入口として非常にうまく機能して

 いる。
 

  (上掲書 PP.19-23)


『地域国家論』で、大前さんは「地域国家」という
概念を世界で初めて提示しました。
19年前のことですよ!


大前さんが述べていることは、現在、世界中で
確認できることばかりです。今特集記事でも
確認できるでしょう。


私が、『地域国家論』を読んだ当時、今ひとつ
ピントきませんでしたが、20年近くたって読み
直してみると、大前さんが述べていたことがよく
理解できるようになりました。


「なるほど。こういうことだったのか」と腑に落ちる
ことがあります。


「日経ビジネス」は一つの言葉を提示します。
今特集を象徴する「言葉」と言ってもよいでしょう。


 地中海は過去の海、大西洋は現在の海、

 そして太平洋は「将来の海」と言われる。

 環太平洋経済圏――自由貿易の海が、

 今まさに、目の前に姿を現し始めている。
 

  (P.031)




PART 3 日本企業が挑む3つの攻め手

攻め手 1 意外な土地を「ハブ」と定める

古河電気工業

「ハブ」と「スポーク」という表現がビジネス書に
出てきます。どちらも自転車の車輪の構造から
出てきた言葉です。


本体とつながった中央の軸が「ハブ」です。
「スポーク」はその「ハブ」から放射状に広がっ
た部品です。


「ハブ空港」という言葉を聞いたことがあると
思います。その空港から世界各地の空港に
放射状につなぐ拠点となる空港のことです。


そこで「ハブ」の話になります。


 思いもよらないところに「ハブ」の最適地が

 ある。

 コロンビア第3の都市、カリ。かつてはライ

 バルの麻薬シンジケート、メデジン・カルテル

 と覇を競ったカリ・カルテルの本拠地として

 悪名高い一方、85年前、日本からの移民が

 初めてコロンビアに入植した場所でもある。

 通信ケーブル大手の古河電気工業は、日本

 にゆかりのあるこの土地を、環太平洋市場を

 攻略するハブに定めた。

 ここで今年7月、生産を始めたのが高速インター

 ネット通信に使われる光ファイバーケーブルだ。
 

  (P.041)

コロンビアといえば、麻薬取引の拠点と南米サッ
カーの強豪チームというイメージですね。


ブラジルW杯でコロンビアと同組に入った日本が、
コロンビアに完敗したことは、記憶に新しいことです。


そのコロンビアに古河電気工業は光ファイバーケー
ブルの生産拠点に定めました。


その理由を「日経ビジネス」はコロンビア人の気質と、
ロケーション、そして実質GDP成長率の高さにある
としています。


 コロンビアはラテン気質ながら比較的勤勉な

 人が多い土地柄とされ、生産体制作りは当初

 の想定以上にスムーズに進んだ。2年程度は

 かかると考えていた3交代制の勤務体系導入

 は、前倒しで来年3月までに実現できる見通し。

 これによって、生産能力は今の1.5倍の1万

 2000kmに伸びる。

 中南米では、通信インフラの本格整備はまだ

 これから。アルゼンチンを除くと、ブロードバンド

 接続の普及率は15%未満にとどまる。


 「今後10年、中南米ではブロードバンドの整備

 計画が安定的に続く。コロンビア工場の稼働で、

 中南米の太平洋側をカバーする」。本社の執行

 役員で、中南米を統括するブラジル法人社長の

 ホアジ・シャイクザデー氏は話す。


 最終的にコロンビアに決めた理由は何か。

 まず、経済基盤が弱い国が多い中南米の中で、

 比較的安定した成長を続けていることだ。

 GDP(国内総生産)はブラジル、アルゼンチンに

 続く南米3位の規模。リーマンショック後もマイナス

 成長にならないしぶとさを見せた。


 かつて懸案だった治安の悪さは、政府の対策が

 効果を上げ、少なくとも都市部では大幅に改善

 している。

 外資系企業に適した環境も整っている。規制や

 税制は企業寄りとされ、世界銀行が毎年発表する

 ビジネスのしやすさランキングでは中南米トップの

 34位。


 そして、太平洋に面していることが大きい。

 最終的にカリを選んだ理由は、海路での輸出拠点

 となるブエナ・ベントゥーラ港までの道路が整備され、

 太平洋に出るまでの距離が120kmと近かったことだ。
 

  (P.041)


コロンビアから太平洋岸を攻める

コロンビアから太平洋岸を攻める

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.041)





攻め手 2 アウェーの勝ち馬に乗る

三井物産

今まさに良い流れが来ている時に、「勝ち馬に乗る」
というのは、投資にかぎらず、事業を行なう際にも
タイミングを逃してはならないものです。
チャンスをしっかりものにすることが大切です。
判断・決断・断行の3断跳びができるかどうかです。



 海外の合弁相手などが持つネットワークや

 ノウハウを、進出国でのビジネスにとどまらず、

 その周辺地域の攻略にも活用し尽くす。

 これが、環太平洋市場を開拓する近道だ。
 

  (P.042)


三井物産はそのタイミングを逃しませんでした。
メキシコで実績を積んだ海外の企業をパートナー
として活用し、下水処理施設事業に参入したの
です。


 アトラテック社はメキシコの有力水処理企業

 で、2008年7月に東洋エンジニアリングと

 共同で三井物産が傘下に収めた。


 中南米でこれから中間層が拡大すれば、

 国民はより良い生活環境を求める。各国の

 政府はインフラ事業に税収を投じ、その期待

 に応える。上下水道の整備は、その柱の一つ

 である。


 イダルゴ州アトトニルコで現在、世界最大の

 下水処理場が建設中だ。東京ドーム約35個分

 の敷地には、浄化設備が一面に並び、小高い

 丘には汚泥埋め立て用地が広がる。アトラテック

 は施設建設の管理に加え、今後25年間の下水

 処理サービスを請け負った。

 処理能力は日量約360万トン。メキシコシティと

 その郊外を含む人口2000万人分の家庭排水

 のうち、6割をこれで浄化できる。
 

  (P.043)


来年2月に完成を予定している<br />世界最大の下水処理場

来年2月に完成を予定している
世界最大の下水処理場

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.043)



三井物産はかつてイラン石化事業で巨額な損失
を被った過去があります。事業に参入するスピード
も大事ですが、状況が悪化する見込みが高い場合
には、事業から撤退するスピードも大事です。


そうした失敗の経験から学んだノウハウを蓄積し、
新たな事業に生かしてきたのだ、と思います。


イラン・ジャパン石油化学について、あるサイトに
次のように書いてあります。


 イランの石油と日本ということではさらに忘れられ

 ないケースがある。1970年ごろから89年までに

 及ぶIJPC、つまり「イラン・ジャパン石油化学」の

 大事業の破綻である。三井物産が中心になって

 進めたものの、まったく実を結ばず、1300億円の

 清算金まで払って幕を閉じたイランでの日本の

 石油化学プロジェクトだった。
 

  (甦るIJPC(イラン・ジャパン石油化学)の悪夢
  SAFTY JAPANのサイトから)


パートナー選びは、事業においてもとても重要な
ポイントです。


 環太平洋の中でも日本とのつながりは濃淡が

 ある。日本企業にとってアジア市場が「ホーム」

 とすれば、中南米市場は「アウェー」だ。

 日本企業がいきなりアウェーに乗り込んでも、

 顧客をつかむのは難しい。まず現地に詳しい

 パートナーとの関係を深め、市場開拓の先兵役

 になってもらうことが大切だ。
 

  (P.044)




攻め手 3 サプライチェーンを組み直す

イオン

イオングループの出店攻勢はすさまじいです。
ただ、イオンにはセブン&アイホールディングス
のセブンイレブンのようなコンビニはありません。


そのため、「まいばすけっと」のようなコンビニと
スーパーの中間にあたる店舗の出店を加速して
います。しかし、いずれ飽和してくるでしょう。


そこで、イオンはアジア市場に進出し、日本国内
での戦略と異なる、イオンの大型店を出店して
います。


カンボジアに進出した「イオンモール」が紹介されて
います。記事を読んでみましょう。


 今年6月30日、カンボジアの首都・プノンペン

 でショッピングモール「イオンモール」が開店

 した。家電から衣類、食品まで同国初出店の

 テナントを取りそろえ、延べ床面積10万㎡を

 超える同国最大のモールだ。

 小売業が未発達で、「モノ」が不足している

 カンボジアにあって、その豊富な品ぞろえは

 瞬く間に話題を集めた。連日、客足が途絶え

 ることはない。


 イオンは郵船ロジスティックスに協力を仰ぎ、

 周辺国からまるで日本国内のように、それぞれ

 の商品に適した温度帯を保ったトラックで国際

 ピストン輸送する体制を整えた。


 経済の一体化が進む中で、「国」単位ではなく、

 「域内」という単位で物流網を構築できる時代を

 迎えつつある。イオンが東南アジアに構築した

 先端物流網は、それを先取りしたような取り組み

 と言える。そのノウハウは、輸送距離が格段に

 長くなる環太平洋サプライチェーンにも生かせる

 だろう。
 

  (P.045)



生鮮食品を国際ピストン輸送
イオンモール(プノンペン)の食品流通経路

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.044)



「日経ビジネス」は特集記事の最後で、次のように
まとめています。


 関税障壁がなくなり、環太平洋が「1つの国」

 のようになれば、資材・原料調達から生産、

 販売に至るまで、これまでの常識は大きく

 変わる。そんな将来像を具体的に描きなが

 ら、今から動き出せるかどうかが、グロー

 バル市場での勝敗を分けるようになる。

 太平洋はこれからも、ますます「小さく」なって

 いくはずだからだ。
 

  (P.045)


最後に、もう一度、大前研一さんが『地域国家論』
の中で語ったことを確認しておきましょう。


 グローバルな解決策を見つけられる経済単位

 は、人為的、政治的な国境にとらわれず、経済

 がうまくいき、市場が繁栄している地域になる。

 私はそうした単位を「地域国家(リージョン・

 ステート)」と呼んでいる。

 地域国家とは、政治的な境界に関わりなく、

 今日のグローバル経済の中で繁栄していくのに

 適切な規模を持った「自然な経済単位」のことで

 ある。グローバル・ワールドで問題になるのは、

 そうした経済単位の境界と関係である。

 主権国家は経済単位としては不自然なものに

 なってしまった。経済単位として機能しなくなった

 と言ってもいい。その一方で、地域国家はグロー

 バル経済への出入口として非常にうまく機能して

 いる。
 

  (上掲書 PP.22-23)






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




環太平洋 30億人経済圏を 攻略せよ 2015年メガFTA始動 2014.12.15 <2>



日経ビジネスの特集記事(86)

環太平洋 30億人経済圏を
攻略せよ 2015年メガFTA始動
2014.12.15



今週の特集記事のテーマは

地中海は過去の海、大西洋は現在の海、
そして太平洋は将来の海――。
100年以上前から言われてきた世界がついに
現実のものになろうとしている。
高い潜在成長性、活発化する域内貿易、
伸び続ける人口・・・。
難航するTPP交渉をよそに、環太平洋経済圏
の現実は先を行く
 (『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.029)

ということです。


環太平洋 30億人経済圏を<br />攻略せよ 2015年メガFTA始動

環太平洋 30億人経済圏を
攻略せよ 2015年メガFTA始動

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 表紙)




今特集記事のスタートページ

今特集記事のスタートページ

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 PP.028-029)




第1回は、「PROLOGUE 幻と化す新幹線
輸出」と「PART 1 大動脈から毛細血管へ」
を取り上げました。


第2回は、「PART 2 世界の6割握るのは誰」
を取り上げます。


最終回は、「PART 3 日本企業が挑む3つの
攻め手」をご紹介します。



前回、メキシコで遭遇した中国と日本との越え
がたい価格差などの動きが拡大すればどう
なるのか、「日経ビジネス」取材班は、次のように
述べていました。


 国という単位は経済活動においてそれほど

 大きな意味をなさなくなり、さながら一つの

 巨大な「太平洋国」の中の競争であるように、

 地域や都市の単位で需要とプレーヤーが

 結び合うことになるだろう。
 

  (P.031)


上記の解説を読んで思い浮かんだのは、
大前研一さんが19年前(1995年)に書いた
『地域国家論』(原題は The End of the Nation
State)(大前研一 山岡洋一・仁平和夫 訳
講談社 1995年3月2日 第1刷発行)
に書かれていたことです。


今特集記事を読み解くために、重要なポイント
と考えていますので、再掲します。


今日の世界情勢を預言したと言ってもよい
でしょう。


もっとも、大前さんは「私は預言者ではない。
世界の動きをつぶさに見ていれば、必然的に
そうならざるを得ない」と言うかもしれません。


出版当時、大前さんが指摘した状況に、
世界も日本も追いついていなかった、
と言えるかもしれません。


以来、約20年たった今日、世界も日本も、
大前さんが指摘した状況に、ようやく追い
ついてきたとも言えます。


『地域国家論』に書かれていることの一部を
ご紹介しましょう。抜粋を読んでいただけば、
「日経ビジネス」の今特集記事を深く理解できる、
と思います。少し長くなりますが、じっくりお読み
ください。


 私はグローバル経済の性格を決める

 「4つのC」の流れを見る方法を提唱

 する。1番目のCは、キャピタル(資本)。

 資本はもはや地理的な拘束を受けない。

 世界のどこであろうと、魅力的な投資

 機会があれば、カネが流れ込んでくる。

 そして、その大半は「民間の」資金だ。

 2番目のCは、コーポレーション(企業)。

 魅力的な市場や顧客があれば、魅力的

 な資源があれば、どこへでも出ていこう

 と考える。また、そうしなければ生き残れ

 ない。

 もちろん、企業が動けば、資金もいっしょに

 動く。それ以上に重要なのは、技術と経営

 ノウハウが移転されることだろう。

 資本と企業が動きやすくなったのは、3番目

 のC、コミュニケーション(情報)技術の発達
 
 によるところが大きい。企業はいまや、進出

 する国ごとに大がかりな事業組織をつくらな

 くても、世界の各地で事業を展開できるよう

 になった。

 4番目のC、コンシューマー(消費者)もグロー

 バル化が進んでいる。

 どこの国の製品だろうがおかまいなく、消費者

 はもっともよい製品、もっとも安い製品を買おう

 とする。ふところと相談して、自分の好きなもの

 を買う。

 以上説明してきた4つのCの国境をまたいだ

 動きによって、ふさわしい規模をそなえた経済

 単位を持つ地域なら、世界のどこに位置しようと、

 発展に必要なものを何でも手に入れられるように

 なった。

 4つのCの自由な動きによって、主権国家の

 「仲介者」の役割は時代遅れになったのだと

 すれば、グローバルな交渉のテーブルにつき、

 グローバルな解決策を見つけられる経済単位

 は、人為的、政治的な国境にとらわれず、経済

 がうまくいき、市場が繁栄している地域になる。

 私はそうした単位を「地域国家(リージョン・

 ステート)」と呼んでいる。

 地域国家とは、政治的な境界に関わりなく、

 今日のグローバル経済の中で繁栄していくのに

 適切な規模を持った「自然な経済単位」のことで

 ある。グローバル・ワールドで問題になるのは、

 そうした経済単位の境界と関係である。

 主権国家は経済単位としては不自然なものに

 なってしまった。経済単位として機能しなくなった

 と言ってもいい。その一方で、地域国家はグロー

 バル経済への出入口として非常にうまく機能して

 いる。
 

  (上掲書 PP.19-23)


『地域国家論』で、大前さんは「地域国家」という
概念を世界で初めて提示しました。
19年前のことですよ!


大前さんが述べていることは、現在、世界中で
確認できることばかりです。今特集記事でも
確認できるでしょう。


私が、『地域国家論』を読んだ当時、今ひとつ
ピントきませんでしたが、20年近くたって読み
直してみると、大前さんが述べていたことがよく
理解できるようになりました。


「なるほど。こういうことだったのか」と腑に落ちる
ことがあります。


「日経ビジネス」は一つの言葉を提示します。
今特集を象徴する「言葉」と言ってもよいでしょう。


 地中海は過去の海、大西洋は現在の海、

 そして太平洋は「将来の海」と言われる。

 環太平洋経済圏――自由貿易の海が、

 今まさに、目の前に姿を現し始めている。
 

  (P.031)




PART 2 世界の6割握るのは誰

「環太平洋経済圏は世界経済の6割を占める」
(P.036)そうです。このパイを我が物にするために
各国がしのぎを削っています。


私は、10年以内に決着がつくと考えています。
TPP(環太平洋経済連携協定)は、2015年早々
にも米国主導でまとまると見られています。


日本の立場はかなり厳しいものになるでしょう。
それはさておき、米中のせめぎ合いは一層激化し、
環太平洋経済圏のシェアの多くは米中が握ること
になるのは、ほぼ確実です。


では、日本はその次を占めることができるでしょうか?
現況を見ると非常に難しいと言わざるを得ません。
アジア地域を見ますと、新・新興国の台頭が著しく、
日本に迫ってきています。


ここで注目すべきは、TPPは米国が主導し、
FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)は中国が主導
していることです。


米中の綱引きが激化するだけでなく、環太平洋
経済圏にある国々をいかに取り込めるかで、
大勢が決します。


日本はTPPとFTAAPの構成国ですが、脇役に甘ん
じるしかないでしょう。もっとも、脇役が主役を食って
しまうことがない、とは言い切れません。映画や舞台
の世界で実際に起きているように。



まず、下図をご覧ください。
● FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)
● TPP(環太平洋経済連携協定)
● ASEAN(東南アジア諸国連合)
● 太平洋同盟
● TTIP(環大西洋貿易投資協定)
の5つの自由貿易圏があります。




(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 PP.036-037)



画像が小さいため、主要部分を書き出します。

北京APECで中国が推進を    域内貿易額 5兆1520億ドル
主張                  域内GDP   42兆5255億ドル  
FTAAP                域内人口   28億6120万人
(アジア太平洋自由貿易圏)    構成国・地域
                     オーストラリア、ブルネイ、カナダ、
2025年を妥結目標に掲げる   インドネシア、日本、米国、マレー
ように中国が動く          シア、ニュージーランド、フィリピン、
                     シンガポール、タイ、韓国、台湾、
                     中国、香港、メキシコ、パプア
                     ニューギニア、チリ、ペルー、ロシ
                     ア、ベトナム、モンゴル

米国が主導             域内貿易額 2兆152億ドル
交渉は最終段階           域内GDP   27兆5720億ドル  
TPP                  域内人口   8億1431万人
(環太平洋経済連携協定)     構成国・地域
                     オーストラリア、カナダ、日本、米国、
                     マレーシア、ニュージーランド、シン
                     ガポール、ベトナム、ブルネイ、メキ
                     シコ、ペルー、チリ
                     
設立から47年            域内貿易額 3288億ドル
日本とも深い関係           域内GDP   2兆5260億ドル  
ASEAN                 域内人口   6億2483万人
(東南アジア諸国連合)        構成国・地域 
                      インドネシア、カンボジア、シンガ
                      ポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、
                      ベトナム、マレーシア、ミャンマー、
                      ラオス

南米の新興国群           域内貿易額 271億ドル
日本を含む30カ国が        域内GDP   2兆3990億ドル
オブザーバー国            域内人口   2億3014万人          
太平洋同盟              構成国・地域
                      メキシコ、コスタリカ、チリ、ペルー、
                      コロンビア、パナマ
                      
米欧がアジアに対抗         域内貿易額 4兆3338億ドル
                      域内GDP   33兆5256億ドル  
TTIP                   域内人口   8億3306万人
(環大西洋貿易投資協定)      構成国・地域 
                       メキシコ、コスタリカ、チリ、ペルー、
                       コロンビア、パナマ


出所:域内貿易額は国際通貨基金(IMF)
    「Direction of Trade Statistics」、
    域内GDPはIMF「World Economic
    Outlook」、域内人口は国連
    「World Population Prospects:
    The 2012 Revision」の中位推計値


5つの自由貿易圏を比較しますと、FTAAPが
最も規模が大きく、TTIPが続いています。
TPPは3番目の規模ということになります。


何と言いましても、米中の動きが一番気になる
ところです。中国はFTAAPを主導し、有利に
展開したいという目論みを持っています。


一方、米国は右手にTTP、左手にTTIPという
太平洋と大西洋を制覇したいという野望を抱い
ています。TPPとTTIPを合わせれば、FTAAPに
規模で勝るからです。両国とも「したたか」です。


そんな「したたか」な米中が、「11月11日に北京
で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)
が終了後、中国の習近平・国家主席はバラク・
オバマ米大統領と10時間、意見交換した」(P.036)
そうです。


どんな内容であったかは、当事者しか分かりません
が、「したたか」な二人ですから、米中双方にとって
プラスになることを話し合ったに違いありません。


しかし、その一方で米国は中国を全面的に信用して
いるわけではない象徴的な出来事がありました。
「日経ビジネス」の記事を読んでみましょう。


 オバマ大統領と習国家主席が長時間会議で

 友好を演出する一方、米国大使館で隠れる

 ように開かれたTPP会合。北京でのAPECに

 合わせて行われた2つの会議が、現在の米中

 両国の微妙な関係を象徴している。 
 

  (P.036)


ここで注目すべきポイントは、米国はFTAAPにも
TTP(TTIPも含め)にも参加していますが、中国は
FTAAPにしか参加していないことです。


中国はFTAAPにしか参加していませんから、
その枠組の中で主導権を握りたいのです。


 透けて見えてくるのは、これまでにない巨大な

 経済圏の主導権をどちらが握るかという、大国

 間の激しい綱引きだ。
 

  (PP.037-038)


環太平洋経済圏の人口は2030年までに<br />2億人以上増える<br />環太平洋経済圏のGDPは2018年には<br />60兆ドル近い規模に

環太平洋経済圏の人口は2030年までに
2億人以上増える
環太平洋経済圏のGDPは2018年には
60兆ドル近い規模に

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.039)




 TPP、ASEAN、太平洋同盟などに名を連ねる

 28の国・地域のGDP4の合計は、ここ10年で

 2倍近くに伸びている。

 さらに、人口は2030年までに2億5000万人

 ほど増えるとの予測が出ている。米国と欧州

 連合(EU)の間で交渉しているTTIP(環大西洋

 貿易投資協定)の人口増が5000万人弱なの

 と比べると、成長力の高さが分かる。
 

  (P.039)


今まで米中両国を中心に「日経ビジネス」の記事に
基づいてお話してきました。
では、日本は指を咥えて待っているしかないので
しょうか? 
「日経ビジネス」はこう伝えています。


 環太平洋経済圏の誕生は、日本にとっても

 大きな意味がある。現在、日本の全輸出額

 に占める環太平洋経済圏(日本を除く27の

 国と地域)向け輸出の割合は8割。その内訳

 を見ると、米国と中国向けで4割弱を占める。

 米中の経済規模を考えると、当然とも言える

 かもしれないが、いわゆる経済の“動脈”に

 頼る部分が大きいことを示す。多様な国や

 地域が集まる環太平洋経済圏の潜在力を、

 まだ十分に生かし切れていないと見ることも

 できる。
 
 
 人口減が進み、資源も乏しい日本にとって、

 貿易などによる他国との経済的なつながり

 はこれまで以上に重みを増す。環太平洋

 経済圏の活用に、消極的であっていいはず

 はない。
 

  (P.039)



最終回は、「PART 3 日本企業が挑む
3つの攻め手」をご紹介します。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




環太平洋 30億人経済圏を 攻略せよ 2015年メガFTA始動 2014.12.15 <1>



日経ビジネスの特集記事(86)

環太平洋 30億人経済圏を
攻略せよ 2015年メガFTA始動
2014.12.15



今週の特集記事のテーマは

地中海は過去の海、大西洋は現在の海、
そして太平洋は将来の海――。
100年以上前から言われてきた世界がついに
現実のものになろうとしている。
高い潜在成長性、活発化する域内貿易、
伸び続ける人口・・・。
難航するTPP交渉をよそに、環太平洋経済圏
の現実は先を行く
 (『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.029)

ということです。


環太平洋 30億人経済圏を<br />攻略せよ 2015年メガFTA始動

環太平洋 30億人経済圏を
攻略せよ 2015年メガFTA始動

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 表紙)




今特集記事のスタートページ

今特集記事のスタートページ

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 PP.028-029)




第1回は、「PROLOGUE 幻と化す新幹線
輸出」と「PART 1 大動脈から毛細血管へ」
を取り上げます。


第2回は、「PART 2 世界の6割握るのは誰」
を取り上げます。


最終回は、「PART 3 日本企業が挑む3つの
攻め手」をご紹介します。



PROLOGUE 幻と化す新幹線輸出
意外なところから崩される日本の足場


最初の事例として、メキシコシティの現況が
伝えられています。


私たちは、メキシコにはあまり関心を持ちま
せんし、メディアで報道されることもあまり
ありません。


今、そのメキシコシティの片田舎に高速鉄道
建設プロジェクトが進行しています。


そのプロジェクトに日本企業も入札したのですが、
中国企業に「一旦」落札されました。


「一旦」という状況は、「日経ビジネス」の解説を
ご覧ください。



 メキシコシティから世界遺産の古い町並み

 が残るケレタロまでの約210kmを結ぶ

 プロジェクトだ。11月上旬、中国国有の

 中国鉄建を中心とする共同事業体が落札。

 3日後に入札プロセスを巡る懸念から落札

 が取り消されたことに、住民たちも関心を

 寄せていた。


 メキシコで日本勢は屈辱的とも言える

 「不戦敗」を喫していた。入札に応じたのは

 中国勢だけで日本勢は参加すらできなかった。

 なぜか。

 落札額は約5000億円と、日本の常識から

 すれば考えられない金額だった。

 「中国勢は日本の半値以下。いくら何でもこの

 価格に対抗して安値で受注を狙おうとは思わ

 ない」。ライバルの川崎重工関係者はあきらめ

 顔で語る。 
 

  (P.030)


価格が乖離していれば、太刀打ちできません。
大赤字を出してまで受注する意味はありません。


その昔、日本でもコンピュータシステムをどうしても
受注したくて、大型コンピュータに「1円入札」を行い、
狙い通り受注した国産コンピュータメーカーがあり
ました。ソフトウェアで元を取ろうと図ったのです。
その後は、「1円入札」は認められなくなりましたが。


歴史を振り返ってみると、日本も「安かろう悪かろう」
と言われた時期がありました。
その時の日本は、現在の中国と重なって見えます。


話を戻します。
メキシコシティの高速鉄道建設の入札やり直しが
行われるそうですが、今後の見込みはどうなるの
でしょうか?


 メキシコでは落札取り消しを受け、再入札が

 行なわれる見込み。不正の疑いをかけられた

 にもかかわらず、中国勢は果敢にも再応札に

 臨む。コスト差を見る限り、次も落札の最有力

 であることに変りはない。このことはメキシコ

 以外でも日本の高速鉄道輸出が続々幻に

 なりかねないことを示唆する。
 

  (P.030)


中国は今、中南米への進出を図り、市場拡大を
狙っています。


 中国が太平洋を飛び越えて地球の裏側

 で売り込みに力を入れるのは高速鉄道に

 限らない。中国の対外投資先はアフリカの

 印象が強いが、2013年に前年比で最も

 伸び率が高かった地域は2倍以上へ急増

 した中南米だった。
 

  (P.030)


中国が中南米へ投資の流れを強めている
理由は、「日経ビジネス」によれば、
「『自由貿易の輪』の拡大」(P.031)にある
と見ています。


 まず米国が主導し来年早々にもまとまる

 可能性があるTPP(環太平洋経済連携

 協定)。11月に北京で開かれたアジア

 太平洋経済協力会議(APEC)で、中国

 などが主唱したFTAAP(アジア太平洋自由

 貿易圏)もある。

 いずれも東南アジア諸国連合(ASEAN)や、

 南米諸国による太平洋同盟など既存の

 経済圏を貫くように結びつける。
 

  (P.031)


上記のような動きが拡大すればどうなるのか、
「日経ビジネス」取材班は、次のように述べて
います。


 国という単位は経済活動においてそれほど

 大きな意味をなさなくなり、さながら一つの

 巨大な「太平洋国」の中競争であるように、

 地域や都市の単位で需要とプレーヤーが

 結び合うことになるだろう。
 

  (P.031)


上記の解説を読んで思い浮かんだのは、
大前研一さんが19年前(1995年)に書いた
『地域国家論』(原題は The End of the Nation
State)(大前研一 山岡洋一・仁平和夫 訳
講談社 1995年3月2日 第1刷発行)
に書かれていたことです。


今日の世界情勢を預言したと言ってもよい
でしょう。


もっとも、大前さんは「私は預言者ではない。
世界の動きをつぶさに見ていれば、必然的に
そうならざるを得ない」と言うかもしれません。


出版当時、大前さんが指摘した状況に、
世界も日本も追いついていなかったと言える
かもしれません。


以来、約20年たった今日、世界も日本も、
大前さんが指摘した状況に、ようやく追い
ついてきたとも言えます。


『地域国家論』に書かれていることの一部を
ご紹介しましょう。抜粋を読んでいただけば、
「日経ビジネス」の今特集記事を深く理解できる、
と思います。少し長くなりますが、じっくりお読み
ください。


 私はグローバル経済の性格を決める

 「4つのC」の流れを見る方法を提唱

 する。1番目のCは、キャピタル(資本)。

 資本はもはや地理的な拘束を受けない。

 世界のどこであろうと、魅力的な投資

 機会があれば、カネが流れ込んでくる。

 そして、その大半は「民間の」資金だ。

 2番目のCは、コーポレーション(企業)。

 魅力的な市場や顧客があれば、魅力的

 な資源があれば、どこへでも出ていこう

 と考える。また、そうしなければ生き残れ

 ない。

 もちろん、企業が動けば、資金もいっしょに

 動く。それ以上に重要なのは、技術と経営

 ノウハウが移転されることだろう。

 資本と企業が動きやすくなったのは、3番目

 のC、コミュニケーション(情報)技術の発達
 
 によるところが大きい。企業はいまや、進出

 する国ごとに大がかりな事業組織をつくらな

 くても、世界の各地で事業を展開できるよう

 になった。

 4番目のC、コンシューマー(消費者)もグロー

 バル化が進んでいる。

 どこの国の製品だろうがおかまいなく、消費者

 はもっともよい製品、もっとも安い製品を買おう

 とする。ふところと相談して、自分の好きなもの

 を買う。

 以上説明してきた4つのCの国境をまたいだ

 動きによって、ふさわしい規模をそなえた経済

 単位を持つ地域なら、世界のどこに位置しようと、

 発展に必要なものを何でも手に入れられるように

 なった。

 4つのCの自由な動きによって、主権国家の

 「仲介者」の役割は時代遅れになったのだと

 すれば、グローバルな交渉のテーブルにつき、

 グローバルな解決策を見つけられる経済単位

 は、人為的、政治的な国境にとらわれず、経済

 がうまくいき、市場が繁栄している地域になる。

 私はそうした単位を「地域国家(リージョン・

 ステート)」と呼んでいる。

 地域国家とは、政治的な境界に関わりなく、

 今日のグローバル経済の中で繁栄していくのに

 適切な規模を持った「自然な経済単位」のことで

 ある。グローバル・ワールドで問題になるのは、

 そうした経済単位の境界と関係である。

 主権国家は経済単位としては不自然なものに

 なってしまった。経済単位として機能しなくなった

 と言ってもいい。その一方で、地域国家はグロー

 バル経済への出入口として非常にうまく機能して

 いる。
 

  (上掲書 PP.19-23)


『地域国家論』で、大前さんは「地域国家」という
概念を世界で初めて提示しました。
19年前のことですよ!


大前さんが述べていることは、現在、世界中で
確認できることばかりです。今特集記事でも
確認できるでしょう。


私が、『地域国家論』を読んだ当時、今ひとつ
ピントきませんでしたが、20年近くたって読み
直してみると、大前さんが述べていたことがよく
理解できるようになりました。


「なるほど。こういうことだったのか」と腑に落ちる
ことがあります。


「日経ビジネス」は一つの言葉を提示します。
今特集を象徴する「言葉」と言ってもよいでしょう。


 地中海は過去の海、大西洋は現在の海、

 そして太平洋は「将来の海」と言われる。

 環太平洋経済圏――自由貿易の海が、

 今まさに、目の前に姿を現し始めている。
 

  (P.031)




PART 1 大動脈から毛細血管へ

モンゴルと日本は、相撲にかぎらず、
太いつながりがあります。
ところが、最近では綻びが出てきました。


モンゴルで新空港建造が進められている
そうです。問題は、次の解説で明らかに
なります。


 新空港の建造は、総工費およそ500億円

 を円借款で賄うODA(政府開発援助)事業

 だ。モンゴル民間航空局から三菱商事と

 千代田化工建設のJV(ジョイントベンチャー)

 が受注した。

 形式上は日系JVが受注している。だが実際

 は、日系企業が担うことの多い円借款事業

 にもかかわらず、韓国企業が施工するという

 事態になった。

 そこから始まったのは、下請けからの、事実上

 の「日系企業外し」だ。

 新空港の建造に向けて生コンクリートを供給

 しているのは、サムスン物流と業務提携を

 結んでいる地場企業のグループ会社だ。

 グローバル市場で当然と思われたルールが

 通用しない。円借款案件から日本が締め出さ

 れる。

 毛細血管の先にある新興市場は時にリスクが

 高く、一つひとつの規模は日米欧の市場ほど

 に大きくない。だが、規模ではなく成長性で

 見ればその評価は反転する。 
 

  (PP.032-033)


ODA事業でモンゴルに協力した日本が、事実上
閉め出されるというのは、何とも後味の悪い事態
ですが、これが現実です。


米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が
出資していることで知られる中国のEV(電気
自動車)メーカーについての記述があります。


中国のEVメーカーとはどこなのだろう、と思い
ませんでしたか?
私も「どこだろう?」と思いました。


 今年4月、ロサンゼルス郊外のランカスター

 で、BYDが中国の自動車メーカーとして初と

 なるEVの米国生産を始めた。だが、作るの

 は乗用車ではない。EVのバスを生産する。

 自動車会社にとって大市場である消費者向け

 乗用車よりも、まずは周辺市場であるバスを

 通じて公共交通機関に浸透させた方が勝算が

 あると考えたからだ。

 「EV市場」ではなく、あえて「EVバス、タクシー

 市場」と細分化することで橋頭堡を築き、じわ

 じわと大動脈型の市場に浸透していく。

 日本勢は、環太平洋経済圏において、こうした
 
 毛細血管型のゲリラ戦術とまみえることを余儀

 なくされるのだ。
 

  (P.035)


世界市場で勝負するには、キレイ事ばかりでは
通用しないということです。


日本企業が外国企業と伍して戦うには、ルールの
変更にも対応できなくてはならず、厳しい状況は
ますます強まると考えたほうがよさそうです。



米EV市場を攻めるBYD。今年4月には中国の自動車<br />メーカーとして初めて米国生産を始めた

米EV市場を攻めるBYD。今年4月には中国の
自動車メーカーとして初めて米国生産を始めた

(『日経ビジネス』 2014.12.15 号 P.035)





次回は、を「PART 2 世界の6割握るのは誰」
をご紹介します。






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小よく大を制す 「技あり」企業に4つの秘策 2014.12.08 <3>



日経ビジネスの特集記事(85)

小よく大を制す
「技あり」企業に4つの秘策
2014.12.08



今週の特集記事のテーマは

ひらりと攻撃をかわす牛若丸に、大男の弁慶は
目を回し、ついに降参した。
そんな痛快な伝説と同じように、大手を制する
中小企業が実際に存在する。
素早い動きについていけない大企業は、弁慶と
同じ運命をたどるほかない 
 (『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.029)

ということです。


小よく大を制す<br />「技あり」企業に4つの秘策

小よく大を制す
「技あり」企業に4つの秘策

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 表紙)





第1回は、「Part 1 エステー鈴木喬会長が
語る『200倍』の巨漢に勝つ」と
「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」の4つ
のうち、「TYPE 1 錦織圭(テニス) “俊敏性”
ではねのける」を取り上げました。


第2回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」
のうち「TYPE 2 リオネル・メッシ(サッカー)
“一点突破”で抜き去る」と「TYPE 3 川崎宗則
(野球) “視点の転換”で価値を創造」の2つを
取り上げました。


最終回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」
の最後の「TYPE 4 高梨沙羅(スキージャンプ)
“柔軟性”で顧客最適に」と、「Part 3 大よく小を
取り込む」をご紹介します。




「日経ビジネス」はエステー会長の鈴木さんの話
(第1回参照 → 小よく大を制す 「技あり」企業に
4つの秘策 2014.12.08 <1>
)から、
4つのキーワードを見つけました。

1つ目は俊敏性
P&Gより早く製品を投入した

2つ目は一点突破
エステーが得意とするエアケア製品を中心に
経営資源を集中投下した

3つ目は視点の転換
冷蔵庫用脱臭剤をヤシ殻活性炭の代わりに
ゼリー状の製品を出した

最後は柔軟性
様々な技術のストックを持ち合わせていたこと
で市場環境の変化に対応できた


この4つのキーワードがPART2のテーマになります。




Part 2 “金星”を挙げる4つの方法

TYPE 4 高梨沙羅(スキージャンプ) “柔軟性”で 顧客最適に


初出場の冬季オリンピックでは、実力を発揮でき
ませんでしたが、ワールドカップでは圧倒的な強さ
で勝利を重ね、日本女子スキー界で初めてワール
ドカップ総合優勝という偉業を達成した高梨沙羅
さんについて、「日経ビジネス」は次のように解説
しています。 


 世界一美しい助走姿勢――。

 女子スキージャンプのワールドカップで

 世界最多の24回(2014年3月時点)
 
 の優勝を誇る高梨沙羅選手の特徴は

 助走時の安定姿勢にある。それを支え

 ているのが、幼少時にバレエのレッスン

 で身に付けた、体の「柔軟性」だ。
 

  (P.041)

上記の文脈で、アウトドア用品の会社が
紹介されています。


アウトドア用品 高級路線の先駆者
スノーピーク


アウトドア業界では、ノースフェイスが著名
ですね。他にも海外には規模の大きな会社
がひしめいています。


その業界にあえて挑戦したのが、スノーピーク
です。スノーピークはどのような位置づけにある
のかから、まず、見ていくことにしましょう。


 新潟県三条市に本社を構えるアウト

 ドア用品メーカー、スノーピーク。

 従業員は約160人。欧米やアジアでも

 販売しており、2013年12月期の売上

 高は42億2100万円に達した。

 同期に売り上げが20億ドル(約2300

 億円)を超えた米ザ・ノースフェイスを

 はじめ、米コールマンなど世界を代表

 する同業者と比べると、規模では大きく

 劣る。だが、アウトドア用品市場に

 「ハイエンド路線」という新機軸を打ち立

 てることで、存在感を増やしている。
 

  (P.041)



「顧客との交流が楽しみ」というスノーピークの<br />山井社長。足元にあるのは、人気商品の「焚火台」

「顧客との交流が楽しみ」というスノーピークの
山井社長。足元にあるのは、人気商品の「焚火台」

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.041)



スノーピークの特筆すべきポイントがあります。
それは社員だけでなく、経営者が顧客との
距離を縮めていることです。


現在では、どの業界でも、ほとんど行われて
いない、「顧客からと直接意見を聞き取り、
商品開発に反映させ」ているのです。


 役員や社員が顧客から直接意見を

 聞き取り、経営戦略や商品開発に

 反映させる、「柔軟性」の高さがスノー

 ピークの特徴だ。山井太社長は「会社

 と顧客の間に、壁を作らない」と強調

 する。
 

  (P.041)


具体的には、どのようなことを実施している
のでしょうか?


 顧客と直接対話する機会として、1年に

 9回ほど、全国各地でキャンプイベント

 を開催。毎年約5000人が参加しており、

 最近は定員をオーバーするほどの人気

 ぶりになっている。

 スノーピークからは毎回、山井社長のほか、

 多数の社員が顔をそろえる。

 「参加者50人から同じような不満を言われ

 たら、明らかに何かが間違っている証拠。

 すぐに改善する」と話す。
 

  (P.041)


実例があるそうです。


 初めてキャンプイベントを開催した1998年

 には、参加者から「スノーピークの製品は

 高い」「品ぞろえのよい店がない」などと、

 口々に不満を言われた。これをきっかけに、

 山井社長は流通網の改革を決断。小売店

 との間に入っていた卸を外すことで流通コスト

 を削減し、値段を下げた。また小売店を厳選

 して正規特約店契約を結び、品ぞろえを充実

 させた。
 

  (P.041)


以上のように、「柔軟性」と「俊敏性」を実現できる
のは、中小企業であり、トップが現場に足を運び、
顧客から直接意見を聞く仕組みを作り、実践して
いるからです。顧客目線で考えることの大切さを
全社で共通しているのです。


 山井社長は「顧客と同じ目線に立ち、

 コミュニケーションを図ることが、社員

 を幸せにする一番の近道だ。ちょっと

 変わった会社に見えるかもしれないが、

 これが最も素直な製造業の姿ではないか」

 と言う。

 組織が大きくなれば、会社と顧客の距離が

 遠くなるのが一般的だ。顧客の姿はコール

 センターや販売店、市場調査会社などが

 上げてくるリポートからしか見えなくなる。

 直接的な関係が希薄になり、顧客の意見が

 商品開発や経営方針に反映される機会も

 減りがちだ。

 だが、山井社長は今後さらに会社が大きく

 なっても、顧客の要望に柔軟に対応する経営

 を貫くつもりだ。
 

  (P.042)


避けなければならないのは、「大企業病」です。
上記のように、「組織が大きくなれば、会社と
顧客の距離が遠くなるのが一般的」です。


そのまま放置しておくと、顧客の要望が見えなく
なり、顧客の求める製品とかけ離れた製品を
提供し、売れないという事態に直面します。


「井の中の蛙大海を知らず」や「成功の復讐」に
よって、しっぺ返しを喰らい、最悪の場合には、
倒産に至ることもあります。


スノーピークのサイト




Part 3 大よく小を取り込む

ここまで「小よく大を制す」というテーマで、
中小企業を紹介してきました。


「日経ビジネス」は最後のパートで、逆に、
大企業が小の良い点を取り込む事例を
取り上げています。


恐竜は、環境の急激な変化に対応できず、
絶滅しました。一方、マウスなどの小動物は
生き残ることが出来ました。


俊敏性一点突破視点の転換柔軟性
という4つのキーワードをどう組み合わせ、
事業に反映させるのか、興味が湧いて
きます。


そうした事例を2件ご紹介します。
リクルートホールディングスと、パナソニック
です。


起業家精神で成長維持
リクルートホールディングス


リクルートが今年、再上場したことはご存じ
でしょう。復活リクルートがリクルートらしさを
明文化したことがあります。
それは、「起業家精神」を忘れないことです。


 リクルートHDは現在、毎月1回のペースで

 新規事業の審査会を開いている。

 グループ社員らが自ら練った事業計画を、

 社内外の審査員を前にプレゼンテーション

 する。毎回、十数組が登壇するが、1次審査

 を通るのは20~25件に1件程度。その狭き

 門を通れば、500万円の事業資金と4カ月

 の試行期間が与えられる。


 以前、審査会のペースは1年に1回だったが、

 今年5月以降は毎月開催するようになった。

 リクルートから起業家精神が失われないように

 と、その頻度を高めたのだ。 
 

  (P.046)


東京・銀座で毎月1回開かれるリクルートの<br />社内ベンチャー制度の審査会

東京・銀座で毎月1回開かれるリクルートの
社内ベンチャー制度の審査会

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.046)



リクルートを創業したのは、故・江副浩正さんです。
リクルートは創業当時から起業家精神を尊重する
会社でした。


リクルートは、アントレプレナー(起業家)を生み出す、
インキュベータ(孵化器)でした。


世に言う「リクルート事件」で、江副さんは会社を
去りましたが、リクルートのDNAはずっと引き継が
れています。


江副さんの薫陶を受けた元リクルートの社員の
多くは、起業家に転身しています。


しかし、創業後半世紀以上がたち、グループ社員は
約3万人に達しています。江副さんの顔を見たこと
のない社員が、大多数を占めているでしょう。


社内ベンチャー制度による、「事業プラン」のプレゼン
を毎月1回実施するようになったのは、大企業病に
対する危機感の現れです。


リクルートは、小さな組織の集合体を維持したのです。
その点で、稲盛和夫さんが創業した、京セラで実践
されているアメーバ経営に似ていると言えるでしょう。


 創業から半世紀以上がたち、グループの

 従業員は約3万人、連結売上高は1兆円

 を超えるまでに成長した。今年10月には

 上場を果たし、株式市場から高い水準の

 コーポレートガバナンス(企業統治)とコン

 プライアンス(法令順守)を求められるよう

 になった。自由な社風が損なわれ、「普通

 の大企業」になってしまうことが社内で危惧
 
 されている。


 「リクルートらしさ」を明文化した社内向け

 の指針で、上場と同時に公表した。

 その筆頭に記されているのが「起業家精神」

 だ。

 起業家精神を保つための施策はほかにも

 あるが、中核となるのが今回、審査会の

 頻度を高めた社内ベンチャー制度である。

 審査会を通じて、固定観念にとらわれず、

 「視点の転換」ができる人材を探し続ける。
 

  (PP.046-047)



リクルートホールディングスのサイト



ニッチ市場にあえて挑む
パナソニック


パナソニックは一時危機に直面しましたが、
津賀一宏氏が社長に就任後、回復に向かって
います。「守り」から「攻め」へ転換を図ったの
です。


以前、パナソニックは事業を縮小したり、事業
から撤退しました。


津賀さんは一度撤退した事業の一つである、
高級オーディオ事業を復活させました。


 今回、再挑戦する高級オーディオの

 市場規模は全世界で1000億円程度

 にすぎない。その中に、「JBL」などを

 展開する米ハーマンインターナショナル、

 「マランツ」のディーアンドエムホール

 ディングスなど、国内外のブランドが

 群雄割拠する。多くは専業メーカーで、

 音響技術に徹底的にこだわることで

 生き残りを図ってきた。

 これに対して、パナソニックはテレビから

 パソコン、白物家電までを手掛ける総合

 電機メーカーだ。2014年3月期の連結
 
 売上高は7兆7365億円に達している。

 身の丈から言えば、1000億円市場を

 攻めるのは非効率だ。
 

  (P.047)


オーディオメーカーではほかに、ボーズも
ありますね。スピーカーやヘッドホンで一定
のシェアを占めています。


このような市場に、なぜ、参入するのでしょうか?


 パナソニックも小川理子理事はかつて、

 同社音響研究所でオーディオの開発に

 携わってきた。

 「テクニクスのブランドが消えた時は、

 私が技術開発に使っていたスタジオまで

 つぶされ、自分の基礎がなくなった気が

 した」と振り返る。


 ブランド復活に当たり、小川理事はテクニ

 クス事業の責任者に就任。自らの下に、

 映像部門などに散らばっていた音響技術者

 約50人を再結集した。

 50人はひたすらテクニクス事業に専念し、

 専業メーカーに負けない音作りを目指す。

 
 小川理事は「私たちは音に徹底的にこだわる

 集団だ。妥協せずに製品の完成度を高めて

 いく」と、自らの音感を頼りに「一点突破」を

 図る。
 

  (P.047)


私は、テクニクス事業の記事を読んだ時、
トヨタの「レクサス」のような存在を目指す
のかもしれない、と思いました。
「テクニクス」の「レクサス」版と言えるかも
しれません。私の勝手な想像ですが・・・。


テクニクス事業を率いるパナソニックの小川理子理事。<br />プロのジャズピアニストとしても活躍する

テクニクス事業を率いるパナソニックの小川理子理事。
プロのジャズピアニストとしても活躍する

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.047)




「日経ビジネス」は、今特集を次のように
まとめています。


 「小よく大を制す」企業が備える4つの

 強みは、小さな会社の専売特許では

 ない。大企業でも、「柔軟性」と「俊敏性」

 を持ち、「視点の転換」や「一点突破」で

 市場を攻めることは可能だ。組織が大き

 いからといってあきらめた時、番狂わせ

 が待っている。
 

  (P.047)



テクニクスのサイト






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小よく大を制す 「技あり」企業に4つの秘策 2014.12.08 <2>



日経ビジネスの特集記事(85)

小よく大を制す
「技あり」企業に4つの秘策
2014.12.08



今週の特集記事のテーマは

ひらりと攻撃をかわす牛若丸に、大男の弁慶は
目を回し、ついに降参した。
そんな痛快な伝説と同じように、大手を制する
中小企業が実際に存在する。
素早い動きについていけない大企業は、弁慶と
同じ運命をたどるほかない 
 (『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.029)

ということです。


小よく大を制す<br />「技あり」企業に4つの秘策

小よく大を制す
「技あり」企業に4つの秘策

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 表紙)





第1回は、「Part 1 エステー鈴木喬会長が
語る『200倍』の巨漢に勝つ」と
「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」の4つ
のうち、「TYPE 1 錦織圭(テニス) “俊敏性”
ではねのける」を取り上げました。


第2回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」
のうち「TYPE 2 リオネル・メッシ(サッカー)
“一点突破”で抜き去る」と「TYPE 3 川崎宗則
(野球) “視点の転換”で価値を創造」の2つを
取り上げます。


最終回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」
の最後の「TYPE 4 高梨沙羅(スキージャンプ)
“柔軟性”で顧客最適に」と、「Part 3 大よく小を
取り込む」をご紹介します。




「日経ビジネス」はエステー会長の鈴木さんの話
(第1回参照 → 小よく大を制す 「技あり」企業に
4つの秘策 2014.12.08 <1>
)から、
4つのキーワードを見つけました。

1つ目は俊敏性
P&Gより早く製品を投入した

2つ目は一点突破
エステーが得意とするエアケア製品を中心に
経営資源を集中投下した

3つ目は視点の転換
冷蔵庫用脱臭剤をヤシ殻活性炭の代わりに
ゼリー状の製品を出した

最後は柔軟性
様々な技術のストックを持ち合わせていたこと
で市場環境の変化に対応できた


この4つのキーワードがPART2のテーマになります。




Part 2 “金星”を挙げる4つの方法

TYPE 2 リオネル・メッシ(サッカー) “一点突破”で 抜き去る


スペイン・リーグのバルセロナに所属する、
アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手
について、「日経ビジネス」の解説を見て
みましょう。このタイプの意味が理解でき
ます。


 体の小ささはハンディにはならない。

 身軽だからこそ見いだせる突破口が

 ある。それを雄弁に物語るのが、

 世界一のサッカープレーヤー、

 リオネル・メッシ選手のドリブルだ。

 的確な進路を瞬時に見極め、相手を
 
 翻弄して「一点突破」で抜き去る。
 

  (P.035)

上記の文脈で、ある損害保険会社が
紹介されています。


ペット保険の最大手
アニコム損害保険


アニコム損害保険とは、他の損害保険とは
どこがどう違うのか、から見ていくことにしま
しょう。


 東京都新宿区のアニコム損害保険は、

 ペット専門の保険会社だ。アニコムは

 ペット保険に絞る「一点突破」で、6割

 のシェアを獲得し業界最大手になった。

 「日本の動物病院の約8割が、当社の

 ペット保険を扱っている。新規参入が

 増えているが、我々に追い付くのは困難

 だろう」。同社を傘下に収めるアニコム

 ホールディングス(HD)の小森伸昭社長

 はこう語る。 
 

  (P.035)


私はペットを飼っていないので、ペット事情の
詳しいことは分かりません。


ただ、スーパーやホームセンターには、ペット
フードなどのペット用品がかなり広いスペース
を取って、棚に並べられています。


こうした事実から需要ははかなりあるのだろう
と推測はしていました。


「日経ビジネス」の記事を読むと、私の想像を
はるかに超えた実態を知りました。


 日本で飼育されている犬と猫は2000

 万匹を超え、2014年4月時点の15歳

 未満人口、1633万人を大きく上回る。

 一方で、ペット保険の加入率は4%程度

 にすぎない。 
 

  (P.035)


以前、「日経ビジネス」で、獣医師が「ペット保険が
あるといいのですが」と語っていたことを思い出し
ました。


ペットは突然病気になったり、ケガをすることが
あります。夜間に病気やケガをした時、飼い主
が現金の持ち合わせが少なく、治療できない
というケースがよくあったということでした。


そのために病気やケガを悪化させてしまうことが
あったといいます。そのような内容だったと思います。
急患の場合にもペット保険は有効ですね。


アニコムの業績を見てみましょう。


 アニコムHDの経常収益は2014年

 3月期に183億円。損保業界最大手

 と比べると50分の1にも満たない。

 にもかかわらず小森社長が自信を

 持ち続けられるのは、ペット保険が

 使われる現場である動物病院を、

 競合に先駆けて制しているからだ。
 

  (PP.035-036)


動物病院の窓口に提示する「保険証」を持つ、<br />アニコムホールディングスの小森伸昭社長

動物病院の窓口に提示する「保険証」を持つ、
アニコムホールディングスの小森伸昭社長

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.035)



それにしても、どのようにして動物病院を
囲い込むことが出来たのでしょうか?
その戦略を知ると、「なるほど」と頷けます。
動物病院にとってメリットのあることを提供
したのです。


 目を付けたのが、動物病院向けの

 システム構築事業だった。「“人間

 向け”の電子カルテシステムは当時、

 数千万円と高価だった。“動物向け”

 の安いシステムを提供できればビジ

 ネスになる」。こう考えた小森社長は、

 ペットの診療履歴や病院会計などを

 管理できる専用ソフトを開発。年間

 数万円程度という割安な利用価格で、

 動物病院に対して売り込んでいった。

 この戦略が奏功した。アニコムの

 システムを導入した動物病院が、

 同社のペット保険を扱うようになった

 のだ。

 飼い主がアニコムの「保険証」を窓口で

 提示すると、その場で支払う治療費が

 3割もしくは5割に減額される。残りの

 治療費は保険で賄い、アニコムから

 自動的に動物病院に支払われる。

 請求業務はシステムが処理するため、

 飼い主と動物病院双方の手間が省ける。

 こうした手軽さが受け、契約数は50万件

 を突破した。
 

  (P.036)

飼い主にとっても、とてもメリットのあるシステム
だったのです。


小森さんは現状で満足せず、さらに先を見つめ、
新たな戦略に着手しました。ビッグデータを活用し、
「同業他社を置き去りにする」ためです。


 アニコムの保険金支払い件数は年間230

 万件に達し、「人間を相手にしている大手

 生命保険より件数が多い」と小森社長は

 言う。ここで生まれるビッグデータを活用する

 というのだ。

 保険支払いデータを分析すれば、犬種ごとに

 特有の病気などを把握できる病実になる前に

 飼い主に情報提供できれば顧客満足度が

 向上し、口コミなどで新たな顧客を獲得できる。

 独自のデータを駆使することで、アニコムは

 既に大きく差を付けた同業他社を置き去りに

 する構えだ。
 

  (P.036)


アニコム損害保険のサイト




TYPE 3 川崎宗則(野球) “視点の転換”で 価値を創造


メジャーリーグでプレーする川崎宗則選手は、
元ソフトバンク・ホークスでプレーしていました。
川崎選手について、「日経ビジネス」がどの点
に着目したのか、解説を見てみましょう。


 野球で、一般に打者が追い求めるのは

 打点、打率とホームランだ。だが、米大

 リーグのトロント・ブルージェイズに所属

 する川崎宗則選手は違う。「投手に1球

 でも多く投げさせること」を常に意識して

 いる。たとえアウトになっても相手投手の

 球数を増やし、規定投球数に早く追い込む。

 「視点の転換」によってチームに貢献する

 ことでメジャーで認められた。
 

  (P.038)


川崎選手のように、「視点の転換」によって
確固たる地位を築いた企業をご紹介しましょう。


居心地の良さで人気獲得
コメダ


コメダについては、「日経ビジネス」は何度も
扱っています。喫茶店です。ですが、当然、
普通の喫茶店とは違います。


どこが違うのでしょうか? 
ご存じの方もご存じでない方も記事をご覧
ください。きっと、一度行ってみたくなりますよ。


 「収益を最大化する一番の近道は、

 顧客の回転率を上げること」。これは

 外食業界の常識だ。だが、こうした

 先入観にとらわれず、「視点の転換」

 で居心地の良さを極めることに力を

 注ぎ、成長を続けるコーヒーチェーン

 がある。名古屋が発祥のコメダ珈琲店

 だ。


 1年のうち360日、同じ店を訪れる熱狂

 的なコメダファンもいる。1人当たりの

 平均滞在時間は約1時間にも上る。

 コメダ人気が広がっている最大の理由は、
 
 その「居心地の良さ」と「変わらなさ」。


 他のコーヒーチェーンでは、くだけた服装

 での入店や、長時間の利用がしにくい

 雰囲気もあるが、「コメダは自宅リビング

 の延長にある場所、という感覚で気軽に

 利用できる。来店客が醸し出す雰囲気も、

 店の価値を作り出す大事な要素だ」。

 運営会社コメダの臼井興胤社長はこう

 話す。創業初期から提供する看板メニュー

 のデザート「シロノワール」が今も根強い

 人気を誇るなど、商品の変わらなさも魅力

 だ。

 

  (P.039)


レトロな雰囲気の店構えを守り、居心地の良さを提供する(右)。<br />デザートの「シロノワール」など人気メニューも多い(左)

レトロな雰囲気の店構えを守り、居心地の良さを提供する(右)。
デザートの「シロノワール」など人気メニューも多い(左)

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.039)



今、街中ではドトールやスターバックスなどの
コーヒーチェーンだけでなく、セブン・イレブン
やローソンなどのコンビニを含め、コーヒーを
巡る競争が激化しています。その影響のあおり
を一番受けたのは、マクドナルドです。


コメダはこれらの競争に巻き込まれずにいます。
コメダは世間の低価格戦略を逆手に取って、
サービスを伴う高価格戦略を堅持しています。
価格競争に巻き込まれないためです。


 値段が手ごろでセルフ式のコーヒーが

 主流という、業界のトレンドとは一線を画し、

 コメダは価格が高めの商品を、フルサー

 ビスで提供するスタイルを貫く。店ごとに

 固定ファンをしっかりと囲い込み、収益に

 つなげている。

 現在は全国で約600店舗を展開する。

 コーヒーチェーンの店舗数としてはタリーズ

 コーヒーを抜き、ドトール、スターバックス

 に続く3位に浮上した。
 

  (P.040)


企業業績はどうなのでしょうか?


 全店売上高は2014年2月期に421億円

 (推定)と、2010年2月期に比べ8割増加。

 コメダの営業利益率は2割超と、スターバッ

 クスを大きく上回る。
 

  (P.040)


「居心地の良さ」と「変わらなさ」によって長時間
滞在できることで、客単価を高めることができて
いると思います。


コメダの店舗は9割以上がFC(フランチャイズ
チェーン)ということですが、オーナーをどのよう
にして探してくるのか、というノウハウを蓄積して
います。強みは、真似されにくいことでしょう。


 コメダの店舗は9割以上がFC(フラン

 チャイズチェーン)。

 郊外店では30~40台の駐車スペース

 を備え、店舗を長く運営できそうな土地

 やオーナーをうまく探してくるが、その

 ノウハウはまさに「門外不出の奥義」

 (臼井社長)だ。

 全店舗を対象に忙しい昼時に覆面調査員

 を入れるなど、既存店のサービス向上にも

 力を注ぐ。
 

  (P.040)

現在の地位に胡座をかかず、常に向上を
目指すコメダには死角がなさそうにみえます。


ただ、蟻の一穴という言葉があるように、
細部に目が行き届かなくなると、そこから
瓦解するケースは、枚挙に暇がありません。


歴史の教訓が教えてくれることに、常に
真摯であれということでしょうか。


コメダのサイト




最終回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの
方法」のうち「TYPE 4 高梨沙羅(スキージャンプ)
“柔軟性”で顧客最適に」と、「Part 3 大よく小を
取り込む」をご紹介します。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




小よく大を制す 「技あり」企業に4つの秘策 2014.12.08 <1>



日経ビジネスの特集記事(85)

小よく大を制す
「技あり」企業に4つの秘策
2014.12.08



今週の特集記事のテーマは

ひらりと攻撃をかわす牛若丸に、大男の弁慶は
目を回し、ついに降参した。
そんな痛快な伝説と同じように、大手を制する
中小企業が実際に存在する。
素早い動きについていけない大企業は、弁慶と
同じ運命をたどるほかない 
 (『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.029)

ということです。


小よく大を制す<br />「技あり」企業に4つの秘策

小よく大を制す
「技あり」企業に4つの秘策

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 表紙)





第1回は、「Part 1 エステー鈴木喬会長が
語る『200倍』の巨漢に勝つ」と
「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」の4つ
のうち、「TYPE 1 錦織圭(テニス) “俊敏性”
ではねのける」を取り上げます。


第2回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」
のうち「TYPE 2 リオネル・メッシ(サッカー)
“一点突破”で抜き去る」と「TYPE 3 川崎宗則
(野球) “視点の転換”で価値を創造」の2つを
取り上げます。


最終回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの方法」
の最後の「TYPE 4 高梨沙羅(スキージャンプ)
“柔軟性”で顧客最適に」と、「Part 3 大よく小を
取り込む」をご紹介します。



Part 1 エステー鈴木喬会長が語る
「200倍の巨漢に勝つ」


柔道では、よく「柔よく剛を制す」とか「小よく大を制す」
という言葉が用いられるようです。


東京オリンピックでは、柔道無差別級で、オランダの
アントン・ヘーシンク選手に神永昭夫選手が敗れる
という日本柔道の歴史があります。力で技をねじ
伏せたのです。


「柔よく剛を制す」ではなく、「剛、柔を制す」という、
日本柔道界の歴史的な敗北でした。


ビジネスの世界でも、資金力や規模で世界市場を
制覇している大企業がありますが、その一方で、
コアビジネス(中核となる事業)をニッチな分野に
絞り込み、大企業に一矢報いている中小企業が
あります。


今特集は、「日経ビジネス」取材班が、そのような
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」中小企業を紹介して
います。


中小企業でも、よく知られた企業も登場しますし、
初見参の企業も登場します。探せば、日本には
まだまだ優れた中小企業は多数存在することに、
気づかされます。



では、エステー鈴木喬会長が何を語るか、期待し
ながら「日経ビジネス」を見てみましょう。


 エステーの2014年3月期の連結売上高は

 470億円で、社員はグループ全体で約760

 人いる。生活雑貨業界では中堅で、ライバル

 の小林製薬やアース製薬などと比べれば、

 売り上げ規模は3分の1程度だ。しかし規模

 が小さいことは、むしろ強みだと思っている。

 特に先行きの不透明な現代は、身軽で、

 小回りが利く会社こそ、強さを発揮できる。
 

  (P.030)


鈴木 喬 エステー会長

鈴木 喬 エステー会長

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.030)



鈴木さんは、小さいことで大きな相手に臆する
ことはない、という確固たる自信を持っています。
それが、決してやせ我慢でないことは、実績が
示しています。


小所帯ながらエステーは強さを発揮する

小所帯ながらエステーは強さを発揮する

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.031)



エステーの製品別シェアと市場規模

冷蔵庫用脱臭剤  75%   54億円 
消臭芳香剤     30%  530億円
衣料用防虫剤    48%  256億円
米びつ用防虫剤  75%   19億円
(上図をもとに作成)




P&Gが「部屋の消臭剤」を発売するという
噂を耳にして、先手を打って対抗商品を
エアケア市場に投入した時の話が出てきます。


 我々よりはるかに大きな企業が、我々の

 主戦場であるエアケア市場に参入する

 わけだ。敵に不足はなく、燃えたね。

 私は、すぐに対抗商品を用意するよう指示

 した。そうして発売したのが、「置くタイプの

 エアウォッシュ」という製品だ。P&Gが「置型

 ファブリーズ」という商品名でエアケア市場に
 
 参入する2週間前に市場に投入し、機先を

 制することができた。

 速攻が可能だった要因は2つある。

 一つは、開発済みの技術をすぐに製品化

 せずに、温存していたこと。これが、短期間

 での市場投入を可能にした。

 もう一つの要因は、意思決定の速さだろう。

 組織が大きいと、トップの指示はいくつもの

 階層を経て、ようやく現場に伝わる。その間に

 時間を空費しかねない。

 一方、当社の規模だと、私の指示が会社の

 隅々まですぐに伝わり、一枚岩で動ける。
 

  (P.030)


鈴木さんはもう一つの実例を披瀝しています。


 当社の製品に、「脱臭炭」という冷蔵庫用

 の脱臭剤がある。2000年に発売した。

 冷蔵庫用脱臭剤は当時、米アメリカン・ホーム・

 プロダクツ(AHP、現ファイザー)の「キムコ」、

 白元(現白元アース)の「ノンスメル」、積水

 化学工業の「ニオイみはり番」という3商品が

 市場を寡占していた。

 その頃の冷蔵庫用脱臭剤と言えば、ヤシ殻

 活性炭を使ったものが主流だった。

 しかし、冷蔵庫の中に置いても活性炭の量が

 減るわけではなく、見た目では使用期限が

 分からない。AHPや白元は活性炭を使い続け

 ていた。

 そこで私は、ゼリー状の製品の開発を指示した。

 日が経つにつれて徐々に容器の中のゼリーが

 縮んでいくので、使用期限が分かるという仕組み

 だ。消費者には大好評で、一気にトップシェアに

 躍り出た。
 

  (P.031)

エステーのサイト



「日経ビジネス」は鈴木さんの話から、
4つのキーワードを見い出しました。

1つ目は俊敏性
P&Gより早く製品を投入した

2つ目は一点突破
エステーが得意とするエアケア製品を中心に
経営資源を集中投下した

3つ目は視点の転換
冷蔵庫用脱臭剤をヤシ殻活性炭の代わりに
ゼリー状の製品を出した

最後は柔軟性
様々な技術のストックを持ち合わせていたこと
で市場環境の変化に対応できた


この4つのキーワードがPart 2のテーマに
なります。




Part 2 “金星”を挙げる4つの方法

TYPE 1 錦織圭(テニス) “俊敏性”で はねのける


錦織圭選手について「日経ビジネス」の解説
を読んでみましょう。この後にご紹介する事例
の意味が理解できるからです。


 世界のテニス界は過去10年間、

 セルビアのノバク・ジョコビッチ選手を

 筆頭とする「ビッグ3」が支配してきた。

 ここの風穴を開けつつあるのが日本

 の錦織圭選手だ。武器にするのは

 「俊敏性」。体格差をはねのけるには、

 敵より素早く動かなければならない。
 

  (P.032)


上記の文脈に沿って、テラモーターズの事例
が紹介されています。


テラモーターズについては、つい最近、代表者
がラジオ番組に生出演し、ナビゲーターとの
対談を聴きました。その件に関しては、後ほど
お話します。


テラモーターズとは何を扱い、どのような目的を
持った会社なのかから、見ていくことにしましょう。


電動バイク 国内1位
テラモーターズ



 設立から2年で国内市場で首位に立ち、

 すぐさま世界市場へと打って出る――。

 そんな異例のスピードで成長するベンチャーが

 ある。電動バイクの製造・販売を手掛ける

 テラモーターズ(東京都渋谷区)だ。

 2014年9月にはベトナムで高級電動バイクを

 投入するなど、ペースは一層速まっている。
 

  (P.032)


法人向け電動バイク「BIZMOⅡ」の傍らに立つ、<br />テラモーターズの徳重徹社長

法人向け電動バイク「BIZMOⅡ」の傍らに立つ、
テラモーターズの徳重徹社長

(『日経ビジネス』 2014.12.08 号 P.033)



国内にはホンダやヤマハ発動機といった、
世界で勝ち組のバイクメーカーがあります。


これらのメーカーに対抗できる「もの」は、
あるのでしょうか?


 テラモーターズの徳重徹社長は、大手の

 数倍のスピードで動き回れば、その牙城

 を突き崩せると信じている。そう、錦織選手

 がやってのけたように。

 戦略は2つある。バイクの世界で進展する

 「産業革命」を先取りすること。

 そして、最初から「世界市場」で勝負を挑む。


 バイクの動力がガソリンエンジンからモーター

 とバッテリーに置き換われば、業界構造は

 がらりと変わる。部品点数が少ないため、

 安い投資で新規参入できる。 
 

  (P.032)


そこでポイントになるのはどこで製造するかです。


 国内でトップシェアを獲得するや否や、

 徳重社長はベトナムへと飛んだ。

 日本で年間に売れるバイクが40万台

 程度なのに対し、ベトナムのそれは

 約300万台。近隣諸国も加えると、

 市場規模はその数倍に達する。燃料代

 の高騰と環境汚染を考えれば、電動

 バイクの需要が劇的に増えるのは確実

 だ。こうしたニーズを取り込むには、

 中国の提携工場への生産委託では

 不十分。主戦場と位置付ける東南アジア

 で勝ち抜くため、現地生産に踏み切った。
 

  (PP.032-033)


ニュース報道で見るように、北京や上海の
空はどんより曇っています。


車の数が急増し、大気汚染が凄まじい勢いで
進行しているからです。


その意味で、電動バイクは資源と環境問題に
対する一つの解答になります。


当然のことながら、中国国内でも電動バイク
メーカーがあります。


ですが。中国のメーカーの電動バイクは、
「『メンテナンス体制が不十分。“安かろう、
悪かろう”という状態だ』と徳重社長は言う」
(P.033)というのが、実態です。


徳重さんは、中国メーカーとは差別化を
図りました。


 4500ドル(約52万円)する「A4000i」

 をベトナムで発売したのだ。特徴は、

 米アップルのiPhoneと連動する機能を

 搭載したこと。
 

  (P.033)


この話を読んだ瞬間、なんでそんなに高価な
電動バイクを発売したのだろう、と疑問が湧き
上がりました。


ですが、すぐにその疑問は氷解しました。


 「日本と違い、ベトナム人はバイクにお金を

 かける。高級ブランドとしてテラモーターズ

 を認知させ、存在感を高めたい」と徳重社長

 は話す。
 

  (P.033)


徳重さんは巧みな戦略をとっています。


 国内市場では大手が手薄だった低価格品

 でシェアを獲得し、ベトナムでは反対に

 高級品のイメージを作る。市場の動向を

 敏感に察知し、規模で勝る競合の「逆」を

 突く俊敏性こそがテラモーターズの持ち味

 だ。

 「米国のテスラ、日本のテラと並び称される

 存在になりたい」と、徳重社長は真剣な表情

 で語る。
 

  (P.033)


頼もしいですね!


さて、お約束通り、テラモーターズの徳重さんが、
12月6日(土)に、ショーンKさんが、ナビゲーター
を務める、J-WAVEの「PRIME FACTOR」という
番組に生出演した時に語った一部を、ご紹介
しましょう(概要)。


*****************************************

2014年12月6日(土)のJ-WAVEの番組に、
テラモータースの徳重徹社長が出演しました。

徳重さんは、米サンダーバード大学大学院で
MBA(経営学修士)を取得したそうです。

ショーンKさんがナビゲーターを務める、
「PRIME FACTOR」という番組です。
毎週土曜日の21:00~23:59に放送されて
います。

徳重さんは番組の中で、こう語っていました。
「日本市場よりも、世界的視野で見て、まず
アジア市場に打って出ることにした」

電動バイクの需要が多い国、地域へ進出して
いこうとしています。

「いよいよヨーロッパ市場(イタリア)に進出する」

「海外の経営者と日本の経営者を比較すると、
メンタリティに違いがある」

「入社した人には『理想から考えろ』と言っている」

「アジアには『オポチュニティ・ロス』という考え方が
強い」

「ベンチャー国(開発途上国)と言っている。
EVC(Emerging Venture Country)だ」

「中国の空が公害でひどい」

「環境問題とエネルギー問題で、電動バイクが
解決できる」


「ブレークスルー(突破)してきた人は、いろいろな
ことが出来る」

*****************************************


テラモーターズのサイト


PRIME FACTORのサイト




次回は、「Part 2 “金星”を挙げる4つの
方法」のうちTYPE 2とTYPE 3の2つを
ご紹介します。






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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