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Jスタンダード ルールは「守る」より「作る」 2015.01.26 <2>



日経ビジネスの特集記事(92)

Jスタンダード
ルールは「守る」より「作る」
2015.01.26



今週の特集記事のテーマは

グローバル経済はルールの下に成り立っている。
クレジットカードが世界中で使えるのも、共通規格が
あるからだ。
これまでの日本はルールの順守にこだわり、
自ら作ることに関心が薄かった。
技術力が高ければ売れるという過信があったから
だろう。
だが、企業の競争力はルールが左右する。
ビジネスの展開はもちろん、社会課題の解決を促す
ため、今こそ「ジャパンスタンダード」を世界標準に
押し広げる時だ
 (『日経ビジネス』 2015.01.26 号 PP.024-025)

ということです。




Jスタンダード<br />ルールは「守る」より「作る」

Jスタンダード
ルールは「守る」より「作る」

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 PP.024-025)




第1回は、
「PART 1 成功のカギはルールメーキング」
「PART 2 ルールを制する3つのセオリー」
のうちの、「Theory 1 仲間を増やせ」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 ルールを制する3つのセオリー」
のうちの、「Theory 2 早い者勝ち」、
「Theory 3 土俵を変える」
「PART 3 規格作りはゴールにあらず」
を取り上げます。


「日経ビジネスの特集記事」は通常、3回に
分けてご紹介していますが、先週号に引き続き、
2回でお伝えしていきます。


キーワードは、3つあります。
ルールを作る
ルールを変える
仲間を増やす
です。



スタートページのカリカチャー(風刺画)が、
とても印象的です。


ドイツのメルケル首相、米国のオバマ大統領、
中国の習近平国家主席、そして汗だくの
安倍首相。


それぞれの立場が、表情にとてもよく描かれて
います。



では、本題に入りましょう!
前回に引き続き、「PART 2 ルールを制する
3つのセオリー」のうちの、 「Theory 2 早い者
勝ち」からスタートします。



PART 2 ルールを制する3つのセオリー


国際ルールを制するポイントは何なのか、
というのが、PART 2 の主題です。


「日経ビジネス」取材班は、3つのセオリーを
提示しました。

1. 仲間を増やせ
2. 早い者勝ち
3. 土俵を変える


3つのセオリーのうち、仲間を増やせ
前回お伝えしました。

最終回は、残りの2つ 早い者勝ち
土俵を変えるをお伝えします。



Theory 2
早い者勝ち

サイバーダインのケース

まず、高齢者の介護などを補助するロボット「HAL」
を開発したサイバーダインの山海嘉之CEO (最高
経営責任者)の発言にご注目ください。


 「国際ルールを制する一番のポイントは

 革新的な技術であること。前例がないと、

 ISOなどの担当者はどのような技術かを

 詳しく知るために必ず開発企業やその

 分野の先進事例を知りたがる。当社は

 その機会を利用してここぞとばかり自社の

 技術をアピールし、規格作りのメンバーに

 なれた」
 

  (P.034)


用意周到な対応が奏功した好例です。
サイバーダインは国際規格を取得しました。


 高齢者の介護などを補助する生活支援
 
 ロボットの分野で、安全性を検証する基準

 や方法を盛り込んだ規格「ISO13482」を

 ISOが2月(2014年)に発行。

 サイバーダインの「HAL作業支援用」と

 「HAL介護支援用」が11月、装着型ロボット

 として世界で初めて同規格を取得した。
 

  (P.034)


上記のようにサイバーダインの「HAL」がISO
に認められた理由は、「技術的な優位性」(P.034)
によるものです。


サイバーダインの技術力の高さと、戦略の巧みさは、
次の一節を読むとよく分かります。


 HALはなぜ、ISO取得に成功したのか。

 そのカギは、サイバーダインが生活支援

 ロボットの分野のパイオニアだったことが

 大きい。

 技術的にも進んでいたことで、同社は当初、

 ISO13482の発行を目指す国際会議の

 委員会にオブザーバーとして参加していた。


 サイバーダインが、ISO13482より複雑で

 取得へのハードルが高いISO13485(医療

 機器の品質管理の国際規格)を2012年に

 取得していたことも、委員の信頼を得る要素

 となった。
 

  (P.034)


ちなみに、ご存じだと思いますが、
「HALとは、Windows NTおよびWindows 2000などの
OSに搭載されたプログラムのうち、アプリケーション
が動作するためのハードウェアプラットフォームの
差異を吸収する機能をもつプログラムのことである」
IT用語辞典 BINARY から)
ということですが、「HAL は IBM の個々のアルファ
ベットを1つずつ前に移したもの」という認識のほうが
多い気がします。

H ← I  A ← B  L ← M 

私も当初、その認識しかありませんでした。



国際規格を取得したサイバーダインの<br />生活支援ロボット(右)と同規格の認証書(左)

国際規格を取得したサイバーダインの
生活支援ロボット(右)と同規格の認証書(左)

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 P.034)





Theory 3
土俵を変える

日本の鉄鋼業界のケース

日本の鉄鋼業界は、「製鉄所の省エネ技術や
エネルギー管理方法」が海外より優れています。


ですが、残念ながら世界標準として機能して
いません。技術力だけでは世界を制することは
困難なのです。


当初は、「ドイツやイタリアなど欧州の主要国」が
反対しましたが、米国の支持を取り付けたことで、
最終的には日本が策定したISO14404を発行
することができたそうです。


少し専門的な話になりますが、ISO14404とは
どのような規格なのか、「日経ビジネス」の解説
を見てみましょう。


 ISO14404は、1トンの鉄鋼製品を製造

 するのにどの程度のエネルギーが消費され、

 CO2が排出されるかの計算方法を定めた

 世界初の規格だ。

 日本の手法をベースに製鉄所全体を計算

 対象とする。ISOの規格として初めて間接

 排出の概念を具体的に数値化した。
 

  (P.036)



日本の鉄鋼業の省エネ技術は優れている

日本の鉄鋼業の省エネ技術は優れている

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 P.036)





金メダルだってルール次第

日本にとって不利になるルール変更が行なわ
れたケースは、国際的なビジネスだけでなく、
スポーツ界でもよく見られます。


記憶に新しいことは、「キング・オブ・スキー」、
と呼ばれる、スキーの複合競技がそうでした。


当時、荻原健司選手が圧倒的に強かったため、
ジャンプと距離で配点が変更されました。
ジャンプの配点を下げたのです。
日本選手はジャンプで点数を稼いで、距離で
逃げ切っていました。
それができなくなったのです。
以後、日本選手は国際舞台で勝てなくなりました。


スキージャンプの高梨沙羅選手は、今シーズンも
ワールドカップで優勝を重ねています。そのうち、
ルール変更が行なわれると、優勝が難しくなる
恐れがあります。


欧米人にとって、小が大に勝つことは気に入らない
のでしょう。


 ルール形成が結果を左右するのは、

 ビジネスの世界だけではない。

 スポーツ界でも、日本人選手に不利と

 されるルール改正が繰り返された歴史

 がある。

 「身長プラス80cm」の板の使用が認め

 られていた1998年の長野五輪後には、

 「身長✕146%」へとルールが変更。

 身長の低い選手は以前より短い板しか

 使えないようになり、日本選手団は表彰

 台から遠のいた。


 日本発祥のスポーツである柔道も同様だ。

 一本を狙う美しい柔道を標榜する日本に

 対し、欧州を中心とした世界の主流は

 効率よくポイントを稼ぐ競技性の高い柔道。

 国際ルールはこれまで、後者の方向性で

 改定が進んできた。


 なぜスポーツで欧米主導のルール改正が

 まかり通るのか。一つはISOなどと同様に、

 主要ポストにおける欧米人比率が高い点

 が挙げられる。さらに、ルールに対する

 考え方も異なる。ルールは可変的で、

 新しいものを積極的に取り入れていくべき

 だと考える欧米に対し、日本は基本的に

 変化を嫌う。ルール作りに関わるのはひきょう

 で、改正後に対応すればよいという風潮すら

 ある。


 柔道の国際ルールは、最近の改定で一本を

 狙う日本方式に戻ってきた。

 だが、それを主導してきた上村春樹氏が

 2013年に起きた全柔連の不祥事の責任を

 取り、要職を辞任。「今年の改定で、相手の

 足を取りに行く技が全面禁止になるなど、

 日本人選手にとって不利な形に変わりつつ

 ある」(全柔連関係者)。現在、国際柔道連盟

 に日本人理事は一人もいない。
 

  (P.037)




PART 3 規格作りはゴールにあらず

規格の作り方について、欧米と日本とで大きな
違いがあると、「日経ビジネス」は指摘しています。


その違いとは?


 欧米のグローバル企業が自らの影響力の

 大きさを背景に実質的なルール作りを主導。

 政府だけでなく国際的なNGOもプレーヤー

 として存在感を増しているのだ。

 これに対し、日本では「国際ルール作りは

 政府の役割」との空気が依然支配的だ。

 そのため大半の企業や業界団体は、ルール

 形成に積極的に関わろうとしていないのが

 実情だ。
 

  (P.038)


私は、欧米諸国はどちらかと言うと、官よりも
民の方が上位と考えられているのに対し、
日本では逆に民よりも官の方が上位と考え
られている、という違いが国際ルール作りにも
影響を与えている、と考えています。


日本は、官民一体で、かつ民主導でルール
作成や変更、追加に関わってほしい、
と切望しています。



 ルール形成は、経験や人脈がものをいう世界。

 完全な「自前主義」にこだわらず、ルール作り

 という分野に関心を持つ人材の厚みを、

 官民を挙げて増やしていくことが必要だ。

 欧米ではこの領域は官僚やNGO職員、

 議員経験者、シンクタンクのスタッフなどが

 担い、グローバルな人材市場が形成させて

 流動性も高い。
 

  (P.039)



「日経ビジネス」は、日本はあらゆる分野でルール作り
に関わるのではなく、分野を絞り込んで注力すべきだ、
と述べています。


「日経ビジネス」は、注力すべき6分野の提言を
しています。




日本がルール形成に注力すべき6分野


本誌提言「日本がルール形成に注力すべき6分野」

本誌提言「日本がルール形成に注力すべき6分野」

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 P.040)



上図が見にくいかもしれませんので、書き直します。

① 介護システム

② 水

③ 鉄道

④ 安全

⑤ ロボット

⑥ 省エネルギー



上図の6分野は日本の強みをさらに強化できる
可能性が高いものです。


例えば、高齢化はデメリットばかりではありません。
日本は現在、高齢化対策として介護サービスを
行なっていますが、このノウハウを蓄積し、
磨き上げていけば、システムを輸出することが
可能になります。ビジネスを拡大させることが
できます。


ただし、問題点を一つひとつ潰していくことが
必要不可欠になります。


「日経ビジネス」は、その際の課題を指摘しています。


 欧米が得意な「社会課題の解決」という視点で、

 ルール作りをリードする意識を日本が高めること

 も必要だ。

 有限な資源を守りながら持続可能な成長を目指す。
  

  (P.040)



「日経ビジネス」が、6分野の提言をする理由は
下記のとおりです。


 海外では新興国を中心に経済成長が続くが、

 温暖化ガスの排出削減など環境問題には、

 世界中で取り組む必要がある。

 日本が強みを持つクリーンエネルギーの技術

 で国際ルールを作り世界に普及させれば、

 環境対策とビジネス拡大という二兎を追うこと

 ができる。

 海外先進国では、日本が抱える超高齢化や

 労働人口の減少などの問題に今後直面する

 ことも予想される。これは、課題解決に向けて

 日本が作り上げてきた介護システムやロボット

 などの技術を、海外に普及させる好機にもなる。

 水資源が相対的に豊富な日本の強みを生かした、

 ルール作りを主導できれば絶大な効果がある。


 国際ルール形成の場で主導権を発揮することが

 日本の成長のカギになる。

 ルールを制する者がビジネスを制す。
 

  (P.041)  


つまり、日本の強みや経験を、新興国にも先進国
にも生かすことができるということです。
日本が世界に貢献できる余地は大いにあります。


日本に対する世界の風あたりは強いですが、
日本はもっと自信を持ち、自国の強みをアピール
することは必要不可欠だ、と考えています。






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Jスタンダード ルールは「守る」より「作る」 2015.01.26 <1>



日経ビジネスの特集記事(92)

Jスタンダード
ルールは「守る」より「作る」
2015.01.26



今週の特集記事のテーマは

グローバル経済はルールの下に成り立っている。
クレジットカードが世界中で使えるのも、共通規格が
あるからだ。
これまでの日本はルールの順守にこだわり、
自ら作ることに関心が薄かった。
技術力が高ければ売れるという過信があったから
だろう。
だが、企業の競争力はルールが左右する。
ビジネスの展開はもちろん、社会課題の解決を促す
ため、今こそ「ジャパンスタンダード」を世界標準に
押し広げる時だ
 (『日経ビジネス』 2015.01.26 号 PP.024-025)

ということです。




Jスタンダード<br />ルールは「守る」より「作る」

Jスタンダード
ルールは「守る」より「作る」

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 PP.024-025)




第1回は、
「PART 1 成功のカギはルールメーキング」
「PART 2 ルールを制する3つのセオリー」
のうちの、「Theory 1 仲間を増やせ」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 ルールを制する3つのセオリー」
のうちの、「Theory 2 早い者勝ち」、
「Theory 3 土俵を変える」
「PART 3 規格作りはゴールにあらず」
を取り上げます。


「日経ビジネスの特集記事」は通常、3回に
分けてご紹介していますが、先週号に引き続き、
2回でお伝えしていきます。


キーワードは、3つあります。
ルールを作る
ルールを変える
仲間を増やす
です。



スタートページのカリカチャー(風刺画)が、
とても印象的です。


ドイツのメルケル首相、米国のオバマ大統領、
中国の習近平国家主席、そして汗だくの
安倍首相。


それぞれの立場が、表情にとてもよく描かれて
います。



では、本題に入りましょう!


PART 1 成功のカギはルールメーキング


トヨタ自動車は、自社開発したFCV(燃料電池車)に
関わるすべての特許を無償で公開しました。


その目的は?


トヨタ自動車のケース
普及する前から特許を無償公開

FCV(燃料電池車)



 今年1月に米ラスベガスで開催された世界最大の

 家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」。

 名だたる家電メーカーを差し置いて、大きな注目を

 集めたのはトヨタ自動車だった。昨年12月に発売した

 ばかりのFCV(燃料電池車)について、審査継続中を

 含む5680件の特許をすべて無償で提供すると発表

 したからだ。
 

  (P.027)


この措置に、FCVの開発に携わったエンジニアたちは
相当反発したと想像されます。



 「技術陣からの反発は強かった」

 トヨタ首脳は内情を明かす。同社は1992年から

 FCVの開発を始め、これまでに1兆円近くの巨費

 を投じてきた。


 FCV関連の技術は20年以上かけて自社で開発

 してきた。
 

  (P.027)


それでも、特許を無償で公開した理由は何だったの
でしょうか?


 社内の反対を押し切ってでもトヨタが特許公開に

 踏み切った背景には、EV(電気自動車)を巡る

 国際的な規格争いで日本勢が出はなをはじかれ

 た経験があるからだ。
 

  (P.027)



EVの急速充電器には、2種類ありました。
1つは日本が開発した「CHAdeMO(チャデモ)」。
もう1つは米ゼネラル・モーターズ(GM)や
独フォルクスワーゲン(VW)などの対抗規格
「コンボ」。


その後、「コンボは米国式とドイツ式に分かれ、
混乱に乗じて中国が独自規格のGBを提案」
(P.037)しました。


結局、4つの規格が並立することになったのです。
このような事態になった背景として、
「HV(ハイブリッド車)に続きEVでも日本勢に
主導権を握られることを恐れた欧米諸国は、規格
争いで一歩も引かなかった」(P.037)からです。


トヨタ自動車が、FCVに関する特許をすべて無償で
公開した理由は、自社だけでなくより多くの自動車
メーカーが加わることによって、FCVの普及を促進
したい、という意図があったからです。




地上デジタルテレビ放送のケース
放送方式とテレビ販売シェア

日本方式の普及と実需は異なる


地上デジタルテレビ放送方式について、世界では
どのようになっているのか見てみましょう。


 デジタル放送の世界標準は日本方式のほか、

 欧州方式と米国方式がある。日本政府は空白

 地帯だった南米に狙いを絞り、官民を挙げて

 働きかけを強めた。2006年にブラジルが日本

 方式の採用を決定。南米統合の観点からブラ

 ジルが日本方式の採用を各国に呼びかけた

 ことが奏功し、中南米地区の12カ国が日本方式

 を採用している。
 

  (P.028)



中南米では日本方式が席巻するが、<br />実需は韓国勢が押さえる

中南米では日本方式が席巻するが、
実需は韓国勢が押さえる

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 P.028)



上図を見ると、中南米のテレビ販売シェアも、
世界のテレビ販売シェアも韓国勢が1位を
占めています。


地上デジタル放送方式は日本方式が採用
されていながら、テレビ販売には結びついて
いません。


なぜ、このような状況になっているのでしょうか?
それは、韓国勢の貪欲さにあります。
日本はその点で、韓国に圧倒されています。


 チリの政府高官は日本方式の採用を発表した

 翌日すぐに、韓国メーカーからデジタル放送に

 ついて詳細な情報を求められたという。

 「商機があれば迅速に行動する貪欲さでは、

 日本の電機メーカーはかなわない」と総務省の

 担当者は嘆息をもらす。
 

  (P.028)


世界市場で戦うために、何が必要なのでしょうか?


 世界市場で有利に戦うために、自社に有利な

 事業環境を作り出すことが重要だ。
 

  (P.028)



国際規格となり事業も成功<br />国際規格となり事業拡大へ

国際規格となり事業も成功
国際規格となり事業拡大へ



国際規格を取れず

国際規格を取れず

以上2件 (『日経ビジネス』 2015.01.26 号 P.029)




国際規格とは何かについて、「日経ビジネス」の
解説を見てみましょう。


 電気分野の国際電気標準会議(IEC)、

 通信分野の国際電気通信連合(ITU)、

 そしてあらゆる分野を対象とする国際

 標準化機構(ISO)がある。これら3つの

 国際規格は、EU加盟国の地域規格で

 ある欧州規格(EN)や日本工業規格(JIS)

 など国レベルの規格より上位に位置付け

 られている。
 

  (P.028)




PART 2 ルールを制する3つのセオリー

Theory 1
仲間を増やせ

ダイキン工業のケース


ダイキン工業は、空調設備で世界一のシェアを
占めています。



 世界に誇るオンリーワンの技術と、 社員一人ひとりの

 空気への熱いこだわりが実を結び、 2010年、ダイキン

 は空調事業世界 No.1※企業になりました。
 

  (ダイキン工業 公式サイト から)
  ※空調事業世界 No.1…富士経済
   「グローバル家電市場総調査
   2013~2014」調べ(2010~2012年、
   家庭用・業務用空調の売上高)



ダイキン工業は、この程度のことで満足する企業
ではありません。


ダイキンがエアコンの冷却や加熱を行うのに不可欠
な冷媒について国際標準化機構(ISO)に認証を
取得することを目指していました。


ところが、当初は大苦戦しました。


 ダイキンが目指していたのは、エアコンが空気熱

 をくみ上げて冷却や加熱を行うのに必要不可欠な

 冷媒について国際標準化機構(ISO)の認証を

 取得すること。


 ダイキンは新冷媒「R32」を提案。だが、新冷媒

 装置の安全基準を巡る規格は、2013年の最終

 投票で反対票が賛成票を上回り、否決されてしま

 った。

 各国から次世代冷媒の候補が提案されたが、

 それぞれ一長一短があった。


 ダイキンは、多面的なデータを根拠にしたアピ

 ール作戦を展開することにした。

 例えば、R32を冷媒に使うと、エアコン機器へ

 の充填量が現行比で30%減ることから、

 トータルで見ると温暖化への影響が最大75%

 削減できる点を新たに強調した。
 

  (P.030)


ダイキンは、新冷媒「R32」という一の矢を
放ちました。
しかし、これだけでは不十分だと判断し、
二の矢、三の矢を放ちました。


 国際会議の場で訴えるだけでなく、

 環境ロビー活動として国際機関の関係者や

 各国の政策担当者、オピニオンリーダーら

 に面会を申し入れ、これらの情報を積極的

 に提供した。
 

  (P.031)


ロビー活動を実施したのです。



 ダイキンが次に力を入れたのが、反対派の

 切り崩しと新たな仲間の獲得だ。
 

  (P.031)


ダイキンは自社の欧州拠点が中心となり、
「現地の日本企業で構成する業界団体内に
空調のワーキングチームを結成」(P.031)
しました。


現地スタッフの影響力も大きいそうです。



 中核として動いたエルス・バート課長ら現地

 スタッフは現在もISOや欧州の業界団体

 などの主要ポストに就いており、一定の影響

 力を持っている。
 

  (P.031)


先進国だけでなく、新興国を取り込むことにも
注力しました。



 「理屈」で先進国を口説き落とす一方、新興国

 に対しては「貢献」を通じて恩を売る。

 この2つの作戦が合わさり、ようやく国際規格

 を勝ち取ることができた。

 ダイキンは国際的なルール形成の舞台裏を

 熟知したうえで、周到な作戦で仲間を増やした。

 だからこそわずか1年で巻き返しに成功できた。
 

  (P.032)


粘り強く作戦を実行したことが奏功したのです。




ルール形成でも台頭する中国
中国の急速な追い上げ



 最近では中国や韓国といった新興アジア勢も、

 国際規格作成に積極的に関与し始めている。

 国際規格の議論を主導していく幹事国引受数

 の推移を見ても、日本はようやくフランスや英国

 に追いつこうとしている段階だが、中国や韓国は、

 幹事国引受数を年々増やしている。


 中国は「世界トップ100に入るブランドを10以上

 作る」という目標を2008年に掲げている。

 その実現のために、国際規格の獲得があるのは

 間違いないだろう。
 

  (P.033)


次の言葉は、じっくり考えてみる価値がある、
と思います。


 中国には「三流の会社は製品を売り、二流の

 会社は技術を売り、一流の会社は規格を売る」

 という言葉がある。
 

  (P.033)



日本は存在感を高めるも、
中国が急速に追い上げる

(『日経ビジネス』 2015.01.26 号 P.033)





次回(最終回)は、
「PART 2 ルールを制する3つのセオリー」
のうちの、「Theory 2 早い者勝ち」、
「Theory 3 土俵を変える」
「PART 3 規格作りはゴールにあらず」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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2極化どころか1万極 「ナノ市場」突破法 2015.01.19 <2>



日経ビジネスの特集記事(91)

2極化どころか1万極
「ナノ市場」突破法
2015.01.19



今週の特集記事のテーマは

「富裕層と低所得者層に2極化」「若者の消費離れ」
といった表現では説明のつかない現象。
そんな従来の常識や既成概念を覆すような消費が
広がっている。
「一過性の取るに足らない些末な現象」と無視しては
時代を誤る。
もはや現代の消費者に対して、特定のセグメントに
的を絞る古びたマーケティング手法は通用しない。
消費市場に立ち向かう企業が今の消費を的確に
つかむには、自身が発想を「逆転」させるしかない
 (『日経ビジネス』 2015.01.19 号 PP.024-025)

ということです。




2極化どころか1万極 「ナノ市場」突破法

2極化どころか1万極
「ナノ市場」突破法

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 PP.024-025)




第1回は、
「PART 1 百花繚乱、多極化する消費」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 拡散し揺れ惑う消費者」
「PART 3 『迷宮市場』に向き合う策」
を取り上げます。


「日経ビジネスの特集記事」は通常、3回に
分けてご紹介していますが、今回は2回で
お伝えしていきます。


キーワードは、3つあります。
ダイバーシティ(多様性)
SNS(交流サイト)
非日常性
です。



PART 1 では、消費者の多様性あるいは、
多極性をご覧いただきました。



PART 2では、消費者や社会にどんな変化が
起きているのかを中心に見ていくことにします。


果たして、あなたが考えていた通りのことだった
のでしょうか?


では、本題に入りましょう!


PART 2 拡散し揺れ惑う消費者

PART 1 を振り返ってみましょう。

SCENE 1 瞬間セレブ/お姫様需要
SCENE 2 国産良品回帰
SCENE 3 Neoチープ
SCENE 4 “せんべろ”“ひるべろ”
SCENE 5 別居ときどき集団
SCENE 6 恋するシニア
SCENE 7 即決め、割り切り
SCENE 8 新世代「リア充」


以上掲載したように、消費者は「多極化」して
います。そのような「多極化」の原因を探った
のがPART 2 です。


「日経ビジネス」取材班の面目躍如たる分析を
じっくりご覧ください。


その上で、「私の見解は違う」と感じたら、
新たに問題提起してみてください。
そうした独自の分析が新たな世界を切り開く
きっかけになるかもしれません。


やってみる価値は大いにあります。



では、早速「日経ビジネス」取材班の分析は
どのようなものなのか、一緒に見てみましょう。


これが現実なのだ、と実感させられます。


 PART 1 で見てきた摩訶不思議な消費は、

 なぜ生まれるのか。多極化の背景には、

 ライフスタイルの変化がある。最たるものが

 SNSの普及。これまでは自分だけが楽しん

 だり経験したりして完結していたが、

 そこに「友達に見せる」要素が加わった。

 PART 1 で紹介した女子大生5人組が

 リムジン女子会をやろうと思ったきっかけは、

 広告宣伝ではなく、経験者のSNSの投稿。

 自分たちも、せわしなくスマートフォンで

 撮影し、終了後に各自がフェイスブックに

 投稿していた。リムジン女子会の「ネタ」は

 「いいね!」と反応してもらえる確率が高い。
 

  (P.034)



ただ、注意しなくてはならない点は、そうした
「現象」は長続きしないことです。


新しい企画が始まり、他人より先に何でもした
がる人は、その体験をツイッターやフェイスブック
に投稿し、注目されことを期待します。


あることに手を染めても、継続していくかどうかは
別の問題です。


その辺りを見誤ると、企業は手痛い洗礼を受け
ます。


コンビニの惣菜などを見ますと、「お一人様」用の
品揃えが増えてきています。明らかに単身者向け
に商品化していることが伺われます。


晩婚化が進んでいることを示すデータがあります。
下のグラフをご覧ください。


SNSの利用が消費行動に影響 結婚した男性のうち、約2割は再婚 子供を産まない人が増えている

SNSの利用が消費行動に影響
結婚した男性のうち、約2割は再婚
子供を産まない人が増えている

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 P.034) 図01



女性の生き方は多様化 心の豊かさがより重要に 家族構成は15年で変化

女性の生き方は多様化
心の豊かさがより重要に
家族構成は15年で変化

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 P.035 図02



「日経ビジネス」の解説を読んでみましょう。


 2010年には単身世帯の割合が32%と、

 15年前に比べて6ポイントも上昇。

 初婚の平均年齢は、男性が30.9歳、

 女性で29.3歳と、晩婚化が進んでいる上、

 男性については50歳まで一回も結婚しない

 生涯未婚率が2割を超えている。

 「結婚は生涯1回」という常識も、消失した。

 離婚するカップルが増えたことで、再婚率も

 上昇している。今や、結婚するカップルの

 うち、男性が再婚のケースは2割近い。
 

  (P.034)



女性の社会進出によって、晩婚化が進んだこと
は間違いありません。


そしてもう一つの理由は、男性の収入が頭打ち
になり、一人の収入では家族を養っていくことが
困難になってきたことも見逃せません。


専業主婦のいる世帯よりも共働きの世帯の方が、
年々増加していることが明らかです(図02参照)。
上のグラフの青いラインが「共働きの世帯数」の
推移です。


 背景には女性の社会進出がある。

 2013年には、15~64歳の女性の就業率は

 6割に達した。働く女性の増加や晩婚化に

 応じて、出生率は1.43人と1990年の1.54人

 から低下している。

 結婚したり、子供を産んだりしても、仕事を

 辞めない女性も多い。90年代には専業主婦が

 いる世帯の数を、共働き世帯が上回った。
 

  (P.035)


サラリーマンの小遣い事情が、収入が増加して
いないことを裏付けている、と私は考えています。
東日本大震災の発生によって、将来に対する
不安感が増幅しているとも考えられます。


もちろん、消費増税は無視できません。


 新生銀行の調査によると、90年に7万7725円

 だったサラリーマンの月平均小遣い額は、

 2014年に3万9572円まで減少。消費者は

 財布の中身を見ながら、優先順位を付けて消費

 するようになった。

 重視するモノやサービスには高くても投資するが、

 こだわりのないモノは安く済ませる。重視する

 ものは人によって異なるため、差別化が進む。


 2008年のリーマンショックや、2011年の

 東日本大震災を経て、消費者が重視することも

 変化している。内閣府の国民生活に関する

 世論調査によると、「今後の生活で何に重点を

 置くか」という質問に対し、6割の人が「心の豊か

 さ」と答えた。


 今やモノの充足だけでは消費者は満たされない。

 実用性よりも、自分の価値観に合い、共感し、

 驚きのある「コト」を求めている。
 

  (P.035)


私は、「モノ」から「コト」へ、そして最後は「ヒト」に
たどり着く、と考えています。


最初はモノの所有が重視され、モノが満たされると、
利用することによって得られるコトに価値を見い出し、
最後は自分を認めてもらいたい、というヒトの問題に
収斂される、と考えています。




複雑化招く、背反する感情

ここでは、1人の女性起業家に焦点を当てて
います。
仕事に全力投入した後の今の心境と、
「一人だけの願望」を実現した理由を語って
います。


読み終わって、複雑な気分になりました。
「ソロウェディング」という独特なサービスは
女性にしか成立しないからです。


 今、お一人様向け1泊2日の国内ツアーが

 話題を呼んでいる。その名は「ソロウェディング

 ~恋するドレス~」。初日はドレス選びと

 ブーケ作り。2日目はカメラマンやヘアメークと

 一緒に京都市内を巡り、ドレス姿を撮影する。

 料金は、宿泊費・レンタル代、撮影代込みで

 30万~34万円と高額ながら、スタッフは

 全員女性で、撮影場所も貸し切り。誰にも

 邪魔されず“プリンセス”時間を堪能できると

 あって、利用者数は月間10人以上まで

 増えた。問い合わせも急増しており、予約は

 今年7月まで入っている。

 そのほとんどが、30代以上の未婚女性という。
 

  (P.036)


下の写真の京都市在住の独身女性、
澤野ともえさん(39歳)はこう語って
います。


 「お姫様気分の体験に近い。小さな頃に

 こんなドレス着たいと思っていたなって、

 眠っていた“ガール”な部分、はしゃぐ

 気持ちが噴き出ました」
 

  (P.036)



「ソロウェディング」を体験した澤野さんは 「やってよかった」と満足している

「ソロウェディング」を体験した澤野さんは
「やってよかった」と満足している

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 P.036)




「日経ビジネス」はこうした傾向をいったん次の
ようにまとめてみせます。


 自立した女性でありたいし、女でもありたい。

 ソロウェディングは、そんな揺れ惑う乙女心を

 うまくすくったサービスと言える。 
 

  (P.036)


ところが、それだけではない、それだけでは説明
がつかない、とも語っています。


 生き方や趣味が多様化・多彩化した今、

 独り志向のサービスが受け入れられる

 のは当然の流れ。だが、「今の消費者は

 独り志向」と割り切っては見誤る。

 独りで好きなことを追求する一方、たまには

 「群れたい」と思う若者がいる。


 旅行企画サイトを運営する trippiece

 (トリッピース=東京都渋谷区)にはユーザー

 が企画した旅行プランが数百件も掲載されて

 いる。


 SNSなどで賛同者を募って5人以上そろえば、

 トリッピースが旅行会社に依頼し、ツアー化

 される。細かな日程や宿泊先などはメンバー

 で相談しながら決めていく。

 2011年夏の開始以来、累計企画数は6000

 以上、旅行者数は2万人を超えた。


 このサービス、お一人様での参加が8割以上。
 

  (PP.036-037)


トリッピースを創業した石田言行社長は、次のように
語っています。


 「自分の好きなコトやモノを追求すればするほど、

 どんどん孤独を感じる。結果として、同じような

 趣味嗜好を持つ人々とのつながりを求める。

 日常では『独り』になりがちだからこそ、非日常

 では『群れたい』のだと思います」
 

  (P.037)



ライフスタイルや社会が変化した現在、企業は
どのように対処したらよいのでしょうか?


PART 2 では、多様化、多極化した消費者に、
真正面から立ち向かった企業をご紹介します。



PART 2 拡散し揺れ惑う消費者


「2.5世代住宅」という言葉を聞いたことは
ありますか?


「2世帯住宅」はもちろん知っていましたが、
「2.5世代住宅」は知りませんでした。


注文住宅メーカーの旭化成ホームズの商品
だそうです。


「2.5世代住宅」とはどのようなものなのか、
からスタートしましょう。


 横浜駅からクルマで10分ほどの住宅街。

 2012年に建った小杉邸には、60代の

 夫婦、30代の息子夫婦とその子供2人

 の2世帯、そして長女で単身の聡子さん

 (32歳)が同居する。


 小杉家が選んだのは住宅メーカーの旭化成

 ホームズによる「2.5世代住宅」。1975年に

 「2世代住宅」を初めて商品化した同社が、

 その発展形として単身者「0.5」の同居を

 前提とした2.5世帯住宅を2012年夏に販売

 した。

 独り志向の集団が存在するからこそ成立する、

 群れる志向の商品。受注は順調に伸び、

 昨年は全体の4%超に当たる約350棟まで

 増えた。


 同社は注文住宅メーカーとしては後発組。
 
 積水ハウスなど先行する大手を前に、

 「ニッチで生きるしかない」という社風が根付い

 ている。
 

  (P.038)



「日経ビジネス」取材班は、消費者への対処法を
4つに分けて提示しています。


方法論 1 
愚直に顧客に聴く 旭化成ホームズ



 2.5世代住宅のヒントは販売済みの2世代

 住宅にあった。

 「2世帯に加え単身の子も同居するケースが

 多い」。個々のニーズに沿って設計し、施工

 する現場から、そうした声が本社に届くように

 なった。顧客動態を分析し続けている(旭化成

 ホームズくらしイノベーション研究所と二世帯

 住宅研究所の)松本吉彦所長を中心に受注

 した2世帯住宅の使われ方を調べると、確かに

 2.5世帯住宅として設計されている例が多い。

 同居する単身の女性の割合は6割超。

 だが、多くは経済的に自立している。
 

  (P.039)


「2.5世帯住宅」に対して、どのような感想を持たれ
ましたか?


後発企業が取るべき戦略は、大手に真っ向勝負を
挑むのではなく、ニッチな分野を見い出し、大手が
参入できないようにノウハウを磨き上げることです。


参入障壁を高める、不断の努力が欠かせません。




方法論 2 
現場至上主義 ルミネ

「最先端のファッションビルとして若者を中心に
人気を集める東日本旅客鉄道傘下のルミネ」
(P.040)


ルミネの戦略が紹介されています。
一言でいえば、顧客に最も近い、現場の人間に
権限委譲(任せる)、ということです。


顧客に最も遠い本社の人間は、現場をサポート
することに徹するべきなのです。


現実には、現場を知らない本社の人間が、細部
に至るまで口を挟むケースが多いですね。


 今の姿からは想像できないが、実は、ルミネ

 は1990年代まで、若者に見向きもされない

 寂れた駅ビルにすぎなかった。


 そんなルミネを立て直すため、(2001年に

 ルミネの社長に就任した)花崎淑夫氏が

 こだわったのは、「徹底的な現場主義」。

 ターゲットの消費者と年齢が近く、最も流行に

 敏感な20代の社員に、テナント選びなどの

 権限を委譲した。
 

  (P.040)


その具体的なエピソードが紹介されています。
スターバックスを誘致した時の話です。
スタバもルミネの慧眼に、戦略を見直したという
ことです。


 2002年に新宿の「ルミネ1」の5階に

 オープンしたスターバックス。

 誘致を提案したのは20代の社員だった。

 「米国では、本屋に隣接したコーヒー店が

 流行している。ルミネでも5階の本屋の隣

 でスターバックスをやりたい」。

 早速、スターバックスコーヒージャパンに

 打診したが、門前払い。当時、スターバッ

 クスが出店していたのは、人通りの多い

 1階のみだった。


 それでも花崎氏は諦めない。「私には正直

 分からないが、うちの社員がどうしてもやり

 たいと言っている。賃料は払えるだけでいい

 のでお願いします」。

 異例の交渉を重ね、スターバックスの出店が

 決まった。結果は大成功で、それ以降スター

 バックスは2階以上のフロアに相次いで出店

 している。
 

  (P.04)


素晴らしい話だと思います。
社員の提案をきちんと受け止め、交渉に臨んだ
花崎さんも立派だと思いますし、スタバも出店
を決定したことも評価されます。
もちろん、いろいろな計算が働いたことは、
推測できますが。


花崎さんは、社員を最後まで信頼し、何として
でも提案に応えてあげたい一心だったのだろう、
と思います。


もちろん、現場の人間が間違うことはあります。
それをカバーするのが本社の役目です。




方法論 3 
データで徹底検証 すかいらーく

「すかいらーく」と言えば、低価格の「ガスト」を
中心に据えて復活した企業、という印象があり
ます。


すかいらーく はビッグデータを分析し、マーケ
ティングに生かすべく全力で取り組んでいる、
という話です。


 ガストやバーミヤンなどを展開するファミリー

 レストラン最大手のすかいらーくでは、

 ビッグデータを活用したマーケティングに

 力を入れる。


 提携するカルチュア・コンビニエンス・クラブが

 運営する「Tポイント」をためるためのTカード

 から得られる情報を活用。年齢や性別に、

 店舗のある地域や利用時間帯、来店人数、

 メニュー、単価などを組み合わせたいくつもの

 切り口で、顧客を分析している。

 重要なのは、この分析結果の考察に時間を

 掛けること。


 ビッグデータの分析をきっかけに、ガストでは

 2014年12月からメニューの点数や価格を

 地域別にした。こうした取り組みも今後検証し、

 次なる戦略に生かしていく。
 

  (P.040)


ビッグデータの解析技術が、日を追うごとに
進歩しています。コンピュータのハードとソフト
の性能が著しく向上し、ビッグデータの分析が
短時間でできるようになってきました。


後は、分析データをどう活用するかに掛かって
います。同じ分析データでも、扱い方次第では
逆効果となる場合もあり得ます。


最後は、ヒトの問題に収斂されるのです。
そうした文脈で、今後、データサイエンティストの
役割が大変重要になってくる、と考えています。




顧客データを細かく分析し、次の手に生かす
すかいらーくのマーケティング

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 P.040)





方法論 4 
究極のカスタマイズ ダイハツ工業

ダイハツは2006年以来、軽自動車市場で、
販売台数で首位に立っています。
スズキの猛追を受けているようですが。

スズキが猛追、軽販売台数に異変
ダイハツが首位明け渡しの可能性



ダイハツは、軽自動車のカスタマイズを実現
しました。消費者の究極の要望に応える戦略
と言えます。


 2014年6月にモデルチェンジしたダイハツ

 工業の軽自動車のオープンスポーツカー

 「Copen(コペン)」。購入後でも外板や内装を

 “着せ替え”できるのが特徴で、外板の形は

 2タイプ、カラーは全8種類から選べる。

 発売1カ月後の月受注数は、当初の目標で

 ある700台をはるかに上回る4000台を記録

 した。購入者の半数以上を40代以下が占め、

 若者のハートも捉えている。


 ダイハツでは、2014年8月にモデルチェンジ

 した女性向けの軽自動車「ミラココア」にも、

 カスタマイズの要素を取り入れている。

 ボディーカラーや内装の組み合わせで実に

 160通りのデザインになる。
 

  (P.041)




最後に、ルミネ元会長の花崎さんの言葉を
ご紹介しましょう。


 「人の心は十人十色。しかも、時と環境に

 よってどんどん変わる。基本は、どんなに

 小さな変化だろうが、応じ続けるということ。

 昔から言うでしょう、神は細部に宿るって。

 未来というのは非常識の中にしかないん

 ですよ。今までの常識に、未来なんかない」
 

  (P.041)



今回の特集記事は、総ページ数が18ページ
(先週号は22ページ)しかなかったため、
2回に分けてお伝えしました。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




2極化どころか1万極 「ナノ市場」突破法 2015.01.19 <1>



日経ビジネスの特集記事(91)

2極化どころか1万極
「ナノ市場」突破法
2015.01.19



今週の特集記事のテーマは

「富裕層と低所得者層に2極化」「若者の消費離れ」
といった表現では説明のつかない現象。
そんな従来の常識や既成概念を覆すような消費が
広がっている。
「一過性の取るに足らない些末な現象」と無視しては
時代を誤る。
もはや現代の消費者に対して、特定のセグメントに
的を絞る古びたマーケティング手法は通用しない。
消費市場に立ち向かう企業が今の消費を的確に
つかむには、自身が発想を「逆転」させるしかない
 (『日経ビジネス』 2015.01.19 号 PP.024-025)

ということです。




2極化どころか1万極 「ナノ市場」突破法

2極化どころか1万極
「ナノ市場」突破法

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 PP.024-025)




第1回は、
「PART 1 百花繚乱、多極化する消費」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 拡散し揺れ惑う消費者」
「PART 3 『迷宮市場』に向き合う策」
を取り上げます。


「日経ビジネスの特集記事」は通常、3回に
分けてご紹介していますが、今回は2回で
お伝えしていきます。


キーワードは、3つあります。
ダイバーシティ(多様性)
SNS(交流サイト)
非日常性
です。



今特集のスタートページをご覧になって、
どう思いましたか?


「キャバクラ」あるいは「女子会」のワンシーン?
正解は後ほどに。




では、本題に入りましょう!


PART 1 百花繚乱、多極化する消費

今週の「日経ビジネス」の特集記事は普段と
何か違うな、という印象がありました。


その理由はすぐに判明しました。
通常、取材班は男性が圧倒的に多いです。
ところが、今特集は3人の記者のうち、2人
が女性です。


女性の視点が色濃く反映されていたのです。


スタートページの画像の答えですが、
見た目豪華な「女子会」でした。
そこは「日経ビジネス」ですから、一定の基準を
設けています(笑)。
しかし、その「女子会」は決して高額なものでは
ありません。



SCENE 1 
瞬間セレブ/お姫様需要

「若者は消費しない」のウソ

「女子会」の内容が説明されていますので、
読んでみましょう。女子大生たちの決めては
「ドレス」でした。


 冒頭で紹介した女子大生5人組の女子会は、

 「シンデレラハウス」と名付けられた東京・西

 麻布に立つ瀟洒な一軒家でドレスに着替える

 ところから始まった。お気に入りの一着に着

 替え、出迎えたリムジンカーに乗り込むや否や

 5人の熱気はピークに達する。


 もともと、海外セレブなどの接待向けにリムジン

 ハイヤーの市場はあった。

 だが今沸騰しているのは、至って「普通の女子」

 向けの需要。2014年中頃から人気に火が付き、

 フェイスブックなどSNS(交流サイト)を中心に

 ブームが広がっている。


 (5人が)利用したのは、記念日などを演出する

 イベントを手掛けるアニプラ(東京都港区)の

 「リムジン姫会」。ドレスの貸し出しと1時間の

 周遊で1人9800円(5人利用の場合)を支払った。


 アニプラの田中彩子社長は「流行るとは思って

 いたけれど、こんなに早く広まるとは、想像以上

 にSNSの力が大きかった」と驚きを隠さない。

 数あるリムジン貸し切りサービスの中でもヒット

 している理由は、非日常感の演出力。

 西麻布の一軒家で着替え、キラキラと装飾された

 リムジンに乗り込むという「ストーリー」が、お姫様

 気分を味わえると好評だ。女子大生5人組の

 決めてもドレスだった。 
 

  (PP.026-027)



「若者は消費しない」のウソ

「若者は消費しない」のウソ

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 P.026)




「キラキラ」していたいという思いは、独身女性に
限ったことではないそうです(納得できます)。



 お姫様とまでは言わなくても、「キラキラ」して

 いたいという思いは、独身女性に限ったこと

 ではない。普段は子育てや家事に追われる

 ママだって、時には主役になりたい――。

 そんな要望に応えるイベントの開催が増えて

 いる。

 先駆けは、エイベックス・グループ・ホールディン

 グスの子会社が手掛ける「ママフェス」。

 メールマガジンの受信を登録している会員は

 3万人。


 特徴は、その会場。恵比寿ガーデンプレイスや

 六本木の東京ミッドタウンなど、東京都心の

 “おしゃれ”なところで開いてきた。

 参加者の半分以上は子連れだが、会場には

 託児所を完備している。


 生活に余裕があり、流行に対する意識が高い

 ママたちに、企業も関心を寄せる。グリコや

 サントリー酒類が自社商品を配布したり、

 富士フィルムが撮影会をしたりと、これまで

 イベントをバックアップしてきた。
 

  (P.027)


独身女性やママをいかに取り込むか、が企業の
重要な課題になってきたと言えます。


ターゲットは意外に身近にいた、ということです。




SCENE 2 
国産良品回帰

長年のデフレの反動か、少し高くても高品質な
商品を求める人たちが増えてきたのかもしれま
せん。


粉末状の「だし」に人気が集まっているそうです。
口コミや、SNSなどへの書き込みによる影響が
大きいでしょう。


 かつお節や昆布、焼きあごなどの無添加素材

 を粉末状にしてパックにした「茅乃舎(かやのや)

 だし」がブレークしつつある。30袋入りで1944

 円と一般的な顆粒だしに比べて高いが、食に

 こだわる女性や熟年層に加え、ネットでの口コミ

 や贈り物を機に、若者の間でも、ちょっとしたブーム

 となっている。
 

  (P.028)


先述した「リムジン姫会」の経営者と同様に、
茅乃舎ブランドを育てた久原本店の荒巻和彦・
専務取締役も現状に驚いています。


 「だしは料理の基本。商品として持って

 おこうと商品化しただけで、売れるとは

 思っていなかった。それが、年代問わず、

 幅広く受けている。ただのだしなのに、

 我々の想像を絶する広がり方は信じられ

 ない」
 

  (P.028)


茅乃舎・東京ミッドタウン店

茅乃舎・東京ミッドタウン店

(『日経ビジネス』 2015.01.19 号 P.028)



売り込もうとしなくても、きっかけ次第でモノが
売れる時代になったとも言えます。
換言すれば、ホンモノを見極めることができる
人たちが現れ、その人たちがSNSで発信する
と瞬く間に流行を作り出せるようになったのです。


クックパッドもその好例と言えます。
オリジナルレシピを公開することで、評価されれば
一躍有名人になれます。


ただ、「食べログ」などに業者を使って「ヤラセ記事」
を投稿するのはとんでもないことですが。




SCENE 3 
Neoチープ

ただ安いだけではもう売れない時代になりました。
そう実感できることがあります。
どんなに安くても、自分にとって価値があるとは
認めがたいモノであれば、見向きもされません。


価格を上回る価値がある。上質である。
価格より高く見える。安っぽく見えない・・・等
がポイントになります。


 安くておしゃれなモノを求めるその流れは、

 靴、そして雑貨にまで波及している。

 カジュアル衣料のトリニティアーツが展開

 する衣料・雑貨店「スタディオクリップ」。

 キッチン雑貨を中心に扱い、マグカップ

 で900円程度とお手頃。


 こだわっているのは。素材。リネンやコットン

 などの天然素材を使用した商品を、割安な

 価格で提供している。


 ブランドのターゲットは30~45歳の女性。

 テナントは、必ずスーパーマーケットの近く

 に出店。


 スタディオクリップはこの3年、年平均35

 店という破竹な勢いで、店を増やし続けて

 いる。
 

  (PP.029-030)




SCENE 4 
“せんべろ”“ひるべろ”

「職工の町」に一般人

聞いたことのない言葉が出てきました。
おそらく、あなたも初耳ではないかと推測します。


その言葉とは、「せんべろ」と「ひるべろ」です。
「べろ」は俗語で「舌」を表す時に使いますね。
ですが、上記の2つの言葉に使われている
「べろ」は「舌」の意味ではありません。


べろんべろんに酔う、の意味です。
東京スカイツリーの最寄り駅、京成線押上駅から
程近い立石駅(葛飾区)にある飲み屋街で、昼夜を
問わず、お酒好きの人たちが集まってくるという
話です。


 東京スカイツリーのある京成線押上駅から

 各駅停車で4駅の京成立石駅(葛飾区)。

 駅前の路地に入ると、昭和30年代にタイム

 スリップしたかのような感覚に襲われる。


 そんな立石の居酒屋街で最近、見慣れない

 光景が広がっている。夕方6時も過ぎれば、

 もつ焼きなどの居酒屋に10人以上の列。

 開店前から人が並び、開店時間を早める店も

 あるほどだ。

 訪れる客は年齢問わず、中でも20~30代

 の若者のカップルや3~4人グループが目立つ。


 若者は立石に来て喜び、面白がる。個人の

 ブログやフェイスブックといった、口コミで来る

 若者が多い。


 立石の居酒屋は1000円程度でべろべろに

 酔える、いわゆる“せんべろ”の店が中心だ。


 立石の居酒屋には、昼から飲酒できる店

 「ひるべろ」もある。


 立石の居酒屋には暗黙のルールがある。

 長居しないことだ。
 

  (PP.030-031)




立石の居酒屋で“せんべろ”“ひるべろ”

立石の居酒屋で“せんべろ”“ひるべろ”

『日経ビジネス』 2015.01.19 号 PP.030-031



若者たちにとって、こうした光景は、逆に新鮮に
映るのでしょう。




SCENE 5 
別居ときどき集団

「家族は分散」はウソ

核家族や単身家族が増えていますので、
食事を一緒に摂ることはなくなってきている
と考えられます。


ところが、「『家族は分散』はウソ」だ、いうのが
「日経ビジネス」取材班の見解です。


「同居はしないがときどき『群れる』」家族が
増えている」(P.031)そうです。


ロイヤルホストが経営する「カウボーイ家族」
を引き合いに出して、解説しています。


 カウボーイ家族の人気の秘密は、大家族

 が喜ぶ店作りにある。長めのゆったりした

 ベンチシートがフロアの中心に配置され、

 グループを歓迎するような作りだ。
 

  (P.031)




SCENE 6 
恋するシニア

結婚一度きりのウソ

日本でも離婚が増えています。
人生は一度しかないので、もう一度
やり直したい、という人が多くなった、
と考えられます。


統計上もはっきり表れています。


 厚生労働省の人口動態調査によると、

 2013年に結婚したカップルのうち、

 夫か妻のどちらかが再婚のケースは

 4分の1に上る。中でも、男性の再婚率

 は19%と、20年前に比べて6ポイント

 も上昇した。離婚率が上昇したことに

 加えて、平均寿命が伸びたことで、再婚

 する人が増えた。


 30代以上を対象に、結婚情報サービス
 
 を提供している茜会(東京都新宿区)には、

 出会いを求めて男女が集まってくる。

 2014年末時点の会員数は約4000人と、

 2011年に比べて4割多い水準。


 茜会の広報責任者、立松清江氏はこう

 語る。

 「再婚に対する意識は大きく変わった。
 
 昔は世間体を気にする人が多かったが、

 家族など、周りの人の理解も得やすく

 なっている。実は、世代が上の人の方が、

 新たなカップルになることに対する抵抗感

 も薄い」
 

  (P.032)


今後も増えそうな気がします。
私はする気はしませんが、家内から離婚を
持ちだされたら、拒否することはできません
(苦笑)。




SCENE 7 
即決め、割り切り

検索時代に「選ばない」選択

FM J-WAVE を聴くことが多いのですが
(このブログを書いている今も聴いています)、
「すぐ婚navi」のコマーシャルを時々耳にします。


最初聞いた時、よく聞き取れませんでした。
「する婚(?)navi」なのか「すぐ婚navi」なのか、
はっきりしませんでした。


今特集に掲載されたことで、「すぐ婚navi
と分かりました。


 半年以内の式場予約に限定し、割引特典

 を付けたサービス「すぐ婚navi」が業績を

 伸ばしている。

 2014年7月期の売上高は2年前の約2倍

 に。大型商業施設などに入居するリアル

 店舗も全国13店となった。今では600以上

 の式場と提携、年間1万組以上が利用して

 いる。


 授かり婚が増え、婚姻年齢も上がり、結婚式

 までを短縮したい、あるいは、安ければすぐに

 でも結婚式を挙げたいと思うカップルの需要が

 高まっている。
 

  (P.032)


需要を見極め、タイミングよく供給できる企業が
顧客を取り込めることが分かります。




SCENE 8 
新世代「リア充」

「中高生は遊んで恋して」のウソ

「リア充」という言葉が一般化していますね。
ヴァーチャルの世界でゲームなどで充実
している人ではなく、リアルの世界で充実
している人のことです。


中高生向けの「プログラミング合宿」が人気
を博しているという話が出てきます。


最初は意外に思いましたが、記事を読んで
いるうちに、納得してしまいました。
その理由は、最後に。


 2014年12月23日から4日間、山梨県

 にある富士五湖の一つ、西湖畔に立つ

 大型温泉ホテルに約250人の中高生

 が集結した。プログラミング合宿「クリス

 マスキャンプ」に参加するためだ。


 このキャンプは、中高生向けプログラミング

 教育を手掛けるライフイズテック(東京都

 港区)の主催。

 「iPhoneアプリ」「3Dゲーム」

 「デジタルミュージック」など13のコースが

 学べ、大学生の講師に教わりながらアプリを

 完成させる。参加費は9万2000円と高額

 だが、募集から半月で当初定員の180人が

 埋まり、250人に増員してもキャンセル待ち

 となった。

 オタク系男子がそろっていると思いきや、

 参加者の3割が女子。


 色違いのおそろいのパーカーを着て、朝から

 夜までプログラミングに没頭するが、夜は

 大学生講師を交えたパーティーが催される。

 中高大の若者が一体となって盛り上がった

 聖夜。

 現実世界の生活が充実している人を「リア充」

 と呼ぶが、そこには新世代のリア充たちが

 集まっていた。


 ライフイズテックの起点は、2011年夏に都内

 で開いたアプリ開発のスクール。

 今では、キャンプとスクール合わせて延べ8000

 人が参加するまでに成長した。
 

  (P.033)





『日経ビジネス』 2015.01.19 号 P.033




プログラミング合宿に多数の中高生が参加する
ようになった背景として考えられることが2つあり
ます。


1つは、「ゲーム・クリエーター」という人たちに
憧れを抱いているのではないか、ということです。


もう1つは、リケジョ(理系女子)が増えているの
ではないか、と考えられることです。


将来、女性が一人で生きていかなければならなく
なった場合に備えて、手に職をつけておこうか、
という意識があるのではないか、とも考えています。


今までご覧いただきましたように、
ダイバーシティ(多様性)
がはっきりしてきた、と言えます。




次回(最終回)は、
「PART 2 拡散し揺れ惑う消費者」
「PART 3 『迷宮市場』に向き合う策」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




「円安の未来」を生き抜く 1ドル150円経営 2015.01.12 <3>



日経ビジネスの特集記事(90)

「円安の未来」を生き抜く
1ドル150円経営
2015.01.12



今週の特集記事のテーマは

円安が進み、昨年末に1ドル=120円台の水準に
突入した。
アベノミクス継続で、中長期的な円安トレンドは
間違いない。
果たして、企業はどこまでの円安を覚悟しているのか。

2020年に1ドル150円――。
アジア通貨危機を超える25年ぶりの円安水準を
見込むのだ。
「円安の未来」を生き抜く新しい経営モデルに迫る
 (『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.027)

ということです。




「円安の未来」を生き抜く ドル150円経営

「円安の未来」を生き抜く
ドル150円経営

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 PP.026-027)




第1回は、
「プロローグ 動き出した150円工場」
「PART 1 120円突破が呼ぶ パラダイムシフト」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 もう円安は怖くない 先進企業の秘策」
を取り上げました。


最終回は、
「COLUMN 1」「COLUMN 2]
「PART 3 逆転の『円安経営』 新陳代謝の好機に」
をご紹介します。





円安基調の現在、恩恵に良くしているのは、
輸出が主力の大企業と、外国人旅行者や外国人
資産家です。



COLUMN 1 深まる円安のマイナス側面
あえぐ中小企業 海外の「日本買い」も加速



キーワードは、日本買いです。


まず、中小企業経営者の慟哭が企業業績の
深刻さを示す事例からお伝えします。
円安で原材料の輸入価格は高騰し、納入先
の大企業からは納入価格の値下げを強く要求
されれば、無理からぬことです。


アベノミクスは、わずか3%の大企業優先の
政策であることが明白になった証左です。


 「このままでは春まで会社が持たない。

 どうか助けてほしい」

 2014年10月下旬、名古屋市の地方

 銀行の一室。住宅設備の部品を作る

 中小企業の経営者は、為替が同年9月

 の1ドル=102円から108円に急落し、

 メーンバンクに駆け込んだ。

 この会社は創業80年近い老舗で、今の

 経営者は4代目に当たる。前の社長が

 経営していた2003年、納入先の住宅

 メーカーに誘われて生産拠点を国内から

 中国に移した。


 移転当時は80円台の円高。海外移転は

 収益向上に直結した。だが、リーマンショック

 後に年商が半減。納入先のコスト削減圧力

 も強まり、気が付くと原価率は85%の薄利

 事業になっていた。

 そんな逆風下での急激な円安。部品調達

 コストが4割上がり、売れば売るほど赤字を

 垂れ流す惨状に陥った。融資担当者に直談判

 すると、数千万円をどうにか貸し付けてくれた。

 「助かったか」。その思いも束の間、円安が

 再び加速する。昨年12月には120円台まで

 一気に進んだ。


 納入先の住宅メーカーに値上げを要請した。

 しかし、答えはノー。


 幸い、メーンバンクが追加融資に応じてくれた。

 だが、経営者の不安は募る。債務超過が迫る

 からだ。「4月までに円安が一段と進めば確実

 に破綻する」。
 

  (P.042)


この記事を読んだ時、末期がん患者に抗がん剤
を投与し、死期を先延ばししているだけではない
のか、という負の連想をしてしまいました。


このようなケースは例外ではないと思います。


もう一つの事例は、日本の資産が買われている
という「日本買い」が密かに進行していることです。


以前、北海道の森林が中国人に買い占められて
いる、という報道がされたことがあります。
これは噂ではなく、事実です。


中国のすべての土地は、1党独裁の中国共産党
が所有しています。国民は自分の土地を所有でき
ないのです。そのため中国人は、北海道に目を付け
たのです。水資源が豊かな北海道は、彼らにとって
財宝にも匹敵する資産です。


最近では、香港やシンガポールの資産家や投資会社
によって、土地だけでなく上モノ(建物)も含めた買収
が行われているそうです。


いつの間にか、所有者が変更になっていることが、
稀ではなくなりつつあります。


 北海道小樽市のJR小樽駅前にある「ドーミーイン

 PREMIUM小樽」。客室は約250部屋。

 地方の典型的なビジネスホテルだが、客層が違う。

 館内に飛び交う中国語と韓国語。特に台湾人が多く、

 大型の観光バスで訪れて古い街並み、温泉、雪景色

 を楽しむ。小樽には約50軒の「寿司屋通り」があり、

 新鮮な魚介類も人気だ。

 実は、他のホテルとの相違点は客層だけではない。

 所有主だ。昨夏に香港系の投資会社が日本の会社

 から30億円弱で取得。アジアからの観光客の受け

 入れに力を入れている。

 背景にあるのは、もちろん円安だ。 
 

  (P.042)


外国人による日本の不動産取得は増えている
実態は、資料で明らかになっています。


 不動産シンクタンクの都市未来総合研究所

 によると、2014年上半期の外国人の国内

 不動産取得額は約4200億円に上り、

 半期ベースでは過去10年で最高だった。
 

  (P.042)


ただ、「不動産物件が少なく、前は考えられ
なかった郊外のショッピングセンターなども
手を出し始めた」(同研究所の平山重雄・
常務執行役員)(P.042)そうです。


 例えば、茨城県守谷市の「イオンタウン守谷」

 はシンガポール系の投資家が所有。周辺の

 市民はほとんど知らない事実だ。円安の裏で、

 過去と異次元のレベルで「日本買い」が密かに

 進む。
 

  (P.042)


ホテルやショッピングセンターの所有主が日本人
であれ、外国人であれ、サービスがきちんとなされ
れば問題はありません。


問題は、これらの不動産が短期間に何度も転売
され、不動産価格の高騰を生み出す「地上げ」が
行われると、不動産バブルが再燃しかねません。


もっと怖いことは、気がついたら、日本の国土は
外資系企業や外国人によって買い占められていた
という、ブラックジョークが現実化することです。




COLUMN 2 変化する円安効果の明暗
経済構造が変わり、輸入コストは2倍に


円安が進行するとどうなるのか、という点が
さらに気になります。


 日本経済研究センターの業種別の影響度を

 見ると、輸入価格上昇がマイナスに働くエネ

 ルギーなどの業種はさらに打撃を受け、恩恵

 が及ぶはずの電機や機械などもプラス効果が

 薄れた。

 内需型の建設・不動産も円安に苦しむ業種の

 一つ。同センターは「足元の輸入品の値上がり

 によるコスト増は95年に比べ2倍近くになった」

 との見方を示す。


 大企業と中小企業、大都市と地方都市の間で、

 円安に伴う格差が拡大している。
 

  (P.043)


2020年の東京オリンピックまでの5年間で、
円安が進行すればいろいろな分野でマイナス
が拡大する可能性が高いことが気になります。





PART 3 逆転の「円安経営」
新陳代謝の好機に


逆転の「円安経営」 1
 多国籍集団の工場 中小企業こそ変革

高い技術力を持つ中小企業の集積地として、
東京・大田区と大阪・東大阪市が有名です。


「日経ビジネス」が今回紹介しているのは、
東大阪市の金属切削加工メーカーのケースです。
この会社の工場はかなり様子が違います。


 創業1929年の金属切削加工メーカーの

 三共製作所。高い品質の金属部品が

 航空機のボーイング、パナソニックの燃料

 電池などに使われる。64人の従業員の

 うち、実に6割が外国人。15人のベトナム人

 を筆頭に、ブラジル人、インドネシア人、

 ポルトガル人、スペイン人などが働いている。


 最初にブラジル人を雇用したのは80年代

 のバブル期。世の浮かれた景気の中では

 日本人を確保できず、外国人に頼った。

 すると、皆がよく働いた。15年前から低賃金

 勤勉なベトナム人に目を付け、国籍も多様化

 した。

 残業を厭わず一生懸命働く外国人は日本人

 よりも生産性が2割ほど高いという。

 20代のベトナム人社員は「残業を含めると

 給与は月16万円。そのうち12万円はハノイ

 の実家に送る。仕事は忙しいが楽しい」と

 笑う。
 

  (PP.044-045)


日本のメーカーは、工場現場で働く日本人
労働者を募集しても、なかなか集まらない、
という現実があります。


今後もこの傾向は続くものと考えた方が
よさそうです。そうであるならば、フランスの
外人部隊のように「傭兵」を雇うのは選択肢
の一つです。


日本人が働きたがらないのは、「危険」「汚い」
「きつい」という3K企業という点もありますが、
賃金が安いと感じていることも事実です。


ですが、私はそれだけではなく、ベトナム人が
「仕事は忙しいが楽しい」と言っているような、
仕事が楽しいと感じる人たちが少なくなった
からではないか、と考えています。


技術を身につけ、一日でも早く一人前になろうと
努力する人がいる一方で、楽して稼ごうと考える
人がいるからではないか、と思うのです。



三共製作所で多くの外国人が働いているのは、
「仕事が楽しい」ことに加えて、「日本語学校も
開校」(P.045)し、日本で働きやすい環境作り
を行なっていることも見逃せません。


 現在は日本語学校も開校。ベトナム人は

 人件費が上がり、次はミャンマー人、ネパー

 ル人などの採用を目指すという。円安の逆風

 に負けず、多国籍の外国人を日本の工場に

 集めて高い品質を維持――。
 

  (P.045)


円安の環境下で、中小企業の倒産は増えて
いないのでしょうか?


下のグラフをご覧ください。
倒産件数が年々増えていることが分かります。
やはり、現実は相当厳しいことが見て取れます。


2014年は前年比3倍弱に急増

2014年は前年比3倍弱に急増

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.045)



このグラフを見て、倒産件数がうなぎのぼりである
ことが分かります。


ところが、実は、これは「氷山の一角」なのです。


 帝国データバンクによると、2014年1~11

 月の「円安関連倒産」は中小企業を中心に

 301社。その前の年の3倍弱に増え、同社

 情報部の内藤修氏は「この数字はほんの

 序の口。5万~6万社の倒産予備軍が厳しく

 なる」との見解を示す。
 

  (P.045)


「ゾンビ企業」が存在するというのです。


 リーマンショック後に導入した企業が金利の

 支払いを引き延ばせる劇薬により、経営再建

 が難しい「ゾンビ企業」が約6万社に膨れ上

 がった。
 

  (P.045)


中小企業に逆風が吹き荒れていますが、
大企業が安泰ということではありません。
中小企業が製造する部品がなくなれば、
完成品を作ることができなくなるからです。



 円安メリットを享受する大手企業も世界

 競争に勝つため、国内調達改革に本腰

 を入れる。再編・淘汰の波は2次・3次

 下請けにも押し寄せる可能性がある。

 円安を機に中小企業の新陳代謝を促し、

 より強い産業にヒト、モノ、カネが流れる

 構造を作り上げる。こんな逆転の発想が

 問われている。
 

  (P.045)




逆転の「円安経営」 2
 内需から外需型に「成長戦略」に好機


和食(日本料理)は、ユネスコの無形文化遺産に
認定されました。寿司、すき焼き、ラーメンなどは
海外でもとても人気があります。


和食はヘルシーだというイメージが定着している
からでしょう。


松阪牛や神戸牛、前沢牛などブランド牛が数多く
あり、輸出されています。ただ、日本で人気のある
霜降り肉は脂肪が多いということで、敬遠される国
もあるようですが。


米にしても、新潟県南魚沼産のコシヒカリなどの
ブランド米がありますが、ほとんど輸出されていま
せん。もったいないことです。


このような実態を踏まえ、安倍首相は農業などの
規制改革にメスを入れると宣言しました。


 「農業や医療、エネルギーで大胆な規制改革

 を断行する」。昨年12月の衆議院選直後の

 記者会見で、安倍晋三首相は力を込めた。

 アベノミクス第2幕で真価が問われる第3の矢

 の「成長戦略」。

 ただ、農業や医療は岩盤規制が多く、国内

 では遅々として改革が進まない。ならば、円安

 を逆手に、「内需型」から「外需型」に産業構造

 の転換を推進する好機と捉えればよい。
 

  (P.045)


長年農業保護政策を取り続けてきましたが、
専業農家は減り、平日はサラリーマンをしながら、
週末に農業に従事する兼業農家が増えています。


農地を持っているだけで、国から補助金が得られる
ため、農業に専念しなくてもやっていける仕組みが
出来上がっています。



医療に関して、インドに似たケースが紹介されて
います。


 日本の先進技術を輸出する構想が浮上

 している。仕掛け役は千葉県鴨川市の

 亀田総合病院。今春にも中国・北京の

 病院と連携し、現地の富裕層向けに心臓

 ドックなどの検診事業や治療を手掛ける

 計画だ。

 亀田隆明理事長は「日本は先進国に名だ

 たる長寿国として高い医療技術があり、

 診断機器、薬剤、介護、リハビリのノウハウ

 まで丸ごと輸出できる」と意気込む。
 

  (P.046)


仰天するようなケースが紹介されています。
病室に持ち込まれた高価な商品が注目されます。


 病室には銀座で買い物した約1000万円の

 時計を2本持ち込んだ中国人の富裕層もいた

 という。家族で訪れ、検診以外は病院周辺の

 ホテルや旅館でのんびり過ごす例も見られる。
 

  (P.046)


インドも医療技術が進んでいて、欧米各地から
観光を兼ねて、人間ドックなどの検診を受けに
訪れるそうです。しかも、米国で医学を学び、
医学知識や医療技術を身に付けていて、しかも
安いことが人気の秘密だとか。


そのような記事を読んだことがあります。




逆転の「円安経営」 3
 日本の最先端技術 ヒト呼び込む活力

長崎県佐世保市にあるハウステンボスに
行ったことはありますか?


私は、社員旅行で一度だけ訪れたことが
あります。


だだっ広い敷地に、建物があちこちに点在し、
運河を思わせる場所では遊覧もできたことが
思い出されます。


当時は、あまりパッとしなかった、という印象
が残っています。


ところが、エイチ・アイ・エス(HIS)の創業者、
澤田秀雄さんがハウステンボスの社長に就任
してから様変わりしました。


 ハウステンボスは1992年に開業。96年

 の380万人をピークに集客力が鈍り、

 2003年には経営破綻の憂き目に遭った。

 野村證券グループのベンチャーキャピタル

 が支援したが、5年前に撤退。集略数は

 141万人まで落ちた。

 しかし、エイチ・アイ・エスの傘下に入り、

 同社創業者の澤田秀雄氏が社長に就くと

 風向きが変わる。オランダのテーマパーク

 への固執をやめ、世界的な人気漫画「ワン

 ピース」やAKB48のイベントなども敢行。

 高田孝太郎・経営企画室長は「日本初や

 世界一のオンリーワンに商機を見いだした」

 と語る。

 その一つが夜のイルミネーションで、集客増

 に寄与。足元の観光客数は279万人に回復

 した。外国人の旅行者も台湾や東南アジア

 を中心に約2割増え、今後も円安を背景に

 倍増を見込む。
 

  (P.046)


一言でいえば、国内から観光客を引っ張ってくる
のではなく、海外から観光客を呼び込む戦略に
展開し、ハウステンボスを見事に復活させました。



ハウステンボス(佐世保市)が誇る世界最大級の<br />イルミネーション。今夏から「スマートホテル」を新設し、<br />集客増を狙う

ハウステンボス(佐世保市)が誇る世界最大級の
イルミネーション。今夏から「スマートホテル」を
新設し、集客増を狙う

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.046)




「日経ビジネス」は過去、「1ドル80円工場」という
特集をしたことがあります(ちなみに、私は「日経
ビジネス」を30歳から読み始め、ずっと読み続け、
今年で30年目になります。「日経ビジネス」は
45周年を迎えました)。



 本誌が国内産業の空洞化懸念から、

 「1ドル80円工場」の特集を掲載したのは

 1994年。円高が進む中、80円台でも

 国内生産の採算が取れる日産自動車や

 ソニーの工場を紹介し、当時大きな反響を

 得た。「日本の生産技術は、戦後の危機

 に瀕している」とも指摘した。

 それから20年。特集班は歴史的な円安

 局面の入り口と判断し、「1ドル150円経営」

 の企画を立てた。
 

  (P.046)


国力が強ければ、自国通貨も強くなります。
その見方からすれば、円安が示すことは
日本の国力は弱くなっている、と言えます。


日本円の現状は次のように説明できます。


 日銀によると、海外諸国との貿易や物価

 水準を踏まえた実質実効為替相場は

 足元で42年ぶりの弱さを示す。

 円の「実力」は変動相場制に移行してから

 最も安値圏にあるのだ。
 

  (P.046)


今回の特集は、誰でもが関心を示しそうな内容
ではなかったでしょうか?


円安基調が今後も続き、2020年には1ドル=
150円(場合によっては180~200円もあり
得ます)になった場合、円安はマイナス要因に
なることは頭の片隅に置いておいたほうがよい、
と考えています。


あなたはどんな感想をお持ちですか?
コメントやメッセージでご意見をいただけたら、
光栄です。


今特集も3回に分けて書きましたが、長文に
なりました。


最後まで読んでいただき、誠にありがとう
ございました。






記事を読んで、面白かったら
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「円安の未来」を生き抜く 1ドル150円経営 2015.01.12 <2>



日経ビジネスの特集記事(90)

「円安の未来」を生き抜く
1ドル150円経営
2015.01.12



今週の特集記事のテーマは

円安が進み、昨年末に1ドル=120円台の水準に
突入した。
アベノミクス継続で、中長期的な円安トレンドは
間違いない。
果たして、企業はどこまでの円安を覚悟しているのか。

2020年に1ドル150円――。
アジア通貨危機を超える25年ぶりの円安水準を
見込むのだ。
「円安の未来」を生き抜く新しい経営モデルに迫る
 (『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.027)

ということです。




「円安の未来」を生き抜く ドル150円経営

「円安の未来」を生き抜く
ドル150円経営

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 PP.026-027)




第1回は、
「プロローグ 動き出した150円工場」
「PART 1 120円突破が呼ぶ パラダイムシフト」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 もう円安は怖くない 先進企業の秘策」
を取り上げます。


最終回は、
「COLUMN 1」「COLUMN 2]
「PART 3 逆転の『円安経営』 新陳代謝の好機に」
をご紹介します。



まず、貿易収支についてお伝えします。


本題に入る前に、日本は貿易収支が大赤字になって
いる現実に、目を向けてほしいからです。


直近の外国為替レートを確認しておきましょう。

主な市場指標

主な市場指標




1米ドル=118円です。


世界の中で見て、日本の貿易収支は、どのような位置
づけなのか、確認しておきましょう。


アベノミクスで円安誘導政策が推進された結果、現在の
日本の貿易収支は大幅な貿易赤字です。


貿易収支 = 輸出額 ー 輸入額


日本の貿易収支の推移

日本の貿易収支の推移 世界経済のネタ帳から



上図では2012年までの推移しかでていません。
その後の日本の貿易収支がどうなっているのか、
は下記のページをご覧ください。


世界の貿易収支ランキング
(私のブログ「こんなランキング知りたくないですか?」 から)





では、本題に入りましょう!
円安基調が続く局面で、日本企業は手をこまねい
ているだけではなく、既に手を打っているところが
あります。「座して死を待つ」ということは許されない
ことだからです。


PART 2 もう円安は怖くない 先進企業の秘策

「ピンチをチャンスに変える」べく、行動に移している
企業をご紹介していきます。


この章のキーワードは、円安は怖くないです。


海外生産でポイントとなることは、2つあると考えて
います。


1つは、現地の人たちを雇い、育成をしっかり行うこと
です。もう1つは、現地の人に経営を任せることです。


どうしても日本人を経営トップに据えたい場合には、
2~3年で帰国させるのではなく、10年間、20
年間という長期にわたって地元にしっかり根を下ろす
体制を敷くことです。



1 三菱電機
  未到の調達革命に着手



 三菱電機が今、業界の常識を覆す調達体制

 の構築に動いている。その体制とは、国内外

 の生産拠点が個別に保有する調達先の情報

 を統合し、データベース化するというもの。

 個別の部品について最適な条件を提示できる

 調達先を世界のどこからでもけんさくできるよう

 になり、調達コストを最小限に抑えられる。


 「円高時に進めたのはあくまで地産地消で、

 国内向け製品の生産は国内にとどめた」

 (常務執行役資材部長の坂本隆氏)。


 そんな同社は地産地消の次に目指している

 のが、為替の影響を受けないようにする

 「守りの対策」ではなく、それを逆に利益に

 変えていく「攻めの対策」だ。

 その一つが、世界各地の工場で取引のある

 調達先をデータベース化する新調達システムだ。
 

  (PP.036-037)


地産地消で考えるべきことは、現地生産で現地
(及び周辺国、地域)販売するのは為替の影響
を受けない、同じ通貨で取引することです。


米ドルは基軸通貨ですから、貿易で世界で最も
多く利用されるのは、米ドル建て決済です。


米ドル建てで仕入れ、米ドル建てで販売し、
米ドル建てで代金回収できれば、為替の影響を
いっさい受けないとりひきができます。


ところが、ユーロ圏では通貨はユーロがメインに
なります(イギリスはユーロに加盟していないため、
ポンド建て)。


すると、ユーロ圏内での貿易は関税もかからず、
同一通貨ですから、為替の影響を受けません。


日本の場合、米ドル建てであろうと、ユーロ建てで
あろうと、地産地消でない限り、必ず円転(外貨から
円に変える)しなければなりません。


日本国内で、給料が米ドルで支払われることはあり
ませんね。取引先に米ドルやユーロで決済すること
はありません。


この事実をしっかり理解する必要があります。


三菱電機は「限界為替レート」を導入しているそうです。
「限界為替レート」とは、いったいどのようなものでしょうか?


 限界為替レートとは、国内で調達した場合と

 海外で調達した場合の部品の値段が均衡する

 為替水準のこと。相場がこの限界値を超えた

 時に、国内と国外の調達を切り替える。
 

  (P.037)


為替変動リスクをどうコントロールするかが、今後、
企業の重要課題となってきます。


どんな業種、どんな企業でも為替の影響を受けない
ところはないからです。




2 ニトリ
  コスト減へ部品も内製化

家具専門店最大手のニトリは、部品の内製化に
踏み込みました。


 1円の円安が14億円の為替差損につながる

 家具専門店最大手のニトリホールディングス。

 アジアで生産するプライベート商品が8割超を

 占め、輸入コストがかさむためだ。

 2012年末に始まったアベノミクスで、為替相場

 は80円から120円まで円安が進行した。

 計算上、40円の円安は560億円の減収要因と

 なる。ニトリの似鳥昭雄社長は「年間635億円

 の経常利益がほぼなくなり、何もしなければ倒産

 の危機を迎える」と厳しい表情を見せる。

 ところが、ニトリは存亡の危機とは程遠い好業績

 を上げている。
 

  (P.038)


ニトリの秘策は何でしょうか?


 昨年末には2016年11月までのかなり先の

 海外仕入れ分について、105円台で為替予約

 を終えた。円安による業績悪化を避けるためだが、

 本業ではもっと大胆に対応を急いだ。
 

  (P.038)


「為替予約」について、私の経験を少しお話しします。
今から10年近く前まで、約20年間勤務した、洋販
(外国の書籍・雑誌の輸入卸売業)で経理の責任者
に就いていた時のことです。


米ドル、ユーロ、ポンド、マルク、フラン、イタリア・リラ、
香港ドルなどの通貨建ての決済で「為替予約」を
しょっちゅうしていました。


半年の予約でしたが、その間に円高・円安を経験し
ましたので、為替予約した後に、想定と逆に動くこと
はしばしばでした。専門家でも為替の予測は難しい
ことです。


米国からの輸入が円ベースで6割位を占めていました。
ドル円相場の動きに、常に注意を払っていました。


そんな昔のことを思い出しました。
ちなみに、その会社は破綻し、今はもう存在しません。


さて、ニトリの話に戻ります。
ニトリは為替予約だけでなく、もう一歩踏み込んだ戦略
を取りました。原材料の輸入は仕方がないので、
部品の内製化に取り組んだのです。


 昨年12月上旬、ベトナム・ハノイ。商品の

 生産を委託するニトリファーニチャーの工場で、

 (中略)50m級の綿菓子のようなウレタンを

 製造している。銅線は自動ラインに乗り、

 すさまじい速度でコイルに変わる。


 ウレタン、コイル、綿、生地・・・。こうした原材料

 を自社で内製化することで、他社で調達する

 よりもコストを最大5割ほど削減できた。
 

  (P.038)


「日経ビジネス」はベトナム・ハノイの現地工場を
視察し、ニトリの戦略の先見性を見い出しました。


 増益路線を堅持するニトリ。むしろ、為替の

 乱高下が経営を筋肉質にしたとも言える。

 2008年のリーマン危機に伴う円高の局面

 では、積極的な値下げ戦略で固定ファンの

 支持を得た。店舗数は1986年の15から

 現在366に増えた。
 

  (P.039)


最寄り駅にニトリがあるので、時々覗きに行きます。
品質に問題がなくても、売れ残っている商品は、
大幅に値下げして「売り切る」ことにを徹しています。
現金化することが大事と捉えているのでしょう。





3 日本電産
  地産地消極め差損ゼロ


日本電産と言えば、技術力はあるが、業績の悪い
国内外の企業をM&A(合併・買収)して、短期間
で好業績企業に作り変えることで有名ですね。


その日本電産が今、どのような戦略を実行して
いるのか、「日経ビジネス」は伝えています。


 2015年までに連結売上高1兆2000億円

 の達成を目指す。今後2年で、2014年3月

 期の8751億円から1.4倍に事業を急拡大

 させる計算だ。当然、海外企業へのM&A

 を前提とした計画だが、立ちはだかるのが

 「為替の壁」だ。


 永守重信社長は日ごろから「グループに

 相乗効果をもたらす買収しかしない」と宣言

 する。


 日本電産は地産地消を実現する方法論を

 徹底的に突き詰めた。世界の市場を流通

 する通貨で大きく3つの地域に分けて調達・

 製造・販売を囲い込む通貨圏のブロック

 戦略を敷いたのだ。

 欧州諸国の「ユーロ圏」、アジアの「ドル

 連動圏」、米州の「ドル圏」。それぞれの

 地域で製品別に主力となる工場を決めた。
 

  (P.040)



通貨別ブロック圏で「地産地消」を実現

通貨別ブロック圏で「地産地消」を実現

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.040)




日本電産の成功事例を参考に、同様な動きが
増えてくるかもしれません。



今年の正月明けの初売りセールで、西武百貨店
池袋本店に香港からの来訪者が、日本人を尻目
に、高額商品を大量に購入したという記事が写真
とともに報道されました。


円安ということは、外国人にとっては自国通貨が
高いということですから、今までよりも高額商品
を多く買えるということです。


もちろん、その人は収入も多いのでしょう。




最終回は、
「COLUMN 1」「COLUMN 2]
「PART 3 逆転の『円安経営』 新陳代謝の好機に」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




「円安の未来」を生き抜く 1ドル150円経営 2015.01.12 <1>



日経ビジネスの特集記事(90)

「円安の未来」を生き抜く
1ドル150円経営
2015.01.12



今週の特集記事のテーマは

円安が進み、昨年末に1ドル=120円台の水準に
突入した。
アベノミクス継続で、中長期的な円安トレンドは
間違いない。
果たして、企業はどこまでの円安を覚悟しているのか。

2020年に1ドル150円――。
アジア通貨危機を超える25年ぶりの円安水準を
見込むのだ。
「円安の未来」を生き抜く新しい経営モデルに迫る
 (『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.027)

ということです。




「円安の未来」を生き抜く ドル150円経営

「円安の未来」を生き抜く
ドル150円経営

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 PP.026-027)




第1回は、
「プロローグ 動き出した150円工場」
「PART 1 120円突破が呼ぶ パラダイムシフト」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 もう円安は怖くない 先進企業の秘策」
を取り上げます。


最終回は、
「COLUMN 1」「COLUMN 2]
「PART 3 逆転の『円安経営』 新陳代謝の好機に」
をご紹介します。



まず、貿易収支についてお伝えします。

本題に入る前に、日本は貿易収支が大赤字になって
いる現実に、目を向けてほしいからです。


直近の外国為替レートを確認しておきましょう。

主な市場指標

主な市場指標




1米ドル=118円です。


世界の中で見て、日本の貿易収支は、どのような位置
づけなのか、確認しておきましょう。


アベノミクスで円安誘導政策が推進された結果、現在の
日本の貿易収支は大幅な貿易赤字です。


貿易収支 = 輸出額 ー 輸入額


日本の貿易収支の推移

日本の貿易収支の推移 世界経済のネタ帳から



上図では2012年までの推移しかでていません。
その後の日本の貿易収支がどうなっているのか、
は下記のページをご覧ください。


世界の貿易収支ランキング
(私のブログ「こんなランキング知りたくないですか?」 から)





では、本題に入りましょう!


プロローグ 動き出した150円工場

生活雑貨などの製造販売で成長著しい、「アイリス
オーヤマ」で知られるアイリスグループの事例を
ご紹介します。


 「1ドル=130円、140円・・・。いや、1998年

 当時の147円が再来するのではないか」――。

 生活雑貨などの製造販売で年間2670億円以上

 を売り上げるアイリスグループ。日本だけでなく

 中国や欧州、米国にも販路を持つ同グループを
 
 率いる大山健太郎会長の目に今映るのは、

 150円近くにまで進行する「最悪」の円安の世界だ。 
 

  (P.028)


先に、直近の外国為替レートを見ていただき
ました。1米ドル=118円でした。


このレートから考え、150円は非現実的なこと
のように感じられますが、米国のイエレンFRB
(連邦準備制度理事会)議長の最近の発言を
考慮すると、好調な米国は利上げを実施する
可能性が高まっています。


もし、利上げが実施されれば、世界中のカネが
米国に流れ込んできます。そうなると米ドルを買う
ために自国通貨を売るという循環ができます。
さらにドル高が進行します。


日本円は売られ、米ドルが買われるため、円安が
進行することになります。


アイリスグループの大山健太郎会長

アイリスグループの大山健太郎会長

(『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.029)



大山さんは次のように考えています。


 「とにかく円高になる理由がない。だからこそ

 今後も円安が進むことを想定して経営の舵取り

 をする」。大山会長はきっぱりと言い切る。
 

  (P.028)


アイリスグループの足元の業績は好調です。
ですが、現状にあぐらをかいていることは危険です。


 アイリスグループの売り上げは、その約半分を

 内需企業であるアイリスオーヤマ単体が占める。

 同社は商品のほとんどを中国などで生産して

 いるため、円が1円安くなるごとに約8億円の

 コストアップとなる。

 現在の120円から150円まで円安が進めば、

 単純に計算しても240億円のコスト増になる。

 目を背けたくなるような事態だが、最悪の状況

 を想定して手を打ってこその経営者だと、大山

 会長は考えている。
 

  (P.028)


アイリスグループは、LED(発光ダイオード)ライトの
販売も自社で製造・販売しています。


LEDは中国などで製造することが一般的ですが、
アイリスグループはパナソニックの子会社から2011
年に買い取った佐賀県鳥栖市の工場で製造して
います。


昨(2014)年1月、大山さんは一つの決断をしました。


 「鳥栖工場のLED(発光ダイオード)ライトの

 生産ラインを増設する。これから来る円安に

 備えるぞ」

 増設されたLEDライトの生産ラインでは、人の

 代わりにロボットアームが順調に組立作業を

 進めていた。

 このロボットアームの存在が「150円工場」の

 要だ。日本向けLEDライトの9割を生産して

 きた中国大連の工場では、組み立ては人が

 担当している。しかし、中国と同じことをやって

 いては国内回帰の意味がない。
 

  (PP.028-029)


日本国内で製造するためには、人件費の高い
「人」に代わって「ロボットアーム」を使うことに
なります。


一般的には、工場は人手が足りないと言われて
います。求人しても「人」が集まらないという見込み
あれば、「ロボットアーム」の導入が増加する、
と考えるのはきわめて自然のことです。


そうは言っても、ロボットアームは高額です。
それでも導入する理由があります。


 最新鋭のロボットアームは高額だ。

 増産のための設備には全体で数十億円の

 資金を投入した。しかし、150円近くまで

 円安が進んで240億円の為替差損が発生

 することを考えれば、決して高い買い物では

 ない。大山会長は本気で150円近くの円安

 を想定しているのだ。 
 

  (P.029)




PART 1 120円突破が呼ぶ パラダイムシフト 

この章のキーワードは、地産地消です。


「日経ビジネス」は、「2020年の為替レートはどう
なるのか」というアンケートを実施し、232社から
回答を得ました。


その結果を集計したのが、下図です。

企業はさらなる円安の進行を予想

企業はさらなる円安の進行を予想

『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.030



「日経ビジネス」の開設を見てみましょう。
2014年末と2020年(予測)とは大きく異なります。


 最も多かったのは「120~124円」で、

 回答企業の3割を占めた。目を引くのは

 125円以上の円安を予想する企業が3割

 弱に達したことだ。「150円」を予想する

 企業も3社あった。
 

  (P.031)


では、ターニングポイントはどこにあるの
でしょうか?


 ターニングポイントはどこなのか。

 「販売」「調達」についての回答から、

 1つの数字が浮かび上がってきた。

 「1ドル=120円」。
 

  (P.031)


今後、円安が進行すれば価格改定は避け
られない見通しです。


 既に多くの企業が、円安基調を受けて経営

 戦略の見直しに着手した。最も顕著な例が、

 価格改定など販売戦略の見直しだ。

 電力・ガス、食品、外食、紙、ガラス――。


 多くの企業が原材料購入時の急速な為替

 変動に対して、当面のリスクを避けるために

 為替予約を採用している。だが、その期間は

 一般的に半年程度のため、今年から円安の

 影響が顕在化する見通しだ。
 

  (P.031)


為替変動を身近に感じるのは、食材でしょう。
原材料の大半を輸入に頼る日本は、円安基調
が続く見通しであることから、値上げが相次い
でいます。


値上げのため、来客数は減少していくのでは
ないか、と推測されますが、現実にはどうなの
でしょうか?


値上げを消費者に納得してもらう説明ができるか
どうかにかかっている、と思います。



 「餃子の王将」をチェーン展開する王将

 サービスは昨年9月11日、全店で餃子

 やラーメンなど40品目以上を5~10%

 値上げすると発表。直後に主力製品の

 餃子とラーメンの原材料をすべて国産化

 すると決断し、同10月8日に切り替えを

 完了した。
 

  (P.030)


2014年4月から、消費税が5%から8%に
なり、さらに値上げのダブルパンチで、消費者
にとって厳しさが増しています。


原材料は外国産から国産へのシフトが行われて
いますが、この流れが本格化するのでしょうか?


 ダイキン工業やクラリオンなどは生産を

 中国から日本に一部移したが、基本的に

 国内需要分にとどまる。行き過ぎた空洞化

 の揺り戻しというのが実態だ。
 

  (P.033)


今回のアンケートの回答から浮かび上がってきた
ことで、ひときわ目を引くことがあります。


地産地消を組み合わせていることです。


下図をご覧になると、その点がよく理解できる、
と思います。


黒は「生産に重点を置く地域」で、「販売に
重点を置く地域」
です。2つの数字が拮抗して
いれば、地産地消ということになります。


世界は「地産地消」の組み合わせに

世界は「地産地消」の組み合わせに

『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.034




 「生産拠点として重点を置く地域」「販売拠点

 として重点を置く地域」をそれぞれ3つずつ

 挙げてもらったところ、多くの地域で両者が

 拮抗した。回答を詳細に見ると、多くの企業が

 両方の回答に同じ地域を挙げており、需要地

 で生産する流れが鮮明となった。

 中でも、目を引くのが東南アジアだ。

 生産拠点としてのべ114社、販売拠点として

 のべ106社が重点を置くと回答した。

 新たな需要地として成長が期待されているのに

 加えて、中国の人件費高騰で生産地としての

 競争力が増している。


 国内での地産地消モデルを構築する過程にある

 と言える。
 

  (P.034)



「日経ビジネス」は究極な質問をしています。
「円高か円安か」。


 「日本経済にとって望ましいのは円高か円安か」。

 この質問に対しては、74%の企業が「円安」と

 回答し、「円高」の26%を大きく上回った。



 共通するのは「急激な為替変動は好ましくない」

 (製造業)という声だ。緩やかな流れとして円安

 は歓迎しているが、足元の激しい変動への

 警戒感は強い。

 もっとも、為替はそもそもコントロールできない

 存在だ。
 

  (P.034)


では、150円はバラ色の未来なのでしょうか?


世界は「地産地消」の組み合わせに

世界は「地産地消」の組み合わせに

『日経ビジネス』 2015.01.12 号 P.034



専門家の話を聞いてみましょう。
果たして、150円はバラ色の未来なのか、
それともイバラの道なのでしょうか。


 第一生命経済研究所の長濱利廣・主席

 エコノミストの試算によると、120円を

 基準に150円まで急激に円安が進んだ

 場合、実質GDP(国内総生産)は現在より

 も0.6%押し上げられるという。しかし、

 「150円になってもプラス効果はそれ

 ほどない」と感じる人は多いだろう。

 その理由は輸出と輸入のバランスに

 ある。

 長濱氏の試算では、150円になると輸出

 は11%(金額ベース)増える一方、輸入

 はそれを上回る13.3%の伸びを示す。

 日本経済は原材料や燃料などを輸入に

 頼る割合が多くなっているため、円安に

 よる輸入価格の増大が輸出額によるプラス

 効果を打ち消す構図だ。


 日本総合研究所の山田久チーフエコノミスト

 は、円安効果に対してさらに厳しい見方を

 している。山田氏によると、105円よりも

 円安が進めば、貿易面ではマイナスの効果

 の方が大きくなる。100円を基準として円

 相場が130円まで下落すると、「貿易収支

 赤字を8000億円ほど膨らませる」という。

 円相場の下落が日本経済にとってプラスとは

 言い切れない状況になっているのは確かだ。


 エコノミストや市場関係者の間では、円安局面

 が当分は続くという見方が大勢を占める。
 

  (P.035)


では、海外に生産拠点を移した企業は、国内回帰
するのか、という問題があります。


 では、150円に迫る円安で企業の行動はどう

 変わるのだろうか。本誌のアンケートでは調達

 や販売には変化の兆しが見えてきたものの、

 生産の国内回帰は容易に見込めないという

 結果が出ている。


 大和総研の小林俊介エコノミストは「アジア地域

 の方が相対的に人件費が安く、200円といった

 極端な円安水準でなければ生産は国内に回帰

 しないだろう」と指摘する。
 

  (P.035)


「日経ビジネスの特集記事」を書くにあたり、
冒頭で、日本が貿易収支赤字に陥っていることを
お伝えしました。


貿易収支を確認しておきましょう。

貿易収支 = 輸出額 ー 輸入額

輸出額が増加しても、輸入額も単に増加するだけ
でなく、さらに輸入額が輸出額を上回るのです。
つまり、貿易収支赤字が拡大するということです。


私たちも為替の動向に注視していく必要があり
そうです。




次回は、
「PART 2 もう円安は怖くない 先進企業の秘策」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ 2015.01.05 <3>



日経ビジネスの特集記事(89)

日本を脅かす
第4次産業革命
米独印、次の勝者は誰だ
2015.01.05



今週の特集記事のテーマは

製造業の覇権は渡せない――。
2015年、史上4度目となる産業革命が幕を開けた。
先陣を切ったのはドイツ。産業界と政府がタッグを組み、
「つながる工場」で先行する。
インドは虎視眈々と「下克上」を狙い、ITの巨人が主導
する米国が待ったをかける。
一方、モノ作り大国を自認する日本はスタート地点で
足踏みしたままだ。
革命の渦はあらゆる企業を巻き込み、世界の産業構造
を根底から覆し始めた 
 (『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.024)

ということです。




日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ

日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ

(『日経ビジネス』 2015.01.05 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.05 号 PP.024-025)




第1回は、
「PROLOGUE 『日本抜き』の産業革命が始まる」
「PART 1 革命の火蓋切ったドイツの焦りと決意」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 インドが仕掛ける下克上」
「PART 3 GEの独走を許すな モノ作りの頭脳争奪戦」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 4 トヨタが“下請け”になる日」
「PART 5 馬車のままでは置き去りにされる」
をご紹介します。



世界の産業を米国がリードし、21世紀も米国が主導権
を握りそうな状況にドイツは危機感を抱き、いち早く
第4次産業革命の主役になるべく、狼煙を上げました。


一方、「IT(情報技術)は米国が世界一」
と米国産業界の誰もが確信に満ちています。


IoT(Internet of Things=モノのインターネット)という
概念が提唱されるようになった現在でも、「米国が世界一」、
といっそう自信を深めています。


IoTとは、あらゆるモノとモノがインターネットでつながり、
そこから得られる膨大なデータ(ビッグデータ)を解析する
ことで、ハードの潜在能力をソフトによって飛躍的に高める
ことが可能になる、という概念です。


ICT(情報通信技術)の巨人が林立する米国は、他国との
競争だけでなく、自国内の強力なライバルとの熾烈な競争
に日夜晒されています。そうした環境が、強者をさらに強化
している、と私は考えています。切磋琢磨しているのです。


そうした中、IT(情報技術)の世界に台頭してきたのは、
インドです。「0(ゼロ)の発見」で知られるインド人は、数学
の能力が突出した人たちが大勢います。数学の力を利用
し、ソフトウェアの開発で目覚ましい成果をあげています。


モノ作り大国を自認する日本はどうでしょうか?
米独印と比較すると、スピード感が乏しいという印象は
否めません。日本の大企業が、外国企業の「下請け」に
成り下がってしまう可能性は、ゼロではありません。


産業界では、インターネットと、ビッグデータ解析をベース
にしたAI(人工知能)、3次元データを活用しモノ作りに
有効な3Dプリンターを使えば、今まで無名だった企業でも
一気に業界トップに並んだり、踊り出ることも不可能では
ありません。


良くも悪くも、凄い時代になったものです。
私たち消費者に必要なことは、第4次産業革命の行くえを
しっかり見つめていくことです。


先進国と新興国との格差は、IoTを活用することによって
一気に縮めることが可能になった、という事実を認識する
べきです。


国内の瑣末な事象に気を取られているうちに、外国企業に
よって日本企業がM&A(合併・買収)の餌食になったり、
経営破綻に追い込まれる事態も想定しておかないといけ
ない時代になった、と考えています。


今まで安泰だったからこれからも永遠に大丈夫だ、という
安易な考え方はもう捨てた方がいい、と思います。


「優秀な」あなたが、「明日から出社しなくていい」と肩を
叩かれる日が来ない、とは言えなくなった、と考えを改める
べきです。




【お知らせ】
前回の特集「遺言 日本の未来へ」に関して、
日経ビジネスオンラインで、
連載「遺言 日本の未来へ」が2015年1月5日
からスタートしました。


インタビューの詳細を掲載しています。
ぜひご覧ください!

日経ビジネスオンラインのサイトは→
http://business.nikkeibp.co.jp/




では、本題に入りましょう!


その前に再度、復習しましょう。
過去3回の産業革命と、4回目の産業革命を
概観してみましょう。


より深く理解するためです。
もちろん、「もう十分に分かっているよ」という方は、
この部分を飛ばして構いません。


『日経ビジネス』は下図にまとめています。
ひと通り見てみましょう。



『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.026




『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.027



1回目の産業革命は、18世紀に英国が覇権を握った、
「蒸気機関」が象徴的です。


2回目の産業革命は、20世紀初頭に米国が覇権を握った、
大量生産を可能にした「電気エネルギー」
象徴的です。


3回目の産業革命は、20世紀後半に「カイゼン」を駆使した
日本の製造業が、世界中から注目され、
「コンピューターによる自動化」
(産業用ロボットを含む)
が象徴的です。


4回目の産業革命は、2015年から始まります。
どこが覇権を握るのか。米独印か。はたまた日本でしょうか?
あるいは、全く想定されていなかった国でしょうか?
いずれにせよIoT産業革命と言えます。



すでに、4回目の産業革命の覇権の争奪戦は、始まって
います。IoT産業革命によってどう変わるのでしょうか?


『日経ビジネス』は3つの大転換がある、と指摘しています。


 1つ目は、単一製品の大量生産時代が徐々に

 終焉へ向かうことだ。

 カスタムメードを大量生産する時代が到来

 する。その先頭を走ろうとしているのがドイツだ。

 次は、クルマなどのモデルチェンジの概念が

 変わる。

 ネットなどで集めた消費者ニーズを基にソフトを

 アップデート
し、まるでスマートフォンのように

 モノを進化させる。


 これら2つの変化で主導権を握れるかどうかで、

 主従が逆転する。これが、3つ目の変化である。

 膨大なデータを操るIT企業が製品開発を指揮し、

 製造会社を下請けのように使う時代も現実味を

 帯びてくる。

 そして、国家間の下克上が始まる。
 

  (P.027)


こうのような世界の動きに対して、日本や日本企業は
第4次産業革命の中核に位置することはできるのか、
ということに注目が集まります。


その点について、『日経ビジネス』は冷徹に断言します。


 これから到来する第4次産業革命の中核に、

 残念ながら日本の姿は見えない。 
 

  (P.027)



インドの台頭は目を見張ります。
日本はオチオチしていられません。
お尻に火がついた、という認識ができるかどうか、
がポイントです。




PART 4 トヨタが“下請け”になる日

この章のキーワードは、産業のガラパゴス化です。

前回までは、
「PROLOGUE 『日本抜き』の産業革命が始まる」
「PART 1 革命の火蓋切ったドイツの焦りと決意」
「PART 2 インドが仕掛ける下克上」
「PART 3 GEの独走を許すな モノ作りの頭脳争奪戦」
の主に米独印のIoTへの取り組みを見ていただきました。


PART 4では、日本の産業のIoTへの取り組みはどう
なのか、について『日経ビジネス』は取り上げています。


一読すると分かりますが、現状のままであれば、トヨタで
さえ外国企業の“下請け”になりかねない、という実態に
恐怖感さえ覚えました。


モノ作りに絶対的な自信を持っていた日本企業が、
外国企業の軍門に下ることになるのか、と考えると
悲しくなります。


世の中を変えるための方法は3つある、と私は考えて
います。


1つ目は、今までなかった、消費者が潜在的に求めて
いた製品を作り出すこと。



2つ目は、デファクトスタンダード(事実上の標準)を
獲得すること。


そして3つ目は、ルールを変えること。


スティーブ・ジョブズが作り出した、iPod、iPhone、
iPadで新しい価値を提供し、 さらに iTunes Store で
音楽業界のルールを一変させた事実を考えれば、
理解できるでしょう。


もちろん、全く新しいものを作り出したと言うよりも、
既存のモノを組み合わせて作り出した、
という事実を否定するものではありませんが。


ですが、少なくとも新しい価値を創造したことは
間違いありません。


新しい価値の創造を実現するためには、発想の転換と、
イノベーションが不可欠であることが分かります。


下記の言葉が、イノベーションの本質を簡潔に物語って
います。


 「郵便馬車を何台つなげても、決して鉄道を得ること

 はできない」

 経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが約1世紀前

 に述べた、イノベーションの本質だ。
 

  (P.047)


カイゼンでは、「社会を変える」という大きな出来事を
実現することは難しいのです。


このパートの最初に、「日経ビジネス」は日本の産業の
現状に危機感を抱き、読者にも「現実」を視てもらおうと、
惨状を訴えています。


 第4次産業革命を進めるには、様々な場所から

 リアルタイムでデータを集め、他社と共同で分析

 を深めるのが不可欠。だが、日本は足踏みして

 いる。

 他社とつながるメリットよりも、磨き上げてきた生産

 ノウハウなどの情報流出リスクを警戒するからだ。

 日本の製造業を牽引してきたトヨタ自動車ですら、

 その呪縛から抜け出せていない。

 せっかくの機能が宝の持ち腐れになっている――。

 トヨタの工場にロボットを収める、ある大手機械メーカー

 の役員はこうこぼす。

 「トヨタさんがインターネットにつながせてくれない」。
 

  (P.042)


なぜなのでしょうか?
その理由は、生産ノウハウが社外に流出してしまう
リスクを感じているからです。


 ネットに接続すると「生産ノウハウが社外に流出

 しかねない」と、トヨタが難色を示しているからだ。


 人を使いながら最高の生産効率を追求、実現して

 きただけに、その成功体験が次への一歩を阻んで

 いる面もあるだろう。
 

  (P.043)


トヨタも全くネット接続をしていないわけではありません。
ですが、あくまで内部だけでです。「イントラネット」という、
外部からは接続できない閉じられたネット活用です。


 トヨタは販売店と自社工場との間をネットでつなぎ、

 生産ラインの稼働率やクルマの製造状況を逐一

 把握している。だが、それはトヨタ社内に限られる。

 ケイレツなど親しい企業との間ですら、ネットでの

 情報連携は道半ば。 
 

  (P.043)


長い間蓄積され、磨き上げられた生産ノウハウが、
宝の持ち腐れになっているのです。



 世界各地に展開した工場は、長い間磨き上げて

 きたノウハウ、すなわちビッグデータの宝庫だ。

 しかし、それらがデジタル化されていない限り、

 つながりをベースにモノ作りを刷新しようという

 第4次産業革命をリードするのは難しい。
 

  (P.043)


米独印のIoTへの取り組みと比べ、日本の取り組みは
遅々として進んでいません。この状態を放置しておけば、
取り返しのつかない事態に直面するおそれがあります。



 最適な生産を導くのが第4次産業革命の真髄だ。

 通信規格の標準化はその最低条件。ドイツや米国

 は通信も含めた産業機械の制御ソフトで「デファクト」

 を握ろうとしている。制御ソフトを手中に収め、規格を

 統一すれば、工場の内外にある数多くの生産設備を、

 文字通り手足のように動かせるようになるためだ。
 

  (P.044)


日本企業の中にも、危機感を抱き早急に対策を
講じなければならないと考える人たちが出てきて
います。


 「日本の自動車メーカーが、海外勢の下請けに

 なっても不思議ではない」。

 こう語るのは、日産自動車でEV(電気自動車)

 「リーフ」の開発を手掛ける、IT&ITS開発部の

 二見徹エキスパートリーダーだ。


 例えば米国のITの巨人たちに、顧客ニーズを

 迅速に反映した製品開発で主導権を奪われる。

 そうなると、日本は海外勢の指示通りにモノを

 作らされる、下請け的立場に追い込まれかね

 ない。
 

  (P.044)


問題は、そうした「危機感」が全社的な広がり
にまでつながっていないことです。



EV(電気自動車)で火花を散らしているのは、
米テスラ・モーターズと日産自動車です。
最近、BMWもEVの量産車を発売しました。


テスラ・モーターズと日産自動車とで、EVの
捉え方が全く異なっています。


 テスラの強みはソフトをアップデートして

 クルマを進化させること。自動運転も

 ソフト更新で機能を追加し実現する。


 ソフトの改良や不具合修正を通じて、

 販売後に製品の機能を拡張するのは、

 IT業界では当たり前。最初から完成品を

 顧客に届けることにこだわる日本車メーカー

 とテスラとでは、モノ作りへのスタンスは

 正反対といってもいい。

 これからのクルマの競争力は、自動運転など

 成魚ソフトが左右することになる。
 

  (P.045)


つまり、テスラはEVをPCやスマホと同様に、
ITの道具として位置づけているに対して、
日産自動車は従来のクルマの概念の延長線上
で捉えている、と言えます。



産業界の歴史を振り返ってみると、日本製携帯
電話は「ガラパゴス化」した製品と呼ばれました。
つまり、日本国内でしか通用しない製品だった
のです。


ただ、これは商品カテゴリーの一部に過ぎません
でした。産業界全体で見ると、それほど大きな
出来事とは捉えられませんでした。


しかし、今後、IoTが進行していけば、
日本は産業のガラパゴス化という、
はるかに大きな衝撃を受けることになりかねません。


時代は、「単一品種大量生産」から「多品種大量生産」
へ移行していくのです。決して、「多品種少量生産」では
ありません。


「多品種少量生産」と「多品種大量生産」との違いは、
前者は高コストのため高価格となるのに対し、
後者は低コストで低価格を実現できることです。
その秘密は、ネットワークを活用し、3Dプリンターを
用い、ビッグデータの解析技術が急速に進化して
いるためです。


最初から完成品を提供しなくても、ハードの潜在能力を
ソフトが引き出すことが可能になってきたのです。



EVの覇権を競い合う、米テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO(左)と、<br />日産自動車のカルロス・ゴーンCEO

EVの覇権を競い合う、米テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO(左)と、
日産自動車のカルロス・ゴーンCEO

『日経ビジネス』 2015.01.05 号 PP.044-045



テスラ・モーターズについては、
日経ビジネスの特集記事(75)
秩序の破壊者 イーロン・マスク テスラの先に抱く野望 (1)

をご覧ください。





PART 5 馬車のままでは置き去りにされる

この章のキーワードは、経験とIoTです。


今まで、米独印のIoTへの取り組みと比べ、
日本の取り組みは遅れているという実態を
お伝えしてきました。


では、日本にはチャンスがないのでしょうか?


いえ、決してそんなことはありません。
IoTの覇者が鮮明になるには、10年、20年
という時間が必要だからです。



 優勝劣敗が鮮明に分かれるには10年、20年

 という時間が必要だ。我々がイメージする「革命」

 とは異なり、目に見えるスピードでは変化は起き

 ない。

 だが、これこそが産業革命の本質である。

 見えない場所で、ゆっくり着実に歩みを進める

 からこそ、産業構造を根底から覆すのだ。

 変化に気付いた時には手遅れになっている。

 ひとたび競争から脱落すると、挽回は難しい。
 

  (P.046)


以上の内容は、「ゆでガエル」そのものです。
ぬるま湯につかっている間に、水温が徐々に
上がり、いつの間にか熱湯になっていること
に気づかず、カエルがゆであがってしまうという
比喩です。


「ゆでガエル」という言葉は、マッキンゼー・アンド・
カンパニーで著名だった、元経営コンサルタント、
トム・ピーターズが述べた、と言われています。



最終章では、「日経ビジネス」取材班が、
日本の強みを生かしていくことができれば、
まだ十分に勝ち残る見込みがあることを、
明らかにしています。


暗い話題ばかりでは滅入ってしまいますが、
将来への期待感を抱かせる解説は心強い味方
となるでしょう。


 日本の製造業が蓄積してきたノウハウは新たな

 時代にも十分通用すること。そして、ノウハウは

 社外と連携してこそ輝きを放つということだ。


 トラブル対応の速さと深さを決めるのは、各工場

 が積み重ねてきたモノ作りや「カイゼン」のノウハウ

 だ。この点で、日本は一日の長がある。だが現時点

 では、この宝物の多くは企業や工場の壁に阻まれ、

 活用されないまま眠っている。


 「人間の経験とIoTを組み合わせれば大きな改革が

 できる」と日立製作所の東原敏昭社長は指摘する。

 日本の製造業がデータをオープンにし、社外の知恵

 も含めて磨き上げれば、世界と戦う支えになる。


 モノ作りをどう進化させていくかは、これからも人の

 知恵にかかっている。
 

  (P.047)


先に書いたことをもう一度、思い出してください。


「郵便馬車を何台つなげても、決して鉄道を
得ることはできない」



約1世紀前に経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが
述べた、イノベーションの本質です。



「日経ビジネス」は次のように総括しています。


 革命には痛みが伴う。馬車から鉄道に乗り換える

 時には、相当の混乱を覚悟しなければならない。

 だがそれでも、新たな道に踏み出す必要がある。

 第4次産業革命という列車は既に出発してしまった。

 変化を拒んでいては、歴史の中で置き去りにされる

 だけだ。
 

  (P.047)


今回の特集はいかがでしたでしょうか?
多少でも身近な問題と捉えることができましたか?


もしそうであれば、今特集をお伝えした意味はあった、
と思っています。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


「日経ビジネス」は、日本の「No.1の経済誌」です。


ぜひ一度、店頭で手にとって眺めてみてください。
きっと類似した経済誌とは一味も二味も違うことに
気づくことでしょう。


今年(2015)で、『日経ビジネス』を読み始めてから
30年になります。30歳になってから読み始めました。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ 2015.01.05 <2>



日経ビジネスの特集記事(89)

日本を脅かす
第4次産業革命
米独印、次の勝者は誰だ
2015.01.05



今週の特集記事のテーマは

製造業の覇権は渡せない――。
2015年、史上4度目となる産業革命が幕を開けた。
先陣を切ったのはドイツ。産業界と政府がタッグを組み、
「つながる工場」で先行する。
インドは虎視眈々と「下克上」を狙い、ITの巨人が主導
する米国が待ったをかける。
一方、モノ作り大国を自認する日本はスタート地点で
足踏みしたままだ。
革命の渦はあらゆる企業を巻き込み、世界の産業構造
を根底から覆し始めた 
 (『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.024)

ということです。




日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ

日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ

(『日経ビジネス』 2015.01.05 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.05 号 PP.024-025)




第1回は、
「PROLOGUE 『日本抜き』の産業革命が始まる」
「PART 1 革命の火蓋切ったドイツの焦りと決意」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 インドが仕掛ける下克上」
「PART 3 GEの独走を許すな モノ作りの頭脳争奪戦」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 4 トヨタが“下請け”になる日」
「PART 5 馬車のままでは置き去りにされる」
をご紹介します。



世界の産業を米国がリードし、21世紀も米国が主導権
を握りそうな状況にドイツは危機感を抱き、いち早く
第4次産業革命の主役になるべく、狼煙を上げました。


一方、「IT(情報技術)は米国が世界一」
と米国産業界の誰もが確信に満ちています。


IoT(Internet of Things=モノのインターネット)という
概念が提唱されるようになった現在でも、「米国が世界一」、
といっそう自信を深めています。


IoTとは、あらゆるモノとモノがインターネットでつながり、
そこから得られる膨大なデータ(ビッグデータ)を解析する
ことで、ハードの潜在能力をソフトによって飛躍的に高める
ことが可能になる、という概念です。


ICT(情報通信技術)の巨人が林立する米国は、他国との
競争だけでなく、自国内の強力なライバルとの熾烈な競争
に日夜晒されています。そうした環境が、強者をさらに強化
している、と私は考えています。切磋琢磨しているのです。


そうした中、IT(情報技術)の世界に台頭してきたのは、
インドです。「0(ゼロ)の発見」で知られるインド人は、数学
の能力が突出した人たちが大勢います。数学の力を利用
し、ソフトウェアの開発で目覚ましい成果をあげています。


モノ作り大国を自認する日本はどうでしょうか?
米独印と比較すると、スピード感が乏しいという印象は
否めません。日本の大企業が、外国企業の「下請け」に
成り下がってしまう可能性は、ゼロではありません。


産業界では、インターネットと、ビッグデータ解析をベース
にしたAI(人工知能)、3次元データを活用しモノ作りに
有効な3Dプリンターを使えば、今まで無名だった企業でも
一気に業界トップに並んだり、踊り出ることも不可能では
ありません。


良くも悪くも、凄い時代になったものです。
私たち消費者に必要なことは、第4次産業革命の行くえを
しっかり見つめていくことです。


先進国と新興国との格差は、IoTを活用することによって
一気に縮めることが可能になった、という事実を認識する
べきです。


国内の瑣末な事象に気を取られているうちに、外国企業に
よって日本企業がM&A(合併・買収)の餌食になったり、
経営破綻に追い込まれる事態も想定しておかないといけ
ない時代になった、と考えています。


今まで安泰だったからこれからも永遠に大丈夫だ、という
安易な考え方はもう捨てた方がいい、と思います。


「優秀な」あなたが、「明日から出社しなくていい」と肩を
叩かれる日が来ない、とは言えなくなった、と考えを改める
べきです。




【お知らせ】
前回の特集「遺言 日本の未来へ」に関して、
日経ビジネスオンラインで、
連載「遺言 日本の未来へ」が2015年1月5日
からスタートしました。


インタビューの詳細を掲載しています。
ぜひご覧ください!

日経ビジネスオンラインのサイトは→
http://business.nikkeibp.co.jp/




では、本題に入りましょう!


その前に復習しましょう。
過去3回の産業革命と、4回目の産業革命を
再度、概観してみましょう。


より深く理解するためです。
もちろん、「もう十分に分かっているよ」という方は、
この部分を飛ばして構いません。


『日経ビジネス』は下図にまとめています。
ひと通り見てみましょう。



『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.026




『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.027



1回目の産業革命は、18世紀に英国が覇権を握った、
「蒸気機関」が象徴的です。


2回目の産業革命は、20世紀初頭に米国が覇権を握った、
大量生産を可能にした「電気エネルギー」
象徴的です。


3回目の産業革命は、20世紀後半に「カイゼン」を駆使した
日本の製造業が、世界中から注目され、
「コンピューターによる自動化」
(産業用ロボットを含む)
が象徴的です。


4回目の産業革命は、2015年から始まります。
どこが覇権を握るのか。米独印か。はたまた日本でしょうか?
あるいは、全く想定されていなかった国でしょうか?
いずれにせよIoT産業革命と言えます。



すでに、4回目の産業革命の覇権の争奪戦は、始まって
います。IoT産業革命によってどう変わるのでしょうか?


『日経ビジネス』は3つの大転換がある、と指摘しています。


 1つ目は、単一製品の大量生産時代が徐々に

 終焉へ向かうことだ。

 カスタムメードを大量生産する時代が到来

 する。その先頭を走ろうとしているのがドイツだ。

 次は、クルマなどのモデルチェンジの概念が

 変わる。

 ネットなどで集めた消費者ニーズを基にソフトを

 アップデート
し、まるでスマートフォンのように

 モノを進化させる。


 これら2つの変化で主導権を握れるかどうかで、

 主従が逆転する。これが、3つ目の変化である。

 膨大なデータを操るIT企業が製品開発を指揮し、

 製造会社を下請けのように使う時代も現実味を

 帯びてくる。

 そして、国家間の下克上が始まる。
 

  (P.027)


こうのような世界の動きに対して、日本や日本企業は
第4次産業革命の中核に位置することはできるのか、
ということに注目が集まります。


その点について、『日経ビジネス』は冷徹に断言します。


 これから到来する第4次産業革命の中核に、

 残念ながら日本の姿は見えない。 
 

  (P.027)



インドの台頭は目を見張ります。
日本はオチオチしていられません。
お尻に火がついた、という認識ができるかどうか、
がポイントです。




PART 2 インドが仕掛ける下克上

この章のキーワードは、下克上です。


私たちは、インドのことを知らなすぎる、と思います。
今も残る「カースト制度」「インド仏教」「インドカレー」
「ゼロの発見」「ガンジス川の沐浴」などなど。


ですが、インドのバンガロールはIT企業の集積地
として有名ですね。欧米の最先端企業のソフトウェア
開発拠点となっています。


さらに言えば、医学が進んでいます。
米国の大学や大学院へ留学し、医学知識や医療技術
を身につけ、本国に戻り、医師をしている人たちがいます。
高度な医学知識や医療技術を欧米に比較して格安な
料金で提供しています。欧米から観光を兼ねて、治療の
ためにインドを訪れる患者が多いとか。


そんなインドで、今まで知られていなかった地域でも、
大きな変化が起きています。
『日経ビジネス』取材班のリポートを読んでみましょう。


 先進国が経てきた進化のステップを一気に

 飛び越え、製造業の基盤が未熟な新興国が、

 いきなり第4次産業革命の主役に躍り出る

こともある。それに最も近い国の一つが、ソフト

 ウェア開発の人材を集まるインドだ。


 多くのIT企業や有力大学を擁し、インドを代表

 する文教都市プネー。その郊外の工業団地に

 ある日韓合弁のプラスチック品生産会社EKI。

 全部で33台の機械はすべてインターネットに

 接続され、工場の制御室にあるモニターで稼働

 状況を監視できる。そのデータを基にして、生産

 の効率が最も高くなるように、各機械の生産順序

 やスピードが調整されていく。
 

  (P.035)


今までの発想では、新興国は先進国の足跡を辿る
しかなく、先進国に追い付くことはできませんでした。
ところが、IoTを活用すれば、中間のプロセスを飛ば
して、一気に先進国に追い付くことが可能になりました。


先進国も、今後は、うかうかしていられなくなりました。


第4次産業革命の本質は、その点にある、と私は
考えています。


インドが台頭してきた背景には、国と企業の連携が
上手くいっていることも見逃せません。


 インド企業がIoTで攻勢を強める背景には、

 2014年5月に首相に就任したナレンドラ・モディ

 氏の積極的な産業育成政策がある。モディ氏は、

 事務手続きや税制を簡略化して海外企業の工場

 を誘致する「メーク・イン・インディア」や、中堅都市

 や村レベルまで高速の光通信網を整備する「デジ

 タル・インディア」を推進。製造業とITの両面で強力

 な支援を約束した。
 

  (P.037)


デジタル化で先進国を猛追する モディ新政権は、製造業とITを融合できる<br />IoTを積極的に推進

デジタル化で先進国を猛追する
モディ新政権は、製造業とITを融合できる
IoTを積極的に推進

『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.036



インドの方向性は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が推進する
「インダストリアル・インターネット」と同様なものです。


 2014年12月22日号の「日経ビジネス」特集でも

 紹介した、この分野で先進的な米ゼネラル・エレク

 トリック(GE)は、ハードウェアの製造だけでなく、

 ソフトウェアやデータ解析を強化してモノ作りの

 「サービス化」を進めている。
 

  (P.036)


詳細は、
日経ビジネスの特集記事(87)
ものづくりの未来を変える GEの破壊力(1

をご覧ください。


インドの魅力はそれだけではありません。
若くて低コストな労働力を豊富に抱えています。


 「世界の工場」として君臨してきた中国では

 人件費が高騰、若く低コストの労働力を豊富に

 抱えるインドに対して世界の注目が集まって

 いる。
 

  (P.037)



では、IT大国米国の動向はどうでしょうか?




PART 3 GEの独走を許すな
モノ作りの頭脳争奪戦


この章のキーワードは、IoTです。

下図をご覧ください。
インテルがサンフランシスコで開催した記者会見
の席上で、背景に映し出されたタイトルです。
IoTが3カ所に出ていますね!
IoTへの意気込みが感じられます。




『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.038



『日経ビジネス』は、米国の息遣いを熱く語っています。


 一度は失った製造業の覇権を、奪い返そうとして

 いるのが米国だ。工場の工作機械へつながり

 顧客情報を送り込むシステムや、ソフトのダウン

 ロードにより製品を進化させるといった第4次産業

 革命。IoTを制する企業がモノ作りを制する時代に

 入り、米国に追い風が吹く。半導体やソフト、ネット

 といったITの巨人たちが入り乱れ、「モノ作りの

 頭脳」の座を巡る激しい駆け引きが始まった。
 

  (P.038)


IoTがどのように使われるのか、具体的に見てみましょう。


 ネット接続機器の代表格であるパソコンや

 スマホだけでなく、クルマや家電、産業用

 設備などのモノがネットに接続するIOT。

 米調査会社、ガートナーは、2020年に

 ネット接続機器が2014年の約7倍となる

 250億個に急増すると予測している。

 その内訳は、自動車分野が約35億個、

 産業分野では約83億個、一般消費者向け

 製品は約131億個に上る。


 集めた大量のデータを分析し、活用する

 ことに長けた企業が、製造業の競争力の

 根幹を握る時代がやってくるのだ。
 

  (P.039)


250億個の接続機器が生み出す巨大市場

250億個の接続機器が生み出す巨大市場

『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.039



「日経ビジネス」は、IoTを推進する代表格GEの
動向に注目しています。


 IoTの覇権を握ろうと、コンソーシアムを作る

 動きが広がり始めた。

 その代表格が、2014年3月に設立された

 インダストリアル・インターネット・コンソーシアム。

 産業向けソリューションや分析ソフトを持つGE、

 同じく分析ソフトを持つIBM、センサーに使う

 半導体のインテル、通信機器のシスコシステムズ、

 ネットワークを提供するAT&Tの5社が創設メンバー

 だ。
 

  (P.039)


コンソーシアムの構成企業を見ると、各分野の巨人が
出揃っていますが、「呉越同舟」の感が否めません。
果たして長続きするのか、気になるところです。


他にもコンソーシアムが創設されていて、下図をよく
見ると分かりますが、複数のコンソーシアムに属する
企業があります。


例えば、インテル、シスコシステムズ、サムスンが
そうです。


複数のコンソーシアムに属すことで、本流が何なのか
見極める必要に迫られ、「置いてけぼり」を喰らわない
ための、リスクヘッジ(リスク回避)である、と私は
考えています。


コンソーシアム参加企業が多い

コンソーシアム参加企業が多い

『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.040


上図で見づらいところがあると思われますので、
6つのコンソーシアムの構成メンバーを書き出し
ます。


Industrial Internet 
GE / IBM / インテル /シスコシステムズ
AT&T など 115社


ALLSEEN ALLIANCE 
クアルコム / マイクロソフト / ソニー
パナソニック / シャープ など約100社


OPEN INTERCONNECT 
インテル / サムスン / シスコシステムズ
など約40社


スレッドグループ 
グーグル / サムスン / ネスト など約10社


amazon.com 
アマゾン


HomeKit 
アップル


気になるのは、日本企業はALLSEEN ALLIANCE 
に集結していることです。大丈夫なのだろうか、
と少し不安になりました。


いずれにせよ、IoTのコンソーシアム、覇者は
どこが主役になるのかは、10年以内に決着が
つくことでしょう。


 どのグループが勝ち残り、技術標準を握る

 のか。先行きはまだ混沌としている。

 見通しを困難にしている一つの要因が、

 複数のグループに参画し、二股をかける

 企業も珍しくはないことだ。


 インテルはIoT関連の2つのグループで

 主要グループになることで、負け組になる

 リスクを極力減らそうとしているようだ。

 同じコンソーシアム内でGEらと恐鳥する

 IBMも、それとは別にしたたかな独自戦略

 を進める。背景には、この分野で先頭を

 走るGEへのライバル意識がある。


 自社でモノ作りを手掛け、しかもIoTでも先駆

 的なGEに独走を許せばIBMやインテルと

 いった従来型IT企業のビジネスチャンスは

 小さくなり、第4次産業革命の果実を総取り

 されかねないと警戒する。

 米国は、「競争と協調」が複雑に重なり合う

 様相を呈している。


 「IoT時代にモノ作りや開発の主導権を握る

 のはアマゾンかもしれない」という意見を持つ

 企業関係者や有識者は少なくない。 
 

  (P.041)


「日経ビジネス」は、気になることを書いています。
IoTはあらゆるモノとモノがインターネットに接続
されるとセキュリティの問題が大きくクロースアップ
されます。その対策はどうするのか、ということです。


 ネットにつながっている限り、物理的に離れて

 いても遠隔から攻撃が可能になる。その影響は、

 機密情報の漏洩だけにとどまらず、機器が集取

 したデータの改ざん、重要な機器の操作権限の

 乗っ取りなど多岐にわたる。


 「今後、電力や工場内の工作機械の制御など、

 従来は外部とのネット接続を前提に構築されて

 いない旧式なシステムや機器の安全対策が、

 より重要になる」。IBMでIoTのセキュリティー

 を研究しているJ・ラオ氏は、こう指摘する。

 「セキュリティーを懸念し過ぎてIoTの活用で

 出遅れるのはナンセンス。競合他社に先を

 越されて負けるだけだ」(ラオ氏)という。
 

  (P.041)


今までの話とは異なりますが、インターネット上で
新種の犯罪が発生しているという報告がありました。


2015年1月5日夕刻に、FM J-WAVEの番組で、
「ransomware(ランサムウェア) 、身代金ソフト」
というマルウェアが広がっているということです。


どういうものかと言いますと、普段使っているサイト
にアクセスしようとするとできなくなり(人質に取られ、)、
元通りに使えるようになるためには、ランサムウェアの
管理者にお金(身代金)を支払って復元してもらう
というものです。


例えば、ネットゲームやネットバンキングのサイトに
アクセスできなくなり(つまり人質に取られ)、復元
するためには「身代金」を払わなければならないの
です。



IoTの話に戻しますと、デファクトスタンダード(事実上の
標準)を握ったところが、主役になるのです。


日本企業そして日本が、国内問題ばかりに気を取られ
ているうちに、世界の動きに「置いてきぼり」を喰らう
危険性が大きいと思います。


その点に気づいている人たちはいるはずです。
何か早急な対策を講じてもらいたい、と願うばかりです。




最終回は、
「PART 4 トヨタが“下請け”になる日」
「PART 5 馬車のままでは置き去りにされる」
をお伝えします。

ご期待下さい!






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日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ 2015.01.05 <1>



日経ビジネスの特集記事(89)

日本を脅かす
第4次産業革命
米独印、次の勝者は誰だ
2015.01.05



今週の特集記事のテーマは

製造業の覇権は渡せない――。
2015年、史上4度目となる産業革命が幕を開けた。
先陣を切ったのはドイツ。産業界と政府がタッグを組み、
「つながる工場」で先行する。
インドは虎視眈々と「下克上」を狙い、ITの巨人が主導
する米国が待ったをかける。
一方、モノ作り大国を自認する日本はスタート地点で
足踏みしたままだ。
革命の渦はあらゆる企業を巻き込み、世界の産業構造
を根底から覆し始めた 
 (『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.024)

ということです。




日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ

日本を脅かす 第4次産業革命 米独印、次の勝者は誰だ

(『日経ビジネス』 2015.01.05 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.01.05 号 PP.024-025)




第1回は、
「PROLOGUE 『日本抜き』の産業革命が始まる」
「PART 1 革命の火蓋切ったドイツの焦りと決意」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 インドが仕掛ける下克上」
「PART 3 GEの独走を許すな モノ作りの頭脳争奪戦」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 4 トヨタが“下請け”になる日」
「PART 5 馬車のままでは置き去りにされる」
をご紹介します。



世界の産業を米国がリードし、21世紀も米国が主導権
を握りそうな状況にドイツは危機感を抱き、いち早く
第4次産業革命の狼煙を上げました。


一方、「IT(情報技術)は米国が世界一」
と米国産業界の誰もが確信に満ちています。


IoT(Internet of Things=モノのインターネット)という
概念が提唱されるようになった現在でも、「米国が世界一」
と、いっそう自信を深めています。


IoTとは、あらゆるモノとモノがインターネットでつながり、
そこから得られる膨大なデータ(ビッグデータ)を解析する
ことで、ハードの潜在能力をソフトによって飛躍的に高める
ことが可能になる、という概念です。


ICT(情報通信技術)の巨人が林立する米国は、他国との
競争だけでなく、自国内の強力なライバルとの熾烈な競争
に日夜晒されています。そうした環境が、強者をさらに強化
している、と私は考えています。切磋琢磨しているのです。


そうした中、IT(情報技術)の世界に台頭してきたのは、
インドです。「0(ゼロ)の発見」で知られるインド人は、数学
の能力が突出した人たちが大勢います。数学の力を利用
し、ソフトウェアの開発で目覚ましい成果をあげています。


モノ作り大国を自認する日本はどうでしょうか?
米独印と比較すると、スピード感が乏しいという印象は
否めません。日本の大企業が、外国企業の「下請け」に
成り下がってしまう可能性は、ゼロではありません。


産業界では、インターネットと、ビッグデータ解析をベース
にしたAI(人工知能)、3次元データを活用しモノ作りに
有効な3Dプリンターを使えば、今まで無名な企業でも
一気に業界トップに並んだり、踊り出ることも不可能では
ありません。


良くも悪くも、凄い時代になったものです。
私たち消費者に必要なことは、第4次産業革命の行くえを
しっかり見つめていくことです。


先進国と新興国との格差は、IoTを活用することによって
一気に縮めることが可能になった、という事実を認識する
べきです。


国内の瑣末な事象に気を取られているうちに、外国企業に
よって日本企業がM&A(合併・買収)の餌食になったり、
経営破綻に追い込まれる事態も想定しておかないといけ
ない時代になった、と考えています。


今まで安泰だったからこれからも永遠に大丈夫だ、という
安易な考え方はもう捨てた方がいい、と思います。


「優秀な」あなたでも、「明日から出社しなくていい」と肩を
叩かれる日は来ない、とは断言できなくなった、と考える
べきです。




【お知らせ】
前回の特集「遺言 日本の未来へ」に関して、
日経ビジネスオンラインで、
連載「遺言 日本の未来へ」が2015年1月5日
からスタートしました。


インタビューの詳細を掲載しています。
ぜひご覧ください!

日経ビジネスオンラインのサイトは→
http://business.nikkeibp.co.jp/




では、本題に入りましょう!


PROLOGUE 「日本抜き」の産業革命が始まる


まず、過去3回の産業革命と、4回目の産業革命
を概観してみましょう。


『日経ビジネス』は下図にまとめています。
ひと通り見てみましょう。



『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.026




『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.027



1回目の産業革命は、18世紀に英国が覇権を握った、
「蒸気機関」が象徴的です。


2回目の産業革命は、20世紀初頭に米国が覇権を握った、
大量生産を可能にした「電気エネルギー」
象徴的です。


3回目の産業革命は、20世紀後半に「カイゼン」を駆使した
日本の製造業が、世界中から注目され、
「コンピューターによる自動化」
(産業用ロボットを含む)
が象徴的です。


4回目の産業革命は、2015年から始まります。
どこが覇権を握るのか。米独印か。はたまた日本でしょうか?
あるいは、全く想定されていなかった国でしょうか?
いずれにせよIoT産業革命と言えます。



すでに、4回目の産業革命の覇権の争奪戦は、始まって
います。IoT産業革命によってどう変わるのでしょうか?


『日経ビジネス』は3つの大転換がある、と指摘しています。


 1つ目は、単一製品の大量生産時代が徐々に

 終焉へ向かうことだ。

 カスタムメードを大量生産する時代が到来

 する。その先頭を走ろうとしているのがドイツだ。

 次は、クルマなどのモデルチェンジの概念が

 変わる。

 ネットなどで集めた消費者ニーズを基にソフトを

 アップデート
し、まるでスマートフォンのように

 モノを進化させる。


 これら2つの変化で主導権を握れるかどうかで、

 主従が逆転する。これが、3つ目の変化である。

 膨大なデータを操るIT企業が製品開発を指揮し、

 製造会社を下請けのように使う時代も現実味を

 帯びてくる。

 そして、国家間の下克上が始まる。
 

  (P.027)


こうのような世界の動きに対して、日本や日本企業は
第4次産業革命の中核に位置することはできるのか、
ということに注目が集まります。


その点について、『日経ビジネス』は冷徹に断言します。


 これから到来する第4次産業革命の中核に、

 残念ながら日本の姿は見えない。 
 

  (P.027)


次のPART1で、ドイツの実情を見てみることにしましょう。




PART 1 革命の火蓋切ったドイツの焦りと決意

この章のキーワードは、
マスカスタマイゼーション
です。


『日経ビジネス』取材は、ドイツ南部にある人口
4万4000人の小さな町、アンベルクへ飛びま
した。


この小さな町に何があるのかと言いますと、
ドイツを代表する企業の一つであるシーメンス
の工場があります。


1989年秋に建設されたこの工場は、生産性が
劇的に変わったということです。


 四半世紀後の2015年。この工場では

 今もなお、当時とほぼ変わらぬ1000人

 超の従業員が働く。工場建屋の広さも

 1万㎡と全く同じだ。しかし、生産台数は

 8倍の年1200万個に、品目数は1000

 種類以上と5倍に増えた。かつてと異なり、

 「シーメンス通り」に面した工場からは

 ドイツ国内ばかりでなく、世界中に製品が

 出荷されていく。
 

  (PP.028-029)


具体的にはどのようなことをするのでしょうか?


 具体的にはIoTを核に、ロボットや3Dプリンター

 などドイツが強みを持つ生産技術を、社内外

 でつなぎ合わせる。大量生産とほとんど変わ

 らないコストでオーダーメードの商品を作る

 「マスカスタマイゼーション(個別大量生産)」

 の実現が一つのゴールだ。
 

  (P.029)


ここで考えなければならないことは、ドイツはなぜ
第4次産業革命の覇者になるべく、先鞭をつけた
のか、ということです。


 製造業の競争力が失われるのではという

 焦りが、この国で急速に広がっているためだ。
 

  (P.030)


ドイツと言えば、カメラの名機と呼ばれる「ライカ」が
あります。ライカで戦場での数々の決定的瞬間を
撮影した戦場カメラマンの、ロバート・キャパが有名
ですね。


ですが、現在は日本のキャノン、ニコンの2社が
世界のカメラ市場を寡占しています。


カメラ産業に限らず、ドイツから消えた産業は
少なくないと言います。


 カメラやビデオなど、ドイツの企業や研究所が

 先鞭をつけながら、いつの間にかドイツから

 消えた産業は少なくない。機械用のコンピュー

 ターでは競争力を保っているシーメンスも、

 携帯電話からは2005年に撤退した。
 

  (P.030)


ドイツの危機感は相当なものであることは想像に
難くありません。
その危機感をバネに、国と産業が一緒になって、
前進していこうと決断したのです。


 GDP(国内総生産)の24%を製造業に依存する

 ドイツでは、モノ作りでの敗北は国家の衰退と

 同義だ。

 ならばいっそ、世界で誰も成し得ていない

 マスカスタマイゼーションを実現して「大量生産

 での競争」を迫られる時代に終止符を打って

 やろう。ドイツはこう、決意した。自国の製造業

 が強さを発揮できる新しい世界を作り、モノ作り

 を守りきろうとしている。
 

  (P.030)


コンピューターや産業用ロボットを駆使し、
「マスカスタマイゼーション」を行っていく場合、
労働者の削減につながるのではないか、
と考えてしまいますね。


その点はどうなのでしょうか?


 設備と製品だけでなく、「人」もラインとつながる

 のがミソだ。
 

  (P.031)


さらに、次のような話があります。


 ボッシュのヴェルナー・シュトルト取締役は

 「孤立していた島(機械や人)に橋をかければ、

 人は製品に価値を加える仕事に特化できる」

 と言う。


 IoTによって引き出した人の力をフル活用する

 ことで、「2015年中に、生産機種の切り替え

 にかかる時間を0秒にできる」と、工場責任者

 のフランク・ヘス氏は言う。
 

  (P.032)



「産業革命」に当事者として向き合う企業が増えてきた

「産業革命」に当事者として向き合う
企業が増えてきた

『日経ビジネス』 2015.01.05 号 P.032




生産技術として世界的に有名なものは、トヨタ生産方式
です。別名カンバン方式と呼ばれるもので、必要最小限
の部品を使い、生産性向上を高めるものでした。
「乾いた雑巾を絞る」という喩えも使われました。


トヨタ生産方式を凌ぐことが可能になる、とドイツ企業は
考えています。


 トヨタ生産方式はあくまで大量生産を念頭に置い
 
 ていた。インダストリー4.0は一歩進んで、人の

 つながりだけでは成し得ないマスカスタマイゼー

 ションの時代を拓く。

 ドイツが舵を切るのは、そこに大きな需要があると

 見ているためでもある。


 カスタムメードは高いという常識が覆れば、消費者

 であれ企業であれ、それを求めるようになるという

 確信があるのだ。
 

  (P.033)


日本企業そして日本は、国内問題ばかりに
気を取られているう間に、世界の動きについて
いけず、置き去りにされる危険性があります。





次回は、
「PART 2 インドが仕掛ける下克上」
「PART 3 GEの独走を許すな モノ作りの頭脳争奪戦」
をお伝えします。

ご期待下さい!






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Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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