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2000万人の貧困 必要なのは「福祉」より「投資」 2015.03.16 <3>


弁護士法人村岡総合法律事務所




日経ビジネスの特集記事(100)

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」
2015.03.23



今週の特集記事のテーマは

昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。
しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された
富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。
月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。
後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。
福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た
 (『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.024)

ということです。




2000万人の貧困<br />必要なのは「福祉」より「投資」

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




「1億総中流」と言う言葉は消滅しました。
3%の富裕層と97%の非富裕層に2分されました。


ちなみに、「富裕層とは年収3000万円以上で、かつ
金融資産を1億円以上所有している人」という定義が
あるそうです。


さて、今特集は「2000万人の貧困」です。
日本人の6人に1人が貧困層ということになります。
この数字はとても信じられないことのように感じますが、
『日経ビジネス』を読むと、あながち大げさな数字では
ないことに気づきます。


決してブラックユーモアではありません。
これからは、「私は貧困層ではない!」とは断言でき
なくなります。




第1回は、
「PART 1 普遍化した困窮
介護、リストラ 『まさか自分が』」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ 


三度目になりますが、相対的貧困率を確認して
おきましょう。



 相対的貧困率
 
 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、

 ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で

 使われる。その国の貧困や格差の状況を

 表す指標の一つ。年収が全国民の年収の

 中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
 

  (P.025)



日本は決して天然資源が豊かな国ではありません。
ですが、人的資源は豊富な国に属します。
ただ、人的資源を十分に活かしきれていません。


さらに、国は国民の教育に欧米並みの比率でお金を
出していません。ごく一部の優秀な人たちだけを官僚
にして政策を立案し、実行すれば国は回っていくとでも
考えているのでしょうか?


国民はバカのほうが都合がいい。政策を遂行しやすい
から。まるでそのような印象を受けます。
国民が賢くなると、官僚や政治家たちの行うことにいち
いち反対したり、選挙で酷い目に遭わせるからでしょうか?


「教育は等しく受ける権利がある」と憲法で保障されて
います。


ですが、今、教育を受ける権利が不平等に扱われています。


前回、奨学金が返済できない人たちがいる実態をお伝え
しました。


そんな中、「従業員の奨学金返還を“肩代わり”する企業が
ある」というお話からスタートします。



 オンデーズの場合 


 従業員の奨学金返還を“肩代わり”する企業がある。

 メガネ店を展開するオンデーズ(東京都港区)だ。

 2014年12月に「奨学金返金救済制度」を導入。

 奨学金の返還を続けている従業員に、返済分を毎月の

 給与に上乗せする。社内面接などを通過すれば、

 返還が終わるか、退職するまで続く。
 

  (P.039)



人材を単なる「コスト(費用)」と考える経営者であれば、
従業員をこのように扱うことはありません。
では、オンデーズの田中修治社長はどのような考え
のもとに、このような仕組みを作り上げたのでしょうか?




 新制度は当然、経営コストになる。奨学金の返還

 プランは人によって異なるが、仮に月2万円とすれば、

 1人当たり年24万円の人件費増になる。だが同社の

 田中修治社長はそれを、有望な人材を獲得するため

 の必要経費と見る。
 

  (P.039)



さらに、同じお金を遣うのであれば、人材採用の際に、
仲介事業者を報酬を支払うより、社員に直接還元したい
という意図からでした。


そして、従業員が成長すれば、「奨学金返還の肩代わり」
は投資が成功したことになります。




 同社の年商は60億円。知名度は限られ、欲しい人材を

 採用する際には仲介事業者を利用することもある。

 「そうした事業者に100万円の成功報酬を払うなら、

 社員に直接還元したいと思った」(田中社長)。

 従業員の定着に一役買うとの判断もある。
 

  (P.039)



田中社長は次のように語っています。
従業員思いの経営者の一面が垣間見えます。



 社員が企業の福利厚生に望むものも多様化しており、

 田中社長は「社員に必要な支援は早く実行し、それを

 積み重ねることが働きやすい職場作りや自社の競争力

 につながる」と考える。
 

  (P.039)



「情けは人の為ならず」といったところでしょうか。


下の図をご覧ください。
生活困窮者への対策には3つの選択肢があるというのが、
『日経ビジネス』の考え方です。



早期の対策が大きな効果を生む<br />・貧困対策への投資とコスト

早期の対策が大きな効果を生む
・貧困対策への投資とコスト

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.039)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号



じっくり見ないと分かりにくいかもし知れません。
3つの選択肢は次の通りです。
(18~65歳まで就労した場合)


1. 2年で約460万円(職業訓練など投資) 正社員で就労
2. 2年で約460万円(職業訓練など投資) 非正規社員で就労
3. 対策なし



『日経ビジネス』の解説を読んでみましょう。



 「貧困対策は1人当たり7000万~1億円の便益を生む」

 国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩・社会保障

 応用分析研究部長は、厚生労働省の依頼でそんな試算

 をしている。高校を中退した18歳の少年に、2年間の職業

 訓練を施した場合の費用対効果をはじき出した(上の図

 参照)。
 

  (P.039)



投資と考えれば、長期的視野に立って見なければなりません。
そうすると、初期投資が大きな効果を生むことが理解できます。
単に税などの「増収」が見込めるだけではありません。


間接的な効果ですが、「医療費の抑制効果」や「犯罪リスクの
軽減」も期待できるそうです。



 貧困状態の人ほど健康を害するリスクが高いことは様々な

 研究で分かっている。そのため、貧困対策には医療費の

 抑制効果も期待できる。国内に十分な研究があるわけでは

 ないが、犯罪リスクの軽減を期待する声も大きい。
 

  (P.040)



その一方で、「生活困窮者にお金をかけることには、根強い
反発もある」のは事実です。ですが、『日経ビジネス』のスタンス
は「効果的な支援を怠ってきたから、ここまで貧困が拡大して
きたとも言える」というものです。



 生活困窮者にお金をかけることには、根強い反発もある。

 困難な状態に陥るまでの過程で、「本人の過失」ととられ

 かねない出来事がある場合も多いからだ。

 「なぜそんなことをした人間に、金をかけなきゃならないのか」

 という心情に理解を示す人も多い。

 だが心情的な反発をしていても、事態は改善しない。

 むしろ、そうして効果的な支援を怠ってきたから、

 ここまで貧困が拡大してきたとも言える。
 

  (P.040)



こうした意味でも、貧困問題は他人事(ひとごと)ではない
のです。


米系ゴールドマン・サックス証券の持田昌典社長は、
「社会貢献は慈善ではない。投資だ」と明言しています。
世界有数の投資銀行らしく、「効果」を重視しています。



 「社会貢献は慈善ではない。投資だ。投資において

 最も大事なことは、効果を出すことだ。適切な効果

 測定や、柔軟に支援プログラムを変更することは、

 効果を最大化するためには絶対になくてはならない」

 そう話すのは、米系ゴールドマン・サックス証券の

 持田昌典社長だ。同社は2010年から「コミュニティ支援

 プログラム」と題して、貧困の連鎖の撲滅に向けた

 社会貢献活動をしている。活動の原資は、持田社長を

 含む日本法人の経営陣約10人が拠出する私費だ。
 

  (P.040)



次にご紹介するのはレアケースかもしれません。
「逆差別」や「教育の不公平」というそしりを免れないこと
かもしれません。
ですが、今まで授業についてこられなかった生徒を
切り捨ててきた実態を考えると、プラスと考えるべきだ、
と私は思います。



 低所得の家庭に支給される「就学援助費」の認定率が、

 全国平均の2.4倍ある東京都足立区。そこのある区立

 小学校では3~4年生のうち学習内容につまずきがある

 子供に対して週に1回、別室で1対1の個別指導をして

 いる。


 周囲には「公教育で、一部の子だけに特別な指導をして

 いいのか」「指導を受けることを子供たちが不名誉なこと

 だと思い、いじめにつながるのでは」といった懸念がある。

 だが、弘道第一小学校の小池康之校長は意に介さない。

 「公教育の最大の目的は、学力の保障。授業が分からない

 生徒を放置すると、その後の学習すべてに影響する。誤った

 平等意識にとらわれて、必要な対策をためらってはならない」
 

  (P.041)



「補習授業」は教員ではなく、「指導員」が行うそうです。
ある指導員の言葉をご紹介しましょう。どのような「補習授業」
を行っているか推測できます。



 元小学校教諭で、特別指導を担当する指導員は「30人、

 40人を前に授業をすれば、理解できていない子は把握

 できる。それでも授業は進めないといけない。正直これ

 までは分からない子を置き去りにしていた」と打ち明ける。
 

  (P.041)


「指導員への報酬は区が負担する」(P.041)そうです。
そのため足立区は「2014年度にモデル7校で始まったものを、
すべての小学校69校に拡大するため、2億4795万円の予算
を付けた」(P.041)ということです。


こうした支援は不可欠なことだと思います。
小学校のうちから劣等感を抱いたまま中学へ進学することは、
本人が精神的に大きな負担を感じるだけでなく、いじめの
対象にならないという意味合いもある、と私は考えています。





 Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない 


下の写真をご覧ください。
大阪市西成区の通称「釜ヶ崎」地区にあるホームレス
の人たちが生活する場所です。
ブルーシートが象徴的です。


この場所に限らず、ホームレスの人たちはどこからとも
なくやってきて、いつの間にかいなくなってしまうという
ことがよくあります。本名は存在せず、ここでは渾名や
仮名で通します。


東野圭吾の直木賞受賞作『容疑者Xの献身』の中に、
ホームレスの人が犠牲者になるシーンが出てきます。
無名のため、警察は家族に連絡の取りようがないの
です。


そもそも、元(?)家族は家出人の捜索願いを出して
いないケースが多いと推測されます。離婚して、絶縁
したので、どうなろうと関係がないということです。
悲しくなりますね。



大阪市西成区の通称「釜ヶ崎」地区

大阪市西成区の通称「釜ヶ崎」地区

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.042)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




 原子力発電所の元作業員の場合 

この人の場合、「経験を『奇跡』と表現」(P.043)しています。



 若い頃に腰を壊し、原発の仕事を失った。それでも日雇い

 などをしつつ暮らしたが、長い路上生活を余儀なくされた。

 釜ケ崎、もしくはあいりん地区と呼ばれる地域が、古くから

 日本最大の日雇い労働者の街として存在してきたことは、

 全く知らなかった。

 男は、その時の経験を「奇跡」と表現する。

 「本当に仕事がもらえるのか」と疑心暗鬼で訪れた西成労働

 福祉センターの職員は、事情を話すとおもむろに電話をかけ

 始めた。すると、次々と支援関係者が現れ、見る見るうちに

 その日の宿が手配され、生活保護の受給申請などの手続きが

 進められていった。

 ある人からは、生活保護が受けられるまでのつなぎとして5000円

 を借り受けた。半月ほどが過ぎた頃、男は生活保護の受給を受け、

 借りたアパートで暮らしていた。
 

  (PP.042-043)


おそらく他の地域では、こんなにスムーズに生活保護の受給を
受けられるケースは稀でしょう。



自立という言葉が叫ばれます。「他人に頼るな」「働かざるもの食う
べからず」などの言葉が紙面を飾ったり、会話の中に登場すること
もあります。


ですが、『日経ビジネス』は別の見方をしています。



 「自立」という言葉には、他人の手を借りず、誰にも迷惑を

 かけずに生きるという意味が含まれやすい。皆が若く健康で、

 十分な才気と収入があればそれは目指すべき姿なのかも

 しれない。

 だがそんな自立を一生続けられる人が、今の日本にどれだけ

 いるのか。非現実的な「自立」を追い、時間と金を浪費しては、

 さらに貧困を生むだけだ。個人も企業も行政も、前提としてきた

 ライフプランを離れ、現実を見据えた対策を講じなくてはならない。
 

  (P.043)


簡単に結論を出せるほど単純な話ではないでしょう。
ただ一つはっきりしていることは、人はいつまでも若くいられない
という事実です。心身ともに老化し、以前なら全て一人で出来た
ことが、自分一人では出来なくなった時、一体誰が面倒を看る
のでしょう?


誰もが自分のことだけで精一杯となったら、日本の社会は崩壊
します。



最後に、前回扱えなかったテーマをここで簡単にお伝えします。
次の話は、おそらく初めての話で驚かれるか、そんな世界がある
のは薄々知っていたが、そこまでひどいとは思わなかったという
感想に二分されるのではないかと想像します。


なお、本誌で一部触れていますが、「日経ビジネスオンライン」に
インタビュー記事が掲載されていますので、そちらから引用します。



 「福祉行政は風俗産業に敗北している」
「元・難民女子高生」が語る支援の不備 


『日経ビジネスオンライン』 2015.03.24 中川 雅之 記者



一般社団法人「Colabo」代表の仁藤夢乃氏

一般社団法人「Colabo」代表の仁藤夢乃氏

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.24)






 困窮状態にある10代の女の子を中心に支援活動をしています。

 中身としては大きく分けて4つあって、1つ目が夜間巡回と相談事業。

 夜の街を歩いて、ひとりでいる女の子とか、帰れずにいる少女たちと

 出会うような活動と、全国から寄せられる相談に対応します。


 手法は様々で、直接会うこともあれば、LINEや電話を通してということ

 もあります。やっぱり本人たちになじみのあるツールからの連絡は多い

 ですね。


 活動の2つ目が、食料面での支援です。これにはとても力を入れていて、

 一緒にご飯を作って食べたりするような場所や時間を持つんです。本当に

 貧困状態の子は、今日食べる物がないとか、誰かと食卓を囲んだ経験が

 ないということが多い。ネグレクト(育児放棄)とか虐待を受けているケース

 も珍しくありません。


 3つ目が、「ユーススタッフによる活動」と呼んでいるんですが、うちが支援

 している当事者の女の子同士がつながって、何かイベントを企画したり、

 大人に向けてメッセージを発信したりするような活動を促しています。


 4つ目が啓発活動ですね。講演とか、大人向けの夜の街歩きスタディとか。

 街歩きでは、女の子たちがどういうところでどんな危険に遭っているのか、

 具体的にそれを見るようなツアーをやります。中学や高校でもよく話をします。

 

  (「福祉行政は風俗産業に敗北している」
  「元・難民女子高生」が語る支援の不備
 から)



仁藤さん自身、渋谷で路上生活者の経験があるそうです。



 高校時代、約10年前になりますけど、渋谷をさまよう生活

 をしていました。親が鬱になって家庭が崩壊して、両親は

 「離婚するけどどっち選ぶ」とかそんな状況になって。

 家に居場所がなくなったんです。


 私の頃だったら、まだ漫画喫茶に入れたり、居酒屋にも

 入ろうと思えば入れた。だけど今は年齢確認などの規制が

 厳しくて、入れるところ、たむろできる場所がほとんどなく

 なりました。

 渋谷なんか、夜いたらすぐ補導されますからね。
 

  (同上)




現在では、スマホの普及で外形的に見えにくい
状況で犯罪に手を染めることが増えているそうです。



 今、みんなアプリで出会うんですね。誰と連絡しているか、

 周りの人に全く気づかれずに泊まるところを探せる。

 逆に彼女たちを狙う大人側も、人目につかずに直接個人に

 アプローチできるようになっちゃったんですね。昔は街で声を

 かけるしかなかったのが、何々高校とか調べるだけで、無数

 に出てくる。
 

  (同上)



驚くべき実態が語られています。
行政機関はどのような対応をしているのでしょうか?



 問題なのは、補導した後にサポートにつなぐとか、そういう視点

 が欠けているんです。見つけた女の子にただ注意して、親と学校

 に連絡して終わりです。親からの虐待を背景に売春している子

 などは本当に多い。それに対して「親にばらす」という行為は、

 解決にならないどころか事態を悪化させることにしかならない。


 4月に施行される「生活困窮者自立支援法」でも伴走型支援という

 のが言われていますが、それを聞いた時に、これ、スカウトがずっと

 やってきたことじゃんと思ったくらいです。現状、福祉行政や支援者

 の活動は、そうした夜の世界の提供するものに負けているんです。

 福祉とか支援の敗北ですよ。
 

  (同上)


問題の根が深いと感じますね。
まだまだ続きがありますが、ここで終わりにします。


インタビュー全文をお読みになりたい場合は、
「日経ビジネスオンライン」
に無料登録してください。


日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp




今特集のキーワードをこちらでした。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 






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2000万人の貧困 必要なのは「福祉」より「投資」 2015.03.16 <2>


弁護士法人村岡総合法律事務所




日経ビジネスの特集記事(100)

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」
2015.03.23



今週の特集記事のテーマは

昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。
しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された
富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。
月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。
後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。
福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た
 (『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.024)

ということです。




2000万人の貧困<br />必要なのは「福祉」より「投資」

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




「1億総中流」と言う言葉は消滅しました。
3%の富裕層と97%の非富裕層に2分されました。


ちなみに、「富裕層とは年収3000万円以上で、かつ
金融資産を1億円以上所有している人」という定義が
あるそうです。


さて、今特集は「2000万人の貧困」です。
日本人の6人に1人が貧困層ということになります。
この数字はとても信じられないことのように感じますが、
『日経ビジネス』を読むと、あながち大げさな数字では
ないことに気づきます。


決してブラックユーモアではありません。
これからは、「私は貧困層ではない!」とは断言でき
なくなります。




第1回は、
「PART 1 普遍化した困窮
介護、リストラ 『まさか自分が』」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う 


再度、相対的貧困率を確認しておきましょう。



 相対的貧困率
 
 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、

 ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で

 使われる。その国の貧困や格差の状況を

 表す指標の一つ。年収が全国民の年収の

 中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
 

  (P.025)



日本は決して天然資源が豊かな国ではありません。
ですが、人的資源は豊富な国に属します。
ただ、人的資源を十分に活かしきれていません。


さらに、国は国民の教育に欧米並みの比率でお金を
出していません。ごく一部の優秀な人たちだけを官僚
にして政策を立案し、実行すれば国は回っていくとでも
考えているのでしょうか?


国民はバカのほうが都合がいい。政策を遂行しやすい
から。まるでそのような印象を受けます。
国民が賢くなると、官僚や政治家たちの行うことにいち
いち反対したり、選挙で酷い目に遭わせるからでしょうか?


「教育は等しく受ける権利がある」と憲法で保障されて
います。


ですが、今、教育を受ける権利が不平等に扱われています。


実態を見てみましょう。


 武上順子さん(仮名、42歳)の場合 



 「都立の最難関中高一貫校に息子が合格」。今春、ほとんどの

 親が大喜びするようなその一報を、武上順子さん(仮名、42歳)は

 心から喜べなかった。同校では入学金や授業料はかからないが、

 発展的な学習のための自己負担分として、中学校に相当する

 「前期課程」の3年間に約80万円を納付する必要がある。

 だがシングルマザーの彼女は、それを支払うことができない。
 

  (P.032)



思いがけないほどに大きな負担額を知り、落胆してしまった
のです。難病を患う以前であればなんとかやりくりできたかも
しれません。



 彼女自身は大学院を卒業し、民間団体の正規職員となった。

 だが2010年に免疫力や筋力が低下する難病を患い、

 働くことができなくなる。ほどなく解雇され、現在は障害厚生

 年金や児童手当などで生活している。収入は年400万円に

 なるが、医療費や家賃を払うと月々の収支は赤字ギリギリだ。

 中学2年の娘と小学6年の息子がいる。病気になる前の年収は

 500万円ほどで、子供にはバイオリンやサッカーを習わせていた。

 だが続けさせることができなくなり、やめさせた。
 

  (P.032)



奨学金制度の仕組みに欠陥があり、「こちらが立てばあちらが
立たず」という厚い壁に阻まれます。息子さんが必死に勉強し、
合格したにもかかわらず、「武上さんの心は沈んだ」のです。
なぜでしょうか?



 合格後は必死になって助成を探した。だが中学進学を対象と

 した奨学金制度はほとんどない。逆に、通常の公立中学に

 進めば受けられる「就学援助費」が、合格校に行くと大幅に

 カットされることが分かった。「困窮者の子供は、努力しても

 区立中にしか行けないということか」。武上さんの心は沈んだ。
 

  (P.032)



武上さんの現在の心境は、次の言葉に集約されます。



 「子供の希望を壊したくない。(中略)今回は、小学生の子供が

 自分自身の手でつかんできた希望なのです」。
 

  (P.032)


後日談がありまして、世の中には見返りを求めない立派な
人がいることを知ります。



 冒頭で紹介した武上さんは、「匿名の個人」からの15万円の

 寄付で入学のめどは立った。だが通い続けるには、やはり

 奨学金も必要だ。
 

  (P.036)



『日経ビジネス』は「貧困の連鎖」の危険性を指摘しています。



 貧困状態の子供が増えていることはそれ自体が問題だが、

 単身成人者の貧困が増えるよりも重い課題として受け止め

 られることが多い。

 貧困状態の子供はたとえ才能に恵まれても、十分な教育を

 受けにくい。国をけん引する優秀な人材が減少することに

 なるだけでなく、成人した後も低所得層を抜け出せずに次の

 世代も困窮するという「貧困の連鎖」につながりやすいからだ。
 

  (PP.032-033)



次のグラフをご覧ください。


日本は教育費の家計負担が重い<br />・教育費に占める家計の支出割合

日本は教育費の家計負担が重い
・教育費に占める家計の支出割合

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




学費は増加の一途

学費は増加の一途

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




東大生の親の7割は年収750万円以上<br />・東大生の親の年収分布(2012年)

東大生の親の7割は年収750万円以上
・東大生の親の年収分布(2012年)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




以上3つのグラフから分かることは、教育費に占める家計の
支出割合は3割を超え、学費は増加の一途で、高等教育を
受けるためには、親が高収入であるほうが有利である、と
いうことです。


つまり、親の収入の多寡が子供の教育の格差を生み、
さらに拡大させるということです。


あなたはこの現実をどう考えますか?
「仕方がない」「当然のこと」「教育を受ける機会の不平等だ」
「国は教育にもっと力を入れるべきだ」など、いろいろな意見
があると思います。


100人が100人大学進学の必要はない、手に職をつけたほう
が食いっぱぐれがない、という選択肢もあるでしょう。
ただし、技術の進歩は急速で、一度身につけた技術が「無用
の長物」になるリスクを常に考えておく必要があります。


技術革新によって、今までデファクトスタンダード(事実上の
標準)であったことが、新たな製品や製造方法などに取って
代わられ、使いものにならなくなるケースは枚挙に暇があり
ません。普段から情報収集や勉強は欠かせません。


ですが、現在、最大の問題は別のところにあります。



 現在の最大の問題は、教育にそれだけの投資をしても、

 それに見合うリターンを得にくくなっているということだ。

 我々はその現実を直視すべき時に来ている。
 

  (P.034)



奨学金を何とか得ることができたとしても、社会人になって
から返済しなくてはなりません。これが生活してく上で、
相当な重石になります。



日本学生支援機構のケースで見てみましょう。



 奨学金の返還は決して一部の人に関わる問題ではない。

 日本学生支援機構の年間貸与額は2014年度予算で

 1兆1745億円と10年前の1.8倍に拡大。貸与人数も

 141万人と1.7倍に増えており、2013年度の実績では

 大学生の2.6人に1人が奨学金を受けていることになる。

 同機構の遠藤勝裕理事長は「一部の人が大学に行く

 時代ではなくなり、奨学金は社会の根底を支えるインフラ

 になった」と話す。一方で、「4割が非正規雇用という状況

 では、大学に行けばいい職があるというのはイリュージョン

 (幻想)」
 

  (P.034)



下のグラフをご覧ください。日本学生支援機構の貸与状況
を示していますが、年々増え続けています。貸与額増加に
伴って、延滞額も右肩上がりで増えています。


奨学金を得た人たちが返済に苦労している様子が見て
取れます。




増加する学生の「借金」
・日本学生支援機構の貸与状況

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




私が大学を卒業した1978年、つまり1980年前後と、
2013年の大学授業料を比較して、『日経ビジネス』は
次のように述べています。高騰していることが分かり
ますが、ここまで学費が上がっているとは信じられま
せんでした。



 大学進学の家計負担は明らかに高まっている。

 今の大学生の親世代が学生だった頃の1980年前後は、

 文系国立大の年間授業料は約18万円。私立では約30

 万円。それが2013年は国立で53万5800円、私立で72万

 9764円に膨らんだ。消費者物価指数(総合)は2010年を

 100とした時に1980年は77.2で、授業料ほど大きな変動は

 ない。

 それにもかかわらず、大学の在籍者数は大幅に増えた。

 近年こそ少子化の影響もあり減っているが、文部科学省の

 「学校基本調査」によれば2014年度の大学在籍者数は

 約285万人で、1980年に比べ約100万人増えている。
 

  (P.034)


大学によっては定員割れのところもあり、「大学全入時代」
と言われることもあります。一方、募集人員よりも受験者数が
何倍も多く、競争が激化している大学もあります。


『日経ビジネス』はこうした風潮に対して、次のような提言を
しています。


 大学での高等教育が、すべての人材に必要なわけではない。

 大学での能力開発にも課題はある。大企業中心に根深く

 残る学歴偏重の採用方式の改革も含めて、多様な選択肢を

 選べる社会を目指すべき時ではないだろうか。
 

  (P.035)



情報源が少ないため、どうしても他人と同じ行動を取ることが
多いのは、私たち日本人の特質の一つかもしれません。


次のケースは、そうした日本人の特質の一つの典型と言えます。



 「仕事はあるのに、日本人は来ない。みんな大学に行って、

 高卒のいい人材も減った。もう新卒採用は諦めたよ」

 3次元鉄骨などを生産する鈴木鉄興(千葉県匝瑳[そうさ]市)

 の鈴木正一郎社長はそう話す。東日本大震災の復興や東京

 五輪の需要で、建設関連産業は恒常的な人手不足状態にある。

 特に溶接工など技術者の不足は深刻で、熟練者なら年収1000

 万円を得る人も珍しくない。

 鈴木鉄興でも、30歳前後の技術者なら「年収は低くても500万円」

 と言う。地域の物価も考えれば、余裕をもって暮らせる水準だ。

 残業もほぼなく、夕方6時にはたいてい家に帰れるとする。

 だがそうした条件でも、ホワイトカラー志向を強める若年層は同社に

 見向きもしない。
 

  (P.035)



そこで、鈴木鉄興が人材を集めるために行っているのは、
「外国人の技能実習制度」だそうです。
解説を読んでみましょう。



 やむなく利用し始めたのが、外国人の技能実習制度だ。

 同制度は新興国などの人材に国内の企業で一定期間

 働いてもらうことで、知識や技術を習得してもらう制度。

 国際貢献の一環との位置付けだが、実際には海外の

 安価な労働力で国内の人材不足を補うという側面がある。

 受け入れた企業が不当な待遇で実習生に過酷な労働を

 強いるケースがたびたび報じられ、在留期間中の実習生

 の失踪も問題となっている。
 

  (P.035)


不当に安い賃金で雇い入れる企業があり、国際問題化して
いる負の側面もあります。


労働力不足に苦悩する現場としては、介護も同様だそうです。
低賃金で過重労働を強いられる介護は、なかなか人が定着し
ません。肉体的疲労に加え、精神的ストレスが蓄積しやすい
労働環境と言えるかもしれません。


そのような労働環境改善のため、先ごろ、政府はルールの
変更を行いました。ですが、そのルール変更は介護に直接
携わる人にとって朗報かもしれませんが、介護施設の運営者
にとっては経営を圧迫する諸刃の剣だったのです。



 都内のある介護老人保健施設の施設長は、悲鳴を上げる。

 「こなす量が多すぎて、どんどん丁寧な仕事が難しくなっている」。


 政府は介護保険から介護サービス事業者に支払われる介護

 報酬の2.27%引き下げを決定。併せて介護職員の賃金を月

 1万2000円引き上げる方針を示した。内部留保をため込んでいる

 とされる一部の社会福祉法人などへ、圧力をかける狙いもある。

 同施設では賃金を満額引き上げると決めているが、介護報酬の

 引き下げは経営を圧迫する。施設長は「実入りが減れば風呂の

 機械が壊れても直せない。結局は職員の負担が増す」と話す。

 職員の負担増は、最終的にサービスの質の低下を招く。介護報酬

 は公定価格で、質の高いサービスを提供しても収入は同じ。
 

  (P.036)



大切な人材を「壊してしまう」ことにもなりかねません。
『日経ビジネス』は人材はとても大切なものと考えるべきだ、
として次のように語っています。



 人材はすべての産業の根幹を成す、国の最も基礎的な資本。

 一方向に偏りすぎているなら、適切に分散させる仕組みが

 求められるはずだ。
 

  (P.036)



人材はコスト(費用)ではなく、キャピタル(資本)であるというのが、
最近の経営学における考え方です。人材は消費するものではなく、
会社に価値を生み出すものと捉えるべきです。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




2000万人の貧困 必要なのは「福祉」より「投資」 2015.03.16 <1>


弁護士法人村岡総合法律事務所




日経ビジネスの特集記事(100)

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」
2015.03.23



今週の特集記事のテーマは

昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。
しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された
富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。
月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。
後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。
福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た
 (『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.024)

ということです。




2000万人の貧困<br />必要なのは「福祉」より「投資」

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




「1億総中流」と言う言葉は消滅しました。
3%の富裕層と97%の非富裕層に2分されました。


ちなみに、「富裕層とは年収3000万円以上で、かつ
金融資産を1億円以上所有している人」という定義が
あるそうです。


さて、今特集は「2000万人の貧困」です。
日本人の6人に1人が貧困層ということになります。
この数字はとても信じられないことのように感じますが、
『日経ビジネス』を読むと、あながち大げさな数字では
ないことに気づきます。


決してブラックユーモアではありません。
これからは、「私は貧困層ではない!」とは断言でき
なくなります。




第1回は、
「PART 1 普遍化した困窮
介護、リストラ 『まさか自分が』」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 普遍化した困窮
 介護、リストラ 「まさか自分が」 


まず、「相対的貧困率」とは何かについて、確認して
おきましょう。



 相対的貧困率
 
 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、

 ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で

 使われる。その国の貧困や格差の状況を

 表す指標の一つ。年収が全国民の年収の

 中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
 

  (P.025)


スタートページをご覧いただくと分かりますが、
2012年に相対的貧困率を子供の相対的貧困率
が逆転したことを示しています。


子供の相対的貧困率の急増の原因は何なの
でしょうか?


今特集を読んでいただくと、分かってきます。
子供たちの将来に暗雲が立ち込めています。




下の画像をご覧ください。
都内のインターネットカフェの内部を撮影したもの
です。



都内のインターネットカフェ。長期滞在を
想定しており、個室の外に利用者の
生活用品があふれ出している

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




私もネットカフェを利用したことがありますが、この画像を
一目見た時、違和感を覚えました。


それは、スーツケースやキャリーケースなどの生活用品
が扉の外の通路に置いてあったからです。
このネットカフェは長期滞在型のネットカフェだったのです。




 2010年に開業したこの店舗は、1日の滞在だと料金は

 2472円だが、30日以上の連続滞在なら1日当たりの

 利用料が1977円に割り引かれる。長期滞在者は店の

 住所で住民登録をすることができ、宅配便を受け取る

 ことも可能だ。別料金がかかるが、シャワーや洗濯機も

 置いてある。
 

  (P.026)



このネットカフェの驚くべき実態が明らかにされます。
長期滞在者にとっては、「駆け込み寺」となっている
のです。




 このネットカフェは、首都圏で4店を運営する。埼玉県の

 1号店は開業後すぐに満杯になり、1年半の間に2回も

 増設した。もう6~7年利用している人もおり、行政の

 窓口からの紹介で、グループの店を訪れる人も少なくない。

 新宿店も常時、9割方が埋まっているような状況で、経営は

 堅調だ。利用客のうち、およそ8割の人が1カ月以上滞在

 する長期利用者。客の男女比率は男性が6で女性が4。

 客の外出は自由で、スタッフが「お帰りなさいませ」

 「行ってらっしゃい」と声をかける。
 

  (P.026)


寝る場所を確保するために存在する、と言っても過言では
ありません。「客の男女比率は男性が6で女性が4」という
比率にも現代日本の世相を反映しているのです。


路上生活者を目にすることは少なくなりましたが、ネット
カフェに逃げ込む人たちがいるという実態が浮かび上がっ
てきます。


しばらく前までなら、女性がこのような場所に長期滞在する
ことは考えられなかったことです。背に腹は代えられない、
ということなのでしょう。



このような長期滞在型ネットカフェを利用する動機はどの
ようなものなのでしょうか?


 利用動機は様々だ。地方からの出稼ぎ労働者や出張者、

 リストラされた身寄りのない高齢者、定職を持てない若者。

 共通するのはただ1点、寝床を確保するための費用を少し

 でも抑えたいということだ。
 

  (P.026)



老若男女を問わず、この店の個室に潜り込んでいるのです。
個室だけが自分の「居場所」と考えているのかもしれません。


私の想像ですが、ネットカフェ住民の中にはインターネットを
使い、ブログで情報発信したり、アフィリエイトで収入を得て
いる人たちがいるのではないか、と考えています。


ただ、ある程度の収入を得ても、莫大な収入であるはずがなく、
ネットカフェ利用料の支払いに充てられるだけに費やされること
でしょう。


できればここから出たいと心の底から願っている人たちは、
間違いなくいるはずですが、さてどこへ行ったらよいか思案に
暮れることでしょう。


賃貸物件となれば、家賃だけでなく、水道光熱費も発生します。
金額は馬鹿になりません。そのようないろいろなことを考えると、
ネットカフェを出ることに二の足を踏むことになるでしょう。
とりわけ、高齢者ともなれば、より一層厳しい現実に直面します。




 頭の片隅には「ここを出ても、自分で光熱費なども負担し

 なきゃいけない。ここのスタッフは良くしてくれるし、

 居心地は悪くない」との思いもある。一人暮らしを始めても、

 それは生活の“改善”なのか。新しい生活を始めようとする

 エネルギーは、強くはない。

 長期滞在を可能にしているネットカフェは、経済的な困窮者

 を標的にしているとして、「貧困ビジネス」と呼ばれることが

 ある。だが勤めていた保険会社にリストラされ、2カ月以上

 滞在する50歳の男性は、「こういう店があって助かる。

 なければ、24時間営業のファストフード店で邪険にされるか、

 野宿するしかない」と話す。困窮者の受け皿という側面が

 あるのは確かだ。
 

  (P.027)



ここで「相対的貧困率」が登場します。



 厚生労働省が2014年7月にまとめた国民生活基礎調査に

 よれば、日本の「相対的貧困率」は2012年時点で16.1%

 だった。相対的貧困率は、その国で一般的とされる水準の

 生活が送れない層を測る指標の一つ。調査時点の日本の

 場合、税金や社会保険料などを除いた可処分所得が年

 122万円に満たない世帯の割合を示している。

 換言すれば、月に10万円と少し以下のお金で暮らす人が、

 日本には約2000万人、およそ6人に1人いるということになる。

 この相対的貧困率は、1985年の12.0%からほぼ一貫して

 増加しており、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の

 中でも高水準にある。
 

  (P.027)



こうした実態を知ると、日本はもはや経済的に豊かな先進国
ではない、と認めざるを得ません。


こうした問題が深刻なのは、次の理由によります。



 貧困は今も確実にこの国を侵食し続けている。存在する場所が

 路上からネットカフェ、社会福祉法に規定された「無料低額宿泊

 施設」、または普通の家庭の中に移り、見えにくくなっただけで、

 着実に広がっている。
 

  (P.028)



増大する貧困の根本的原因は大きく分けると、6つあります。
1. ひとり親
2. 教育費膨張
3. 非正規雇用
4. 精神疾患
5. 親の介護
6. 医療費膨張



増大する貧困の落とし穴(1)

増大する貧困の落とし穴(1)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.028)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号


増大する貧困の落とし穴(2)

増大する貧困の落とし穴(2)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今や、若い人なら働き口があるという時代ではありません。
まして中高年ならなおさらです。


 34歳男性の場合 



 10年ほど前に父親が要介護となり、その父が亡くなった

 1年後に今度は母親が介護状態になった。男性は父が

 介護を必要とする直前にそれまで勤めていたNEC系列の

 子会社を離れ、時間の融通の利く派遣社員として働き

 始めた。収入はそれまでの3分の1以下に減少。今は母親

 の年金収入と合わせ、月に20万円強の収入でやり繰りして

 いる。

 自宅は実家だが、父の介護が必要になった際にバリアフリー

 に改修しており、そのローン返済で収入の半分が消える。

 母親の介護費用には月2万5000円ほどかかり、食費や光熱費、

 車の維持費などを払うと生活はギリギリだ。


 兄と2人の姉がいるが、兄は遠方で家族と暮らしており、近くに

 住む姉は平日昼の食事を介助してくれる。男性は34歳の時に

 離婚し、2人の子供は妻が引き取った。独り身の自分が親の

 面倒を見るのは当然との思いがある。


 「将来、自分の世話は誰がするのか」と考えると、気持ちが沈む。

 20代後半になったはずの自分の子供とは、ほとんど連絡を取って

 いない。
 

  (PP.028-029)


このような話を読むと気が滅入ってきますが、貧困を増やして
いる原因は「親の介護」だけではありません。
「非正規雇用」の拡大や、近年増加している「精神疾患(うつ病
など)」、さらに離婚率が欧米並みに増加した結果の「ひとり親」、
「医療費膨張」、そして「教育費膨張」があります。


なお、「教育費膨張」についてはPART 2の「問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」で詳しくお伝えします。




 若年層にもリスクは広がる。総務省の労働力調査によれば、

 非正規雇用者の人数は2015年1月に1989万人。正規雇用者

 が減少する一方で、1989年から1000万人以上増えた。役員を

 除く雇用者に占める割合も37.8%で、89年比ではほぼ倍増して

 いる。


 近年増しているリスクでは精神疾患もそうだ。医療機関を受診

 した精神疾患の患者数は2011年に約320万人(宮城県の一部

 と福島県を除く)と、1999年から116万人増加した。中でもうつ病

 など「気分障害」の患者数は95.8万人と、99年の44万人から

 急増している。気分障害は現役世代である30代後半から60代

 前半の患者数が多く、家庭の収入に大きく影響する。


 ひとり親という課題もある。「働いている大人1人と子供」という世帯

 で見ると、日本の相対的貧困率は2012年に54.6%。データがある

 OECD加盟国中、最悪レベルにある。ひとり親世帯は、半数が働い

 ても貧困水準を脱さない「ワーキングプア」なのだ。
 

  (PP.029-030)



最近とみに、生活保護不正受給がマスコミに取り上げられる
ことが多くなってきました。そのため、国は生活保護費の削減を
始めました。ですが、十分な生活保護が受けられなくなると、
困窮し犯罪に走ったり、自殺者が増加するという負のスパイラル
を加速させます。


ただし、下図のように生活保護費が年々膨張していることを考慮
すると基準の見直しは必要かもしれません。





(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




『日経ビジネス』(今回、1人の記者が文責となっています)は、
生活保護について次のように述べています。



 生活保護には、批判も根強い。「生活保護以下の所得しか

 得られない労働者の勤労意欲をそぐ」というものや、「金持ち

 の親が受給していいのか」などと、モラルの問題を指摘する

 向きもある。

 それに加えて、周囲の賃貸物件に劣る劣悪な条件にもかか

 わらず、生活保護の受給者から割高な住居費を受け取る悪質

 な事業者や、過剰な医療サービスを提供してその分の報酬を

 受け取る医療機関の存在も指摘されている。

 こうしたことから、政府は生活保護に含まれる「医療扶助」や

 「住宅扶助」を抑制する施策を検討している。厳しい財政状況を

 考えれば、不必要な支出を抑えることは当然とも言える。

 だが、生活保護が日本国民の生命と生活を守る「最後の安全網」

 であることを考えれば、必要な人に十分な支援が行き届かないこと

 があってはならない。先に紹介した「単身高齢者」や「ワーキング

 プア」といった、受給要件をほぼ満たす「予備軍」の存在を考えれば、

 保護費の総額が4兆円を超えるのは時間の問題だ。「いかに受給

 対象者を減らすか」という点についても、本腰を入れた対策が必要

 になっている。
 

  (P.032)



ここで、日本国憲法の3つの基本理念と、前文、
憲法第25条を確認しておきましょう。


安倍政権は憲法改正に躍起になっていて、3つの基本
理念さえ改正するか、解釈を変更しようとしています。
独断を許すことは、非常に危険なことです。


1. 国民主権(主権在民)
2. 基本的人権の尊重
3. 平和主義
前文
第25条


1. 国民主権(主権在民)


 国民主権のもとでは、主権は国民に由来し、国民は

 選挙を通じて代表機関である議会、もしくは国民投票

 などを通じて主権を行使する。その責任も国民に帰趨

 する。

 歴史的には、必ずしも君主主権と相反するものでは

 ないとされていたが、日本国憲法下の学説では君主

 主権を否定する原理であるとするものが多い。
 

   (国民主権 Wikipedia から



2. 基本的人権の尊重


 基本的人権とは、人間が、一人の人間として人生をおくり、

 他者とのかかわりをとりむすぶにあたって、決して侵しては

 ならないとされる人権のことである。すべての人間が生まれ

 ながらにして持つ。

 基本的人権は、生命、財産、名誉の尊重といったような個別

 的具体的な権利の保障へと展開することが多い。このため、

 体系化されているさまざまな権利を総称して「基本的人権」

 ということもある。
 

   (人権 Wikipedia から



3. 平和主義


 平和主義(へいわしゅぎ、Pacifism)とは戦争や武力行使や

 暴力に反対し、個人や組織や国家の紛争の解決を求める

 手段として、例外を認めない絶対的な非暴力・非軍事力により、

 平和の追求や実現や維持を求める思想のことである。


 日本国憲法前文および日本国憲法第9条についての解釈の

 一つとして、憲法第9条で規定される軍事力の不所持は、正当

 防衛や緊急避難も含めたあらゆる軍事力の保有と行使を否定

 した平和主義という解釈がある。


 一方で一旦自衛力を容認すると、なし崩し的に「自衛」の解釈

 が広がって、侵略戦争も「自衛」とされる危険がある。欧米諸国

 では侵略戦争とみなされている太平洋戦争は、戦中の日本では

 「自存自衛」のための戦争とされていた。
 

   (平和主義 Wikipedia から



前文


 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し

 われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、

 わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為

 によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、

 ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は

 国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は

 国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、

 かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、

 法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な

 理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に

 信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、

 平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと

 努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和の

 うちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視して

 はならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、

 この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たう

 とする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的

 を達成することを誓ふ。
 

   (日本国憲法 houko から



第25条
 


 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆

 衛生の向上及び増進に努めなければならない。
 

   (日本国憲法 houko から






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




次回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16 <3>


結婚相談所Bゼルム




日経ビジネスの特集記事(99)

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16



今週の特集記事のテーマは

相次ぐリコールに、タカタ製エアバッグの品質問題。
自動車各社が好業績を謳歌する中、ホンダは業績下方修正
に追い込まれた。
2009年に就任した伊東孝紳社長は拡大路線を突き進み、
その過程で急成長のゆがみが露呈した。
品質問題は氷山の一角にすぎない。
真の問題は、消費者を驚かせるような斬新な商品や技術が
出てこなくなったことだ。
本誌調査では、ホンダの革新的なイメージは
トヨタ自動車はおろかマツダや富士重工業より低かった。
このままでは「こんなホンダは要らない」と消費者にそっぽを
向かれてしまう。
今年6月に退任する伊東社長は自らの失敗を率直に認めた。
バトンを引き継ぐ八郷隆弘・次期社長は、集団指導体制で
再起を図る。
同質化から抜け出そうとするホンダの苦闘に迫った
 (『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.026)

ということです。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.026-027)





今特集では、『日経ビジネス』特集班がホンダに対して
相当厳しい見方をしています。
その態度は、批判するというよりも、むしろ叱咤激励と
解釈するべきです。


『日経ビジネス』特集班も、ホンダに復活してほしい、
と望んでいる様子が行間から滲み出ていました。


私も個人的に同感です。ホンダやソニーが元気に
ならなければ、他社に取って代わられるだけだからです。
伝統も実績もある2社が半分透明化して、消えかかって
いくことに耐え切れない人たちは多くいるはずです。


あなたは、日本からホンダやソニーが消えてなくなっても
何とも感じませんか?



今特集は、全3回でお伝えしていきます。


第1回は、
「Prologue 『革新』はどこに消えた」
「PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの 


前回、ホンダの改革のキーマンをご紹介しました。


キーマン全員が、常務から社長、専務に昇進し、
社内外に「八郷体制」を明確に示しました。
今後はチームで事に当たるということです。


経営陣は一新しました。
次は、実働部隊の番です。
経営トップが立案した戦略に基づき、実働部隊が
しっかり動くことが重要であることは、多言を要し
ません。


世界最大の自動車市場の中国で今、異変が起
きているというリポートからスタートします。



 世界最大の自動車市場、中国。苦戦を続けて

 きたホンダに「異変」が起きている。2013年9月

 に発売した3列シート6人乗りのミニバン「ジェイド」

 が、売れ行きを伸ばしているのだ。

 2014年12月の単月販売台数は7541台。1年半を

 かけて認知度を高めて販売台数がジワジワ増え、

 今や「シビック」など主力車種を上回る月も珍しく

 ないまでに成長した。


 「セダンしか売れない」と言われてきた市場で、

 ミニバンという新ジャンルを切り開こうとしている。
 

  (P.040)



中国市場で「ジェイド」を購入しているのは、どの
ような人たちなのでしょうか?
想像してみてください。



 ジェイドを購入しているのは「80后(バーリンホウ)」

 と呼ばれる、1980年代以降に生まれた一人っ子世代。

 「他人と違うものが欲しい」という自分ならではの

 価値観を大切にするタイプだ。
 

  (P.040)


一人っ子世代ですから、親は教育費をかけられますし、
ものを買い与えることができます。


現場のキーマンが登場します。
ジェイドの「開発を指揮した本田技術研究所主任研究員
の印南泰孝」氏です。


印南氏はこう語っています。


 「バーリンホウは従来の常識にとらわれず、

 自分の欲しいクルマを選ぶはず」
 

  (P.040)


その狙いはズバリ当たりました。


 実際、購入者の8割はバーリンホウ。

 狙いがズバリ当たった。

 「全員に受け入れられる必要はない。

 気に入ってもらえる人に選んでもらえばいい」。

 印南のチームが作り手として理想を追った結果、

 今やジェイドはホンダの中国事業において欠か

 せない存在となった。
 

  (P.040)



ジェイドの特徴について書かれています。



 ジェイドの最大の特徴は「超低床プラットフォーム」だ。

 足回りや床下部品の小型化を徹底し、高密度に

 部品を配置した。


 印南は「トヨタ自動車も日産自動車も10年間追い

 つけない」と豪語する。
 

  (P.040)


ホンダの創業者、本田宗一郎のスピリット(考え方)が
連綿と引き継がれていたのです。それは印南氏の
次の言葉に表れています。


「本田宗一郎が掲げたMM(マンマキシマム・メカミニ
マム)思想を追求できた」(P.041)


「人間が最大、メカは最少」と。
人間が主であり、メカは従であるべきだ、という考え方
です。その逆ではない。


ジェイドは今年2月に日本でも発売されたそうですが、
「日中以外の市場での展開も視野に入っており、
ジェイドの真価が問われるのはこれから」(P.041)です。



日本市場では、軽自動車の販売が上位を占めています。
ダイハツ、スズキ、ホンダの三つ巴の戦いが続いています。


そんな軽自動車市場にホンダは新車種を投入しました。
「Nボックススラッシュ」です。


このクルマは、ホンダが「自らの強みを否定する
ような新型車」(P.042)です。



 車幅が狭い軽自動車は車内空間を少しでも

 広くするために、背の高いワゴン型が人気だ。

 その人気を不動のものとしたのが、2011年に

 ホンダが軽自動車事業の再生を懸け投入した

 「Nボックス」だった。

 ところが、ホンダはその自らの強みを否定する

 ような新型車を作り上げた。それがNボックス

 の屋根をぶった切ったようなデザインのNボックス

 スラッシュだ。実際、全高は10cm以上も低くして

 あり、クーペのようなフォルムが特徴になっている。
 

  (P.042)


その結果、Nボックススラッシュは「目標の月間2500台
を大きく上回る販売を続けている」(P.043)そうです。
下図の右ページの一番上のルーフが赤いクルマが、
Nボックススラッシュです。


世界6極が独自モデル生む

世界6極が独自モデル生む

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.042-043)




イノベーション(革新)という言葉はよく耳にしますが、
語源はあまり知られていません。


「イノベーションの語源はラテン語で『in(内部)+
novare(新しくする)』」(P.044)だそうです。


では、ホンダのイノベーションとは何かということに
なります。『日経ビジネス』特集班は2つを考えています。


1つは企画力であり、もう1つは技術力です。


企画力は「新コンセプトで市場を作る」(P.044)ことです。
具体的には、二輪車「スーパーカブ」であり、
「オデッセイ」、汎用エンジン「Gシリーズ」、軽自動車
「Nボックス」です。(P.044)


技術力は「自ら切り開く新領域」(P.045)となります。
具体的には、自家用機「ホンダジェット」であり、
スポーツカー「NSX」、CVCCエンジンを搭載した
「シビック」、人型ロボット「アシモ」です。


ホンダがイノベーションを起こし、「市場を創出し
続けるための条件」(P.044)とは何かについて、
『日経ビジネス』特集班は次のようにまとめています。



 それは、ホンダが「挑戦者」の姿勢を持ち続ける

 ことだ。


 挑戦者であろうとするからこそ、一見困難でも

 王者と異なる道を選び、一点突破で状況をひっくり

 返す。
 

  (PP.044-045)





 Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律 


「ホンダにも製品の没個性という『ソニー病』のリスクがある」
(P.046)、と『日経ビジネス』特集班は問題提起しています。


ソニーOBの声を紹介しています。



 ソニーOBで技術経営に詳しい早稲田大学の

 准教授、長内厚は「ソニーと似た失敗パターン

 に陥る危険性がある」と指摘する。経営の安定を

 優先するために、「確実に消費者ニーズに応え

 ようと商品の“カド”がなくなる」(長内)。
 

  (P.046)


丸くなり、“尖った”ところがなくなってしまうということ
です。言い換えますと、大人になり老成し、若さを失って
しまうことを意味します。チャレンジしなくなってしまう
のです。無難な製品しか作れなくなってしまうと、ホンダ
の特徴は失われます。


つまり、ホンダOBで東京大学経済学研究科ものづくり
経営研究センター特任研究員の伊藤洋氏の言葉を
借りれば、「マツダを復活させたスカイアクティブの
取り組みは、本来ならホンダのお家芸。最近はホンダ
は改革でなく改善にとどまっている」(P.044)という
ことになります。


では、どのような取り組みが求められるかですが、
特集班は「他社との提携戦略も解決策の一つ」
(P.046)と指摘しています。


既に稼働しているケースがあります。



 ホンダジェットでは、エンジン開発で米ゼネラル・

 エレクトリック(GE)と合弁会社を設立し、

 実用化に大きく前進した。
 

  (P.047)



ホンダにあって他社にない強さとは何でしょうか?



 「組織」でなく「個」の意欲や執念を具現化する力は

 他社にない強さだ。

 ホンダならではの技術を他社にも供給して投資を

 回収し、また次に向かう。

 6極体制の狙いが「開発の各地域への“開国”」

 (常務の松本)なら、次の門戸を社外に開放しても

 いい。
 

  (P.047)


別の言い方をすれば、他社の技術も取り入れ、技術の
バーターの検討をしてもよい、と思います。


つまり、自前主義にこだわる時代ではない、と思うのです。


シャープの元副社長佐々木正氏は、そのことを「共創」
と表現していました。「コラボレーション(協働)」ではなく、
共に創るですね。協働よりもっと積極的に関わっていく
イメージでしょうか。


『日経ビジネス』特集班は、最後に次のように述べています。



 巨大メーカーが経営の在り方を変える中、「個」の力

 だけに頼るやり方では限界がある。社長の伊東が

 技術研究所トップを経験していない八郷を後任に

 選んだのも、成功モデルを新たに作るための不文律

 破りと言えるだろう。

 ホンダの革新的なイメージが薄れているのは、他社

 よりも期待値が高いことの裏返し。


 見るべきは過去ではなく未来。製品だけでなく経営

 にもイノベーションを起こせるか。挑戦するホンダの

 姿を、誰もが見たがっている。
 

  (P.047)



「挑戦するホンダの姿を、誰もが見たがっている」という
フレーズは、記者の気持ちの表れでもあるのです。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16 <2>


結婚相談所Bゼルム




日経ビジネスの特集記事(99)

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16



今週の特集記事のテーマは

相次ぐリコールに、タカタ製エアバッグの品質問題。
自動車各社が好業績を謳歌する中、ホンダは業績下方修正
に追い込まれた。
2009年に就任した伊東孝紳社長は拡大路線を突き進み、
その過程で急成長のゆがみが露呈した。
品質問題は氷山の一角にすぎない。
真の問題は、消費者を驚かせるような斬新な商品や技術が
出てこなくなったことだ。
本誌調査では、ホンダの革新的なイメージは
トヨタ自動車はおろかマツダや富士重工業より低かった。
このままでは「こんなホンダは要らない」と消費者にそっぽを
向かれてしまう。
今年6月に退任する伊東社長は自らの失敗を率直に認めた。
バトンを引き継ぐ八郷隆弘・次期社長は、集団指導体制で
再起を図る。
同質化から抜け出そうとするホンダの苦闘に迫った
 (『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.026)

ということです。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.026-027)





今特集では、『日経ビジネス』特集班がホンダに対して
相当厳しい見方をしています。
その態度は、批判するというよりも、むしろ叱咤激励と
解釈するべきです。


『日経ビジネス』特集班も、ホンダに復活してほしい、
と望んでいる様子が行間から滲み出ていました。


私も個人的に同感です。ホンダやソニーが元気に
ならなければ、他社に取って代わられるだけだからです。
伝統も実績もある2社が半分透明化して、消えかかって
いくことに耐え切れない人たちは多くいるはずです。


あなたは、日本からホンダやソニーが消えてなくなっても
何とも感じませんか?



今特集は、全3回でお伝えしていきます。


第1回は、
「Prologue 『革新』はどこに消えた」
「PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 悪夢の1年半
「チーム八郷」でホンダ作り直し 


前回、伊東孝紳社長が退任し、後任に八郷隆弘常務が
社長となることをお伝えしました。


このパートでは、「八郷体制」というべきキーマンたちによる
経営が決定しましたので、キーマンの顔ぶれと、
どのような戦略のもとに実践し、ホンダを作り直していく
のか、その道筋のあらましをお伝えしていきます。


併せて、「日経ビジネスオンライン」に特集班のメンバーに
よる関連記事が掲載されていますので、その中からいくつ
かご紹介します。


このことによって、雑誌とウェブサイトの相互補完がなされる
と考えています。



まず、次期社長に決定した、八郷隆弘常務(次期社長)
についてお伝えしていきます。

八郷隆弘(はちごう・たかひろ)次期社長


 八郷隆弘 次期社長(55歳)氏

八郷隆弘 次期社長(55歳)

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)





 2月23日、ホンダは今年6月に社長の伊東孝紳が

 退任し、常務の八郷隆弘が社長となる人事を

 発表した。6人の取締役のうち4人が交代し、

 経営陣は一新される。

 八郷は車体設計を中心に研究開発に携わり

 2代目「CR-V」などの開発責任者を務めた。

 2008年に購買部門に移った後、2011年に生産

 拠点の鈴鹿製作所長に就任。2012年に欧州

 子会社の副社長、2013年からは中国で生産

 統括責任者として、ホンダの不振が続いた市場

 の事業の立て直しを担当した。

 「6極体制」を実行部隊として作り上げてきた中核

 人材の一人である。
 

  (P.036)



『日経ビジネス』特集班によると、八郷氏は歴代社長と
異なる点があるということです。



 強烈なリーダーシップで知られる歴代ホンダ社長

 とは明らかにタイプが異なる。歴代社長が必ず経て

 きた技術開発会社、本田技術研究所(以下、研究所)

 社長の経験もない。
 

  (PP.036-037)



『日経ビジネス』には書かれていない事実が、「日経ビジ
ネスオンライン」上に掲載されていました。
八郷氏が記者会見の席で述べた印象を、3人の特集班
のうちの1人である広岡 延隆 記者がレポートしています。



 果たして、ホンダは変わるのか。会見では、八郷氏の

 一挙手一投足に注目が集まった。

 だが、八郷氏は「革新的な商品や技術を生み出し、

 世界6極体制をさらに進化させたい」と述べるなど

 伊東路線を踏襲する無難な答えに終始し、集まった記者は

 「肩透かし」を食った形となった。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




前任者の路線を踏襲する姿勢は、日本企業でよく見る
ことですが、グローバル企業であるホンダも同様なのか、
という印象を拭えなかったことが、集まった記者を落胆
させたのです。


ホンダが新車を投入しようとした矢先、リコール問題が
続けざまに起こりました。リコール処理に大わらわになった
ため、新車投入を先送りせざるを得なかったのです。
リコールに完全に足をすくわれた形ですが、根本的な原因は
社内体制に根ざしていたのです。


リコールの経過を時系列でたどってみましょう。



 ホンダの底力を見せるはずのフィットハイブリッドが、

 開発体制の深刻な欠陥を浮かび上がらせることに

 なる。

 1回目のリコールは発売翌月の2013年10月。

 「クルマが動かない」という連絡が販売店に相次いだ。

 ホンダが初めて採用したDCT(デュアルクラッチトランス

 ミッション)と呼ぶ部品の制御がうまくいかず、内部の

 歯車が噛み合わず発進できないケースがあった。

 同12月、ホンダは2回目のリコールに踏み切る。

 エンジン制御のソフト不良でエンストが起きる場合が

 あった。

 実はこの際、ホンダは「サービスキャンペーン」と呼ぶ

 措置も実施している。リコールほど深刻ではないが

 改善した方がよい場合に修理・改修する制度だ。

 その内容は、1度目のリコール対応では問題を解消し

 切れていなかった部分があるため、DCT制御ソフトを

 追加修正するというものだった。

 このキャンペーンが3回目(2014年2月)のリコール原因

 となる。制御方法が変更されたことで、DCTの内部部品

 が損傷するケースがあることが判明したのだ。この頃に

 なると、販売の現場では「怖くてフィットハイブリッドを

 お薦めできなくなっていた」(都内販売店)。その後も

 原因の異なるリコールを2回繰り返し、計5回となった。

 技術の全体像を掌握できていなかったことは明らかだ。

 背景には、ホンダの開発体制がハード中心主義から

 転換できていなかったことがある。
 

  (P.037)



やることなすことが裏目に出たのです。
個人的にも、このようなことを経験します。
やればやったで失敗し、やらなければ先に進めない
というどちらを選択してもうまくいかないケースです。


根本原因は、「部分最適」にあったのです。
部分部分がベストの状態であっても、組み合わせて
みると、不具合が生じることはよくあります。


俯瞰するという体制になっていなかったのです。
上空から全体を眺めると、どこに不具合があるのか
発見することができます。


英語の表現に bird's eye view (鳥の目で見る、鳥瞰図)が
ありますが、まさにそれです。
一方、地面にいて周囲がよく見えないことを worm's eye
view(虫の目で見る、仰視図)と表現します。


この2つは、全体最適と部分最適に当てはめて考えること
ができます。



5回のリコールのうち、DCTに関連するリコールが多い
ですが、他に「エンジン制御ユニットのプログラムの不良」と、
「電気ノイズ対策不足によるエンジン停止」(以上2件、P.038)
があります。


複雑系の考え方に、「全体は部分の総和よりも大きい」
というものがあります。相乗効果を指していますが、
全体最適は部分最適よりも上位概念である、と私は考えて
います。


クルマもあらゆる部分が電子制御されています。
コンピュータ化されているのです。


ご存じの通り、コンピュータはハードウェアとソフトウェアの
両輪があってはじめて動きます。ハードウェアの性能が
どんなに優れていても、ソフトウェアが貧弱であれば、
ハードウェアの性能をフルに引き出すことはできません。
その逆も真です。


米テスラ・モーターズは高級EV(電気自動車)を製造販売
しています。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、
EVのソフトウェアを書き換えるだけで、ハードウェアの
潜在能力を引き出すことができると語っています。


インターネット経由で、ソフトウェアをアップデートするのです。
まさに、コンピュータと同じですね。見かけはクルマでも中身は
コンピュータです。


そうした発想の延長線上に自動運転も見据えています。
自動運転で、グーグルと熾烈な競争を演じています。


尚、イーロン・マスク氏は、ロケット事業も手掛けていて、
NASA(米航空宇宙局)に高性能で低価格のロケットを
納入しています。



品質問題が解決しない限り、新型車の発売を見合わせる
という決断を下したのは、次にご紹介する福尾幸一専務でした。
社内では「ミスタークオリティー」と呼ばれているそうです。


福尾幸一(ふくお・こういち)専務


福尾幸一 取締役・専務執行役員(59歳) 氏

福尾幸一 取締役・専務執行役員(59歳)

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)





 昨年12月、ホンダの販売店に再度衝撃が走った。

 最高級セダン「レジェンド」の発売を予定より1カ月

 遅らせ、2月にすると通達があったためだ。しかし、

 それこそがホンダ再生への第一歩だった。


 決断したのは、専務の福尾幸一だ。4月に技術研究所

 の社長に就任する予定で、最大の危機にある開発体制

 のテコ入れを託された人物だ。4代目社長の川本信彦

 時代に始まった「桁違い品質」と呼ばれる品質向上活動

 の責任者として成果を上げ、社内では「ミスタークオリティー」

 と呼ばれる。
 

  (P.038)


上記の引用文の中で、「4月に技術研究所の社長に就任する
予定」と書かれていますが、日経ビジネスオンラインでは、
6月に技術研究所の社長に就任する予定」となっています。


日経ビジネスオンラインに記事が掲載されたのが、3月12日
です。本誌の原稿が書かれた日は、その前と考えられるため、
日経ビジネスオンラインの記述が正しいと思われます。



福尾氏の役割を「日経ビジネスオンライン」から引用します。



 福尾氏は研究所で「技術評価会」の委員長を務める。

 このポジションは研究開発工程における「門番」の役割

 を担う。

 クルマの企画、開発、生産、検査など各段階で、

 次のステップに進んで良いかどうかを技術の観点から

 チェックする。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




先述した「部分最適」に通ずる話をご紹介しましょう。
これも「日経ビジネスオンライン」からです。




 従来の開発手法は「縦割り」だった。

 クルマの心臓部を構成するエンジンやトランスミッション

 といった機構ごとに開発し、最後にまとめ上げていた。

 個々の機構ごとの完成度を高めるのには向いている体制で、

 組み合わせる場合の勘所がほぼ分かっている従来のクルマ

 開発においては合理的な選択だった。

 だが、新ハイブリッドシステムでは通用しなかった。

 7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)といった

 新機構を取り入れたのに加えて、それをソフトで複雑に

 制御する必要があったからだ。

 自動運転技術や電動化など、電子制御の割合は今後ますます

 増していく。新たな開発体制が必要となるゆえんだ。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




「福尾氏は4月からホンダ全体の品質改革担当を
離れ、研究所の経営に専念する」ため、「新たな生産
体制の構築を託されるのは、常務の山根庸史
氏です。


山根庸史(やまね・ようし)専務


山根庸史 取締役・専務執行役員(56歳) 氏

山根庸史 取締役・専務執行役員(56歳) 氏

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)



山根氏の経歴は「日経ビジネスオンライン」に詳細に書かれて
いますので、ご紹介しましょう。



 柔軟性を持つ新たな生産体制の構築を託されたのが、

 常務の山根庸史氏だ(6月以降は専務)。

 新たに生産部門の責任者となる。

 経験は二輪、四輪、中国、日本など担当してきた領域は

 幅広いが、ほぼ一貫して生産分野を担当してきた

 スペシャリストだ。

 ホンダは現在、国内の各工場の稼働率を維持するために、

 車種を相互に融通している。

 例えばフィットはどの工場でも生産できるため、

 寄居工場から狭山工場に一定数を移管している。

 こうした相互補完をよりグローバルに加速させるのが、

 山根氏の使命となる。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




上記の記述を踏まえ、山根氏の期待される役割を
補足します。



 需要地生産から、生産量の1~2割を迅速に輸出に

 振り向けられる「最適地生産」へと進化させること

 を期待されている。
 

  (P.039)



伊東孝紳社長が推進した「6極体制」は、今までの話
では、負の部分ばかりが取り上げれてきましたが、
「奏功した面もある」(P.039)と特集班は指摘しています。


そして、「その体現者が、常務の松本宜之」(P.039)氏です。


松本宜之(まつもと・のりゆき)専務


松本宜之 取締役・専務執行役員(57歳) 氏

松本宜之 取締役・専務執行役員(57歳) 氏

(『日経ビジネスオンライン』 2015.03.12)





 次期社長候補とも言われたが、八郷新体制で専務

 となり、4輪事業の最高責任者、四輪事業本部長に

 就く。品質改革担当も、福尾から引き継ぐ。
 

  (P.039)



「日経ビジネスオンライン」から松本氏の経歴をご紹介
しましょう。「四輪事業本部長に就く」のもむべなるかな、
と納得します。



 松本氏の経歴は華麗だ。開発責任者を務めた初代「フィット」は、

 小型車市場でホンダの地位を確固たるものにした。

 伊東社長が掲げた600万台の販売計画も、フィットを中心とした

 小型車で新興国市場を含め一気に数を稼ぐことを前提とした

 ものだ。


 松本氏は2013年4月、開発・生産のアジア統括責任者として

 インドに赴任した。インドに赴任後、「あっという間に開発」

 という合言葉で開発スピードの高速化を宣言。

 現地のローカル部品メーカーなどを巻き込み、2014年7月に

 発売した小型3列シート車「モビリオ」では、価格を約60万

 ルピー(約125万円)からとして現地の関係者を驚かせた。

 インドで圧倒的シェアを誇るマルチスズキの競合車種と

 ほぼ同程度の価格帯を実現したからだ。


 ホンダはインドネシアでも「モビリオ」を投入し、

 その効果もあって2014年のシェアはこちらも13%へとほぼ

 倍増した。

 世界6極がそれぞれ自立すると伊東社長が思い描いた構想は、

 インドやASEAN(東南アジア諸国連合)では実を結び始めている。

 松本氏はその実績を引っさげ、新体制の中核を担う存在となる。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




「八郷、松本、山根を貫くキーワードがある」(P.039)と
『日経ビジネス』特集班は指摘しています。



 八郷、松本、山根を貫くキーワードがある。「鈴鹿製作所」だ。

 松本は2009年4月から2年間。八郷は2011年4月から1年間、

 山根は2012年から1年間、軽自動車やフィットなど小型車を

 生産する鈴鹿製作所を経験した。

 偶然ではない。鈴鹿製作所こそ、6極体制における象徴的な

 存在だからだ。
 

  (P.039)



6極体制の狙いはどこにあるのでしょうか?



 6極体制の狙いは、各地域の開発・生産・調達の機能を

 一体化させ、自立させること。鈴鹿の成功を世界に広げる

 ことが、新経営体制の使命だ。
 

  (P.039)



「日経ビジネスオンライン」には次のように書かれています。



 拡大路線をとってきたホンダのひずみは、品質問題を

 契機に同時多発的に噴出した。

 社長の大号令だけで解決する問題ではなく、本質の

 部分から改革する必要がある。

 ホンダが重要部門に、それぞれの部門を知り尽くした

 エキスパートを配置した理由がここにある。

 彼らが抜本的にホンダを「作り直す」改革の過程では、

 当然のことながら様々な軋轢も出てくるはずだ。

 だからこそ、キーパーソンたちの能力を最大限に引き出し

 まとめ上げる能力が、新たなホンダのトップには求められる。

 「調整型」の八郷氏がホンダの次期社長となった意味は、

 そこにあるはずだ。
 

  (危機のホンダ、「いい人」が新社長の理由
 「チーム八郷」を支えるキーマンの横顔




私の個人的見解ですが、ホンダには「ワイガヤ」という
伝統文化が社内に根付いていました。


それが歳月を経るうちに徐々に廃れていき、
いつしか社内のあちこちに壁を作り、閉鎖的な体制に
なってしまったのではなかろうか、と考えています。
そこが問題の本質ではないか、とさえ思っています。


「ワイガヤ」を調べてみましたら、偶然にも「日経ビジネス
オンライン」の過去記事に、「ワイガヤ」について言及して
いるものが見つかりました。


ホンダについて扱った記事ではなく、スーパーコンピューター
「京」について書かれた記事です。



 ワイガヤとは、ホンダが開発した言葉で、「役職や年齢、

 性別を越えて気軽に『ワイワイガヤガヤ』と話し合う」と

 いう意味である。ホンダのオープンな組織文化を代表する

 コミュニケーションの方法として、読者の皆さんも一度は

 耳にしたことがあるだろう。
 

  (世界一を生んだ秘訣は、なんと「ワイガヤ」
  日経ビジネスオンライン 2011.10.19 北原 康富 氏)
  * 下線は藤巻隆





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 





最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16 <1>


結婚相談所Bゼルム




日経ビジネスの特集記事(99)

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16



今週の特集記事のテーマは

相次ぐリコールに、タカタ製エアバッグの品質問題。
自動車各社が好業績を謳歌する中、ホンダは業績下方修正
に追い込まれた。
2009年に就任した伊東孝紳社長は拡大路線を突き進み、
その過程で急成長のゆがみが露呈した。
品質問題は氷山の一角にすぎない。
真の問題は、消費者を驚かせるような斬新な商品や技術が
出てこなくなったことだ。
本誌調査では、ホンダの革新的なイメージは
トヨタ自動車はおろかマツダや富士重工業より低かった。
このままでは「こんなホンダは要らない」と消費者にそっぽを
向かれてしまう。
今年6月に退任する伊東社長は自らの失敗を率直に認めた。
バトンを引き継ぐ八郷隆弘・次期社長は、集団指導体制で
再起を図る。
同質化から抜け出そうとするホンダの苦闘に迫った
 (『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.026)

ということです。




こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」 2015.03.16

こんなホンダは要らない
抜け出せ「ミニトヨタ」
2015.03.16

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 PP.026-027)





今特集では、『日経ビジネス』特集班がホンダに対して
相当厳しい見方をしています。
その態度は、批判するというよりも、むしろ叱咤激励と
解釈するべきです。


『日経ビジネス』特集班も、ホンダに復活してほしい、
と望んでいる様子が行間から滲み出ていました。


私も個人的に同感です。ホンダやソニーが元気に
ならなければ、他社に取って代わられるだけだからです。
伝統も実績もある2社が半分透明化して、消えかかって
いくことに耐え切れない人たちは多くいるはずです。


あなたは、日本からホンダやソニーが消えてなくなっても
何とも感じませんか?



今特集は、全3回でお伝えしていきます。


第1回は、
「Prologue 『革新』はどこに消えた」
「PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 端こそ生きる道
市場は自ら作るもの」
「Epilogue ソニーの轍を踏むな
未来のために破るべき不文律」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 




では、本題に入りましょう!


 Prologue 「革新」はどこに消えた 

戦後生まれの日本を代表する企業といえば、
ソニーとホンダであることに異論はないでしょう。


現在、この2社はもがき苦しんでいます。
ヒット商品を生み出せず、2社の特長であった
革新性も失われています。


『日経ビジネス』特集班は、そんなホンダに焦点を当て、
特集記事を組みました。


ホンダの復活はあるのでしょうか?
ソニーを他山の石として、思い切った改革が望まれます。



日経ビジネスオンラインの読者(私も読者です)を対象に
「革新的な自動車メーカーはどこか」と尋ねてみたそうです。
その結果は――。



 1位のトヨタ自動車に及ばないのは、事前に想像が

 ついた。HV(ハイブリッド車)を普及させ、FCV(燃料

 電池車)「ミライ」の市販も始まった。圧倒的な収益力や、

 レーサーも務める社長の豊田章男の言動にも注目が

 集まる。外国人副社長や女性役員が誕生するなど

 話題性も抜きん出ている。

 ホンダはその次にもなかった。2位はマツダ、3位は

 富士重工業(スバル)。日本でクリーンディーゼル

 エンジンを普及させるなど、「スカイアクティブ」技術を

 搭載したマツダの新車はどれも話題になる。スバルも、

 「アイサイト」で自動ブレーキの先駆者としての地位を

 確立し、一気に存在感を高めた。それでも、ホンダが

 この2社の後塵を拝するとは、少し前には考えられな

 かったことだ。
 

  (P.028)



順位もさることながら、「その内容が深刻だ」(P.028)
と『日経ビジネス』特集班は指摘しています。
どんな内容なのでしょうか? 驚くべきことでした。



 ホンダの持つ「革新的」なブランドイメージについて、

 回答者の36%が「弱くなっている」とした。この比率は

 日系自動車メーカーの中で最も多い。

 その理由として、「革新的な製品が出ていない」(59%)

 が最も多く、「先進的な技術が出ていない」(54%)が

 それに次ぐ。
 

  (P.028)


一言で言えば、ホンダの個性の喪失です。
ホンダの強みが失われたということです。


さらにリコールが追い打ちをかけ、そうした複合的
要因が重なり、業績を低下させています。
「一人負け」(P.029)となったのです。




 2015年3月期、円安により自動車各社で過去

 最高益の更新が相次ぐ中、品質問題の対応や

 販売不振により業績下方修正を迫られたホンダ

 は一人負けとなる。
 

  (P.029)



深刻な危機は別のところにあります。



 ホンダならではの個性を失い、「ミニトヨタ」と化し

 つつある現実。このままでは、消費者が「こんな

 ホンダは要らない」とそっぽを向いてしまうだろう。

 それこそが、品質問題よりもさらに深刻な真の危機

 だろう。
 

  (P.029)



PART1では、6月に社長を退任する伊東孝紳(いとう・
たかのぶ)氏が、在任中の出来事を総括しています。
ホンダの現状に対する責任を認めた発言がありました。





 PART 1 最後に語った自負と悔恨
数値目標、言ったオレも悪い 



ホンダ社長 伊東 孝紳(いとう・たかのぶ) 氏

ホンダ社長 伊東 孝紳(いとう・たかのぶ) 氏

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.030)




伊東さんの発言部分は太字で示しました。



 ホンダ本社7階の役員フロア。インタビュー室に

 現れた伊東孝紳は開口一番、こんな発言を口にした。

 「被告席みたいだ」

 写真撮影のためテーブルの端に1つだけポツンと

 置かれた椅子を見て、ジョークを飛ばしたつもりだった

 のだろう。ただ、自らを「被告」と見立ててしまうところに、

 今のホンダが置かれた状況が端的に表れている。
 

  (P.031)



円安効果によって、自動車メーカーは軒並み最高益を
記録しました。ホンダだけ利益の下方修正を余儀なく
されました。



次の発言は、「世界同時不況の真っただ中にあった
2009年6月、前任の福井威夫氏から社長を継いだ
伊東氏が当時を振り返」(P.031)った時のものです。



 これは単なる不況ではなくて、世界経済の秩序が

 変わった時期だと僕は解釈した。それよりも前の

 自動車産業は先進国主導型、ホンダで言うと

 日米主導型で動いていて、結構売り上げも立って

 いた。

 ところが、世界同時不況で先進国の経済ルールが

 少しおかしくなって、相対的に言うと新興国が自ら

 主張する時代に変わったと認識した。
 

  (P.031)



そこで、伊東さんは世界市場を6つに分けます。



 これまで日本と北米に依存していた事業構造を

 改め、世界を6極(日本、中国、アジア、北米、

 南米、欧州)に分けて、それぞれの地域で市場

 ニーズに合った商品を迅速に投入できる体制に

 転換しようとした。
 

  (P.031)



そして、見かけ上は成果を上げてきました。
その間に、重大な問題は水面下に深く、静かに沈み
こんでいきました。重大な問題に誰も目を向けなく
なっていたのです。



 社長に就任した2009年度からの6年間で、伊東は

 ホンダの連結売上高を5割伸ばし、営業利益と

 純利益はそれぞれ2倍に高めた。

 
 その後も1ドル=80円を切る超円高や電力不足が

 続いたが、伊東が率いるホンダは粘り強く切り

 抜けた。
 

  (P.031)



拡大路線をひた走ってきた<br />・ホンダの世界販売台数推移

拡大路線をひた走ってきた
・ホンダの世界販売台数推移

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.031)




スピードの早さが、いろいろなところにひずみを
生み出しました。



『日経ビジネス』特集班が指摘するように、
「潮目が変わる出来事が起きた」(P.031)のです。


それは、伊東さんの「ある一言」でした。
真意とは異なっていました。ある一言が独り歩き
してしまったのです。



 2012年9月21日、伊東は2016年度までの中期経営

 計画を発表した。その中で「先進国での事業の

 盤石化と新興国での飛躍的な成長により、全世界で

 600万台以上の販売を目指します」と言い切った。
 

  (P.031)



「600万台」という数字が、社内外で独り歩きしたのです。




 数値目標ではないと最初から言ったのにもかか

 わらず、世間には間違って伝わってしまった。

 我々は世界6極で、それぞれの夢を語ろうとずっと

 言ってきた。そのためには、これぐらいの時に、

 これぐらいのシェアで認知度を高め、これぐらいの

 お客様の信頼を得て活動したいという夢を足すと、

 たまたまあの時点で600万台だったということなんです。
 

  (P.032)



ただ、社内では夢とは捉えられませんでした。
目標数値として捉えられたのです。
何としても達成しなくては、という空気が出来上がった
のです。ですが、実現可能な数字とは言えません
でした。



 伊東は「夢」を語ったつもりだったが、周囲はそう受け

 止めなかった。最も影響を受けたのは、ホンダ社内

 だった。中計を発表する直前の世界販売台数は

 248万台(2011年度)。それをわずか5年の間に2.4倍

 にしようという野心的な夢が突然上から降ってきたのだ。

 チャレンジ精神は今もホンダの社内に脈々と受け継が

 れてはいるが、大きすぎる夢に現場は当惑したに違い

 ない。
 

  (P.032)




利益ではリーマン前の水準に回復せず

利益ではリーマン前の水準に回復せず

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.032)




「ホンダは今年度、国内販売台数の目標を過去最高の
103万台に設定していたが、当初から『無理筋』という
声が社内からも上がっていた」(PP.032-033)そうです。


結果は惨憺たるものでした。




 結局、消費増税の反動減と度重なるリコールに

 よって国内販売は伸び悩み、2度の下方修正を

 経て販売計画は前年度割れの82.5万台になった。

 外部のサプライヤーや販売店はそのたびごとに

 振り回された。

 600万台という数値目標が独り歩きした結果、

 様々な弊害が出た。こうした本誌の指摘を、

 伊東は「言ったオレが悪い」と素直に認めた。
 

  (P.033)



伊東さんはこのように語っています。



 やっぱり、ホンダらしいと思っていただけるような

 商品や技術、商売のマネジメントができている

 かというと、そこはちょっと弱いかもしれない。
 

  (P.033)



さらに、ブランドイメージがぼやけてきているとの
認識もしています。



 やらなきゃいけないのはユーザーに分かりやすい

 ブランドイメージを打ち出すこと。それをどうやって

 こなしていくかというのは大きなテーマになって

 います。
 

  (P.034)



セクショナリズムが社内で拡大した感も否めません。
新しいクルマを作るために、クルマのパーツごとに
縦割り組織となり、壁ができてしまったのです。


その辺りの件について、伊東さんは具体的に語って
います。



 エンジン、トランスミッション、それからクルマ

 全体のシャシーとあらゆる制御がスムーズに

 連続的に行われなきゃいけない。

 それがエンジンはエンジンの制御ブロック、

 トランスミッションはトランスミッションの制御

 ブロックと、開発する組織が分かれてしまって

 いた。

 反省を踏まえ、クルマという軸で全部をマネジ

 メントする開発体制をつくらなければダメだと

 思う。今年4月からその壁をなくす。制御において

 壁はあっちゃいけない。

 
 もともとホンダは「三現主義」、現場・現物・現実

 でやろうと言ってきたんだけれども、組織が大きく

 なって、階層が増えると理想通りとはならない。

 でも開発計画はトップで決まったものが現場に

 下りてくる。現場からのフィードバックを受け止める

 体制が弱かったと思うんですよね。
 

  (P.034)


ホンダは、知らず知らずのうちに、大企業病に罹って
いたのですね。自分の部署のことにしか関心がなくなり、
全体最適を考えず、部分最適に終始するようになって
いたのでしょう。


「茹でガエル現象」とも言えます。


 茹でガエル(ゆでガエル)、茹でガエル現象

 (ゆでガエルげんしょう)、茹でガエルの法則

 (ゆでガエルのほうそく)とは、ビジネス環境の

 変化に対応する事の重要性、困難性を指摘

 するために用いられる警句のひとつ。

 『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、

 もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。

 すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存する

 のに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに

 死亡する』

 およそ人間は環境適応能力を持つがゆえに、

 暫時的な変化は万一それが致命的なもので

 あっても、受け入れてしまう傾向が見られる。

 例えば業績悪化が危機的レベルに迫りつつ

 あるにもかかわらず、低すぎる営業目標達成を

 祝す経営幹部や、敗色濃厚にもかかわらず、

 なお好戦的な軍上層部など。
 

 (茹でガエル現象 Wikipedia から)




台当り利益でも他社に引き離された

台当り利益でも他社に引き離された

(『日経ビジネス』 2015.03.16 号 P.034)




伊東さんは、ホンダらしさについて語っています。
「提案力の強さ」にあると言っています。




 提案性の強さだと思う。ベーシックなところでは

 お客様に喜びを提供したいという思いがある。

 この喜びは、普通のものを普通に出していたんじゃ

 ダメだというのが原点にあって、今まで世の中に

 ないものや、あったとしても皆の想像を上回るもの

 を出す。一般的な期待よりもっと超えたところに

 挑戦していく。それが時々はヒットするけれど、

 外れることもある。そういうことをしていくことが

 ホンダらしさだ。
 

  (P.035)


伊東さんが指摘したことは忘れられていたものでしょう。
ただ、伊東さんが引き続きトップでホンダを牽引していく
ものと思われましたが、
「このインタビューから4日後、伊東は今年6月に社長を
退任すると発表した」(P.035)
そうです。


伊東さんは経営トップとして、最後にけじめを付けたい
と思い、『日経ビジネス』のインタビューに応じたのかも
しれません。


後継者の条件について次のように語っています。




 グローバル化の仕組みはできたけれど、それを

 身をもってうまく進めてくれるような体制が必要

 なんでしょう。それには時間がかかるし、壮大な

 テーマになる。
 

  (P.035)



つまり、一人のカリスマ経営者による経営ではなく、
「チーム体制」による経営を行なっていくということ
を指しています。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 革新の喪失 
 リコール 
 キーマン 
 市場は自ら作るもの 
 ソニー病 





次回は、
「PART 2 悪夢の1年半
『チーム八郷』でホンダ作り直し」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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地方創世 1122社調査で見えた 日本を救う子宝企業 2015.03.09 <3>


美容外科求人ガイド




日経ビジネスの特集記事(98)

地方創世 1122社調査で見えた
日本を救う子宝企業
2015.03.09



今週の特集記事のテーマは

あなたは会社の同僚や役員に何人の子供がいるか
ご存じだろうか。
普通は知らない。ましてや会社の平均子供人数は
知るよしもないだろう。
人口問題は日本の危機であり、政府も出生率向上を
政策でうたい始めた。
企業も育児政策の充実を競うが、子供の数はほとんど
把握していない。
まさに、大事な観点が抜け落ちている。
本誌は日本で初めて、ある企業に勤めると何人の子供
を持てるか調査した。
発覚した事実は、都会の大企業よりも地方の中小企業
が多数産めること。
特に東京の大企業では育児しない男性が少子化に
拍車をかけている。
子宝企業を増やすには、地方創世を通じて産める環境
の拡充が急務だ
 (『日経ビジネス』 2015.03.09 号 P.026)

ということです。




地方創世 1122社調査で見えた<br />日本を救う子宝企業<br />2015.03.09

地方創世 1122社調査で見えた
日本を救う子宝企業
2015.03.09

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 PP.026-027)






第1回は、
「PART 1 東京では1人しか産めない」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 特別対談 弘兼憲史×青野慶久
イクメンは出世しない!?」
「ドイツ現地ルポ
世界は『真剣』に男を育児に駆り立てる」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 『脱東京モデル』 コマツの挑戦」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 子宝率 
 男の育児(イクメン) 
 育児休暇 
 出生率 
 開業率 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 「脱東京モデル」 コマツの挑戦 


大手建機メーカーのコマツの主力工場は石川県
小松市にあります。それでもコマツは、日本を代表
するグローバル企業として活躍しています。


本社はまだ東京にありますが、本社機能を徐々に
小松市へ移しています。


そう言えば、ユニクロを展開するファーストリテイ
リングの本社は、まだ山口県にありますね。


長年、東京一極集中を解消しようというスローガンが
掲げられてきましたが、一向に解消に向かう気配は
ありません。


掛け声だけで、実践されてこなかったからです。
国の中枢機能が東京に集まっているため、企業も
より東京に近い場所に本社所在地を置いてきました。


今や、インターネットをはじめ、IT(情報技術)は格段の
進歩を遂げ、瞬時に情報が駆け巡る環境にあります。
むしろ玉石混交の情報の嵐の中で、確度の高い情報
の見極めや、情報の取捨選択の重要性が高まって
きました。


ビッグデータ解析が脚光を浴び、活用されつつあります。
データセンターは東京にある必要性は全くありません。
複数箇所に分散させておくことが重要です。一箇所に
何らかの不具合や、サイバーテロによる被害を被る
ことがあってもバックアップ機能によって、被害を最小限
に留めることが可能だからです。


まして、多くの企業からデータ解析を依頼されている
わけですから、ことは重大です。


つまり、情報に関して、物理的な距離はほとんど解消
されたのです。インターネット上に公開されていない
機密情報はもちろんあります。


それでも書籍などで情報を得ることは可能です。
公開情報だけでも、90%はカバーしていると指摘する
人もいます。別に東京でなくても良いのです。


「特定機密保護法」*の施行によって、国民が知りたい
情報に国が障壁を設け、アクセスできなくしている感は
否めませんが・・・。

* 


 特定秘密の保護に関する法律(とくていひみつのほごに
 かんするほうりつ)は、日本の安全保障に関する情報の
 うち「特に秘匿することが必要であるもの」を「特定秘密」
 として指定し、取扱者の適正評価の実施や漏洩した場合
 の罰則などを定めた法律である。通称は特定秘密保護法。
 秘密保護法、秘密法などとも呼ばれる。

 2013年(平成25年)10月25日、第2次安倍内閣はこの法案を
 国家安全保障会議の了承を経たうえで閣議決定して第185
 回国会に提出し、同年12月6日に成立、同年12月13日に公布
 され、2014年(平成26年)12月10日に施行された。
 法施行5年後の見直し規定を盛り込んだ。
 

 特定秘密の保護に関する法律 (Wikipedia から) 



以上のコンテクストの中で、コマツを、『日経ビジネス』特集班
は「脱東京モデル」と位置づけ、詳しく解説しています。
コマツに触れる前に、石川県のある町について伝えています。



 川北町と聞いても、一般の読者にはあまりなじみが

 ないかもしれない。だが、全国の行政関係者にとって

 は目下、垂涎の的とされる街である。理由は明快。

 人口が急速に増えているからだ。


 人口は1980年の4256人から足元で6307人と1.5倍に

 増えた。
 

  (PP.040-041)



私ももちろん、川北町と聞いても知りませんでした。
人口の急増には明確な根拠がありました。
早い時期から対策を講じていたのです。



 川北町の前哲雄町長は「国が地方創生と言う

 20年以上も前から子育て支援に力を入れた

 結果だ」と振り返る。転機は1984年に旧松下

 電器産業(現ジャパンディスプレイ)の工場誘致

 に成功したこと。税収で自主財源が増えると、

 地域の住民に還元するため、社会福祉政策に

 お金を次々と回し始めた。

 子供と高齢者の医療費は無料。水道料金は

 月間10トンまで無料。保育料と国民健康保険税

 は県内最低水準。


 もともと川北町の優位性は2つある。

 1つ目は、県内中心地の金沢市と工場地帯の

 小松市に近い点。車で15~30分あれば通勤が

 可能で、若い共働き世帯が目を付けた。

 2つ目は地形の特質。岐阜県境の白山から近場

 の手取川を経由して豊富な水を得られるため、

 周辺には有力製造業の工場が多数立地する。

 前町長は「就職先があるから福祉の充実につながり、

 移住を含めて若い人が増えた」と強調する。

 街中では農地から住宅地への転換が進んでいる。
 

  (P.041)



UターンやIターンという転職が一時流行ったことが
ありました。都市部に就職した後、数カ所転職し、
地元に戻るUターンと、地元に直帰するパターンです。


ただ、地元に戻ると言っても仕事があることが大前提
です。企業を誘致した川北町には就職先があるので、
「出稼ぎ」に出る必要がないのです。
さらに、近隣の市や町からの移住も加速することでしょう。
この点が大きいですね!


それと見落としてはいけない点は、国に頼らず川北町
は独自の政策を推し進めてきたので、ノウハウの蓄積
があり、成果を出していることです。





 コマツの場合 


さて、いよいよコマツについてご紹介していきましょう。
高学歴女子の採用や、地元で働きたいという若い人たち
の就職希望者が多いということは頷けます。


ですが、コマツも悩みを抱えていたのです。その解決策
として考案されたことがありました。



 コマツが大卒地域採用を始めた理由の一つが、

 東京本社と石川地区の女性の平均子供数に

 歴然とした差があると驚愕したからだ。

 東京0.7人に対し、石川1.9人――。

 30歳以上の既婚率も東京は50%だが、石川では

 90%に上る。子育てを巡る企業内格差が判明

 した。
 

  (P.041)


3月14日(ホワイトデー)に、北陸新幹線が開業しました。
金沢と東京が約2時間でつながることによって、コマツは
小松工場と東京本社間の人的交流が一層活発化し、
深化を遂げることでしょう。一社だけの話ではなく、日本
にとっても良いことです。




 コマツの社員研修を行う教育部門や購買部門も

 順次、東京の本社から石川に移した。

 地元採用を提唱したコマツの野路國夫会長は

 「ずっと工場で働きたい人も多いため、地域と

 グローバルを基準に採用を分けた」と話す。

 会社の競争力は「東京の本社ではなく、小松の

 現場。工場と顧客がつながっていれば無駄が

 一番ない」と言い切る。
 

  (P.041)



重要な点は、メーカーにとっては、「会社の競争力は
『東京の本社ではなく、小松の現場』」という視点です。
この言葉はとても説得力を持っています。


小松工場には海外からの顧客が工場視察に訪問する
機会が多いらしく、小松市で生まれ、関西の外国語大学
を卒業した女性が、英語で施設の説明をしているそう
です。こうしたケースは珍しくないようです。


トヨタが愛知県豊田市に「城下町」を形成し、関連企業や
下請け企業が集まっているように、コマツの周辺地域
には関連企業が集まり、城下町を形成しています。



 川北町に住む関さんが勤務する東亜電機工業は、

 コマツに部品を供給する企業の一社。小松市周辺

 はコマツの城下町として発展した経緯もあり、地元

 回帰の決断は雇用増大を通じ、域内の出生率上昇

 に寄与する公算が大きい。
 

  (P.042)




 出生率上位の10自治体 


コマツの野路会長が注目する地域があるそうです。
それは鹿児島県にあります。



 コマツの野路会長も注目する鹿児島県の徳之島は、
 
 3自治体がトップ10に入る子宝地域。高齢化に伴う

 人口減少という計算上の分母にも起因するが、

 まさに東京とは180度異なる生活環境が出生率を

 押し上げた。

 「ほぼ毎月、誰かの誕生日を迎える。皆で歌って

 遊んで楽しみますよ」

 出生率2.81と国内最高の伊仙町。12歳、11歳、9歳、

 6歳、5歳、3歳――。

 さらにおなかに7人目の赤ん坊を授かる西綾乃さん

 (40歳)はこう笑う。
 

  (P.042)



九州・沖縄の離島が高位に<br />・出生率の上位10自治体

九州・沖縄の離島が高位に
・出生率の上位10自治体

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 P.042)




「脱東京モデル」とはどのようなものなのでしょうか?
『日経ビジネス』特集班はズバリ、沖縄県だと断言
しています。


上表をご覧になるとお分かりになりますが、「出生率の
上位10自治体」のうち、実に50%の5つの自治体が
沖縄県にあります。




 人口減少への有力な処方箋になる「脱東京モデル」。

 先端を走るのは沖縄県だ。県別の出生率は29年連続

 で沖縄が全国首位に立つ。2014年は全国平均の1.43

 を0.51ポイントも上回った。

 市町村別で最も高いのが久米島町。同町の教育委員会

 に勤める宮里妙子さん(41歳)は4人の子育てと仕事を

 両立する。「実家が隣にあるし、近所も顔見知りですぐに

 助けてもらえる」という。
 

  (P.042)



地域社会づくりが重要だと教えてくれますね。
都市部では、近所付き合いが億劫になる傾向があります。
賃貸マンションなどで、隣人が誰だか知らなかったり、
室内で倒れていた場合、数週間もの間、誰にも気づかれ
なかったり、という話を見聞きしますね。




 高い開業率が出生率を底上げ 

開業率と出生率は一見すると、関係がなさそうですが、
実は深いつながりがあるそうです。



 政府が2014年に公表した中小企業白書によると、

 新しく開業した企業の数を地域にある会社で割って

 算出する数値は沖縄が10.4%と最も高い。新しい

 雇用が生まれやすい証しである。
 

  (P.043)



下の概念図をご覧ください。
このようなサイクルが繰り返されていくと、好循環が
生まれてくるのでしょう。




仕事があれば地方もよみがえる
・石川県や沖縄県が示す地域再生のイメージ

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 P.043)




官僚(世界的に知られる心臓外科医の南淵明宏氏は
奸計を弄すると言う意味で『奸僚』」という言葉を使って
います。『心臓外科医の挑戦状』 中公文庫 2008年3月
25日 初版発行 P.19)が考えるような、「ハコモノ行政」
ではこうはいきません。形だけ作って、中身がないからです。


「画竜点睛を欠く」とは少し意味が違うかもしれませんが、
物事の本質に目を向けないといけません。


「自調自考自動(自分の手足を使って調べ、自分の頭で考え、
自ら行動する)」ということがないからかもしれません。


規制を練り上げ、既得権益を保持し、在任中に天下り先を
せっせと作り出している官僚には無理かもしれません。
もちろん100人が100人そうだとは言いませんが。


そうした文脈で、川北町の前町長の言葉は説得力があります。



 政府は2015年度に地方創生の施策を本格化し、

 地域の再生を目指す。川北町の前町長は

 「きれい事を並べようが地域に仕事がないと始まらない」

 と正論を吐く。予算のバラマキ懸念もあるが、今回は

 少し長い目で地方活性化に腰を据えて取り組む好機。

 大企業の本社移転も促進する考えだ。

 石川や沖縄の例が示すように、仕事があれば、人は

 集まる。すると、子供が生まれる。地域が活性化すれば、

 さらに職が増える。こうした好循環のサイクルを幅広い

 地域に根付かせることが地方創生の一歩になる。

 脱東京モデルの萌芽は見え始めている。人口減の日本

 を救う可能性も十分秘める。
 

  (P.043)




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 子宝率 
 男の育児(イクメン) 
 育児休暇 
 出生率 
 開業率 


今回はかなり端折った部分がありましたので、分かりづらい
点があったかもしれません。
言い訳がましくなりますが、2月28日にブログを書くために
使っているノートPCが故障し、HDDの交換を済ませ戻って
きたのが3月12日でした。


約2週間、ブログの更新ができず、ただただ遅れを取り戻す
ことばかり考えていました。


まだ、復旧までには時間がかかりますが、一日でも早く元の
軌道に戻せるように努力しますので、これからもよろしくお願い
します。



藤巻隆






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地方創世 1122社調査で見えた 日本を救う子宝企業 2015.03.09 <2>


美容外科求人ガイド




日経ビジネスの特集記事(98)

地方創世 1122社調査で見えた
日本を救う子宝企業
2015.03.09



今週の特集記事のテーマは

あなたは会社の同僚や役員に何人の子供がいるか
ご存じだろうか。
普通は知らない。ましてや会社の平均子供人数は
知るよしもないだろう。
人口問題は日本の危機であり、政府も出生率向上を
政策でうたい始めた。
企業も育児政策の充実を競うが、子供の数はほとんど
把握していない。
まさに、大事な観点が抜け落ちている。
本誌は日本で初めて、ある企業に勤めると何人の子供
を持てるか調査した。
発覚した事実は、都会の大企業よりも地方の中小企業
が多数産めること。
特に東京の大企業では育児しない男性が少子化に
拍車をかけている。
子宝企業を増やすには、地方創世を通じて産める環境
の拡充が急務だ
 (『日経ビジネス』 2015.03.09 号 P.026)

ということです。




地方創世 1122社調査で見えた<br />日本を救う子宝企業<br />2015.03.09

地方創世 1122社調査で見えた
日本を救う子宝企業
2015.03.09

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 PP.026-027)






第1回は、
「PART 1 東京では1人しか産めない」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 特別対談 弘兼憲史×青野慶久
イクメンは出世しない!?」
「ドイツ現地ルポ
世界は『真剣』に男を育児に駆り立てる」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 『脱東京モデル』 コマツの挑戦」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 子宝率 
 男の育児(イクメン) 
 育児休暇 
 出生率 
 開業率 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 特別対談 弘兼憲史×青野慶久
イクメンは出世しない!? 


イケメンならぬイクメンという言葉が徐々に
広まってきました。


ただ、実際にイクメンとして育児休暇をしっかり
取得する男性は、まだごく少数です。


このパートでは、「昭和のエリートを描いた『島耕作』
シリーズの作者、弘兼憲史(ひろかね・けんし)氏」と、
「平成のイクメン社長、サイボウズの青野慶久
(あおの・よしひさ)氏」の対談を取り上げています。


いわば、旧型男性と、新型男性という好対照のお二人
の対談です。世代の違い、社会環境の違いが鮮明に
現れています。


私は、年齢的に弘兼氏に近いので、彼に近い生活を
送ってきました。


あなたがどちらの世代・考え方を支持するのか、
たいへん興味があります。


尚、コーディネーターは、ファザーリング・ジャパン
代表理事の安藤哲也氏が務めています。
いわば、第三者として公平・中立的立場からコメント
しています。


お三方は、旧型男性と新型男性、そしてレフェリーと
言ったところでしょうか。


「旧 対 新」の対決が見ものです!
ですが、弘兼憲史氏の開口一番の言葉は面白い
です。そして、「オチ」が秀逸です(笑)。


弘兼憲史(ひろかね・けんし)氏      青野慶久(あおの・よしひさ)氏

弘兼憲史(ひろかね・けんし)氏   青野慶久(あおの・よしひさ)氏



お二人の略歴をご紹介しておきましょう。

弘兼憲史(ひろかね・けんし)氏。
1947年、山口県生まれ。
松下電器産業(現パナソニック)を経て、
74年に漫画家としてデビュー。
代表作は『島耕作』シリーズ、
『黄昏流星群』など。


青野慶久(あおの・よしひさ)氏。
1971年愛媛県生まれ。
松下電工(現パナソニック)を経て、
97年にサイボウズを設立。
3児の父親であり、「イクボス」社長として
知られる。

(以上2件、『日経ビジネス』 2015.03.09 号 PP.034-035)


お二人とも松下(現パナソニック)出身なのですね。





 弘兼憲史(以下、弘兼)

 まず言いたいのは、僕は圧倒的にイクメン肯定派

 です。自分自身もイクメンでした。入学式や運動会

 などの行事にはほとんど参加しませんでしたが、

 家庭では料理など家事をひと通りこなしました。


 雑誌記事のタイトルが独り歩きしているだけで、

 育児世代を中心に誤解が生じているだけです。

 そもそも出世することが重要だとは思っていません。


 サイボウズ青野慶久社長(以下、青野)

 僕自身、今では「イクボス」社長なんて言われて

 いますが、『島耕作』の愛読者でしたし、どちらかと

 いえば古いタイプの考え方の持ち主でした。

 「男性は外で仕事をして、女性は家庭を守る」のが

 普通だと思っていました。両親もそうでしたし、

 知らない間に刷り込まれたのだと思います。


 弘兼

 個人的には、男性が家庭に入る「主夫」になる

 のもアリだと思っています。


 FJ安藤哲也・代表理事(以下、安藤)

 青野さんは育児休暇を取られた経験がありますが、

 心境に変化はありましたか。


 青野

 育児の大変さだけでなく、育児に参加しない男性に

 対する女性の不満も分かるようになった。

 「育児に非協力的な家庭は第2子を作らなくなる」

 という統計データがあるのですが、それも納得いく

 ようになりました。


 弘兼

 もう一度言いますが、僕自身はイクメンが増えること

 は良いと思っています。だけど、企業の経営陣はそれ

 を良いと思っているかどうか。育児のために会社を

 休む部下に対して良い気がしない上司もまだ多い

 でしょう。


 安藤

 僕は大手企業の管理職時代に似たような状況に

 直面しましたが、その際は仕事を選びました。

 僕がいないと、より厳しいなと思ったからです。

 


 安藤

 かつての日本は経済も右肩上がりでしたし、長時間

 働くことで成功してきた。でも今は違う。東京では

 30歳の平均年収が400万円を切る時代になり、

 妻にも働いてもらわないと生活が難しい。

 イクメンが良い悪いではなく当たり前の時代になって

 きている。


 弘兼

 多様性はあってしかるべきです。ただ「イクメン=正義」

 「モーレツ社員=悪」という図式になると社会に大きな

 溝ができてしまう。




 弘兼

 男性は育休を取ると、復帰した際に「自分の仕事が

 なくなるのでは」と思うでしょう。長年染みついた価値

 観はなかなか払拭できないからね。


 青野

 実は私自身、最初の育休を取った際にそう感じました。

 社長なのに。期間はわずか2週間でしたが、「戻ったら

 社長の椅子がなくなっているのでは」って不安になりました。


 弘兼

 残念ながらこれまでの日本では、家庭を大事にしている

 人は出世できなかった。プライベートを大切にする生き方

 は一つの人生としていいが、出世するのはやはり仕事人間

 だと思う。


 青野

 かつてはそれが正解でしたが、時代は変わってきている。

 僕自身、家事・育児を全くしていない男性管理職が多数を

 占めている会社に負ける気がしません。それを理解でき

 ない経営者が多いので、サイボウズにとってはある意味で

 チャンスです。




 青野

 育休を取る以前の私は、会社の中だけを考えていた。

 それが今は社会の様々な問題に気付き、会社の利益

 を追求するのでははなく、社会全体としてベストな意思

 決定ができるようになった。


 弘兼

 やっぱり多様性が重要になってくる。個人を尊重できる

 会社が生き残れるわけだね。人生は必ずしも出世する

 のが幸せかどうかは分かりません。大企業の重役に

 なっていても不幸な人は多くいるわけだし。




 安藤

 女性でも出産・育児を経験して企業に復帰するのは、

 仕事の楽しさを知っている人。成功体験がある女性は

 何があっても戻ってきます。


 弘兼

 女性は学生でも優秀な人が多いしね。大学関係者に

 聞いても、成績優秀者は女性ばかりだと耳にする。


 青野

 サイボウズは来年度、新入社員の女性比率が初めて

 男性を上回ります。エンジニアが採用の過半数を占める

 IT企業でもそういう現象が起きています。


 弘兼

 10人社員がいて全員社長になりたい、もしくは全員

 プライベートを優先したいタイプだと回らない。理想は

 10人中3人が社長を目指すタイプ、あとの7人は自分

 の生活を重視するタイプなら何とか回せる。採用など

 の工夫でうまく見極める必要がありますね。


 青野

 一度試してダメなら無理に変える必要はない。よく男性

 が家事や育児を手伝おうとすると女性から「私の職場

 に入らないで」と言われることがある。

 それで2人が幸せならいいと思います。

 一方で家事や育児をするチャンスがある、しかも女性が

 それを望んでいるなら、積極的に参加すべきでしょう。


 弘兼
 
 でも、子供からすれば父親に育児に参加してほしいと

 思っていない家族もあるのではないですか。我が家は

 そうだった気がします。


 安藤

 経験から言うと、子供はやはり父親が来てくれるのを

 待っています。


 弘兼

 では待たれない父親は、それまでがひどかったという

 ことだね。
 

  (PP.034-037)





 ドイツ現地ルポ
世界は「真剣」に男を育児に駆り立てる 


弘兼憲史氏と青野慶久氏の対談から分かったことは、
多様性を認めることと、時代は変わってきているという
ことです。


さて、日本と同じく、第二次世界大戦の敗戦国から復活
したドイツでは、育児に対する考え方はどのようなもの
なのでしょう。それがここでのテーマです。


「欧州最大級のソフトウェア会社、独SAPのケースを
取り上げています。


記事にざっと目を通してみると、「日本とはかなり違うな」
というのが第一印象でした。



 SAP本社は託児所を設けるなど子育て環境の

 整備に力を入れ始めており、上司の理解も

 たやすく得られた。平均年齢35歳ほどの職場

 では男性でも育児休暇を取るのが「見慣れた

 光景」になりつつある。
 

  (P.038)



「PAPA LADEN」と呼ばれる場所があるそうです。



 ドイツ語の「父親」と「お店」を組み合わせた

 「PAPA LADEN」と呼ばれる場所である。

 毎週木曜の午前中に、育児休暇を取得して

 いる父親が1歳前後の子供を連れて集う。

 子供用の滑り台、車、3輪車、積み木・・・。

 40㎡の部屋に玩具が置かれ、各々が自由に

 時間を過ごす。本を読み聞かせ、持参した

 幼児食を与える姿は日常茶飯事。
 

  (P.038)


日本ではまだまだこんな光景は珍しいですね。
夫婦と乳幼児が一緒にいる姿はよく目にしますが。


ただ、そんなドイツも日本と同じ問題を抱えています。
出生率の低迷です。



 日本と同様に出生率の低迷に苦しむドイツ。

 直近の出生率1.38は欧州内で低く、人口減少が

 加速する。しかし、ドイツ政府によると足元で男性

 の約3割が育児休業を取得。
 

  (P.029)


下のグラフを見ると、日本、ドイツ、スウェーデンの
3国で、スウェーデンが合計特殊出生率が群を抜いて
いることが一目瞭然です。日本とドイツはほぼ同じ経過
をたどっています。



男性も育児するスウェーデンが回復<br />・ 日本、ドイツ、スウェーデンの合計特殊出生率

男性も育児するスウェーデンが回復
・ 日本、ドイツ、スウェーデンの合計特殊出生率

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 P.039)




ただ違うのは、ドイツでは子育て政策を全面に押し出し、
推進していることです。そのきっかけとなったのは――。



 節目は2007年。アンゲラ・メルケル首相とともに、

 当時の政権を支えた女性の家庭省大臣が子育て

 政策を猛烈に推し進め始めた。この人物は7児の

 母親で、育児環境の改善を主張。キリスト教の

 価値観が強いドイツでは、母親が3歳児まで家庭で

 面倒を見るべきとされていたが、男女がともに仕事

 と家庭を両立するようカジを切った。

 柱は3つあった。父親の育児参加に加え、高学歴

 女性の出産促進と母親の早期職場復帰を進める

 ことだ。
 

  (P.039)



思い切った政策を採ったものですね。
実行したところが素晴らしい。
それでも、ドイツには悩みがあります。



 ただ、男性の育児休業が順調に増えても出生率

 上昇に直結していないのが、ドイツの悩み。

 16に分かれるドイツの州別出生率を見ると、

 行政機能を中心とする最大都市のベルリンは

 1.31と下位に低迷する。


 つまり、北欧に依然としてかなわない女性の

 柔軟な働き方をはじめ、保育環境の問題、

 高学歴化に伴う就職年齢の遅れなどが響き、

 出生率の回復になお至らないとの向きが多い。

 その一方で、日本と明確に違うのは地方分権

 が浸透している点だ。ドイツ最高の出生率1.48

 を誇るザクセン州の州都ドレスデンは半導体、

 自動車、食品産業や学術研究が盛んで、男性

 の育児休暇取得率が最も高いという実態も片や

 知られている。
 

  (P.039)



日本にも女性の宰相が必要なのかもしれません。
安倍首相夫妻にはお子さんがいないので、本当の
意味で育児について理解できないかもしれません。


「裁量労働制」が中小企業にまで浸透したり、
「残業ゼロ法案」が施行されると、実質的な賃金削減
が実施されることになり、晩婚化を促進したり、
出生率のさらなる低下、育児休暇取得が困難になる
恐れがあります。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 子宝率 
 男の育児(イクメン) 
 育児休暇 
 出生率 
 開業率 





最終回は、
「PART 3 『脱東京モデル』 コマツの挑戦」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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地方創世 1122社調査で見えた 日本を救う子宝企業 2015.03.09 <1>


美容外科求人ガイド




日経ビジネスの特集記事(98)

地方創世 1122社調査で見えた
日本を救う子宝企業
2015.03.09



今週の特集記事のテーマは

あなたは会社の同僚や役員に何人の子供がいるか
ご存じだろうか。
普通は知らない。ましてや会社の平均子供人数は
知るよしもないだろう。
人口問題は日本の危機であり、政府も出生率向上を
政策でうたい始めた。
企業も育児政策の充実を競うが、子供の数はほとんど
把握していない。
まさに、大事な観点が抜け落ちている。
本誌は日本で初めて、ある企業に勤めると何人の子供
を持てるか調査した。
発覚した事実は、都会の大企業よりも地方の中小企業
が多数産めること。
特に東京の大企業では育児しない男性が少子化に
拍車をかけている。
子宝企業を増やすには、地方創世を通じて産める環境
の拡充が急務だ
 (『日経ビジネス』 2015.03.09 号 P.026)

ということです。




地方創世 1122社調査で見えた<br />日本を救う子宝企業<br />2015.03.09

地方創世 1122社調査で見えた
日本を救う子宝企業
2015.03.09

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 PP.026-027)






第1回は、
「PART 1 東京では1人しか産めない」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 特別対談 弘兼憲史×青野慶久
イクメンは出世しない!?」
「ドイツ現地ルポ
世界は『真剣』に男を育児に駆り立てる」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 『脱東京モデル』 コマツの挑戦」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 子宝率 
 男の育児(イクメン) 
 育児休暇 
 出生率 
 開業率 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 東京では1人しか産めない 

少子化問題は、何度もメディアで取り上げられましたが、
実現性の高い、抜本的な解決策は提示されていません。


『日経ビジネス』特集班は、少子化問題の解決策の
一つとして「企業子宝率(子宝率)」というキーワード
を提示しました。


まず、「企業子宝率(子宝率)」の説明を見てみましょう。



 企業子宝率(以下、子宝率)は男女を問わず

 「従業員が在籍中に持つことが見込まれる

 子供の数」を企業別に算出した値。いわば

 合計特殊出生率の企業版だ。子育てをしながら

 働き続けられる「子宝企業」を発掘するために、

 ダイバーシティ・コンサルタント(東レ経営研究所

 研究部長)の渥美由喜氏が考案した。本特集も
 
 渥美氏の協力を得た。

 子宝率の計算に必要なのは①59歳以下の従業員

 の人数と年齢、②従業員の子供の人数とその年齢だ。

 調査票を使って①、②のデータを入力する。これを

 基に、各世代で従業員が子供を授かった割合を

 計算。それらを合計したものが子宝率となる。

 ちなみに、日経ビジネスの子宝率は1.11で、全体の

 調査集計に加えた。
 

  (P.029)


上記の説明の中に、「合計特殊出生率」があります。
これを調べてみました。




 合計特殊出生率(ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ、

 英:total fertility rate、TFR)とは、人口統計上の指標で、

 一人の女性が一生に産む子供の平均数を示す。

 この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生に

 よる人口の自然増減を比較・評価することができる。
 

  (合計特殊出生率 Wikipedia から)



「期間合計特殊出生率」なるものがあります。
その定義も掲載します。



 女性が出産可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、

 それぞれの出生率を出し、足し合わせることで、

 人口構成の偏りを排除し、一人の女性が一生に産む

 子供の数の平均を求める。
 

  (合計特殊出生率 Wikipedia から)



参考までに「合計特殊出生率と出生数の推移」を
掲載します(1947~2012年)。



合計特殊出生率と出生数の推移

合計特殊出生率 Wikipedia から)




これらのデータを基に、『日経ビジネス』特集班が
まとめた記事を見ていくことにしましょう。


まず、データ数について――。
1122社の内訳について解説しています。



 特集班は今回、福井県と静岡県の協力を得て、

 1117社のデータを入手した。


 従業員が数千人にも及ぶ大企業からデータを

 聞き出すのは困難を極めた。

 調査を依頼した35社は東京証券取引所が認定

 する「なでしこ銘柄」と、社員の育児支援に

 積極的な「イクボス企業同盟」の参加企業だ。

 日本の育児先進企業と見なしたからだが、

 まとまった回答があったのは4社だけだった。

 そのうちの1社、オリックスの3594人の子宝率

 は1.19だった。これは東京都の合計特殊出生率

 1.13とほぼ同じ水準である。ユニークな支援制度

 を持つ企業であるにもかかわらず、だ。
 

  (P.029)


1117社 + 4社 + 日経ビジネス =1122社
となります。


大企業4社の子宝率は次の通りです。

オリックス         1.19
トッパン・フォームズ   1.14
富士ゼロックス      1.27
カルビー          1.35


『日経ビジネス』が「子宝率を」調査し判明した
ことのうち、象徴的な現実を示すいくつかを
ご紹介しましょう。


あなたの勤務先では、これらのデータとほぼ同じ
なのか、かなり違うのかお考えください。





Q1. 社員の子供の数を把握しているか?
   把握していない  74.2%   把握している  25.8%

Q2. 育児休暇の取得率は?
   女性  96.4%   男性  5.9%

Q3. 社員の勤続年数は?
   男性  16.8年   女性  13.4年

Q4. 女性管理職比率は?
   6.4%   政府目標の30%に遠く及ばず・・・



これらのデータを踏まえて、『日経ビジネス』の解説を
読んでみましょう。


 どんなに制度を整えても東京では1人しか

 産めない――。大企業の少子化対策が

 実は十分に機能していないことを、子宝率

 は突きつける。

 この傾向は、大企業の育児支援策の使われ

 方を分析するとより色濃くなる。

 
 例えば育児休暇の取得率。育児休暇は本来、

 男女共に取得する権利がある。だが、女性が

 100%近い取得率であるのに対し、男性は6%

 にも満たない。取得した社員がいても、取得

 日数の平均が各社3~5日と非常に短い。

 勤続年数は男女で平均3.4年の差があり、10年

 近く違う企業もあった。
 

  (P.031)


育児休暇の取得率が低く、日数が少ないの理由は、
長期間休暇を取っていると、自分の席がなくなって
しまうという危機感があるからでしょうか?



中小企業の子宝率もご紹介しましょう。

ハゥ・コーポレーション         2.34
(従業員数 20人  メガネの製造)

亀寿の郷                 2.01
(従業員数 74人  介護施設)

山惣ホーム                2.22 
(従業員数 36人  建設業)

長谷川葬儀                2.02
(従業員数 11人  葬儀業)



1122社調査で分かった新事実<br />大企業ほど子供を産みにくい<br />医療・建設業は子供を産みやすい

1122社調査で分かった新事実
大企業ほど子供を産みにくい
医療・建設業は子供を産みやすい

(『日経ビジネス』 2015.03.09 号 PP.032-033)




「調査で分かったことが2つある」と指摘しています。



 調査で分かったことが2つある。大企業では

 育児に積極的に関わらない男性従業員が

 圧倒的に多い。そして育児を女性のみに

 背負わせ、女性が働き続けられる余地を

 狭めている。この2点こそが子宝率を押し

 下げる主因だと言っても過言ではない。


 従業員数が100人以上の企業では1.22しかない

 子宝率は企業規模が小さくなるほど、上昇する。

 10~29人に至っては542社の平均で1.39あり、2.0

 以上の企業も34社あった。


 さらに、子宝率を業種別に分析すると予想を

 裏切る結果が判明した。女性でも深夜勤務が

 ある「医療・福祉・介護」が1.52、典型的な男社会

 の「建設業」が1.49と突出して高かったのだ。

 一方で、長年にわたって日本経済を牽引して
 
 きた製造業の子宝率は1.28にとどまっている。
 

  (P.032)



「サービス残業」が当たり前のようになっている
企業にあっては、「家族主義の経営が薄れていく
ことが、子宝率の低下につながっている」(P.032)
と言えそうです。


このパートの終わりで、『日経ビジネス』は次のように
まとめています。



 男性側の意識改革こそが今、求められる――。

 企業を通じて少子化に光を当てる。子宝率という

 新しい物差しはその事実をはっきりと示した。

 「管理職の長時間労働に切り込まなければ、

 この先は進まない」(富士ゼロックスの中里氏)。
 

  (P.033)



長時間労働の中身が重要だと思います。
本当に長時間労働しなければならない重要な仕事
なのか、それとも在社していることは仕事をしている
ことだと考えているのか、ということです。


ある牛丼チェーン店のように、「ワンオペ」と称する
店舗の一切合財を一人で切り盛りしなくてはならない
過重労働とは一線を画する、と思います。


残業時間が一月あたり300時間超などというのは異常
としか言いようがありません。精神・肉体とも壊れて
しまいます。ブラック企業の典型です。


必ずしも、長時間労働と、生み出される付加価値が
正比例するわけではありません。労働生産性の問題
です。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 子宝率 
 男の育児(イクメン) 
 育児休暇 
 出生率 
 開業率 





次回は、
「PART 2 特別対談 弘兼憲史×青野慶久
イクメンは出世しない!?」
「ドイツ現地ルポ
世界は『真剣』に男を育児に駆り立てる」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘 2015.03.02 <2>


保険スペース



日経ビジネスの特集記事(97)

鎖国230年 開国1年
タケダの苦闘
2015.03.02



今週の特集記事のテーマは

創業234年の武田薬品工業で今、未曽有の事態が
起きている。
昨年6月にフランス人社長が誕生したが、それだけ
ではない。
役員や部長に至るまで、外国人が次々とポストを
占拠している。
理由は明快だ。巨額M&Aで世界へ戦線を拡大した
が、かじ取りを任せられる日本人社員を育てることが
できなかったからだ。
だが、武田で起きていることは、決して他人事ではない。
グローバル化は、ビジネス、組織を変え、次は人にも
変革を迫る。
「外国人経営」は日本企業の一つの生き方になるのか。
もはや日本人にはグローバル企業を経営できないのか
 (『日経ビジネス』 2015.03.02 号 P.026)

ということです。




鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.026-027)



武田家の「お家騒動」ですね。
経営トップから役員、部長に至るまで外国人が
占めている様子を見ますと、武田薬品工業は、
もはや日本企業ではなくなったように感じます。


グローバル企業の宿命かもしれません。



第1回は、
「PROLOGUE 後継育成に失敗した」
「PART 1 日本人ではダメなのか
外国人が迫る踏み絵」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ」
「PART 3 世界に挑む人材
『エセ・グローバル』では勝てない」
を取り上げます。




今特集のキーワードは次の5つです。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ 


前回お話ししませんでしたが、武田家の社員もリストラの
対象となり、静かにタケダを去ったことをお伝えしておき
ます。日本企業にありがちな「しがらみ」が一切なく、
非情とも言えるように、容赦なく解雇されたのでしょうか?
詳細は分かりません。


このパートでは、タケダの海外における経営術をご紹介
しましょう。


ブラジルと中国のケーススタディーです。


 ブラジルの製薬市場 

TAKEDAブランドがどこまで浸透しているのか、
がポイントです。



 ブラジルの製薬市場の3割を占めるのが、ドラッグストア

 などで処方箋なしで消費者が直接購入できる市販薬。

 国内のドラッグストアは続々と増え、7万店にまで達した。

 約200のチェーンがひしめき合っている。世界の製薬大手

 がしのぎを削る、急成長市場だ。

 ここ数年、市販の鎮痛剤シェアでトップクラスに躍り出た、

 現地では無名だった企業がある。それが、「TAKEDA」で

 ブランド展開する武田。鎮痛剤「ネオサルディーナ」の

 売上高を年率10~20%伸ばした。


 2012年、2013年に赤字だった同事業は2014年に黒字転換

 し、鎮痛剤の定番商品になった。その結果、ブラジルの

 医薬品会社の売り上げランキングトップ10で、武田は圏外

 から7位へと急伸した。
 

  (PP.036-037)


ブラジル市場で、ここまでタケダを飛躍させた舞台裏を
知りたいですね。


「型破りのテレビCM」と、「薬を1錠ずつ販売」したところに
あるそうです。



 マイクを振り回す男性がサンバを踊り狂う、医薬品とは

 思えないような型破りのテレビCMを展開。錠剤に口を

 描いたキャラクターを生み出し、まるでチョコレートの

 ような親しみやすいデザインで話題を呼んだ。

 一方、貧困層の比率が高いブラジル市場の特性を考慮し、

 これまではパッケージ入りが当たり前だった薬を1錠ずつ

 販売して買いやすくする、新しい手法も導入した。
 

  (P.037)


「1錠ずつ販売」の連想で思い出したのは、日本のトイレ
タリー企業が、日本では12ロールが当たり前のトイレット
ペーパーをインドネシアなどで1ロールずつ販売している
ことでした。


確か、味の素も東南アジアで、少量を袋詰にして、
「1袋ずつ販売」していたと思います。


武田の新興国市場での戦略は、利益率の高い新薬の
販売を増やすことです。



例によりまして、下のグラフをご覧ください。
2022年にはジェネリック・市販薬の構成比を約70%に
下げ、新薬を約30%に上げるというものです。








さらに、地域別売上比率を見ると、2013年度と2017年度
の比較で、新興国は大幅に増加し、日本は減少すること
が分かります。人口が増加する国々と、減少する国との
違いです。


武田薬品工業と言えば、有名なビタミン剤がありますね。
ご存じですか?
そうです! 「アリナミン」です。
この「アリナミン」をブラジルで販売していこうとしています。

 


 現在では日本と台湾、タイでしか販売していない

 武田のビタミン剤「アリナミン」をブラジルに持って

 来る。既に、日本の責任者にこのアイデアを持ちかけ、

 話し合いも始めた。

 ブラジルではビタミン剤の需要が拡大している。

 だが、現在の市場では製品の種類はあまり多くない。

 鎮静剤で成功したようなマーケティング戦略を応用

 すれば、きっとアリナミンも大ヒットするはず――。

 マルティンス(ナイコメッドのブラジル拠点で市販薬

 部門のトップ 註:藤巻隆)は新たなチャレンジにも

 自信を深めている。
 

  (P.038)


ウェバー社長は、ブラジル市場と中国市場で対照的な
取り扱いをしています。


ブラジルでは「アメ」、中国では「ムチ」と使い分けて
います。南米人と東洋人の性格の違いを研究したの
でしょうか?



 (ブラジル市場で)ウェバーは社員に賛辞を贈ったり、

 グローバルに活躍できる機会を与えたりするなど、

 「アメ」でやる気を引き出そうとした。

 一方、現地トップらにあえて厳しい言葉をかける

 「ムチ」によって危機感をあおるのが中国だ。
 

  (P.038)





 中国の製薬市場 

ウェバー社長は中国市場のトップにハッパをかけています。



 巨大市場にもかかわらず、欧米メガファーマの進出

 から10年遅れで、事実上ゼロベースから事業展開

 に乗り出すことになった中国。それだけに、早急に

 立ち上げなければ埋没してしまうというウェバーの

 思いがにじむ。その命を受けて奔走するのが、

 武田中国トップのポニー・ルーだ。

 仏製薬大手セルヴィエの中国法人社長を務めていた

 台湾籍の人物である。2010年、武田中国にスカウト

 された。
 

  (P.038)



武田中国でルー氏は実績を上げ、自信に満ち溢れて
いました。



 入社当時、年20億円だった中国の売上高は

 500億円を超え、2013年度は単体で黒字化

 も果たした。
 

  (P.039)



昨年5月、ルー氏の元を、ウェバー社長が訪問。
その時の経緯が描写されています。



 「国の市場成長を上回るスピードで急速に

 伸びた業績を手放しで褒められるに違いない」。

 こんな期待から、ウェバーを前に事業計画を

 プレゼンするルーの声はひときわ大きくなった。

 「早期に年間売上高1000億円を達成します」。

 だが、その声を、ウェバーの厳しい口調が遮った。

 首を振りながら、「1000億円では足りない。3000

 億円を狙ってくれ」。

 中国市場でトップのファイザーの売上高は年1500

 億円。それでもローカル企業を含めて6000社の

 製薬会社がひしめく中国でのシェアは2%弱しか

 ない。
 

  (P.039)



鼻高々だったルー氏は、冷水を浴びせられる格好
となってしまいました。


1000億円ではなく、3000億円という数字は現実には
可能なのか疑問に思いますが、可能性は十分にある、
と『日経ビジネス』取材班は考えています。




 もちろん、3000億円という数字は、単に大風呂敷を

 広げたわけではない。

 中国では所得水準の向上とともに、がんや中枢神経

 系領域を中心とした高度治療薬、生活習慣病治療薬

 の需要が伸びている。これらは武田の得意分野で、

 強みを生かすことができる。

 さらに、現在武田が中国で販売している薬は普及品

 が多いが、それを機能が高い高級品に置き換えれば、

 売上増を見込める。
 

  (P.039)



世界の医薬品市場は、今後どのような過程をたどると
推測されているかですが、「世界の医薬品市場はこれ
から拡大していく。2025年には現在の2倍の188兆円
に達するという予測がある」(P.040)そうです。


188兆円とは、ものすごく巨大なマーケットですね。
このマーケットでブラジルと中国が占める割合は、
「2カ国だけで、世界全体の26%を占める見通しで、
現在はトップ3に入る日本(6%)を大きく突き放す」
(P.040)ということです。


この予測をベースに、ブラジルと中国に経営資源を
集中投下していくという戦略です。


タケダの業績の推移を見てみましょう。
2008年度は左うちわでした。4製品だけで1兆円の
売上高でした。


ところが、2014年度は特許切れで売上高は約3分の
1の3600億円に縮小しました。


そこで、新たな創薬により2020年度ごろには、
消化器系とがんの新薬が中心になるようにポート
フォリオを組み直す腹づもりのようです(下図参照)。





タケダの業績の推移と予想

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.040-041)






 PART 3 世界に挑む人材
「エセ・グローバル」では勝てない 


組織や企業が持続的な成長を遂げるためには、
モノからコトへ、そして最後はヒトに集約されます。


製薬会社においては、商品であるクスリのブランド化
があります。 → モノ


次に、いずれは特許が切れますので、新薬の研究・
開発をすることが不可欠になります。 → コト


そして、最後は世界中に販売していくためにマーケ
ティング戦略を立案し、実際に販売していく部隊が
欠かせません。


研究・開発のための優れた研究者を取り込むことも
必要でしょう。経営と、研究・開発のための持続的な
投資を両立させていかなくてはなりません。
グローバル人材を育成することが、企業を成長させる
ためのエンジンとなります。 → ヒト


問題は、『日経ビジネス』取材班が指摘している、
「エセ・グローバル人材」です。



 日本の本社も真の意味でグローバル化しないと、

 国際舞台では生き残れない。

 そのために必要不可欠なのが、グローバル人材

 だ。PART1で触れたように、世界のどこにいても

 リーダーシップを発揮し、結果を出せる人のことだ。

 そして、PART2で見たように、地域や発展段階

 などに応じて、最適な経営スタイルへ柔軟に変える

 ことができる。

 これと正反対なのが、日本企業に多い「エセ・グロー

 バル人材」だ。海外に赴任しても、会社が用意した

 ネットワーク内だけで仕事を完結させ、そこから

 外に出ようとしない人たちである。


 どこに行っても本社の流儀をかたくなに変えない人

 たちもそうだ。
 

  (P.042)



英語屋になっていることを自覚できていない人たちが
いるのも事実です。



 英語の能力が高ければ国際派と見られがちだが、

 非英語圏の人たちを含めて、相手に自分の言葉

 が伝わっているかどうかに思いが至っていない。
 

  (P.042)



ただし、社員全員をグローバル人材に育成する必要は
ありませんし、相当の時間とコストをかけても不可能です。
現実的ではありません。


ではどうするか。その答えの一つは「100分の1を探せ」
(P042)ということになります。



 キーワードは「100分の1を探せ」。

 全ての社員をグローバル人材に育てる必要はない。

 ローカル人材も必要であり、全体の1%がグローバル

 事業を率いることができれば十分との考え方だ。
 

  (PP.042-043)



その考え方は基本的に正しいと思います。
ですが、次のような考え方も成り立ちます。



 立命館大学大学院准教授の上久保(誠人)は

 「グローバル人材の社内育成は難しい」とみる。

 なぜなら「彼らはきっと、会社を飛び出していく

 はずだからだ」。
 

  (P.043)



似たような話があります。
米国などの大学院へMBA(経営学修士)の取得の
ために会社から派遣されたり、本人が2年間休職
し、大学院への進学を希望することがあります。


MBAを取得すると、会社を去る――。
大学院で学んでいくうちに人脈ができたり、
視野が広がり、考え方に大きな変化が起こり、
在籍している会社に見切りをつけるケースが
よくあります。


はるかに待遇の良い会社へ転職してしまうのです。
ヘッドハンティングされるかもしれません。


そのようなリスクを会社が負えるのかが問われて
いる、と言えます。


『日経ビジネス』取材班は、この問題を問い直して
います。



 企業も、いずれ外に飛び出していくことを承知で、

 手間をかけてグローバル人材を育成すべきなの

 だろうか。それが日本人の競争力向上につながる

 としても、優秀な人材ほど抱え込みたいのが本音

 だろう。

 だが、日本が世界の中で地盤沈下を避け、グロー

 バル化を生き抜くには、それくらいの覚悟がそろそろ

 必要なのかもしれない。
 

  (P.043)





今号のキーワードを確認しておきましょう。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




私たち外部の人間には、製薬業界や製薬会社の
内部のことは、なかなか窺い知ることはできません。


薬品業界トップの武田薬品工業の中で、深刻な問題が
発生しているとは――。


外部から見ると、社員の待遇が良く羨ましい存在に
映りますが、内部ではドロドロした状態が続いている
のですね。考えさせられました。


The grass is always greener on the other side of the fence.
(隣の芝はいつも青い=他人のものは何でも良く見える)






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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