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挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉 2015.04.27・0504 <2>







日経ビジネスの特集記事(105)

挫折の核心
イオン
セブンも怯えるスーパーの終焉
2015.04.27・05.04



今週の特集記事のテーマは

「もう、『トップバリュ』というブランドなんて、やめてしまおうか」
3期連続で営業減益となったイオン。
昨年後半、岡田元也社長は幹部に対し、そんな弱音を
はいたという。
規模では国内最大級になった同社のPB(プライベートブランド)
には、「質より安さ」の印象が染み付き、ブランドイメージはここ
数年で急速に悪化した。
イオンの挫折。その核心は、限界に達した中央集権の拡大
路線にある。
規模の追求を宿命づけられた、総合スーパーという高度成長期
の遺産。
イトーヨーカ堂を傘下に抱えるセブン&アイ・ホールディングスも
錆びついた事業モデルを捨てられなければ、グループの成長を
妨げると怯える。「スーパーの終焉」──。
そのリスクを、巨大流通は乗り越えられるか。

 (『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.024)

ということです。






(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




スーパー業界でいつも比較対象となるイオンとセブン。
今回はイオンに重点を置いた、『日経ビジネス』特集班
による勢力取材をご覧ください。


盤石に見えるセブンもアキレス腱を抱えています。


尚、今週号は2015.04.27号と05.04号の合併号となる
ため、来週はお休みとなります。
そのため、「日経ビジネスオンライン」から興味深い
記事をご紹介しようと考えています






第1回は、
「PART 1 “イオン化”の挫折、『解体』で出直し」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 セブンに迫る、規模の復讐」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 生存の条件は『物量』より『知量』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 イオン化 
 トップバリュ 
 解体 
 規模の復讐 
 知量 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 セブンに迫る、規模の復讐 

売上高ではイオンの後塵を拝するセブン&アイ・ホールディングス
ですが、利益では圧倒しています。


しかし、セブンにもアキレス腱があります。
利益の大半を稼いでいるのは、コンビニチェーンのセブンイレブン
であり、スーパーのイトーヨーカ堂や、デパートの西武・そごうは
ほとんど利益に貢献していません。


その点が、セブンの頭痛の種です。


セブン&アイ・ホールディングスの経営状態を見てみましょう。



 グループ全体で見れば、2014年度に3433億円と、

 過去最高の営業利益を計上した。しかし、その陰で

 祖業のイトーヨーカ堂は、1兆2859億円の営業収益

 に対して営業利益は18億円と、低迷が続いている。

 通期では辛うじて黒字を確保したが、第3四半期

 までは赤字で、イオンの総合スーパー事業と同様に

 危機的な状況にある。
 

  (P.034)



下のグラフを見ると、営業収益は頭打ちになっています。
その点も問題ではありますが、もっと深刻な点は1990年度
の営業利益率は6%でしたが、以降ずっと下げ続け、
ついに2014年度には2009年度に次いで、ほぼゼロとなって
しまったことです。


先の見通しがつかない状況です。




イトーヨーカ堂の利益は
1990年代から右肩下がり
・イトーヨーカ堂の営業収益と営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.035)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOの鈴木敏文氏
の口から飛び出した言葉は衝撃的でした。


「脱チェーンストア」



 「脱チェーンストア」

 この言葉を、鈴木会長は年初から頻繁に使うようになった。

 チェーンストアとは、本部で仕入れた商品を複数の店舗に

 一括供給する経営手法を指す。標準化した店を大量に出し、

 そこで得た“規模”を生かして仕入れコストを引き下げる。

 それは、イトーヨーカ堂が創業から貫いてきた、ビジネスの

 あり方そのものだ。鈴木会長は、規模を追求するチェーン

 ストアという概念こそが不振の元凶であるとし、それを否定

 することで、イトーヨーカ堂に“最後通牒”を突きつけたのだ。
 

  (P.034)



つまり、イトーヨーカ堂の伝統を否定することを宣言したのです。
その証拠に名指しで明言しました。



 「伊藤雅俊・名誉会長から受けた教育が伝統に

 なってしまっている」

 失敗の理由を、鈴木会長はそう指摘する。

 イトーヨーカ堂の創業者である伊藤名誉会長の

 成功体験は、今でも社内で受け継がれている。

 そこに、メスを入れきれなかった。

 その“聖域”と化していたものこそ、チェーンストア

 という考え方であり、それに基づいた事業のやり方

 である。鈴木会長は、それを壊そうとしている。
 

  (P.035)



セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO<br />鈴木 敏文 氏

セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO
鈴木 敏文 氏

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




鈴木会長が言及している「チェーンストア」とは、
そもそもどういうものなのでしょうか?


『日経ビジネス』は、イトーヨーカ堂で行われてきた
店舗運営について解説しています。



 イトーヨーカ堂では、店舗が商品を「発注」するのではなく、

 本部が在庫を「補充」するというのが基本的な考え方だ。

 店舗の品ぞろえから売り場の棚割りまで、本部が決めて

 きた。
 

  (P.035)



こうした本部主体の方針を、一言で言えば、「現場」の
売り場主体に改めるそうです。



 このやり方を、セブン流に改める。セブンイレブンでは、

 本部が推薦した商品の中から、店側が選んで発注する。

 もちろん、本部が売りたい商品を重点的に推奨するので、

 実際には店側の裁量はさほど大きくない。

 だが、この「店が判断する余地」が、消費者ニーズに応じた

 売り場作りには欠かせない。
 

  (PP.035-036)



PART 1 で、イオンの「トップバリュ」というPB(プライベート
ブランド)がイオンの業績を悪化させたことをお伝えしました。
売上高は増加しましたが、利益はほとんど生み出しません
でした。


セブンにも「セブンプレミアム」というPBがあります。
セブンプレミアムの売上高は1兆円に達するそうです。



進化を遂げたセブンプレミアム<br />・セブンプレミアムの売上高

進化を遂げたセブンプレミアム
・セブンプレミアムの売上高

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




イオンは対岸の火事ではありません。
セブンがイオンと同じ運命を辿らないとは、誰も断言できません。



 イトーヨーカ堂の戸井和久社長は、「やり方を根本から

 変えないと、変化する消費者についていけない」と言い

 切る。
 

  (P.037)


セブンイレブンが変わるための試みが行われています。
今までのセブンイレブンには考えられなかったことです。



 2015年1月、セブンイレブンの全てのFC(フランチャイズ

 チェーン)オーナーの元に、セブン&アイの鈴木会長と

 セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長の連名で、

 ある書面が届いた。

 「セブンイレブンが変わるために、どんどん意見を提案

 してください」

 両経営者からFCオーナーにこうした要請をするのは

 異例のこと。セブンイレブンは今、オーナーに教えを

 請うてまで、大きな変革に取り組んでいる。
 

  (P.037)



関東と関西で、味の好みが異なることはよく知られて
います。


一般的に、関東は濃い味が好まれ、関西は薄い味が
好まれる傾向があります。さらに言えば、関西は関東
より甘みが濃い傾向があります。


セブンは、こうした地域特性をもう一度、見直しました。



 今年4月1日、セブンイレブンの大阪地区事務所の

 会議室に、西日本プロジェクトを引き継いだ関西の

 開発チームに所属する担当者20人ほどが集まった。

 目的はセブンイレブンの商品開発だが、

 参加メンバーのうち、同社の社員は1人だけ。

 あとは、わらべや関西や武蔵野、日本ハムなどの

 開発担当者だ。複数のメーカーが一堂に会して、

 意見を交換し合う。
 

  (P.039)



この集会の目的は何だったのでしょうか?



 参加者は一通り試食した後、付箋にコメントを書き、

 このまま発売してもいいと思った場合は「○」に、

 改善が必要であれば「×」と書かれた紙に貼っていく。

 各社のコメントを基に、メーカーは再度改良を加えていく。

 メーカーの知見を結集して開発した商品からは、

 ヒット商品も生まれている。
 

  (P.039)



◯✕で商品の完成度を判定

◯✕で商品の完成度を判定

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.039)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




一見すると、非科学的に見えますが、
定性分析と定量分析を掛け合わせた手法だ、
と思います。


メーカーのプロたちの五感を大切にし(定性分析)、
◯の多かった試作品(定量分析)を商品開発に
活かすというプロセスをとっています。


「よりきめ細かい嗜好調査」(P.039)に乗り出しています。
その狙いは何でしょうか?



 今年に入ってからは関西を3つの地域に分け、

 よりきめ細かい嗜好の調査に動き出した。

 今年1月からは各地域でも商品開発が始まっている。

 商品開発を細分化する狙いは、もう一つある。

 それは、調達先の多様化だ。
 

  (P.039)



「調達先の多様化」とはどういう意味なのでしょうか?
つまり、画一化された商品づくりではなく、地域特性に
合わせた地場メーカーから仕入れることによって、
多様性に対応できることになります。


多くの地場メーカーとの取引が増えることにつながります。



 1万7000店舗というセブンイレブンの規模は、

 調達面では制約も生み始めた。

 大量に発注するため、対応できるメーカーが

 限られてしまうのだ。

 その点、地域ごとの調達が増えれば、

 地場メーカーなどから仕入れることも可能になる。
 

  (P.039)



こうした流れが主流になりつつある理由は、
「出店余地が減り始めた時に成長力を維持するには、
日販を伸ばすしかない。そのためには、商品力が
生命線となる」(P.039)からです。




鈴木敏文会長兼CEOの本があります。

『鈴木敏文 商売の創造』
(緒方知行 編 講談社 2003年10月22日 第1刷発行)


10年以上前に出版された本ですが、現在のイオンの
状況を予見したことも書いてありますし、セブンの問題
もすでに指摘していたことを知りました。


この本を読んだのは10年近く前ですが、『日経ビジネス』
の特集を読み、『鈴木敏文 商売の創造』を再読して
見ました。


当時は、さっと目を通しただけだったことは、再読して
見て気づきました。内容をほとんど覚えていません
でしたし、まさかここまで流通業の未来を予見していた
とは想像できませんでした。


率直にお話しすると、「そんなものかな」というのが
実感だったのです。


今回再読してみて、イオンやセブンの問題に関連した
内容の部分をご紹介します。
その都度コメントすることを控え、引用箇所を列挙します。


それぞれの引用箇所をお読みになり、『日経ビジネス』
の特集と照らし合せて、特集のテーマをお考えください。



 われわれにとっての最大の競争相手は、

 同業の他社・他店ではありません。

 世の中の変化、お客様のニーズの変化

 こそが最大の競争相手なのです。

 この変化への対応力を失ったとき、

 いかなる過去の強者、覇者[はしゃ]といえ

 ども破綻[はたん]は免れません。
 

  (『鈴木敏文 商売の創造』 P.1 以下同様)




 これからの世の中の大きな変化に対応する

 ためには、新しいサービス、新しい商品を

 開発・提供し、お客様に価値を見いだして

 もらえるよう努力すること、私たちは価値を

 売る企業だということを忘れてはならない

 でしょう。
 

  (P.24)




 なにごとにつけ、ナショナルブランドの商品

 だけでなく、その地域で好まれる商品を

 そろえておくということが、これからはます

 ます重要になってきています。
 

  (P.37)




 ものが売れない時代には、ゴンドラエンド

 (陳列棚のいちばん端)の工夫も必要です。

 つまり、「この商品があります」ということを

 アピールする場所として、積極的にそこを

 活用していかなければならないのです。


 ゴンドラエンドに置くのは、お客様から見て

 魅力ある商品でなければなりません。

 昔は見切り品など、店側が売りたい商品を

 エンドに持ってきて、お客様に見てほしいと

 思われる商品は売り場の奥のほうに置き

 ました。 マグネット(磁石)効果といって、

 このようにしてお客様を店の奥に誘導し、

 店内をまんべんなく歩いてもらうという考え方

 がとられました。 しかし、これもいまでは否定

 されなければならない考え方です。

 いまでは、店の前のほうにほしいものが

 なければ、お客様はそのまま帰ってしまいます。

 陳列に対する考え方一つとっても、かつてとは

 完全に変わっているのです。
 

  (PP.60-61)

 * ゴンドラエンドは現在は、単にエンドというようです。



 絶対に忘れてはならないのは、商売の原点です。

 創業が江戸時代であろうと、明治時代であろうと、

 現代であろうと、その原点は変わらないはずです。

 私たちのようなお客様あっての商売では、

 お客様の存在を絶対に忘れてはいけないという

 のがその原点です。

 ただ、お客様のありようは、昔といまとでは大きく

 変化してしまいました。 いや、つねに変化していく

 ものです。 したがって、私たちの商売の仕方も、

 つねに大きく変わっていかなければならないのです。

 自分を変えることによって、お客様の変化に対応

 していかなければならない、そこが私たちにとって

 の最大の課題です。
 

  (P.67)



この本の中に、まだまだお伝えしたいことがたくさん
あります。そこで、次の最終回にさらにご紹介します。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 イオン化 
 トップバリュ 
 解体 
 規模の復讐 
 知量 




次回は、
「PART 2 セブンに迫る、規模の復讐」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉 2015.04.27・0504 <1>







日経ビジネスの特集記事(105)

挫折の核心
イオン
セブンも怯えるスーパーの終焉
2015.04.27・05.04



今週の特集記事のテーマは

「もう、『トップバリュ』というブランドなんて、やめてしまおうか」
3期連続で営業減益となったイオン。
昨年後半、岡田元也社長は幹部に対し、そんな弱音を
はいたという。
規模では国内最大級になった同社のPB(プライベートブランド)
には、「質より安さ」の印象が染み付き、ブランドイメージはここ
数年で急速に悪化した。
イオンの挫折。その核心は、限界に達した中央集権の拡大
路線にある。
規模の追求を宿命づけられた、総合スーパーという高度成長期
の遺産。
イトーヨーカ堂を傘下に抱えるセブン&アイ・ホールディングスも
錆びついた事業モデルを捨てられなければ、グループの成長を
妨げると怯える。「スーパーの終焉」──。
そのリスクを、巨大流通は乗り越えられるか。

 (『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.024)

ということです。






(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




スーパー業界でいつも比較対象となるイオンとセブン。
今回はイオンに重点を置いた、『日経ビジネス』特集班
による勢力取材をご覧ください。


盤石に見えるセブンもアキレス腱を抱えています。


尚、今週号は2015.04.27号と05.04号の合併号となる
ため、来週はお休みとなります。
そのため、「日経ビジネスオンライン」から興味深い
記事をご紹介しようと考えています






第1回は、
「PART 1 “イオン化”の挫折、『解体』で出直し」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 セブンに迫る、規模の復讐」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 生存の条件は『物量』より『知量』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 イオン化 
 トップバリュ 
 解体 
 規模の復讐 
 知量 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 “イオン化”の挫折、「解体」で出直し 

 自滅 
 止まらない客離れ 

日本最大の小売企業となったイオンですが、
小規模の地元スーパーに思わぬ苦戦を強いられている
そうです。


一体どうしたのでしょうか?


 売上高7兆円を上回る日本最大の小売企業、イオン。

 全国に総合スーパーを約600店舗を展開し、

 行く先々で地元スーパーや商店街をなぎ倒してきた

 巨大企業が今、わずか数百億円規模の地元スーパー

 相手に苦戦を強いられている。


 新鮮市場きむら林店。四国で今、急速に勢力を伸ばす

 スーパー、新鮮市場きむらが昨年6月に出した大型店だ。


 四国ではここ数年、同じように中国・四国地方のスーパー

 が続々と出店攻勢に乗り出している。深刻な少子高齢化

 に直面するこの地で、なぜ新店が増えるのか。その背景

 には、四国で長らく王者として君臨してきた、高松発祥の

 マルナカの転落劇があった。
 

  (P.026)



買収先の品揃えを画一化したことが、店の魅力を失わせた
のです。



 マルナカ単体の売上高は、およそ2000億円(2009年度)。

 地元スーパー2位のマルヨシセンターの約420億円(2014

 年度)と比べても、規模の差は大きい。


 目玉とするダイコンやハクサイ、キャベツ、レタスなどを

 目当てに、地元の青果店が“仕入れ”に訪れる。

 プロまで頼る安さと鮮度は、四国随一と評判だった。

 だが、ある時からその勢いが衰える。2011年、イオンが

 マルナカを傘下に収めたことがきっかけだった。
 

  (PP.026-027)



マルナカの失敗が尾を引くことになります。



 強みとする地元の鮮魚や青果が次第に売り場から

 減っていく一方で、イオンが本部で調達した生鮮品が

 増えていった。その結果、一部の商品は価格が上昇。

 「魚の値段が高くなってきたから他のスーパーに行く

 ようになった」(30代主婦)という声が漏れる。


 「昔は地元の市場のいい魚は全部マルナカが押さえて

 いた。彼らの購買力が落ちて、我々の仕入れは格段

 にしやすくなった」(競合スーパー幹部)

 さらに追い打ちをかけたのがイオンのPB(プライベート

 ブランド)「トップバリュ」の存在だ。

 トップバリュが導入されるにつれて、地元メーカーの品

 ぞろえは減っていった。「売り場が面白くなくなった」と

 60代の男性は不満を漏らす。
 

  (P.027)


イオンのPB(プライベートブランド)、「トップバリュ」が
決定的な敗因となったのです。


顧客は多様化(ダイバーシティ)しているにもかかわらず、
PBという画一化された商品を提供し続けたからです。
言葉は悪いですが、「安かろう悪かろう」商品を店頭に
並べ続けたことが大きな敗因です。


利益を伴わない売上増が「トップバリュ」だったのです。



 トップバリュの売上高は毎年伸張し、2014年度は

 約7800億円に達している。半面、総合スーパー事業

 の営業損益は2011年度以降、急減している。

 2014年度はついに16億円の赤字に転落。

 総合スーパー事業は連結売上高の5割近くを占めるが、

 営業損益ではむしろ足を引っ張る存在だ。
 

  (PP.027-028)



では、何で稼いでいるのでしょうか?



 現在の利益の柱は、ショッピングモールを手掛ける

 不動産開発事業や総合金融事業。これらは集客など

 の面で、総合スーパー事業に大きく頼ってきた。

 総合スーパー事業が傾けば、ゆくゆくは不動産や

 金融事業も傷みかねない。
 

  (P.028)


下の棒グラフと折れ線グラフをご覧ください。
トップバリュの売上高は毎年度上昇していますが、
総合スーパー事業の営業損益は2011年度をピーク
に急減しています。


ついに、2014年度は赤字に転落しました。



トップバリュが収益に貢献していない<br />・イオンのPB「トップバリュ」の売上高と総合スーパー事業<br /> の営業損益の推移

トップバリュが収益に貢献していない
・イオンのPB「トップバリュ」の売上高と
 総合スーパー事業の営業損益の推移

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




次の円グラフを見ると、金融事業と不動産事業を合わせた利益
が全体の70%近くを占めていることが分かります。


売上高ではスーパー事業が圧倒的ですが、利益に貢献して
いません。



稼ぎ頭は金融と不動産<br />・連結売上高と営業利益の事業別構成比

稼ぎ頭は金融と不動産
・連結売上高と営業利益の事業別構成比

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




上記のような実態を改革するため、イオンは動き出しました。
スーパーの原点に帰るため、ジャスコ時代に「時計の針を戻す」
という大改革です。



 改心 
 時計の針を戻す 


岡田元也社長の「もうトップバリュというブランドなんて、
やめてしまおうか」という言葉に、全ての問題が集約
されている、と思います。



 「もうトップバリュというブランドなんて、やめてしまおうか」

 昨年後半、幹部たちを前に、イオンの岡田社長の口から、

 諦めとも取れる言葉がこぼれた。

 イオンの打つ手は昨春以降、誤算続きだ。消費増税後の

 節約志向を見込み、トップバリュで価格攻勢を仕掛けた。

 だが消費者の反応は想定以上に悪い。「価格対応が十分

 ではなかった」(岡田社長)と対策を講じるも、客足は一向

 に戻らなかった。

 売れないから値下げをし、それがブランドを毀損して、

 さらに評判を落とす。そんな「負の連鎖」が、イオンを襲って

 いた。
 

  (P.031)


売れないから値下げすることで、「負の連鎖」が途切れ
なかったということです。


「ワクワクする商品がない」(柴田英二・商品担当執行役)
(P.31)という言葉が現況を物語っています。


岡田社長は、「イオンを『解体』」することを決断しました。
具体的には、「商品調達」部門と「トップバリュ」部門を
イオンリテールに戻すことです。



 3月1日、純粋持ち株会社であるイオンから、

 全社員の約半数が中核事業会社のイオンリテールに

 異動した。


 今回の改革では、時計の針を戻すかのように、

 その時に分離した各種機能を再び事業会社に移管する。

 5月末にはグループの共同仕入れを担い、年間7000億円

 の売り上げ規模を持つイオン商品調達を解散。PB開発を

 担ってきたイオントップバリュも、9月をメドに全ての機能を

 イオンリテールに移管する方針だ。
 

  (PP.032-033)



イオンに限らず、スーパー業界は成長戦略を実現し続ける
ためには、M&A(合併・買収)を繰り返すしかありません
でした。


ですが、増収減益となってしまっては元も子もありません。
どこに原因があったのかをみると、会社の規模が大きくなり、
いつしか縦割り組織になっていたことが挙げられます。


セクショナリズムが、はびこっていたことでしょう。
現場を重視する姿勢が薄れたことも原因の一つです。


イオンを「解体」する狙いを『日経ビジネス』は次のように
指摘しています。



 今回、イオンを「解体」することの狙いは、分断された

 各機能の距離を縮め、消費環境の変化に迅速に対応

 し得るように、組織を再構築することにある。

 そのため、まず、イオンリテールの社内カンパニーを、

 それぞれの地域を統括するバーチャルな事業会社と

 位置付けた。そして、カンパニー支社長の権限は実質的

 なCEO(最高経営責任者)と言えるほどに強化した。
 

  (P.033)



イオンは今までの買収では、「イオン化」してきました。
ですが、先述したマルナカの例のように、客離れが進んだ
ため、同じ轍を踏ない戦略転換を行おうとしています。


それは完全子会社化した「ダイエー」においてです。



 これまでの買収では、商品や売り場は基本的に“イオン化”した。

 だが、マルナカの事例で見た通り、それが客離れを招いた。

 岡崎(双一・イオンリテール 註:藤巻隆)社長は、「ダイエーの

 統合では、これまでの失敗は繰り返さない」と話す。
 

  (P.033)



結局、「顧客を最も知る現場の意見を最大限生かして商品を
開発し、仕入れ、売り場に並べる」(P.033)という商売の原点
に帰るということです。



イオン社長兼グループCEO 岡田 元也 氏

イオン社長兼グループCEO 岡田 元也 氏

(『日経ビジネス』 2015.04.27・05.04 合併号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04 合併号




自宅近くにダイエーがあります。
3階建ての建物の2階は、衣料品や靴のフロアですが、
いつも閑古鳥が鳴いています。


1階は、食料品や日用品のフロアで、ここに専門店街
が併設され、顧客の多くはこのフロアで買い物をします。


「全国にある281のダイエー店舗のうち、88店はこの秋、
イオングループに継承される」(P.033)ということですが、
自宅近くのダイエーがこの中に含まれているかは明らか
ではありません。


ダイエーを訪店して感じることは、「ワクワクする商品がない」
と実感しています。


イオンの改革は成功するのかどうか、現状のダイエーを
改革しないことには「お荷物」になるだけです。






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 イオン化 
 トップバリュ 
 解体 
 規模の復讐 
 知量 




次回は、
「PART 2 セブンに迫る、規模の復讐」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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ソニーが変われぬ 10の理由 2015.04.20 <3>


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日経ビジネスの特集記事(104)

ソニーが変われぬ 10の理由
2015.04.20



今週の特集記事のテーマは

戦後間もなく発足し、日本経済をリードしてきたソニーが
苦しみ続けている。
バブル崩壊後に陥った負のスパイラルから抜け出せず、
世界で圧倒的なブランド力を築いてきた面影はもはやない。
ソニーはどうすべきだったのか。そしてこれから何を
すべきなのか。

 (『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.026)

ということです。




ソニーが変われぬ 10の理由

ソニーが変われぬ 10の理由

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




今週の特集記事をご紹介する前に、
ソニーとともに、戦後生まれの日本を代表する企業、
ホンダについて少し触れます。


ソニー病を患っているのではないかという趣旨の特集
が、今年3月に『日経ビジネス』に掲載されました。


詳細は、

日経ビジネスの特集記事(99)
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(1)


日経ビジネスの特集記事(99) 
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(2)


日経ビジネスの特集記事(99) 
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(3)


に譲りますが、ホンダとソニーを語るうえで重要な
ポイントが2つの特集記事に書かれています。


ホンダとソニーの記事を読んだ限り、ソニーの問題
の方が深刻さが増幅していると感じました。





第1回は、
「Prologue 業績の回復の兆しも・・・
 元CFOの反乱が映す『遠き復活』」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 1 OB60人が語る『20年の迷走』
 だから私はソニーを見限った」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 悪循環を断つ唯一の方法
 まずは『普通の会社』になる」
「Epilogue 平井改革の行き着く先
 大人になったアップル 少年のまま抗[あがら]うソニー」
をご紹介します。


今週の特集で、PART 2に平井一夫社長兼CEOが
編集長インタビューに登場していますので、
詳細は

日経ビジネスのインタビュー(168) 
技術軽視していない 成果は出始めている


をご覧ください。




今特集のキーワードは次の5つです。

 反乱 
 迷走 
 普通の会社 
 自前主義の返上 
 ソニースピリッツ 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 悪循環を断つ唯一の方法
 まずは「普通の会社」になる 



PART 1 で、OBの方々が「怒り心頭に達した」
気持ちを、異口同音に語っていました。


PART 3 では、赤字会社からまず黒字に転換し、
「普通の会社」になることが先決である、
と『日経ビジネス』は説いています。


前回も書きましたが、2015年3月期(2014年度)の
最終損益は1700億円という巨額赤字の見通しです。


2015年度以降、最終損益を黒字転換するための手を
矢継ぎ早に打っているのかどうか、がポイントになります。



「2015年1月、米ラスベガスで開催された家電見本市
『コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)』」
(P.041)で見慣れない光景に遭遇したそうです。



 CESの中心であるラスベガスコンベンションセンター

 からシャトルバスで10分程度離れた別会場。

 無名のスタートアップ企業のブースが所狭しと並ぶ

 エリア「Eureka PARK」に、「MESH」と呼ばれる製品

 が展示されていた。


 実は、MESHはソニーが事業化を進めている商品。

 だが、ブースには「SONY」のロゴは入っておらず、

 一見するだけではソニーが関係しているとまず分から

 ない。

 「SONYというロゴを出すと、それだけで来場者が“

 とんでもない先進的な製品”じゃないかと期待する

 でしょう。そうではなくて、製品そのもののコンセプトや

 機能の魅力で、どこまで来場者に興味を持ってもらえるか、

 ニーズを把握したかった」。ブースで説明を担当していた

 プロジェクトメンバーはこう話す。
 

  (P.041)



あえてSONYのロゴを出さず、製品のコンセプトや機能の
魅力で顧客にアピールできるか「実験」したのです。


そもそも「MESH」とは何なのか、ということになります。



 簡単に言うと、MESHは電子ブロックだ。LEDライト、

 モーションセンサー、マイクなど様々な機能を持つ

 ブロックがあり、それらをつなぎ合わせて遊ぶ。

 ブロック間の機能はBluetoothでつながり、組み合わ

 せることで様々な物を自作できる。
 

  (P.041)



MESHはどの部署が担当しているのかと言いますと、
「2014年4月に発足した新規事業創出部」だそうです。


小さく産んで大きく育てるという戦略なのでしょうか?
それともリスクを最小限に抑えるため、「実験」して
いるのでしょうか?


個人的には、あまり大きなマーケットは期待できない
と思っていますが。いずれにせよ、SONYを全面に
出せない事情があることは理解出来ます。


新規事業創出部については、次のような説明がつい
ています。



 生活をひっくり返すまでにはいかなくても、

 驚かすぐらいの物は作りたい。そんな思いから、

 過去にソニーが立ち上げた新規事業創出のための

 組織にはない工夫を取り入れた。

 一つは開発のオープン化だ。オーディションの

 審査員には、ソニー関係者だけでなく、投資家や

 起業家などの外部の目を入れている。事業化に

 当たっても、ソニー本体に閉じず、事業部や子会社、

 他社との合弁、ソニーとは関係なく完全に独立、

 といった複数のパターンも想定している。
 

  (P.041)



インキュベーター(孵化器)のような機能をもたせている
のかもしれません。



従来と異なる点は、「事業化に際しては何でも自分たちで
手がけるようにした」(P.042)ことでしょう。
つまり、アイデアだけ出し、モノづくりをしないという、
丸投げは決してしないということです。



 事業化に際しては何でも自分たちで手がけるようにした。

 生産材が余った場合はどこかへ売って無駄にしない工夫

 など、細かなことまでやる。一から事業を立ち上げる経験

 を積むためだ。
 

  (P.042)



しばらく前までは「ちょっとでも意外性のある物を作れば
『採算は合うのか』の一言が飛んできた」環境と比較すれば、
前進といえるかもしれません。



 「ちょっとでも意外性のある物を作れば『採算は合うのか』

 の一言が飛んできた。それに対して、新規事業創出部は、

 エンジニアの意欲を刺激する仕組みになっている」とある

 技術系社員は話す。
 

  (P.042)



冒険することができなくなっていたと言えます。
チャレンジ精神が失われたのは必然です。



 巨額投資をして世の中を揺るがす商品を作るのは

 難易度が高くリスクもあり、現実問題としてもうできない。

 だからといって無難な商品ばかりでは利益は生まれない。

 ならばできる範囲で新しい商品を作っていく──。

 そんな普通の開発体制にいったん舵を切り始めたソニー。
 

  (P.042)



ソニーの名前から連想するものは何ですか?
古いものから言えば、ウォークマン、カセットデンスケ、
PS(プレイステーション)、デジカメ一眼レフ α・・・


ソニーの屋台骨を支えている事業は、エレキ
(エレクトロニクス)ではありません。金融です。
大きな利益をあげているセグメントは金融です。
ソニー銀行やソニー生命、ソニー損保です。


次の図をご覧ください。
あなたの予想を裏切ったのではないでしょうか?




エレキ分野で赤字が続いた一方、
映画と音楽、金融は安定的に黒字を維持
・ソニーのセグメント別の連結営業利益

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.043)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号



一目瞭然ですね。
「金融とエンタメはエレキを救う」という記事を
ご紹介しましょう。



 「生保と損保、銀行、いずれも売上高と利益で、

 2014年度は創業以来の最高の業績。足元では

 極めて好調」。

 ソニーフィナンシャルホールディングス社長の

 井原勝美氏は胸を張る。


 今や事業セグメント別で圧倒的な収益性を誇る

 のが金融事業。「ソニーグループの他の事業と

 バリューチェーンは異なるのは確か。

 だが、既存の金融機関とは異なるビジネスモデル

 や金融商品の開発で差別化し成長しており、

 この挑戦心はソニーのDNAそのもの」と井原氏は

 話す。


 「金融とエンタメは、いつか必ずエレキを救うと

 盛田さんは言っていた」と話すのは、50代の

 元ソニー社員。ここ数年は実際、その通りになった。
 

  (P.043)



「金融とエンタメはエレキを救う」という現状に、OBの
多くが批判的です。一番の理由は「ソニーらしさ」が
喪失したからだ、と考えています。



 PART1に登場したOBの多くは外販ビジネスの

 強化に対し「SONYの4文字がない商品を事業の

 柱にするのはおかしい。ソニーらしい最終製品を

 作るためのデバイス事業だったはず」と批判的だ。
 

  (P.043)



最近のソニーを見て感じることは、イメージセンサー
技術に特化してスマホやデジカメに導入していること
です。


前回紹介しましたが、Xperia Z4 が発売されました。
「カメラ携帯」というコンセプトを前面に出しています。
果たして、期待通りの成果を収めるでしょうか。



 2014年度決算見込みで、デジカメを含むイメージング

 製品部門の営業利益は、減収にもかかわらず前年比

 約2倍の530億円となっている。
 

  (P.044)



注目される点は、「自前主義の返上」です。
「共創」するようになったことは大きな前進だ、と考えて
います。


私が知るかぎりでは、「共創」という言葉を最初に使った
のは、シャープの元副社長、佐々木正さんです。
日本企業が弱くなったのは、自前ですべてまかない、
「共創」しないからだ、という内容の話をしたことがあります。


シャープは、三洋電機のように解体されるのではないか、
という瀬戸際に立っています。




ソニーは音楽配信サービスで動きました。



 音楽配信でも、「自前のサービスでは競争力を

 維持できない」(ソニー・コンピュータエンタテイン

 メント社長のアンドリュー・ハウス氏)と判断するや、

 音楽ストリーミングの新興企業、スウェーデンの

 スポティファイと提携を決断。自前の音楽配信

 サービスは終了し、PSからスポティファイのサービス

 を利用する形に切り替えた。

 
 売れる商品を作るには競争でなく“共創”が必要

 なのは今や世界中の企業での常識だ。

 ソニーは確かに、いったん「普通の会社」に向かい

 つつある。
 

  (P.044)



クラウド技術を使い、プレイステーションに<br />テレビ放送を配信する新サービス<br />「PlayStation Vue」

クラウド技術を使い、プレイステーションに
テレビ放送を配信する新サービス
「PlayStation Vue」

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.044)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号






 Epilogue 平井改革の行き着く先
 大人になったアップル 少年のまま抗[あがら]うソニー 



人間も企業も生き物です。
共通点は寿命です。
永遠に生き続けることはできません。

誕生 → 成長期 → 成熟期 → 衰退

遅かれ早かれ、この流れに乗り、一生を全うします。
流れに逆らうことはできません。 


ソニーの創業は1946年5月7日(『ソニー自叙伝』から
P.26)です。まもなく、古希を迎えます。


ソニーも、もはや若い会社ではありません。



 人間と同じように企業も年を重ねる。日経ビジネスは

 1983年、企業の寿命は30年であると提言。

 2013年には、競争環境の変化で寿命は18年まで

 短縮していると訴えた。ソニー本体の社員平均年齢は

 既に42歳を超え、会社設立から69年も経過している。
 

  (P.046)



ソニーの今後の戦い方について、早稲田大学ビジネス
スクール准教授の入山章栄氏は次のように指摘して
います。



 「人間も企業も、いつまでも少年のままの戦い方で

 勝ち続けられるわけはない。ある時点から、大人の

 戦い方に変えていく必要がある」。
 

  (P.046)



次のような指摘をする人もいます。



 経営共創基盤のCEOである冨山和彦氏も、

 「ソニーはもうすぐ古希。値崩れが激しく一気に

 シェアが変動するハイリスクハイリターンの事業

 からは距離を置き、長年の技術とノウハウの蓄積

 で差別化できる事業に軸足を移す必要があった」

 と指摘する。
 

  (P.046)



ソニーの方向転換に対して、『日経ビジネス』は
間違っていないと述べています。



 賛否両論はあろうが、年齢に応じた戦い方に

 切り替えて企業の寿命を延ばすという観点に

 立てば、ここまでの選択は間違っていない。
 

  (P.047)



「問題はむしろ、ここから先にある」(P.047)、
と『日経ビジネス』は指摘しています。



 当面は「映画」「音楽」「ゲーム・ネットサービス」

 「デバイス」の4分野で安定した収益を得る。

 だが体制が整えば、再び「人々を感動させ、

 わくわくさせる感性価値の高いエレキ製品」を

 開発し、井深、盛田の遺志を引き継ぐ。

 ずっと「普通の会社」のままでいるつもりはない──。

 これがソニーが中長期的に描く理想だ。

 だが、そんなことが可能なのだろうか。

 少なくとも世界を見渡しても、大企業にそうした

 芸当を成し遂げた例はない。欧米の大手企業は

 自身の成長と市場の変化に合わせて、事業や

 戦略を完全に切り替えている。
 

  (P.047)



今後のソニーには2つの選択肢があります。
「普通の会社で生き続けること」と「創業時のソニー
に戻ること」です。


どちらも容易ではない、というのが『日経ビジネス』
の結論です。



 仮に平井改革が成功し、普通の会社になった後、

 ソニーが進む道は2つある。一つは、そのまま普通

 の会社として生き続けること。もう一つは、再び往年

 の革新力を回復し、創業時の「あの頃のソニー」に

 戻ることだ。

 OBも現役社員も、平井氏も後者の未来を望んでいる。

 だが、「体と年齢が大人なのに心は少年のままで

 い続けることは、人も企業も難しい」と冨山氏は話す。

 平井改革の行きつく先には、誰も越えたことがない

 壁が待ち受ける。
 

  (P.047)






腕相撲に興じる、ソニー創業者の井深大氏(右)と、
盛田昭夫氏(左)。1961年当時の写真

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.047)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号






特集記事のタイトルになっている
「ソニーが変われぬ10の理由」
をもう一度ご覧ください。



ソニーが変われぬ<br />10の理由

ソニーが変われぬ 10の理由

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




ソニーも創業時はベンチャーだったのです。
この事実をもう一度、思い出してみることが不可欠です。



最後に、ソニー広報部が著した、

『ソニー自叙伝』
(ソニー広報部 ワック 2001年7月5日 初版発行)


盛田昭夫さんが著した、

『21世紀へ』
(盛田昭夫 ワック 2000年11月21日 初版発行)


立石泰則さんが著した、

『井深大とソニースピリッツ』
(立石泰則 日本経済新聞社 1998年3月25日 第1刷)

から引用します。






 「大きな会社と同じことをやったのでは、われわれは

 かなわない。しかし、技術の隙間はいくらでもある。

 われわれは大会社ではできないことをやり、技術の

 力で祖国復興に役立とう」

 資本金はわずか19万円。機械設備とてない。だが、

 お金や器械はなくても、自分たちには頭脳と技術が

 ある。これを使えば何でもできる。だがせっかくの頭脳

 も技術も、人の真似や他社の追従に使っていては道

 は開けない。何とかして人のやらないことをやろう。

 このときすでに、東京通信工業の進むべき道は決まっ

 ていたのである。
 

  (『ソニー自叙伝』 PP.26-27)





 私は常に、ショートサイトで判断し今年だけ儲かれば

 よい、というような商売はしない。誰からも評価される

 正当な経営を続け、信用を高めることが、ソニーの

 最大の社会的責任であり、またソニーの経営の根本

 原則であると確信している。
 

  (『21世紀へ』 P.137)





 私共の電子工業では常に新しいことを、どう製品に

 結び付けていくかということが、一つの大きな仕事

 であり、常に変化していくものを追いかけていくと

 いうのは、当たり前である。決まった仕事を、決まっ

 たようにやるということは、時代遅れと考えなくては

 ならない。ゼロから出発して、産業と成りうるものが、

 いくらでも転がっているのだ。これはつまり商品化に

 対するモルモット精神を上手に生かしていけば、

 いくらでも新しい仕事ができてくるということだ。
 

  (『井深大とソニースピリッツ』 P.11)





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 反乱 
 迷走 
 普通の会社 
 自前主義の返上 
 ソニースピリッツ 



ソニーの動向に今後も注目し続けます。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




ソニーが変われぬ 10の理由 2015.04.20 <2>


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日経ビジネスの特集記事(104)

ソニーが変われぬ 10の理由
2015.04.20



今週の特集記事のテーマは

戦後間もなく発足し、日本経済をリードしてきたソニーが
苦しみ続けている。
バブル崩壊後に陥った負のスパイラルから抜け出せず、
世界で圧倒的なブランド力を築いてきた面影はもはやない。
ソニーはどうすべきだったのか。そしてこれから何を
すべきなのか。

 (『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.026)

ということです。




ソニーが変われぬ 10の理由

ソニーが変われぬ 10の理由

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




今週の特集記事をご紹介する前に、
ソニーとともに、戦後生まれの日本を代表する企業、
ホンダについて少し触れます。


ソニー病を患っているのではないかという趣旨の特集
が、今年3月に『日経ビジネス』に掲載されました。


詳細は、

日経ビジネスの特集記事(99)
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(1)


日経ビジネスの特集記事(99) 
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(2)


日経ビジネスの特集記事(99) 
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(3)


に譲りますが、ホンダとソニーを語るうえで重要な
ポイントが2つの特集記事に書かれています。


ホンダとソニーの記事を読んだ限り、ソニーの問題
の方が深刻さが増幅していると感じました。





第1回は、
「Prologue 業績の回復の兆しも・・・
 元CFOの反乱が映す『遠き復活』」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 1 OB60人が語る『20年の迷走』
 だから私はソニーを見限った」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 悪循環を断つ唯一の方法
 まずは『普通の会社』になる」
「Epilogue 平井改革の行き着く先
 大人になったアップル 少年のまま抗[あがら]うソニー」
をご紹介します。


今週の特集で、PART 2に平井一夫社長兼CEOが
編集長インタビューに登場していますので、
詳細は

日経ビジネスのインタビュー(168) 
技術軽視していない 成果は出始めている


をご覧ください。




今特集のキーワードは次の5つです。

 反乱 
 迷走 
 普通の会社 
 自前主義の返上 
 ソニースピリッツ 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 OB60人が語る『20年の迷走』
 だから私はソニーを見限った 



Prologue で、現経営陣にかなり厳しい提案書がソニーOB
(経営の中枢にあった人たち)によって突きつけられていた
ことをお伝えしました。


PART 1は、さらに辛辣な批判が経営陣に向けられている
現状をご紹介します。


『日経ビジネス』特殊班は、今回の特集を企画するにあたって、
次のように書いています。



 本誌は、今回のソニー特集を企画するに当たり、

 過去20年間に及ぶ同社の実情をより深く探るため、

 本体の取材に並行しOB60人と接触。延べ120時間に

 及ぶインタビューを敢行した。
 

  (P.033)



『日経ビジネス』の方針として、憶測記事は書かない、
事実を丹念に追い、記事を書く姿勢を貫いたということ
になります。この点が、他の経済誌と一線を画す点だ、
と私は考えています。


これからご紹介するソニーOBの方々は、現経営陣に
辛辣な批判を浴びせていますが、それは取りも直さず、
ソニーを去っても、やはりソニーが好きだからだと思い
ます。ソニーを愛する気持ちは不変です。


それだけに、現状があまりに不甲斐ないと感じているの
でしょう。


まず、人事制度の改革から話を進めていきます。
多数のソニー社員にとって不満が爆発しそうな新人事
制度です。



 10年ぶりに改定される新たな人事制度の下では、

 管理職から一般社員まで給料を査定する上での

 年功要素を完全に排除。「社員が現在果たして

 いる役割」だけを厳密に評価する仕組みになる。

 本誌が独自に入手した社内資料によると、社員の

 およそ6割以上が減収の可能性があり、徐々に

 ではあるが最終的に月収で最大13万円、年収に

 して同150万~160万円減るケースもある。
 

  (P.030)


一言で言えば、「短期間で成果を出せ」と言うことです。
さらに言えば、人件費を削減するため、割増退職金を
払ってまで早期退職者を募っています。


さすがに減ってきたとは言え、相変わらず割増退職金
が多いことに驚きました。通常ではありえないことです。
そうでもしないと人員を減らせないと考えているから
です。



 約20年前から始まった構造改革による早期退職は、

 業界内でも「大量の人材を一気に減らしたい意図が

 丸見え」と揶揄されるほど、辞める者に破格の好条件

 を提示したものだった。一時は、通常の退職金に積み

 増される割増金は72カ月。50歳超の課長クラスで

 退職金は8000万円に達し、地方工場勤務者などの間

 でも“退職長者”が出現した。その後、割増金は徐々に

 下がったものの、まだ36カ月分が支給される。
 

  (P.031)



問題は、早期退職者を募ることによって、多くの人材
を失ったことです。


よくある話ですが、会社に残ってほしい人たちが退職し、
辞めてほしい人たちが残るというケースがあります。
ソニーがそうしたケースに当てはまらなけれよいのですが・・・。



3月31日で退職したA氏によると、構造改革は2014年度
が最後という可能性が高いと考え、退職したと話して
います。



 「平井さんは事あるごとに2014年度で構造改革を

 完了させると発言している。ならば、早期退職制度は

 今回で最後で、中高年は今後、新人事制度にいじめ

 られ自発的に辞めていく形になる。すぐ辞めて数千万

 円の割増金をもらった方が得だと子供でも分かる」

 (A氏)
 

  (P.031)



このような状況下で、「新人事制度は現役社員のモチ
ベーションにも暗い影を落としている」(P.031)そうです。


前回の Prologue に登場した元副社長の大曽根幸三氏
は2015~17年度の新中期経営計画について、次のように
語っています。



 例えば、2月に発表した2015~17年度の新中期

 経営計画。元副社長の大曽根氏は「今後、ソニー

 が何を生み出そうとしているのか分からない。

 投資家を喜ばすだけで、社員を鼓舞できない」と

 強調する。

 中でも、エレキ分野を事業ごとに分社する計画に

 ついては、「『経営の意思決定の迅速化』と会社は

 説明したが、事業を売却する意思決定を速めること

 としか思えない。いずれ事業ごと売却されるかも

 しれないのに、社員が意欲的に働く気になれるわけ

 がない」。
 

  (P.032)




ソニーの元副社長、大曽根幸三氏

ソニーの元副社長、大曽根幸三氏

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




ソニー出身の立命館大学教授、濱田初美氏は
次のように批判しています。



 「とにかく平井さんの言葉が軽すぎるため真意が

 分かりにくく、社内外や市場、マスコミからソニーの

 経営体制が疑問視されてしまう。これでは求心力も

 リーダーシップも生まれない」。ソニー出身の立命館

 大学教授、濱田初美氏はこう批判する。

 ソニー在籍時は経営戦略などを主に担当し、CEOの

 参謀機能も持っていた「ソニー中村研究所」の取締役

 を務めていた人物だ。

 「スラスラと饒舌に語るのではなく、経営者は自分の

 言葉で語れることが重要だと平井さんは理解していない。

 だから分社の話も、事業や社員を切り売りする準備で

 あるかのように伝わってしまった」と指摘する。
 

  (P.032)



立命館大学経営大学院教授の濱田初美氏

立命館大学経営大学院教授の濱田初美氏

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.031)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




なぜ、多くのOBがこうも批判的な意見を述べるので
しょうか? 決して、個人的な不満や怒りからだけ
とは思えません。


『日経ビジネス』は次のように指摘しています。



 多くの人が「余計なことばかりして、ソニーが立ち

 直るために本当に必要なことをやろうとしない」と

 感じているからだ。
 

  (PP.032-033)



では、どうしたらよいのでしょうか?
既出の濱田氏は次のような提言をしています。



 「時代の波を先読みし、新しい商品やサービスを

 世に送り出す力こそがソニーのすべて。そのパワー

 を取り戻すしか道はない」。立命館大の濱田氏は

 こう提言する。にもかかわらず、「1990年代以降の

 歴代経営陣は、その課題を先送りしてきた」(同)。
 

  (P.033)



1990年代以降の歴代経営陣とは誰で、どのような
経営をしてきたのか知りたいですね。


『日経ビジネス』特集班は直近のソニーの20年を
表にして示してくれました。



迷走とリストラが続いたソニーの20年(1)

迷走とリストラが続いたソニーの20年(1)

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.032)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号



迷走とリストラが続いたソニーの20年(2)

迷走とリストラが続いたソニーの20年(2)

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




2つの表で注目していただきたい点は、2つです。
1つは最終損益(白い折れ線グラフ)の推移です。
2012年度を除き、2008年度以降最終損益は赤字
続きで、2015年3月期(2014年度)も1700億円の
赤字の見通しです。


もう1つは削減者数(黄色地に黒文字)です。
過去6回大規模なリストラが行われましたが、
2013年度の5000人を除き、残り5回は1万人以上
でした。合計でおよそ7万8000人です。


早期退職者を含め、リストラされた社員全員が、
果たして余剰人員であったかどうかは一概には
言えません。ですが、私は決して全員が全員、
余剰人員というわけではなかった、と思っています。



もう一人、土井利忠氏の意見も聞いてみましょう。



 土井利忠氏。64年に入社し、AIBOやキュリオなど

 ソニーのロボット開発を率いたエンジニアで、

 上席常務を務めた経験を持つ。

 土井氏は、崩壊の始まりは、創業者の井深大氏や

 盛田昭夫氏が他界した約20年前だったと指摘する。

 具体的な転換点は、95年に出井伸之氏がソニーの

 社長に就任したこと。
 

  (PP.033-034)



出井伸之氏にすべての責任があるとは言えません。
なぜなら、関係者の証言から故・大賀典雄元社長の
負の遺産を引き継いだ経緯があるからです。



 「89年に映画会社を買収し、経営を現地任せにした

 ことで負債は一気に膨らみ、毎月の利息の支払いが

 100億円を超えた時期もあった。


 大賀(故・大賀典雄元社長)さんの負の遺産でもあった」

 と元経営企画部門担当者は話す。
 

  (P.034)



ただ、その反動があったのも事実です。
「『ソニーらしさを失った、他社と同じような商品』が
店頭に並び始めたのも事実で、業績は徐々に下降」
(P.034)したのです。



以前のソニーには、“奇人・変人”がいた、
と『日経ビジネス』は指摘しています。
ここでいう“奇人・変人”はプロフェッショナルであり、
超個性派とも言うべき存在です。一目置かれていた
のです。良い意味での「オタク」です。



では、現在の社員はどのような人たちなのでしょうか?



 残ったのは、奇人・変人とは対極に位置するスマートな

 社員だ。大曽根氏は、「現在のソニーの主流を占める、

 一流大学を成績優秀で卒業してきた人たちは失敗を

 恐れるから、製品として目新しいものが出てこない」と

 嘆く。
 

  (P.034)



簡単に正解が見つからないことは、「次の社長を誰に
すれば再生できるのか、どうすれば抜け出せるのか、
実は誰にも代替案がない」(ソニー・ミュージックエン
ターテインメント社長やソニー・コンピュータエンターテイ
ンメント会長を務めた丸山茂雄氏)(P.035)からです。



丸山氏は続けてこう語っています。



 「“斬新で高級なおもちゃ”を世に送り出すという

 創業時からのソニーの使命は、20年前の大賀さん

 の引退で、もう終わっていたんだよ」
 

  (P.034)



ダメ押しされたようなものです。




特集記事のタイトルになっている
「ソニーが変われぬ10の理由」
をここで披露しましょう。



ソニーが変われぬ<br />10の理由

ソニーが変われぬ 10の理由

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




10の理由すべてを一度に治すことができる「特効薬」は、
見当たりません。なぜなら、一つひとつが相互に絡み
合っているため、バラバラにして個別に解決できるほど
簡単な課題ではないからです。



『日経ビジネス』特集班が「今回のソニー特集を企画するに
当たり、過去20年間に及ぶ同社の実情をより深く探るため、
本体の取材に並行しOB60人と接触。延べ120時間に及ぶ
インタビューを敢行した」(P.033)後に、まとめた意見が次の
ものです。「ソニーOB60人が語るダメな理由」の一部をご紹介
しましょう。




ソニーOB60人が語るダメな理由

ソニーOB60人が語るダメな理由

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.035)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号





私の個人的な感想ですが、「成功の復讐」と「チャレンジ
精神の喪失」が大きな要因だ、と考えています。
一般的な言葉で言えば、「大企業病」ですが、ソニーだけ
の特質があるので「ソニー病」と言われるのでしょう。



ここに書かれている事柄にコメントするよりも、ソニー創業者
の言葉をご紹介したほうが良いと考えました。


盛田昭夫さんが著した、

『21世紀へ』
(盛田昭夫 ワック 2000年11月21日 初版発行)

という本があります。


私は、この本の中から名言をご紹介するために、
「言葉の迷宮」
というタイトルのブログで書きました。


この本の「第3章 マーケットの創造」の中に、
「ソニー・スピリット」という項目があります。
少々長いですが引用します。



 ソニーが目指しているものは、生産技術陣意図し

 企画した精神を、流通機構の末端にまでしみ通ら

 せるルートづくりである。いいかえるなら、ソニー・

 スピリットの理解者、同調者による販売機構を

 つくることである。そうすることによって、初めて

 ソニーが持つ、未来へのビジョンを実現することが

 できるはずである。しからば、ソニーが持っている

 ビジョンとはいったい何であろうか。

 それは、まさにソニーの今日までの歴史が描いて

 きた、「誰もやらないものを、ソニーにたずさわる

 すべての人間が協力の旗印のもとに、全世界に

 向かって生産し、販売することにより、人類の文化

 の向上に、日本の繁栄の一助に、役立てること」

 である。


 世界市場に対しても、日本市場に対しても、われ

 われソニーマンは、ソニーのビジョンを永遠に担い

 続けるべく、われわれの道を、われわれの手で切り

 拓いてゆくのである。
 

  (前掲書 PP.120-121)



盛田さんのソニー・スピリットに対する熱い気持ちが
伝わってきますね!



このソニー・スピリットの復活こそが、今のソニーに
とって非常に大切なものである、と固く信じています。






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 反乱 
 迷走 
 普通の会社 
 自前主義の返上 
 ソニースピリッツ 




最終回は、
「PART 3 悪循環を断つ唯一の方法
 まずは『普通の会社』になる」
「Epillogue 平井改革の行き着く先
 大人になったアップル 少年のまま抗[あがら]うソニー」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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ソニーが 変われぬ 10の理由 2015.04.20 <1>


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日経ビジネスの特集記事(104)

ソニーが変われぬ 10の理由
2015.04.20



今週の特集記事のテーマは

戦後間もなく発足し、日本経済をリードしてきたソニーが
苦しみ続けている。
バブル崩壊後に陥った負のスパイラルから抜け出せず、
世界で圧倒的なブランド力を築いてきた面影はもはやない。
ソニーはどうすべきだったのか。そしてこれから何を
すべきなのか。

 (『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.026)

ということです。




ソニーが変われぬ 10の理由

ソニーが変われぬ 10の理由

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号




今週の特集記事をご紹介する前に、
ソニーとともに、戦後生まれの日本を代表する企業、
ホンダについて少し触れます。


ソニー病を患っているのではないかという趣旨の特集
が、今年3月に『日経ビジネス』に掲載されました。


詳細は、

日経ビジネスの特集記事(99)
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(1)


日経ビジネスの特集記事(99) 
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(2)


日経ビジネスの特集記事(99) 
こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(3)


に譲りますが、ホンダとソニーを語るうえで重要な
ポイントが2つの特集記事に書かれています。


ホンダとソニーの記事を読んだ限り、ソニーの問題
の方が深刻さが増幅していると感じました。





第1回は、
「Prologue 業績の回復の兆しも・・・
 元CFOの反乱が映す『遠き復活』」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 1 OB60人が語る『20年の迷走』
 だから私はソニーを見限った」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 悪循環を断つ唯一の方法
 まずは『普通の会社』になる」
「Epilogue 平井改革の行き着く先
 大人になったアップル 少年のまま抗[あがら]うソニー」
をご紹介します。


今週の特集で、PART 2に平井一夫社長兼CEOが
編集長インタビューに登場していますので、
詳細は

日経ビジネスのインタビュー(168) 
技術軽視していない 成果は出始めている


をご覧ください。




今特集のキーワードは次の5つです。

 反乱 
 迷走 
 普通の会社 
 自前主義の返上 
 ソニースピリッツ 




では、本題に入りましょう!


 Prologue 業績の回復の兆しも・・・
 元CFOの反乱が映す「遠き復活」 



驚きました。
元ソニーの経営幹部の一人が、ソニーの現経営陣に
厳しい提言書を送っていたのです。



 2015年1月19日。東京・品川のソニー本社に、1通の分厚い

 封書が届けられた。A4用紙で50枚分にもなる封書の宛名は

 ソニーの取締役など「ソニー経営陣」。

 送り主は、ソニーの初代CFO(最高財務責任者)やソニー銀行

 会長まで務めた大物OB、伊庭保氏だ。


 提言書は、取締役会改革を中心としたエレクトロニクス事業の

 再生案などで構成される。


 「技術軽視の経営こそが約20年もの間、斬新なヒット商品や

 サービスを全く出せなくなった最大の原因」というのが主張の

 骨子だ。

 「ソニーの経営者は技術の先読みができなくてはならない。

 最低限、技術系の生え抜き取締役を複数選任し、技術トレンド

 を見通せる経営陣にしてもらわないと、エレキ事業の再生は

 ない」。

 伊庭氏は、業績低迷が続く古巣へのいら立ちを抑えるかのように、

 こう吐露した。明言は避けたものの、現在の経営者はソニーに

 ふさわしくない、との本音が透ける。
 

  (P.028)


ここでいう「エレキ」とはエレクトロニクスを指しています。


こうした提言書はこれが初めてではありませんでした。



 伊庭氏は既に2014年11月、ソニーの取締役会議長の永山治氏、

 社長兼CEO(最高経営責任者)の平井一夫氏、現副社長兼CFO

 の吉田憲一郎氏に宛て、ほぼ同じ内容の提言書を届けている。

 提言書は事前にデータで送付し、11月中旬に本社へ行き、広報

 担当役員に改めて手渡したという。
 

  (P.028)



伊庭氏は、「世界のソニー」の復活を熱望しているのです。
そして、「世界のソニー」を復活させるためには、経営陣が技術畑
出身であることが必要不可欠である、と提言したのです。



ソニー元CFO、伊庭 保 氏

ソニー元CFO、伊庭 保 氏

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.028)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号

* CFO: 最高財務責任者 Chief Financilal Officer





ソニーの平井一夫・社長兼CEO(左)、
吉田憲一郎・副社長兼CFO(中)、
永山治・取締役会議長(右)

(『日経ビジネス』 2015.04.20 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.04.20 号





問題は、こうした提言を行なったのは伊庭氏だけではなかった
ことです。


 「技術が分かる人材を経営陣にもっと増やし、取締役会にも

 入れろと6年前に提言したのに、全く実行されていない」。

 井深大氏や盛田昭夫氏の薫陶を直接受けたウォークマン

 開発の立役者で、ソニー副社長を経験した大曽根幸三氏も、

 長期にわたって続く技術軽視の経営体制に堪忍袋の緒が

 切れつつあるOBの一人だ。

 大曽根氏もまた2009年、ソニー経営陣を批判するいわくつき

 の文書を配布した過去を持つ。当時のハワード・ストリンガー

 会長兼CEOが、社長だった中鉢良治氏を更迭し、社長を兼務

 したことを問題視したのだ。
 

  (P.028)



「ソニー経営陣を批判するいわくつきの文書を配布」と書いて
ありますが、「当時のソニー広報があらゆる手を尽くして、同文書
の内容がマスコミに流出するのを阻止した、とされる」ということ
から、文書の内容がいかに厳しいものであったかを物語って
います。



 ソニーのエレクトロニクス技術を理解しないストリンガー氏が

 社長を兼務することに警鐘を鳴らし、技術系の人材を腹心に

 就けよと提言した内容。当時のソニー広報があらゆる手を

 尽くして、同文書の内容がマスコミに流出するのを阻止した、

 とされる。
 

  (P.029)



伊庭氏と大曽根氏はソニーOBであるばかりか、ソニーの株主
でもあります。株主総会が近づくにつれ、現経営陣は針のむしろ
に座られた気分を味わうことになるのでしょうか?



 伊庭氏や大曽根氏に限らず、ソニーで役員を経験した

 大物OBの多くは現在、ソニーの株主でもある。6月下旬の

 株主総会を前に、伊庭氏や大曽根氏の動きがどこまで

 広がるかは未知数だが、ソニーOBの間で情報交換が

 活発化しているのは紛れもない事実だ。
 

  (P.029)



ここで、ソニーの原点とはどのようなものであったのか、
振り返ってみましょう。


なぜなら、編集長インタビューで平井社長は、
「今後、創業者である井深大さん、盛田昭夫さんがどうして
この会社を作ったのかを自分なりに解釈し、夢を実現して
いきます」
と語っているからです。


ノンフィクション作家の立石泰則さんが著した、

『井深大とソニースピリッツ』
(立石泰則 日本経済新聞社 1998年3月25日 第1刷)

という本があります。


この本の中からソニーの原点とも言える内容の箇所を
引用してみます。


元ソニー社長、出井伸之さん、同じく元ソニー社長、
大賀典雄さん、そしてソニー(東京通信工業)出身で
ノーベル物理学賞受賞の江崎玲於奈さんの言葉です。


 元ソニー社長、出井伸之さん 


 ルールを作る人とルールフォロアー。ルールを

 ブレイクするということ。このバランスがよくとれて

 いる組織というのが、井深さんの時代からソニー

 が続けてきたものです。


 ソニーがやらなければならないのは、自分で自分

 自身のルールをブレイクしていくことなのです。

 それが企業が伸びていくポイントではないでしょうか。
 

  (前掲書 P.228)




 井深さんが示してくれたチャレンジ精神、一時の成功

 にとらわれないで絶えず前進しようとする姿勢、

 そして夢を追い続けるスピリッツをソニーグループ全体

 に浸透させなければ、「新しいソニー」もないように

 思います。

 井深さんは本当に「ドリーム・キッズ」でした。
 

  (同 P.243)


ソニースピリッツについては次のように書かれています。

「『人真似はしない。人のならないことをやる』という
井深の精神=ソニースピリッツこそがソニーの基本理念」

(同 P.242)




 元ソニー社長、大賀典雄さん 


 ソニーの社長は技術がわかる人じゃなきゃ駄目なんです。

 これが絶対条件です。それと同時に、ソニーは世界最大の

 レコード会社とふたつの映画会社を持っていますから、

 そういうソフトに対する理解がなければ、これまたソニーの

 社長になれないわけです。
 

  (同 P.231)




 ソニー(東京通信工業)出身でノーベル物理学賞
受賞の江崎玲於奈さん 



 私が何よりも井深さんに共鳴したところは指針を何処に

 求めるかと言うことです。多くの人達は過去を訪ねて

 そこに今後の指針を求めようとします。 "visit the past

 to find a guide "です。温故知新、言わば、将来は現在

 の延長線上にあると見るのです。ところが井深さん、

 あなたは将来を訪ねてそこに指針を見出そうと努力

 されました。過去のしがらみに捉われずにものを考え

 られました。 "visit the future to find guide"(原文のママ)

 です。言うまでもなく、過去はちゃんとドキュメントされて

 いますが、未来は未知です。しかし未知を探求する処に

 こそチャレンジがあるのです。勿論、井深さんあなたは

 論理的というよりもまれに見る鋭い直感でこのチャレンジ

 に応じられました。そこには、リスクがあり、 "creative

 failure :創造的失敗" は付き物です。しかし、あなたは

 それを乗り越える勇気と英知を備えておられたことに

 深く敬意を表したいと思うのです。
 

  (同 P.257)




いかがでしたでしょうか?
ソニースピリッツ、創業の精神というものがおぼろげながら
理解できるのではないでしょうか。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 反乱 
 迷走 
 普通の会社 
 自前主義の返上 
 ソニースピリッツ 




次回は、
「PART 1 OB60人が語る『20年の迷走』
 だから私はソニーを見限った」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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主役はベンチャー パナソニックが脇役に 大手は子に従え 2015.04.13 <3>


DMM FX×あいまいみー




日経ビジネスの特集記事(103)

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え
2015.04.13



今週の特集記事のテーマは

ウエアラブルやロボット、自動運転など、次世代産業分野で
日本の大手から画期的な製品が生まれてこない。
自前主義などの旧来の枠組みから脱しきれず、
イノベーションの壁にぶち当たっている。
そんな中、ユーザーニーズを素早くくみ取り、画期的な製品を
繰り出すモノ作りベンチャーが続々登場した。
大手が開発を牽引する「主」の立場から、ベンチャーの言うが
ままに技術や部品を差し出す「従」へ。
この主役交代の歯車は既に回転を始めた。このまま大手は
なすすべもなく転落していくだけなのか。いや、そうではない。
「逆転の構図」の中にこそ、日本のモノ作りを再生するヒントが
隠されている

 (『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.026)

ということです。




主役はベンチャー<br />パナソニックが脇役に<br />大手は子に従え

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





今週の特集記事のタイトルは、「大手は子に従え」です。
もちろん、「老いては子に従え」にかけて表現しています。


主役はベンチャー企業になってきていて、大手企業は脇役
となり、協業することで、相互補完関係が出来上がりつつ
ある現在を、『日経ビジネス』は多くの事例を交えて紹介して
います。


そこには、大手企業が革新的な製品を生み出す力が衰えて
きたと見ることもできます。冒険する、チャレンジする精神が
弱まってきた、と言っても過言ではないでしょう。


歴史を振り返るまでもなく、未来永劫存続するものなどない、
と断言できます。生老病死は人間だけに当てはまることでは
なく、「生きとし生けるもの」すべてに共通する概念です。


企業も「法人」という生き物と考えれば、人間と同じ運命を辿る
ことは避けられません。


唯一、存続し続けることができるとすれば、それは自己変革が
できた場合です。従来のやり方を踏襲し続ける限り、いずれ
終焉を迎えます。





第1回は、
「PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
を取り上げました。


最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




では、本題に入りましょう!


その前に、まず、シリコンバレーの位置を Google Earth で
確認しておきましょう。


1994年にシリコンバレーに移り住み、1997年に
コンサルティング会社、ミューズ・アソシエイツを
シリコンバレーで創業し、現在も米国在住の
梅田望夫(うめだ・もちお)さんは
『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』
(ちくま文庫 筑摩書房 2006年8月10日 第1刷発行)
を出版しています。


この本の「プロローグ」の右ページ(P.12)にシリコン
バレーの地図が掲載されています。


その下に次のキャプションが書かれています。



 シリコンバレーという地名はない。「どこからどこまでが
 
 シリコンバレー」という厳密なコンセンサスもない。

 サンフランシスコ湾の東側と西側の山の間にあるから

 バレー(谷)。でも実際にはバレーの一部は海だ。

 湾の西側からシリコンバレーは発祥したが、サンフラン

 シスコやバークレーをも含むこの地図がカバーする全体
 
 (現地では「ベイエリア」と呼ぶ)を「広義のシリコンバレー」

 と呼んでよいと思う。(筆者)
 

  (前掲書 P.12)



前掲書の地図に近い状態を Google Earth で再現してみました。


シリコンバレー Google Earth による

シリコンバレー Google Earth による




次の地図は、シリコンバレーで最初に創業した、ヒューレット・
パッカードの所在地周辺を示すものです。


ヒューレット・パッカードとその周辺 Google Earth による

ヒューレット・パッカードとその周辺 Google Earth による




次の画像は、ヒューレット・パッカードの建物とその周辺を示すものです。

ヒューレット・パッカード Google Earth による

ヒューレット・パッカード Google Earth による




前置きが少し長かったかもしれませんが、シリコンバレーの
地理関係と、ヒューレット・パッカードを知っておくと、
これからお伝えする記事内容が、よりいっそう深く理解できる
もの、と考えました。


『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』から
何度か関連情報をご紹介します。




 大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い 



シリコンバレーに優秀な技術者を送り込めば、イノベーション
が生まれると考えるのは早計だ、ということが指摘されて
います。



 シリコンバレーに駐在員を何人か置いて、新製品の開発

 拠点を設ければ、イノベーティブな製品が生まれると勘違い

 している日本企業は多い──。

 米シリコンバレーに20年以上在住し、近隣の工場に生産

 設備を販売する傍ら、日本の町工場のシリコンバレー進出

 を手助けする、ある経営者は語る。


 少し考えれば分かるが、優秀な技術者を現地に送り出した

 ところで、イノベーションを生む努力を怠っては何も変わらない。

 多くのメーカーはただ社員を送り出すだけだが、

 「イノベーションを生むためにすべきこと」は駐在員に伝えて

 いない。
 

  (P.034)



海外駐在員が日本人たちだけで集まり、地元に溶け込もう
としないということは、よく指摘されることです。


国内でやってきたことを海外でも同様にやっていては、
イノベーティブな製品が生み出されるはずがないことは
誰にでも分かることです。


ですが、実態は国内と変わりません。



 真面目な駐在員だったとしても、手をつけるのは日本で

 やっていたことと同じ「既存製品の市場調査」くらい。

 これでは、これまでの枠組みにとらわれない全く新しい

 製品など、生み出せるはずもない。

 にもかかわらず、シリコンバレーに拠点を構えようという

 日本企業は後を絶たない。
 

  (P.034)


日本の悪弊である横並び思考がはびこっているのです。


では、「シリコンバレーに赴く駐在員がすべきことは何か」
(P.035)ということになります。


『日経ビジネス』特集班は、次のような提言をしています。



 現地のモノ作りベンチャーやIT(情報技術)ベンチャー、

 投資家と積極的に交わることで、イノベーションの種を

 見つけるのが一つ。


 現地の人材をどんどん雇い入れるのもいいだろう。

 前出の日本人経営者がここ数年で見てきたのは、

 韓国や中国の大手スマートフォンメーカーが次々と巨大な

 開発拠点を構え、シリコンバレーにあふれる優秀な技術者を、

 数千人レベルで雇い入れる姿だ。

 「日本もここまでやれば変革を起こせるかもしれないが、

 なかなか資金がないのだろう」。
 

  (P.035)



大手企業の勘違いが多いという指摘に、経営トップはどう対処
するのでしょう?


 「斬新な製品を開発するベンチャーへの投資を増やせば、

 おのずと自社に新しい風を吹き込める」という幻想だ。

 むろん、やり方次第でそれも可能だが、実際はそうはならない。

 ベンチャーの発想を大手が取り入れるどころか、逆に大手の

 考え方や尺度を出資先のベンチャーに押し付けることで、

 ベンチャーの輝きを失わせてしまうからだ。

 ある経営者は言う。「輝かしい成功体験を持っている“おじさん”

 ほど、自分の考え方や物事の見方を相手に押し付ける傾向が

 ある」。

 そして、こう言い切った。「でも、彼らの成功体験は昔の話。

 昔はそれが正解でも、今は市場もモノ作りを取り巻く環境も

 違う。だから、僕らは僕らの感覚で経営をするために、

 そんなおじさんのいる会社の出資は受けない」。
 

  (P.035)



過去の成功体験を自慢していても、時代も環境も大きく
変わった現在では、通用しないということに気づいて
いないのです。


過去に成功した手法を繰り返し、マーケットからしっぺ返しを
食らうことを「成功の復讐」と言いますが、彼らには恐らく
理解できないでしょう。


シリコンバレーとはどんなところだったのか、梅田望夫さんの
『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』
から、再度、関連した話を拾い出してみます。



 ベンチャー企業の創業者たちは、自分たちの給料、雇った

 社員の給料、開発費、オフィスの経費などを支払いながら、

 手元の資金が尽きるまでの間に、アイデアを「大きな価値を

 現実に生み出す製品やサービス」に創り変え、それを世に

 問うというゲームを始めるのである。その途上で資金が尽き

 れば、同じ出資者からの増資を受けたり、その時点までの

 進捗成果に賭ける新しい資金を調達して、また走り続ける。

 成功して株式を公開すれば、何千万ドル、何億ドルという

 価値の株式をベンチャー・キャピタル、創業者共々保有する

 ことになる。これがシリコンバレー・ドリームである。

 一方、残念ながら、資金尽き、力尽きて倒れても、ベンチャー・

 キャピタルからの資金は借金ではないし、事業と個人の間に

 明確な一線が引かれているから、経営者の個人資産にまで

 その債務が及ぶことはない。
 

  (前掲書 P.26)



大きなリスクを負っているように見えて、実際には決して
そのようなことはないことが、梅田さんの話から分かります。


日本では、金融機関から融資を受ければ、元本プラス利息の
返済に窮する可能性があるだけでなく、通常、創業者が連帯
保証人に指定されますから、個人資産まで根こそぎ持って
いかれます。


自己破産するしか道が残されていないケースが多いです。
その点で、ベンチャー・キャピタルから資金を調達した場合には、
借入金ではありませんから、返済の義務がありません。


米国のベンチャー・キャピタルは、投資して千三(せんみつ)、
千に三つあるいは、百に一つでも大化けしたら大儲けできる
という捉え方をしています。それで大成功なのです。


10社に投資して、10社が大きく成長することなどありません。
途中で潰れてしまうことは日常茶飯事です。




最初にご覧いただいた Google Earth の最初の地図で、
スタンフォード大学の所在地地点に赤いマークで黒文字の
A が見えると思います。


スタンフォード大学がどのような位置づけなのか、前掲書
で解説を読んでみます。



 スタンフォード大学は、言うまでもなくシリコンバレー発祥

 の地である。


 スタンフォード大学とシリコンバレーは、「産学協同」といった

 生やさしい響き以上の、産業が大学の中に手を突っ込んで

 常時かきまわしているような「産学一体」とも言うべき混沌と

 した関係にある。


 もともとは、1938年スタンフォード大学のターマン教授が、

 指導していた二人の学生ヒューレットとパッカードに事業化

 を勧め、資金調達に加え、自らも資金を提供して応援した

 のがシリコンバレーの始まりである。 
 

  (PP.41-42)



スタンフォード大学は「シリコンバレー発祥の地」だったのです。




 PART 3 日本企業が進む道
 「相手が生きれば自己も生きる」 


今特集も最後となりました。
PART 3では、『日経ビジネス』が松下幸之助氏の著書から
言葉を引用して、日本企業が進むべき道を示唆しています。


時代は変わりつつある、いや既に変わったと認識するべき
かもしれません。


世の中の動きはどんどん加速し、誰も止めることはできません。
波に乗っていけるか、いけないかは、いつの時代にも共通する
勝敗の分かれ目です。



 大手企業こそが日本経済の主役であり、中小企業や

 ベンチャーはそれに従う。長く続いてきた、そんな役割

 分担は、根底から変わろうとしている。

 この20年間、インターネットの登場やその普及とともに、

 IT(情報技術)分野でイノベーションの担い手は大手から

 ベンチャー企業へと転換した。その現象が今、モノ作りの

 分野でも起き始めたことは、既に見た通りだ。 
 

  (P.042)



どうような変化が起きたのかもう一度、確認してみましょう。



 優れたアイデアがあれば、少額の初期資本で簡単に製品

 を開発できる環境もできてきた。クラウドファンディングや

 3Dプリンターの登場などで、そうした流れは更に加速して

 いる。
 

  (P.042)



グーグルについて言及しています。



 見習うべき一つのケースが米グーグルだ。ネット業界に

 君臨し続け、今でも優秀な技術者集団であることに疑いの

 余地はない。

 ところが近年、グーグルが自ら生み出したイノベーションは

 意外に少ない。動画サイト「ユーチューブ」、スマートフォン用

 OS「アンドロイド」、ロボット事業──。むしろ他のベンチャー

 を買収し、そのアイデアをうまく生かして育てているものが

 ほとんどだ。


 グーグルの戦略は、米国における膨大なベンチャーの起業数

 に支えられている。「量」があるからこそ、高い「質」のベンチャー

 も数多く生まれる。そして、そこへ多額の投資資金が流れこむ

 というサイクルの上で、機能している。
 

  (P.042)


グーグルのケースを考えますと、日本でも可能性が高い一つの
手法が浮かび上がってきます。


それは「大手とベンチャーが補完し合うこと」(P.043)です。



 ここで浮かび上がるのは、大手とベンチャーが補完し合う

 ことが、日本企業の競争力を高める決め手になる可能性だ。

 ベンチャーのリスクが抑えられ、起業数も増えてくるはずだ。

 その関係も、もちろんこれまでとは変わる。時と場合により、

 主従は柔軟に逆転するだろう。 
 

  (P.043)



ここで、『日経ビジネス』特集班は、「巨大企業も、もともとは
ベンチャーだった」(P.043)という観点から、パナソニック
(旧松下電器産業)の創業者、松下幸之助氏の著書、
『道をひらく』から引用しています。



 「自己を捨てることによってまず相手が生きる。

 その相手が生きて、自己もまたおのずから生きる

 ようになる」

 プライドにとらわれず謙虚に相手を生かすことの

 重要性を説いている。それこそが、自己も生き残る道

 であると。

 「大手が主役でなければならない」という固定観念を捨て、

 革新を追求するという原点に戻れば、おのずと進むべき

 道が見えてくるはずだ。
 

  (P.043)



最後に、もう一度、梅田望夫さんの
『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』
から引用します。



 「なんでもかんでも、すべては個人の中から生まれるんだ。

 会社からじゃないんだ。価値を生み出すのは会社ではなくて

 個人なんだ。日本人でそういうモノの考え方をする奴に初めて

 会ったよ」。彼は急にまくしたてるように話した。それから二人

 の関係は全く違う親密なものになった。それは仕事の付き合い

 が個人と個人の関係に変わった瞬間でもあった。
 

  (P.208)



ここで「彼」というのは、大物です。



 ゴードン・ベル。コンピュータ産業育ての親の一人。

 70年代から80年代に一世を風靡したPDP/VAXシリーズ

 (DEC社)というコンピュータを設計したアーキテクト

 (建築家の意)として有名である。DECの技術担当副社長、

 カーネギーメロン大学コンピュータ学科教授を経て、

 米国政府のコンピュータ研究開発予算の配分を任されて

 いた時期もある。


 彼は、いくつものベンチャー企業に個人として投資する

 エンジェルでもある。
 

  (PP.206-207)





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 



いかがでしたでしょうか?
私たち一般人は、世の中の変化を観察しながら、
一歩一歩地道に歩んでいくことが大切だと思います。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




主役はベンチャー パナソニックが脇役に 大手は子に従え 2015.04.13 <2>


DMM FX×あいまいみー




日経ビジネスの特集記事(103)

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え
2015.04.13



今週の特集記事のテーマは

ウエアラブルやロボット、自動運転など、次世代産業分野で
日本の大手から画期的な製品が生まれてこない。
自前主義などの旧来の枠組みから脱しきれず、
イノベーションの壁にぶち当たっている。
そんな中、ユーザーニーズを素早くくみ取り、画期的な製品を
繰り出すモノ作りベンチャーが続々登場した。
大手が開発を牽引する「主」の立場から、ベンチャーの言うが
ままに技術や部品を差し出す「従」へ。
この主役交代の歯車は既に回転を始めた。このまま大手は
なすすべもなく転落していくだけなのか。いや、そうではない。
「逆転の構図」の中にこそ、日本のモノ作りを再生するヒントが
隠されている

 (『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.026)

ということです。




主役はベンチャー<br />パナソニックが脇役に<br />大手は子に従え

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





今週の特集記事のタイトルは、「大手は子に従え」です。
もちろん、「老いては子に従え」にかけて表現しています。


主役はベンチャー企業になってきていて、大手企業は脇役
となり、協業することで、相互補完関係が出来上がりつつ
ある現在を、『日経ビジネス』は多くの事例を交えて紹介して
います。


そこには、大手企業が革新的な製品を生み出す力が衰えて
きたと見ることもできます。冒険する、チャレンジする精神が
弱まってきた、と言っても過言ではないでしょう。


歴史を振り返るまでもなく、未来永劫存続するものなどない、
と断言できます。生老病死は人間だけに当てはまることでは
なく、「生きとし生けるもの」すべてに共通する概念です。


企業も「法人」という生き物と考えれば、人間と同じ運命を辿る
ことは避けられません。


唯一、存続し続けることができるとすれば、それは自己変革が
できた場合です。従来のやり方を踏襲し続ける限り、いずれ
終焉を迎えます。





第1回は、
「PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
を取り上げます。


最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて「従」となり革新力を鍛え直す 



PART 1 では、大企業の活力が失われ、ベンチャーとの
協業を模索する様子をお伝えしました。


PART 2 では、さらにもう一歩進み、大企業がベンチャー
の「従」となる、主従関係の逆転現象が起きている現場を
『日経ビジネス』は活写しています。


もちろん、これが全てではありません。従来通りの主従関係
を堅持している業界も多数あることでしょう。


ですが、主従関係の逆転現象は珍しいことではなくなって
きた、というトレンドを頭に入れておく必要があります。


元米大統領のジミー・カーター氏は自著で次のように語って
いたことを思い出しました。シチュエーションがどういうもの
であったかは覚えていません。


本来、言葉は文脈の中で捉えるべきであることは、重々承知
していますが、自分なりの解釈でご紹介します。


Once a ball goes down the slope, it's hard to stop it.
(ボールが一度坂を転がりだすと、止めることは容易でない)


物事がある方向へ進み出すと、大きな流れになることがあり、
その流れを食い止めることはなかなかできない、ということ
です。




 大手企業からイノベーションが生まれず、ベンチャーに

 頼らざるを得なくなっている。PART1では主役が交代

 する最前線で、戸惑う大手と躍進するベンチャーの姿を

 描いた。


 この動きはもはや止めようもない。ならば、その流れに

 乗って新しい形の成長を目指してはどうか。大手が時には

 戦略的に従の立場に徹することも、勝ち残るための有力な

 手段になるはずだ。
 

  (P.036)



大企業が「従」となり、ベンチャーと組んでビジネスを展開
しているケースをご紹介しましょう。



 Qrio 


Qrio という会社があります。この会社はソニーと協業し、
スマートフォンを使った「スマートロック」という装置を
開発しました。


 昨年12月、ネット上で「Qrio(キュリオ)」という企業が

 発表した、ある製品が注目を集めた。

 スマートロックと呼ばれる装置で、無線通信機能と鍵

 を回すモーターが内蔵されている。家のドアの鍵に

 取り付ければ、スマートフォンで鍵の開閉ができる。

 家を貸し借りしたり、掃除サービスを利用したりする際に、

 面倒な鍵の受け渡しが必要なくなる。
 

  (P.036)



Qrioの社長について紹介しておきましょう。



 「Qrio」という社名は、かつてソニーが開発していた

 2足歩行ロボットのブランド名「QRIO」から取った。

 社長の西條晋一は、インターネットベンチャー、

 サイバーエージェント出身だ。ソニーが4割を出資する、

 同社のグループ会社である。 
 

  (P.037)


ソニーが4割を出資しているので、ソニーの子会社かと理解
されそうですが、実はそうではありません。


Qrioが主導権を握っています。
どのような関係にあるのか詳しく見ていくことにしましょう。
従来の考え方からすると、全くありえないような内容です。



 企画、立案、販売などは、Qrioが手掛ける。その指示を

 受けたソニーの社員たちが、実行部隊として駆け回り、

 製品化に結びつけた。製品はあくまでQrioブランド。

 ソニーは下請けとして動いた形だ。
 

  (P.037)



「ソニーが下請け?」という疑問を持たれるのも無理はあり
ません。ソニー側には「ある狙い」があったのです。
その狙いとは?



 狙いは、あえて自分が従の立場につき、Qrioの言う通りに

 動くことによって、ソニー内部で知らず知らずのうちに出来

 上がってしまった固定観念や枠組みを破壊することにあった。

 そして、失われてしまった豊かな発想とスピード感を取り

 戻そうという狙いだ。ソニーは自ら戦略的に主従を逆転させた

 わけだ。
 

  (P.037)



つまり、ソニー内部に巣食っていた「ゆでガエル」「井の中の蛙」
と言った、チャレンジ精神の喪失に対し刺激を与える意味があっ
たのです。


社内ではなかなか改革できないことを、外部との協業によって、
発想の転換や新しいことに挑戦することの重要性を実感させる
ためだったのです。


この協業を通じてソニー社員が得たものは決して小さくはなかった
ということです。



 Qrioでの経験は、プロジェクトに参画したソニー社員たちに

 とって驚きの連続だった。その一つが、価格決定のプロセスだ。

 ソニー流の考え方で部品価格や在庫リスクを積み上げると、

 価格はどうやっても数万円になる。ところが、西條社長は

 「税抜きで1万5000円。そうでないと売れません」と言い放った。 
 

  (P.037)



価格決定のプロセスには2つあることを理解しておきましょう。
1つは「プロダクトアウト」で、もう1つは「マーケットイン」です。


「プロダクトアウト」というのは、原価+利益=販売価格という
もので、項目を積み上げて価格決定していく方法です。
足し算です。


先の話で言いますと、ソニー流の考え方です。これは「強者の
戦略」と言い換えてよいでしょう。殿様商売ができる場合です。


「マーケットイン」は、「はじめに販売価格ありき」という考え方
です。つまり、販売価格-利益=原価で表されます。
引き算です。一定の利益を確保するためにはコストダウン
しなければならないということです。
これは、Qrioの考え方です。


別の言い方をしますと、「プロダクトアウト」はメーカーの発想で
あり、「マーケットイン」は販売店の発想あるいは、消費者の発想
です。


価格戦略はとても重要です。消費者が、価値を認めてくれ、
この価格なら購入してくれるだろう、という適正価格を決めること、
すなわち「値決め」が重要であることは、京セラの創業者、
稲盛和夫さんも指摘しています。


京セラはメーカーですが、稲盛さんはメーカー発想ではなかった
ということです。


ソニーとQrioのような大企業とベンチャーとの協業のケースは
他にもあります。


下の表をご覧ください。


ベンチャーの革新力を求める動きが相次ぐ<br />・大手とベンチャーの協業などの主な事例

ベンチャーの革新力を求める動きが相次ぐ
・大手とベンチャーの協業などの主な事例

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





協業の機運が盛り上がり、県境も整ってきた<br />・大手と中小ベンチャーをマッチングする主な取り組み

協業の機運が盛り上がり、県境も整ってきた
・大手と中小ベンチャーをマッチングする主な取り組み

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




ソニーとQrioの協業には続きがあります。
通常、コストを削るため製品を入れる箱は薄い紙でできて
いることが多いですね。


ところが、Qrioの西條社長は「製品を入れる箱はよりコスト
をかけて、上質感のあるものにしよう」(PP.037-038)と
提案していたそうです。


どんな意図があったのでしょうか?



 低価格にこだわる一方、一見無駄に見える箱にコスト

 をかける決断をしたのはなぜか。そこにはネットに詳しい

 西條が知る、ブームの存在があった。消費者の間で

 広がっている、「開封の儀」と呼ばれる儀式である。
 

  (P.038)



「開封の儀」という言葉は初耳です。あなたはご存じでしたか?



 新製品を購入した顧客が、感想を述べながら箱を開けて

 製品をセットアップする模様を、動画でネット配信するのだ。

 消費者がどの製品を購入するかを決める際に、この動画

 を参考にするケースが増えている。「コストがかかっても、

 まず箱の高級感で驚かせることができれば、ネットで開封の

 儀を見ている消費者に口コミで広がる。広告宣伝効果を

 考えれば箱代が100円から500円になってもお釣りがくる」

 (西條社長)。ソニーの社員たちだけで会議をしていても、

 恐らく生まれなかった考え方だ。
 

  (P.038)



この話を読んで、唸ってしまいました。そこまで観察している
のか! そこまで深堀りしているのか! 驚きました。


もちろん、客観的に評価できる方法は見つからないかもしれ
ません。ですが、そこまで考えて製品を大切に扱おうとする
心意気は、消費者に必ず伝わると思いました。


『日経ビジネス』特集班は、ソニーの取り組みを次のように
まとめています。



 ソニーもこれまでベンチャー買収などを手掛けてきた。

 だが、せっかくの革新の芽を自ら摘み取り、今の苦境を

 食い止められなかったことへの反省もあったのだろう。
 

  (P.038)



大企業とベンチャーの協業のケースをご紹介しましたが、
他に、大手とベンチャーの間に入り、マッチングさせ、
投資するベンチャーキャピタルがあります。


そのベンチャーキャピタルの一つ、WiLをご紹介します。


 WiL 

いわば、「提携の旗振り役」(P.040)をする企業です。
WILとはどのような会社なのか、からお伝えします。



 全日本空輸、ソニー、日産自動車、三越伊勢丹

 ホールディングス、みずほ銀行──。日本の大手

 企業10社以上から合計3億ドル(約360億円)を集め、

 2013年末に設立したWiL。
 

  (P.041)



WiLは米シリコンバレーにオフィスを構えています。
その関係で集まった資金が米ドルなのです。
WiLとは、World Innovation Lab の略だそうです。


WiLの共同創業者CEOの伊佐山元氏とはどのような
経歴の人物でしょうか?


「日本興業銀行からシリコンバレーのベンチャー
キャピタルに転じて経験を積んできた」(P.041)そうです。


WiLについて、伊佐山氏は次のように語っています。
『日経ビジネス』特集班の解説と併せてお読みください。



 伊佐山は「我々は単なるベンチャーキャピタルではない。

 大手のR&D(研究開発)の蓄積を活用できる有望な

 ベンチャーを見つけ、有機的につなぐのが役割だ」と

 説明する。大手はWiLに次世代事業のタネ探しを期待

 しているのだ。現在、大手とベンチャーを結びつける

 複数の案件が動いている。

 伊佐山がWiLを設立した狙いはもう一つある。複数の

 大手企業から持ち寄った知的資産を組み合わせて、

 イノベーションを起こすことだ。
 

  (P.041)



目標は、「大手自身が社内の使われていない資産を
活用できるベンチャーを作れるようになること」(P.041)
だそうです。


大手とベンチャーの間に入り、仲介役になるだけでなく、
旗振り役になっています。


大手がベンチャーと組んで協業したいとしても、どこの
ベンチャーと組んだらよいのか分からないケースがあり
ます。


そうした場合にマッチングさせる役割を担っています。


WiLは大手とベンチャー両社の強みと要望を理解し、
組ませようとしているのです。


結婚(業務提携や合併)にまでには至らないかもしれ
ませんが、結婚相談所のように考えればよいかもしれ
ません。これはあくまでも私の個人的な考え方ですが。


WiLはベンチャーキャピタルですから、大手とベンチャーを
組み合わせて協業させるだけではありません。最終的には、
ベンチャーに投資します。


WiLが現在行なってる事業の一部を一覧にした表があります
ので、ご覧ください。


大手とベンチャーを有機的につなぐ<br />・WILによる大手の資本をベンチャー投資につなげる仕組み

大手とベンチャーを有機的につなぐ
・WILによる大手の資本をベンチャー投資につなげる仕組み

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.040-041)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




『日経ビジネス』特集班は、PART 2を次のようにまとめています。



 従来のモノ作りの常識が通用しない時代に入った。

 大手がイノベーションを生み出す力の回復を目指すなら、

 ベンチャー企業との関係構築を突破口として活用しない

 手はない。
 

  (P.041)



世の中に、なかなか出てこない動きがとてもよく分かる
特集です。ダイナミックな変化は次なる変化を促します。
最初は小さな波が波紋を広げ、大きなうねりとなって
変革する力となるかもしれません。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
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主役はベンチャー パナソニックが脇役に 大手は子に従え <1> 2015.04.13


DMM FX×あいまいみー




日経ビジネスの特集記事(103)

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え
2015.04.13



今週の特集記事のテーマは

ウエアラブルやロボット、自動運転など、次世代産業分野で
日本の大手から画期的な製品が生まれてこない。
自前主義などの旧来の枠組みから脱しきれず、
イノベーションの壁にぶち当たっている。
そんな中、ユーザーニーズを素早くくみ取り、画期的な製品を
繰り出すモノ作りベンチャーが続々登場した。
大手が開発を牽引する「主」の立場から、ベンチャーの言うが
ままに技術や部品を差し出す「従」へ。
この主役交代の歯車は既に回転を始めた。このまま大手は
なすすべもなく転落していくだけなのか。いや、そうではない。
「逆転の構図」の中にこそ、日本のモノ作りを再生するヒントが
隠されている

 (『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.026)

ということです。




主役はベンチャー<br />パナソニックが脇役に<br />大手は子に従え

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





今週の特集記事のタイトルは、「大手は子に従え」です。
もちろん、「老いては子に従え」にかけて表現しています。


主役はベンチャー企業になってきていて、大手企業は脇役
となり、協業することで、相互補完関係が出来上がりつつ
ある現在を、『日経ビジネス』は多くの事例を交えて紹介して
います。


そこには、大手企業が革新的な製品を生み出す力が衰えて
きたと見ることもできます。冒険する、チャレンジする精神が
弱まってきた、と言っても過言ではないでしょう。


歴史を振り返るまでもなく、未来永劫存続するものなどない、
と断言できます。生老病死は人間だけに当てはまることでは
なく、「生きとし生けるもの」すべてに共通する概念です。


企業も「法人」という生き物と考えれば、人間と同じ運命を辿る
ことは避けられません。


唯一、存続し続けることができるとすれば、それは自己変革が
できた場合です。従来のやり方を踏襲し続ける限り、いずれ
終焉を迎えます。





第1回は、
「PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
を取り上げます。


最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業 


モノづくりに大きな変革をもたらしたのは、3Dプリンターであり、
ビッグデータの解析技術の向上、そしてAI(人工知能)の急速な
進化が挙げられます。


今までは、資金力のある大手企業や、特殊技術を身につけた
技術者が多く集まる東京都大田区や、大阪府東大阪市の中小
企業群が製品を生み出してきました。


3Dプリンターの価格が低下し、一般の人達でも入手することが
可能になりました。資金力がなくても、特殊技術を身につけて
いなくてもモノづくりが可能になったのです。


さらに、クラウドファンディングによって、資金が集めやすくなった
点も見逃せません。


仮に失敗してもやり直しが出来る環境が整いつつあります。
若く、進取の気性に富む人たちが起業し、モノづくりの世界を
変えようとしています。頼もしい限りです!


オタク系の街として世界的に知られる秋葉原で、別の意味で
「世界の注目を集めている場所」(P.029)があるそうです。
まず、そこからスタートすることにしましょう。



 モノ作りの分野で今、「主役交代」が広がっている。

 これまで製品開発を一手に引き受けていた大手セット

 メーカーがその力を失い、開発を牽引する「主」の立場から、

 主の指示を受ける「従」の立場に転落。大手に代わり、

 ベンチャー企業が「主」の位置につく。こんなモノ作りピラミッド

 の大転換だ。


 日本屈指の電気街、東京・秋葉原。駅から歩いて数分の

 場所にある、ごく普通のオフィスビルの中に、数多くのモノ作り

 ベンチャーが集う開発拠点「DMM.make AKIBA」はある。

 中に置かれているのは、最新の工作機械や3Dプリンター、

 電子部品製造装置といった、大手並みの試作製作ツールだ。


 今、「モノ作りのシリコンバレー」として、世界の注目を集めて

 いる場所だ。
 

  (P.029)



この場所は、起業したい技術者が集まってくるだけでは
ありません! 「日本の名だたる電機大手の経営幹部や
現場の技術者が日々、ここを訪れているのだ」(P.030)



 目的は様々。例えば、「ベンチャーと協業しなければならない

 と考えてはいるが、何から始めていいか分からない」と打ち

 明ける経営幹部。「この製品アイデアは社内の会議を通りそう

 にないから形にしてもらえないか」と相談に来る若手技術者も

 いる。

 いずれの訪問者も、誰かに指示されたわけではない。

 それぞれが抱える問題を、ここのベンチャーが解決してくれること

 を期待し、大手のプライドを捨てて教えを請いにやってきている。
 

  (P.030)




製造業の主役交代が始まった<br />・新製品開発における企業間関係

製造業の主役交代が始まった
・新製品開発における企業間関係

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





exiii の最新型の義手

exiii の最新型の義手

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.028)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




上の写真で、3人の若者たちが持っているものは何だと
思いますか? そうです。最新型の義手です。


exiii というロボットベンチャーが開発した義手です。
このベンチャー企業を立ち上げた小西哲哉さんは、
パナソニックの社員でした。


企画案を提示した当時のことが書かれています。


 「面白いよ。ぜひやってみてくれ」

 約1年前。新製品提案会議に臨んだ小西哲哉は、

 パナソニックの経営幹部からこう言われた。

 当時の所属先は、製品の外観をデザインする部門。

 小西は、そこに「これまでにない製品を開発する」

 との命を受けて設置された部署のメンバーだった。


 「これを製品化できれば必ずユーザーに喜ばれる」。

 胸をワクワクさせながら発案した新製品アイデア。

 そんな企画案に経営幹部からゴーサインが出たのだから、

 さぞうれしいかと思いきや、小西の心は晴れなかった。

 たとえ、経営幹部の一人からOKを出されても、

 ほとんどの場合、製品化されないことを知っていたからだ。
 

  (P.030)



なぜなのでしょうか? その答えは次の説明にありました。


 大手メーカーでは、新製品を開発するにはデザイン部門、

 設計部門、品質管理部門など、複数の部門が協力して

 プロジェクトを進めるのが一般的だ。逆に言えば、全部門が

 認めたアイデアでないと、製品化されることはない。

 小西が直面した状況も全く同じだった。他の部門が却下した

 のだ。
 

  (P.030)



このように企画案が却下され続ければ、やる気が萎えて
しまいますよね。小西さんの無念さは次の言葉に凝縮
されています。

「こんな経験は1度や2度ではなかった。(中略)やっぱり
自分のアイデアがいくつも闇に葬り去られるのを見るのは
つらかった」(P.030)


このような経緯があり、起業したのです。
最新型の義手について解説を読んでみましょう。


 小西は2014年7月にパナソニックを退職。

 今は、元パナソニックの機械設計技術者、元ソニーの

 ソフトウエア技術者と共に、exiiiというロボットベンチャー

 企業を立ち上げた。


 開発するのは、腕の筋肉の動きを感知して指を動かせる、

 最新型の義手だ。ヒトが装着するロボットの基盤技術に

 なり得る。指の関節構造の工夫などで使うモーターの数を

 減らし、ドイツの先行メーカーが作る同タイプの義手に比べて

 価格は7分の1以下だ。

 低価格化の技術に、若者にアピールするデザイン性をプラス

 した。未来を感じさせる斬新なフォルムは、主に若いユーザー

 から好評だという。
 

  (PP.030-031)



大企業は採算性を考慮することは当然として、多数の人に
使ってもらうことを前提に企画、設計、製造、販売までを考え
ます。


小西さんが考えるような、小さなマーケットを対象にした製品
は日の目を見ません。小西さんの、使いやすく見た目も良い
義手を求める人たちの期待に応えようとする気持ちは、大企業
には不必要なのです。


下の表とグラフをご覧ください。
最新の国際特許申請件数を示したものです。
中国企業が1位と3位を占めています。
日本では、パナソニックと三菱電機が4位と5位にランクイン
していますが、2社の特許申請件数を合計しても、1位の
華為技術(ファーウェイ)に及びません。


もちろん、特許申請件数が多いことだけが全てではありません
が、技術力を売り物にしてきた日本企業は「凋落」した、と言わ
れても仕方がありません。


大手3社の国際特許出願件数の推移を見ると2012年をピーク
に激減しています。


国際特許申請数は1位を中国メーカーに<br /> 明け渡した<br />・2014年の国際特許出願件数

国際特許申請数は1位を中国メーカーに
 明け渡した
・2014年の国際特許出願件数

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




・大手3社の国際特許出願件数の推移

・大手3社の国際特許出願件数の推移

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




「革新的な製品はベンチャーが生んでいる」というテーマで
事例をご紹介しましょう。大企業とは発想も革新性も大きく
異なることが分かります。


まず、下の表をご覧ください。
この中から、16Lab の「OZON(オズオン)」についてお伝え
します。


最近の革新的な製品はベンチャーが生んでいる ・注目のモノづくりベンチャー

最近の革新的な製品はベンチャーが生んでいる
・注目のモノづくりベンチャー

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.031)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




16LabのOZON

16LabのOZON

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.031)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





 立場が変わったのは大手セットメーカーとベンチャーだけ

 ではない。これまで大手セットメーカーに対して部品や

 技術を提供してきた、伝統的な部品メーカーも変わり始め

 ている。ここでもベンチャーをトップとする新しい形の開発

 体制が生まれている。一例が、指輪(リング)型のウエア

 ラブル端末「OZON(オズオン)」だ。

 製品アイデアの着想、基本的な設計はベンチャーの16Lab

 (ジュウロクラボ、神奈川県鎌倉市)が担当し、搭載する

 センサーの設計や量産段階でのサポートをアルプス電気が

 担当している。
 

  (P.031)



無名の16Lab とアルプス電気の出合いが書かれています。
思いがけず、大企業と対等の立場で協業することができた
のです。


 16Labとアルプス電気の出合いは、16Lab社長の木島晃が

 リングに使う超小型センサーを求めていた時に見つけた、

 ネットの記事がきっかけだった。

 リングには、位置を検出するためのセンサーや、スマホの

 ようにブルブルと震える振動部品、バッテリーなど様々な

 部品が搭載されている。しかし、リングとしてユーザーに

 違和感なく使ってもらうためには、現存の小型部品では

 まだ大きすぎる。

 木島の希望にかなう超小型部品は到底、手に入らないか

 に思えた。ところが、そのネット記事には「アルプス電気が

 世界で初めて超小型センサーを開発」とあった。


 「自分たちのような名もないベンチャーが連絡しても、アルプス

 電気のような大メーカーが応じてくれるはずもないか…」。

 諦めにも似た思いを抱きながらも、木島はいちかばちかで

 電話をした。すると、門前払いされるどころか担当部署のトップ

 に直接、会えることになった。


 実は、アルプス電気にとっても渡りに船だった。超小型センサー

 を開発してみたものの、使い先を考えあぐねていたのだ。

 次のコメントからも、それはうかがえる。

 「お恥ずかしながら当社は部品の技術力はあるが、それを

 活用する製品そのものを着想する力はない。ウエアラブルや

 医療、環境といった、今後も成長が見込める分野に参入しようと

 した時、ベンチャーと組むことは当社にとってもメリットがあった」
 

  (P.032)



やってみなければ分からない、ということがこのエピソードからも
理解できますね。失うものがないベンチャーの強みかもしれま
せん。


こうした話に関連したことで思い出すのは、元シャープ副社長、
佐々木正さんが述べた、「共創」という言葉です。


日本企業が自前の技術にこだわるあまり、外部に自社よりも
優れた技術を持つ企業があるのにもかかわらず、提携せず
コモディティー(ありふれた)製品しか生み出せなくなったのは、
「共創」しなくなったからだ、というものです。


一緒になって創っていくという考え方がなかったということです。
それはまさに、現在のシャープの姿を象徴しています。


シャープの強みであった液晶製造技術にこだわりすぎたため、
シャープよりずっと低価格で、短期間で量産化できる液晶が
登場し、市場に広まると、シャープの強みが弱みに転じたの
です。



『日経ビジネス』は「3つのデスバレー(死の谷)」について
解説しています。大手企業の中に存在している「谷」だ、
ということです。


 3つのデスバレー 


 大手メーカーの中に深く刻み込まれる「3つのデスバレー(死の谷)」

 の存在がある。

 一つは「事業化の谷」。exiii創業メンバー、小西の体験が示すように、

 大手メーカーはなまじブランド力を持つがゆえに、それが傷つくのを

 恐れ、大胆な発想の製品に触手を伸ばしづらい。


 2つ目は「設計力の谷」だ。大手が手掛ける製品のほとんどは、

 既存製品の機能を向上させたり、既存の機能に新たな機能を付け

 加えたりする「改良品」。これを続けているだけではイノベーションは

 生まれない。


 3つ目は「量産化の谷」。2007年頃から急激に進んだ円高の影響で、

 セットメーカーはこぞって海外に生産を移した。その結果、国内の

 量産ノウハウが空洞化。2011年にタイで発生した洪水では、

 日本の工場で生産を代行することができず、タイ人の作業者を日本

 に呼び寄せたメーカーも多かった。
 

  (PP.032-033)



「無難な」製品ばかりを作り出しても、消費者に飽きられるだけです。
コモディティー(ありふれた)製品ではそっぽを向かれます。


今、大企業の一部であるかもしれませんが、一つの流れができて
います。自分のやりたいことは大企業では実現できないことを知り、
退職し起業する人たちが少なからずいる、ということです。



 モノ作りベンチャーが活躍できる環境が整った。3Dプリンターに

 より低コストで試作できるようになり、クラウドファンディングを

 活用すれば必要な資金も手軽に集められる。起業のハードルが

 下がり、大手を飛び出す優秀な技術者も増えた。
 

  (P.033)






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




次回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




日本を揺るがす新常態 失速中国でも稼ぐ鉄則 2015.04.06 <3>


フレッツ光




日経ビジネスの特集記事(102)

日本を揺るがす新常態
失速中国でも稼ぐ鉄則
2015.04.06



今週の特集記事のテーマは

中国経済が歴史的な転換期を迎えている。
世界2位へと駆け上がった高速成長時代に別れを告げ、
安定成長と構造改革を両立する「新常態」の時代に突入した。
その影響は、日本を含め世界経済を揺るがすインパクトを持つ。
習近平国家主席は抵抗を受けながらも反腐敗運動を進め、
格差の是正という難題を解決しようとしている。
大きく変化する中国では役人との付き合い方も含め、
ビジネスモデルを抜本的に見直す必要がある。
経済が失速する中でも賢く稼ぐ鉄則を探った

 (『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.024)

ということです。




日本を揺るがす新常態<br />失速中国でも稼ぐ鉄則

日本を揺るがす新常態
失速中国でも稼ぐ鉄則

(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号




今特集のスタートページ01

今特集のスタートページ02

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号




中国問題を考える場合、2つの前提を考慮しなくては
なりません。


1つは、中国は中国共産党1党支配の国であり、
中国共産党は中国国家よりも上位にあるということ
です。


もう1つは、沿岸部には富裕層が多く集まり、内陸部
には貧困層が集中し、また都市部と農村部の所得
格差が拡大していることです。


こうした点について、今週号で『日経ビジネス』編集長
を退任される田村俊一氏は、「編集長の視点」で次の
ように語っています。



 中国の根深い問題はその二面性です。沿岸部の

 高所得者層と内陸部の貧困層。同じ国に先進国と

 発展途上国が混在している状況は、サステイナブル

 (維持可能)ではありません。中国共産党はそれを

 知り尽くしているからこそ、腐敗撲滅に急旋回して

 いるわけです。しかし、腐敗の摘発だけで格差が

 解消するわけではありません。中国を巡る不確実性

 は今後、さらに高まるでしょう。
 

  (P.003)





第1回は、
「PART 1 権力闘争か『新常態』の本質か
 どこまで続く 反腐敗の嵐」
「PART 2 ピケティが解説
 中国が『新常態』に突き進む必然」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 3 日本企業にはむしろ商機
 失速下でも稼ぐ5つの鉄則」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 4 インバウンドビジネスも活況
 『売り上げ9倍』 訪日客が買う秘密」
「Epilogue バブルは2度やってくる」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 新常態 
 反腐敗 
 成長の鈍化 
 日本の商機 
 バブル 




では、本題に入りましょう!


 PART 4 インバウンドビジネスも活況
 「売り上げ9倍」 訪日客が買う秘密 


前回まで、中国の「新常態」を『日経ビジネス』の解説を
中心に、ご紹介してきました。


最終回は、中国からの訪日客の「爆買い」の実態をお伝え
していきます。訪日客を迎え撃つ日本企業の強かさを知る
ことになります。


2020年に開催される東京五輪に向けて、外国人訪問客を
2000万人に増加させようと、国を挙げてアピールしています。


「インバウンド客」という言葉が出てきます。ご存じだと思い
ますが、インバウンドとは、海外から日本を訪問することです。


一方、アウトバウンドとは、日本から海外へ出かけることです。



 2014年、海外に出た中国人は初めて年間1億人を突破した。

 経済や社会が新たなステージに入った「新常態」の一つの

 側面と言える。昨年、日本を訪れた中国人旅行者は前年比

 83%増の240万人。中国人旅行者は訪日客全体の中で今

 まで以上に大きな存在を占めるようになった。


 とりわけ「爆買い」という言葉に象徴される中国人の旺盛な

 購買意欲は、百貨店を含め小売業界を潤している。

 インバウンド需要を取り込もうと小売り各社が知恵を絞る中、

 抜きんでた成果を上げているのがドン・キホーテだ。
 

  (P.039)



中国人旅行者を迎え撃つ、日本企業のケーススタディを
お伝えします。まず、ドン・キホーテから。


 ドン・キホーテ 


 昨年10月に外国人旅行者向けの免税品目が拡大された。

 ドンキでは今年の春節期間、免税品の売上金額が昨年

 より約9倍に増えた。新たに医薬品や化粧品などが免税

 対象となり、ビタミン剤の「アリナミン」(武田薬品工業)や

 洗顔料の「パーフェクトホイップ」(資生堂)を大量に買い

 込む中国人客が続出した。また、10万円を超える高級

 炊飯器も飛ぶように売れた。
 

  (P.039)



「なぜドンキは人気なの」(P.039)でしょうか?


 なぜドンキは人気なのか。一番の理由は「深夜営業」に

 ある。ツアー客は日中、観光などで拘束されることが多い。

 買い物できる時間帯は夕食後となるが、その時間ともなれ

 ば多くの店が閉店してしまう。そんな中で「夜も開いていて

 何でも買える店」としての同社の認知度が急上昇した。
 

  (P.039)



ただし、人気の理由は、「深夜営業」だけではありません
でした。プロアクティブ(前もって対策を講じておくこと)な
戦略を実行していたのです。リアクティブ(泥縄式)では
ありませんでした。


 「外国人観光客が当社に来る理由は、深夜営業だけ

 ではない」。こう語るのは、ドンキの服部将允・執行役員。

 同社の「インバウンド強化委員会」を率いるリーダーでも

 ある。

 秘密は2008年頃から積み重ねた施策にある。知名度を

 向上させるべく、各国の旅行博覧会に自社のブースを

 出して宣伝し、ホテルチェーンや旅行会社にも営業を強化

 した。今では海外100社以上と提携し、店舗への集客に

 向けて地ならしをする。
 

  (P.039)



具体的なお話をしましょう。
「中国人観光客」の囲い込みのために知恵を絞っている
ことが理解出来ます。


 ドンキは全国19店舗をインバウンドの「旗艦店」と位置付け、

 外国語を話せるスタッフと専用免税カウンターを用意している。

 これも、1回当たりの買い物量の多い中国人観光客に好評だ

 という。煩雑な免税手続きをスムーズにできるからだ。

 スタッフの配置で特に重視するのが、売り上げの4割強を占める

 午後8時から午前0時の間だ。中国語を話せるスタッフを重点

 配置して接客に当たる。


 旗艦店以外でも工夫をこらす。店舗に配置しているタブレットを

 使えば、コールセンターにいる外国人スタッフとテレビ電話で

 話せるため、不自由なく買い物を続けられる。
 

  (P.039)



ドン・キホーテは「観光客の囲い込みから店内のサポート
までの『動線』を整備することで商機を獲得した」(P.040)
のです。


ドンキの特徴である「深夜営業」にサポートを加え、
さらに「『観光客が航空機に持ち込める荷物は限られる。
ドンキがツアー客の貨物スペースを確保できれば新たな
ビジネスになりそう』と服部執行役員は考え」(P.040)て
いるそうです。同業他社との差を拡大させようとしている
ことは明らかです。



次に、プリンスホテルの取り組みをご紹介します。
プリンスホテルはグループ企業を活用し、中国人観光客
を囲い込み、トータルで稼ごうとしている意図が見えます。


プリンスホテルの弱点は「知名度の低さ」(P.040)でした。
「知名度の低さ」をカバーするためにとった施策とは?


 プリンスホテル 


 ドンキ同様、インバウンド客の動線を意識した集客戦略を

 展開するのが西武ホールディングス傘下のプリンスホテルだ。

 同社は1990年代から国内需要の低下を見込み、海外営業

 を強化してきた。中国大陸では2010年、上海に営業所を開設

 している。


 営業活動で最も苦労したのは「知名度の低さ」だ。ホテル単体

 の営業だけでは、旅行代理店はまず相手にしてくれない。

 そこで、日本政府観光局(JNTO)と協力して、プロモーション

 活動からスタートすることにした。
 

  (P.040)



プリンスホテルの作戦は、「点」「線」「面」の三方向から
攻略することでした。


 意識したのは「点、線、面」の営業活動だ。まず、JNTO

 と共に現地の旅行代理店が集まる商談会や観光サミット

 で「プリンスホテル」というホテルが東京にあることをPR

 する。これが拠点を知ってもらう「点」の営業だ。


 次の「線」の営業はツアーの販売である。日本に初めて

 来る中国人はツアーを利用することがほとんど。そのため、

 宿泊をパッケージ化したツアーを提案した。初来日した

 中国人に、プリンスホテルを利用してもらうことで認知度を

 高めようとした。


 そして今、特に力を入れているのが「面」の営業だ。それは、

 「ゴールデンルート」と呼ばれる東京から京都、大阪までの

 人気観光ルート以外に足を運んでもらう作戦でもある。
 

  (P.040)



箱根や川越、軽井沢、苗場の自社ホテルへ誘導する
作戦です。しかも、グループ企業のバスを利用したのです。


 同社は全国に41の宿泊施設を抱える。都心部に集中

 しがちな中国人観光客を、軽井沢や苗場、首都圏近郊

 では箱根や川越といった同社が抱えるリゾート施設へ

 誘導できれば、ホテル全体の稼働率は高まり、収益も

 上がる。


 東京からの利便性を高めるべく、グループ会社の西武

 バスと連携して、品川、新宿、池袋からリゾートへの直通

 バスも運行している。手軽に地方の観光地へ足を運べる

 ことが評判となり、バスの乗客の2割は中国人をはじめと

 する外国人が占めるようになった。値段も品川プリンス

 ホテルから軽井沢まで3000円と新幹線より安い。

 その効果もあってか、軽井沢エリアの拠点の中国人宿泊

 客数は、対前年度比で3倍となった。
 

  (PP.040-041)



観光客を自社の地方リゾート地に誘導<br />・プリンスホテルのインバウンド戦略

観光客を自社の地方リゾート地に誘導
・プリンスホテルのインバウンド戦略

(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.040)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号




プリンスホテルの徳永清久・営業部長は、「『今後は北海道に
ある6つのプリンスホテルの営業活動にも力を入れていく』と
今後の方針を話す。2016年に開業する北海道新幹線を意識
した動きだ」(P.041)と先を読んでいます。


『日経ビジネス』は、こうした動きに理解を示しています。


 都心から地方へ観光客を誘導することは、都心部に観光客が

 集中し、予約が取れなくなる機会損失を防ぐことにもつながる。

 インバウンド効果を地方に波及させることで、収益力を底上げ

 することを狙っている。日本を訪れる中国人の数は海外旅行者

 全体から見ると、まだ小さい。インバウンドビジネスの潜在力を

 生かさない手はない。
 

  (P.041)



2020年東京五輪への取り組みは既に各地でスタートしています。





 Epilogue バブルは2度やってくる 

現在の中国はバブル期にある、とはよく言われることです。
日本のバブル崩壊前によく似ているとも言われます。


実際のところはなかなか分かりませんが、習近平政権が
「新常態」と認識したことは、いつまでも二桁成長を続ける
ことは不可能、と認めたからにほかなりません。


この辺りのことを『日経ビジネス』は次のようにまとめて
います。


 日本を訪れる観光客に象徴されるように、中国は豊かに

 なった。今後はがむしゃらとも言えた高度成長から、安定

 成長と構造改革の両立を目指す。それが「新常態」の意味

 するところだ。問題は、本当に構造改革を進めることができ

 るか否か。カギの一つとなるのが金融の自由化だ。
 

  (P.042)



中国の「金融自由化」の動きを振り返ると、先進国の仲間入り
を目指す中国の思惑が見えてきます。


「シャドーバンキング」への資金の流れを減らすことを考えて
います。


 中国は1990年代の後半から段階的に金利の自由化を

 進めてきた。貸し出しと預金の金利の変動幅を徐々に

 拡大。2013年7月には、金融機関が企業などに資金を

 貸し出す際の金利を自由に決められるようになった。

 残る規制が預金金利の上限だ。

 
 預金金利の上限が撤廃されれば、各金融機関は預金者

 を集めるために、金利を上げるようになり、シャドーバン

 キングに流れる資金は減少する。
 

  (P.042)



ただし、懸念材料はあります。思惑通りに進まないのが
世の常だからです。


 金利自由化後に、政府のもくろみ通りマネーが流れるか

 分からないのが市場の怖いところだ。
 

  (P.042)



ここで、「バブル」に関して、中国と日本を対比しています。
「中国のバブルはいつかはじけるのではないか」(P.042)
という意見がある一方で、「現在の中国はまだ日本の
バブル期まで到達していない」(P.042)という意見もあり
ます。


唯一つはっきりしていることがあります。
「市場を完全にコントロールすることが不可能であること」
(P.043)です。


 市場を完全にコントロールすることが不可能であることは、

 人類の歴史を見れば明らかだ。どんなに研究をし尽くしても、

 中国だけ例外となる保証はない。


 バブルの発生と崩壊を繰り返してきた経済の歴史に照らせば、

 中国でこの先起こる可能性のある“2度目のバブル”に備えて

 おく必要がある。
 

  (P.043)



「かといって、13億人超の人口を有する巨大市場をみすみす
見逃してしまうのは得策とは言えない」(P.043)のも事実です。


日本ではバブル崩壊後、大企業や銀行、証券会社が経営破綻
しましたが、逆に企業体質をそれまでの「メタボ」から「筋肉質」
に鍛え直し、強くなった会社もあります。


好むと好まざるとにかかわらず、「弱肉強食」の世界で生き残る
ためには、自ら変わることが必要不可欠です。


まず、生き残らなければ、勝ち残ることはできません。


「脱皮できない蛇は死ぬ」
と元ボストン・コンサルティング・グループ社長で、現在ドリーム
インキュベータ会長の堀 紘一氏は語っています。


『日経ビジネス』は最後に、こう述べています。


 中国市場から撤退する、あるいは中国には触れない

 という経営判断もあるだろう。かといって、13億人超

 の人口を有する巨大市場をみすみす見逃してしまう

 のは得策とは言えない。

 日本ではバブル崩壊後に多くの企業が倒れたが、

 そのような環境の中でも市場や消費者の変化に対応し、

 事業を大きく成長させた企業がある。また、本特集で

 示したように、新常態に移行した中国で、これまでの

 考え方や方法を改め、したたかに成長する企業もある。

 新常態の中国では、激変する環境への変化対応力が、

 これまでにも増して重要な生き残りの条件となる。
 

  (P.043)






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 新常態 
 反腐敗 
 成長の鈍化 
 日本の商機 
 バブル 




教科書や、尖閣諸島、戦争責任などの日中間問題は、
解決の糸口さえ見出すのが困難な状況にありますが、
民間人レベルでの交流は盛んです。


日中両国にとっても、こうした民間レベルの親交を活用
しない手はない、と思います。


最後になりますが、大前研一さんが十数年に書かれた、
「中国三部作」

チャイナ・インパクト 大前研一
中国シフト 大前研一
中華連邦 大前研一

は一読しておくべきだ、と強く思います。






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日本を揺るがす新常態 失速中国でも稼ぐ鉄則 2015.04.06 <2>


フレッツ光




日経ビジネスの特集記事(102)

日本を揺るがす新常態
失速中国でも稼ぐ鉄則
2015.04.06



今週の特集記事のテーマは

中国経済が歴史的な転換期を迎えている。
世界2位へと駆け上がった高速成長時代に別れを告げ、
安定成長と構造改革を両立する「新常態」の時代に突入した。
その影響は、日本を含め世界経済を揺るがすインパクトを持つ。
習近平国家主席は抵抗を受けながらも反腐敗運動を進め、
格差の是正という難題を解決しようとしている。
大きく変化する中国では役人との付き合い方も含め、
ビジネスモデルを抜本的に見直す必要がある。
経済が失速する中でも賢く稼ぐ鉄則を探った

 (『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.024)

ということです。




日本を揺るがす新常態<br />失速中国でも稼ぐ鉄則

日本を揺るがす新常態
失速中国でも稼ぐ鉄則

(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号




今特集のスタートページ01

今特集のスタートページ02

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号




中国問題を考える場合、2つの前提を考慮しなくては
なりません。


1つは、中国は中国共産党1党支配の国であり、
中国共産党は中国国家よりも上位にあるということ
です。


もう1つは、沿岸部には富裕層が多く集まり、内陸部
には貧困層が集中し、また都市部と農村部の所得
格差が拡大していることです。


こうした点について、今週号で『日経ビジネス』編集長
を退任される田村俊一氏は、「編集長の視点」で次の
ように語っています。



 中国の根深い問題はその二面性です。沿岸部の

 高所得者層と内陸部の貧困層。同じ国に先進国と

 発展途上国が混在している状況は、サステイナブル

 (維持可能)ではありません。中国共産党はそれを

 知り尽くしているからこそ、腐敗撲滅に急旋回して

 いるわけです。しかし、腐敗の摘発だけで格差が

 解消するわけではありません。中国を巡る不確実性

 は今後、さらに高まるでしょう。
 

  (P.003)





第1回は、
「PART 1 権力闘争か『新常態』の本質か
 どこまで続く 反腐敗の嵐」
「PART 2 ピケティが解説
 中国が『新常態』に突き進む必然」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 3 日本企業にはむしろ商機
 失速下でも稼ぐ5つの鉄則」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 4 インバウンドビジネスも活況
 『売り上げ9倍』 訪日客が買う秘密」
「Epilogue バブルは2度やってくる」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 新常態 
 反腐敗 
 成長の鈍化 
 日本の商機 
 バブル 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 日本企業にはむしろ商機
 失速下でも稼ぐ5つの鉄則 



中国が「世界の工場」と呼ばれたのは過去のことです。
今や「世界の消費地」となりました。


習近平政権は、腐敗の撲滅のために「トラ」「ハエ」「キツネ」
狩りに全力で取り組んでいます。


産業界への規制も厳しくなっているようです。
ですが、日本企業にとっては追い風が吹いている、という
のがこのパートの趣旨です。


『日経ビジネス』は、日本企業が中国で稼ぐための
「5つの鉄則」
を示しました。


日本企業にとっては、日本国内では当たり前のこと
(アフターサービスなど)を中国市場で丁寧に実践
することで、実績を上げています。


「5つの鉄則」とは事例集です。
成長が鈍化したとはいえ、日本の10倍の人口を擁する
中国は「消費地」としての魅力が大いにあります。


日本国内の需要の縮小分をカバーして有り余るほどの、
可能性があることは間違いありません。
やり方さえ間違わなければ、という前提条件がある話
ですが。




 鉄則1 コニカミノルタ 
 厳格化する規制こそ商機 
 成熟産業でも稼げる 



中国が「新常態」というコンセプトで今後を見据えている
ことは、インフラの整備がまだ十分ではないことの証左
でもあります。


 「新常態」をキーワードに、習近平政権が産業構造の

 転換を急いでいる。環境規制などをテコに、旧態依然

 とした企業を淘汰。闇雲に経済規模を拡大させるの

 ではなく、持続可能な成長を志向し始めた。

 かつて中国を世界の工場に押し上げた繊維産業は、

 その縮図と言える。環境汚染と労働集約という、

 中国経済を悩ませる2つの「過去の遺物」が凝縮され

 ているからだ。
 

  (P.032)


コニカミノルタについて私が理解している範囲で、
簡単に説明します。


コニカミノルタは、名称通り、コニカ+ミノルタです。
コニカは昔、小西六と言いました。「コニカフィルム」
ブランドで銀塩フィルムを作っていました。


その後、フィルム業界は事実上、コダックと富士
フィルムの2社になりました。ドイツに「アグファ」という
フィルムメーカーもありましたが。


さらに、時代が代わり、フィルムメーカーは富士フィルム
1社となりました。コダックが破綻したからです。


コニカは複写機(コピー機など)事業に特化しました。


ミノルタは一眼レフカメラメーカーでした。
私もその昔、ミノルタα7000やα7700iというカメラを
使っていました。


ミノルタもコニカ同様、複写機事業も持っていました。
カメラ事業に見切りをつけ、カメラ部門をソニーに売却
したことはご存じだと思います。


こうして、コニカとミノルタは、複写機事業がコアビジネス
で共通していることで合併しました。


こうした伏線をご理解の上、『日経ビジネス』の解説を
ご覧ください。


 ここに商機を見いだしたのがコニカミノルタである。

 2014年8月、上海に拠点を構築。陳氏が経営する

 ような工場向けに、専用インクジェットプリンターの

 売り込みを本格化している。「導入すれば人手と

 廃液の両方を減らせる。短納期を求める大手アパレル

 との取引も拡大できる」と、IJテキスタイル営業部の

 稲田寛樹セールスマネージャーは話す。
 

  (P.032)

 * 陳氏・・・上海市の郊外で繊維工場を経営する
   陳志華氏


繊維工場とインクジェットプリンターのつながりが分かりにくい
と思います。「環境汚染」と「労働集約」が理由です。


 中国はこれまで、繊維業界、特に捺染工程で圧倒的な

 地位を築いてきた。従来のやり方では大型の「スクリー

 ン(版)」を使って繊維にインクを浸透させるため、洗浄時

 に大量の廃液が出る。模様や色を変えるたびにスクリー

 ンを入れ替える必要があり、多くの人手が必要となる。


 人件費が年率5~10%ずつ上昇したことで、東南アジア

 諸国との賃金水準が逆転。大手アパレル企業が、発注先

 を中国外へシフトし始めた。一方、中国国内では多くの

 企業が過当競争を繰り広げた結果、捺染作業の単価は

 10年前より安くなった。


 2011年から規制を強化し、排水基準を厳しくした。
 

  (P.032)


こうした厳しい状況に、陳氏が出した結論は、「インクジェット
プリンター」を採用することでした。


 インクジェットを使うと、従来のスクリーンは不要になる。

 運搬する人手を減らせるうえ、洗浄時の廃液も削減できる。

 捺染スピードがやや遅く、専用インクが高いという弱点は

 あるものの「3年ぐらいで導入コストの元が取れる」と陳氏は

 話す。

 ただし、追い込まれた末の窮余の一策ではない。陳氏が

 重視するのはむしろ、納期短縮という新たな武器だ。
 

  (P.033)



インクジェット方式のメリットについて、次の説明があります。


 従来方式では、アパレル企業からデザインを受注した後、

 個別にスクリーンを作らないと捺染作業は始められなかった。

 インクジェット方式の場合、デザインは全てデジタルデータ

 で管理するためこの工程を省ける。
 

  (P.033)



そこに、コニカミノルタは潜在需要を見出したのです。
さらに「地場メーカーやイタリア企業」と差別化を図るため、
サポートを強化する専門部署を上海に設立しました。


 コニカミノルタは今後、中国市場で捺染のデジタル化が

 急速に進むとみて、ビジネスを本格化したわけだ。

 中国市場では地場メーカーやイタリア企業が先行して

 いるが、機械を“売りっぱなし”にしているため、トラブル

 が絶えないという。メーカーが保守に責任を負わないため、

 海賊版のインクが横行。プリンターの目詰まりなど、故障

 の原因にもなっている。

 そこでコニカミノルタは、上海に独自のサポート部門を設立。
 

  (P.034)





 鉄則2 日立製作所 
 中国は世界の“頭脳” 
 新興国攻略の司令塔になる 



日立製作所が中国で事業を拡大していこうとしている
のは、銀行のATM(現金預け払い機)関連事業です。




 今後は中国を世界の“頭脳”と位置付け、新興国戦略を

 立案した方が、成長を加速できると本気で考えているのだ。

 その好例が銀行のATMである。

 日立は現在、ある中国大手銀行と共同で、ATM運用業務

 の高度化に取り組んでいる。ATMに格納した紙幣の量や

 引き出し頻度、設置場所といった情報を、通信回線経由で

 収集。ビッグデータとして分析することで、最適運営を目指す

 というものだ。
 

  (P.034)



日立製作所は中国に研究者を多く送り込み、ソリューション事業
を推進する過程で分かったことがあります。


ATMに関して言えば、金利がほとんどゼロの日本と、「物流イン
フラが未整備なため、現金の配送コストが先進国より高い」(P.034)
という大きな違いがあることでした。


 金利がゼロに近い日本では、ATMに多額の現金を死蔵しても、

 機会損失にはつながらない。そのため、日本の研究者には

 そうしたニーズに思いが及びにくい。「既存の製品にITを

 組み合わせて新たな価値を創出するには、研究者がもっと

 顧客に入り込む必要がある」(田辺CTO)。日立が中国で

 研究開発人員を増やす意義はここにある。
 

  (P.034)



日立製作所は中国のことだけを考えているわけでは
ありません。中国での事業で得たノウハウをインドや
新興国での事業に活かしていこうとしているのです。


 日立は2014年3月、インドでATM運用を手掛ける企業を

 買収した。中国で構築したノウハウを投入すれば、

 インドに限らずアジア諸国にもATM関連ビジネスを拡大

 できるとにらむ。「日本の製品をローカライズする時代は

 もう終わった。今後は、中国で開発したソリューションを

 新興国へ展開する動きが加速する」と田辺CTOは意気込む。
 

  (P.035)

 * CTO=最高技術責任者


中国を世界の“頭脳”と位置付け<br />・日立製作所が中国で開発するATMソリューション

中国を世界の“頭脳”と位置付け
・日立製作所が中国で開発するATMソリューション

(『日経ビジネス』 2015.04.06 号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.04.06 号






 鉄則3 豊田通商 
 大量消費の裏の顔 
 弱い「静脈」を攻めろ 


豊田通商は、「米国を抜き、世界最大の自動車市場と
なった中国」(P.035)で、廃車事業に注力しています。


 豊田通商が出資する北京市郊外の工場では、

 1日40台弱の廃車を解体し、金属素材を販売して

 いる。


 米国を抜き、世界最大の自動車市場となった中国。

 一方で、負の側面も鮮明になり始めた。リサイクル

 体制の未整備である。


 道路を走る自動車は、いつか必ず廃車になる。

 2020年には中国国内で、現在の2倍以上となる

 約1000万台の使用済み自動車が発生する見込み。

 しかし、現状はお寒い限り。


 豊田通商は北京のリサイクル企業に出資。

 日本で培った手法を生かし、2014年から本格操業

 を始めた。「重機を使った流れ作業など、中国に

 展開できるノウハウは多い」と、豊田通商中国の

 出野滋一・環境循環型事業推進室長は述べる。
 

  (P.035)



豊田通商に追い風となる法律の改正があります。


 中国では近々、自動車リサイクル法が改定され、

 一部の中古パーツ販売が解禁される見込み。

 現在では、廃車は解体後に鉄くずや銅線として

 販売するしかない。改定されれば、取り出した

 エンジンなどを、そのまま部品として売れるようになる。

 自動車解体ビジネスの「質」が変わり、丁寧に扱えば、

 廃車は「宝」の山になり得るわけだ。
 

  (P.035)





 鉄則4 安川電機 
 労働力減少を先取り 
 省人化技術を売り込め 


安川電機といえば、ファナックと並ぶ日本を代表する
産業用ロボットメーカーです。


その安川電機が中国で何をしようとしているのでしょうか?
そのヒントは「水」に関連します。
「水道水が飲めない中国では、一般家庭でもウオーター
サーバーが普及している」(P.036)ということがポイントです。


 中国では今後、労働力人口が減っていくため、潜在需要は

 膨大にある。これを見据えて昨年12月、上海市に「上海

 ロボットセンター」を開設した。


 中国では実際に動く産業ロボットを見たことがないという人

 も多い。こうした人たちにロボットの便利さを伝えるのがこの

 施設の役割の一つだ。

 施設内ではロボットが19リットル入りの水のボトルを軽々と

 持ち上げ、器用に横向きにして棚に並べていく。水道水が

 飲めない中国では、一般家庭でもウオーターサーバーが

 普及している。誰もが重さを知っている水のボトルを使って、

 ロボットの利便性を知ってもらう趣向だ。


 「ロボットを実際の生産現場に組み込む技術に我々の強み

 がある。中国メーカーはしばらく追いつけない」と、今福執行

 役員は自信を見せる。
 

  (P.036)





 鉄則5 サンデン 
 途上国だからこそ 
 最初から最先端 


「飲料用の自動販売機で世界大手のサンデン」(P.036)
が中国に進出した時、予想外の事態に直面したそうです。
「『IT化の面で、日本よりかなり進んでいる』(片貝氏)」
(P.037)ことを知ったからです。


詳しい事情を見てみましょう。
ひょうたんから駒のような話です(笑)。


 飲料用の自動販売機で世界大手のサンデン。

 同社上海法人副総経理を務める片貝和敏氏は、

 率直にこう認める。「日本の自販機を持ち込めば

 売れると思っていた。しかし中国の現実は、我々

 の想定の先を行っていた」。
 

  (P.036)


どういうことでしょうか?


 サンデンは4月から、上海市の工場で自販機の

 量産を始める。日本からの輸出ではなく現地生産

 に踏み切った理由は、市場の伸びが期待できる

 からだけではない。「IT化の面で、日本よりかなり

 進んでいる」(片貝氏)からだ。

 中国では通信コストが日本の10分の1程度と安い。

 そのため、多くの自販機には通信機能が内蔵されて

 おり、設置事業者が稼働状況を常時監視できるよう

 になっている。
 

  (P.037)



日本の方が技術力が上かと思いきや、そうではなかった
のです。中国ではまだ、自販機が普及していないので、
最初から最先端の通信機器を搭載することが簡単なの
です。


ところが、日本の場合、自販機が普及しているため、
後から通信機器を搭載することが容易ではないのです。


たとえ話ですが、何もない土地に巨大な建造物を建設
することは難しくありません。設計の自由度も高いですね。


一方、既に多くの建造物が建ち並び、交通網が整備され
ている状況では、後からインテリジェント化を行なうのは、
何もないところにインテリジェントビル等を建設するより、
はるかに費用も時間もかかります。 


 「中国での自販機普及はまだこれからなので、

 最初から先端技術を搭載できる。固定電話の普及

 を待たず、一足飛びにスマートフォン時代に入った

 のと同じだ」と片貝氏は話す。


 中国の飲料自販機設置台数は累計10万台程度と

 言われ、日本の10分の1にも満たない。

 一方で出荷規模は年間2万~3万台に達し、

 右肩上がりで成長を続けている。
 

  (P.037)



「ピンチはチャンス」という言葉が野球ではよく使われ
ます。ピンチを切り抜けるとチャンスが訪れるという意味
です。


その逆に、「チャンスはピンチ」でもあります。
チャンスを逃すとピンチになるという意味です。


中国市場は巨大なので、これからでも参入することは
可能で、十分旨味をものにすることができそうです。


ただし、短期間で結果を求めるのではなく、長期的視野
で事業を拡大させていく、明確なビジョンが不可欠です。
と同時に、地元中国企業や中国人民とも WIN-WIN の
関係を築けなければ事業は失敗するでしょう。


もちろん、素人の私が口を挟まなくても、知識と経験の
豊富なプロがリーダーとなり、戦略を立案し、着実に
実行する部隊が機能すれば成功する確率は高いはず
です。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 新常態 
 反腐敗 
 成長の鈍化 
 日本の商機 
 バブル 




最終回は、
「PART 4 インバウンドビジネスも活況
 『売り上げ9倍』 訪日客が買う秘密」
「Epilogue バブルは2度やってくる」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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