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シルバー維新 輝け!銀の卵たち 2014.04.14 <1>

日経ビジネスの特集記事(53)

シルバー維新
輝け!銀の卵たち
2014.04.14


最初に、「近未来ストーリー」をお届けしましょう。


こうなるかな、と思う反面、このストーリーより
もっと悲惨なことになっているかもしれないな、と
考えさせられました。


「近未来ストーリー」へようこそ―――
(オリジナルの趣旨を損なわない範囲で、書き直しました)

[ストーリー 1]

2035年の春、イチゴ農園の作業を終えたAさん(65歳)は、
つややかに実るイチゴを見つめ、満足そうにつぶやいた。

「今年の出来も良さそうだ」

イチゴ農園を始めたのは10年前。食感が評判を呼び、
昨年の年商は5000万円を超えた。

月収100万円近いAさんにとって、年金支給開始年齢が70歳
に延びたことは関係ない話だ。

大手化学メーカーに入社後、技術者として活躍した。
48歳になり勤務先の「セカンドキャリアサポート」を利用し、
農業研修を受講した。

地方自治体の「移住者優遇制度」を利用し、農地や住居を
安い価格で手に入れた。(P.026)


[ストーリー 2]

大手飲料メーカーで働くBさん(65歳)は、30歳下の課長
から怒鳴られる日々だ。

肩書は「業務調整課の担当課長補佐」。

肩書は営業全般のサポートだが、実際には営業車の洗車
ぐらいしか仕事がない。

政府が定年を70歳まで延長した当初は、働けることを
喜んだが、社長は定年を前倒しで実施した。

その結果、45歳で役職を外され、給与は大幅にカットされた。

定年まで勤めても老後に得られる年金は月額10万円。

人手不足から転職市場は若手を中心に活況を呈するが、
シニアは蚊帳の外だ。(P.028)


[ストーリー 1]と[ストーリー 2]は対極にあるもの
ですが、大多数の人が[ストーリー 2]のBさんのような
後半生を送ることになりそうだ、と想像してしまいました。


ここからは、日経ビジネスが提示するデータに基づき、
もう少し詳しく、見ていくことにしましょう。


日本のシルバー世代の未来は暗い?

 2035年の総人口は1億1212万人と、2020年に

 比べて約12%減る見通し。労働者確保に

 移民を当てにしても、中国をはじめ

 とするアジアの国々も高齢化問題を

 抱えるようになる。日本を目指す外国人

 が今のようにいるのかは疑問だ。

  (P.029)


このような見通しであるならば、60代以降の人たちを雇って
いかざるを得なくなります。


問題は、企業は現実にこの年代の人たちを生かしていけるのか、
ということです。

 求められるのは、彼らがやりがいを感じ、

 戦力として活躍できる社会の実現だ。

 2035年をAさんが暮らすような明るい

 未来にするには、企業や社会が今から
 
 対応する必要がある。

  (P.029)


次から、すでに対応している企業をご紹介しましょう。



PART1 シニアはこう生かす

CASE1 東京トヨペット
 ベテランの“技”を引き出す

トヨタ自動車系ディーラーの東京トヨペットで働く
鈴木敬一さん(57歳)の場合

 鈴木敬一さんは、同社で長らく営業を担当。

 11年間で4店舗の店長を経験した。

 その後、一定の年齢に達したら

 管理職を外れて専門職などに移行

 する「役職定年」を55歳で迎える。

 現在は、企業向けの営業を担当する

 法人開拓室に所属。「シニアマスター」

 という肩書で、4つの店舗の若手社員

 16人を対象に、法人顧客開拓を

 サポートしている。

  (P.030)


営業技術(ノウハウ)という財産の継承は、企業にとって
極めて大切なことです。


今でも高い能力を持っているシニアに生きがいを与え、
若手をOJT(On the Job Training =現場での実践教育)
で訓練する「教官」として雇うことは、企業にプラスを
もたらす可能性が高い、と考えられます。


その背景には、「若手営業担当者あなかなか外回りを
したがらない」(P.031)という傾向があるからです。


 「必要なのは成功体験。相手の気持ちを

 くみ取れば、必ず結果はついてくる」。

  (P.031)



CASE2 三菱商事
 「社内転職」を後押し

三菱商事の尾崎秀人さん(61歳)の場合

 尾崎秀人さんは、入社以来、エネルギー部門

 でほぼ一貫して営業の仕事に携わって

 きた。だが53歳の時に受けた研修を

 きっかけに、自ら希望して人事の仕事に

 就く。

 「あの研修を受けるまで、自身の将来

 の働き方などはほとんど考えたことが

 なかった」(尾崎さん)

  (P.033)


三菱商事は高齢社員の活性化策を用意しているそうです。
それは、「自身のキャリアを棚卸しする研修」です。


研修の具体的な内容は、このようになっています。

 2日間にわたって行われ、個人がそれまでの

 職歴を振り返ったり、グループによる

 議論を通して周囲から自分の評価を

 聞いたりする。そうして自身の強みや

 弱みを把握し、今後の働き方につなげる。 

  (P.033)


SWOT分析は、個人にも当てはめてやってみる価値があります。

Strengths(強み)

Weaknesses(弱み)

Opportunities(機会)

Threats(脅威)

自分の強みや弱みを把握し、他の分野へ移る機会はあるか否か、
逆に自分の分野にライバルが進出してくる脅威はあるのか否か、
を徹底的に分析するのです。


その分析をもとに対策を講じるのです。


CASE3 サトーホールディングス
 年功主義を吹っ飛ばせ

サトーの環境事業子会社、サトーグリーン
エンジニアリングの担当部長・山室博巳さん
(65歳)の場合

 65歳。本来は退職する年だが、昨年10月、

 シニアの中でも特定の分野に精通した

 人材を対象とした「プラチナ社員」に

 選ばれ、今も勤務している。

  (P.036)

プラチナ社員制度が始まったのは2011年4月ということです。
この制度ができたのは、次のような疑問が生じたからです。

 必要とされる人材で、まだまだ活躍できる

 人材がいるならば、一律に年齢で制限する

 という固定概念は本当に正しい判断なのか。

  (P.036)


その結論は、このようなものでした。

 年齢という枠組みを取っ払って働き続けて

 もらう。当然、退職までの給与が必要

 になり、人件費負担は、重くのしかかる。

 それでもサトーは優秀な人材の雇用は

 継続する構えだ。

  (P.036)


ここまで、シニアの活用例を紹介してきました。
触れてきませんでしたが、シニアを雇用し続ければ、
若手の活躍できる機会が狭められる恐れがあります。


その逆もしかりです。


サトーは、その課題を解決する制度を実施しています。

 2003年に執行役員は55歳、取締役は

 62歳で役員定年とする制度を導入。

 「経営の意思決定をする人材は

 (リスクが取れて決断力がある点で)

 若く保つため」(サトーホール

 ディングスの金沢春康・人財開発部長)

 との考えからだ。

  (P.038)


サトーが素晴らしい会社と思えることは、このだけ
ではないということです。


というのは、実力主義の下で、そんなに「輝ける人」
ばかりではないからです。


そんな人たちでも働ける仕組みを作っているのです。

 サトーが2012年に取り入れたシニア活用の

 もう一つの柱が、「サトーアドバンス」だ。

 2012年7月に設立した子会社で、一部を

 除いてほとんどシニアだけで運営する企業だ。

 そのミッション(使命)は、サトー本体と

 ぶつからない事業の開発。

  (P.038)


そんなサトーアドバンスは、きちんと成果を出しています。

 サトーアドバンスが取り組んだ事業の一つは、

 スーパーなどで従業員が商品に値札を

 貼り付けるのに使う「ハンドラベラー」

 という製品の再生。

 2つ目は、福祉や介護市場で新たなラベル

 の市場を作るというもの。レンタル品に

 ラベルを貼り、コードを読み取って自動で

 データ化するシステムを構築し、丸ごと

 売り込む。

  (P.038)


こうした取り組みが、サトー全体の業績を押し上げています。

 サトーホールディングスの連結売上高は、

 2004年3月期の588億6200万円から

 2014年3月期の予想は960億円と、

 この10年で1.6倍になった。

 松山一雄社長は、「ラベルという

 ニッチ市場から世界に打って出て

 勝つには、個を生かし切る以外に

 ない」と言う。

  (P.038)



次回は、「PART2 “壮年”よ、大志を抱け」
他をお伝えします。






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