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秩序の破壊者 イーロン・マスク テスラの先に抱く野望  2014.09.29 <2>

日経ビジネスの特集記事(75)

秩序の破壊者
イーロン・マスク
テスラの先に抱く野望
2014.09.29



今週の特集記事のテーマは

ゼロから始めた挑戦が世界の巨大産業を
揺るがしている。
航続距離が500kmを超える電気自動車を
ヒットさせ、自動車業界の常識を覆した。
宇宙ロケットの打ち上げを成功し、
NASAから有人宇宙船も受注した。
目標はもっと先にある。
すべてのクルマを電気自動車にし、
激安で宇宙へ行けるロケットを開発すること。
実現すれば21世紀の産業革命と言えるほどの
インパクトがある
 (『日経ビジネス』 2014.09.29 号 P.029)

ということです。




(『日経ビジネス』 2014.09.29 号 表紙)



イーロン・マスクという人物のことをご存じですか?


初耳という人が多いのではないでしょうか。


では、テスラ・モーターズはどうでしょう?


テスラ・モーターズについては、以前、特集記事で
取り上げたことがあります。

トヨタ 迫る崖っぷち 豊田章男を襲う 危機の正体
2014.06.30 <1>


トヨタ 迫る崖っぷち 豊田章男を襲う 危機の正体
2014.06.30 <2>


その一部を見てみましょう!


 EVの圧勝だった。リーフ(日産自動車)が64台、

 モデルS(米テスラ・モーターズ)が28台、

 プリウスは37台だった。プリウスはコンセント

 から充電できるPHV(プラグインハイブリッド車)

 とHVを合わせた台数だ。

 (6月上旬の午後5時半から午後6時半の帰宅
 ラッシュ時に、歩道橋の上からカープールレーン
 でのエコカーの走行台数の調査結果)
 



カリフォルニア州では、EV以外はエコカー(後述)
ではないので、今後大幅な制限が加えられます。
HVもエコカーではないので、制限されます。


今回の特集記事は、
テスラ・モーターズCEO(最高経営責任者)
イーロン・マスク氏とテスラ・モーターズの
「現在と未来」を追っています。


私は、このような話にワクワクします。


イーロン・マスク氏のプロフィールをご紹介
しておきましょう。


 1971年8月、南アフリカ共和国生まれ。

 95年米ペンシルベニア大学で経済学と物理学の

 学位を取得後、米スタンフォード大学大学院に

 進学するも中退。99年、インターネット決済の

 ペイパルの前身企業を創業。2002年、宇宙

 ベンチャーのスペースXを起業し、

 同社CEO(最高経営責任者)。2004年に、

 創業期のテスラ・モーターズに出資し、

 2008年から同社CEO(最高経営責任者)を兼任。

 映画「アイアンマン」の主人公のモデルとしても

 知られる。
 

  (『日経ビジネス』 2014.09.29 号 P.029 から) 

ここまでは、前回と同様です。


PART3 宇宙を100倍身近にする

前回は、テスラ・モーターズと日本企業との意外な
関わりについてお伝えしました。


そこには、ライバルが手を組まざるをえない現状や、
将来を見据えて、深慮遠謀のテスラ・モーターズの
姿が浮き彫りになりました。


今回は、テスラ・モーターズのEVと並んで、主力事業
であるスペースXの宇宙ロケットの開発に関する現状と、
イーロン・マスク氏(以下、マスクさん)の荒唐無稽な
話と一笑に付せられそうな、壮大なスケールの構想
(人類を火星に移住させる)が実現するために、
どうしようとしているのか、についてもお伝えしていきます。


実にワクワクする話の連続です。
今までSFの世界でしか、語られなかった出来事が、
少しずつ実現に向けて進捗している様子を見ることが
できるのでなれば、こんなに楽しいことはありません。


最初の話は、スペースX(テスラ・モーターズ、
ソーラーシティと並ぶ、マスクが経営する企業の一つ)
の宇宙ロケット「ファルコン9」と宇宙船「ドラゴン」など
についてです。


宇宙ロケットの開発は、米国、欧州、ロシア、日本、
中国の企業が、しのぎを削っています。


そんな市場に彗星のごとく現れたのが、スペースX
でした。


 今まさに世界各国で商業用の人工衛星を

 受注しようと営業活動に力を注いでいる。

 そこに彗星のように現れた新興勢力が立ち

 はだかった。イーロン・マスクが率いる

 スペースXだ。2002年の創業からわずか

 10年余りで、ロケット打ち上げを連続して

 成功させ、米航空宇宙局(NASA)から、

 国際宇宙ステーション(ISS)に物資や人員を

 輸送する数千億円規模の契約にこぎ着けた。

 さらに大手を押しのけて、商業用の人工衛星の

 打ち上げも相次ぎ受注している。
 

  (P.041)


ここで疑問が湧きますね?
なぜ、新興勢力のスペースXがNASAと次々に
契約出来たのかということに。


その答えは2つに集約されます。


1つ目は、打ち上げコストの安さが群を抜いている
ことです。



 それはスペースXの打ち上げコストが、

 群を抜いて安いことにある。

 文部科学省の資料によると三菱重工の

 H2Aの打ち上げコストは約100億円。

 これに対してスペースXのファルコン9は、

 約6100万ドル(約65億円)と3~4割も

 安い。


 安さが重要なのは、宇宙開発の最大の

 ネックはコストとされてきたからだ。

 例えば、スペースシャトルは1回当たりの

 打ち上げ費用が1000億円に達すること

 が批判されてきた。
 

  (P.041) 


スペースXの技術者たちが素晴らしいと思うのは、
「コスト削減を実現するために、既存の宇宙ロケット
のコスト構造を徹底的に分析し、多くのロケットの
基本技術が30~50年前に設計された旧時代の
遺物だった」(P.041)ことをつきとめたことです。


その結果、斬新な発想でロケットを開発しました。


 例えば、ロケットの先端に取付けられ、

 人工衛星を保護する“殻”の役割を果たす

 「フェアリング」。ライバルのロケットは火薬

 を仕込んだ多数の爆発ボルトを使うが、

 スペースXのロケットは空気圧技術を使って

 分離する。コストを安くできるだけでなく、

 フェアリングを分離する際に火薬爆発の

 衝撃がないため、人工衛星を軌道に投入

 しやすいという。 
 

  (P.041) 


スペースXの宇宙船「ドラゴン」は民間として<br />初めて国際宇宙ステーションとのドッキングに成功

スペースXの宇宙船「ドラゴン」は民間として
初めて国際宇宙ステーションとのドッキングに成功

(『日経ビジネス』 2014.09.29 号 P.041)



さらに、コストを下げるためのしっかりした施策を
打っています。
「中核部品の内製化」と「エンジニアの平均年齢
が30代前半と若いこと」です。



ファルコン9の性能はライバルと
互角だが費用は格安

(『日経ビジネス』 2014.09.29 号 PP.042-43)



しかし、ここまでに至るまでには3度のロケット打ち上げ
に失敗し、4度目の失敗をしたらマスクさんは破産して
いたそうです。


マスクさんは強運の持ち主でした。
4度目の打ち上げに成功したのです。


Heaven helps those who help themselves.
(天は自ら助くる者を助く)

という言葉がありますが、必死でチャレンジする人に、
天は味方したのでしょう。


マスクさんは、背水の陣であっても、米国企業に
よくあるリストラはしませんでした。
社員の給料は、マスクさんの個人の小切手で
支払ったそうです。


「私はこれまでもこれからも決してギブアップしない。
息をしている限り、生きている限り、事業を続ける」
(P.048 「編集長インタビュー」から)
と幹部や社員たちに言ったそうです。


こんな経営者はなかなかいません。
「『起業家は毎週100時間、地獄のように働くべき』
が持論」(P.031)ということで、率先垂範する人です。
となれば、社員も必死で働かないわけにはいきません。


NASAと契約出来た2つ目の理由は、NASAが
ロケットの信頼性を高める工夫を評価したため
です。



 ファルコン9は、その名が象徴するように

 1段目のロケットに9基のエンジンを搭載

 する。仮に1基のエンジンが故障しても

 任務を遂行できる構造だ。

 ライバルの宇宙ロケットは、1段目に主力

 エンジンと複数の補助エンジンを搭載する

 構造が多く、主力エンジンが故障すると

 任務遂行は難しくなる。
 

  (PP.042-43) 

他社との差別化は明らかです。
NASAの選択は納得できるものです。


マスクさんにとっては、これらの事業の成功は
通過点に過ぎません。


最終目的は、「火星に到達できるロケット」の開発
です。遠大で実現不可能とも考えられそうな目的
ですが、明確な方針を打ち出しています。


 次世代ロケット「ファルコンヘビー」だ。

 ファルコン9に搭載する9基のロケット

 エンジンを3倍に増やすことで強力な

 推進力を生み出す。ファルコン9の

 3倍以上の約53トンの重量物を宇宙

 空間に運ぶことができる。


 ファルコン9で実証済みの技術を活用

 するため、開発期間も短縮することが

 可能になる。ファルコンヘビーの最初の

 打ち上げは、来年にも実現する予定だ。
 

  (P.043) 


「火星に到達できるロケット」の開発に向け、
着実かつ高速な歩みを続けています。


人類の危機を救う英雄の条件

『日経ビジネス』によれば、マスクさんは
こう表現できるそうです。


 「人類」という言葉を使う経営者は珍しい。

 実際、これだけのスケールで環境破壊や

 資源枯渇など人類の危機を救うという

 ビジョンを掲げた経営者、いや人物はいない

 だろう。
 

  (P.044) 


人類の危機を救うための条件を『日経ビジネス』
は2つ挙げています。


 一つはより多くの同志を作ること。1人や1社で

 世界を変えるのは限界がある。もう一つは自社

 の事業や利益にこだわり過ぎないことだ。
 

  (P.044) 


その指摘に対して、マスクさんの信奉者には著名人
が名を連ねます。

トヨタ自動車社長の豊田章男氏や米グーグル共同
創業者のラリー・ペイジ氏、米大統領バラク・オバマ氏
などです。


 マスクにほれ込んだ経営者は、山田(喜彦・パナ

 ソニック副社長 註:藤巻隆)だれではない。

 トヨタ自動車社長の豊田章男もその一人だ。

 2010年にはマスクとともにEVのロードスター
 
 に乗り、意気投合。カリフォルニア州知事の

 シュワルツネッガーとともに会見に臨み、

 EVを共同で開発・生産するために資本・業務

 提携すると発表した。


 米グーグル共同創業者のラリー・ペイジには
 
 「財産を残すなら、慈善団体ではなくマスクに

 譲る。未来を変えられるからだ」とまで言わ

 しめている。ペイジは創業から間もないテスラ

 に出資したほか、会社としてソーラーシティに

 出資している。

 米大統領のバラク・オバマや日本の首相の

 安倍晋三も、マスクに会うためにわざわざ時間

 を割いた。
 

  (P.044)

テスラの将来に懸念材料はないのでしょうか?
『日経ビジネス』はかなり厳しい目で評価しています。
高く評価しているからこそ、懸念しているのです。


現状は素晴らしくても、将来にわたって盤石である
とは断定できないからです。人類の歴史を振り返って
みると、成功者が敗者になるケースは枚挙にいとまが
ないからです。


 高級車であるモデルSやモデルXについては、

 テスラの競争優位は続くだろう。環境負荷の

 低いEVの普及と、自社の収益拡大を両立する

 ことができる。問題はその次だ。

 テスラは2017年頃に投入を予定するモデル3

 で大衆車市場に足を踏み入れる。500kmの航続

 距離やデザインなどで当面は競争優位を確保

 できるかもしれないが、巨額の研究開発費を

 持ち、量産ノウハウに優れる自動車大手にいずれ

 追いつかれるだろう。

 その時にテスラは何を競争力にするのか。
 

  (P.045)


私の考えは、モデル3が一般消費者にどれだけ
受け入れられるかで、テスラの命運が決まる、
と見ています。


どんなに性能面でモデル3と同等であっても、
製品のブランド力がモノを言うと思うからです。


それは、必ずしも老舗のコーポレート・ブランド
だけで決まるわけではない、と思います。
プラスアルファのアルファの部分です。


最後に、テスラの由来をご紹介しましょう。
マスクが一人の発明家をどんなに尊敬して
いるかが分かります。


 マスクが尊敬し、社名の由来でもある

 ニコラ・テスラは19世紀後半に活躍
 
 した発明家だ。交流電流を発明し、

 直流電流を推すトーマス・エジソンと

 対立。エジソンの功績が称えられる

 のに対し、異説を唱える狂人扱いされる

 こともあったとされる。その後、変圧が

 容易な交流電流は、電力網に象徴される

 社会の基幹システムとなり、偉大な発明家

 だったことを歴史が証明した。

 マスクは、狂人扱いされても信念を貫き、

 社会に役立つ発明に挑戦し続けたニコラ・

 テスラに、自らを重ね合わせているように

 見える。

 「人類の未来に役立つなら、会社が滅びても

 構わない」という覚悟を持ち続けることが

 マスクの求心力となり、21世紀の産業革命

 を起こす原動力となる。 
 

  (P.045)


私は、マスクさんに現在と将来に対し、
盛大な拍手をおくりたい、と思います。 


長い文章を最後まで目を通していただき、
本当にありがとうございました。    






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管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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