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三菱重工 遅すぎた改革、最後の挑戦  2014.10.20 <1>




日経ビジネスの特集記事(78)

三菱重工
遅すぎた改革、最後の挑戦
2014.10.20



今週の特集記事のテーマは

国内市場に依存し、改革が遅れ、停滞を続けた
三菱重工。
世界市場で取り残されまいと、硬直的な組織を
変え始めた。
欧米勢との実力差に愕然とし、遅まきながら
国際化を急ぐ。
だが、頼みのモノ作りは世界の壁に突き当たり、
トラブルが目立つ。
経営陣の危機感が現場に浸透しているとは
言い難い
 (『日経ビジネス』 2014.10.20 号 P.025)

ということです。


三菱重工遅すぎた改革、最後の挑戦

三菱重工
遅すぎた改革、最後の挑戦

(『日経ビジネス』 2014.10.20 号 表紙)




PROLOGUE 好業績が隠す停滞

まず、三菱重工の現況について、『日経ビジネス』は
レポートしていますので、見てみることにしましょう。


表面上は問題がないように見えますが・・・


 三菱重工は久方ぶりの好業績に湧いている。

 2014年3月期の営業利益は2061億円と

 17期ぶりに過去最高を更新。2013年4月に

 社長に就任した宮永俊一の改革手腕を評価

 するアナリストは多く、株価も高値で推移する。 
 

  (P.026)


ですが、『日経ビジネス』は別の観点から、
厳しい見方をしています。


 一見、成長局面に差し掛かったようにも見える。

 だが、三菱重工が抱える根源的な課題は何も

 解決してはいない。
 

  (P.026) 


どのような点で、「三菱重工が抱える根源的な課題
は何も解決して」いないと言えるのでしょうか?


 現代へとつながる縦割り組織の弊害は、戦後の

 財閥解体によって西日本重工業、中日本重工業、

 東日本重工業の3社に分割されたことに始まる。

 戦後の経済成長期、3社は同一製品、同一業態

 のまま、競争を繰り広げた。


 1964年に再統合するも、複数事業所で船舶や

 タービンといった同一製品を製造・販売する体制

 は変わらなかった。


 独自の文化、伝統と強すぎる事業所意識は、

 本社の管理を拒絶。ヒト・モノ・カネは事業所単位

 で統括し、本社役員よりも事業所長の持つ人事権

 の方が強大だった時代が続く。
 

  (P.026)


社風(コーポレート・カルチャー)の異なる複数の企業
が合併し、社風を統一することがいかに大変なことか、
は多くの事例で知るところです。


私も経験しています。


同様に、三菱重工のようなケースもあるのですね。
「財閥解体」という歴史がずっと尾を引いてきたという
事実は、三菱重工にとって、長年にわたって、
大きな「重し」となってきました。


では、なぜ改革は遅れたのでしょうか。
それには、「財閥解体」とは異なる、三菱グループや
国、電力会社といった国内の超優良顧客の存在により、
安定した取引を支えられてきた、という経緯があります。


敢えて海外に打って出る必要性が、乏しかったのです。


 三菱グループや国、電力会社といった、グローバル

 競争とはかけ離れた超優良顧客の存在があった。

 組織を効率化し、コストを削り、付加価値を高め、

 必死で営業するという努力が不十分だったとしても

 やってこれた。

 だが、時代は変わった。先進国のインフラ投資は

 一巡し、主戦場は新興国へと移った。新興メーカー

 の台頭も著しい。
 

  (P.027) 


時代が変わり、かつての超優良顧客が1社また1社と
離れていきました。自社の経営効率が問われることに
なり、今までのような慣行は通用しなくなったのです。


背景には、外国人投資家と三菱重工の競合企業の
存在がある、と私は考えています。


「モノ言う」外国人投資家は、社内留保を減らし、
配当金の増額を要求し、株価を上げるような施策を強く、
求めます。


経営陣は、そうした要求に応えなくてはならなくなったの
です。


また、長年の慣行となっていた三菱重工との取引を
見直す動きが出てきています。


品質、価格、メンテナンスなどのサービスを含め、
国内外の企業へ視野を広げ、過去の実績にしばられず、
取引を開始するケースが増えてきたのではないか、
と私は推測しています。


 かつての超優良顧客は徐々に三菱重工から

 離れ始めた。モノ作り力も世界の高い壁に

 ぶつかっている。高度成長とともに躍進した

 三菱重工は、その陰りとともに存在感を失った。

 以来、30年にわたって売上高が年3兆円前後

 とほぼ横ばいで、成長を果たせなかったことが

 何よりの証左だろう。
 

  (P.027)


ここで「モノ作り力」という言葉が出てきました。
今、「幻の名著」と言われる『ものづくり道』
(西堀榮三郎 ワック 2004年7月10日 初版発行)
という本を読んでいます。


西堀榮三郎さんといえば、第一次南極観測越冬
隊長として、特に有名ですが、京都大学助教授
を経て、東芝に入社し、モノ作りや品質管理で
大きな功績を残した人でもあります。


その西堀さんが、「創造性」について、次のように
書いています。とても参考になる話だと思います。


 創意工夫というか、「創造性」というものは

 切迫感が強ければ強いほど出てくるのである。
 

  (上掲書 P.29)


 しかし、切迫感だけでは「創造性」は生まれない。

 知識が必要なのである。

 創造性が生まれるためには、知識がニーズに

 結びつくことが必要で、そうしたとき「着想」という

 創造が起こるのである。では、ニーズとはいったい

 何かというと、社会や企業の要求とか問題の類

 (たぐい)である。
 

  (PP.30-31)


 知識と切迫感のほかに、もうひとつ大事なものが

 ある。それは「非常識に考える」ということであって、

 既成の概念に捉われているうちは新しい着想は

 浮かんでこない。


 物事に行き詰まると、まず事の本質を考える。


 新しいものを生み出す、あるいは新しいことをする

 ということは、「非常識」から出発することが非常に

 多く、反対者の多いイバラの道である。


 しかし、いかに険しい道であっても、新しいことを

 する勇気をもちたいと思う。
 

  (PP.32-34)

少し、引用文が長かったですが、要は、「創造性」
生み出すには、「切迫感」「知識」「非常識に考える」
の3つの要素が必要だ、ということです。


京セラの創業者の稲盛和夫さんが言った、
人生・仕事の成果=考え方×熱意×能力
に通ずるものですね。


この3要素は、私たちがモノ作りに携わることがなくとも、
日常生活において、何か創造的なことをしたい、
と思った時に思い出してみるとよいかもしれません。



話を戻します。
三菱重工は過去、改革を試みたことはあります。
しかし、長年染み付いた体質がそうやすやすと変わる
ことはありませんでした。


 ようやく先代社長(現会長)の大宮英明が、

 事業本部制へと舵を切った。それまでは、

 給与明細のフォームや、社員番号すら

 事業所ごとにバラバラだった。原価計算の

 仕組みも、資材管理のコードも、事業所に

 よって異なった。

 
 だが、今なおグループ報の創刊にすら激しい

 反発を見せる事業所の存在は、三菱重工の

 改革がまだ緒に就いたばかりであることを

 象徴する。
 

  (P.027)


日経ビジネスオンラインに、大宮英明会長の
インタビューが掲載されていますので、
その一部をご紹介します。


日立製作所と火力発電事業で事業統合しましたが、
日立製作所との関連で、さらにもう一歩踏み込んだ
発言をしています。


 三菱重工は事業計画で年間売上高5兆円

 という目標を掲げました。

 とりわけ重要なのは海外です。

 歴史を振り返ると三菱重工は国内で庇護

 されてきました。

 例えば、発電システムでは、顧客である

 電力会社と一緒に物事を解決して、

 少しくらい(問題が)あっても一緒に育て

 ていこうとしてきた。



 ライバルは集約されていて強い。

 電力システムでは米ゼネラル・エレクトリック(GE)

 と独シーメンスが競合ですが、

 両社とも本社がある地域で極めて高い競争力を

 持っている。GEは米国政府の支援や後押しを

 受けています。

 いいかげんなことでは当社も戦えません。

 ですから自前主義を捨てて、5兆円の売上高規模を、

 何としても達成しないといけない。

 そこで今年2月に火力発電システム事業を日立製作所と

 統合しました。

 GEなどの動きも考えて、我々も引き金を引きました。



 グローバルに打って出ていくためには、

 まずは売上高5兆円を達成したい。

 2015年3月期の売上高は4兆円を見込んでいます。



 課題なのは、国際的に戦えるような体制になっている

 部分とそうでない部分があることです。



 自前主義からの脱却が一番難しい。

 三菱重工には700の製品があり、たくさんの技術者が

 います。

 「自分でやればなんでもできる。(外の力を借りなくても)

 自分でできるじゃない」と思っている人はたくさんいる。

 (再編で)本体から切り出されることへの抵抗感も非常に

 大きな障害になっていました。



 日立との全体統合はたぶんない。

 シナジーがどう出るのかですが、規模の大きなものを

 ばちゃっとつければいいということではありません。

 今回、日立と火力発電システムを統合したのは補完効果が

 大きいからです。



 (重電分野では)だんだんプレーヤーが少なくなっています。

 例えば、日立とは交通システムを一緒に売り込む。

 日立には鉄道車両もありますが、その辺の組み合わせが将来

 どうなるのか。将来そういうこと(2社の鉄道事業の統合)が

 あるといいな。チャンスはあるなと思っています。
 
 日立との全体統合はたぶんない
 三菱重工、大宮会長が語る改革の課題

 日経ビジネスオンラインから 
 聴き手は、山崎 良兵 記者  2014年10月20日(月)




PART1 モノ作りが通用しない

三菱重工は日本のモノ作りを支えてきた企業です。
現在、生産計画の遅延や計画の甘さによる損失が
頻発しています。
三菱重工の現場で何が起きているのでしょうか?


 三菱重工発祥の地、長崎造船所(長船=ながせん)。

 坂道が多く、長崎市内の至る所から湾内の造船所と

 建造中の客船が見える。2014年3月期に600億円もの

 特別損失を計上せざるを得なかったこの船は、

 約130年の歴史を持つ長船の苦悩を映し出していた。


 客船の発注者であるドイツのクルーズ会社、アイーダ・

 クルーズが三菱重工に求めたのは、顧客の設計図

 通りの「精巧な船」ではなく、これまでにないような

 「海のホテル」を造ることだった。それは、顧客と

 議論をしてゼロから設計する「プロトタイプ(一番船)」

 と呼ばれる船で、三菱重工としては初めての試みに

 なる。


 長崎の船造りの名人たちは、相次ぐ設計変更に翻弄

 された。内装工事に着手できぬまま、費用ばかりが

 かさんだ。
 

  (PP.028-029)


下図をご覧ください。
LNG(液化天然ガス)船(右端)とそのすぐ左にホテルの
ような造りの建造物は「客船」です。


キャプションを読むまで、それが「客船」とは気づきません
でした。あなははすぐに分かりましたか?


LPG船と客船(右から2つ目)を建造する長崎造船所

LPG船と客船(右から2つ目)を建造する長崎造船所

(『日経ビジネス』 2014.10.20 号 P.029)



三菱重工は商船造りならお手のものでしたが、客船となると
勝手が違いました。さすがの船造りの名人たちも戸惑いを
隠せませんでした。


それでも、三菱重工はやらなくてはならなかったのです。
躊躇(ためら)っている場合ではありませんでした。


 ゼロから客船を造る――。それは社長の宮永俊一

 らが掲げる、「三菱重工こそがやるべき、難易度と

 付加価値の高い事業にリソースを集中する」方針に

 沿うものだ。世界で戦える企業に脱皮するうえで、

 その戦略自体は間違っていない。ただ、力が及ば

 なかった。


 昨年の暮れ、長船の幹部は東京・品川の本社に

 頭を下げていた。

 支援要請を受けて、宮永はすぐ、工程管理のエース

 らを長崎に派遣することを決める。

 「客船は長崎造船所だけの問題ではなく、三菱重工

 の問題だ」。宮永は頻繁に長崎を訪れ、そう繰り返す。
 

  (P.029) 


宮永さん他の経営陣が決定した、「客船」の建造は、
長船だけではできないことを知っていたのではないか、
と私は推測しています。


長年染み付いた縦割り組織を解体し、横断組織に改革
するためには、言葉を尽くすだけでは不可能であり、
縦割り組織ではもはや機能しないことを現場に気づかせる
ために、敢えて、不可能な課題を与えたのではないか、
と思っています。


そうでなければ、「支援要請を受けて、宮永はすぐ、
工程管理のエースらを長崎に派遣することを決める」
ことはできなかった、と思うからです。


このような事態に直面することを、宮永さん他の経営陣は
予測していた、と考えるのが自然です。


 三菱重工が「世界で戦える企業」に変わろうと

 もがき始めた途端、今までのモノ作りが通用

 しない現実を突き付けられたのも事実だ。

 それは長崎の客船のように、同社を象徴する

 大型の製品に限らない。
 

  (P.029)


その1例は、チラシ印刷機の価格差に愕然とした、
という話です。


 今年1月に三菱重工印刷紙工機械(広島県

 三原市)とリョービの商業印刷機事業が統合

 して発足した、リョービMHIグラフィックテクノ

 ロジー(同府中市)。


 「菊半」と呼ぶサイズの印刷機を比べると、

 三菱重工の値段はリョービより2割も高かった

 のだ。


 三菱重工には基幹部品を安く作る力が欠け

 ていた。
 

  (P.030) 



次に、下図をご覧ください。ジェット機の画像です。


「三菱リージョナルジェット(MRJ)」

「三菱リージョナルジェット(MRJ)」

(『日経ビジネス』 2014.10.20 号 PP.030-031)



日本航空(JAL)が導入を決めた、国産のジェット機です。
リージョナル(地域)という言葉が表しているように、
短距離飛行機です。国内と近隣国向けのジェット機です。


10月18日に名古屋市近郊でロールアウト(初披露)式典
を開く。


このMRJの納期がたびたび順延されてきました。
国内で建造されていたのにもかかわらず、どうしたことで
しょう?


 MRJの1次仕入先(ティア1)は31社。

 エンジンを担当する米プラット&ホイットニーを

 はじめ、ほとんどが欧米企業だ。旅客機造りの

 経験は三菱航空機よりもずっと長い。三菱航空機

 は開発を主導する立場であるはずなのに、国だけ

 を見ていればよかった自衛隊機造りの経験者が

 多く、納期やコストをうまく交渉できない。


 「MRJが失敗すれば、三菱重工も潰れかねない」。

 経済産業省のある官僚はこう指摘する。
 

  (P.031) 


三菱重工には乗り越えなければならない高い壁が
存在します。


初回から、かなりのボリュームになりました。
まだまだ続きます。




次回は、「PART2 いつの間にか取り残された」
をお伝えします。






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以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
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を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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