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記録ずくめの最強メーカー 黒霧島 5000日戦争 老舗蔵元の「反常識」経営 2014.11.10 <2>



日経ビジネスの特集記事(81)

記録ずくめの最強メーカー
黒霧島 5000日戦争
老舗蔵元の「反常識」経営
2014.11.10



今週の特集記事のテーマは

1998年の発売以来、「焼酎500年史」に例がない
快進撃を見せ、その結果、霧島酒造は2012年、
売上高で三和酒類を抜き日本一に躍り出た。
その成長力や収益力は名だたる大企業すら圧倒し、
今や同社は、1990年大後半以降のデフレ下で
最も事業拡大に成功した最強国内製造業の一社と
言っていい。
老舗蔵元の戦略には、業界の常識を否定し自社に
最適化した、多くの最新経営理論が盛り込まれていた
 (『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.026)

ということです。


記録ずくめの最強メーカー 黒霧島 5000日戦争 老舗蔵元の「反常識」経営

記録ずくめの最強メーカー
黒霧島 5000日戦争
老舗蔵元の「反常識」経営

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 表紙)




今特集記事は「黒霧島」という焼酎の老舗蔵元、
霧島酒造の経営戦略等にスポットを当てています。


「黒霧島」という同社を代表する焼酎の話が、
多く出てきますが、決して酒類の話だけでは
ありません。


そこは、『日経ビジネス』ですから、ビジネスの
観点から分析し、霧島酒造の驚くべき経営の
秘密を余すところなく描いています。


あなたは「黒霧島」をご存じですか?
飲んだことはありますか?


前口上はこれくらいにして本題をスタートしましょう!



PART2 完全ドキュメント 創業80年目の一念発起
「黒霧島」、全国制覇への5000日


このパートでは、3代目就任から霧島酒造が
変貌した経緯からお伝えしていきます。


再来年で100周年を迎える同社が、
創業者イズムを否定してまで改革に乗り出した
経緯に着目して、ご覧ください。


一朝一夕では改革はできませんが、
トップの高い志と、最後までやり抜く強い意思は、
不可欠だったでしょう。


前回は、第1章 1996年春 3代目、就任
をご覧頂きました。


急逝した先代の後継者となった、二人の兄弟の
大胆な決断が、その後の霧島酒造の快進撃の
原動力となりました。



第2章 1998年夏 黒霧島、誕生

いよいよ「黒霧島」の登場です。
「黒霧島」が発売されたことで、焼酎業界の
勢力図は書き換えられました。



 当時は大半の蔵元がすっきりと仕上がる白麹

 を用いて仕込んだが、味に深みやコクを出せる

 黒麹の商品が地元の酒飲みに受けた。

 発売は87年。10年近く過ぎて市民権を得つつ

 ある状況を見て、霧島酒造社長の江夏順行に

 あるアイデアが芽生えた。

 「黒という新しいカテゴリーを本格的に作り、戦争

 を仕掛ける」。こうして「黒霧島」開発の火蓋が

 切られた。
 

  (P.032)


ところが、営業部隊の反応は冷ややかだったそう
です。営業マンたちは現状を見て判断します。
「時代の流れは『脱芋』『脱九州』」(P.032)という
言葉で、「麦や米の焼酎に力を入れるべき」(P.032)
と一歩も譲らなかったといいます。


そこで、順行さんは新商品開発を社内の特命
チームに託すことになります。


 不本意ながら麦や米の焼酎の開発を検討

 しつつも、順行は「黒い芋焼酎」開発を社内

 の特命チームに託した。その一人は、先代

 社長の順吉に薫陶を受けた奥野博紀だ。

 奥野は地元宮崎大学で微生物を学び、

 霧島酒造に84年入社。入社当時は焼酎を

 一滴も飲めなかった奥野だが、入社1年目

 から順吉の補佐に抜擢された。

 「ブレンダー」の見習いである。

 実は、先代の順吉が社長室をもぬけの殻に

 したのは機械作りに加え、75年から焼酎の

 ブレンドに病み付きになったからでもある。
 

  (P.032) 


ある意味では、特命チームに新商品開発を
託したのは、「密造酒」作りとも言えます。


ですが、任を受けた特命チームは極秘裏に
開発を進めなけばなりません。バックアップ
してくれる大人物が必要です。


その役割を果たしたのが、順行さんの弟で
専務の拓三さんだったのです。


 奥野をフォローしながら、開発の陣頭指揮

 に立ったのが、専務の拓三だ。

 
 拓三は発想を思い切って切り替える。

 芋焼酎だから芋臭くないといけない

 という考えを捨てた
のである。
 

  (PP.032-033)


ここで重要な役割を果たしたのは、水でした。
米どころと言われる地域は、皆、水量が豊富で、
水が美味しいと言われます。


新潟県、秋田県、岩手県そして、日本一の
米どころ北海道などもそうですね。


 開発を進める上で強みになったのが工場

 周辺で湧き出る水だ。拠点を置く都城は

 霧島と桜島の間の盆地に位置し、火山灰

 の影響で水はけが良いシラス台地として

 形成された。地下150mに40億トンとも

 見込まれる水が自噴し、霧島酒造は先代

 の順吉が55年に掘削に成功。

 適度なミネラルと炭酸ガスを含む水が存分

 に使えることは、新しい芋焼酎を作る上で
  
 大きな助けとなった。
 

  (P.033) 

一歩一歩、商品化を進めていったのですが、
さらに重要な決断をしました。ラベルの色です。


専務の拓三さんは、「インパクトを重視し黒に
金地を提案」、営業側の猛反発を退け、
「自分の考えを貫き、黒霧島が世に生まれた」
そうです。98年6月のことだったといいます。


『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。


1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破
でした。


2つ目は、トレードオフ・マトリックス
です。


 「従来の芋焼酎」から脱するには、芋風味を

 弱くするか、大量生産するか、どちらかの

 選択しかなかったのが業界の構図。この2つ

 はトレードオフ(二者択一 註:藤巻隆)の関係

 にあった。霧島酒造はこれを結果として否定し、

 「芋臭くないメジャー焼酎」を作り出すことに

 成功した。
 

  (P.033) 


下図をご覧ください。
「霧島」と「黒霧島」の比較が掲載されていますが、
私の五感では、その違いが分かりません。
焼酎に詳しい方なら、この違いが手に取るように
理解できることでしょう。


芋焼酎なのに芋の香りを抑制

芋焼酎なのに芋の香りを抑制

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.032)


レーダーチャートの上から時計回りに、「あまみ」「うまみ」
「後切れ」「原料香」「まるみ」の5項目で表しています。


「霧島」はほとんど正五角形をしていますが、「黒霧島」は
「後切れ」を強く出し、「原料香」を大幅に減らしています。
五角形の形状を比較すれば、一目瞭然です。



第3章 2001年夏 決戦、福岡

新商品開発が済んだら、次にやるべきことは
「黒霧島」をいかにしてお客様に知ってもらうか
です。


とにかく、商品名を知ってもらわないっことには
始まりません。そして、飲んでもらうことです。


そこで展開したことは、ビール業界に激震を
起こした試みが参考になったのです。


住友銀行(現三井住友銀行)副頭取から
アサヒビール社長に転籍した、樋口廣太郎さん
は「キレがあってとコクがある」というイメージ
を実感してもらうために、全国的な試飲キャン
ペーンを実施しました。


スーパードライは確固たる地位を築き、
万年4位だったアサヒビールを首位に押し
上げる原動力になったのです。


樋口さんの企画力の勝利と言えます。


霧島酒造の話に戻します。
焼酎業界では前代未聞の販促キャンペーンを
敢行したのです。アサヒビールの販促キャン
ペーンを手法を真似ただけではなく、一捻り
したのです。


 黒霧島は「朝」「駅」で出勤前のサラリーマン

 に配布した。当然、サンプルは「職場」に
 
 持ち込まれる。

 最大の目的は話題作りにある。


 「今までにない商品なので、とにかく

 飲んでもらうしかないと思った」

 1993年入社の営業マン、小出水政義

 は当時、夕方2000本の無料サンプル
 
 を翌朝のために用意したと言う。
 

  (PP.034-035)


つまり、「昔ながらの“ドブ板営業”も大きな
効果を発揮
した」(P.035)のです。


そしてもう一つ奏功したのは、「ハローレディー」
を活用し、地道な販促活動を継続したことです。


 あえて女性の販促部隊を組織したのは、

 福岡という“アウェー”で突破口を開くには、

 その方が有利と判断したからだ。


 「女性ならではの視点で、お店をこんな

 レイアウトにしたらどうかと提案してもら

 える」。北九州市で「酒のフジヤ」を経営

 する山岡一幸は、ハローレディーによる

 営業を高く評価している顧客の一人だ。 
 

  (P.034)


インパクトのある戦略と、地道な販促を継続して
行なうことが重要だ、と分かります。



『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。

1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破で、
2つ目は、トレードオフ・マトリックス
でした。


そして、3つ目は、インパクト重視フリー戦略
です。


 霧島酒造は「朝」「駅前」で配布し「職場に

 持っていかせる」という戦略で、訴求力を

 倍増させた。

 熱意と工夫、アイデア次第では、たとえ

 資金力に限りがある中小企業でも、

 大企業を打ち負かすプロモーションは

 可能になる。
 

  (P.035) 



下図をご覧ください。
「博多の飲食店では女性が黒霧島を飲む姿が
どこでも見られる」というキャプションが付いて
います。


博多の女性は焼酎好き? 
それとも黒霧島が好き?


博多の飲食店では女性が黒霧島を飲む姿が<br />どこでも見られる

博多の飲食店では女性が黒霧島を飲む姿が
どこでも見られる

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.035)




第4章 2004年秋 生産革新

黒霧島が大ヒットして難問が持ち上がりました。
注文に生産が追いつかなくなったのです。


品切れを起こしてしまったのです。
機会損失です。


営業部員は、多くの酒類販売店主や、
小料理屋の女将たちからもお叱りを
受けました。


その原因は、原材料である「芋」の収穫時期に
ありました。


 芋焼酎には決定的な弱みがあった。

 芋はすぐに傷んでしまい保存が利かない。

 このため、通常の方法では、芋の収穫

 できる9月がら12月まで、年間100日

 しか工場を稼働できないのだ。
 

  (P.036)


そこで生産力を麦や米並みに引き上げる方法
はないか、と検討した結果、あるアイデアを
思いついたそうです。それは、「冷凍芋」の活用
でした。


 原料を冷凍して仮に1年中保存できれば、

 100日どころか、通年で芋焼酎を生産

 することが可能になる。
 

  (P.036)


ところが、均質な芋がなかなか手に入らないことが
分かり、「通年生産するには農家を囲い込む
しかない」
(P.037)という結論に至ったそうです。


芋の冷凍保存方法にも難題が浮上しました。
試行錯誤の末、ノウハウを蓄積していきました。


 「冷凍室」でマイナス35度に急速冷凍

 すると、芋はクギを打てるほどカチンカチン

 の状態になる。それを、芋の収穫期が

 終わった後の仕込みに使うのだ。


 霧島酒造は、通年生産の達成と同時に、

 酒類業界全体でも珍しい、大規模な

 農家の囲い込み
に乗り出す。
 

  (P.037)


農家の囲い込みのために、霧島酒造は大胆な
仕組みを取り入れました。


それは、「豊作、不作にかかわらず、毎年、
栽培面積に応じ、一定の収入を保証する
仕組みを取り入れた」(P.038)のです。


Win-Winの関係の構築ですね。


生の芋を収穫できない時期に、<br />この冷凍芋で生産する

生の芋を収穫できない時期に、
この冷凍芋で生産する

(『日経ビジネス』 2014.11.10 号 P.037)



『日経ビジネス』取材班は、「全国制覇を支えた戦術」
として6つ挙げています。


1つ目は、「弱者の戦略」で一点突破で、
2つ目は、トレードオフ・マトリックス
でした。


そして、3つ目は、インパクト重視フリー戦略
でした。


4つ目は、価値逓増型サプライチェーンです。


 サプライチェーン全体に利益をもたらし、

 「ウィンウィン」の関係を提供するそのさまは、

 米アップルが音楽配信サービスで確立した

 エコシステムに近い。ブレインゲイトの酒井

 (光雄)社長は、「時間が経てば経つほど、

 互いの利益が増える価値逓増サプライ

 チェーン」と表現する。 
 

  (P.037) 


今回は、非常に長いブログとなってしまいました。
できるだけ霧島酒造の戦略等をお伝えしようと
したために、多くを盛り込み過ぎたかもしれません。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



最終回は、「PART2 『黒霧島』、全国制覇への5000日
第5章 2006年夏 大型投資」ほかをお伝えします。






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以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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