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物流の復讐 変わる産業の主導権 2015.02.02 <2>



日経ビジネスの特集記事(93)

物流の復讐
変わる産業の主導権
2015.02.02



今週の特集記事のテーマは

「荷物は時間通りに届くもの」「送料無料は当然」――。
あなたはそう思い込んではいないだろうか。
電気や水と同じように、あって当たり前とされてきた
「運ぶ」という社会インフラ。
ネット通販の急拡大による負担増と人手不足が重なり、
破綻へと近づいている。
これまでのモノの流れを抜本的に変えなければコスト
は跳ね上がり、米アマゾン・ドット・コムなど高度な
物流機能を持つ企業が顧客を独占する。
小売りも物流会社もメーカーも、物流を軸に経営戦略
を作り直す時がきた。
長らく販売や製造を支える黒子にすぎなかった物流が、
産業の主導権を握る。
その「復讐」の衝撃波は、日常生活から企業の現場、
国家戦略にも及んでいる
 (『日経ビジネス』 2015.02.02 号 PP.024-025)

ということです。




物流の復讐<br />変わる産業の主導権

物流の復讐
変わる産業の主導権

(『日経ビジネス』 2015.02.02 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.02.02 号 PP.024-025)




第1回は、
「PROLOGUE 明日、荷物が運べない」
「PART 1 ロストワンマイルの恐怖」
を取り上げました。


第2回は、
「1.5兆円市場に見る未来」
「PART 2 ヤマトの最終兵器」
を取り上げます。


第3回は、
「最新海外事情・米国編 物流イノベーション
次々と」
「PART 3 物流は国家なり」
をお伝えします。


今回の特集記事もお楽しみください。
テレビや新聞などではなかなか伝わってこない物流の
「今」を知ることができます。


物流先進国、英国、米国の事情を伝えるため、
「日経ビジネス」取材班は5人体制で詳細に伝えて
います。


5人の内訳は、男性3人、女性2人で、そのうち、
ロンドン支局の2人が含まれています。1人は
イギリス人女性と思われます。



キーワードは、3つあります。
深刻な人手不足
ラストワンマイルの争奪戦
国家レベルの戦略
です。



スタートページのイメージ画が素晴らしく、いつも
感心させられます。


では、本題に入りましょう!


COLUMN 最新海外事情・英国編
1.5兆円市場に見る未来


「世界で最もネットスーパーの競争が激しい市場
と言われる英国」(P.033)という記述に驚きました。
てっきり米国だと思い込んでいましたので、軽い
ショックを受けました。


まず。英国でのネットスーパー業界の実態から
お伝えしていきます。まだ採算が取れていないこと
が伺われます。


 食品市場全体が横ばいから減少に転じる中、

 ネットスーパーは急成長を遂げている。

 2014年のネットスーパー市場は前年比で

 10~15%の伸びを記録したというのが、

 専門家たちのコンセンサスだ。

 市場規模は約81億ポンド(約1兆4400億円)

 となり、食品市場全体の5.5%まで拡大した

 という。


 英国でネットスーパーが離陸したのは、最大手

 テスコがサービスを始めた2000年。

 その後、一部の大手スーパーは、物流コストの

 負担が大きく黒字化を見込みにくいことから、

 参入を見送っていた。だが、「やらなければ

 ライバルに顧客を奪われる」(英ラフボロー大学

 のフィオナ・チャドウィック教授)という危機感から、

 今では大手各社は軒並みネットスーパー事業を

 手掛けている。


 英調査会社コンルミノによると、テスコやアズダ

 など上位5位で市場の約9割を占有している。

 最大手テスコのネットスーパーのシェアは4割

 近くあるとの見方に従えば、その売り上げ規模

 は約30億ポンド(約5300億円)になる。

 それでも、各社はネットスーパー事業の業績開示

 には極めて消極的だ。
 

  (P.033)


前回取り上げた「ダークストア(闇の店舗)」に関して
の解説が掲載されていますので、ご覧ください。



 テスコは2013年に6拠点目になるダークストア

 をロンドン近郊に開設。後発のセインズベリー

 なども相次いでダークストアを新設する方針を

 明らかにしている。
 

  (P.033)



ここで、英国と日本の比較をしてみましょう。
英国のネットスーパー業界の「市場規模は
約81億ポンド(約1兆4400億円)」ということ
ですが、日英の人口比で見ないと、この数字が
大きいか、小さいのか、判断しにくいからです。


総人口(2012年)    (単位:千人)

英国  62,783  

日本 127,250 

総人口ランキング・国別順位 から


英国の総人口は日本の総人口の50%以下です。
単純計算すれば、日本のネットスーパー業界の
市場規模は約3兆円相当に当たります。


日本でそんなに大きな規模になるのか、現時点
では考えにくいですね。





PART 2 ヤマトの最終兵器

ヤマト運輸は「再配達ゼロ」に挑んでいるという
のが、このパートの核心部分です。


この記事内容をお伝えする前に、衝撃的な
ニュースをお伝えしておきます。


「ヤマト運輸は2015年3月をもってメール便を
廃止すると発表した」


クロネコヤマトの信書にまつわる闘争史
日経ビジネスオンライン から


実は、「日経ビジネス」も毎週金曜日にメール便で
届けられます。


下図をご覧ください。



「日経ビジネス」の宛名用紙 2015.02.02



左上に「クロネコメール便」と印刷されています。
3月に「メール便」が廃止され、新たに「メールDM便
(仮称)」が登場します。


今回のヤマト運輸の記事は、メール便に関するもの
ではなく、宅配便の取り扱いに関する内容です。



 「最近、不在票を見ていない」――。

 欲しい時間に欲しい場所で、確実に荷物を

 受け取れる。こんな未来が、早ければ年内

 にも実現する。形にするのは宅配便最大手

 のヤマト運輸だ。

 車両4万5000台、取扱店24万店、拠点

 4000カ所という、宅配便ネットワークを

 支える基幹システムを、ヤマトは5年ぶりに

 刷新する計画だ。新たな「第8次NEKOシステム」

 で目指すのは、不在票のない世界だ。
 

  (P.034)



現在、再配達比率はどの程度あるのでしょうか?
かなり多いと推測できますがどうでしょう。


 ヤマト運輸によると、宅配便の再配達比率は

 およそ15~20%に達するという。
 

  (P.034)


宅配便の5分の1から7分の1は再配達されて
いることになります。かなりのコストと時間を
かけているのです。


再配達比率をどのようにして下げるのか、
というのがポイントとなります。


ヤマト運輸は一つの秘策を温めていました。



 今回のシステム刷新の狙いは、「経験の

 デジタル化」にある。ドライバーは通常、

 経験に基づいて配送の順番などを決めて

 いる。どの家は不在が多く、どの家なら

 日中も在宅しているのか。過去に蓄積した

 経験を頼りに、効率的な順番で荷物を

 届ける。

 ベテランならそれで再配達を減らすことも

 できるだろう。だが経験の浅いドライバーは

 配送効率が落ちてしまう。それが新システム

 の稼働で一変する。


 もうドライバー個人の“脳内ビッグデータ”に

 頼る必要はない。その日の配送先の偏り

 や過去の配送実績を基に、最短ルートを

 導き出して端末に表示する。
 

  (PP.034-035)


人手不足対策と、「暗黙知」の「形式知」化、
と言ってよいと思います。


ベテランドライバーは経験を積んでいるので、
頭のなかでどの順番に届けるのがベストか
分かっています。


これをデジタルデータ化し、提示された配送
順序に従って配送すれば誰でもできるように
なります。


ヤマト運輸は以前から再配達を減らす工夫を
重ねてきたそうです。


具体的には、


 例えば、高層マンションの多い地区や住宅

 密集地区では、ドライバーが担当地区を

 1人で受け持つ長年の集配体制を改めた。

 在宅率の高い午前中と夕方以降に、ドライバー

 と一緒に集配するスタッフを配置し、再配達を

 減らしている。それが「チーム集配」制度だ。
 

  (P.035)


「チーム集配」の流れを画像でご確認ください。



チーム集配を導入したヤマト運輸の
南千住支店。フィールドキャスト(FC)32人が
配送を担う

(『日経ビジネス』 2015.02.02 号 P.035)



左上から時計回りに、
[集合]
[出発]
[配達]
[入庫]
[終了]

で一連の作業が完了します。


チーム制を採用することで、各人が役割分担し、
業務をこなしていくことが可能になったのでしょう。



 この仕組み(「チーム集配」制度)に、新しい
 
 情報システムが加われば、一度で荷物を

 届けられる精度は格段に上がるはずだ。
 

  (P.035)


前回取り上げたアマゾンジャパンが登場します。



 「再配達のコストが宅配業者にとって大きな

 問題であることは理解している。顧客にとって

 も商品を受け取るまで余計な時間がかかる。

 それを何とか解消したい」。

 アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は、

 昨秋始めたある取り組みの狙いをこう話す。

 そのために採用したのは、ヤマトの「宅配便

 受取場所選択サービス」。これを使えば、利用

 者は商品の受取場所を選べる。


 受取先に指定できるのは、自宅やオフィスの

 ほか、全国にある約2万のコンビニや約4000

 のヤマトの営業所など。コンビニや営業所で

 受け取ってもらえれば、再配達の負荷が減る。
 

  (P.035)


これだけでも格段の進歩ですが、実はこれだけ
ではありません。さらにもう一歩先を目指して
います。



 このサービスが近い将来、劇的に進化する。

 「受取場所を20万店増やしたい」

 (長尾裕・ヤマト運輸常務)。カギを握るのは

 米店や酒店といった宅急便取扱店だ。

 その数、実に20万店。今は宅急便の発送

 だけを手掛けるこうした店で、受け取りも

 できるようにする。利用者の利便性が高まり、

 再配達も減る。一石二鳥というわけだ。
 

  (P.035)


確かに、利用者の利便性が向上し、再配達を
減らすことができることが期待できます。


ですが、ヤマトがこのシステムの稼働を急いだ
のには、喫緊の理由(わけ)がありました。


その理由を説明する前に、下のグラフをご覧
ください。


佐川急便は宅配業務からBtoB(企業間)物流
に軸足を移しました。それでも「増益基調にある」
(P.036)こともきっかけの一つでした。


一方、日本郵便がヤマトと佐川を猛追しています。
この点も大きいですね。


日本郵便がヤマトと佐川を猛追

日本郵便がヤマトと佐川を猛追

(『日経ビジネス』 2015.02.02 号 P.036)




宅配業者は、日本郵便の動向に危機感を
募らせています。


 「これはもう民業圧迫。フェアじゃない」。

 宅配各社がこう嘆く存在が、業界3位の

 日本郵便だ。

 日本郵便の武器は何と言っても、140年

 余りの郵便事業で築いた豊富な資産に

 ある。全国津々浦々に広がる約2万4000

 の郵便局や郵便配達に使う約9万台の

 バイクなど。こうした資産を宅配事業に活用

 して、ヤマトと佐川を猛追する。

 その象徴が、昨年6月に投入した「ゆうパケット」

 だろう。厚さ3cm以下の荷物なら、認め印

 不要でポストに投函して届けられる。つまり

 不在票のリスクは限りなくゼロに近い。
 

  (P.037)



ですが、ヤマトも黙ってはいません。


 もちろんヤマトも黙っていない。今年4月

 からは、厚さ2.5cm以内でポストに投函

 できる新サービスを新たに始め、「ゆう

 パケット」に対抗する。
 

  (P.037)


ただ、日本郵便にはさらに資産が残っています。
これも「民業圧迫」と指摘される理由の一つに
なっています。



 日本郵便にはほかにも武器がある。

 常識的な民間企業では考えられないような

 豊富な遊休資産だ。

 JR大阪駅から徒歩約10分の場所にある

 大阪北郵便局。


 一等地にもかかわらず、遊休施設として

 眠っていたこのフロア(一部)が、昨春から

 稼働し始めた。釣り具のネット通販の物流

 倉庫として、日本郵便が在庫管理や梱包、

 配送などの作業を請け負う。
 

  (P.037)


サービス競争は激化の一途をたどっています。


インターネットが普及し、データの転送や、
ネットバンキングによる資金移動、あるいは
3Dプリンターとの併用で、製造することも
身近なものとなってきました。


さらに、IoT(モノのインターネット)によって、
あらゆるモノをインターネットに接続すること
で利便性の向上や、企業はビッグデータの
解析によって顧客ニーズを先取りすることも
可能になっていくことでしょう。


ですが、ここで考えなくてはならないことが
あります。


形になったモノ、例えば、衣料や精密機器など
は顧客に届けなければなりません。
いわゆる、「ラストワンマイル」はデータ転送
などのようにはいきません。



 宅配は今や、通販ばかりではなく、あらゆる

 産業の生命線となっている。荷物の増加に

 持ちこたえられなければ、配送コストは

 跳ね上がり、国民の生活にも重くのしかかる。
 

  (P.037)




最終回は、
「最新海外事情・米国編 物流イノベーション
次々と」
「PART 3 物流は国家なり」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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