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鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘 2015.03.02 <2>


保険スペース



日経ビジネスの特集記事(97)

鎖国230年 開国1年
タケダの苦闘
2015.03.02



今週の特集記事のテーマは

創業234年の武田薬品工業で今、未曽有の事態が
起きている。
昨年6月にフランス人社長が誕生したが、それだけ
ではない。
役員や部長に至るまで、外国人が次々とポストを
占拠している。
理由は明快だ。巨額M&Aで世界へ戦線を拡大した
が、かじ取りを任せられる日本人社員を育てることが
できなかったからだ。
だが、武田で起きていることは、決して他人事ではない。
グローバル化は、ビジネス、組織を変え、次は人にも
変革を迫る。
「外国人経営」は日本企業の一つの生き方になるのか。
もはや日本人にはグローバル企業を経営できないのか
 (『日経ビジネス』 2015.03.02 号 P.026)

ということです。




鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

鎖国230年 開国1年 タケダの苦闘

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 表紙)




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.026-027)



武田家の「お家騒動」ですね。
経営トップから役員、部長に至るまで外国人が
占めている様子を見ますと、武田薬品工業は、
もはや日本企業ではなくなったように感じます。


グローバル企業の宿命かもしれません。



第1回は、
「PROLOGUE 後継育成に失敗した」
「PART 1 日本人ではダメなのか
外国人が迫る踏み絵」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ」
「PART 3 世界に挑む人材
『エセ・グローバル』では勝てない」
を取り上げます。




今特集のキーワードは次の5つです。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 TAKEDA流経営術
世界を操るアメとムチ 


前回お話ししませんでしたが、武田家の社員もリストラの
対象となり、静かにタケダを去ったことをお伝えしておき
ます。日本企業にありがちな「しがらみ」が一切なく、
非情とも言えるように、容赦なく解雇されたのでしょうか?
詳細は分かりません。


このパートでは、タケダの海外における経営術をご紹介
しましょう。


ブラジルと中国のケーススタディーです。


 ブラジルの製薬市場 

TAKEDAブランドがどこまで浸透しているのか、
がポイントです。



 ブラジルの製薬市場の3割を占めるのが、ドラッグストア

 などで処方箋なしで消費者が直接購入できる市販薬。

 国内のドラッグストアは続々と増え、7万店にまで達した。

 約200のチェーンがひしめき合っている。世界の製薬大手

 がしのぎを削る、急成長市場だ。

 ここ数年、市販の鎮痛剤シェアでトップクラスに躍り出た、

 現地では無名だった企業がある。それが、「TAKEDA」で

 ブランド展開する武田。鎮痛剤「ネオサルディーナ」の

 売上高を年率10~20%伸ばした。


 2012年、2013年に赤字だった同事業は2014年に黒字転換

 し、鎮痛剤の定番商品になった。その結果、ブラジルの

 医薬品会社の売り上げランキングトップ10で、武田は圏外

 から7位へと急伸した。
 

  (PP.036-037)


ブラジル市場で、ここまでタケダを飛躍させた舞台裏を
知りたいですね。


「型破りのテレビCM」と、「薬を1錠ずつ販売」したところに
あるそうです。



 マイクを振り回す男性がサンバを踊り狂う、医薬品とは

 思えないような型破りのテレビCMを展開。錠剤に口を

 描いたキャラクターを生み出し、まるでチョコレートの

 ような親しみやすいデザインで話題を呼んだ。

 一方、貧困層の比率が高いブラジル市場の特性を考慮し、

 これまではパッケージ入りが当たり前だった薬を1錠ずつ

 販売して買いやすくする、新しい手法も導入した。
 

  (P.037)


「1錠ずつ販売」の連想で思い出したのは、日本のトイレ
タリー企業が、日本では12ロールが当たり前のトイレット
ペーパーをインドネシアなどで1ロールずつ販売している
ことでした。


確か、味の素も東南アジアで、少量を袋詰にして、
「1袋ずつ販売」していたと思います。


武田の新興国市場での戦略は、利益率の高い新薬の
販売を増やすことです。



例によりまして、下のグラフをご覧ください。
2022年にはジェネリック・市販薬の構成比を約70%に
下げ、新薬を約30%に上げるというものです。








さらに、地域別売上比率を見ると、2013年度と2017年度
の比較で、新興国は大幅に増加し、日本は減少すること
が分かります。人口が増加する国々と、減少する国との
違いです。


武田薬品工業と言えば、有名なビタミン剤がありますね。
ご存じですか?
そうです! 「アリナミン」です。
この「アリナミン」をブラジルで販売していこうとしています。

 


 現在では日本と台湾、タイでしか販売していない

 武田のビタミン剤「アリナミン」をブラジルに持って

 来る。既に、日本の責任者にこのアイデアを持ちかけ、

 話し合いも始めた。

 ブラジルではビタミン剤の需要が拡大している。

 だが、現在の市場では製品の種類はあまり多くない。

 鎮静剤で成功したようなマーケティング戦略を応用

 すれば、きっとアリナミンも大ヒットするはず――。

 マルティンス(ナイコメッドのブラジル拠点で市販薬

 部門のトップ 註:藤巻隆)は新たなチャレンジにも

 自信を深めている。
 

  (P.038)


ウェバー社長は、ブラジル市場と中国市場で対照的な
取り扱いをしています。


ブラジルでは「アメ」、中国では「ムチ」と使い分けて
います。南米人と東洋人の性格の違いを研究したの
でしょうか?



 (ブラジル市場で)ウェバーは社員に賛辞を贈ったり、

 グローバルに活躍できる機会を与えたりするなど、

 「アメ」でやる気を引き出そうとした。

 一方、現地トップらにあえて厳しい言葉をかける

 「ムチ」によって危機感をあおるのが中国だ。
 

  (P.038)





 中国の製薬市場 

ウェバー社長は中国市場のトップにハッパをかけています。



 巨大市場にもかかわらず、欧米メガファーマの進出

 から10年遅れで、事実上ゼロベースから事業展開

 に乗り出すことになった中国。それだけに、早急に

 立ち上げなければ埋没してしまうというウェバーの

 思いがにじむ。その命を受けて奔走するのが、

 武田中国トップのポニー・ルーだ。

 仏製薬大手セルヴィエの中国法人社長を務めていた

 台湾籍の人物である。2010年、武田中国にスカウト

 された。
 

  (P.038)



武田中国でルー氏は実績を上げ、自信に満ち溢れて
いました。



 入社当時、年20億円だった中国の売上高は

 500億円を超え、2013年度は単体で黒字化

 も果たした。
 

  (P.039)



昨年5月、ルー氏の元を、ウェバー社長が訪問。
その時の経緯が描写されています。



 「国の市場成長を上回るスピードで急速に

 伸びた業績を手放しで褒められるに違いない」。

 こんな期待から、ウェバーを前に事業計画を

 プレゼンするルーの声はひときわ大きくなった。

 「早期に年間売上高1000億円を達成します」。

 だが、その声を、ウェバーの厳しい口調が遮った。

 首を振りながら、「1000億円では足りない。3000

 億円を狙ってくれ」。

 中国市場でトップのファイザーの売上高は年1500

 億円。それでもローカル企業を含めて6000社の

 製薬会社がひしめく中国でのシェアは2%弱しか

 ない。
 

  (P.039)



鼻高々だったルー氏は、冷水を浴びせられる格好
となってしまいました。


1000億円ではなく、3000億円という数字は現実には
可能なのか疑問に思いますが、可能性は十分にある、
と『日経ビジネス』取材班は考えています。




 もちろん、3000億円という数字は、単に大風呂敷を

 広げたわけではない。

 中国では所得水準の向上とともに、がんや中枢神経

 系領域を中心とした高度治療薬、生活習慣病治療薬

 の需要が伸びている。これらは武田の得意分野で、

 強みを生かすことができる。

 さらに、現在武田が中国で販売している薬は普及品

 が多いが、それを機能が高い高級品に置き換えれば、

 売上増を見込める。
 

  (P.039)



世界の医薬品市場は、今後どのような過程をたどると
推測されているかですが、「世界の医薬品市場はこれ
から拡大していく。2025年には現在の2倍の188兆円
に達するという予測がある」(P.040)そうです。


188兆円とは、ものすごく巨大なマーケットですね。
このマーケットでブラジルと中国が占める割合は、
「2カ国だけで、世界全体の26%を占める見通しで、
現在はトップ3に入る日本(6%)を大きく突き放す」
(P.040)ということです。


この予測をベースに、ブラジルと中国に経営資源を
集中投下していくという戦略です。


タケダの業績の推移を見てみましょう。
2008年度は左うちわでした。4製品だけで1兆円の
売上高でした。


ところが、2014年度は特許切れで売上高は約3分の
1の3600億円に縮小しました。


そこで、新たな創薬により2020年度ごろには、
消化器系とがんの新薬が中心になるようにポート
フォリオを組み直す腹づもりのようです(下図参照)。





タケダの業績の推移と予想

(『日経ビジネス』 2015.03.02 号 PP.040-041)






 PART 3 世界に挑む人材
「エセ・グローバル」では勝てない 


組織や企業が持続的な成長を遂げるためには、
モノからコトへ、そして最後はヒトに集約されます。


製薬会社においては、商品であるクスリのブランド化
があります。 → モノ


次に、いずれは特許が切れますので、新薬の研究・
開発をすることが不可欠になります。 → コト


そして、最後は世界中に販売していくためにマーケ
ティング戦略を立案し、実際に販売していく部隊が
欠かせません。


研究・開発のための優れた研究者を取り込むことも
必要でしょう。経営と、研究・開発のための持続的な
投資を両立させていかなくてはなりません。
グローバル人材を育成することが、企業を成長させる
ためのエンジンとなります。 → ヒト


問題は、『日経ビジネス』取材班が指摘している、
「エセ・グローバル人材」です。



 日本の本社も真の意味でグローバル化しないと、

 国際舞台では生き残れない。

 そのために必要不可欠なのが、グローバル人材

 だ。PART1で触れたように、世界のどこにいても

 リーダーシップを発揮し、結果を出せる人のことだ。

 そして、PART2で見たように、地域や発展段階

 などに応じて、最適な経営スタイルへ柔軟に変える

 ことができる。

 これと正反対なのが、日本企業に多い「エセ・グロー

 バル人材」だ。海外に赴任しても、会社が用意した

 ネットワーク内だけで仕事を完結させ、そこから

 外に出ようとしない人たちである。


 どこに行っても本社の流儀をかたくなに変えない人

 たちもそうだ。
 

  (P.042)



英語屋になっていることを自覚できていない人たちが
いるのも事実です。



 英語の能力が高ければ国際派と見られがちだが、

 非英語圏の人たちを含めて、相手に自分の言葉

 が伝わっているかどうかに思いが至っていない。
 

  (P.042)



ただし、社員全員をグローバル人材に育成する必要は
ありませんし、相当の時間とコストをかけても不可能です。
現実的ではありません。


ではどうするか。その答えの一つは「100分の1を探せ」
(P042)ということになります。



 キーワードは「100分の1を探せ」。

 全ての社員をグローバル人材に育てる必要はない。

 ローカル人材も必要であり、全体の1%がグローバル

 事業を率いることができれば十分との考え方だ。
 

  (PP.042-043)



その考え方は基本的に正しいと思います。
ですが、次のような考え方も成り立ちます。



 立命館大学大学院准教授の上久保(誠人)は

 「グローバル人材の社内育成は難しい」とみる。

 なぜなら「彼らはきっと、会社を飛び出していく

 はずだからだ」。
 

  (P.043)



似たような話があります。
米国などの大学院へMBA(経営学修士)の取得の
ために会社から派遣されたり、本人が2年間休職
し、大学院への進学を希望することがあります。


MBAを取得すると、会社を去る――。
大学院で学んでいくうちに人脈ができたり、
視野が広がり、考え方に大きな変化が起こり、
在籍している会社に見切りをつけるケースが
よくあります。


はるかに待遇の良い会社へ転職してしまうのです。
ヘッドハンティングされるかもしれません。


そのようなリスクを会社が負えるのかが問われて
いる、と言えます。


『日経ビジネス』取材班は、この問題を問い直して
います。



 企業も、いずれ外に飛び出していくことを承知で、

 手間をかけてグローバル人材を育成すべきなの

 だろうか。それが日本人の競争力向上につながる

 としても、優秀な人材ほど抱え込みたいのが本音

 だろう。

 だが、日本が世界の中で地盤沈下を避け、グロー

 バル化を生き抜くには、それくらいの覚悟がそろそろ

 必要なのかもしれない。
 

  (P.043)





今号のキーワードを確認しておきましょう。

 外国人経営者 
 グローバル経営 
 真のグローバル企業 
 日本人社員の強味と弱味 
 国内だけで勝負できるか 




私たち外部の人間には、製薬業界や製薬会社の
内部のことは、なかなか窺い知ることはできません。


薬品業界トップの武田薬品工業の中で、深刻な問題が
発生しているとは――。


外部から見ると、社員の待遇が良く羨ましい存在に
映りますが、内部ではドロドロした状態が続いている
のですね。考えさせられました。


The grass is always greener on the other side of the fence.
(隣の芝はいつも青い=他人のものは何でも良く見える)






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管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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