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2000万人の貧困 必要なのは「福祉」より「投資」 2015.03.16 <1>


弁護士法人村岡総合法律事務所




日経ビジネスの特集記事(100)

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」
2015.03.23



今週の特集記事のテーマは

昨年からの「ピケティ・ブーム」で、格差論議がかまびすしい。
しかし日本の格差の本質は、ピケティ氏の学説で注目された
富裕層の占有にではなく、中間層の没落と貧困の拡大にある。
月に10.2万円に満たない額で生活する人は、約2000万人。
後期高齢者より多いこの層を放置すれば、国の衰退は必至だ。
福祉を慈善のようにではなく、投資としてとらえ直す時が来た
 (『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.024)

ということです。




2000万人の貧困<br />必要なのは「福祉」より「投資」

2000万人の貧困
必要なのは「福祉」より「投資」

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.024-025)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




「1億総中流」と言う言葉は消滅しました。
3%の富裕層と97%の非富裕層に2分されました。


ちなみに、「富裕層とは年収3000万円以上で、かつ
金融資産を1億円以上所有している人」という定義が
あるそうです。


さて、今特集は「2000万人の貧困」です。
日本人の6人に1人が貧困層ということになります。
この数字はとても信じられないことのように感じますが、
『日経ビジネス』を読むと、あながち大げさな数字では
ないことに気づきます。


決してブラックユーモアではありません。
これからは、「私は貧困層ではない!」とは断言でき
なくなります。




第1回は、
「PART 1 普遍化した困窮
介護、リストラ 『まさか自分が』」
を取り上げます。


第2回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 貧困対策の真価
眠れる潜在力を呼び起こせ」
「Epilogue 誰も1人でなんて生きていけない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 普遍化した困窮
 介護、リストラ 「まさか自分が」 


まず、「相対的貧困率」とは何かについて、確認して
おきましょう。



 相対的貧困率
 
 経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)、

 ユニセフ(国連児童基金)など国際機関で

 使われる。その国の貧困や格差の状況を

 表す指標の一つ。年収が全国民の年収の

 中央値の半分に満たない国民の割合を指す。
 

  (P.025)


スタートページをご覧いただくと分かりますが、
2012年に相対的貧困率を子供の相対的貧困率
が逆転したことを示しています。


子供の相対的貧困率の急増の原因は何なの
でしょうか?


今特集を読んでいただくと、分かってきます。
子供たちの将来に暗雲が立ち込めています。




下の画像をご覧ください。
都内のインターネットカフェの内部を撮影したもの
です。



都内のインターネットカフェ。長期滞在を
想定しており、個室の外に利用者の
生活用品があふれ出している

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




私もネットカフェを利用したことがありますが、この画像を
一目見た時、違和感を覚えました。


それは、スーツケースやキャリーケースなどの生活用品
が扉の外の通路に置いてあったからです。
このネットカフェは長期滞在型のネットカフェだったのです。




 2010年に開業したこの店舗は、1日の滞在だと料金は

 2472円だが、30日以上の連続滞在なら1日当たりの

 利用料が1977円に割り引かれる。長期滞在者は店の

 住所で住民登録をすることができ、宅配便を受け取る

 ことも可能だ。別料金がかかるが、シャワーや洗濯機も

 置いてある。
 

  (P.026)



このネットカフェの驚くべき実態が明らかにされます。
長期滞在者にとっては、「駆け込み寺」となっている
のです。




 このネットカフェは、首都圏で4店を運営する。埼玉県の

 1号店は開業後すぐに満杯になり、1年半の間に2回も

 増設した。もう6~7年利用している人もおり、行政の

 窓口からの紹介で、グループの店を訪れる人も少なくない。

 新宿店も常時、9割方が埋まっているような状況で、経営は

 堅調だ。利用客のうち、およそ8割の人が1カ月以上滞在

 する長期利用者。客の男女比率は男性が6で女性が4。

 客の外出は自由で、スタッフが「お帰りなさいませ」

 「行ってらっしゃい」と声をかける。
 

  (P.026)


寝る場所を確保するために存在する、と言っても過言では
ありません。「客の男女比率は男性が6で女性が4」という
比率にも現代日本の世相を反映しているのです。


路上生活者を目にすることは少なくなりましたが、ネット
カフェに逃げ込む人たちがいるという実態が浮かび上がっ
てきます。


しばらく前までなら、女性がこのような場所に長期滞在する
ことは考えられなかったことです。背に腹は代えられない、
ということなのでしょう。



このような長期滞在型ネットカフェを利用する動機はどの
ようなものなのでしょうか?


 利用動機は様々だ。地方からの出稼ぎ労働者や出張者、

 リストラされた身寄りのない高齢者、定職を持てない若者。

 共通するのはただ1点、寝床を確保するための費用を少し

 でも抑えたいということだ。
 

  (P.026)



老若男女を問わず、この店の個室に潜り込んでいるのです。
個室だけが自分の「居場所」と考えているのかもしれません。


私の想像ですが、ネットカフェ住民の中にはインターネットを
使い、ブログで情報発信したり、アフィリエイトで収入を得て
いる人たちがいるのではないか、と考えています。


ただ、ある程度の収入を得ても、莫大な収入であるはずがなく、
ネットカフェ利用料の支払いに充てられるだけに費やされること
でしょう。


できればここから出たいと心の底から願っている人たちは、
間違いなくいるはずですが、さてどこへ行ったらよいか思案に
暮れることでしょう。


賃貸物件となれば、家賃だけでなく、水道光熱費も発生します。
金額は馬鹿になりません。そのようないろいろなことを考えると、
ネットカフェを出ることに二の足を踏むことになるでしょう。
とりわけ、高齢者ともなれば、より一層厳しい現実に直面します。




 頭の片隅には「ここを出ても、自分で光熱費なども負担し

 なきゃいけない。ここのスタッフは良くしてくれるし、

 居心地は悪くない」との思いもある。一人暮らしを始めても、

 それは生活の“改善”なのか。新しい生活を始めようとする

 エネルギーは、強くはない。

 長期滞在を可能にしているネットカフェは、経済的な困窮者

 を標的にしているとして、「貧困ビジネス」と呼ばれることが

 ある。だが勤めていた保険会社にリストラされ、2カ月以上

 滞在する50歳の男性は、「こういう店があって助かる。

 なければ、24時間営業のファストフード店で邪険にされるか、

 野宿するしかない」と話す。困窮者の受け皿という側面が

 あるのは確かだ。
 

  (P.027)



ここで「相対的貧困率」が登場します。



 厚生労働省が2014年7月にまとめた国民生活基礎調査に

 よれば、日本の「相対的貧困率」は2012年時点で16.1%

 だった。相対的貧困率は、その国で一般的とされる水準の

 生活が送れない層を測る指標の一つ。調査時点の日本の

 場合、税金や社会保険料などを除いた可処分所得が年

 122万円に満たない世帯の割合を示している。

 換言すれば、月に10万円と少し以下のお金で暮らす人が、

 日本には約2000万人、およそ6人に1人いるということになる。

 この相対的貧困率は、1985年の12.0%からほぼ一貫して

 増加しており、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の

 中でも高水準にある。
 

  (P.027)



こうした実態を知ると、日本はもはや経済的に豊かな先進国
ではない、と認めざるを得ません。


こうした問題が深刻なのは、次の理由によります。



 貧困は今も確実にこの国を侵食し続けている。存在する場所が

 路上からネットカフェ、社会福祉法に規定された「無料低額宿泊

 施設」、または普通の家庭の中に移り、見えにくくなっただけで、

 着実に広がっている。
 

  (P.028)



増大する貧困の根本的原因は大きく分けると、6つあります。
1. ひとり親
2. 教育費膨張
3. 非正規雇用
4. 精神疾患
5. 親の介護
6. 医療費膨張



増大する貧困の落とし穴(1)

増大する貧困の落とし穴(1)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.028)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号


増大する貧困の落とし穴(2)

増大する貧困の落とし穴(2)

(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




今や、若い人なら働き口があるという時代ではありません。
まして中高年ならなおさらです。


 34歳男性の場合 



 10年ほど前に父親が要介護となり、その父が亡くなった

 1年後に今度は母親が介護状態になった。男性は父が

 介護を必要とする直前にそれまで勤めていたNEC系列の

 子会社を離れ、時間の融通の利く派遣社員として働き

 始めた。収入はそれまでの3分の1以下に減少。今は母親

 の年金収入と合わせ、月に20万円強の収入でやり繰りして

 いる。

 自宅は実家だが、父の介護が必要になった際にバリアフリー

 に改修しており、そのローン返済で収入の半分が消える。

 母親の介護費用には月2万5000円ほどかかり、食費や光熱費、

 車の維持費などを払うと生活はギリギリだ。


 兄と2人の姉がいるが、兄は遠方で家族と暮らしており、近くに

 住む姉は平日昼の食事を介助してくれる。男性は34歳の時に

 離婚し、2人の子供は妻が引き取った。独り身の自分が親の

 面倒を見るのは当然との思いがある。


 「将来、自分の世話は誰がするのか」と考えると、気持ちが沈む。

 20代後半になったはずの自分の子供とは、ほとんど連絡を取って

 いない。
 

  (PP.028-029)


このような話を読むと気が滅入ってきますが、貧困を増やして
いる原因は「親の介護」だけではありません。
「非正規雇用」の拡大や、近年増加している「精神疾患(うつ病
など)」、さらに離婚率が欧米並みに増加した結果の「ひとり親」、
「医療費膨張」、そして「教育費膨張」があります。


なお、「教育費膨張」についてはPART 2の「問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」で詳しくお伝えします。




 若年層にもリスクは広がる。総務省の労働力調査によれば、

 非正規雇用者の人数は2015年1月に1989万人。正規雇用者

 が減少する一方で、1989年から1000万人以上増えた。役員を

 除く雇用者に占める割合も37.8%で、89年比ではほぼ倍増して

 いる。


 近年増しているリスクでは精神疾患もそうだ。医療機関を受診

 した精神疾患の患者数は2011年に約320万人(宮城県の一部

 と福島県を除く)と、1999年から116万人増加した。中でもうつ病

 など「気分障害」の患者数は95.8万人と、99年の44万人から

 急増している。気分障害は現役世代である30代後半から60代

 前半の患者数が多く、家庭の収入に大きく影響する。


 ひとり親という課題もある。「働いている大人1人と子供」という世帯

 で見ると、日本の相対的貧困率は2012年に54.6%。データがある

 OECD加盟国中、最悪レベルにある。ひとり親世帯は、半数が働い

 ても貧困水準を脱さない「ワーキングプア」なのだ。
 

  (PP.029-030)



最近とみに、生活保護不正受給がマスコミに取り上げられる
ことが多くなってきました。そのため、国は生活保護費の削減を
始めました。ですが、十分な生活保護が受けられなくなると、
困窮し犯罪に走ったり、自殺者が増加するという負のスパイラル
を加速させます。


ただし、下図のように生活保護費が年々膨張していることを考慮
すると基準の見直しは必要かもしれません。





(『日経ビジネス』 2015.03.23 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.03.23 号




『日経ビジネス』(今回、1人の記者が文責となっています)は、
生活保護について次のように述べています。



 生活保護には、批判も根強い。「生活保護以下の所得しか

 得られない労働者の勤労意欲をそぐ」というものや、「金持ち

 の親が受給していいのか」などと、モラルの問題を指摘する

 向きもある。

 それに加えて、周囲の賃貸物件に劣る劣悪な条件にもかか

 わらず、生活保護の受給者から割高な住居費を受け取る悪質

 な事業者や、過剰な医療サービスを提供してその分の報酬を

 受け取る医療機関の存在も指摘されている。

 こうしたことから、政府は生活保護に含まれる「医療扶助」や

 「住宅扶助」を抑制する施策を検討している。厳しい財政状況を

 考えれば、不必要な支出を抑えることは当然とも言える。

 だが、生活保護が日本国民の生命と生活を守る「最後の安全網」

 であることを考えれば、必要な人に十分な支援が行き届かないこと

 があってはならない。先に紹介した「単身高齢者」や「ワーキング

 プア」といった、受給要件をほぼ満たす「予備軍」の存在を考えれば、

 保護費の総額が4兆円を超えるのは時間の問題だ。「いかに受給

 対象者を減らすか」という点についても、本腰を入れた対策が必要

 になっている。
 

  (P.032)



ここで、日本国憲法の3つの基本理念と、前文、
憲法第25条を確認しておきましょう。


安倍政権は憲法改正に躍起になっていて、3つの基本
理念さえ改正するか、解釈を変更しようとしています。
独断を許すことは、非常に危険なことです。


1. 国民主権(主権在民)
2. 基本的人権の尊重
3. 平和主義
前文
第25条


1. 国民主権(主権在民)


 国民主権のもとでは、主権は国民に由来し、国民は

 選挙を通じて代表機関である議会、もしくは国民投票

 などを通じて主権を行使する。その責任も国民に帰趨

 する。

 歴史的には、必ずしも君主主権と相反するものでは

 ないとされていたが、日本国憲法下の学説では君主

 主権を否定する原理であるとするものが多い。
 

   (国民主権 Wikipedia から



2. 基本的人権の尊重


 基本的人権とは、人間が、一人の人間として人生をおくり、

 他者とのかかわりをとりむすぶにあたって、決して侵しては

 ならないとされる人権のことである。すべての人間が生まれ

 ながらにして持つ。

 基本的人権は、生命、財産、名誉の尊重といったような個別

 的具体的な権利の保障へと展開することが多い。このため、

 体系化されているさまざまな権利を総称して「基本的人権」

 ということもある。
 

   (人権 Wikipedia から



3. 平和主義


 平和主義(へいわしゅぎ、Pacifism)とは戦争や武力行使や

 暴力に反対し、個人や組織や国家の紛争の解決を求める

 手段として、例外を認めない絶対的な非暴力・非軍事力により、

 平和の追求や実現や維持を求める思想のことである。


 日本国憲法前文および日本国憲法第9条についての解釈の

 一つとして、憲法第9条で規定される軍事力の不所持は、正当

 防衛や緊急避難も含めたあらゆる軍事力の保有と行使を否定

 した平和主義という解釈がある。


 一方で一旦自衛力を容認すると、なし崩し的に「自衛」の解釈

 が広がって、侵略戦争も「自衛」とされる危険がある。欧米諸国

 では侵略戦争とみなされている太平洋戦争は、戦中の日本では

 「自存自衛」のための戦争とされていた。
 

   (平和主義 Wikipedia から



前文


 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し

 われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、

 わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為

 によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、

 ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は

 国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は

 国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、

 かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、

 法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な

 理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に

 信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、

 平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと

 努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和の

 うちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視して

 はならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、

 この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たう

 とする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的

 を達成することを誓ふ。
 

   (日本国憲法 houko から



第25条
 


 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆

 衛生の向上及び増進に努めなければならない。
 

   (日本国憲法 houko から






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 貧困 
 他人事(ひとごと)ではない 
 介護 
 教育の格差 
 自立の揺らぎ 




次回は、
「PART 2 問われる『稼ぐ力』
“教育ゲーム”が将来を奪う」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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