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主役はベンチャー パナソニックが脇役に 大手は子に従え 2015.04.13 <2>


DMM FX×あいまいみー




日経ビジネスの特集記事(103)

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え
2015.04.13



今週の特集記事のテーマは

ウエアラブルやロボット、自動運転など、次世代産業分野で
日本の大手から画期的な製品が生まれてこない。
自前主義などの旧来の枠組みから脱しきれず、
イノベーションの壁にぶち当たっている。
そんな中、ユーザーニーズを素早くくみ取り、画期的な製品を
繰り出すモノ作りベンチャーが続々登場した。
大手が開発を牽引する「主」の立場から、ベンチャーの言うが
ままに技術や部品を差し出す「従」へ。
この主役交代の歯車は既に回転を始めた。このまま大手は
なすすべもなく転落していくだけなのか。いや、そうではない。
「逆転の構図」の中にこそ、日本のモノ作りを再生するヒントが
隠されている

 (『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.026)

ということです。




主役はベンチャー<br />パナソニックが脇役に<br />大手は子に従え

主役はベンチャー
パナソニックが脇役に
大手は子に従え

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





今週の特集記事のタイトルは、「大手は子に従え」です。
もちろん、「老いては子に従え」にかけて表現しています。


主役はベンチャー企業になってきていて、大手企業は脇役
となり、協業することで、相互補完関係が出来上がりつつ
ある現在を、『日経ビジネス』は多くの事例を交えて紹介して
います。


そこには、大手企業が革新的な製品を生み出す力が衰えて
きたと見ることもできます。冒険する、チャレンジする精神が
弱まってきた、と言っても過言ではないでしょう。


歴史を振り返るまでもなく、未来永劫存続するものなどない、
と断言できます。生老病死は人間だけに当てはまることでは
なく、「生きとし生けるもの」すべてに共通する概念です。


企業も「法人」という生き物と考えれば、人間と同じ運命を辿る
ことは避けられません。


唯一、存続し続けることができるとすれば、それは自己変革が
できた場合です。従来のやり方を踏襲し続ける限り、いずれ
終焉を迎えます。





第1回は、
「PART 1 逆転の最前線
 ベンチャーに頼り切る落日の大企業」
を取り上げました。


第2回は、
「PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて『従』となり革新力を鍛え直す」
を取り上げます。


最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




では、本題に入りましょう!


 PART 2 勝ち馬の乗り方
 あえて「従」となり革新力を鍛え直す 



PART 1 では、大企業の活力が失われ、ベンチャーとの
協業を模索する様子をお伝えしました。


PART 2 では、さらにもう一歩進み、大企業がベンチャー
の「従」となる、主従関係の逆転現象が起きている現場を
『日経ビジネス』は活写しています。


もちろん、これが全てではありません。従来通りの主従関係
を堅持している業界も多数あることでしょう。


ですが、主従関係の逆転現象は珍しいことではなくなって
きた、というトレンドを頭に入れておく必要があります。


元米大統領のジミー・カーター氏は自著で次のように語って
いたことを思い出しました。シチュエーションがどういうもの
であったかは覚えていません。


本来、言葉は文脈の中で捉えるべきであることは、重々承知
していますが、自分なりの解釈でご紹介します。


Once a ball goes down the slope, it's hard to stop it.
(ボールが一度坂を転がりだすと、止めることは容易でない)


物事がある方向へ進み出すと、大きな流れになることがあり、
その流れを食い止めることはなかなかできない、ということ
です。




 大手企業からイノベーションが生まれず、ベンチャーに

 頼らざるを得なくなっている。PART1では主役が交代

 する最前線で、戸惑う大手と躍進するベンチャーの姿を

 描いた。


 この動きはもはや止めようもない。ならば、その流れに

 乗って新しい形の成長を目指してはどうか。大手が時には

 戦略的に従の立場に徹することも、勝ち残るための有力な

 手段になるはずだ。
 

  (P.036)



大企業が「従」となり、ベンチャーと組んでビジネスを展開
しているケースをご紹介しましょう。



 Qrio 


Qrio という会社があります。この会社はソニーと協業し、
スマートフォンを使った「スマートロック」という装置を
開発しました。


 昨年12月、ネット上で「Qrio(キュリオ)」という企業が

 発表した、ある製品が注目を集めた。

 スマートロックと呼ばれる装置で、無線通信機能と鍵

 を回すモーターが内蔵されている。家のドアの鍵に

 取り付ければ、スマートフォンで鍵の開閉ができる。

 家を貸し借りしたり、掃除サービスを利用したりする際に、

 面倒な鍵の受け渡しが必要なくなる。
 

  (P.036)



Qrioの社長について紹介しておきましょう。



 「Qrio」という社名は、かつてソニーが開発していた

 2足歩行ロボットのブランド名「QRIO」から取った。

 社長の西條晋一は、インターネットベンチャー、

 サイバーエージェント出身だ。ソニーが4割を出資する、

 同社のグループ会社である。 
 

  (P.037)


ソニーが4割を出資しているので、ソニーの子会社かと理解
されそうですが、実はそうではありません。


Qrioが主導権を握っています。
どのような関係にあるのか詳しく見ていくことにしましょう。
従来の考え方からすると、全くありえないような内容です。



 企画、立案、販売などは、Qrioが手掛ける。その指示を

 受けたソニーの社員たちが、実行部隊として駆け回り、

 製品化に結びつけた。製品はあくまでQrioブランド。

 ソニーは下請けとして動いた形だ。
 

  (P.037)



「ソニーが下請け?」という疑問を持たれるのも無理はあり
ません。ソニー側には「ある狙い」があったのです。
その狙いとは?



 狙いは、あえて自分が従の立場につき、Qrioの言う通りに

 動くことによって、ソニー内部で知らず知らずのうちに出来

 上がってしまった固定観念や枠組みを破壊することにあった。

 そして、失われてしまった豊かな発想とスピード感を取り

 戻そうという狙いだ。ソニーは自ら戦略的に主従を逆転させた

 わけだ。
 

  (P.037)



つまり、ソニー内部に巣食っていた「ゆでガエル」「井の中の蛙」
と言った、チャレンジ精神の喪失に対し刺激を与える意味があっ
たのです。


社内ではなかなか改革できないことを、外部との協業によって、
発想の転換や新しいことに挑戦することの重要性を実感させる
ためだったのです。


この協業を通じてソニー社員が得たものは決して小さくはなかった
ということです。



 Qrioでの経験は、プロジェクトに参画したソニー社員たちに

 とって驚きの連続だった。その一つが、価格決定のプロセスだ。

 ソニー流の考え方で部品価格や在庫リスクを積み上げると、

 価格はどうやっても数万円になる。ところが、西條社長は

 「税抜きで1万5000円。そうでないと売れません」と言い放った。 
 

  (P.037)



価格決定のプロセスには2つあることを理解しておきましょう。
1つは「プロダクトアウト」で、もう1つは「マーケットイン」です。


「プロダクトアウト」というのは、原価+利益=販売価格という
もので、項目を積み上げて価格決定していく方法です。
足し算です。


先の話で言いますと、ソニー流の考え方です。これは「強者の
戦略」と言い換えてよいでしょう。殿様商売ができる場合です。


「マーケットイン」は、「はじめに販売価格ありき」という考え方
です。つまり、販売価格-利益=原価で表されます。
引き算です。一定の利益を確保するためにはコストダウン
しなければならないということです。
これは、Qrioの考え方です。


別の言い方をしますと、「プロダクトアウト」はメーカーの発想で
あり、「マーケットイン」は販売店の発想あるいは、消費者の発想
です。


価格戦略はとても重要です。消費者が、価値を認めてくれ、
この価格なら購入してくれるだろう、という適正価格を決めること、
すなわち「値決め」が重要であることは、京セラの創業者、
稲盛和夫さんも指摘しています。


京セラはメーカーですが、稲盛さんはメーカー発想ではなかった
ということです。


ソニーとQrioのような大企業とベンチャーとの協業のケースは
他にもあります。


下の表をご覧ください。


ベンチャーの革新力を求める動きが相次ぐ<br />・大手とベンチャーの協業などの主な事例

ベンチャーの革新力を求める動きが相次ぐ
・大手とベンチャーの協業などの主な事例

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号





協業の機運が盛り上がり、県境も整ってきた<br />・大手と中小ベンチャーをマッチングする主な取り組み

協業の機運が盛り上がり、県境も整ってきた
・大手と中小ベンチャーをマッチングする主な取り組み

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.037)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




ソニーとQrioの協業には続きがあります。
通常、コストを削るため製品を入れる箱は薄い紙でできて
いることが多いですね。


ところが、Qrioの西條社長は「製品を入れる箱はよりコスト
をかけて、上質感のあるものにしよう」(PP.037-038)と
提案していたそうです。


どんな意図があったのでしょうか?



 低価格にこだわる一方、一見無駄に見える箱にコスト

 をかける決断をしたのはなぜか。そこにはネットに詳しい

 西條が知る、ブームの存在があった。消費者の間で

 広がっている、「開封の儀」と呼ばれる儀式である。
 

  (P.038)



「開封の儀」という言葉は初耳です。あなたはご存じでしたか?



 新製品を購入した顧客が、感想を述べながら箱を開けて

 製品をセットアップする模様を、動画でネット配信するのだ。

 消費者がどの製品を購入するかを決める際に、この動画

 を参考にするケースが増えている。「コストがかかっても、

 まず箱の高級感で驚かせることができれば、ネットで開封の

 儀を見ている消費者に口コミで広がる。広告宣伝効果を

 考えれば箱代が100円から500円になってもお釣りがくる」

 (西條社長)。ソニーの社員たちだけで会議をしていても、

 恐らく生まれなかった考え方だ。
 

  (P.038)



この話を読んで、唸ってしまいました。そこまで観察している
のか! そこまで深堀りしているのか! 驚きました。


もちろん、客観的に評価できる方法は見つからないかもしれ
ません。ですが、そこまで考えて製品を大切に扱おうとする
心意気は、消費者に必ず伝わると思いました。


『日経ビジネス』特集班は、ソニーの取り組みを次のように
まとめています。



 ソニーもこれまでベンチャー買収などを手掛けてきた。

 だが、せっかくの革新の芽を自ら摘み取り、今の苦境を

 食い止められなかったことへの反省もあったのだろう。
 

  (P.038)



大企業とベンチャーの協業のケースをご紹介しましたが、
他に、大手とベンチャーの間に入り、マッチングさせ、
投資するベンチャーキャピタルがあります。


そのベンチャーキャピタルの一つ、WiLをご紹介します。


 WiL 

いわば、「提携の旗振り役」(P.040)をする企業です。
WILとはどのような会社なのか、からお伝えします。



 全日本空輸、ソニー、日産自動車、三越伊勢丹

 ホールディングス、みずほ銀行──。日本の大手

 企業10社以上から合計3億ドル(約360億円)を集め、

 2013年末に設立したWiL。
 

  (P.041)



WiLは米シリコンバレーにオフィスを構えています。
その関係で集まった資金が米ドルなのです。
WiLとは、World Innovation Lab の略だそうです。


WiLの共同創業者CEOの伊佐山元氏とはどのような
経歴の人物でしょうか?


「日本興業銀行からシリコンバレーのベンチャー
キャピタルに転じて経験を積んできた」(P.041)そうです。


WiLについて、伊佐山氏は次のように語っています。
『日経ビジネス』特集班の解説と併せてお読みください。



 伊佐山は「我々は単なるベンチャーキャピタルではない。

 大手のR&D(研究開発)の蓄積を活用できる有望な

 ベンチャーを見つけ、有機的につなぐのが役割だ」と

 説明する。大手はWiLに次世代事業のタネ探しを期待

 しているのだ。現在、大手とベンチャーを結びつける

 複数の案件が動いている。

 伊佐山がWiLを設立した狙いはもう一つある。複数の

 大手企業から持ち寄った知的資産を組み合わせて、

 イノベーションを起こすことだ。
 

  (P.041)



目標は、「大手自身が社内の使われていない資産を
活用できるベンチャーを作れるようになること」(P.041)
だそうです。


大手とベンチャーの間に入り、仲介役になるだけでなく、
旗振り役になっています。


大手がベンチャーと組んで協業したいとしても、どこの
ベンチャーと組んだらよいのか分からないケースがあり
ます。


そうした場合にマッチングさせる役割を担っています。


WiLは大手とベンチャー両社の強みと要望を理解し、
組ませようとしているのです。


結婚(業務提携や合併)にまでには至らないかもしれ
ませんが、結婚相談所のように考えればよいかもしれ
ません。これはあくまでも私の個人的な考え方ですが。


WiLはベンチャーキャピタルですから、大手とベンチャーを
組み合わせて協業させるだけではありません。最終的には、
ベンチャーに投資します。


WiLが現在行なってる事業の一部を一覧にした表があります
ので、ご覧ください。


大手とベンチャーを有機的につなぐ<br />・WILによる大手の資本をベンチャー投資につなげる仕組み

大手とベンチャーを有機的につなぐ
・WILによる大手の資本をベンチャー投資につなげる仕組み

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 PP.040-041)
日経ビジネスDigital 2015.04.13 号




『日経ビジネス』特集班は、PART 2を次のようにまとめています。



 従来のモノ作りの常識が通用しない時代に入った。

 大手がイノベーションを生み出す力の回復を目指すなら、

 ベンチャー企業との関係構築を突破口として活用しない

 手はない。
 

  (P.041)



世の中に、なかなか出てこない動きがとてもよく分かる
特集です。ダイナミックな変化は次なる変化を促します。
最初は小さな波が波紋を広げ、大きなうねりとなって
変革する力となるかもしれません。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

 ベンチャー 
 革新力 
 コラボレーション 
 提携の旗振り役 
 相互補完 




最終回は、
「大手が変われない理由
 シリコンバレーに拠点の勘違い」
「PART 3 日本企業が進む道
 『相手が生きれば自己も生きる』」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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