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孤高の製造業 ファナック 利益率40%を生む異様な経営 2015.06.08 <2>







日経ビジネスの特集記事(110)

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営
2015.06.08




テーマ

今週の特集記事のテーマは

世界シェア8割の商品を持ち、営業利益率40%という
最強製造業。
それが今、株式市場を沸かせる産業用ロボットメーカー、
ファナックだ。
米アップルや独自動車大手も、ファナック無しでは
成り立たない。
極端に少ない情報開示から、実態はベールに包まれて
きたが、最大80%という大胆な株主還元策を打ち出し、
話題の中心に躍り出た。
富士通の傍流部門から始まったファナックが、
なぜここまで強くなったのか。
あえて常識の逆を行く、異様なビジネスモデルが
そこにはあった。

 (『日経ビジネス』 2015.06.08 号 P.026)

ということです。






孤高の製造業<br />ファナック<br />利益率40%を生む異様な経営

孤高の製造業
ファナック
利益率40%を生む異様な経営

(『日経ビジネス』 2015.06.08 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08







第1回は、
「PROLOGUE 利益の最大8割を株主還元
 満額回答に隠された真意」
を取り上げました。


第2回は、
「PART1 あえて常識の逆を行く
 『異様』なのにはワケがある」
を取り上げます。


最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
 
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



今週号の表紙と特集の写真をご覧になって、
お気づきの点があると思います。

ロボットの色が黄色であることです。


黄色は、ファナックのコーポレートカラーであり、
「戦いの色」だそうです。


今年になって、緑のロボットを発売したそうです。
緑はエコカラーです。


黄色いロボットと緑のロボットの違いは、
何でしょうか?


黄色いロボットは、ロボット単独で動きます。
黄色いロボットが動いている時には、
人は近づけません。危険だからです。


一方、緑のロボットは人と一緒に作業をします。
仮にロボットアームが人にぶつかっても安全
です。なぜなら、人に接触した瞬間に停止する
ようになっているからです。


ファナックという社名には、馴染みがないかも
しれません。BtoB(企業向けビジネス)の会社
だからです。


一般人が製品を目にすることが殆どないから
です。


NC(数値制御)装置や産業ロボットメーカーとして、
国内外で圧倒的な地位を築いています。


ファナックは、当初は富士通ファナックでした。
富士通の一部門に過ぎず、しかも傍流でした。


その後、富士通ファナックは富士通から独立し、
ファナックとなりました。


ファナックの創業者は、富士通でNC装置やロボット
部門の責任者であった、稲葉清右衛門氏です。
カリスマと言われています。


ファナックは高業績企業です。


その一端をご覧ください。


グラフ1

ファナックは飛び抜けている<br />・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

ファナックは飛び抜けている
・主要製造業と競合各社の売上高営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08



グラフ2

高い利益率を誇る<br />・ファナックの売上高と営業利益率、<br />東証1部上場製造業の営業利益率

高い利益率を誇る
・ファナックの売上高と営業利益率、
東証1部上場製造業の営業利益率

(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08






では、本題に入りましょう!


 PART1 あえて常識の逆を行く 
 「異様」なのにはワケがある 


前回、黄色いロボットについて少しだけお伝えしました。
今回は、このロボットについて詳細にお伝えしていきます。


なぜ、高収益企業なのか?

ロボットが超高性能で高価格であるからか?

また、従業員の待遇や生活は他企業とどう異なるのか?


そのような点に注目して、ご覧ください。
きっと驚きの連続となることでしょう。


私自身、今特集を読んで、本当に驚きました。
大金があったら、ファナック株を購入し、長期保有したい、
と心から思いました。


ファナックは、とても魅力的な会社だからです。


まず、独自動車メーカーのフォルクスワーゲンで、
異変が起きているという話からお伝えしていきます。


 独ウォルフスブルクにあるフォルクスワーゲン(VW)

 の本社工場。無骨なオレンジ色のロボットが「腕」を

 器用に動かしながら、小型車「ゴルフ」の車体を組み

 立てていく。

 工場内を埋め尽くすオレンジ色は、ドイツの老舗機械

 メーカー、クーカ(KUKA)製のロボットであることの証しだ。

 しかし、オレンジ一色だった工場にここ数年、異変が

 起きている。鮮やかな黄色のファナック製ロボットが

 目につくようになってきたのだ。

 VWは世界の工場でKUKAを採用してきた。

 ダイムラーやBMWもそうだった。ドイツが世界に誇る

 自動車産業の陰の立役者がKUKAだ。

 その牙城を、ファナックが切り崩し始めた。
 

  (P.030)




下の2枚の画像が、ファナックとクーカの産業用ロボットです。
素人の私には、色以外にどう違うのか、区別がつきません。




(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.031)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




ファナックがクーカの牙城を侵食し始めたきっかけに
ついて、『日経ビジネス』は次のように述べています。
「安さ」がキーポイントです。


 VWが進めている開発・生産改革の中で調達先を

 洗い直したところ、ファナックの優位性が鮮明に

 なったことだった。

 VWの工場担当者は言う。「同じ技術、信頼性、

 品質で比べた時に、KUKAより安かった」。

 VWは明言しないが、1割程度の価格差があった

 とみられる。
 

  (P.030)


価格に1割程度差があったということは大きいですね。
ロボットの納入台数によりますが、納入台数が増えれ
ば増えるほど総額に大きな差が出ます。


 ウォルフスブルクで毎日1700~1800台生産される

 ゴルフのフロアパネルは今、黄色いロボットが組み

 立てている。ファナックがVWへ出荷したロボットは

 既に2000台を数えた。設備コストが1割下がれば、

 自動車メーカーは世界で競争力のある工場を作り

 やすくなる。今後、ドイツ以外のVWの拠点でも導入が

 進む可能性は高い。

  「彼らが優れたロボットを作ったことは認めなくては

  ならない」。KUKAのCFO(最高財務責任者)である

  ピーター・モーネンは言う。
 

  (P.031)



補足説明があります。


 ファナックがドイツでシェアを拡大する最大の理由は、

 VWが言うように「安さ」である。

 製造業では世界でも類を見ないほど高い、売上高

 営業利益率40%を誇るファナック。

 多くの人は、こんな高収益企業はよほど高付加価値

 の製品を、高価格で売っているはずだと想像するだろう。

 だが、ファナックの商品戦略は、その真逆を行く。

 産業用ロボットでも、工作機械の司令塔であるNC

 (数値制御)装置でも、「iPhone」など世界中のスマート

 フォンを削っている加工機「ロボドリル」でも、ファナック

 の製品は競合メーカーより、安い。

 しかも、性能や機能は日本やドイツの競合を上回って

 いるわけではない。
 

  (P.031)



ファナックのロボット納入の理由は「安さ」にあることが、
分かりました。


ですが、安いのにどうして売上高営業利益率が約40%
に達しているのか、疑問ですね?


表1をご覧いただくと分かりますが、売上高営業利益率の
比較で、ファナックは40%に対し、クーカは6~7%程度
しかありません。乖離しています。


その疑問を解く鍵はドイツにはありません。
日本国内にあったのです!



 山梨県忍野村に林立するファナックの黄色い工場群。

 その一つをのぞくと、数台のロボットが自己増殖する

 かのように、自動車工場へ出荷するロボットの腕を

 組み立てていた。部品を削る、バリを取るといった

 機械加工もほとんど、ロボットが手掛ける。

 ファナック副社長の山口賢治は「組み立て工程の8割は

 自動化できており、配線以外は今秋までにロボットで

 できるようになる」と言う。


 他社とは真逆の「少品種大量生産」に徹しているからだ。

 ファナックでは多くの場合、顧客からの単純な特注品の

 申し入れは断る。だが、顧客との会話の中で聞き出した

 情報から、広く通用しそうなニーズを抽出すると、

 そのたびに量産品へ反映させる。

 だから、ファナックの製品は、使い勝手の改善など細かい

 部分も含め、頻繁にマイナーチェンジが繰り返される。
 

  (P.031)



以上の話を聞きますと、汎用品を製造しているように
聞こえますね。そうなると、コモディティー(ありふれた製品)
となり、さらに買い叩かれ利益を削ることになるのでは?


そう考えるのが自然だ、と思いますね。
ですから、これだけでは真意は分かりません。


おそらく、次の説明を聞いても納得出来ないと思います。


 連結売上高の8割超が海外向けであるにもかかわらず、

 全量を国内生産にこだわるのも、日本で一極生産する

 方が、顧客ニーズを早く、量産品に反映しやすいからだ。

 競合メーカーが「地産地消」を旗印に、海外生産を拡大

 しているのとは対照的だ。

 世界中の様々な工場で使われる商品だから、使用環境

 が変わっても壊れにくいことを最重視する。

 「狭い路(みち)を真っ直ぐに」という創業者の「教義」を

 今もかたくなに守り、むやみに最先端技術や畑違いの

 分野には踏み出さない。とがった新技術ではなく、使い慣れた

 技術を用いることで信頼性を高める。あえて平凡な性能に

 しているのだ。

 こうしてNC装置で世界の5割、ロボットで2割、スマホ用加工機

 で8割という高シェア企業になった。顧客の中心が先進国から

 新興国にシフトしても、同じシェアを維持している。
 

  (P.032)




表1


(『日経ビジネス』 2015.06.08号 PP.032-033)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08





ポイント

サービスファースト




 製造業では生産、販売、サービスという優先順位が

 一般的だろう。しかし、社長の稲葉善治は「サービス

 ファースト」と言ってはばからない。


 バンコクにあるファナックのタイ拠点。事務所の大半を

 占める倉庫を訪れると、モーターや電子基板といった

 交換用の部品が山積みになっていた。


 ここでは新規顧客への販売よりも、既存顧客への

 サービスが優先事項だ。ファナックがタイで納めたNC装置

 や機械は約4万5400台。顧客から「調子が悪い」と連絡が

 入ると、総勢32人のサービスエンジニアが部品を持って

 駆けつける。
 

  (P.032)


サービスを最優先にするために、過剰とも言えそうな部品
を在庫しているそうです。


これには明確な理由があります。
顧客をつなぎとめておくためです。
ファナックは、顧客にとってなくてはならない存在になって
いるのです。


 顧客のNC装置が壊れた場合、ファナックはまず、

 顧客の元に駆けつけてこの装置を持ち帰る。

 代わりに別の正常な装置を、顧客の機械に取り付ける。

 壊れたNC装置はファナック社内で直し、ほかの顧客で

 故障があった際、今度はその交換のために持っていく。

 高いシェアを武器に、NC装置が顧客の間を何十年にも

 わたって循環する仕組みを作り上げた。

  「決めているわけじゃないのにファナックから買う比率が

 100%近い」(工作機械中堅ツガミCEOの西嶋尚生)。

 顧客が一度はまったら、抜け出したくなくなるとまで言われる

 類のないビジネスモデルで、高収益を上げてきた。
 

  (P.033)




「逆張り」投資が生む圧倒的な収益

一般的に言われていることは、内部留保を少なくし、
設備投資や株主還元するべきだ、というものです。


ファナックは手元資金が1兆円あります。
企業規模から見ると、過剰とも言える金額です。


それにも明確な理由がありました。


 ファナックは2015年3月期の売上高の1.4倍に上る

 約1兆円の手元資金を抱えている。

 社長の善治は「1兆円あれば、需要縮小や競合の

 攻勢、工場が天変地異に見舞われるなどの危機が

 一遍に来ても対応できる」と、戦略的な資金である

 ことを強調する。

 ファナックが恐れるのは、株価が下落することでも、

 投資家から不興を買うことでもない。

 供給責任を果たせずシェアを落とし、顧客を失うことだ。
 

  (PP.033-034)



世の中には、「顧客第一主義」を標榜している企業は
ゴマンとあります。


ですが、本当に顧客の立場に立って、企業を行なって
いる企業がどれだけあるでしょうか?


とても疑問ですね。顧客を騙し、不正に利益を上げている
企業がなかにはあります。


社訓に掲げていることは、未だ実現できていない、
と考えるのが妥当とさえ思えます。


その点で、ファナックは利益の源泉は顧客にあると定義
しています。ですから、顧客を失うことを恐れているのです。
「サービスファースト」とは、その意思表示をしたもの、
と言えます。


下の表2をご覧ください。
投資家が重要視するROE(自己資本比率)は、
ファナックは16%で、東証1部製造業の平均の2倍です。


収益性(当期利益を売上高で除したもの)が同比較で、
7倍と圧倒的だからです。


ですから、効率性(売上高を総資産で除したもの)や、
財務レバレッジ(総資産を自己資本で除したもの)が
同比較で下回っていても、ROEが2倍を維持できるの
です。


表2


(『日経ビジネス』 2015.06.08号 P.034)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.08




ただし、善治社長はROEにこだわっていない、
と明言しています。


その理由は――。

「『投資家と会っている暇があれば、お客さんに会いたい』

 と善治は語る」

サービスファースト = カスタマーファースト、
であるからです。





社員の衣食住 全部ファナック
  
富士山麓に本社・研究所・工場があるファナックで
働く従業員は、どんな待遇でどんな生活を送って
いるのでしょうか?


『日経ビジネス』は、こんな世俗的な関心事にも
取材しました。


仕事は厳しいでしょうが(どこでも同じ?)、
はっきり言って待遇は相当に良いです。


 忍野村で働く約2000人の社員には高学歴の

 理系卒が多い。

 彼らは入社と同時に村での生活を始める。

 35歳の男性社員は振り返る。

 「建物は黄色いし、寮も黄色い。ジャケットも、

 おしぼりも、コップまで黄色い。入社式でもみな

 黄色いジャケットを着ている。どこに迷いこんだ

 のかと不安になった」。

 それでも徐々に「ファナックイエロー」に誇りを

 持つようになる。


 本社施設は49万坪の広大な森に点在。

 黄色い建屋以外は延々と林が続く。

 「午後10時前後まで残業していることが多い。

 仕事はきついです」(30歳)。

 納期の厳守が徹底され、商品開発でも

 スピードが求められる忙しい若手社員が、

 平日に忍野村を抜け出すのは難しい。

 結局、敷地内に用意された黄色い寮と職場とを

 往復する生活が続く。

 「3食とも社食で済ませる人も多い」(同)。


 平均給与は約1000万円と、日本の平均の2倍以上。

 1億円以上の報酬を受け取る取締役数はトヨタ自動車

 の7人(2014年3月期)を上回る10人(同)。

 待遇の良さも求心力の源泉だ。

 それを反映してか、本社地区の駐車場には高級車も

 目に付く。アウディA3に乗っている26歳の社員は、

 休日は恋人と都心までドライブに出かけることが多い

 という。そして平日は黄色い戦場に戻って「命を削って

 働く」(同)。

 常勤取締役はいすゞ自動車にいた社長を除き生え抜き。

 彼らを仰ぎ見ながら若手は「ファナックエリート」へ育ち、

 その「教義」を後輩に伝えていく。
 

  (P.035) 





ポイント

コーポレートカラーの黄色で組織も意思も統一


異様な、あるいは不思議な会社、ファナックの一端を
垣間見た気になりました。


黄色は、交通信号では「注意」を表します。
黄色は明度が最も高い色です。
目につきやすい色です。
汚れも目立つ色です。
いつでも綺麗に保つ必要があります。


光の3原色(RGB、赤、緑、青)の一つです。
原色といえば、知育玩具の LEGO ブロックが原色
でしたね。


また、LEGOと提携した Google のロゴも黄色を含む
原色が特徴です。



LEGO  








今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 株主還元 
 黄色いロボット 
 高収益 
 カリスマとの葛藤 
 永続性 



最終回は、
「PART2 偉大な父との葛藤
 カリスマを継ぐ『雑用係』の意地」
「PART3 稲葉善治社長が独白
 創業者がいなくても勝ち続ける」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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