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2015 株主騒会 ROEで社長失格になる日 2015.06.22 <3>







日経ビジネスの特集記事(112)

2015 株主騒会
ROEで社長失格になる日
2015.06.22




テーマ

今週の特集記事のテーマは

緊張の面持ちで居並ぶ経営陣に、対峙する株主。
年に1度の株主総会シーズンがやってきた。
今年、その光景がガラリと変わる。
株主はROE(自己資本利益率)や配当などの還元策に
厳しく目を光らせ、満足しなければ容赦なく「社長失格」
の票を投じる。
アベノミクスが演出するこの株主“騒”会を何とか乗り越えようと、
新たな経営計画やROEの目標を打ち出す企業が続出している。
押し寄せる大波にのみ込まれるか、株主との対話を成長に
つなげるか。多くの日本企業がその岐路に立つ。

 (『日経ビジネス』 2015.06.22 号 P.027)

ということです。







2015 株主騒会
ROEで社長失格になる日

(『日経ビジネス』 2015.06.22 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22







第1回は、
「PART.1 ROE目標、中期経営計画、株主還元・・・
 企業を揺さぶる 『普通の株主』」
を取り上げました。


第2回は、
「PART.2 アベノミクスが舞台回し
 踊り出す投資家 沸き立つ市場」
「PART.3 本誌独自ROE“分解”ランキング
 持続力を見極めよ」
を取り上げました。


最終回は、
「PART4 圧力を活力に変える
 脱・後ろ向きROE 解は1つじゃない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 ROE 
 持続力 
 株主還元 
 脱・ROE 
 自律 




6月は、2015年3月期決算企業の株主総会が集中する月です。
今年の株主総会は、例年と異なり、「騒動」のある株主総会
ということで、『日経ビジネス』特集班は、株主「騒」会と名付け
ました。


この件について、飯田展久編集長は、「編集長の視点」に
次のように書いています。


 今年は多くの企業で想定問答集の中身に

 変化が見られるのではないでしょうか。

 一般株主の間にも株主還元策に異常な関心が

 集まっているためです。

 ROE(自己資本利益率)の向上に目を光らせ、

 ROEの低い企業には取締役の選任案に「ノー」を

 突き付ける動きも出始めています。

 現実に否決されることはまれですが、否決されない

 案にあらかじめ作り直す例もあるようです。

 こうした状況を本誌は「株主騒会」と名付けてみました。

 総会をめぐる劇的な変化は一種の騒動のようだと見た

 からです。
 

  (P.003)



株主総会と言えば、昔は総会屋対策が重要な課題でした。
決算内容うんぬんよりも、総会屋をどう黙らせるかの方が、
大事だったのです。お金を握らせるという違法行為が公然
と行われてきました。


その後、総会屋の数が減少し、代わって増えてきたのが、
外国人投資家や外資系ファンドです。彼らは株式を買い
増し、株主の要求を経営者に突きつけます。


内部留保が多い企業には、設備投資や株主還元を強く
要求します。株主還元とは、配当金の割増です。
企業価値を高め、株価を上昇させる施策を採ることも、
当然要求します。


最近では、外資の「モノ言う株主」だけでなく、一般投資家
(今まではモノ言わぬ投資家と呼ばれてきました)が、
議決権を行使し、代表取締役の再任に“No!”を突き付ける
ケースが出てきたそうです。


ステークホルダー(利害関係者)には、社員、取引先、得意先、
株主、社会などがありますが、この中で株主の発言力がさらに
強くなってきていることが、今特集で再確認できます。





では、本題に入りましょう!


 PART4 圧力を活力に変える 
 脱・後ろ向きROE 解は1つじゃない 

ROEは経営指標の一つにすぎません。
ですから、他にも多くの経営指標があります。
例えば、EBITDAとかEPS(後述)などがそうです。


経営において何を重視するかによって、
用いる経営指標も異なります。


さらに言えば、ステークホルダー(利害関係者)は
社員、株主、得意先、取引先、社会などがありますが、
株主に力点を置く企業が日本でも多くなってきました。


欧米では、ステークホルダーと言えば株主を指しますが、
今までの日本は、株主はステークホルダーの一つという
捉え方がされてきました。


株式のグローバル化が進み、外国人持株比率が50%を
超える日本企業も珍しくなくなってきました。


必然的に、「モノ言う株主」の要求に応えることが欠かせなく
なりました。設備投資や配当金を支払う、株主還元の要求
が高まったのです。内部留保を厚くして「お金を遊ばせて
おくな!」ということです。


企業が株主の要求に応えていかなくてはならない時代に
なりました。




株主目線で会社を作り直し


 コニカミノルタのケース 


 コニカミノルタが5月に発表した中計には大手企業

 としては珍しい内容が盛り込まれていた。

 これまで見たようにROEは収益性(売上高利益率)と

 効率性(総資産回転率)、財務レバレッジ(総資産/

 自己資本)の3要素を掛け合わせてはじき出される。

 コニカミノルタはこの3要素すべてに数値目標を掲げ、

 具体策を盛り込んでいたからだ。
 

  (P.038)



具体的には、下の表をご覧ください。

3つの方向から経営の中身を変えていく<br />・コニカミノルタのROE改革の想定図

3つの方向から経営の中身を変えていく
・コニカミノルタのROE改革の想定図

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 P.038)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22



「はじめにROEの数値ありき」になっている感は
否めません。
数字をいじくりまわしているだけではないのか、
という印象が拭えません。


前回出てきましたが、もっとシンプルに
「ROEを上げる王道は利益率と売上高を上げること」
の方が、社員にも分かりやすいのではないか、
と思いました。






脱・ROEで事業に落とし込む


 オムロンのケース 


 オムロンは2014年10月、約100億円を投じてブラジルの

 医療機器大手NS社を買収した。ぜんそくなど呼吸器系

 疾患を治療する「吸入器」のブラジル最大手。

 買収でオムロンはオランダのフィリップスを抜き、

 吸入器の世界最大手に躍り出た。ぜんそく患者だけでなく、

 大気汚染が深刻化する新興国の需要も取り込む方針だ。

 このM&Aを裏側で支えたのがROIC(投下資本利益率)と

 呼ばれる経営指標だ。

 ROICは自己資本だけでなく、他人資本(有利子負債)も

 加えた「投下資本」全体でどれだけ効率的に稼いだかを測る

 指標だ。一般的には税引き後の営業利益を投下資本で

 割って算出する。


 オムロンは横軸にROIC、縦軸に売上高成長率を置いた

 「ポートフォリオマネジメントカテゴリ」を経営判断に活用して

 いる。 
 

  (PP.040-041)

 *ROIC=Return On Invested Capital


財務に強く、社員にも説得できる企業であれば、
ROICを活用することができるでしょう。


ただし、一般社員が、ROICの活用でM&Aを実現でき、
成果が上がった、と実感できるかは疑問符がつきます。




では、海外の有力企業はROEを活用しているのでしょうか?
それとも別の指標を用いているのでしょうか?
あるいはまったく指標を用いていないのでしょうか?



海外の有力企業30社のデータがあります。


ROEを目標に掲げる企業はゼロ<br />・海外有力企業の経営目標

ROEを目標に掲げる企業はゼロ
・海外有力企業の経営目標

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 P.042)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22





率直に言いますと、意外でした。
ROEを重視している企業が大半を占める、
と思っていました。


数値目標がない企業が30社中15社、
半数あったことは驚きでした。


さらに言えば、数値目標がある15社全てがROE以外
を使っているという事実は、ROEは重要な指標では
ない、ということなのでしょうか?


少なくとも、データ上はそういうことになります。


数値目標がない企業15社の中には、アップル、インテル、
コカ・コーラが入っています。


コカ・コーラと言えば、世界一の投資家、ウォーレン・
バフェット氏が大株主であることは広く知られています。
バフェット氏が設定したバークシャー・ハサウェイという
ファンドにコカ・コーラを組み込んでいます。


バフェット氏の保有株式銘柄を見てみましょう。
参考になると思いますよ。


残念ながら、日本株は組み入れられていません。
コカ・コーラの組み入れ比率は15.13%で、
ウェルズ・ファーゴ(銀行)に次いで2位です。


ウェルズ・ファーゴは、バフェット氏の一番のお気に入り
です。









 


バフェット氏はROEについてどう考えているのでしょうか?


早速、調べてみました。
世界一の投資家から見て、ROEは重要なのかどうか?


バフェット氏は、徹底的に調査して割安株を見つけると、
投資し、数十年というスパンで長期保有するという運用
をしています。


結論から先にお話ししますと、バフェット氏はROEを重視
しています。ROEの数値が15%以上を投資銘柄として
考慮しています。


 4 - ROEは、継続的に高いか?

 株主資本のROEの平均は、アメリカの場合、12%とされています。

 12%以下は、平均以下で12%以上は、平均以上という事になります。

 バフェットが求めているのは、ROE15%以上との事です。

 例えば、バフェットがコカ・コーラを購入した時のROEは、33%で、

 当時の過去5年間の平均ROEは、25%と基準を満たしていました。

 また、フィリップ・モリスの過去10年間の平均ROEは、30.5%

 (「バフェットロジー」は、1997年出版)でした。

 バフェットが、ROEに継続性を求めるのは、高いROEを継続的に

 維持できるという事は、既存経営陣が事業から利益を出す事が

 できるという事に加え、内部留保した利益を効果的に再投資

 できてさらなる利益を生み出している証拠だという風に考えている

 からだそうです。
 

  (Everything is Learningブログ:海外投資、経済ニュース、
  金融情報など
から)





ここで、ROEについてどう考えるか、3人の経営者の意見を
聞いてみましょう。


『日経ビジネス』は「卒業派」「慎重派」「否定派」に分類しました。


 ROE 私はこう考える 

卒業派

10%の上は目指さない

アサヒビールホールディングス 泉谷 直木 社長兼CEO

アサヒビールホールディングス 泉谷 直木 社長兼CEO

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 P.040)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22



 経営指標にROEを取り入れた理由は2つある。

 一つは国内事業の強化。

 もう一つは、海外での新たな成長エンジンづくりだ。


 事業の成長と企業価値の向上を同時に追求する

 のにROEは有益だった。

 だがこれからは違う。ROEが10%を超えて15%に

 なればさらに良いとは言えず、我々は10%の上は

 目指さない。資本政策ばかりに注力し、本業の業績が

 下がるのは本末転倒だからだ。


 2016年度からの次期中計では、一定の基準として

 ROEを引き続き重視しながら、新たにEBITDA(利払い・

 税金・償却前利益)の採用を検討している。

 結果を数字として示すのではなく、どの事業をどう伸ばし

 ていくかというプロセスを投資家に開示する。

 「ファンダメンタルのROE」から「モメンタムの成長率」へ

 比重を移す。 
 

  (P.040)

 *EBITDA=Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation
         and Amortization  




慎重派

偏重は企業を弱くする

JT 新貝 康司 副社長

JT 新貝 康司 副社長

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 P.041)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22



 日本たばこ産業(JT)のようにグローバル展開している

 企業が資本コストを上回るそれなりに高いROEを目指す

 のは当然だ。


 企業は利益を拡大再生産に回し、利益成長を目指す。

 マーケットは企業に資本を供給するのが本来の姿だ。

 しかし今、企業は投資家の方ばかりを向きがちで、

 ROEが高ければ高いほど良いという風潮があり、

 その他のステークホルダーそっちのけになっていないか。

 マーケットはどちらかと言えば、過度な配当や自社株買い

 を要求して資本を吸い上げようとしていないか。
 

  (P.040)







否定派

分りにくく、使いにくい

カルビー 松本 晃 会長兼CEO

カルビー 松本 晃 会長兼CEO

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 P.041)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22



 カルビーの会長兼CEO(最高経営責任者)になる前は

 米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に15年勤務し、

 続いて日本法人の社長を9年間務めた。

 J&J社内で経営指標にROEを使っているという話は

 聞いたことがないし、自分も使うことはない。

 ROEという指標の大きな問題はその分かりにくさにある。

 ROEは「売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」

 で計算する。

 これを社員に理解してもらって、それぞれの要素の向上を

 図るというのは簡単ではないと思う。

 そんな難しい指標であるROEより、EPS(1株当たり純利益)

 の方が社員には説明しやすい。


 経営で大事なのは物事をシンプルにすること。

 社員には分かりやすくすることだ。
 

  (P.041)

 *EPS=Earnings Per Share



三人三様ですが、3人の経営者それぞれの言い分は
筋が通っています。


バフェット氏は、ROE15%以上の実績を出し続ける企業
が投資対象の一つの基準を満たすということと、
照らし合わせると、日本企業がバフェット氏のファンドに
組み入れられる可能性は、現時点では低いと言わざるを
得ません。


バフェット氏も高齢になってきましたので(1930年8月30日
生まれ (84歳))、日本株を精査する余裕はないかもしれ
ません。




株主との向き合い方、自分本位で

IR(投資家への広報活動)を担当する部署は、
上場企業であればどこにでもあります。


ただし、それだけで株主と企業が相対して話し
合っているとは言えません。一方通行だからです。


良い情報は使えやすいですが、悪い情報(売上が
激減する、M&Aが失敗した、あるいはTOB<敵対的
買収>を仕掛けられているといったケース)は、
現時点で詳細が把握できていないという理由で、
IRを通じて、投資家に伝えない(伝えられない)ことも
あり得ます。


そこで、株主とどう向き合うのか、というのがここでの
テーマです。



 トヨタ自動車のケース 


 トヨタ自動車も株主との新たな向き合い方を模索している。

 純利益が初めて2兆円を突破した2015年3月期のROEは

 13.9%。ただ、あくまで「ROEは経営を見る上での数ある

 指標の一つ」(小平信因副社長)と位置付ける。

 トヨタはROEどころか、売上高や利益の将来目標も公表

 していない。その一方で、従来とは違う株主を自ら創ろうと

 している。

 6月16日の総会で提案した「AA型種類株式」は、発行済み

 株式数の約5%を上限とし、普通株より2割以上高く株価を

 設定した議決権付きの株式。取得から5年後以降に普通株

 への転換、または発行価格でトヨタに買い取りを求めること

 が可能で、元本保証の意味合いも持つ。

 資金の用途を中長期の研究開発に限定し、今後5年をメドに

 約1兆5000億円を調達したい考えだ。


 トヨタは数年前から株主との関係について議論を重ねてきた。

 現在の株主数は約61万人。

 トヨタ株に投資する目的は多種多様で、どこに何を語りかける

 べきかを測りかねていた。自動車産業の構造転換が起こり

 つつある中、対話の相手としての株主を「見える化」する試み

 と言える。
 

  (P.043)



株主騒会における重要なテーマとなり得るROEについて、
特集で取り上げてきたわけですが、
企業がROEをどう捉えるかという側面と、投資家が考える
ROEには乖離があると思います。


目標値に明らかなズレがありますし、ROEは必要ではない
と考える経営者もいます。


ROEの運用法もさることながら、利益率が低い企業には
魅力がないことは事実です。


利益を伴う売上をどのように向上させていくかは、
どの企業にも共通する課題です。


企業の持続可能性は売上と利益にあることは間違い
ありません。もちろん、「勘定合って銭足らず」では
黒字倒産します。


豊富なキャッシュフローは、企業が存続するための
最低限の条件です。


『日経ビジネス』は今特集を総括して、次のように
述べています。


 ROEなどをツールとして、企業は株主と向き合い、

 経営に規律を埋め込むことを半ば強制された。

 「規律」から「自律」へ。

 今、その分かれ道に立つ。この先の解は1つではない。

 それぞれの企業が進路を決め、自らの意志で前に

 進めるかどうか。

 株主から渡されたボールは、企業の側にある。
 

  (P.043)



大前研一さんは、「前もって正解は用意されていない。
さらに、正解は1つとは限らない。複数あるかも知れない」
というようなことを述べていますが、この言葉は私たちが
物事を考える上で、前提条件とするべきだ、と信じています。





ポイント

ROEは経営指標の一つに過ぎないが、
売上と利益の継続的増大が企業存続の
必須条件である以上、無視するわけには
いかない









今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 ROE 
 持続力 
 株主還元 
 脱・ROE 
 自律 









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藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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