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今すぐ発て、日本勢 沸騰シリコンバレー みんなの攻略ガイド 2015 2015.07.27 <1>







日経ビジネスの特集記事(117)

今すぐ発て、日本勢
沸騰シリコンバレー
みんなの攻略ガイド2015
2015.07.27




テーマ

今週号の特集のテーマは

米サンフランシスコまで拡大したシリコンバレーが
日本企業の進出ラッシュに沸いている。
IT・ネット企業に限らず、製造業、飲食とあらゆる企業が、
シリコンバレーを目指す。
ここに、モノのインターネット化「IoT」ブームと、
政府の後押しが追い風となり、
もはやどんな産業もシリコンバレーと無関係ではいられ
なくなった。
しかし、ITの聖地で結果を残すことは、たやすくない。
日本企業が陥りがちな「落とし穴」とは。成功の「掟」とは。
全業種に対応した「シリコンバレー攻略ガイド2015」。
日本勢よ、これを携え、今すぐ発とう

 (『日経ビジネス』 2015.07.27 号 P.022)

ということです。






今すぐ発て、日本勢<br />沸騰シリコンバレー<br />みんなの攻略ガイド2015

今すぐ発て、日本勢
沸騰シリコンバレー
みんなの攻略ガイド2015

(『日経ビジネス』 2015.07.27 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.27




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.07.27号 PP.022-023)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.27







第1回は、
「PROLOGUE 日本勢、進出ラッシュ
 過去最高の熱気」
「PART1 浸透する若き“サムライ”
 なぜ聖地を目指すのか」 
を取り上げます。


第2回は、
「COLUMN 日本企業が陥る『落とし穴』」
「PART2 ツワモノ駐在員、秘伝の戦略
 常識の真逆たれ」 
を取り上げます。


最終回は、
「PART3 門戸開く米国企業
 日本に期待すること」
「PART4 出張に今すぐ役立つ
 シリコンバレー攻略ガイド」
「EPILOGUE 摩擦を恐れず、破壊を是とする」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 シリコンバレー 
 若き“サムライ” 
 落とし穴 
 秘伝の戦略 
 破壊を是 



今特集では、若き“サムライ”の奮闘と活躍を
ご紹介したいと思います。


シリコンバレーに単独で乗り込み、一定の評価
を受けた人たちです。


なかなかやるな、と感じました。





では、本題に入りましょう!


 PROLOGUE 日本勢、進出ラッシュ 
 過去最高の熱気 

日本の若き“サムライ”がシリコンバレーに進出して
いるそうです。


時には、「徒手空拳」で乗り込むツワモノもいて、
頼もしさを感じます。失うものがない強みでしょう。


米テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO
(最高経営責任者)は南アフリカ出身の経営者
です。米国で教育を受け、起業しました。
チャレンジャーです。


日本人も彼のような逞しさを身に着けつつあります。
次の一節は、そんなイーロン・マスク氏と安倍首相
が、米テスラ・モーターズの最新型電気自動車に
乗り、談笑している一コマです。


 米スタンフォード大学があるシリコンバレーの

 中核都市、パロアルト。ここに本社を構える

 電気自動車の米Tesla Motors(テスラモーターズ)

 に4月30日、安倍晋三首相が顔を見せた。

 イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が運転

 する最新型の電気自動車に同乗すると、こう言った。

 「日本も変化のスピードについていかなければ

 ならない」

 現役首相としては初となったシリコンバレー訪問。

 この数時間前、安倍首相はスタンフォード大学での

 スピーチで、ある発表をしたばかりだった。
 

  (P.024)


同乗した車の中で、安倍首相はイーロン・マスク氏と
どんな「密談」をしたのでしょうか?


米テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)と、<br />談笑する安倍首相

米テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)と、
談笑する安倍首相

(『日経ビジネス』 2015.07.27号 P.024)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.27



ある発表とはどのようなことだったのでしょうか?


 「素晴らしい技術を持ち、やる気に満ちあふれる

 日本の優秀な人材に、思い切ってシリコンバレー

 に飛び込んでもらおう。

 中堅・中小企業に、シリコンバレーの荒波にこぎ

 出してもらおう。

 私はそんな思いで、新たに『シリコンバレーと日本

 の架け橋プロジェクト』を立ち上げたいと思います」
 

  (P.024)


安倍首相の試みが成功するかしないかは、時の運
ですが、若者たちが挑戦する機会を与えることは
大切です。


日本勢のシリコンバレー進出が加速

日本勢のシリコンバレー進出が加速

(『日経ビジネス』 2015.07.27号 P.025)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.27






 PART1 浸透する若き“サムライ” 
 なぜ聖地を目指すのか 

PART1では、若き“サムライ”の奮闘ぶりを
ご紹介していきます。


彼らが先人とするなら、後輩たちもシリコン
バレーへ進出しやすいでしょう。


 AnyPerk 福山 太郎 氏の場合 


 4月末からの訪米でスタンフォード大学でスピーチ

 をした翌朝、安倍首相はサンフランシスコ市内の

 ホテルで朝食会を開き、シリコンバレーで挑戦

 する日本人と懇談した。

 ここに呼ばれた1人、福山太郎氏(27歳)は、

 シリコンバレーで最も名の知られる「日本人の起業家」。

 新興企業向けに福利厚生のアウトソーシングサービス

 を提供する米AnyPerk(エニーパーク)の創業者だ。


 彼は、シリコンバレーでは誰もが知る著名な起業家

 育成機関「Yコンビネーター」の卒業生。


 2005年にポール・グレアム氏らによって創設され、

 Dropbox(ドロップボックス)などの著名ベンチャーを

 輩出している。福山氏はこの門をくぐった唯一の

 日本人である。
 

  (P.026)



AnyPerk 福山 太郎 氏

AnyPerk 福山 太郎 氏

(『日経ビジネス』 2015.07.27号 P.026)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.27



エニーパークとはいったいどんな企業なのでしょうか?


 エニーパークは、社員1人当たり月額5~10ドル

 の料金で、携帯電話や映画、ケーブルテレビ、

 ショッピングセンターなどの割引を顧客企業の

 社員が受けられるサービスを提供している。
 

  (P.026)


福山氏がどのようにして「栄冠」を手にしたのか、
興味深いですね。


次のようなストーリーがあったのです。
度胸が座っていたのです。徒手空拳でシリコン
バレーに乗り込んだのです。


 2011年8月、米国人のパートナーと起業する

 ことを決意した福山氏は、身一つでシリコン

 バレーに渡る。資金も起業のきっかけも

 つかめず、困り果てていた時、著名人が集まる

 イベントの存在を知った。

 チケットは数万円したが、「通訳をやる」とタダで

 潜り込み、そこでYコンのグレアム氏と出会った。


 福山氏は隙を突いてグレアム氏に突撃。

 当時持ちあわせていたアイデアをぶつけると、

 「面白いヤツだ。面接に来い」。

 つたない英語で必死にプレゼンテーションし、

 育成対象に選ばれた。

 3カ月の育成期間中、グレアム氏に呼び出され

 言われたことを福山氏は今でも覚えている。

 「同期は65社いたんですけれど、尊敬する

 グレアム氏に『社長は英語が下手だし、アイデア

 もころころ変わる。君たちはこのクラスの中で

 一番いけてない』と言われて。あのときは泣き

 ましたね」。

 ではなぜ採用されたのか。後にグレアム氏に

 採用理由を聞くと、こう答えたという。

 「英語ができないのにわざわざ日本から来て、

 イベントで突撃して、ろくなビジネスもないのに

 ビザを申請中、という姿に熱意と覚悟を感じた。

 創業者が諦めない限り、基本的に会社はつぶ

 れない」。
 

  (P.027)

「熱意」と「覚悟」は起業とその後の経営において
きわめて大切な要因なのですね。


福山氏は日本のメディアの取材を受けないこと
にしているそうです。


今回、『日経ビジネス』の取材に応じた経緯が
書かれています。


 実は、福山氏は日本のメディアの取材を

 受けないことにしている。

 理由は「お客様が日本にいない以上、

 日本でメディア活動するのは最短距離

 ではない」から。

 本誌も最初は断られたが、特例で応じて

 くれた。他方、米メディアには頻繁に登場

 するようになった。
 

  (P.027)


エニーパークの投資家からの評価はどうなの
でしょうか? とても気になるところですね。


 投資家からの評価も高い。今年2月には

 850万ドルの資金を調達。得た投資額は

 累計で1300万ドルになった。

 福利厚生で世界一になる。その目標に向け

 ひた走る福山氏は、こう語る。

 「高校生の時にイチロー選手の背中を見て、

 海外で挑戦するというテーマにつながった。

 僕も若い人にそういうメッセージを伝えられ

 たらうれしい」。
 

  (P.027)

福山氏は「僕も若い人にそういうメッセージを伝えられ
たらうれしい」と語っていますが、福山氏は27歳で十分
に若いです。





 ChatWork 山本 敏行 氏の場合 

「勇猛果敢に新境地を開拓する“サムライ”」の一人を
ご紹介しましょう。


 シリコンバレーにおける日本人の活躍の幅は

 広がった。勇猛果敢に新境地を開拓する

 “サムライ”が増えており、その存在感は確実に

 高まっている。

 ChatWork(チャットワーク)の創業者、

 山本敏行氏(36歳)もその一人。

 彼もまた安倍首相との朝食会に参加しており、

 福山氏とは違ったスタイルで覚悟を見せている。


 山本氏が起業したのは、大学在学中の2000年。

 中小企業向けにウェブサイトのアクセスや売り

 上げ向上などの支援を手掛け、10年で顧客

 企業を1000社まで増やした。しかし2012年、

 軌道に乗っていたこの事業を無償で譲渡。

 チャットワークと名付けた業務用コミュニケー

 ションツールの開発に集中し、社名も変えて

 再出発した。
 

  (PP.027-028)



ChatWork 山本 敏行 氏

ChatWork 山本 敏行 氏

(『日経ビジネス』 2015.07.27号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.27



チャットワークとは何なのでしょうか?


 チャットワークは、複数人が参加できる

 グループチャットに、テレビ会議、ファイル

 共有やタスク管理機能も備えている。

 これさえあれば日々の電話・電子メール・

 リアルの会議を大幅に減らせる、という

 のがうたい文句だ。
 

  (P.028)


つまり、ツールですね。
業績はどうでしょうか?


 進出から3年。導入企業は世界183カ国、

 7万3000社まで増えた。

 ただし、その9割が日本などアジア。

 山本氏は率直に言う。

 「正直、最初の1~2年は何もかもが違い

 すぎて苦しんだ。資金も限りがあり、採用も

 できなかった」。

 半面、学びも多かった。「ここに身を置くと、

 周囲のみんなが強いので日本にいるより

 危機感を感じられる。その分、サービスを

 磨くことができる」。

 山本氏は今年を「グローバル元年」と位置付け、

 世界展開を本格化させている。

 4月にはベンチャーキャピタルから3億円を調達し、

 エンジニアを4倍の80人に向けて増強。

 欧米の企業文化を意識した新版の開発を急ぐ。
 

  (P.028)





 WiL 伊佐山 元 氏の場合 

もう一人は、ベンチャーキャピタルの創業者を
ご紹介しましょう。


 ソニー、日産自動車、全日空、博報堂DYグループ、

 JVCケンウッド、みずほ銀行、大和証券グループ本社、

 セブン銀行…。

 安倍首相の訪米と同時期、そうそうたる顔ぶれの

 大企業の中堅社員21人が1週間の日程で訪米した。

 命題は「シリコンバレーのイノベーションの仕組みを

 少しでも理解する」。

 チームに分かれてシリコンバレーの企業を訪問、

 ビジネスアイデアを出すなどのワークショップにも臨んだ。


 ありがちな企業の“観光”出張かと思いきや、

 そうではない。21人を呼び寄せた伊佐山元氏(42歳)

 は言う。

 「まずは、大企業の本社にいる中堅社員の“洗脳”を

 しているんです。事実、皆さん、来た時と帰る時では、

 表情がまるで変わっていた」
 

  (P.029)



WiL 伊佐山 元 氏

WiL 伊佐山 元 氏

(『日経ビジネス』 2015.07.27号 P.029)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.27



WiLとは?


 伊佐山氏は2013年に設立されたベンチャーキャピタル、

 WiL(東京都港区)の共同創業者でCEO。

 21人はここに合計3億ドル(約360億円)のファンド資金

 を拠出した出資企業の社員だ。

 伊佐山氏は単なる投資目的でWiLを立ち上げたわけ

 ではない。狙いは「大企業の体質改善」と言う。

 「大企業の既存の枠組みでイノベーションが生まれ

 ないのなら、人と資金を外に出し、自由な環境で挑戦

 すればいい。シリコンバレーの拠点とファンドは、

 そのための都合のよい道具でしかない」。
 

  (P.029)


ここで、ベンチャーキャピタルとエンジェルの違いを
ご説明しましょう。


ベンチャーキャピタルは、企業から資金を得て投資
しますが、エンジェルは投資家の自己資金を使って
投資します。一般的に言えば、投資額はベンチャー
キャピタルの方が大きいということになります。


シリコンバレー進出が加速していますが、次の言葉
は良いアドバイスです。


 「経営者が関与せずして、大企業でイノベーション

 が起こるはずがない。シリコンバレーに人を送れば

 革新的なことが起こる、というのは幻想。

 過去の多くのシリコンバレー進出の失敗がそれを

 物語っている」(昨年5月からWiLのシリコンバレー

 拠点に出向している全日空の大隅雄策氏)
 

  (P.029)






ポイント

日本国内の一部の顧客だけを対象とする
起業家と、世界を視野に入れている起業家
との格差


日本でも起業家が増加しています。
ただし、日本国内の一部の顧客だけを対象と
する事業を行なっています。
グローバルビジネスは考慮していません。


一方、シリコンバレーに進出する起業家は、
当初から、グローバルに事業を展開することを
考えています。


その差は限りなく大きいですね。






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 シリコンバレー 
 若き“サムライ” 
 落とし穴 
 秘伝の戦略 
 破壊を是 





次回は、
「COLUMN 日本企業が陥る『落とし穴』」
「PART2 ツワモノ駐在員、秘伝の戦略
 常識の真逆たれ」
をお伝えします。


ご期待下さい!






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次はiPS 富士フイルム 古森重隆、本業を培養する 2015.07.20 <3>







日経ビジネスの特集記事(116)

次はiPS
富士フイルム
古森重隆、本業を培養する
2015.07.20




テーマ

今週号の特集のテーマは

富士フイルムホールディングスの総帥、
古森重隆が最後の大勝負に打って出た。
見据えるのは、医薬業界の秩序を根底から覆すiPS 細胞。
100兆円市場の覇権を握るためなら、ノーベル賞学者とも
別の道を行く。
次々と新たな事業を創出し、本業喪失の苦境から復活した
富士フイルムは、競合ひしめく医薬・医療業界で新たな本業を
「培養」できるか。
先駆者の新たな挑戦は、日本企業にとって指針となる

 (『日経ビジネス』 2015.07.20 号 P.024)

ということです。






次はiPS<br />富士フイルム<br />古森重隆、本業を培養する

次はiPS
富士フイルム
古森重隆、本業を培養する

(『日経ビジネス』 2015.07.20 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.024-025)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20







第1回は、
「PROLOGUE 勝算は見えている
 古森重隆、最後の大勝負」
「PART.1 iPS創薬の覇権を握れ
 京大を抜き去り 狙う100兆円市場」 
を取り上げました。


第2回は、
「PART.2 異分野攻略の決め手
 革新生み出すフィルム進化論」 
を取り上げました。


最終回は、
「PART.3 中嶋社長が見せた意地
 古森が去っても大丈夫なのか」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 iPS細胞 
 再生医療 
 革新 
 異分野攻略 
 古森以後 


今週号の編集長インタビューは、特集のPART.4
「次に次まで読む 6割の勝算で十分」のタイトルで、
古森重隆富士フイルムホールディングス会長兼
CEO(最高経営責任者)でした。


インタビューの詳細は下記をご覧ください。

日経ビジネスのインタビュー(180)
次の次まで読む 6割の勝算で十分





では、本題に入りましょう!


 PART.3 中嶋社長が見せた意地 
 古森が去っても大丈夫なのか 

古森重隆会長兼CEOは15年間経営の中枢に
君臨してきました。


そのため、後継者が古森会長と同等、あるいは
それ以上に事業を拡大していくことができるか
どうか、が注目されています。


 「大丈夫ですって」

 富士フイルムの社長兼COO(最高執行責任者)、

 中嶋成博(66歳)は、同じ言葉を2度も繰り返した。

 そして、こう続けた。

 「1人の経営者だけで会社が動くわけじゃない」。

 「古森さんがいなくなったら富士フイルムはどう

 なってしまうのか」という記者の質問に、少しばかり

 いら立ったようにも見えた。そこには、2012年の

 社長就任以来、会長の古森重隆の陰に隠れがち

 になりながらも、会社の成長を支え続けてきたという

 中嶋の意地がにじむ。
 

  (P.038)



富士フイルムホールディングス<br />代表取締役社長兼COO(最高執行責任者)<br />中嶋 成博 氏

富士フイルムホールディングス
代表取締役社長兼COO(最高執行責任者)
中嶋 成博 氏

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 P.038)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20




中嶋氏は社長兼COO(最高執行責任者)としての自負
と危機感を抱いているそうです。


 実は、冒頭の「大丈夫ですって」という言葉

 とは裏腹に、中嶋は強い危機感を募らせている。

 今の時代は「どんな製品も10年から15年のスパン

 で衰退期を迎える。だから、常に次を考え続け

 ないといけない」という切迫した思いだ。
 

  (PP.038-039)


下のグラフをご覧ください。
写真フィルムの消滅とリーマンショックに見舞われながら、
2つの危機を乗り越えてきました。


このことからも富士フイルムは強靭で柔軟な企業である
ことが分かります。危機の時、企業の実力が試されます。



フィルム消滅とリーマンショック
2つの危機を乗り越えた
・富士フイルムの業績推移

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.038-039)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



将来を見据え、中嶋社長が考えていることは
どういうことでしょうか?


 これからも成長を続けるために、中嶋が考えて

 いるのが、業態転換の新たなモデルだ。

 それを象徴するのが、「小さく」「速く」「多く」と

 いう3つのキーワードである。
 

  (P.039)


これだけではなかなかイメージが湧きませんね。
そこで、もう少し詳しい説明を読んでみましょう。


 まずは、自社で育成してきたオンリーワン技術

 を生かせるような小さい事業を速く、しかも数多く

 生み出す。それらを育てながら、新しい経営の柱

 になるような事業が見えてきたら、一気に経営

 資源を集中させて、さらに大きく育て上げる。
 

  (P.039)


つまり、小さく産んで大きく育てるということです。
そうしますと、経営トップの目利きが重要になって
きます。


 中嶋は言う。「ホームランばかり狙っても空振り

 だらけになる。ヒットを打つからホームランも

 出てくる」。

 目指しているのは、単なる多角化ではない。

 今経営を支えている本業が、いずれは喪失する

 という危機感を持ち続けながら、「未来の本業」

 をコンスタントに生み出し続ける新しい仕組みだ。
 

  (P.039)


新しい仕組みの実現を目指す組織があります。
高機能材料開発本部(高開本)です。


 それを実現させるための組織が、2013年に立ち

 上がった。高機能材料開発本部、略して「高開本」だ。

 専任は4人で、ほとんどが兼務。

 例えるならば、正規軍が攻めきれない領域をカバー

 する「ゲリラ部隊」である。

 ここで手掛ける高機能材料は、医薬品などのヘルス

 ケアや、グループ会社の富士ゼロックスと並ぶコア

 事業の一つ。各事業部から精鋭を集めてチームを組み、

 とにかく短時間で、これまで足場がなかったような全く

 新しい市場へ果敢に参入する。

 もちろん、多少の失敗は覚悟の上だ。
 

  (PP.039-040)


組織横断的チーム(クロスファンクショナルチーム)と
同様なもの、と考えています。


高開本の特徴は次のように解説されています。


 高開本の特徴は、製品ごとに立ち上げる

 チームの構成にある。

 技術、営業担当者のほか、事業の経営を

 つかさどる「プロモーター」の最少3人で構成

 する。プロモーターが、未来の本業を育てる

 ための「小さな社長」と言えるだろう。
 

  (P.040)


プロモーターの責任と権限についてもう少し
詳細に見てみましょう。


 プロモーターは、自分のチームが手掛ける事業が、

 富士フイルムの強みを生かして大きく育てられるか

 どうかを、全社的な視点から常に考える。

 必要であれば、経営資源を一気に集中させるため、

 社内調整に走る。

 実際の「経営」で鍛えられたプロモーターたちが、

 「未来の本業」を支える人材の柱になっていく。

 一方、富士フイルムの強みを発揮できないと判断

 した場合は、見切りを付けるのもプロモーターの

 役目になる。足元で、ある程度の売り上げがあった

 としても、次の事業へ経営資源を素早くシフトする

 ことが今後の課題だ。
 

  (P.040)


富士フイルムに未解決の課題はないのだろうか、
という疑問が湧いてきますね。


長年の課題がありました!
富士ゼロックスとの相乗効果です。


 9954億円──。

 2001年に富士フイルムが連結子会社化して以降、

 富士ゼロックスが担当する「ドキュメント」部門が

 稼いだ営業利益の累計だ。

 一方、富士ゼロックス「以外」の累計営業利益は

 9482億円にとどまる(全社・消去などは除く)。

 富士ゼロックスが本業喪失を乗り切る上で重要な

 スポンサーだったことが、数字から浮き彫りになる。

 富士ゼロックスは富士フイルムが75%を出資し、

 複合機などを手掛ける子会社。

 2015年3月期の売上高は1兆1780億円と、連結の

 約半分を占める。


 セブンイレブン店舗に導入した複合機には、

 両社の最先端技術が詰まっているという。

 だが両社は14年経っても、微妙な距離感を埋めきれて

 いない。インターネットを使った遠隔保守サービスでは、

 複合機と医療機器で連携が取れていない。
 

  (P.041)


中嶋社長は次のように語っています。
古森会長と中嶋社長の違いを鮮明にしたものと
考えられます。


 「古森さんは並外れたリーダーシップを持っている。

 これから、同じような経営者が登場するかどうか、

 私には分かりません」。

 中嶋はこう述べた一方で、自らを鼓舞するかのように

 続けた。「言葉は悪いけど、立場が人を作ることもある」。

 確かに、古森は剛腕で瀕死の企業を再生させた

 「有事のカリスマ」だ。

 しかし、これからはカリスマに頼らなくても、本業創出を

 続けられるよう、富士フイルムを生まれ変わらせる。

 もう古森がいなくても──。

 「大丈夫ですって」、と繰り返した中嶋は、心の中で

 自分にこう言い聞かせていたに違いない。
 

  (P.041)






ポイント

古森会長以後

「有事のカリスマ」として富士フイルムを牽引してきた
古森会長兼CEO(最高経営責任者)が勇退した後、
誰が後継者となるのか、またどのような変革を目指す
のか、は衆目の一致するところです。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 iPS細胞 
 再生医療 
 革新 
 異分野攻略 
 古森以後 






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次はiPS 富士フイルム 古森重隆、本業を培養する 2015.07.20 <2>







日経ビジネスの特集記事(116)

次はiPS
富士フイルム
古森重隆、本業を培養する
2015.07.20




テーマ

今週号の特集のテーマは

富士フイルムホールディングスの総帥、
古森重隆が最後の大勝負に打って出た。
見据えるのは、医薬業界の秩序を根底から覆すiPS 細胞。
100兆円市場の覇権を握るためなら、ノーベル賞学者とも
別の道を行く。
次々と新たな事業を創出し、本業喪失の苦境から復活した
富士フイルムは、競合ひしめく医薬・医療業界で新たな本業を
「培養」できるか。
先駆者の新たな挑戦は、日本企業にとって指針となる

 (『日経ビジネス』 2015.07.20 号 P.024)

ということです。






次はiPS<br />富士フイルム<br />古森重隆、本業を培養する

次はiPS
富士フイルム
古森重隆、本業を培養する

(『日経ビジネス』 2015.07.20 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.024-025)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20







第1回は、
「PROLOGUE 勝算は見えている
 古森重隆、最後の大勝負」
「PART.1 iPS創薬の覇権を握れ
 京大を抜き去り 狙う100兆円市場」 
を取り上げました。


第2回は、
「PART.2 異分野攻略の決め手
 革新生み出すフィルム進化論」 
を取り上げます。


最終回は、
「PART.3 中嶋社長が見せた意地
 古森が去っても大丈夫なのか」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 iPS細胞 
 再生医療 
 革新 
 異分野攻略 
 古森以後 


今週号の編集長インタビューは、特集のPART.4
「次に次まで読む 6割の勝算で十分」のタイトルで、
古森重隆富士フイルムホールディングス会長兼
CEO(最高経営責任者)でした。


インタビューの詳細は下記をご覧ください。

日経ビジネスのインタビュー(180)
次の次まで読む 6割の勝算で十分





では、本題に入りましょう!


 PART.2 異分野攻略の決め手 
 革新生み出すフィルム進化論 

このパートでは、富士フイルムがなぜ、異業種に参入し、
確固たる地位を築くことができるのか、を中心にお伝え
していきます。


富士フイルムは、自社の基礎技術とコア技術に絶対の
自信があることが、窺えます。


iPS細胞が世界的に注目されていますが、安全性が高く、
大量に作製する技術はまだ確立されていません。


非常に競争の激しい分野です。


 iPS細胞の作製に必要な作業の大半は、

 まだ自動化されていない。

 技術者の経験や勘を頼りに手作業で

 進めるケースが多い。

 例えば、人から取り出した細胞への

 遺伝子注入、低品質細胞の除去、

 培養液やシャーレなどの取り換え、

 細胞の数を100万倍以上に増やす…。

 複雑な工程を経る中で、どうしても品質

 にばらつきが生まれてしまう。

 問題を解決するためのブレークスルーを、

 写真フィルム技術に求めたのだ。
 

  (P.035)



写真フィルム技術が多くの製品を生み出した<br />・事業展開とベースになった写真技術

写真フィルム技術が多くの製品を生み出した
・事業展開とベースになった写真技術

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.034-035)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



具体的に、富士フイルムは自社独自のどのような
技術を応用しようとしているのでしょうか?


 提案したのが、機械を使って、ナノレベルの

 サイズの粒子を均一に混ぜ合わせる技術、

 どんな環境でも温度を一定に保つ技術、

 微細物質の状態を分析する技術だ。

 いずれも、写真フィルムを作るのに欠かせない。

 これらの技術を組み合わせれば、工程のある

 部分をロボットでの作業に代替し、細胞の品質

 や生産性を上げられるはずだ。
 

  (P.035)


もう少し、写真フィルムの生産技術について解説を
読んでみましょう。


 写真フィルムの生産技術の根幹は、薄い層を

 正確に重ね合わせることにある。

 フィルムの厚みは髪の毛とほぼ同じ。

 表面部分は、20マイクロメートル(マイクロは

 100万分の1)の厚みの中に、細かな粒子を

 ちりばめた約20の層が積み重なっている。

 各層は、光に反応する、色あせを防ぐなど、

 役割に応じた機能がある。
 

  (P.035)


写真フィルムの生産技術にはナノ技術がぎっしり
詰まっているのですね。


20年くらい前、写真撮影に凝ったことがありました。
富士フイルムやコダックのフィルム(ネガとポジ)を
よく使ったものです。

「超微粒子」という言葉が流行ったのもその頃だった
気がします。


当時、世界の写真フィルム業界は、イーストマン・
コダック(コダック)、富士フイルム、独アグファ、
コニカ(小西六)の4社の寡占状態でした。


ところが、その後、写真フィルム業界で残ったのは
富士フイルム1社だけでした。


 歴史をひもとくと、写真フィルムは富士フイルムの

 ほか、米イーストマン・コダックと独アグファ、

 日本のコニカミノルタと、世界で4社しか作らない

 寡占市場だった。

 汎用的な機械が使えないため、富士フイルムは

 自前で製造設備を設計・開発したほどだ。

 だが、デジタルカメラへの移行が急速に進み、

 2000年をピークに写真フィルムの市場規模が激減。

 コニカミノルタは写真フィルムから撤退し、複合機

 など別の事業に力を入れた。

 2012年には、業界の盟主だったコダックが経営破綻

 した。

 その中で、富士フイルムだけが、写真フィルムの生産

 技術にこだわり続けた。

 蓄積した技術を徹底的に洗い出し、全く違う分野にでも

 使えるよう、磨き上げた上で、整理した。

 そこには、将来必ず役に立つ、ほかにはない技術に

 なるはずだという技術者らの確信と、経営者の理解が

 あった。
 

  (P.036)


次のケースは、女性には馴染み深い話でしょう。
「アスタリフト」シリーズという化粧品です。


最初は、富士フイルムが化粧品(?)と驚きの反応が
強かったように思います。


ですが、その技術を知ると、納得します。
ちゃんと写真フィルムの生産技術が応用されているの
です。


 化粧品も、写真フィルムから生まれた技術が

 ふんだんに盛り込まれている。

 写真フィルムの素材として使っていたコラーゲンと、

 微細な粒子を配合する写真フィルム由来の技術

 を組み合わせ、他の化粧品メーカーにはできない

 スキンケア製品を数々開発。売り上げを伸ばした。

 スキンケア製品の開発メンバーの中核にいる一人が、

 医薬品・ヘルスケア研究所の田代朋子。

 以前は写真印刷用のインクジェットペーパーという

 化粧品とは全くの異分野で、酸化防止剤に取り組ん

 でいた研究者だ。
 

  (P.036)


医療品・ヘルスケア研究所の田代 朋子 氏

医療品・ヘルスケア研究所の田代 朋子 氏

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 P.036)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



どんな独自技術が応用されていると思いますか?
アスタキサンチンです。よく耳にしますね。


 酸化防止は、写真プリントの「色あせ」を防ぐ技術。

 これが、化粧品を開発するうえで、重要な技術へ

 と生まれ変わった。酸化によって老化する仕組みは、

 人の肌と写真でよく似ているからだ。


 エビやカニなどに含まれる色素成分の「アスタキ

 サンチン」には、老化の原因になる物質を除去する

 機能があることは知られていた。

 だが、スキンケア製品には使われてこなかった。

 水に溶けにくいため、肌に浸透しづらかったのだ。

 そこで、田代ら研究チームは写真フィルムで使われ

 ていた技術を活用。

 アスタキサンチン粒子を非常に細かく加工し、

 分散させ、水に溶けるようにした。

 この技術で作り出した化粧品を、「アスタリフト」

 シリーズとして売り出した。
 

  (P.036)


「同ブランドの売り上げは年100億円を超えた」(P.037)
そうです。


医療分野への進出で欠かせないのは、デジタルX線
システムでしょう。


 富士フイルムは世界で初めてデジタルX線システム

 を発売し、医療機器事業を強化。

 年間4000億円規模の、ヘルスケア事業の軸として

 育っている。
 

  (P.037)


この分野で更に強くなるため、米医療IT企業を買収
しました。


 5月には米医療IT企業のテラメディカを買収。

 病院内の医療画像や診療情報を一元管理

 できるシステムの強化に乗り出した。

 「コア技術は地下水脈という形で生き残っており、

 事業に合わせてそれを引き出し、組み合わせ

 られる」。専務の戸田(雄三)は言う。

 

  (P.037)



独自技術を安易に捨ててはいけない、という事実は
富士フイルムが証明しています。


 市場がなくなったからといって簡単には写真フィルム

 を捨てず、将来必ず花が開く技術の集積であること

 を信じ、育て上げてきた。そうして多くの製品・事業へ

 と姿を変えていった。
 

  (P.037)







ポイント

基礎技術とコア技術を応用する

独自性の強い技術を持ち、優位性があると確信できる
ものであるならば、時間をかけ磨き上げていくと、
際立った差別化に結実することが分かります。


富士フイルムの独自技術である、基礎技術とコア技術
を組み合わせることによって、他社製品とは全く異なる
性質の製品を生産し、市場を創出することができること
を証明しています。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 iPS細胞 
 再生医療 
 革新 
 異分野攻略 
 古森以後 





最終回は、
「PART.3 中嶋社長が見せた意地
 古森が去っても大丈夫なのか」
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。






次はiPS 富士フイルム 古森重隆、本業を培養する 2015.07.20 <1>







日経ビジネスの特集記事(116)

次はiPS
富士フイルム
古森重隆、本業を培養する
2015.07.20




テーマ

今週号の特集のテーマは

富士フイルムホールディングスの総帥、
古森重隆が最後の大勝負に打って出た。
見据えるのは、医薬業界の秩序を根底から覆すiPS 細胞。
100兆円市場の覇権を握るためなら、ノーベル賞学者とも
別の道を行く。
次々と新たな事業を創出し、本業喪失の苦境から復活した
富士フイルムは、競合ひしめく医薬・医療業界で新たな本業を
「培養」できるか。
先駆者の新たな挑戦は、日本企業にとって指針となる

 (『日経ビジネス』 2015.07.20 号 P.024)

ということです。






次はiPS<br />富士フイルム<br />古森重隆、本業を培養する

次はiPS
富士フイルム
古森重隆、本業を培養する

(『日経ビジネス』 2015.07.20 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.024-025)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20







第1回は、
「PROLOGUE 勝算は見えている
 古森重隆、最後の大勝負」
「PART.1 iPS創薬の覇権を握れ
 京大を抜き去り 狙う100兆円市場」 
を取り上げます。


第2回は、
「PART.2 異分野攻略の決め手
 革新生み出すフィルム進化論」 
を取り上げます。


最終回は、
「PART.3 中嶋社長が見せた意地
 古森が去っても大丈夫なのか」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 iPS細胞 
 再生医療 
 革新 
 異分野攻略 
 古森以後 


今週号の編集長インタビューは、特集のPART.4
「次に次まで読む 6割の勝算で十分」のタイトルで、
古森重隆富士フイルムホールディングス会長兼
CEO(最高経営責任者)でした。


インタビューの詳細は下記をご覧ください。

日経ビジネスのインタビュー(180)
次の次まで読む 6割の勝算で十分





では、本題に入りましょう!


 PROLOGUE 勝算は見えている 
 古森重隆、最後の大勝負 

富士フイルムホールディングスについて詳しい方は、
古森重隆会長兼CEOは研究者ではないのに、
なぜ白衣を着ているのだろうか、と疑問に思われた
かもしれません。


この経緯について、飯田展久編集長は「編集長の視点」
で次のように説明しています。


 今回、富士フイルムの特集を組むに当たり、

 古森さんに白衣を着てもらえないだろうかと、

 かなり思い切って提案しました。

 フィルム事業からの転換を成し遂げた古森さん

 が次に力を入れているのがヘルスケア事業で

 あることを、どうやって読者の皆さんにお伝え

 できるだろうか、悩みました。

 そして「断られてもいいから頼んでみよう」と

 相成ったのです。

 そして、今週号の表紙が出来上がりました。

 古森さんは研究者ではありませんから、白衣姿に

 違和感をお持ちの方もいるかもしれません。

 そこまでしなくてもいいじゃないか、というお考えも

 あるでしょう。

 しかし、本業を大胆に転換していく古森さんの腹の

 据わり方を私たちは表現したかったのです。

 過去の成功体験にとらわれていては先も読めないし、

 思い切った投資もできない。

 古森さんには『魂の経営』というタイトルの著書が

 ありますが、経営に魂を込めているからこそ、

 白衣を着ていただけたのだと信じています。
 

  (P.003)


なるほどと納得させられますね。
私は違和感をまったく感じませんでした。
似合いすぎているとさえ思いました。



古森重隆富士フイルムホールディングス会長兼CEO

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20




まず、富士フイルムのセグメント別業績を概観して
見ましょう。


医薬品などヘルスケアを1兆円事業に<br />・富士フイルムの2015年3月期セグメント別業績

医薬品などヘルスケアを1兆円事業に
・富士フイルムの2015年3月期セグメント別業績

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 P.025)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



今後、ヘルスケア事業に注力していくことが分かり
ます。



富士フイルムの戦略は大胆にして緻密という表現が
ピッタリします。少なくとも、私はそう思いました。


古森会長兼CEOは経営トップとして15年間富士フイルム
を牽引してきました。


 「あと1つか2つ戦略的な手を打ったら区切りがつく。

 今年76歳になるからそんなに長くやりたくない。

 2年以内にやるべきことをして次の人に任せたい」

 最後の大勝負──。

 15年間、富士フイルムのトップに君臨してきた会長兼

 CEO(最高経営責任者)の古森重隆が、経営者人生

 の“総決算”に乗り出した。
 

  (P.026)


手元資金が潤沢にあるからこそ、M&A(合併・買収)に
乗り出すことができるのです。


 手にしているのは約5000億円のM&A(合併・買収)資金。

 「やり方は言えないが、既に勝算はある」と不敵な表情を

 浮かべる。

 視線の先にあるのは再生医療。

 古森が「究極で最後の医療」と位置付け、先行投資を

 続ける分野である。
 

  (P.026)


再生医療とフィルムでは、つながりがないのでは、
と考えがちですが、富士フイルムの基礎技術とコア技術
を組み合わせれば、この2つはつながりを持ってきます。


 2004年、古森は写真フィルムの技術を活用した

 ある賭けに出た。

 1100億円を投じ、液晶ディスプレーに使う偏光板

 の保護フィルムの増産に乗り出した。

 それが的中した。

 競合に先駆けたことで、世界の約7割のシェアを握り、

 年間数百億円の利益を稼ぐ、巨大事業へ成長した。

 ここで得た利益などを元手に、構造改革を急いだ。

 人員削減など写真フィルム事業では厳しい手を打ち

 つつ、高機能材料や医薬品など、成長分野への足

 がかりを築いた。
 

  (P.026)


15年間の事業の推移をざっと眺めてみましょう。
大胆に事業ポートフォリオを組み替えてきたこと
が把握できることでしょう。


~2000年 フィルム全盛時代

~2000年 フィルム全盛時代

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 P.026)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



2000~2014年 本業の喪失と創出

2000~2014年 本業の喪失と創出

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 P.026)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



2015年~ 新たな本業を培養

2015年~ 新たな本業を培養

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 P.027)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



なぜ、このような改革をしてきたのでしょうか?
『日経ビジネス』特集班によれば、次のように
なります。


 自社のコア技術を徹底的に見つめ直し、

 「どの分野なら適用できるかを読む」(古森)。

 イノベーションを起こせると見れば、異分野

 のように見えても素早く新しい市場を取りに

 いく。10、20年といった期間で、本業を入れ

 替えることも、いとわない。

 実行するには、自ら事業を選別し、時に

 今の本業を捨て去る覚悟も必要だ。

 社員に危機感を植え付けるのは簡単ではない。

 だが、それに成功したとき、富士フイルムは

 新たなステージに入る。

 IT(情報技術)企業が自動車を作り、米ゼネラル・

 エレクトリック(GE)といった製造業が、ビッグ

 データを使ったサービス業に乗り出す──。

 業態を隔てる垣根が瓦解し、今後は異分野の

 企業が市場を制することも増えていくだろう。
 

  (P.027)




富士フイルムが買収したCDIという米企業が重要な
カギを握ることが分かってきます。


だからこそ、富士フイルムは素早く行動し、iPS細胞
に関する事業で一気に京都大学に肩を並べること
が出来ました。





 PART.1 iPS創薬の覇権を握れ 
 京大を抜き去り 狙う100兆円市場 

CDIとはどんな企業なのか、知りたくないですか?
知りたいですよね?
知れば知るほど、富士フイルムの先見性と敏捷性
に気づくことになります。


 iPS細胞に関して京大とは違った技術を持つ

 米バイオベンチャー、セルラー・ダイナミクス・

 インターナショナル(CDI)を今年5月、約370

 億円で買収したのだ。

 同社が米サンフランシスコで進める、難病患者

 ら3000人分のiPS細胞を集める構想が実現

 すれば、京大を追い越し、飛躍の大きな一手に

 なると考えたからだ。
 

  (P.029)


CDI買収に関して、ある人物の存在がクロースアップ
されます。


 「ぜひとも我々と日本で一緒に仕事をやりましょう」

 昨夏、来日したCDI幹部に対し、身を乗り出さん

 ばかりに詰め寄ったのが、富士フイルムの再生

 医療事業推進室長、伴寿一(54歳)である。

 伴は以前、武田薬品工業で医薬品を手がけていた。

 技術力だけでなく、製薬企業の買収を成功に

 導いた巧みな交渉術などで、業界の中では知らぬ者

 はいないと言われる人物だ。

 「再生医療の世界で一緒にナンバーワンを目指さ

 ないか」。

 医薬品事業の強化に向け、人材を探していた取締役

 専務執行役員の戸田雄三からのこんな誘いに応え、

 2013年に転職した。そして、伴の入社が富士フイルム

 と京大の関係を大きく変えていくことになる。
 

  (P.029)


元々は、富士フイルムは京大と共同研究を行なうこと
で話を進めていたそうです。
ところが、CDIを買収したことで状況に変化が生じたの
です。


それは、「iPS細胞で、京大とCDIは双璧」(P.30)だから
です。


 iPS細胞で、京大とCDIは双璧だ。2007年11月、

 京大教授の山中は米科学雑誌のセルに、

 ヒトiPS細胞を初めて作り上げたという論文を

 発表した。

 同じタイミングで、別の科学雑誌である

 米サイエンス誌に同様の論文を掲載したのが、

 米ウィスコンシン大学教授のジェームズ・トムソン。

 CDIはトムソンが自らの特許をベースに立ち上げ

 た企業である。

 iPS細胞は4つの遺伝子を細胞に注入して作る。

 山中とトムソンの手法は、4つの遺伝子のうち2つが

 異なっており、2人は別々に特許を取得。

 トムソンはノーベル賞受賞を逃したが、CDIはがんに

 なりにくく、安全性が高いiPS細胞の作製技術でも

 特許を押さえた。
 

  (P.030)


こうした解説を読むと、CDIはすごい企業であること
が理解できます。だからこそ、富士フイルムの先見性
と敏捷性がひときわ輝いて見えるのです。


CDI買収の経緯を見てみましょう。


 古森は新規投資の判断基準として、

 「6割の勝算」があるかどうかを考える。

 iPS細胞を使えば、薬の作り方が一変

 するはず。

 そこで覇権を握れば、一躍トップ企業に

 躍り出られる。自信あふれる伴の報告

 ぶりやその内容から、確率は6割以上は

 あると確信したのだ。

 その後、伴は買収条件を提示。

 資金調達で壁に突き当たっていたCDIは、

 申し出に飛びついた。

 両社は今年1月下旬に完全買収の秘密

 保持契約を締結。

 わずか1カ月でデューデリジェンス(資産

 査定)を終わらせた。

 米医療機器大手も買収に名乗りを上げたが、

 決断が遅れ、“果実”を富士フイルムにさら

 われた。
 

  (P.031)


買収に至った要因は何だったのでしょうか?


 経営トップと現場の事業部長。

 両者の距離の近さと、医薬品事業にかける

 意気込みが、買収を成功させたと言える

 だろう。
 

  (P.031)


CDIが米国西部で進める「iPS細胞バンク構想」

CDIが米国西部で進める“iPS細胞バンク構想”

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.028-029)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



ここに至るまでには伏線があります。

富山化学工業の買収です。


 富士フイルムが医薬業界への足掛かりを得たのは、

 2008年に実施した富山化学工業の買収だ。

 昨年、西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱で、

 富山化学が開発した「アビガン」が治療薬として注目

 を集め、世界に富士フイルムの名を知らしめた。

 その後、再生医療に進出した。

 富士フイルムは写真フィルム用に開発したゼラチン

 を使い、人間のコラーゲンと同じたんぱく質を人工的

 に作り出す技術を持っている。

 それをベースに、iPS細胞を別の細胞に育てる際に

 必要な「足場材」を開発、研究用材料として販売を

 始めた。

 富士フイルムの足場材は、動物の成分を含まない

 独自の製法で、アレルギーや感染症などの原因に

 なりにくい。だから、安全性の高い細胞を作ることが

 できる。
 

  (PP031-032)



3分で丸分かり iPS細胞キーワード

3分で丸分かり iPS細胞キーワード

3分で丸分かり iPS細胞キーワード

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.030-031)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20




これは画期的なことです。
資金の少ないCDIと、資金が潤沢にあり、安全性の
高い足場材の独自製法の技術を持つ富士フイルム
の合体は望ましいものでしょう。


 これまでは足場材という「苗床」を持っては

 いたものの、中に植える肝心の「タネ」が

 手元になかった。

 CDIの買収により2つがそろうことになる。

 既に日本で唯一の再生医療製品を販売する

 企業、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング

 を買収により傘下に抱える。

 同社は独自の治療ノウハウや販売ルートを

 持つ。

 これらを合わせれば、高品質のiPS細胞を

 大量生産し、効率的に販売する一貫事業が

 できるようになる。世界の主要製薬大手でも、

 ここまでの体制は築けていない。

 これから築こうにも、相当な時間がかかる。

 だから、富士フイルムは再生医療時代の

 トップ企業へ近づいた、と言えるのだ。
 

  (P.032)



富士フイルムは米国を足掛かりにする<br />・iPS細胞を巡る二大勢力の関係と動き

富士フイルムは米国を足掛かりにする
・iPS細胞を巡る二大勢力の関係と動き

(『日経ビジネス』 2015.07.20号 PP.032-033)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.20



ここでさらに注目すべき動きは「細胞バンク構想」
です。


 覇権を手中に収めるために、薬の開発を

 劇的に変える可能性を秘めた「iPS細胞

 バンク構想」が動き出した。

 難病患者ら3000人分の血液や皮膚から

 取り出した細胞を使い、iPS細胞を作製。

 それらを冷凍保存し、いつでも取り出して、

 薬の効き目を試す目的で使えるように

 しようというのだ。
 

  (P.032)


凄いことが起こりそうな予感をさせることは、
次の解説を読むとおぼろげながら分かって
きます。


 iPS創薬の覇権を握ることで、遺伝子組み

 換え食品における米モンサント、パソコンの

 心臓部であるCPUにおける米インテルのように、

 高いシェアを背景にして、高収益を上げ続ける

 ことが可能になるだろう。

 野望はそれだけにとどまらない。他人の細胞

 から作り上げた健康な臓器を移植する再生

 医療でも、世界のトップランナーを目指す。

 再生医療に使うためのiPS細胞も自前でそろ

 えていく。既に、米国人の19%をカバーする

 iPS細胞を持ち、この種類を増やす。
 

  (PP.032-033)


ただし、再生医療は構想が先行し、技術は見通せ
ないのも事実です。
今後、さらなる研究が不可欠な分野です。


 もちろん、再生医療はまだ先が見通せない

 技術であるのも事実。iPS細胞以外の技術

 が覇者になる可能性もある。

 その代表例が、iPS細胞と似た機能を持つが、

 作り方が違うES細胞(胚性幹細胞)。

 日本では開発が遅れているが、欧米では

 事業化の目前まで来ている。

 病気を治す能力を高めた細胞を人体に

 注入する治療法も、日米ベンチャーなど

 が実用化を目指している。
 

  (P.033)




ポイント

再生医療の分野で覇権を握るのはどこか

富士フイルムは京大と双璧をなす米CDIを傘下に
収めたことで、一躍iPS細胞の分野でトップに躍り
出ました。


問題は、実用化で一歩先行するES細胞(胚性
幹細胞)は米国が主導権を握っています。


果たして、再生医療の覇者となるのは、iPS細胞
なのか、はたまたES細胞なのか、それとも全く
異なるものなのか、それは時間が判断すること
でしょう。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 iPS細胞 
 再生医療 
 革新 
 異分野攻略 
 古森以後 





次回は、
「PART.2 異分野攻略の決め手
 革新生み出すフィルム進化論」 
をお伝えします。


ご期待下さい!






記事を読んで、面白かったら
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ニトリ、銀座へ 始まった都心争奪戦 2015.07.13 <3>







日経ビジネスの特集記事(115)

ニトリ、銀座へ
始まった都心争奪戦
2015.07.13




テーマ

今週号の特集のテーマは

郊外型で成長してきた家具最大手のニトリが、
ついに東京・銀座に打って出た。
人口減少に加えて近づくデフレの終焉が、
小売り・外食企業を都心進出へと駆り立てる。
成長を支えてきた郊外店の将来に影が差し、
過去の勝ちパターンは崩壊しつつある。
だが、競合相手がひしめく都心部の攻略は、
一朝一夕ではいかない。
高い賃料や複雑な顧客層など、乗り越えるべき
ハードルは多い。
さらに、攻め入った先の都心も、今後10年で一気に
高齢化が進む。
都心は、企業の成長をけん引する「ラストリゾート」
なのか。
日本経済の底力を試す、壮大な実験が始まった

 (『日経ビジネス』 2015.07.13 号 P.025)

ということです。






ニトリ、銀座へ<br />始まった都心争奪戦

ニトリ、銀座へ
始まった都心争奪戦

(『日経ビジネス』 2015.07.13 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.13




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.07.13号 PP.024-025)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.13







第1回は、
PROLOGUE 日本マクドナルド、ワタミ、ヤマダ電機・・・
 閉店ラッシュが鳴らす『大転換』の号砲」
PART 1 チェーン店の革命家
 ニトリが都心を攻めるワケ」 
を取り上げました。


第2回は、
PART 2 郊外の常識を捨てろ
 “未開市場”3つの攻め方」 
を取り上げました。


最終回は、
PART 3 コンビニが見据える『超高齢化』
 10年先に希望はあるか」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 都心を攻める 
 未開市場 
 空白地帯 
 超高齢化 
 日本の未来 



今週号の特集のタイトル「ニトリ、銀座へ」の文字を見て、
「えっ? ニトリが銀座に出店する?」と目を丸くしました。


高級路線を維持した大塚家具との勝負に勝ったニトリは、
高品質低価格路線をひた走ってきました。


しかも、ニトリは郊外に出店し続けていました。
大塚家具は父娘の確執の末、実娘が主張したニトリ同様
の低価格路線が株主から支持され、代表取締役社長に
就任しました。


その辺りの経緯は、あなたのほうが詳しいかもしれません。


ニトリは、「空白地帯」だった都心部への出店を加速して
いくようです。郊外から都心部へ軸足を移したと言えます。




では、本題に入りましょう!


 PART 3 コンビニが見据える「超高齢化」 
 10年先に希望はあるか 

前回まで郊外から都心へ軸足を移した企業を
ご紹介してきました。


中には、ウエルシアホールディングスのように
郊外型店舗でも「10年は大丈夫」という企業も
ありますが、超高齢化や、クルマを不要とする
人たちが増え、郊外型店舗は客足が減って
きているのは確かなようです。


一方、今回ご紹介するように、都心部に集中して
出店してきたコンビニにも、新たな課題が生まれ
ています。


東京は全国の水準以上に高齢化が進んでいる
のです。「超高齢化」にどう対応していくかが、
今後の重要な課題となったのです。


「超高齢化」は避けて通れない問題です。


まず、「サークルKサンクスを傘下に持つユニー
グループ・ホールディングスとの経営統合交渉を
進めている」(P.041)ファミリーマートの動向から
見てみることにしましょう。



 今年5月13日、東京の一等地に、見慣れない

 コンビニエンスストアが誕生した。

 業界3位のファミリーマートが 開発した、

 “次世代コンビニ”の雛形だ。

 港区新橋にある御成門交差点の角地。

 通りの向かいにはローソンがあるコンビニの

 過密地帯で、「通常なら、出店は厳しい場所」

 (同社開発本部長の和田昭則常務執行役員)だ。

 ところがこの店は、1日当たりの売上高が既存店

 平均の約2倍と好調に推移している。

 「ファミリーマート+ミヤモトドラッグ御成門店」──。

 ファミリーマートとドラッグストアの宮本薬局

 (東京都板橋区)の一体型店舗である。


 入り口近くには風邪薬やコンタクトレンズ、

 店の奥には化粧品が並ぶ。平日の昼間は弁当

 などを買う会社員らでにぎわうが、午後5時を

 過ぎると近所に住むシニア層らの姿も目立つ。

 コンビニにドラッグストアの品ぞろえが加わった

 ことで、都心に潜む「買い物難民」の需要を掘り

 起こした。
 

  (P.040)



ファミリーマート 中山 勇 社長

ファミリーマート 中山 勇 社長

(『日経ビジネス』 2015.07.13号 P.040)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.13




中山社長はどのような意図で、“次世代コンビニ”を
導入したのでしょうか?


中山社長の言葉を交えて、コンビニの現状と課題に
ついて一緒に考えてみましょう。


あなたの住む町も例外ではない、と気づくことでしょう。


 業界全体で店舗数は5万店を超え、市場規模は

 10兆円に到達した。


 「従来型のコンビニは既に飽和状態。出店よりも

 次世代コンビニの開発へと競争の軸は移った」

 ファミリーマートの中山勇社長は、そう言い切る。


 中山社長の目線の先には、劇的に進む高齢化

 した都心の姿がある。東京では75歳以上の後期

 高齢者の人口が、2025年までに2010年比で約1.6倍

 に拡大する。そのペースは全国を上回る。

 東京は今も人口増加が続いているが、それも2020

 年を境に人口減少に転じ、2035年までに3人に1人

 が65歳以上になる。

 この先10年もすれば、「人口増」「若者層が厚い」

 という、これまでの都心の魅力は減退する。
 

  (P.041)



従来のやり方では通用しないことを、身に沁みて
感じているからこそ断言できることです。


戦略の転換が欠かせなくなったのです。



都心の高齢化は全国の水準を<br />上回る勢いで加速する

都心の高齢化は全国の水準を
上回る勢いで加速する

(『日経ビジネス』 2015.07.13号 PP.040-041)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.13




中山社長が描くコンビニの未来像は、どのような
ものだと想像しますか?


 「調剤薬局と融合したコンビニに高齢者が処方薬

 を取りにくる。イートイン(店内の飲食場所)で近所

 の仲間とコーヒーを飲みながらクスリが準備される

 のを待ち、ついでに高血圧対応の“健康弁当”を

 買って帰る」

 中山社長が描くコンビニの未来像だ。

 2012年から一体型店舗の開発を進め、現在までに

 ドラッグストアやスーパー、カラオケなどと共同で

 83店舗を展開する。一体型店舗は2018年度までに

 2000店まで増やし、イートイン併設店舗も2017年度

 までに2倍の6000店舗に拡大する。

 異業種と連携し、高齢者の生活を支援する拠点へ

 とコンビニを進化させることが主な狙いだ。
 

  (P.041)



では、ローソンはどのような取り組みをしている
のでしょうか?


基本的に、ファミリーマートと同様な高齢者向け
サービスを展開しています。


 6月24日、ローソンは東京・世田谷の2店舗で、

 高齢者宅向けのご用聞きサービスを始めた。

 宅配大手SGホールディングスと共同で、

 ローソン店舗を拠点に宅配・ご用聞きサービス

 を提供する新会社SGローソンを設立。

 ご用聞きの“ラストワンマイル”にかかるコストを

 宅配事業で一部吸収することで、事業化にこぎ

 着けた。

 タブレット端末を使い、玄関先でコンビニに加えて

 ネットスーパーなどの商品や家事代行業者など

 サービスの注文も受ける。

 2016年夏までに首都圏で100店舗体制を目指す。

 SGローソンの野辺一也社長は「高齢化で都心でも

 買い物弱者は増える」と見る。
 

  (P.041)



私の記憶では、小学生の頃、今から半世紀近く前
になりますが、お米屋さんが御用聞き商売をして
いましたね。


お米以外に飲み物などの注文を受けていたことを
覚えています。


最近では、牛乳配達の担当者が、高齢者の見守り
を兼ねて、御用聞き商売をしているという話を読んだ
ことがあります。


コンビニ最大手のセブン・イレブンはどうでしょうか?
セブンも同様です。
高齢化は新たな「商機」と睨んでいるのです。


 最大手セブンイレブンも、10月に始める

 オムニチャネル事業で高齢者に寄り添う。

 百貨店やスーパーなど、親会社セブン&

 アイ・ホールディングス傘下の企業の商品を、

 コンビニ店舗で受け取れたり、宅配してもらえ

 たりできるようにする。

 セブン&アイの鈴木敏文会長兼CEO(最高

 経営責任者)は、「高齢化はチャンスだ」と話す。
 

  (P.041)


コンビニと激しい競争を繰り広げている食品スーパー
も手をこまぬいているわけではありません。


ショッピングセンター丸正総本店(新宿区)のチャレンジ
をご覧ください。


 毎週木曜日の昼頃、東京の四谷三丁目駅から

 徒歩数分の住宅街に、食料品を満載した小型

 トラックが滑り込んでくる。

 2012年に四国の徳島市で始まった移動スーパー

 「とくし丸」だ。

 昨年7月にショッピングセンター丸正総本店(新宿区)

 と提携。過疎地の買い物難民向けのサービスが、

 都心に進出した。
 

  (P.042)



丸正総本店の移動スーパー

丸正総本店の移動スーパー

(『日経ビジネス』 2015.07.13号 P.042)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.13



こうしたサービスを始めた理由は何でしょうか?


 20mほど離れた自宅から買い物に来た82歳の

 有賀和子さんは、「先々代の社長時代から

 通ってきた丸正さんが来てくれると、本当に助かる」

 と話す。

 丸正総本店の顧客は、有賀さんのように40~50

 年前からのなじみ客が大半を占める。

 だがここ数年、足腰が弱り、店から離れていく客が

 急速に増えていた。

 これが今、東京のど真ん中で起きている「超高齢化」

 の現実である。
 

  (P.042)


「超高齢化」という現実に直面し、採算についてはあえて
横に置き、なじみ客だった高齢者に寄り添うことを選択
したのです。


 1台の移動スーパーで訪問できるのは、1日約50軒。

 曜日ごとに訪問ルートを変え、売り上げは1日6万~

 10万円。人件費を考えればもうかりはしない。

 それでも、「高齢者の負担を軽減しなければ、

 商売の基盤が揺らぎかねない」(同社の飯塚正彦社長)。
 

  (P.042)


ニトリホールディングスの似鳥社長の次の言葉は、
「超高齢化」に対する積極果敢な挑戦だ、
と私は理解しました。


 「マイナスのことばかりを考えると、そこから衰退

 が始まる。明るく太陽のように、ポジティブに考えろ」

 ニトリHDの似鳥社長は笑い飛ばす。

 ファミリーに寄り添った「郊外モデル」に代わり、

 高齢者に寄り添う次世代の事業モデルを創出できるか。

 都心が、その壮大な実験場となる。
 

  (P.042)



都心を制するには高齢者のニーズの<br />取り込みが欠かせない

都心を制するには高齢者のニーズの
取り込みが欠かせない

(『日経ビジネス』 2015.07.13号 P.042)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.13






ポイント

高齢者のニーズの取り込みは欠かせない

今後、高齢化は全国的に急速に進みます。
とりわけ、都心部は全国の水準を上回る
勢いで加速します。


であるならば、その現実を前にして何ができる
のかといえば、高齢者のニーズを取り込むこと
しかありません。




私見

今週の特集に登場した企業のうち、いくつかが自宅
近くや最寄り駅周辺に位置する店舗であったので、
とても親近感を覚えました。


例えば、ニトリは最寄り駅から徒歩数分の場所に
ありますし、ウエルシアは自宅から徒歩2~3分の
場所にあります。


さらに、ファミリーマートと経営統合を進めている、
ユニーグループ・ホールディングス傘下のサークルK
サンクスはウエルシアに隣接しています。


セブン・イレブンやローソンは言うまでもないでしょう。
ほとんどの地域にありますね。


今週号で紹介していましたが、ブログでは取り上げ
なかったところでは、東急ハンズが運営する小型店
「ハンズビー」も最寄り駅の商業施設に入居しています。


ガストは確かに最寄り駅に近い雑居ビルの「2階」に
ありました。1階ではありませんでしたね。


忘れてならないのは、ヤマダ電機が環状2号線沿い
にありました。ここは主力店なので閉鎖されることは
まずないと思いますが、先のことは分かりません。


今特集を読んで、「多様性(ダイバーシティ)」と
「戦略の転換」は切り離せない概念だと思いました。


都心を制し、高齢者を制する企業は、日本の未来を
制すという『日経ビジネス』取材班の考え方に諸手を
挙げて賛成します。




最後に、もう一度、今特集のキーワードを
確認しておきましょう。

キーワード

 都心を攻める 
 未開市場 
 空白地帯 
 超高齢化 
 日本の未来 






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プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
管理人の藤巻隆です。

以前、ジュゲムブログで、
同タイトルの
「日経ビジネスの特集記事」
を書いていました。

しかし、使い勝手があまり
よくなかったので、
FC2ブログで新たにスタート
することにしました。

現在(2013.10.16)、ブログの
引越を行っているところです。

FC2ブログでは、2013.10.14号
が最初のブログということに
なります。


2013年10月16日記す。

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